特許第6227900号(P6227900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227900
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電動式クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B23Q3/06 302H
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-116287(P2013-116287)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-223714(P2014-223714A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児嶋 良太
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−223662(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/041219(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/089986(WO,A1)
【文献】 特開2009−028858(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/021520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06,3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック側とリリース側とに軸心方向へ移動可能にハウジング(1)に挿入された出力ロッド(20)と、
前記ハウジング(1)に取り付けられた電動機(5)の回転運動を直進運動へ変換して前記出力ロッド(20)へ伝達する変換機構(24)と、
前記出力ロッド(20)を前記ロック側へ付勢するように前記ハウジング(1)の前記リリース側の端部(3a)に受け止められるクランピングばね(43)と、
前記電動機(5)が前記変換機構(24)を介して前記出力ロッド(20)を前記リリース側へ駆動したときに前記クランピングばね(43)の前記ロック側への付勢力を前記ハウジング(1)に受け止める状態と、当該電動機(5)が前記変換機構(24)を介して前記出力ロッド(20)を前記ロック側へ駆動したときに当該クランピングばね(43)の付勢力を前記出力ロッド(20)へ伝達する状態と、に切換えるように構成されたクラッチ機構(C)と、
を備え、
前記変換機構(24)は、
前記出力ロッド(20)に連結された直進部材(26)であって、その直進部材(26)の筒孔に形成されたメネジ(32)を有する直進部材(26)と、
前記電動機(5)により回転させられるシャフト(10)に固定されると共に、前記メネジ(32)に螺合されたオネジ(33)と、
前記直進部材(26)の縦溝(27)に嵌合されるとともに、前記ハウジング(1)に支持された案内ボール(28)と、
を有し、
前記ハウジング(1)の前記リリース側の端部(3a)から前記ロック側へ環状壁(35)を突出させると共に、その環状壁(35)に前記出力ロッド(20)を挿入し、
前記出力ロッド(20)の外周に周方向へ所定の間隔をあけて複数のガイド溝(37)を設け、前記の各ガイド溝(37)は、ロック側からリリース側へ連ねて形成された旋回溝(38)と直進溝(39)とを有し、
前記の各ガイド溝(37)に嵌合する係合部材(40)を前記環状壁(35)に設けた、
ことを特徴とする電動式クランプ装置。
【請求項2】
請求項1の電動式クランプ装置において、
前記クラッチ機構(C)は、前記出力ロッド(20)の外周側に軸心方向へ移動可能に配置されるともに前記クランピングばね(43)の付勢力を受け止める伝動部材(44)と、当該伝動部材(44)よりもロック側で前記出力ロッド(20)の外周側に周方向へ所定の間隔をあけて配置された複数の伝動ボール(45)と、前記出力ロッド(20)の外周面にロック側からリリース側へ形成されたガイド面(46)及び伝動面(47)と、を備え、
前記電動機(5)が前記変換機構(24)を介して前記出力ロッド(20)を前記リリース側へ駆動したときには、前記ガイド面(46)が前記伝動ボール(45)を半径方向の外方位置に保持し、これにより、前記クランピングばね(43)の付勢力が前記伝動部材(44)と前記伝動ボール(45)とを介して前記ハウジング(1)に受け止められ、
