(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(C)フッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体のいずれかからなる請求項1に記載のトランスファー成形用硬化性樹脂組成物。
付加型シリコーン系熱硬化性樹脂が、(A−1)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(A−2)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスファー成形用硬化性樹脂組成物。
(E)成分が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム及び硫酸バリウムから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトランスファー成形用硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)硬化触媒、(C)フッ素系樹脂、(D)無機充填材、を必須成分とした硬化性樹脂組成物である。
以下、各成分について説明する。
【0045】
((A)成分)
(A)成分の熱硬化性樹脂としては、表面実装型発光装置の分野で使用されるものを特に限定なく使用でき、たとえば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂などのエポキシ系熱硬化性樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などのシリコーン系熱硬化性樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ系熱硬化性樹脂、シリコーン系熱硬化性樹脂が幅広く用いられており好ましい。
ここで、変性エポキシ樹脂とは、エポキシ樹脂と特殊変性剤を反応させて得られる樹脂のことであり、変性シリコーン樹脂とは、炭化水素基以外の有機基を含むオルガノポリシロキサンのことである。
【0046】
上記したエポキシ系熱硬化性樹脂は、反応性基としてエポキシ基を有する化合物の群を示す。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ビスフェノールF型エポキシ樹脂:テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の臭素化エポキシ樹脂:ノボラック型エポキシ樹脂:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応物、芳香族カルボン酸の水素添加物とエピクロルヒドリンとの反応物等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂:N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂:ウレタン変性エポキシ樹脂:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の脂環式系エポキシ樹脂:トリグリシジルイソシアヌレート:ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル類:ヒダントイン型エポキシ樹脂:石油樹脂等の不飽和重合体のエポキシ化物などが例示できるが、これらに限定されるものではなく、一般に知られているエポキシ樹脂であれば使用できる。
【0047】
上記したシリコーン系熱硬化性樹脂としては、例えば、アルコキシ基やシラノール基の縮合反応によって硬化する縮合型シリコーン系熱硬化性樹脂や、二重結合に対するSiH基との付加反応によって硬化する付加型シリコーン系熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらのうち、硬化時に水やアルコールの揮発成分の発生量が少ないという観点からは付加型シリコーン系熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記の熱硬化性樹脂のうち、(A)成分としては、樹脂の耐熱性等の観点から、シリコーン系熱硬化性樹脂がより好ましい。シリコーン系熱硬化性樹脂は、耐熱性と靱性のバランスから、(A−1)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(A−2)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物から構成されることがより好ましい。
【0048】
((A−1)成分)
(A−1)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。
【0049】
(A−1)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
【0050】
有機重合体系の(A−1)成分としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の骨格を有するものを挙げることができる。
【0051】
有機単量体系の(A−1)成分としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0052】
((A−1)成分の具体例)
有機重合体系の(A)成分の具体的な例としては、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0054】
(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2、R
3は構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0056】
(式中、R
1はHまたはCH
3、R
4、R
5は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0058】
(式中、R
1はHまたはCH
3、R
6、R
7は炭素数1〜20の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0060】
(式中、R
1はHまたはCH
3、R
8、R
9は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
【0062】
(式中、R
1はHまたはCH
3、R
10、R
11、R
12は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、l、pは1〜300の数を表す。)等が挙げられる。
【0063】
有機単量体系の(A−1)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、
【0066】
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0067】
(A−1)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(A−1)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0068】
((A−2)成分)
