(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内部反射面は、前記第2光入射面の前記LED光源側の周端部と前記第3光入射面の内周縁部を結び前記LED光源と反対側に向かって前記中心軸に対して離れる方向に開く外側に凸状の曲線を、前記中心軸を回転軸として回転して得られた回転非球面からなり、前記中心軸上の、前記第1光入射面の焦点及び前記第3光入射面の中心とは異なる位置に焦点を有することを特徴とする請求項2に記載のLED光源装置。
前記LED光源を側方から囲むように環状のリフレクタが設けられ、該リフレクタの前記LED光源と対向する側の面を光反射面とすると共に、前記LED光源からの光が該光反射面で反射されて前記導光体の複数の光入射面の1つから導光体内に入射されることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載のLED光源装置。
前記リフレクタの光反射面は、前記LED光源の位置を第1焦点の位置とし前記中心軸を回転軸とする回転楕円面からなり、前記中心軸上の、前記第3光入射面の中心と同一位置に第2焦点を有することを特徴とする請求項4に記載のLED光源装置。
前記LED光源から出射した相対的に輝度の高い光は前記第1光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が最も長い領域に至り、相対的に輝度の中位の光は前記第2光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が中間の領域に至り、相対的に輝度の低い光は前記リフレクタの光反射面で反射されて前記第3光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が最も短い領域に至ることを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のLED光源装置。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のLED光源装置としては、例えば、特許文献1に「電球形ランプ」として
図12に示す構造のものが開示されている。
【0003】
それは、ヒートパイプ80の一端部の先端に多面体形の支持体81が取り付けられ、支持体81の表面(周面の6面及び上面の1面)に放熱シートを介して発光モジュール83が取り付けられている。発光モジュール83は、基板84と基板84に実装された半導体発光素子(LED素子)85を備えている。そして、光拡散性を有するドーム状のグローブ86が、支持体81及び発光モジュール83からなる発光体87を覆うように形成されている。このような構造の電球形ランプ88は、白熱電球に近い配光特性を得ることができる、とされている。
【0004】
また、特許文献2には、
図13(a)に示す光学系を備えた「LEDバルブ」として開示されている。
【0005】
それは、LED発光体素子90の光照射方向前方に反射部材91を配設した構成からなり、反射部材91はLED発光体素子90の発光面92に対向する反射面95を備えており、該反射面95は頂部93をLED発光体素子90の発光面92側に向けると共に側面を中心軸96側に凹状に湾曲した湾曲面とする湾曲円錐状反射面94からなっている。
【0006】
これにより、LED発光体素子90からの出射光は、反射部材91の湾曲円錐状反射面94によって光照射方向の側方及び斜め後方に向けて放射状に反射される。このとき湾曲円錐状反射面94は反射光を出射光とする疑似光源(E)を形成し、疑似光源(E)の出射光(湾曲円錐状反射面94の反射光(F))は、フィラメントを有するハロゲンバルブを光源としたときの光の出射方向と略同一となり、且つ疑似光源(E)の形成位置及び発光領域の大きさはハロゲンバルブの配置位置及び大きさと略同一とすることが可能である、とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1で開示された電球形ランプ88は、光学系において点光源とみなすことができるLED素子85が支持体81に対して点在して配置されている。そのため、1点を焦点とする光学系においては、焦点位置にある1つのLED素子以外のいずれのLED素子もその出射光を配光制御することはできない。
【0009】
一方、上記特許文献2のLEDバルブは、疑似光源(E)からの出射光、つまり湾曲円錐状反射面94による反射光(D)が
