(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227921
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ニードル保守ユニットを使用するウオーターサーバー用のニードル式開口装置
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B67D3/00 J
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-160011(P2013-160011)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-30494(P2015-30494A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592044499
【氏名又は名称】株式会社千石
(74)【代理人】
【識別番号】100064861
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 文雄
(72)【発明者】
【氏名】千石唯司
(72)【発明者】
【氏名】千石剛平
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−116773(JP,A)
【文献】
実開平03−060960(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3164948(JP,U)
【文献】
特許第5027336(JP,B1)
【文献】
特許第5183821(JP,B1)
【文献】
特開2013−056699(JP,A)
【文献】
米国特許第8056358(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00−3/04
A61M 3/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針頭と針頭の下方に形成された開口と該開口に通じる単一の内孔とを有し、下端部にニードル本体に対する螺合部を有するニードルと、
前記ニードルの収納空間が形成されてニードルを収納自在とし、該収納空間に向けて、前記ニードルの開口と係止する突起を有するカバー体とを含み、
カバー体の突起をニードルの開口と係止した状態で、ニードルをカバー体の収納空間に装填してなるニードル保守ユニットを設けるとともに、
前記ニードル保守ユニットにより供給されるニードルの下端部と、ニードル本体の上端部とを螺合させ、ニードル本体の下端部に固定した給水装置と、ニードルの内孔とを連通する本体内孔をニードル本体に形成し、
ニードルの開口と給水装置とを、ニードルの内孔およびニードル本体の本体内孔を介して連通したことを特徴とする、ニードル保守ユニットを使用するウオーターサーバー用のニードル式開口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用液体を収容したビニール袋を使用したウオーターサーバーに関するものである。より詳しくは、ウオーターサーバーのニードル式開口装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウオーターサーバーにおいて、飲料用液体の収納容器として、従来の硬質合成樹脂製ボトル、ペットボトルに変えて、ビニール袋を使用するとともに、開封手段としてニードルを使用するものとして、特許文献1「ウオーターサーバー」が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-46446号公開公報「ウオーターサーバー」
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の特開2011-46446号公開公報「ウオーターサーバー」は、飲料用液体が充填されたビニール袋を収容するためのボトルホルダー[飲料用液体収容容器]と、ボトルホルダー[飲料用液体収容容器]に対して装着自在とした蓋体と、ビニール袋に孔を開け、飲料用液体を流出させるための、ニードル式開口装置と、給水装置とを含むウオーターサーバーを開示している。
ニードル式開口装置のニードルは、ビニール袋の開封状態で、二重中空管構造で、2個の開口をビニール袋内に露出している。二重中空管構造による2個の通水路の一方で給水装置への飲料用液体を供給するとともに、他方の通水路を通じてビニール袋内へ空気を供給している。したがって、ボトルホルダーのビニール袋の内部は外気に通じているとともに, 他方の通水路に通じる空間が存在している。
従って、外気の侵入、空気の滞留空間の存在により、細菌繁殖等の衛生上の支障を生じる問題点がある。
よって、本願発明は、ボトルホルダーと給水機構との間の給水路、およびボトルホルダー内のビニール袋を、外気に対し密封状態として細菌の侵入を阻止することを課題とする
【0006】