(A−2)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0069】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A−1)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(VI)
【0071】
(式中、R
1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0072】
一般式(VI)で表される化合物中の置換基R
1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0073】
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0074】
((A−2)成分の好ましい構造)
(A−1)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(A−2)成分の揮発性が低くなり得られる硬化性樹脂組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点から、(A−2)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
【0075】
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(A−1)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
【0076】
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
【0077】
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されない。
【0078】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0079】
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
【0080】
上記のような(α1)成分あるいは/および(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0081】
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であり、鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
具体的には、例えば
【0084】
が挙げられる。
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
【0086】
(式中、R
1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0087】
上記一般式(VI)で表される化合物中の置換基R
1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0088】
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0089】
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する化合物をあげることができる。
【0090】
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0091】
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(A−2)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
【0092】
((B)成分)
(B)成分としては、(A)成分を硬化させることができるものであれば特に限定されない。縮合型シリコーン系熱硬化性樹脂の硬化触媒としては縮合触媒を使用することができ、また付加型シリコーン系熱硬化性樹脂の硬化触媒としてはヒドロシリル化触媒を用いることができる。エポキシ系熱硬化性樹脂の硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、イソシアヌル酸誘導体、フェノール系硬化剤などが挙げられる。
【0093】
縮合触媒としては特に限定されないが、ほう素系化合物あるいは/およびアルミニウム系化合物あるいは/およびチタン系化合物が好ましい。シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類:、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
【0094】
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH
2=CH
2)
2(PPh
3)
2、Pt(CH
2=CH
2)
2Cl
2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe
2SiOSiMe
2Vi)
n、Pt[(MeViSiO)
4]
m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh
3)
4、Pt(PBu
3)
4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)
3]
4、Pt[P(OBu)
3]
4)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0095】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)
3、RhCl
3、RhAl
2O
3、RuCl
3、IrCl
3、FeCl
3、AlCl
3、PdCl
2・2H
2O、NiCl
2、TiCl
4、等が挙げられる。
【0096】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0097】
ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性樹脂組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(A−2)成分のSiH基1モルに対して10
−8モル、より好ましくは10
−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10
−1モル、より好ましくは10
−2モルである。
【0098】
また、上記ヒドロシリル化触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10
−2モル、より好ましくは10
−1モルであり、好ましい添加量の上限は10
2モル、より好ましくは10モルである。
【0099】
エポキシ系熱硬化性樹脂の硬化剤である酸無水物系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
【0100】
また、イソシアヌル酸誘導体としては、1,3,5−トリス(1−カルボキシメチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0101】
