(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、
図1を用いて、本発明の各実施形態を適用する作業機械の全体構成について説明する。
図1は、本発明の各実施形態を適用する作業機械の構成図である。
【0013】
ここでは、作業機械の一の例として、油圧ショベル301の構成を示している。
【0014】
建設機械としてのクローラ式の油圧ショベル301は、自走可能な下部走行体302と、該下部走行体302上に旋回可能に搭載され、該下部走行体302と共に車体を構成する上部旋回体303と、該上部旋回体303の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行なう作業装置304とにより大略構成されている。上部旋回体303の旋回フレーム305は、支持構造体からなる車体フレームとして構成されている。エンジン及びモータにより油圧ポンプが駆動され、下部走行体302、上部旋回体303、および作業装置304を駆動する。
【0015】
以下、
図2〜
図5を用いて、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド作業機械の構成及び動作について説明する。
図2を用いて、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の構成図である。
【0016】
エンジンENG、モータMOTおよび油圧ポンプHyPが機械的に接続されている。油圧ポンプHyPは、エンジンENGやモータMOTによって駆動される。油圧ポンプHyPから創出される作動油は、本作業機械の操作者による操作に基づき、油圧シリンダ(図示していない)や油圧モータ(図示していない)等に供給され、油圧シリンダや油圧モータで作業機械の油圧作業部HyA(例えば、油圧ショベルにおけるアーム,ブーム,バケット等)を駆動する。油圧作業部HyA(アームやブーム)にかかる負荷は、油圧ポンプの負荷として伝達され、それに応じた出力を、モータMOTやエンジンENGによって好適に制御する。
【0017】
なお、エンジンENG、モータMOTおよび油圧ポンプHyPは、同じ回転速度で運転する形態が望ましいが、途中に減速機や変速機を介して、異なる回転速度による駆動をする形態であっても本発明の範疇を出るものではない。
【0018】
モータMOTは、例えば、3相同期モータであり、電力変換器INVに接続されている。蓄電装置BAに貯蔵された直流電力は、電力変換器INVによって3相交流に変換され、モータMOTに供給され、モータMOTが駆動される。また、モータMOTは、発電機としても作動する。この場合、エンジンENGからの出力や動力回生等で得られた出力を電力に変換し、蓄電装置BAに貯蔵する。蓄電装置BAは電力を貯蔵できるものであればよく、その形態や構成を問うものではない。例えば、蓄電装置BAとして、電荷二重層キャパシタなどが用いられる。
【0019】
ハイブリッドコントローラ100は、トルク判別器101と、モータトルク制御器102と、モータコントローラ103と、速度制御器104と、エンジントルク制御器105と、エンジンコントローラ106とを備えている。
【0020】
エンジンENGは、エンジンコントローラ106からの指令によって駆動される。速度制御器104は、エンジン目標回転速度Ne* と、検出されたエンジン回転速度Neとの差分に基づいて、エンジン目標回転速度指令Nrを算出し、エンジントルク制御器105に出力する。エンジントルク制御器105は、入力したエンジン目標回転速度指令Nrに基づいて、エンジン目標トルク指令τe*を算出し、エンジンコントローラ106に出力する。エンジンコントローラ106は、入力したエンジン目標トルク指令τe*に基づいて、エンジンENGに搭載されている機器を制御して、エンジンENGに対する燃料供給量を変えるなどして、エンジン出力を制御する。このように、エンジンコントローラ106は、油圧ポンプの負荷が変化すると、エンジンの回転速度がエンジン目標回転速度となるように、アイソクロナス制御を実行する。
【0021】
モータMOTに供給される電流は、モータコントローラ103からの指令によって電力変換器INVが制御され、これにより、モータMOTの出力トルクが制御される。トルク判別器101には、操作装置OpP(油圧作業部HyA(油圧ショベルにおけるアーム,ブーム,バケット)を操作する操作レバー)からの操作量を示す信号が入力する。トルク判別器101は、この操作量信号に基づいて、油圧ポンプHyPの負荷を算出し、その負荷が急峻に増加したか否かを判定する。ポンプ負荷が急峻に増加したと判定すると、モータトルク制御器102にトルク増加信号を出力する。モータトルク制御器102は、このトルク増加信号に基づいて、モータ目標トルク指令τm*を出力する。モータコントローラ103は、モータ目標トルク指令τm*に基づいて、電力変換装置INVを制御して、モータMOTの駆動電流を変える。すなわち、モータを駆動する電力を変えることで、モータの出力トルクを制御する。
