【実施例】
【0012】
実施例に係るコンソールボックス10は、車両の車室内における運転席と助手席との間に位置して、車内のフロアに設置される。
図1〜
図3に示すように、コンソールボックス10は、物品を収納可能な収納室14が設けられたボックス本体12と、このボックス本体12の上部に開口する収納室14の開口部16を開閉するシャッター30A,30Bとを備えている。コンソールボックス10は、ボックス本体12に、車幅方向(左右方向)に対向配置された一対のレールR,Rを備えており、両レールR,Rが開口部16および該開口部16から外れた位置に亘って延在するように形成されている。そして、シャッター30A,30Bは、一対のレールR,Rに両側部がスライド可能に支持されて、開口部16を閉じる閉成状態(
図4の実線参照)と開口部16を開放する開放状態(
図4の2点鎖線参照)との間で移動するようになっている。実施例のコンソールボックス10は、開口部16の後側領域を閉じた閉成状態から後方へ移動して、後側領域を開放する第1シャッター30Aと、開口部16の前側領域を閉じた閉成状態から前方へ移動して、前側領域を開放する第2シャッター30Bとを備え、2つのシャッター30A,30Bを互いに独立して開閉移動し得る構成される。なお、実施例のコンソールボックス10では、第1シャッター30Aおよび第2シャッター30Bの基本的な構成と、両シャッター30A,30Bをスライド可能に支持する構成と、各シャッター30A,30Bに対応して設けられる後述する物品侵入防止構造とが基本的に同じである。ここで、シャッター30A,30Bの開閉方向において、シャッター30A,30Bを開放状態にするために移動する方向を開方向といい、シャッター30A,30Bを閉成状態にするために移動する方向を閉方向という。
【0013】
図3に示すように、前記ボックス本体12は、上方に開放する箱状に形成され、収納室14を画成するインナーボックス18と、このインナーボックス18の外側に取り付けられ、インナーボックス18を覆って車内に臨む意匠面を構成するアウターパネル20A,20B,20C,20Dとを備えている。また、ボックス本体12は、インナーボックス18の側面の夫々に取り付けられ、前記レールRが設けられた一対のレール部材22,22と、インナーボックス18の後面に取り付けられた第1カバー24Aと、インナーボックス18の前面に取り付けられた第2カバー24Bとを備えている。ボックス本体12は、アウターパネルとして、インナーボックス18の側面を覆うように取り付けられる一対のサイドパネル20A,20Aと、第1カバー24Aの側方および後方を覆うように取り付けられるリアパネル20Bと、第1カバー24Aの上方を覆うように取り付けられるアッパーパネル20Cと、レール部材22におけるインナーボックス18の上縁部に延在する部位を覆うように取り付けられる一対のトップパネル20D,20Dとを備えている。ボックス本体12は、インナーボックス18の底面を、車体に固定される支持部材11に取り付けて、車内のフロア上に設置され、前記アウターパネル20A,20B,20C,20D、レール部材22,22およびカバー24A,24Bがインナーボックス18に支持されている。なお、ボックス本体12の前側には、シフトレバーなどが配置される図示しないコンソール部が連なっている。
【0014】
図4に示すように、前記レール部材22は、インナーボックス18の上面、後面および前面に沿って延在するように、下方に開放した略「U」字状に形成されている。レール部材22は、インナーボックス18の上面より上方に延出し、インナーボックス18の後面より後方へ延出すると共に、インナーボックス18の前面よりも前方へ延出するように配設されている。レール部材22には、インナーボックス18から延出する部位の内側に、内方へ向けて開放する溝状のレールRが形成されている(