フェノール系硬化剤としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルとから合成されるフェノール・アラルキル樹脂;ビフェニレン型フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンとの共重合によって合成される、ジシクロベンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂;トリフェニルメタン型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;およびこれら2種以上を共重合して得られるフェノール樹脂などが挙げられる。
【0102】
((C)成分)
本発明の(C)成分は、フッ素系樹脂である。(C)成分を用いることにより(D)成分の無機充填材と混合した場合に、より小さな線膨張係数を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物とすることができる。
【0103】
また、(C)成分は発光素子からの光を反射する白色顔料としての働きも有している。そのため、添加することにより反射特性を底上げする効果も期待される。
【0104】
また、(C)成分の化合物は、揮発成分を含まない化合物である。そのため、例えばリードフレーム上にコンパウンドを成型した際に揮発成分がリードフレーム表面にブリードし、その部分のはんだ濡れ性が悪化するなどの懸念が解消する。
【0105】
(C)成分としては、その分子中にフッ素原子を有する重合体であれば特に限定されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などが挙げられる。その中でも、ポリテトラフルオロエチレンが、入手性、コストの点で好ましい。
【0106】
(C)成分の平均粒径は0.5μm以上500μm以下であることが好ましく、0.5μm以上300μm以下より好ましく、0.5μm以上100μm以下がさらに好ましい。粒径がこの範囲にあることで、成型時の流動性がより良好となる。ここでいう平均粒径とは、粒子の粒度分布の中央値(メディアン)を意味する。平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
【0107】
(C)成分の量としては、硬化性樹脂組成物全体に占める(C)成分の重量が1重量%以上20重量%であることが好ましく、1重量%以上10重量%であることがより好ましい。(C)成分の重量が1重量%以下の場合、(C)成分による線膨張係数低下効果が得られない可能性があり、(C)成分の量が20重量%以上の場合、成形時の流動性が悪化する可能性がある。
【0108】
((D)成分)
(D)成分は無機充填材である。(D)成分は、得られる硬化物の強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりする効果を有する。
【0109】
(D)成分の無機充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、アルミナ、ジルコン、窒化ケイ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている無機充填材等を挙げることができる。無機充填材としては、半導体素子へダメージを与え難いという観点からは、低放射線性であることが好ましい。
【0110】
無機充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
【0111】
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0112】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0113】
その他にも無機充填材を添加する方法が挙げられる。例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の硬化性樹脂組成物に添加して、硬化性樹脂組成物中あるいは硬化性樹脂組成物の部分反応物中で反応させ、硬化性樹脂組成物中で無機充填材を生成させる方法も挙げることができる。
【0114】
以上のような無機充填材のうち硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きく、リードフレームとの接着性が高くなりやすいという観点からは、シリカ系無機充填材が好ましい。さらに、成形性、電気特性等の物性バランスがよいという点において溶融シリカが好ましく、パッケージの熱伝導性が高くなり易く放熱性の高いパッケージ設計が可能になるという点においては結晶性シリカが好ましい。より放熱性が高くなり易いという点ではアルミナが好ましい。
【0115】
無機充填材の平均粒径や粒径分布としては、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、特に限定なく各種のものが用いられるが、通常用いられる平均粒径の下限は0.1μm、流動性が良好になりやすいという点から好ましくは0.5μmであり、通常用いられる平均粒径の上限は120μm、流動性が良好になりやすいという点から好ましくは60μm、より好ましくは15μmである。
【0116】
無機充填材の比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。
【0117】
無機充填材の形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種のものが用いられる。アスペクト比も種々のものが用いられる。得られる硬化物の強度が高くなりやすいという点においてはアスペクト比が10以上のものが好ましい。また、樹脂の等方性収縮の点からは繊維状よりは粉末状が好ましい。あるいは、高充填時にも成形時の流れ性がよくなり易いという点においては球状のものが好ましい。
【0118】
これら無機充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0119】
(D)成分の量は特に限定されないが、硬化性樹脂組成物全体に占める(D)成分の合計の量が20重量%以上95重量%以下であることが好ましく、30重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、40重量%以上93重量%以下であることがさらに好ましい。(D)成分の量が20重量%より少ないと、強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化するという効果が得られにくくなる可能性があり、93重量%よりも多いと、成型時の流動性が悪化する可能性がある。
【0120】
(D)成分の無機充填材の混合の順序としては、各種方法をとることができるが、硬化性樹脂組成物の中間原料の貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、(A−1)成分に(B)成分および無機充填材を混合したものと、(A−2)成分を混合する方法が好ましい。(A−2)成分に(B)成分および/または無機充填材を混合したものに(A−1)成分を混合する方法をとる場合は、(B)成分存在下および/または非存在下において(A−2)成分が環境中の水分および/または無機充填材との反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。また、反応成分である(A−1)成分、(A−2)成分、(B)成分がよく混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、(A−1)成分、(A−2)成分、(B)成分を混合したものと無機充填材とを混合することが好ましい。