さらに、天然水を供給するウオーターサーバーにおいては、天然水に含まれるカルシューム物質がニードルの開口、内孔および摺動部に付着する現象が生じることで、ニードル交換の保守作業を必要とする問題点がある。
よって、本発明は、ニードル交換の保守作業を、専門業者でなく一般使用者が容易に実施可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、針頭と針頭の下方に形成された開口と該開口に通じる単一の内孔とを有し、下端部にニードル本体に対する螺合部を有するニードルと、
前記ニードルの収納空間が形成されてニードルを収納自在とし、該収納空間に向けて、前記ニードルの開口と係止する突起を有するカバー体とを含み、
カバー体の突起をニードルの開口と係止した状態で、ニードルをカバー体の収納空間に装填してなるニードル保守ユニットを設けると
ともに、
前記ニードル保守ユニットにより供給されるニードルの下端部と、ニードル本体の上端部とを螺合させ、ニードル本体の下端部に固定した給水装置と、ニードルの内孔(23)とを連通する本体内孔(23A)をニードル本体に形成し、
ニードルの開口と給水装置とを、ニードル(2)の内孔(23)およびニードル本体(2A)の本体内孔(23A)を介して連通したことを特徴とする、ニードル保守ユニットを使用する
ウオーターサーバー用のニードル式開口装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願第1発明は、カバー体の突起をニードルの開口と係止した状態で、ニードルをカバー体の収納空間に装填して、ニードル保守ユニットを構成したので、ニードルの針頭がカバー体で覆われていることで針頭との接触による交換作業時の負傷事故を防ぐとともに保管中のニードルを清潔に保ち、一般消費者が簡単に交換作業を行いうることで、メンテナンス費用を低減する効果を有する。
本願第2発明は、ニードルの開口と給水機構の給水口との間の給水路を密封状態とするとともに、ビニール袋の内部に通じる空間部の存在を無くしたことにより、細菌繁殖を阻止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願発明の実施例を示すニードル保守ユニットを、カバー体の半分を除去して示し、a図は斜視図、b図は縦断面図。
【
図2】カバー体を示し、a図は斜視図、b図はカバー体の半分を除去して示す斜視図。
【
図3】ニードルを示し、a図は斜視図、b図は縦断面図。
【
図4】本願第2発明の実施例を示すニードル式開口装置を示す、縦断面図。
【
図5】ウオーターサーバーの大要を説明する縦断面略図
【
図6】同じくニードルの作動を示す略図で、a図はビニール袋のセット状態の縦断面図、b図はビニール袋より飲料用液体の供給開始時の縦断面図、c図は供給開始後の縦断面図。
【
図8】ビニール袋のセット状態の作動を示し、a図は縦断面図、b図は部分拡大図。
【
図9】ビニール袋に対するニードル作動を示し、a図は縦断面図、b図は部分拡大図。
【
図10】本発明による給水状態を示し、a図は縦断面図、b図は部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面に示す実施例にもとづいて、本願発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし
図3を参照して、ニードル保守ユニットAは、カバー体3と、ニードル2とで構成され、カバー体3には、ニードルの収納空間Hが形成されている。
【0012】
ニードル2は、針頭21と、針頭の下方に形成された開口22と、該開口に通じる単一の内孔23とを有し、下端部にニードル本体2Aに対する螺合部24が形成されている。
【0013】
、
カバー体3には、収納空間Hにニードルを収納自在とする構成であるが、カバー体3の内面より、収納空間Hに向けて、前記ニードル2の開口22と係止する突起31が形成されている。
実施例においては、カバー体3の外周面に突状32が形成され、下端部にフランジ33が形成されている。
【0014】
ニードルをカバー体の収納空間に装填した状態「保管・移動時およびニードル装着作業開始時」では、カバー体の突起34は、ニードルの開口22と係止状態である。
【0015】
図1の状態のニードル保守ユニットAを、ニードルの下端部の螺合部24を、ニードル本体2Aの上端部と螺合させ、カバー体3を回動させることにより、カバー体の突起34とニードルの開口22との係止により、ニードル2は回動して、ニードルの下端部とニードル本体2Aの上端部とは完全な螺合状態となり、ニードル2は、ニードル本体2Aと一体化して、ニードルのセット作業は完了する。
【0016】
そののち、カバー体3を左右に二分割して、ニードル2より除去する。
【0017】
つぎに、本願第2発明のニードル式開口装置Bについて、
図4に示す実施例にもとづいて説明する。
【0018】
ニードル支持ケース40に、ガイド筒体41および下部ガイド筒体42を固定し、ニードル本体2Aを、ガイド筒体41および下部ガイド筒体42で支持して、ニードル本体2Aをニードル支持ケース40内に内装して上下動自在とする。