前記電動機(5)が前記変換機構(24)を介して前記出力ロッド(20)を前記ロック側へ駆動したときには、前記ハウジング(1)に設けた押部(50)が前記伝動ボール(45)を半径方向の内方へ移動させて当該伝動ボール(45)を前記伝動面(47)に係合させ、これにより、前記クランピングばね(43)の付勢力が前記伝動部材(44)と前記伝動ボール(45)とを介して前記出力ロッド(20)へ伝達される、
ことを特徴とする電動式クランプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2の電動式クランプ装置において、
前記電動機(5)と前記変換機構(24)との間に減速機(6)を配置した、ことを特徴とする電動式クランプ装置。
【請求項4】
請求項1又は2の電動式クランプ装置において、
前記電動機(5)が減速機付き電動機である、ことを特徴とする電動式クランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動式のクランプ装置に関し、より詳しくいえば、電動機によって出力ロッドをリリース状態に切り換えると共に、その出力ロッドをバネ力によってロック駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動式クランプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開平2009−28858号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
駆動ロッドと従動ロッドとの間に、その従動ロッドを下方へ付勢する圧縮コイルばねが装着される。ロック駆動時には、下限位置に移動された従動ロッドに対して電動機が駆動ロッドを下降させて、上記の圧縮コイルばねを収縮させる。これにより、その圧縮コイルばねの付勢力が従動ロッドを介してクランプアームをロック駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 日本国・特開平2009−28858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は次の問題がある。
上記の圧縮コイルばねは、駆動ロッドと従動ロッドとの間の狭いスペースに装着されるので、その付勢力が小さい。このため、電動式クランプ装置のロック駆動力も小さくなる。
本発明の目的は、ロック駆動力が強力でコンパクトに造れる電動式クランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図3に示すように、電動式クランプ装置を次のように構成した。
即ち、ロック側とリリース側とに軸心方向へ移動可能にハウジング1に挿入された出力ロッド20と、前記ハウジング1に取り付けられた電動機5の回転運動を直進運動へ変換して前記出力ロッド20へ伝達する変換機構24と、前記出力ロッド20を前記ロック側へ付勢するように前記ハウジング1の前記リリース側の端部3aに受け止められるクランピングばね43と、前記電動機5が前記変換機構24を介して前記出力ロッド20を前記リリース側へ駆動したときに前記クランピングばね43の付勢力を前記ハウジング1に受け止める状態と当該電動機5が前記変換機構24を介して前記出力ロッド20を前記ロック側へ駆動したときに当該クランピングばね43の付勢力を前記出力ロッド20へ伝達する状態とに切換えるように構成されたクラッチ機構Cと、を備える。
【0006】
本発明は、次のように作用効果を奏する。
ロック駆動時には、クラッチ機構により、ハウジングに受け止められていたクランピングばねの付勢力を出力ロッドへ伝達できる。また、上記クランピングばねの装着箇所は、前述した従来技術とは異なり、狭いスペースに制限されず、ハウジング内の空間を有効に利用できる。
このため、電動式クランプ装置は、強力なクランピングばねを採用することとコンパクトに造ることとを両立できる。また、そのクランピングばねは、前記クラッチ機構により、負荷が大きいロック駆動時だけに伸長させることが可能なので、そのロック駆動時に大きな付勢力を確保できる。
【0007】
本発明は、次の構成を加えることが好ましい。