【0121】
(D)成分の無機充填材を混合する手段としては、従来エポキシ樹脂等に用いられおよび/または提案されている種々の手段を用いることができる。例えば、2本ロールまたは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。これらのうち、高充填であっても無機充填材の十分な分散性が得られやすいという点においては、3本ロール、溶融混練機が好ましい。無機充填材の混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよい。また、常圧下に行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。高充填であっても無機充填材の十分な分散性が得られやすいという点においては、加熱状態で混合することが好ましく、無機充填材表面の塗れ性を向上し十分な分散性が得られやすいという点においては減圧状態で混合することが好ましい。
【0122】
((E)成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、白色顔料((E)成分)を含有することが望ましい。
本発明の(E)成分は白色顔料であり、得られる硬化物の光線反射率を高める効果を有する。
【0123】
(E)成分としては種々のものを用いることができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、中空ガラス粒子、チタン酸カリウムなどが挙げられる。中でも、取り扱いの容易性や入手性、コストの観点から酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましい。
【0124】
(E)成分の酸化チタンとしては種々のものを用いることができ、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、光触媒作用がなく硬化性樹脂組成物が安定になりやすいという点ではルチル型であることが好ましい。
【0125】
(E)成分の平均粒径としても種々のものが用いられるが、得られる硬化物の光線反射率が高くなりやすく、また硬化性樹脂組成物タブレットがより硬くなるという観点から、1.0μm以下のものが好ましく、0.30μm以下のものがより好ましく、0.25μm以下のものが最も好ましい。
【0126】
一方、硬化性樹脂組成物の流動性が高いという点では、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
【0127】
(E)成分の酸化チタンの製造方法としても硫酸法、塩素法などいずれの方法により製造されたものも使用できる。
【0128】
(E)成分は表面処理が施されていても良い。(E)成分の表面処理では、(E)成分の表面に無機化合物、有機化合物から選ばれる少なくとも1種を被覆する。無機化合物としては、例えば、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、アンチモン化合物等が挙げられ、また、有機化合物としては、多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機シロキサン等の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
【0129】
(E)成分の表面に無機化合物や有機化合物を被覆する場合は、湿式法や乾式法の公知の方法を用いて、例えば酸化チタンの乾式粉砕の際、スラリー化した際あるいは湿式粉砕した際に行うことができる。他にも、液相法、気相法等、種々の方法が挙げられる。
【0130】
これらのなかでは、得られる硬化物の光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好になることから有機シロキサン処理で処理されていることが好ましい。また、有機シロキサン処理された酸化チタンを含有させることは、光取り出し効率が高く、長期間使用しても光取り出し効率が低下しない優良な発光ダイオードを作製するうえでも好適である。
その場合の有機シロキサン処理剤としては種々のものが適用される。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、あるいはそれらの共重合体などのポリシロキサン類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、などのシクロシロキサン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのクロロシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシラン類、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のその他のシラン類等の各種シラン類で例示されるシランカップリング剤や、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。これらの表面処理剤としては炭素−炭素二重結合を含まないものであることが好ましく、炭素−炭素二重結合を含むと耐熱性が低下しやすくなる。また、有機シロキサン以外の表面処理を併用することも可能であり、Al、Zr、Zn等で処理することもできる。
【0131】
また、無機化合物により表面処理されていてもよい。
無機化合物による表面処理について特に限定されず、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、等種々の表面処理が用いられる。酸化チタンは、耐久性向上、媒体との親和性向上のため、あるいは、粒子形状の崩れを防止するなどの目的で無機化合物、有機化合物で表面処理する場合があるが、(E)成分を無機化合物で表面処理することで、硬化性樹脂組成物に含まれる成分との親和性が向上し、(E)成分の硬化性樹脂組成物に対する分散性が良くなり硬化物の強度が向上すると考えられる。
【0132】
表面処理の方法としても各種方法を適用することができ、湿式法、乾式法、液相法、気相法等、種々の方法が例示できる。
【0133】
(E)成分の量としては、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物全体に占める(F)成分の量が10重量%以上60重量%以下であることが好ましく、15重量%以上55%以下であることがより好ましく、20重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。10重量%未満であると、得られる硬化物の光線反射率が低下することがあり、60重量%より大きいと、成型時の流動性が不十分となる可能性がある。
【0134】
((D)成分および(E)成分)
(D)成分および(E)成分の合計量は特に限定されないが、硬化性樹脂組成物全体に占める(D)成分および(E)成分の合計の量が40重量%以上95重量%以下であることが好ましく、60重量%以上95重量%以下であることがより望ましく、80重量%以上93重量%以下であることがさらに望ましい。
【0135】