図13 (b)に示すように、湾曲円錐状反射面94を投影して内側に凹んだ一対の脚を有する湾曲台形状の配光パターン97を形成する。そのため、疑似光源(E)からの出射光は、一定の径でコイル状に巻回されたフィラメントからの出射光とは異なる配光パターンを形成する。
【0010】
換言すると、疑似光源(E)は配光特性に関しては、巻径を徐々に変えて湾曲円錐状に巻回したコイル状のフィラメント(F)からなる光源に相当するものである。そのため、疑似光源(E)を灯具内に配設した場合、疑似光源(E)からの出射光のうち疑似光源(E)の、フィラメントの大径で巻回された部分に対応する位置からの出射光は、灯具の配光制御系によって広がる方向に配光制御され、フィラメントの小径で巻回された部分に対応する位置からの出射光は、集光する方向に配光制御される。
【0011】
その結果、疑似光源(E)を配設した灯具は、一定の径でコイル状に巻回されたフィラメントからなる発光源を配設した本来の灯具による配光特性と同等な配光特性を得ることは難しい。
【0012】
また、疑似光源(E)となる湾曲円錐状反射面95を備えた反射部材91は、該反射部材91を支持する支柱が必要であり、該支柱は灯具内の限られたスペースにおいては反射部材91の近傍に配置する必要があり、そのため、疑似光源(E)からの出射光を遮って影を形成する要因となる。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、従来のコイル状フィラメントを発光源とする電球と置き換えが可能であり且つ電球と近似した配光特性を有する、LED素子を発光源とするLED光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、LED光源と、 前記LED光源の上方に配置されて、前記LED光源から出射される光が該LED光源側に位置する複数の光入射面から入射してその入射光が導光されて前記複数の光入射面と反対側に位置する光出射面から出射する導光体と、前記導光体の光出射面を覆うように装着されて、前記導光体の光出射面から出射した光が内面から入射してその入射光が通過して外面から出射する中空形状のキャップと、を有し、前記キャップの内面には波長変換部材が配置されているか又は光拡散処理が施されて
おり、前記複数の光入射面は、前記LED光源の直上に位置し、前記LED光源を通る光軸と同一線上に位置する前記導光体の中心軸を回転軸とする前記LED光源側に凹状の回転非球面からなる第1光入射面と、前記第1光入射面の周縁部から前記LED光源側に向かって前記中心軸に対して離れる方向に開く略線分を、前記中心軸を回転軸として回転して得られた略円筒状曲面からなる第2光入射面と、前記第1光入射面及び前記第2光入射面の外側に位置し前記中心軸に対して離れる方向に延びる円弧を、前記中心軸を回転軸として回転して得られた環状曲面からなる第3光入射面を有し、前記第1光入射面は前記中心軸上に焦点を有すると共に、前記第3光入射面は前記中心軸上の、前記第1光入射面の焦点とは異なる位置に中心を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、
前記導光体には、前記複数の光入射面の少なくとも1つから入射した光を反射する内部反射面を有していることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項
2において、
前記内部反射面は、前記第2光入射面の前記LED光源側の周端部と前記第3光入射面の内周縁部を結び前記LED光源と反対側に向かって前記中心軸に対して離れる方向に開く外側に凸状の曲線を、前記中心軸を回転軸として回転して得られた回転非球面からなり、前記中心軸上の、前記第1光入射面の焦点及び前記第3光入射面の中心とは異なる位置に焦点を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項
2又は3のいずれかにおいて、
前記LED光源を側方から囲むように環状のリフレクタが設けられ、該リフレクタの前記LED光源と対向する側の面を光反射面とすると共に、前記LED光源からの光が該光反射面で反射されて前記導光体の複数の光入射面の1つから導光体内に入射されることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項
4において、