前記クラッチ機構Cは、前記出力ロッド20の外周側に軸心方向へ移動可能に配置されるともに前記クランピングばね43の付勢力を受け止める伝動部材44と、当該伝動部材44よりもロック側で前記出力ロッド20の外周側に周方向へ所定の間隔をあけて配置された複数の伝動ボール45と、前記出力ロッド20の外周面にロック側からリリース側へ形成されたガイド面46及び伝動面47と、を備え、前記電動機5が前記変換機構24を介して前記出力ロッド20を前記リリース側へ駆動したときには、前記ガイド面46が前記伝動ボール45を半径方向の外方位置に保持し、これにより、前記クランピングばね43の付勢力が前記伝動部材44と前記伝動ボール45とを介して前記ハウジング1に受け止められ、前記電動機5が前記変換機構24を介して前記出力ロッド20を前記ロック側へ駆動したときには、前記ハウジング1に設けた押部50が前記伝動ボール45を半径方向の内方へ移動させて当該伝動ボール45を前記伝動面47に係合させ、これにより、前記クランピングばね43の付勢力が前記伝動部材44と前記伝動ボール45とを介して前記出力ロッド20へ伝達される。
この場合、クラッチ機構を簡素かつコンパクに構成できるので、電動式クランプ装置をさらにコンパクトに造れる。
【0008】
本発明は、さらに次の構成を加えることが好ましい。
前記ハウジング1の前記リリース側の端部3aから前記ロック側へ環状壁35を突出させると共に、その環状壁35に前記出力ロッド20を挿入し、前記出力ロッド20の外周に周方向へ所定の間隔をあけて複数のガイド溝37を設け、前記の各ガイド溝37は、ロック側からリリース側へ連ねて形成された旋回溝38と直進溝39とを有し、前記の各ガイド溝37に嵌合する係合部材40を前記環状壁35に設けた。
この場合、出力ロッドが旋回するタイプの電動式クランプ装置を具現化できる。
【0009】
なお、前記電動機5と前記変換機構24との間に減速機6を配置することが好ましい。
また、前記電動機5を減速機付き電動機によって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態を示し、電動式クランプ装置のリリース状態の立面図である。
図2図2は、上記クランプ装置のロック準備状態を示し、上記の図1に類似する図である。
図3図3は、上記クランプ装置のロック状態を示し、上記の図1に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図1から図3によって説明する。
まず、図1によって電動式クランプ装置の全体構造を説明する。
【0012】
ハウジング1は、下ハウジング2と上ハウジング3とを備える。
下ハウジング2の右壁にステッピングモータ(電動機)5の左部が固定される。また、下ハウジング2内に減速機6が装着される。
その減速機6は、この実施形態では、曲がり歯式の傘歯車機構7を有する。その傘歯車機構7は、ステッピングモータ5の出力軸(図示せず)に連結された小歯車8と、その小歯車8と噛み合う大歯車9とを備える。その大歯車9のシャフト10が上下のベアリング11,12によって回転可能に支持される。
【0013】
上ハウジング3には、出力ロッド20が、上側のリリース側と下側のロック側とに上下方向(軸心方向)へ移動可能に挿入される。その出力ロッド20の上端部にクランプアーム21がナット22によって固定される。
【0014】
また、下ハウジング2の上部および上ハウジング3の下部に変換機構24が装着される。その変換機構24は、ステッピングモータ5によって駆動される前記シャフト10の回転運動を直進運動へ変換して出力ロッド20へ伝達するものであって、次のように構成されている。
【0015】
上ハウジング3の下部に筒状の直進部材26が挿入され、その直進部材26の縦溝27に案内ボール28が嵌合され、その案内ボール28上ハウジング3の下部に支持される。これにより、直進部材26が上下方向へ移動可能で軸心回りに回転不能に挿入される。
その直進部材26の上部が出力ロッド20のT脚30に上下方向へ同行移動可能に連結される。また、直進部材26の筒孔に形成されたメネジ32に、前記シャフト10に固定したオネジ33が螺合される。
【0016】
上ハウジング3の上端部(リリース側の端部)3aから環状壁35が下方へ突出され、その環状壁35の筒孔に出力ロッド20が挿入される。その出力ロッド20の外周に周方向へ所定の間隔をあけて複数のガイド溝37が設けられる。各ガイド溝37は、下側から上側へ連ねて形成された旋回溝38と直進溝39とを有する(図2を参照)。上記の各ガイド溝37に係合ボール(係合部材)40が嵌合され、各係合ボール40が環状壁35に支持される。
【0017】
上ハウジング3の胴部3bと環状壁35との間の環状空間にクランピングばね43が装着される。そのクランピングばね43の上端が上ハウジング3の上端部3aに接当されると共に、当該クランピングばね43の下端が伝動部材44に接当される。その伝動部材44が出力ロッド20の下部に上下方向へ移動可能に外嵌めされる。