(D)成分および(E)成分の合計量が少ないと、強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりするという効果が得られにくくなり、また合計量が多いと、成型時の流動性が悪化する可能性がある。
【0136】
(E)成分の混合の順序としては、各種方法をとることができるが、好ましい態様は、既に説明した(D)と同様である。また、(E)成分と(D)成分とは同時に添加してもよい。
【0137】
(E)成分を混合する手段としては、(D)成分を混合する手段と同様の手段を用いることかできる。
【0138】
((F)成分)
本発明の硬化性樹脂組成物は、金属石鹸((F)成分)を含有することが望ましい。
(F)成分は、硬化性樹脂組成物の離型性をはじめとする成型性を改良するために添加される。
【0139】
(F)成分としては、従来使用されている各種金属石鹸があげられる。ここでいう金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に併せて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、例えば炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中では、入手性が容易であり工業的実現性が高いという点からは炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、さらに、離型性の効果が高いという点からは炭素数6〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の他に亜鉛、コバルト、アルミニウム、ストロンチウム等が挙げられる。金属石鹸をより具体的に例示すれば、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マンガン、リシノール酸バリウム、などが例示される。これらの金属石鹸の中では、入手性が容易であり、安全性が高く工業的実現性が高いという点からステアリン酸金属塩類が好ましく、特に経済性の点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛からなる群から選択される1つ以上のものが最も好ましい。
【0140】
この金属石鹸の添加量としては特に制限はないが、好ましい量の下限は硬化性樹脂組成物全体100重量部に対して0.01重量部、より好ましくは0.025重量部、さらに好ましくは0.05重量部であり、好ましい量の上限は硬化性樹脂組成物全体100重量部に対して5重量部、より好ましくは4重量部である。添加量が多すぎる場合は硬化物の物性の低下をきたし、少なすぎると金型離型性が得られないことがある。
【0141】
(添加剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には種々の添加剤を添加することができる。
【0142】
(硬化遅延剤)
本発明の硬化性樹脂組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0143】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
【0144】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0145】
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10
−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10
3モル、より好ましくは50モルである。
【0146】
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0147】
(接着性改良剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0148】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤の例や好ましい例は、上記したものと同じである。
【0149】
カップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0150】
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0151】
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0152】
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0153】
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、ほう素系化合物あるいは/およびアルミニウム系化合物あるいは/およびチタン系化合物が好ましい。シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類:、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
【0154】
シラノール縮合触媒となるほう素系化合物としては、ほう酸エステルが挙げられる。ほう酸エステルとしては下記一般式(VII)、(VIII)で示されるものを好適に用いることが出来る。
【0157】
(式中R
1は炭素数1〜48の有機基を表す。)
ほう酸エステルの具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドを好適に用いることができる。
【0158】
これらほう酸エステルは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行っても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
【0159】
これらほう酸エステルのうち、容易に入手でき工業的実用性が高いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
【0160】
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
【0161】
揮発性の抑制、および作業性がよいという点からは、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
【0162】
高温下での着色性が低いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
【0163】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0164】
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0165】
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0166】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0167】
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0168】
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
【0170】
、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