前記リフレクタの光反射面は、前記LED光源の位置を第1焦点の位置とし前記中心軸を回転軸とする回転楕円面からなり、前記中心軸上の、前記第3光入射面の中心と同一位置に第2焦点を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、請求項
4又は5のいずれかにおいて、
前記LED光源から出射した相対的に輝度の高い光は前記第1光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が最も長い領域に至り、相対的に輝度の中位の光は前記第2光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が中間の領域に至り、相対的に輝度の低い光は前記リフレクタの光反射面で反射されて前記第3光入射面から前記導光体内に入射して前記光出射面の、前記LED光源からの距離が最も短い領域に至ることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、請求項
1〜6のいずれかにおいて、
前記キャップの先端には、該キャップの外形よりも大きい遮光部が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記導光体は、中空部を挟んでLED光源側導光部と光出射面側導光部の2つの導光部分に分割した構成となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のLED光源装置は、LED光源からの光を導光して光出射面から出射する導光体の、前記光出射面を覆うように内面に波長変換部材が配置されているか又は光拡散処理が施されているキャップを装着した。
【0024】
これにより、キャップからの出射光は、従来のコイル状フィラメントを発光源とする電球と近似した配光特性を有するものとなり、従来の電球と置き換えが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図11を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0027】
図1は従来のソケット一体型電球の説明図、
図2〜
図7は従来のソケット一体型電球に代わる本発明のLED光源装置に係わる実施形態を示す説明図であり、
図2は斜視説明図、
図3は縦部分断面図、
図4はLEDの説明図、
図5は導光体の断面説明図、
図6は導光体及びリフレクタの断面説明図、
図7は光路説明図である。
【0028】
従来のソケット一体型電球60は
図1にあるように、光源の電球61と電球61を装着する電球ソケット70を備えている。
【0029】
電球61は、例えば、内部に窒素やアルゴン等の不活性ガスが封入されると共に、場合によっては、ヨウ素や臭素等のハロゲンガスあるいはハロゲン化合物ガスが封入されている。同時に、電球61内部には、発光源となるコイル状に巻回されたフィラメント62が巻回中心軸線A
1が電球61の中心軸線A
2と略一致するように配置され、フィラメント62の両端部の夫々が、電球61に気密に貫通した一対のリード線63、64の該電球61内に位置する内部リード部63a、64aの先端部に接続されて、フィラメント62の支持とフィラメント62に対する電気的導通が図られている。
【0030】
電球ソケット70は、ホルダ部71とソケット部72で構成され、ホルダ部71は電球61の後端部を収容して該電球61を電球ソケット70に装着する。一方、ソケット部72は、一対のリード線63、64の、電球61外に位置する外部リード部63b、64bに接続されて外部からの電力を受電する外部接続電極端子65、66を有すると共に、灯具に装着する際に該灯具の電球取付部に嵌装する部分となる。
【0031】
これに対し、本発明のLED光源装置は、上記従来のソケット一体型電球の電球ソケット70に対してソケット部72を共通化し、従来のソケット一体型電球の電球61に代わるものとして、従来のソケット一体型電球の発光源であったフィラメント62に代わって半導体発光素子(本実施形態ではLED素子)を発光源とする光学系を構成し、電球ソケット70の、電球61を支持するホルダ部71をLED素子が搭載されたLED光源を実装するLED実装部として機能するものとした。
【0032】
以下に、本実施形態のLED光源装置に関わる具体的な構成について詳細に説明する。
【0033】
図2及び
図3より、LED光源装置1は、LED光源10と、底面側の光入射面から入射したLED光源10からの出射光を頂点側の光出射部21まで導光する中実体からなる略円錐形状の導光体20と、光出射部21に装着された波長変換用キャップ41と、光体20の底面側の下方に位置してLED光源10を側方から囲むように設けられた環状のリフレクタ35と、により光学系が構成されている。