図5参照)。レールRは、開口部16の開口縁および該開口部16から外れた位置に亘って延在しており、開口部16から外れた位置において開口部16の開口縁に延在する経路から下向きに経路が変わるように湾曲している。実施例のレールRは、開口部16の開口面に沿って略前後方向に延在すると共に、開口部16から外れたインナーボックス18の後側で該インナーボックス18の後面に沿って略上下方向に延在し、開口部16から外れたインナーボックス18の前側で該インナーボックス18の前面に沿って略上下方向に延在するよう形成されている。左右のレール部材22,22は、対称な形状であって、左右のレールR,Rが互いに向かい合って配置されている。第1シャッター30Aは、閉成状態で開口部16の後側領域を塞ぐと共に開方向の端部が開口部16よりも後側に位置するように両レールR,Rに支持され、閉成状態から開放状態に移動すると、インナーボックス18の後側に延在するレールR,Rの経路に案内されて、インナーボックス18の後側に落ち込むように変位する。第2シャッター30Bは、閉成状態で開口部16の前側領域を塞ぐと共に開方向の端部が開口部16よりも前側に位置するように両レールR,Rに支持され、閉成状態から開放状態に移動すると、インナーボックス18の前側に延在するレールR,Rの経路に案内されて、インナーボックス18の前側に落ち込むように変位する。
【0015】
前記カバー24A,24Bは、開口部16から外れた位置に延在する両レールR,Rに案内されてシャッター30A,30Bが通る領域の表側を覆うように配設され、シャッター側30A,30Bに臨む裏面が該レールR,Rの延在経路に沿って延在するように形成されている。第1カバー24Aは、インナーボックス18の後面の後側を通るレールR,Rに並行するように形成され、インナーボックス18の後面から後方に離間して、両レール部材22,22の後縁部を覆うように配設される。なお、実施例の第1カバー24Aは、上部が下から上に向かうにつれて前側へ湾曲すると共に、他の部分が上下方向に延在する板状体から構成されている(
図6参照)。また、第1カバー24Aの下端部には、前方へ向けて延出して、第1シャッター30Aの開方向前側に延在する開放規制部25が形成されており、開放規制部25の上面に前後方向に延在するように立設された規制片25aに第1シャッター30Aの開方向の端部が当接することで、第1シャッター30Aの開方向の移動が規制される。同様に、第2カバー24Bは、インナーボックス18の前面の前側を通るレールR,Rに並行するように形成され、インナーボックス18の前面から前方に離間して、両レール部材22,22の前縁部を覆うように配設される。なお、実施例の第2カバー24Bは、上下方向に延在する板状体から構成されている。また、第2カバー24Bの下端部には、後方へ向けて延出して、第2シャッター30Bの開方向前側に延在する開放規制部25が形成されており、開放規制部25の上面に前後方向に延在するように立設された規制片25aに第2シャッター30Bの開方向の端部が当接することで、第2シャッター30Bの開方向の移動が規制される。
【0016】
前記シャッター30A,30Bは、両レールR,Rの延在経路に合わせて、厚み方向に湾曲変形可能に構成される。
図5に示すように、シャッター30A,30Bは、該シャッター30A,30Bの表面を構成し、湾曲変形可能な表層材32と、この表層材32の裏側に複数設けられ、車幅方向(一対のレールR,Rの対向方向)に延在する梁部34と、この梁部34の車幅方向の端部の夫々に設けられ、対応する側のレールRにスライド可能に支持される対をなす支持部36,36とを備えている。表層材32は、ポリウレタンフォームまたはポリエチレン等のオレフィン系フォームなどの軟質発泡体やゴムなどから構成された板状体であり、可撓性、弾力性および適度な柔軟性を有している。
【0017】
図4および
図7に示すように、前記梁部34は、シャッター30A,30Bの開閉方向に互いに離間して並行配置されると共に、表層材32の車幅方向に亘って延在しており、複数の梁部34が、シャッター30A,30Bにかかる荷重を受ける構造体として機能する。梁部34は、その断面形状が表層材32に接合した表側から裏側へ向かうにつれて開閉方向の幅が狭くなる先細り形状で形成されている。また、梁部34には、車幅方向の端部に夫々1つずつの支持部36が設けられている。なお、シャッター30A,30Bにおける開方向の端部に配設される梁部34は、開閉方向に幅広に形成され、この梁部34の表側に対応して、物品侵入防止構造を構成する凸部38が設けられている。シャッター30A,30Bにおける閉方向の端部に配設される梁部34は、開閉方向に幅広に形成され、この梁部34の表側に対応して、シャッター30A,30Bを開閉する操作に用いる取っ手40が設けられている。また、幅広に形成された梁部34における車幅方向の端部には、開閉方向に離間して複数の支持部36,36が設けられている。