【0171】
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
【0173】
、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0174】
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0175】
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0176】
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記のシラン化合物を使用することができる。シラン化合物は、リードとの密着性向上に寄与し、パッケージとリードの界面からの水分の浸入の防止に効果的である。これを例示すると、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられ、中でも特にジメチルジメトキシシランが好ましい。
【0177】
(硬化性樹脂組成物の硬化物)
硬化性樹脂組成物は樹脂を硬化させたものを、粉砕して粒子状態で混合してもよい。硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性樹脂組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0178】
(熱可塑性樹脂)
本発明の硬化性樹脂組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0179】
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0180】
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0181】
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0182】
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性樹脂組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性樹脂組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
【0183】
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0184】
熱可塑性樹脂は(A)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
【0185】
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性樹脂組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0186】
(老化防止剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
【0187】
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
【0188】
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0189】
(ラジカル禁止剤)
本発明の硬化性樹脂組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
【0190】
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0191】
(紫外線吸収剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0192】
(溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。
【0193】
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性樹脂組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0194】
(発光ダイオードのための添加剤)
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には必要に応じて、種々の発光ダイオード特性改善のための添加剤を添加してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような拡散材、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性充填材等を挙げることができる。
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。
【0195】
(離型剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には成形時の離型性を改良するために種々の離型剤を添加してもよい。 離型剤としては、既に説明した(F)成分や、ワックス類等が挙げられる。
ワックス類としては、天然ワックス、合成ワックス、酸化または非酸化のポリオレフィン、ポリエチレンワックス等が例示できる。尚、離型剤を添加しなくても十分な離型性が得られる場合には離型剤は用いない方がよい。
【0196】
(その他添加剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、その他、着色剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0197】
(Bステージ化)
本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分および添加剤等の配合物をそのまま用いてもよいし、加熱等により部分的に反応(Bステージ化)させてから使用してもよい。Bステージ化することにより粘度調整が可能であり、トランスファー成形性を調整することもできる。また、硬化収縮をより抑制する効果もある。
【0198】
(硬化性樹脂組成物性状)
本発明の硬化性樹脂組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、トランスファー成形などによる成形性が良好であるという点においては、硬化性樹脂組成物としては150℃以下の温度で流動性を有するものが好ましい。
【0199】
硬化性樹脂組成物の硬化性については、任意に設定できるが、成形サイクルが短くできるという点においては120℃におけるゲル化時間が120秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがより好ましい。また、150℃におけるゲル化時間が60秒以内であることが好ましく、30秒以内であることがより好ましい。また、100℃におけるゲル化時間が180秒以内であることが好ましく、120秒以内であることがより好ましい。
【0200】
この場合のゲル化時間は、以下のようにして調べられる。設定温度に調整したホットプレート上に厚み50μmのアルミ箔を置き、その上に硬化性樹脂組成物100mgを置いてゲル化するまでの時間を測定してゲル化時間とする。
【0201】