【0034】
また、光学系を構成する上記光学部材(LED光源10、導光体20、波長変換用キャップ41及びリフレクタ35)以外に、LED光源10を実装するLED実装基板30、LED実装基板30上に位置してLED光源10に対して所定の位置に導光体20を支持するリフレクタ35(光の反射機能も有する)、LED実装基板30、リフレクタ35及び導光体20の光出射部21以外の部分の夫々を覆うように一体に拘束する中空体からなる筒状の略円錐形状のシェード40、シェード40及び導光体20の光出射部21に装着された波長変換用キャップ41を覆うように配設された略円錐台形状のアウターカバー45、及び、シェード40及びアウターカバー45を支持し、外部接続電極端子(図示せず)を有し且つ灯具に装着する際に該灯具の電球取付部に嵌装する部分となるソケット50を備えている。
【0035】
LED光源10は、発光源となるLED素子11が基板12にボンディングされ、該LED素子11が光軸X方向の上方の外面13を凸ドーム状の球面又は非球面とする透光性樹脂14で樹脂封止されている。透光性樹脂14は、LED素子11を水分、塵埃及びガス等の外部環境から保護すると共に、LED素子11の光出射面15と界面を形成することによりLED素子11で発光された光をLED素子11の光出射面15から透光性樹脂14内に効率良く出射させる機能を有している(
図4(LED光源の説明図)参照)。
【0036】
導光体20は、ガラスあるいは樹脂等の透明部材(本実施形態においては石英ガラス)からなり、
図5(導光体の説明図)に示すように、光学系において点光源として見なすことができる発光源(本実施形態においてはLED素子(図示せず))を想定し、LED素子の光出射点Pを含む光軸Zを回転軸(中心軸)Zとする略回転円錐形状を呈しており、その底面側(LED光源10と対向する側)に光入射面22と内部反射面(全反射面)23を有し、頂点側に光出射部21を有している。
【0037】
導光体20を、中心軸Zに沿う断面で見ると、導光体20内の中心軸Z上の所定の位置を焦点Qの位置とし、中心軸Zを回転軸とする焦点Q側に凹状の回転非球面からなる第1光入射面22aを有している。
【0038】
同時に、第1光入射面22aの周縁部からLED光源10側に向かって中心軸Zに対して離れる方向に開く略線分を、中心軸Zを回転軸として回転して得られた略円筒状曲面からなる第2光入射面22bを有している。
【0039】
また、内部反射面23は、導光体20内の中心軸Z上の所定の位置を焦点Rの位置とし、第2光入射面22bのLED光源10側の周端部からLED光源10と反対側に向かって中心軸Zに対して離れる方向に開く外側に凸状の曲線を、中心軸Zを回転軸として回転して得られた回転非球面からなる全反射面で構成されている。
【0040】
光入射面22はさらに、導光体20内の中心軸Z上の所定の位置を中心Oの位置とし、内部反射面23のLED光源10と反対側の周端部から中心軸Zに対して離れる方向に延びる円弧を、中心軸Zを回転軸として回転して得られた環状曲面からなる第3光入射面22cを有している。
【0041】
光出射部21は、中心軸Zに沿う略円柱形状を呈しており、側面及び先端面が光出射面21aとなっている。
【0042】
図2及び
図3に戻って、導光体20の底面側の下方には、LED実装基板30上に位置しLED光源10を側方から囲むように設けられたリフレクタ35を有すると共に、該リフレクタ35は導光体20を下側から支持している。
【0043】
また、リフレクタ35は
図6(導光体及びリフレクタの説明図)に示すように、LED光源10に対向する側の面を鏡面反射処理が施された光反射面(鏡面反射面)35aとしており、鏡面反射面35aは、LED光源10のLED素子(図示せず)の光出射点Pの位置を第1焦点S
1の位置とすると共に導光体20内の中心軸Z上の所定の位置を第2焦点S
2の位置とし、LED光源10の光軸Zを回転軸とする回転楕円面からなっている。
【0044】
したがって、導光体20には中心軸Z上に、回転非球面からなる第1光入射面22aの焦点Q、回転非球面からなる内部反射面(全反射面)23の焦点R、及び回転楕円面からなる鏡面反射面35aの第2焦点S
2(第3光入射面22cの中心Oと同一位置)の3つの焦点を有している。
【0045】
図2及び