【0022】
このように、モータMOTやエンジンENGを制御して、油圧ポンプHyPの負荷に対する出力を制御する。
【0023】
本実施形態では、操作装置OpPからの信号により、ポンプ負荷が急峻に増加したと判定すると、モータMOTを駆動して、ポンプ負荷の増加分のトルクを出力するようにしている。モータ目標トルク指令τm*は、
図4を用いて後述するように、最初増加することで、操作装置が操作された当初は、モータの出力トルクを増加させる。その後、モータ目標トルク指令τm*を減少するが、それに伴うトルク減少分は、エンジンコントローラ106によってエンジンの出力を増加するように制御することで、ポンプ負荷の増加に伴い必要とされるトルクを過不足なく得るようにしている。
【0024】
このように、ポンプ負荷が急峻に増加した場合には、まず、モータを優先的に制御して、素早く出力トルクを確保し、その後、エンジンからトルクを得るようにしており、作業機械にかかる負荷の急峻な増加時に発生するエンジンのラグダウンを抑えて、オペレータに不快感を与えないようにできる。この詳細については、
図3以降を用いて詳述する。
【0025】
次に、
図3を用いて、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置のモータMOTおよびエンジンENGの出力制御ゲインについて説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置のモータおよびエンジンの出力制御ゲインの比較説明図である。
【0026】
図3(a),(b)において、横軸は、作業機械のモータMOTおよびエンジンENGの回転速度変動値であり、現在の回転速度Nと目標回転速度Ntの差分ΔNによって表現される。縦軸は、出力であり、実線M1は回転速度変動に対するモータMOTの出力特性、破線E1は同じく回転変動に対するエンジンENGの出力特性を示している。
【0027】
図3(a)は、回転速度変動に対して、モータMOTおよびエンジンENGの出力特性の一例として、リニアなゲインである場合を示している。モータMOTの最大出力はPm、エンジンの最大出力はPeである。
【0028】
本実施形態の特徴は、
図2の制御装置(ハイブリッドコントローラ100)の動作によって、この実線M1の出力Pm点まで傾きの絶対値|Pm/ΔN
2|が、破線E1の出力Pe点までの方向きの絶対値|Pe/ΔN
1|を上回ることであり、これにより、油圧ポンプHyPの急激な負荷変動に対して、エンジンの出力変動を一定値以内に収めて、排気悪化、ラグダウン、ストールといった問題を回避することが出来るものである。なお、
図3(a)ではPm>Peとなっているが、上記の|Pe/ΔN
1|<|Pm/ΔN
2|(ΔN
1<ΔN<ΔN
2)の関係が成り立っていれば、PmとPeの大小は逆もしくは同じであってもかまわない。
【0029】
図3(b)は、
図3(a)の特性とほぼ同様の出力制御ゲインを示しているが、油圧ポンプHyPからの負荷によって起こる回転速度変動ΔN
3まで、破線E2で示すように、エンジンは出力ゲインをゼロ(もしくはほぼそれに近い値)に留め、それ以上の回転速度変動が起こった場合には、|Pe/(ΔN
3−ΔN
1)|<|Pm/ΔN
2|(ΔN
1<ΔN<ΔN
3)の範囲で、モータMOTおよびエンジンENGの出力ゲインを制御することにある。
【0030】
これにより、
図3(a)よりもさらに確実に、油圧ポンプ負荷から来る出力変動をエンジン側に与えることがなくなり、その結果、排気悪化、ラグダウン、ストールといった問題を好適に回避することが出来るものである。なお、
図3(a)(b)の特性は共に
図2の制御装置によって実現される。
【0031】
次に、
図4及び
図5を用いて、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置の動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド作業機械に用いるエンジンのトルク線図である。
【0032】
図4は、油圧ポンプ負荷変動時のモータおよびエンジンのトルクチャートの一例を示している。