硬化性樹脂組成物が使用される製造工程において、硬化性樹脂組成物中へのボイドの発生および硬化性樹脂組成物からのアウトガスによる工程上の問題が生じ難いという観点においては、硬化中の重量減少が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
【0202】
硬化中の重量減少は以下のように調べられる。熱重量分析装置を用いて封止剤10mgを室温から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して、減少した重量の初期重量の割合として求めることができる。
また、電子材料等として用いた場合にシリコーン汚染の問題を起こし難いという点においては、この場合の揮発成分中のSi原子の含有量が1%以下であることが好ましい。
【0203】
(硬化物性状)
耐熱性が良好であるという観点からは、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが100℃以上となるものが好ましく、150℃以上となるものがより好ましい。
この場合、Tgは以下のようにして調べられる。3mmx5mmx30mmの角柱状試験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温側度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
【0204】
また、リードフレーム等にイオンマイグレーション等の問題が生じ難く信頼性が高くなるという点においては、硬化物からの抽出イオン含有量が10ppm未満であることが好ましく、5ppm未満であることがより好ましく、1ppm未満であることがさらに好ましい。
【0205】
この場合、抽出イオン含有量は以下のようにして調べられる。裁断した硬化物1gを超純水50mlとともにテフロン(登録商標)製容器に入れて密閉し、121℃、2気圧、20時間の条件で処理する。得られた抽出液をICP質量分析法(横河アナリティカルシステムズ社製HP−4500使用)によって分析し、得られたNaおよびKの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。一方同じ抽出液をイオンクロマト法(ダイオネクス社製DX−500使用、カラム:AS12−SC)によって分析し、得られたClおよびBrの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。以上のように得られたNa、K、Cl、Brの硬化物中の含有量を合計して抽出イオン含有量とする。
【0206】
また、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得た成形体としては、表面の波長470nmの光線反射率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
表面の光線反射率は以下のように測定することができる。
PETフィルムを離型フィルムとして用い、所定の温度条件でプレス成形にてボイドのない0.5mm厚の成形体を作成する。得られた成形体に必要に応じて所定の後硬化を実施する。得られた成形体について積分球を設置した分光光度計を用いて470nmの全反射を測定することにより求めることができる。
【0207】
(硬化性樹脂組成物タブレット)
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)〜(D)成分に加えて、少なくとも(E)成分を含有する場合は、硬化性樹脂組成物タブレットとすることができる。
具体的には、硬化性樹脂組成物タブレットは、少なくとも一方が23℃における粘度が50Pa秒以下の液体である(A)成分、(A)成分を硬化させるための(B)成分、共に粉体である(D)成分および(E)成分、更には、(C)成分を含有することを特徴とする。
【0208】
この硬化性樹脂組成物タブレットは、高温で(A)成分が粘度低下することによって硬化性樹脂組成物全体が流動可能となり、さらに加熱を続けると硬化反応が進行して所望の形状に成形することが可能である。
【0209】
成形方法としては、特に限定されず、硬化性樹脂組成物の成形に一般的であるトランスファー成形や圧縮成形などの成形方法を用いることができる。これらの成形方法を用いる場合、原料である硬化性樹脂組成物がペースト状や粘土状であると、一定した形状を保持できず、互着や一体化、変形したりするため、計量や搬送、成形機への供給が非常に困難となる。一方、タブレット形状であると、計量や搬送、成形機への供給が容易となり、自動化も可能となって生産性が大幅に向上する。ここで言うタブレットとは、室温において一定した形状を保持し、経時的な形状の変化が実質的になく、また互いに接触させたときに互着や一体化することのない固体のことを意味する。
本発明のタブレットの形状は、特に限定されず、円柱状、角柱状、円盤状、球状などの形状を含むが、トランスファー成形に一般的な円柱状が好ましい。
【0210】
(半導体のパッケージ)
本発明で言う半導体のパッケージとは、半導体素子あるいは/および外部取出し電極等を支持固定あるいは/および保護するために設けられた部材である。半導体素子を直接被覆せず、外部取り出し電極等を支持固定するものや発光ダイオードのリフレクターのような半導体素子の周囲や底面を形成するものであってもよい。
この場合の半導体素子としては各種のものが挙げられる。例えばIC、LSI等の集積回路、トランジスター、ダイオード、発光ダイオード等の素子の他、CCD等の受光素子等を挙げることができる。
【0211】
形状についても特定されないが、半導体のパッケージが実質的に金属の片面に樹脂が成形されている形状を有する場合(MAPタイプ)において特に本発明の効果が得られやすい。
【0212】
尚、上記のように本発明の半導体のパッケージが半導体素子を直接被覆しないような場合などにおいては、さらに封止剤を用いて封止することもでき、例えば従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂を用いることができる。また、特開2002−80733、特開2002−88244で提案されているような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、およびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性樹脂組成物からなる封止剤を用いてもよく、この封止剤を用いる方が、パッケージ樹脂との接着性が高いという点、および透明性が高く本発明のパッケージの耐光性が高いという効果が顕著であるという点において、好ましい。一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止することも可能である。
【0213】
また発光ダイオードや受光素子の場合などにおいてはさらにレンズを適用することも可能であり、封止剤をレンズ形状に成形してレンズ機能を持たせることも可能である。
【0214】
(成形方法)
本発明で言う半導体パッケージの成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形、コンプレッション成形等、熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意であるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ましい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア)することも任意である。後硬化した方が耐熱性が高くなり易い。