図3に戻って、LED実装基板30、リフレクタ35及び導光体20の光出射部21以外の部分の夫々は、中空体からなる筒状の略円錐台形状のシェード40によって覆われており、LED実装基板30、リフレクタ35及びシェード40がネジ47によって基台46に共締めされることにより一体に拘束されている。
【0046】
導光体20の光出射部21には、内面に例えば蛍光体等からなる波長変換部材41aが塗布された、透明部材(例えば、導光体と同様に石英ガラス)からなる中空の円筒形状の波長変換用キャップ41が装着されている。同時に、LED素子には、その出射光が波長変換部材41aを励起して所望の波長の波長変換光を放出させる種類のものを用いる。
【0047】
具体的には、LED素子に青色光を発光する青色LED素子を用い、波長変換部材41aに青色LED素子の出射光の青色光に励起されて青色光の補色となる黄色光に波長変換する黄色蛍光体を用いると、青色LED素子から発せられた青色光の一部が黄色蛍光体を励起することにより波長変換された黄色光と、青色LED素子から発せられた青色光の一部との加法混色によって白色光に近い色相の光を得ることができる。
【0048】
また、同様にLED素子に青色光を発光する青色LED素子を用い、黄色蛍光体の代わりに青色光に励起されて緑色光に波長変換する緑色蛍光体と赤色光に波長変換する赤色蛍光体との混合蛍光体を用いると、青色LED素子から発せられた青色光の一部が緑色蛍光体を励起することにより波長変換された緑色光と、青色光の一部が赤色蛍光体を励起することにより波長変換された赤色光と、青色LED素子から発せられた青色光の一部との加法混色によって白色光を得ることができる。
【0049】
さらに、LED素子からの出射光の色相(波長)と蛍光体の種類とを適宜に組み合わせることにより、白色光以外の種々な色相の光を得ることができる。
【0050】
さらに、基台56上に配設されてシェード40及び導光体20の光出射部21に装着された波長変換用キャップ41を覆う、透明部材で形成された中空体からなる筒状の略円錐台形状のアウターカバー45を備えている。
【0051】
なお、基台46の下方には、該基台46を支持し、外部接続電極端子(図示せず)を有し且つ灯具に装着する際に該灯具の電球取付部に嵌装する部分となるソケット50を備えている。
【0052】
次に、上記光学系において、LED光源からの出射光が進む光路について、
図7(光路説明図)を用いて詳細に説明する。
【0053】
まず、LED光源10から光軸X近傍の上方の導光体20の第1光入射面22aに向けて出射された、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の高い光L1は第1光入射面22aから導光体20内に入射し、導光体20内に入射した光L1は主に焦点Qの位置に向けて導光体20内を導光されて一旦焦点Qの位置に集光し、その後さらに導光体20内を拡散しながら導光して光出射部21の光出射面21aの、LED光源10からの距離が最も長い領域21aaに至る。なお、LED光源10の光軸Xと導光体20の中心軸Zは同一線上に位置する。
【0054】
また、LED光源10から光軸X近傍よりも多少傾斜した斜め上方の導光体20の第2光入射面22bに向けて出射された、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の中位の光L2は第2光入射面22bから導光体20内に入射し、導光体20内に入射した光L2は主に内部反射面(全反射面)23に向けて導光体20内を導光されて内部反射面23で焦点Rの位置に向けて反射(全反射)され、さらに導光体20内を導光されて一旦焦点Rの位置に集光し、その後さらに導光体20内を拡散しながら導光して光出射部21の光出射面21aの、LED光源10からの距離が中間の領域21abに至る。
【0055】
さらに、LED光源10から光軸Xに対して大きく傾斜した斜め側方のリフレクタ35の光反射面(鏡面反射面)35aに向けて出射された、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の低い光L3は主に光反射面35aに向けて反射(鏡面反射)されて導光体20の第3光入射面22cから導光体20内に入射し、導光体20内に入射した光L3は主に第2焦点S2の位置に向けて導光体20内を導光されて一旦第2焦点S2の位置に集光し、その後さらに導光体20内を拡散しながら導光して光出射部21の光出射面21aの、LED光源10からの距離が最も短い領域21acに至る。
【0056】