図4の横軸は時間を示している。
図4(a)の縦軸は、油圧ポンプのトルクを示している。
図4(b)の縦軸は、エンジン及びモータからなるパワートレインの回転数を示している。
図4(c)の縦軸は、モータトルクを示している。
図4(d)の縦軸は、エンジントルクを示している。
【0033】
例えば、時間t0よりも以前では、
図2に示した操作装置OpPが操作されておらず、エンジンENGはアイドリング状態とする。このときのエンジントルクはTe1とする。そして、時刻t0において、操作装置OpPが操作されたものとする。この操作装置OpPの操作に応じて、
図4(a)に示すように、油圧ポンプHyPの出力が、時刻t0→t2の間に、0付近→Tpまで変化するものとする。
【0034】
まず、作業機械のアームやブームにかかる負荷は油圧ポンプの負荷として伝達され、それに応じた出力をモータMOTとエンジンENGからの出力を合算して作業を実施するが、この時のモータMOTとエンジンENGの出力は、
図2の制御装置を用いることにより、
図4(a)〜(d)のような挙動に制御される。
【0035】
すなわち、油圧ポンプ負荷の上昇に伴い、本実施形態の制御装置は、
図4(b)に示すように、なるべくパワートレインの回転速度(回転数)を維持しながら、エンジンとモータのトルクを上げるように作用する(
図4(c),(d))。この時、時刻t0→t1の間は、
図3(b)のエンジン出力制御ゲインの特性により、モータMOTのみで負荷に対して出力する。この時、
図4(a),(b)のように、パワートレインの回転数はなるべくNp一定としながら、エンジントルクはアイドル時のトルクTe1のまま、モータトルクをTm1まで増加させる。
【0036】
その後、時刻t1→t2の間は、
図4(c),(d)のように、モータトルクを徐々に下げながらエンジントルクをTe2まで増加させ、パワートレインの回転数をほぼ一定としつつ、油圧ポンプに必要トルクとなるように制御する。
【0037】
その後時刻t2以降は、作業機械にかかる負荷がほぼ一定状態となるが、この場合は、モータトルクをほぼゼロ付近に制御し、エンジンENGの出力によって、油圧ポンプトルクを制御する。
【0038】
ここで、
図5のエンジンのトルク線図に示すように、時刻t0以前でトルクTe1であったものが、操作装置の操作により、トルクTe2まで増加する場合、
図2のトルク判別器101は、このトルク変化が所定の変化率以上かどうか、すなわち、急峻なトルク変化であるかどうかを判定する。そのため、例えば、((Te2−Te1)/Δt)として、トルクの変化率を算出し、このトルク変化率が予め設定した値よりも大きければ、急峻なトルク増加と判定する。また、トルク変化率でなく、トルクの絶対値の差(Te2−Te1)により急峻なトルク増加か否かを判定しても良い。このように、急峻なトルク増加と判定されると、
図2のモータトルク制御器102は、
図4(c)に示すように、時刻t0において0であったモータトルクが、時刻t1にTm1となるように、モータ目標トルク指令τm*を設定することで、モータコントローラ103は、
図4(c)に示すモータトルクがえられるように、電力変換器INVを制御する。
【0039】
そして、時刻t1以降は、モータトルク制御器102は、
図4(c)に示すように、モータトルクが徐々に減少するように、モータ目標トルク指令τm*を変える。このモータトルク指令の減少により、モータトルクが減少するが、それに伴い、パワートレインの回転数が減少しようとすると、エンジンコントローラ106は、エンジンの回転速度がエンジン目標回転速度となるように、アイソクロナス制御を実行し、このとき、エンジントルクは、
図4(d)に示すように、増加する。
【0040】
すなわち、本実施形態では、油圧ポンプからの負荷が変動した瞬間からの所定時間は、出力応答性のよいモータによってパワートレイン全体の出力を制御し、その後は、蓄電装置の蓄電量や容量等を考慮して、モータによる長時間運転が困難になるので、エンジン出力に徐々に切り替えることで、急激な負荷上昇に対して、エンジンのラグダウンやストールが起こらないようにすることができる。
【0041】
なお、
図4(d)の例では、時刻t0〜t1の間、エンジントルクはTe1に維持されているが、これに限定されるものでなく、例えば、破線で示すように、時刻t0から徐々にエンジントルクを増加させるようにしてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、油圧ポンプ負荷の急峻な変動時には、トルク応答性の良いモータ側をまず駆動するように制御することができる。すなわち、瞬時の変動はモータが抑えると構成となるため、エンジンのラグダウンやストールを抑えつつ、オペレータに不快感を与えないようにすることができる。また、エンジンとモータの複雑な制御や適合の必要がないため、システムの開発工数を大幅に削減することも可能となる。