【0018】
前記支持部36は、梁部34における車幅方向の端部において、表層材32から離間する裏側の縁に設けられ、表層材32の側面よりも外側方へ突出するように形成されている(
図7参照)。支持部36は、レールRに挿入されており、該レールRの内面に当接することで、表裏方向および幅方向の移動が規制される(
図7参照)。ここで、支持部36は、表裏方向の寸法がレールRの表裏方向の寸法と略同一に設定されており、レールRの表裏方向の曲がりに追従するようになっている。ここで、支持部36は、レールRの内面に当接する部位が曲面で形成されており、レールRに対する接触面積が小さくなっている。なお、梁部34および支持部36は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の硬質合成樹脂から一体形成されている。
【0019】
前記シャッター30A,30Bには、開方向の端部表面に表側へ突出するように形成され、閉成状態および開放状態に亘ってカバー24A,24Bの内側に収容される凸部38を備えている(
図4および
図7参照)。凸部38は、シャッター30A,30Bの閉成状態において、カバー24A,24Bにおけるシャッター30A,30Bの出入口近傍に位置するように形成され、実施例ではシャッター30A,30Bにおける開方向の端部表面に形成されている。ここで、シャッター30A,30Bにおける開方向の端部表面には、車幅方向に互いに離間して設けられた複数の凸部38によって、凹凸形状が幅方向に連なるように形成されている。なお、各凸部38は、表層材32と一体形成されており、表層材32の他の部位と同様に弾力性を有している。そして、カバー24A,24Bにおけるシャッター30A,30Bに臨む裏面には、シャッター30A,30Bの凸部38に対応して、裏側に開放した凹部28が形成され、凸部38が凹部28に挿入されている。カバー24A,24Bの裏面には、シャッター30A,30Bの開閉に伴う凸部38の移動範囲に亘って該凸部38に合わせて凹部28が設けられ(
図6参照)、幅方向に並ぶ複数の凹部28によって、該シャッター30A,30Bの凹凸形状と互いに噛み合う凹凸形状が形成されている。シャッター30A,30Bの凹凸形状とカバー24A,24Bとの凹凸形状とは、互いに接触しないように僅かな隙間をあけて離間配置される。実施例のコンソールボックス10には、シャッター30A,30Bの凸部38が、該シャッター30A,30Bの開口部16以外の移動範囲を覆うカバー24A,24Bの凹部28に嵌り込み、シャッター30A,30Bの凸部38の隣りに形成される凹みに、カバー24A,24Bの凹部28の隣りに形成される出っ張りが嵌り込んでいる。凸部38は、シャッター30A,30Bの閉成状態において、カバー24A,24Bにおけるシャッター30A,30Bの出入口または該出入口から僅かに内側に入った位置で凹部28に噛み合っている。このように、物品侵入防止構造は、第1シャッター30Aとこの第1シャッター30Aを覆う第1カバー24Aとの間に設けられると共に、第2シャッター30Bとこの第2シャッター30Bを覆う第2カバー24Bとの間に設けられている。
【0020】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るコンソールボックス10の作用について説明する。コンソールボックス10は、シャッター30A,30Bの閉成状態において、凸部38がカバー24A,24Bにおけるシャッター30A,30Bの出入口近傍に位置しており、凸部38がシャッター30A,30Bの表面とカバー24A,24Bの裏面との間で邪魔をして、該出入口から物品がカバー24A,24Bの内側に入り込むことを規制し得る。しかも、シャッター30A,30Bの凸部38による凹凸形状とカバー24A,24Bの凹部28による凹凸形状が互いに噛み合う構成であるので、前記出入口から入り込もうとする物品が凸部38または凸部38の間に噛み合ったカバー24A,24Bの出っ張りに当たることになり、物品が出入口からカバー24A,24Bの内側への入り込みをより確実に防止することができる。