LED光源10から出射して導光体20内を導光されて光出射面21aの各領域21aa、21ab、21acに至った光は、夫々の領域21aa、21ab、21acから外部に向けて出射される。
【0057】
このとき、光出射面21aの各領域21aa、21ab、21acは、光出射部21に装着され波長変換用キャップ41の内面に塗布された波長変換部材41aに対向しており、夫々の領域21aa、21ab、21acから外部に向けて出射された光は対向する波長変換部材41aに向けて照射され、LED光源10から出射して波長変換部材41aで波長変換された光とLED光源10から出射して光波長変換部材41aを透過した光との加法混色によりLED光源10の出射光とは異なる色調の光L11、L22、L33が拡散光として波長変換用キャップ41の外側面から外部に照射される。
【0058】
なお、LED光源10から光軸X方向に向けて出射された光は、LED光源10の出射光とは異なる色調の光L44の拡散光として、波長変換用キャップ41の外正面41cから外部に照射される。
【0059】
そして、波長変換用キャップ41からの照射光は、アウターカバー(図示せず)を介してLED光源装置外に照射される。
【0060】
以上のように、本発明のLED光源装置は、LED光源10から光軸X近傍の上方の導光体20の第1光入射面22aに向けて出射された光L1、LED光源10から光軸X近傍よりも多少傾斜した斜め上方の導光体20の第2光入射面22bに向けて出射された光L2及びLED光源10から光軸Xに対して大きく傾斜した斜め側方のリフレクタ35の光反射面(鏡面反射面)35aに向けて出射された光L3の夫々の光路を形成する3つの焦点Q、焦点R及び第2焦点S2を導光体20の内部の中心軸Z上に設けた。上述したように、LED光源10の光軸Xと導光体20の中心軸Zは同一線上に位置する。
【0061】
これにより、LED光源10からの出射光を効率良く導光体20内で集光させることにより輝度を高めた光を、導光体20外の波長変換用キャップ41の波長変換部材41aに照射するようにした。その結果、LED光源10からの出射光が効率良く且つ高輝度で波長変換用キャップ41から外部に向けて照射される。
【0062】
また、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の高い光L1はLED光源10からの距離が最も長い領域21aaに至り、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の中位の光L2はLED光源10からの距離が中間の領域21abに至り、LED光源10からの出射光において相対的に輝度の低い光L3はLED光源10からの距離が最も短い領域21acに至る。
【0063】
そのため、導光体20の光出射部21の光出射面21aの各領域21aa、21ab、21acにおいては、LED光源10からの出射光が輝度と光路長との相関によりほぼ均一化された輝度分布となり、この均一な輝度分布の光を導光体20外の波長変換用キャップ41の波長変換部材41aに照射するようにした。その結果、LED光源10からの出射光がほぼ均一な輝度分布で波長変換用キャップ41から外部に向けて照射される。
【0064】
また、波長変換用キャップ41から外部に向けて照射される照射光は、波長変換部材41aの光拡散性によって拡散光として照射される。
【0065】
以上のように、導光体20の光出射部21に装着された波長変換用キャップ41からは、高輝度で輝度分布の均一性が良好な拡散光が照射される。これは、波長変換用キャップ41と同一長のフィラメントを想定したときに該フィラメントからの放射光とほぼ等価な光として見なすことができる。したがって、LED素子を発光源とする本発明のLED光源装置は、従来のコイル状フィラメントを発光源とするソケット一体型電球に対して光学的且つ構造的に互換性を有するために置き換えが可能である。
【0066】
ところで、上記LED光源装置の使用例として、車両用灯具に光源として用いられているソケット一体型電球を置き換えることが考えられる。その場合、上記LED光源装置の構成を基本構成として、車両用灯具に求められる配光規格を満足するように一部を変更する。
【0067】
具体的には、
図8(波長変換兼遮光用キャップの説明図)に示すように、導光体20の光出射部21に装着する、内面に例えば蛍光体等からなる波長変換部材が塗布された中空の円筒形状の波長変換用キャップの代わりに、該波長変換用キャップと同一構造からなる中空の円筒形状の波長変換部43と波長変換部の先端に設けられた円盤状の遮光部44とが一体に形成された波長変換兼遮光用キャップ42を用いる。