その伝動部材44よりも下側で出力ロッド20の外周側に、周方向へ所定の間隔をあけて複数の伝動ボール45が配置される。また、出力ロッド20の外周面にはガイド面46と伝動面47とが下側から上側へ形成される。
上記の伝動部材44と伝動ボール45とガイド面46と伝動面47とがクラッチ機構Cの主要部を構成している。
【0018】
上記構成の電動式クランプ装置は次のように動作する。
図1のリリース状態では、ステッピングモータ5がリリース回転されて、そのステッピングモータ5が減速機6とオネジ33とを介して直進部材26を上限位置へ上昇させ、その直進部材26の肩部26aが出力ロッド20を上限位置へ上昇させている。これにより、その出力ロッド20及びクランプアーム21がリリース状態に切り換えられている。
そして、上記リリース状態では、前記ガイド面46が伝動ボール45を半径方向の外方位置に保持し、これにより、クランピングばね43が収縮されると共に、そのクランピングばね43の付勢力が伝動部材44と伝動ボール45とを介して上ハウジング3の保持領域49に受け止められている。
【0019】
電動式クランプ装置を図1のリリース状態から図3のロック状態へ切り換えるときには、ステッピングモータ5を前記とは逆にロック回転させると、そのステッピングモータ5が減速機6とオネジ33とを介して直進部材26を下降させていく。
すると、図2に示すように、まず、出力ロッド20(及びクランプアーム21)が前記の旋回溝38に沿って旋回しながら下降していく。そして、その出力ロッド20に設けた伝動面47が所定位置に下降したときに、前記保持領域49の内周側に設けた押部50が伝動ボール45を半径方向の内方へ押し、上記伝動ボール45が伝動面47に係合し始める。
【0020】
引き続いて、図3に示すように、出力ロッド20(及びクランプアーム21)が前記の直進溝39に沿って真っ直ぐに下降していく。その直進下降の開始時に、上記伝動ボール45が伝動面47に係合すると共に当該伝動ボール45と前記保持領域49との係合が解除され、クランピングばね43が伸長して当該クランピングばね43の付勢力が伝動部材44と伝動ボール45とを介して出力ロッド20へ伝達される。これにより、出力ロッド20が下方へ強力にロック駆動され、その出力ロッド20がクランプアーム21を介してワーク等のクランプ対象物を固定台に押圧する(いずれも図示せず)。
【0021】
電動式クランプ装置を図3のロック状態から図1のリリース状態へ切り換えるときには、ステッピングモータ5をリリース回転させると、そのステッピングモータ5が減速機6とオネジ33とを介して直進部材26を上昇させていく。
すると、図2に示すように、まず、出力ロッド20(及びクランプアーム21)が前記の直進溝39に沿って真っ直ぐに上昇していくと共に、その出力ロッド20に設けた伝動面47が伝動ボール45と伝動部材44を介してクランピングばね43を収縮させていく。そして、その伝動面47が所定位置に上昇したときに、当該伝動面47の下部が伝動ボール45を半径方向の外方へ押していく。
【0022】
引き続いて、図1に示すように、伝動ボール45が伝動部材44を上限位置へ上昇させると共に、前記ガイド面46が伝動ボール45を半径方向の外方位置に保持し、クランピングばね43の付勢力が伝動部材44と伝動ボール45とを介して上ハウジング3の保持領域49に受け止められる。
【0023】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
クランプ装置は、出力ロッド20が旋回しながら下降すると共に上下方向へ直進するような例示の構造に代えて、その出力ロッドが上下方向へ直進するだけの構造であってもよい。
前記クランピングばね43は、例示の圧縮コイルばねに代えて、皿ばね等の他の種類のばねであってもよい。
電動機5は、例示のステッピングモータに代えて他の種類のモータであってもよく、減速機付きモータであってもよい。
電動機5の出力軸の軸心と出力ロッド20の軸心とを直交させた例示の構造に代えて、上記の軸心同士を同軸に配置したり平行に配置することも可能である。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1:ハウジング,3a:ハウジング1のリリース側の端部(上端部),5:電動機(ステッピングモータ),6:減速機,20:出力ロッド,24:変換機構,35:環状壁,37:ガイド溝,38:旋回溝,39:直進溝,40:係合部材(係合ボール),43:クランピングばね,44:伝動部材,45:伝動ボール,46:ガイド面,47:伝動面,50:押部,C:クラッチ機構.
図1
図2
図3