【0215】
成形は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。また、一定温度で行う方が成形サイクルを短くできるという点において好ましい。
【0216】
硬化時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。逆に、高温短時間で反応させる方が成形サイクルを短くできるという点において好ましい。
【0217】
成形時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で成形することもできる。ボイドの発生を抑制したり、充填性をよくしたり、場合によって発生する揮発分を除きやすいという点においては、減圧状態で硬化させることが好ましい。成形体へのクラックを防止できるという点においては、加圧状態で硬化させることが好ましい。
【0218】
(発光ダイオードの用途)
本発明の半導体は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、ロジック、メモリーなどのLSI、各種センサー、受発光デバイスなどをあげることができる。また、半導体が発光ダイオードの場合も従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えば液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【0219】
(反り)
本発明の硬化性樹脂組成物は、発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形してパッケージとした場合の、パッケージの反りが±1.0mm以下であることが望ましい。
この場合の反りはJIS C 6481に記載の最大反りの測定方法に基づき測定される。半導体パッケージを一辺の中央で垂直に吊り下げ、その辺に平行に直定規を当てる。直定規は半導体パッケージの凹面に当て、直定規と半導体パッケージの基材面との最大の隔たりを金属製直尺で1.0mmの単位まで測定する。半導体パッケージの凹面に樹脂が成形されている場合は、直定規と半導体パッケージに成形された樹脂面との最大の隔たりを金属製直尺で1.0mmの単位まで測定し、その値から樹脂の厚み分を引いた値を、1.0mmの単位に四捨五入する。他の辺についても順次測定し、最も大きな隔たりを反りとする。
【実施例】
【0220】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0221】
(合成例1)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗および冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800gおよび1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱および攪拌した。これに、トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200gおよび白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温および攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去した。得られた化合物は、1H−NMRの測定により、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した下記に示す構造を有するものであることがわかった。
【0222】
【化16】
【0223】
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン720gおよび1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱および攪拌した。これに、アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171gおよび白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げてさらに40分間反応させ、
1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。
【0224】
得られた反応混合物に、トリアリルイソシアヌレート17gおよびトルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、さらにトリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66gおよび白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に
1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。
【0225】
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))が合計5,000ppm以下となるまで減圧留去し、無色透明の液体を得た。
1H−NMRの測定により、このものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートと反応したものであり平均的に下記に示す構造を有するものであることがわかった。下記において、a+b=3、c+d=3、e+f=3、a+c+e=3.5、b+d+f=5.5である。
【0226】
【化17】
【0227】
(配合例)
表1の内容に従って各成分を配合して、組成物A〜Cを調整した。
【0228】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
表2に示した配合比に従い、各成分を配合し、得られた白色硬化性樹脂組成物の混合物を、丸棒状の冶具にて押し延ばした後、折り重ねて再度押し延ばす作業を繰り返して均一化した。フレーク状や粉体状の場合は、乳鉢ですり潰して均一化した。または電動カッターローラー(送り速度1.3min/mm、大島工業株式会社製、ER−440)を用いて混練した。
【0229】
(サンプル作成)
表2の硬化性樹脂組成物を、PETフィルムを離型フィルムとし、内寸法が80mm×50mmであり厚み2mmのステンレス鋼(SUS304)製の長方形枠を用いて、170/5分の条件でプレス成形した。作成した長方形板状のプレス成形体をオーブン中で180℃/1時間の条件で後硬化させ、評価用サンプルとした。
【0230】
(線膨張係数の測定方法)
上記で作成したサンプルを5mm×5mmのサイズにカットし、リガク社製Thermoplus−TMA8510を用いて、圧縮モード、2gf荷重、昇温速度10℃/分にて、25℃〜200℃にて測定した。このデータから、30℃〜50℃における線膨張率の平均値を線膨張係数とした。
【0231】
【表1】
【0232】
【表2】
【0233】
表2に示されるとおり、本発明の硬化性樹脂組成物を用いれば、より小さい線膨張係数を達成できることがわかる。よって、トランスファー成形などにより基板と一体成形した場合に、得られる成形体の反りを抑制することが可能である。