【0068】
波長変換兼遮光用キャップ42は透明部材(例えば、波長変換用キャップと同様に石英ガラス)で形成され、波長変換部43の内面には例えば蛍光体等からなる波長変換部材43aが塗布され、遮光部44の外面には、例えば黒色の遮光膜44a等による遮光手段が施されている。これにより、波長変換部43の外側面43bからは外部に向けて照射光が照射されるが、遮光部44からの照射光は遮光手段によって阻止される。
【0069】
そこで、従来のソケット一体型電球60と波長変換兼遮光用キャップ42を装着した実施形態のLED光源装置1を、例えばリフレクタ56を有する同一の灯具に装着し、そのときのソケット一体型電球60に発光源として用いられているコイル状に巻回されたフィラメント62からの放射光(
図9(従来のソケット一体型電球を装着した灯具の説明図)参照)と、LED光源装置1の光源として用いられているLED光源10から出射されて導光体20内を導光されて波長変換兼遮光用キャップ42の波長変換部43から照射された照射光(
図10(実施形態のLED光源装置を装着した灯具の説明図)参照)を比較すると、フィラメント62の巻回部の長と波長変換部43の長さを同一長とし且つフィラメント62と波長変換部43の位置を同一位置とした場合、フィラメント62からの放射光のうち所定の配光パターンの形成に寄与する光L
Fが配光形成に至るまでに灯具内において辿る光路は、波長変換兼遮光用キャップ42の波長変換部43からの照射光L
Lにおいても同様である。そのため、波長変換兼遮光用キャップ42の波長変換部43からの照射光L
Lはフィラメント62からの放射光L
Fと同様の光路を経て同様の配光パターンを形成することができる。したがって、波長変換兼遮光用キャップ42の波長変換部43は、上記光学機能的観点から同一長のフィラメントの疑似発光源(実像発光源)と見なすことができる。
【0070】
さらに、波長変換兼遮光用キャップ42には遮光手段が施された遮光部44が設けられており、波長変換部43からの照射光がグレア光とならないようにグレア光の発生を防止している。
【0071】
そのため、灯具に装着された従来のソケット一体型電球に換えて、本発明のLED光源装置を装着することにより、従来のソケット一体型電球と同様の配光パターンを形成することが可能となる。加えて、発光源をフィラメントからLED素子に換えることにより低消費電力化によるランニングコストの低減及び光源の長寿命化も図ることができる。
【0072】
ところで、LED光源10から出射した光は、導光体20内を該導光体20内の中心軸Z上に設定された焦点に集光するように導光される。そのため、導光体20の側面は光出射部21からの照射光の光路形成にはほとんど関与しない部分である(
図7参照)。
【0073】
そこで、
図11(分割導光体の説明図)のように、導光体20を、中間部分を取り除いて中空部24を挟んで光源側導光部20aと光出射側導光部20bの2つの導光部分に分割した構成とすることも可能である。この場合、光源側導光部20aの、光出射側導光部20bと対向する側の面(上面)20aa及び光出射側導光部20bの、光源側導光部20aと対向する側の面(下面)20bbはいずれも光が通過する面である。そのため、光源側導光部20aの上面20aa及び光出射側導光部20bの下面20bbの夫々は、いずれも光路形成を妨げないように通過する光の直進を維持するような形状(例えば、自由曲面)にすることが好ましい。
【0074】
これにより、導光体20の軽量化が図られ、従来のソケット一体型電球に対して置き換え可能なLED光源装置1の軽量化及びそれに伴う、ED光源装置1を装着した灯具の軽量化を図ることができる。
【0075】
なお、上記実施形態においては、波長変換用キャップ41の内面及び波長変換兼遮光用キャップ42の波長変換部43の内面の夫々に波長変換部材41a、43aを塗布したが、波長変換部材41a、43aの代わりにSiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の拡散剤を塗布する方法、あるいはサンドブラスト処理、梨地処理等の拡散処理を施す方法も可能である。
【0076】
これにより、LED光源装置1からの出射光を拡散光として照射することができると共に、LED光源10からの出射光を色相を変えることなくそのまま照射光として照射することができる。