【0019】
ニードル支持ケース40内に、ニードル上下手段Cを内装する。
実施例においては、ニードル上下手段Cは、ニードル本体2Aの周面に形成した従動ギヤ43と噛合う駆動ギヤ44をニードル支持ケース40内に軸架し、駆動ギヤ44を、電動モーター(図示省略) により回動させる構成とした。なお、駆動ギヤ44をカム機構を介して手動操作レバーと連系させ、手動式としてもよいものである。
【0020】
ニードル本体2Aの上端螺合部45を、ニードルの下端部の螺合部24と螺合させることにより、ニードル本体2Aの本体内孔23Aを、ニードル2の内孔23と連通状態とする。
【0021】
ニードル本体2Aの下端部を、ニードル支持ケース40の下方へ突出させ、給水装置50を固定する。
【0022】
上記の構成により、ニードルの開口22と給水装置50とは、ニードルの内孔23およびニードル本体2Aの本体内孔23Aを介して連通するとともに、ニードルの開口22と給水装置50との水路は、外気に対して遮断状態である。
されている。
【0023】
図4を参照して、ガイド筒体41の上端にフランジ47を形成し、ビス48、座板49を介して、フランジ47を容器本体底面11に着脱自在に構成して、ニードル支持ケース40を、容器本体1に着脱自在とする。
【0024】
本願発明を適用するウオーターサーバーについて、
図5ないし
図10を参照して説明する。
【0025】
飲料用液体収容容器Aについて、
前述のほぼ水平面の容器本体底面11を有する容器本体1を、外ケース12で包囲し、容器本体1と外ケース12との間に断熱材13を介装する。
【0026】
容器本体1に対する蓋体15を設ける。
【0027】
容器本体1の容器本体底面11をほぼ水平面とする。
【0028】
容器本体1内にビニール袋Wを平置き状態で収容することで、容器本体底面11にビニール袋W を接触させた状態とする。
【0029】
ニードル式開口装置Bのニードル本体2Aの下端の螺着部46により、給水機構50を装着することにより、ニードル式開口装置Bを、給水機構50に連通させて、ビニール袋内の飲料用液体を給水機構50により給水する。
【0030】
容器本体1を熱伝導率の高い金属材料で製作し、熱伝導率の高い金属の熱伝導体5を容器本体1に接触させ、冷却装置4により、前記熱伝導体を介して、容器本体底面11を冷却して、容器本体内の飲料用液体を冷却する。
【0031】
つぎに、本発明による飲料用液の給水を説明する。
【0032】
図8は、容器本体1に、飲料用液体が充填されたビニール袋Wを収容した状態を示し、ビニール袋Wは容器本体底面11の上面に戴置されている。 容器本体底面11の中央部12に突出しているガイド筒体24の上端面24aで、ビニール袋Wの下層面Waが押上げられて、ビニール袋Wの下層面Waは水平状態で且つ緊張状態である。
ニードル2は、その先端部はガイド筒体24の内部に位置し、そのその針頭21および開口22は、ガイド筒体24の上端面24aより下方に位置している。
【0033】
ニードル2を開口操作することにより、ニードル2は、容器本体底面11の中央部に突出して、
図9の状態となる。
ニードル2の開口操作状態を示す
図9において、ニードル2は、その針頭21および開口22は、ガイド筒体24の上端面24aより上方に突出し、ニードル2は容器本体底面11の中央部に突出することで、その針頭21は、ビニール袋Wの下層面Waを破断してビニール袋W内へ突出して、ビニール袋Wを開口状態とする。
【0034】
図9のニードル2の開口操作状態において、ニードル2は、その針頭21および開口22は、ビニール袋W内に位置している。かくして、ニードル2の内孔23は、ビニール袋Wと連通状態、すなわち、ニードル2は開口状態となる。
【0035】
図10を参照して、ニードル2は開口状態においては、ニードル2の内孔23を介して、ビニール袋Wの内部と、給水装置50とは連通状態であり、その連通経路には空間部は存在しないとともに、外気に対して密封状態である。
【0036】
かくして冷却装置4の作動により、冷却されたビニール袋W内の飲料用液体が給水機構50へ供給される
【0037】
実施例においては、冷却装置4を装備したが、加熱装置も併設して、選択作動により、ビニール袋W内の飲料用液体を、冷却/加熱自在とすることもできる。さらに冷房暖房クーラーのごとく冷房・暖房の切替を自在とする機構とすることで、冷水・温水を選択自在とする構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明は、ウオーターサーバーの保守を容易とすることにより、ウオーターサーバーの使用を促進するものであり、産業の発展に寄与するものである。
【符号の説明】
【0039】
A ニードル保守ユニット
B ニードル式開口装置
H ニードルの収納空間
W ビニール袋
1 容器本体
2 ニードル
2A ニードル本体
3 カバー体、
11 容器本体底面
21 針頭
22 開口
23 内孔
23A 本体内孔
24 螺合部24