【0043】
次に、
図6を用いて、本発明の第2の実施形態によるハイブリッド作業機械の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の構成は、
図2に示したものと同様である。
図6は、本発明の第2の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0044】
本実施形態では、蓄電装置BAへの充電を考慮したものであり、
図6は、その場合の油圧ポンプ負荷変動時のモータおよびエンジントルクチャートの一例を示している。
図6の横軸は時間を示している。
図6(a),(b),(c),(d)の縦軸は、それぞれ、
図4(a),(b),(c),(d)の縦軸と同様である。
【0045】
図4の例と同様に、油圧ポンプHyPの出力が時刻t0→t3の間に0付近→Tpまで変化したものとする。そして、
図6(a),(b)のようになるべくパワートレインの回転速度(回転数)を維持しながら、エンジンとモータのトルクを上げるように作用する。
【0046】
この時、時刻t0→t1の間は、
図3(b)のエンジン出力制御ゲインの特性により、モータMOTのみで負荷に対して出力する。この時、
図6(b)〜(d)のように、パワートレインの回転数はなるべくNp一定としながら、エンジントルクはほぼゼロのまま、モータトルク制御器102は、モータトルクをTm1まで増加させる。
【0047】
その後、時刻t1→t2の間は、
図6(c),(d)のように、モータトルク制御器102は、モータトルクをTm2まで徐々に下げながら、エンジンコントローラ106によりエンジントルクをTe2まで増加することで、パワートレインの回転数をほぼ一定としつつ、油圧ポンプに必要トルクとなるように制御する。この時、蓄電装置BAはモータMOTを駆動したことにより蓄電量が減少していることから、蓄電(充電)が必要であると判断し、モータMOTを発電機として作用させ、時刻t3までの間、エンジン運転によって充電を行う。すなわち、パワートレイン系で見れば、モータMOTが負荷として作用しており、モータMOTおよび油圧ポンプHyPの負荷に対して、エンジンENGが最大Te2まで出力し、好適に作業機械を制御する。
【0048】
その後、時刻t3以降は、作業機械にかかる負荷がほぼ一定状態となるが、この場合は、モータトルクをほぼゼロ付近に制御し、エンジンENGの出力によって、油圧ポンプトルクを制御する。
【0049】
本実施形態によれば、油圧ポンプからの負荷が変動した瞬間からの所定時間は、出力応答性のよいモータによってパワートレイン全体の出力を制御し、その後は、蓄電装置BAの蓄電量や容量等を考慮して、エンジン出力に徐々に切り替えながら充電制御も実施するものであり、急激な負荷上昇に対して、エンジンのラグダウンやストールが起こらず、かつ燃費の良いものとすることができる。
【0050】
次に、
図7を用いて、本発明の第3の実施形態によるハイブリッド作業機械の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の構成は、
図2に示したものと同様である。
図7は、本発明の第3の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0051】
本実施形態では、蓄電装置BAへの充電を考慮したものであり、
図7は、その場合の油圧ポンプ負荷変動時のモータおよびエンジントルクチャートの一例を示している。
図7の横軸は時間を示している。
図7(a),(b),(c),(d)の縦軸は、それぞれ、
図4(a),(b),(c),(d)の縦軸と同様である。
【0052】
図6に示した実施形態と同様に、油圧ポンプHyPの出力が時刻t0→t2の間に0付近→Tpまで変化したものとする。そして、
図7(a),(b)のようになるべくパワートレインの回転速度(回転数)を維持しながら、エンジンとモータのトルクを上げるように作用する。
【0053】
図6の実施形態との違いは、
図7(d)に示すように、エンジンENGに出力制御ゲインの上限ラインが破線のように規定されていることである。すなわち油圧ポンプHyPからの負荷変動や、蓄電装置BAからの充電要求に対し、