そして、シャッター30A,30Bの凸部38は、該シャッター30A,30Bの閉成状態と開放状態との開閉に亘ってカバー24A,24Bに覆われる位置に形成されているので、閉成状態において車室内に露出して意匠面となるシャッター30A,30Bの表面側に、凸部38が露出しない。すなわち、シャッター30A,30Bの表面に形成された凸部38により、シャッター30A,30Bにおける閉成状態で車室に露出する部位の意匠形状が制約されることはなく、例えば閉成状態のシャッター30A,30Bをアームレストとして用いる場合に、シャッター30A,30Bにおける閉成状態で車室に露出する表面部位を平らに形成することができ、凸部38が車室に露出することによって感触の悪化を招くことはない。
【0021】
前記シャッター30A,30Bを閉成状態から開放状態にスライドすることで、凸部38が出入口から離れ、シャッター30A,30BがレールR,Rに案内されてインナーボックス18の後または前側へ落ち込む。シャッター30A,30Bは、レールRに追従する支持部36によって表層材32がスムーズに変形し、カバー24A,24Bとインナーボックス18との間に収容される。例えばシャッター30A,30Bを開放する際にシャッター30A,30Bの表側に載った物品がカバー24A,24Bの内側に引き込まれたり、シャッター30A,30Bを開放した際に出入口からカバー24A,24Bの内側へ物品が入り込んだとしても、物品が凸部38に引っ掛かって該凸部38よりも下へ落ちることはない。そして、カバー24A,24Bの内側に物品が入り込んだ場合であっても、凸部38は、シャッター30A,30Bの閉成状態でカバー24A,24Bにおけるシャッター30A,30Bの出入口近傍に位置する構成であるので、シャッター30A,30Bを開放状態から閉成状態にスライドした際に、凸部38によって物品をカバー24A,24Bの内側から送り出すことができる。ここで、カバー24A,24Bの裏面は、レールRの経路に並行に延在しているので、レールRに合わせて変形するシャッター30A,30Bに設けられた凸部38とカバー24A,24Bとの離間間隔の変化を抑えることができる。すなわち、シャッター30A,30Bの開閉に伴って凸部38がカバー24A,24Bに干渉したり、凸部38とカバー24A,24Bとの隙間が大きくなって物品が凸部38を乗り越えて落下するなどの問題は生じない。このように、実施例の物品侵入防止構造は、シャッター30A,30Bの開閉に影響を与えず、より確実な物品の侵入規制および侵入した物品の排出を図り得る。
【0022】
(変更例)
前述した構成に限定されず、例えば以下のようにも変更することが可能である。
(1)シャッターにおいて凸部を設ける位置は、閉成状態および開放状態に亘って前記カバーの内側に収容される部位に限られず、
図8に示す変更例のシャッター42のように、凸部38をシャッター42の開閉方向に延在するよう形成し、該シャッター42の閉成状態で凸部38が外方に露出する構成であってもよい。この際、凸部38は、表層材32と同様に軟質発泡体等から湾曲変形可能に構成される。変更例のシャッター42によれば、該シャッター42の開放状態および開閉途中においても、凸部38が該凸部38に対応したカバー24の凹部28に噛み合ってシャッター42の出入口に位置しているので、シャッター42の開閉全体に亘って該出入口から物品がカバー24の内側に入り込むことを規制し得る。
(2)実施例は、2枚のシャッターを備えたコンソールボックスを挙げたが、1枚のシャッターで開口部を開閉する構成であってもよい。
(3)実施例では、アウターパネルとは別にシャッターを覆うカバーを設けたが、アウターパネルでカバーを兼用する構成であってもよい。
(4)シャッターの構成は、実施例に限定されず、例えば梁部の間を合成樹脂からなるヒンジで繋いで、全体を合成樹脂により一体形成したものであってもよく、ヒンジ、梁部および支持部を合成樹脂で一体形成したベースの表側に表皮や表層材を貼り付ける構成であってもよい。
(5)凸部は、表層材に一体形成する構成に限られず、梁部に一体形成して、表層材を貫通して表側に突出する構成であってもよい。