図3の制御ゲイン特性の範囲において、さらにエンジンの出力制御ゲインを越えない範囲で制御する必要がある。この出力制御ゲインの上限設定は、エンジン熱保護や排気制御を優先する場合に必要になるため、これに応じた作業機械の制御を実施する必要がある。以下、具体的に説明する。
【0054】
図7(a)に示すような必要な油圧ポンプトルクに対して、
図6に示した実施形態と同様に、時刻t0からt1までは出力応答性の良いモータHyPによって出力制御し、エンジンENGは殆ど出力しない状態とする。
【0055】
その後、時刻t1→t3までは、
図7(d)に示すように、エンジンの出力制御ゲインの上限の破線を超えない範囲で、実線で示すようにエンジンを出力し、
図7(c)に示すモータ出力との連携により、パワートレイン系の回転数(回転速度)をなるべく維持しながら、油圧ポンプトルクを好適に制御する。
【0056】
ここで、時刻t2以降は、油圧ポンプHyPは
図7(a)に示すように負荷変動がほとんどない状態となることから、時刻t3→t4まではモータMOTを発電機として、蓄電装置BAへの充電制御を行う。この時、エンジンENGの出力制御ゲインが破線を越えない範囲で、蓄電装置BAと油圧ポンプHyPに対して出力することとなる。
【0057】
本実施形態によれば、油圧ポンプからの負荷が変動した瞬間からの所定時間は、出力応答性のよいモータによってパワートレイン全体の出力を制御し、その後は、蓄電装置BAの蓄電量や容量、さらにエンジンの出力制御ゲイン等を考慮して、エンジン出力に徐々に切り替えながらパワートレインを制御するものであり、急激な負荷上昇に対して、エンジンのラグダウンやストールが起こらず、かつエンジンの排気悪化や熱損傷等を防ぐことができる。
【0058】
次に、
図8を用いて、本発明の第4の実施形態によるハイブリッド作業機械の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の構成は、
図2に示したものと同様である。
図8は、本発明の第4の実施形態によるハイブリッド作業機械のパワートレイン系の制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0059】
本実施形態では、油圧ポンプ負荷が低下した場合のものであり、
図8は、その場合の油圧ポンプ負荷変動時のモータおよびエンジントルクチャートの一例を示している。
図8の横軸は時間を示している。
図8(a),(b),(c),(d)の縦軸は、それぞれ、
図4(a),(b),(c),(d)の縦軸と同様である。
【0060】
油圧ポンプHyPが時刻t0→t1までほとんど負荷変動がなくトルクTp0、回転数Np0付近で動作している状態から、時刻t1→t3までトルクがTp3まで低下する動作を実施する。
【0061】
図8(a)のように、負荷がほぼ一定の状態であれば、モータトルク(出力)はほぼゼロで、エンジントルク(出力)Te2で運転している状態となるが、ここから、時刻t1→t2まで
図8(a),(b)のようになるべくパワートレインの回転速度(回転数)は維持しながら、油圧ポンプの負荷の低下に応じて、
図8(c)に示すように、出力応答性の良いモータMOTを負荷として動作し、エンジンの回転数やトルクが急激に変動しないように制御する。その後時刻t2→t3までは、
図8(d)に示すように、エンジントルクを下げつつ、モータによる負荷(発電)量を下げて、油圧ポンプトルクをTp3まで低下する。
【0062】
すなわち、本実施形態によれば、油圧ポンプからの負荷が低下する場合においても、負荷変動の瞬間からの所定時間は、出力応答性のよいモータによってパワートレイン全体の出力を制御し、その後は、蓄電装置BAの蓄電量や容量等を考慮して、エンジン出力に徐々に切り替えながら充電制御も実施するものであり、急激な負荷上昇に対して、エンジンのラグダウンやストールが起こらず、かつ燃費の良い作業機械を提供できるものである。
【0063】
なお、
図4,
図6〜
図8の油圧ポンプトルク、パワートレイン回転数、モータトルク、エンジントルクの挙動はそれぞれ作用の効果を示す一例であって、負荷変動開始時点では、制御ゲインの面からエンジンより応答性の良いモータの出力によってポンプ負荷に仕事をし、その後エンジン出力と協調して仕事をする、という本発明の制御概念を実現するものであれば、それらはすべて本発明の意図するものであり、本発明の範疇として問題なく、かかる構成を取ることによって、本発明はポンプ負荷の急峻な増加時に発生するエンジンのラグダウンやストールを抑えつつ、オペレータに不快感を与えないハイブリッド作業機械を提供することができるものとなる。