特許第6227925号(P6227925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227925シート材送り装置、スクリーン印刷機および接着剤塗布装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227925
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】シート材送り装置、スクリーン印刷機および接着剤塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/42 20060101AFI20171030BHJP
   B41F 35/00 20060101ALI20171030BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20171030BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20171030BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20171030BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20171030BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B41J11/42
   B41F35/00 C
   B41F33/00
   B41F15/12 A
   B41F15/08 303E
   H05K3/34 505D
   B05C11/10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-161633(P2013-161633)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-30204(P2015-30204A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光昭
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−298169(JP,A)
【文献】 特開2000−171235(JP,A)
【文献】 特開2011−189669(JP,A)
【文献】 特開平10−029747(JP,A)
【文献】 特開平06−170323(JP,A)
【文献】 特開2008−062650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 − 11/70
B65H 23/18 − 23/198
B65H 26/00 − 26/08
B41F 15/00 − 15/46
B41F 31/00 − 35/06
B05C 7/00 − 21/00
H05K 3/32 − 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出しローラと巻き取りローラの間でシート材を送るシート材送り装置であって、
前記巻き取りローラを回転させるモータと、
前記モータが所定の角度だけ回転するごとにパルスを生成するエンコーダと、
前記シート材が所定の送り量だけ送られるごとにパルスを生成する送り量検出装置と、
制御装置を備えており、
前記エンコーダの1パルスあたりの前記シート材の送り量は、前記送り量検出装置の1パルスあたりの前記シート材の送り量よりも小さく、
前記制御装置が、前記送り量検出装置のパルス間での前記エンコーダのパルス数を取得し、前記エンコーダの1パルスあたりの前記シート材の送り量を算出し、所望の前記シート材の送り量に対応した前記エンコーダでのパルス数を設定し、設定されたパルス数に応じて前記モータの駆動を制御する、シート材送り装置。
【請求項2】
前記送り量検出装置が、前記送り出しローラから前記巻き取りローラに送られる前記シート材の表面に外周縁が当接した円盤状の送り量検出ドッグと、前記送り量検出ドッグが所定の角度だけ回転するごとにパルスを生成する送り量検出スイッチを備えている、請求項1のシート材送り装置。
【請求項3】
前記送り量検出ドッグの外周縁が前記送り出しローラに捲き付けられた前記シート材の表面に当接するように、前記送り量検出ドッグが付勢されている、請求項2のシート材送り装置。
【請求項4】
請求項1のシート材送り装置によって、スクリーンマスクのクリーニングに用いるクリーニングペーパを送るスクリーン印刷機。
【請求項5】
請求項1のシート材送り装置によって、接着剤の試し塗布に用いる試し塗布テープを送る接着剤塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材送り装置と、そのシート材送り装置を用いるスクリーン印刷機および接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、送り出しローラと巻き取りローラの間でシート材を送るシート材送り装置が開示されている。このシート材送り装置は、巻き取りローラを回転させるモータと、シート材の送り量を検出する送り量検出装置と、制御装置を備えている。このシート材送り装置では、送り量検出装置で検出されるシート材の送り量に基づいてモータの駆動を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−189669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、シート材の送り量の調整幅は、送り量検出装置の分解能に制限される。送り量検出装置の分解能を超えて、より高い精度でシート材の送り量を調整することができれば、シート材の無駄を省き、資源の節約を図ることが可能となる。
【0005】
本明細書は、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書では、送り出しローラと巻き取りローラの間でシート材を送るシート材送り装置において、高い精度でシート材の送り量を調整することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、送り出しローラと巻き取りローラの間でシート材を送るシート材送り装置を開示する。そのシート材送り装置は、巻き取りローラを回転させるモータと、モータが所定の角度だけ回転するごとにパルスを生成するエンコーダと、シート材が所定の送り量だけ送られるごとにパルスを生成する送り量検出装置と、制御装置を備えている。そのシート材送り装置では、制御装置が、送り量検出装置のパルス間でのエンコーダのパルス数を取得し、エンコーダの1パルスあたりのシート材の送り量を算出し、所望のシート材の送り量に対応したエンコーダでのパルス数を設定し、設定されたパルス数に応じてモータの駆動を制御する。
【0007】
一般に、モータの回転角度を検出するエンコーダの分解能は、極めて高いことが知られている。このため、エンコーダの1パルスあたりのシート材の送り量を把握することができれば、エンコーダのパルスに基づいてモータの駆動を制御することで、高い精度でシート材の送り量を調整することが可能となる。エンコーダの1パルスあたりのシート材の送り量は、シート材が巻き取りローラに巻き取られていくに連れて変化していくが、上記のシート材送り装置によれば、送り量検出装置のパルスとエンコーダのパルスとの関係から、エンコーダの1パルスあたりのシート材の送り量を正確に把握することができる。上記のシート材送り装置によれば、送り量検出装置の分解能を超えて、より高い精度でシート材の送り量を調整することができる。
【0008】
上記のシート材送り装置は、送り量検出装置が、送り出しローラから巻き取りローラに送られるシート材の表面に外周縁が当接した円盤状の送り量検出ドッグと、送り量検出ドッグが所定の角度だけ回転するごとにパルスを生成する送り量検出スイッチを備えているように構成することができる。
【0009】
上記のシート材送り装置によれば、簡素な構成で送り量検出装置を実現することができる。
【0010】
上記のシート材送り装置は、送り量検出ドッグの外周縁が送り出しローラに捲き付けられたシート材の表面に当接するように、送り量検出ドッグが付勢されているように構成することができる。
【0011】
上記のシート材送り装置によれば、送り出しローラから巻き取りローラへのシート材の送り動作に影響を及ぼさない送り量検出装置を実現することができる。
【0012】
本明細書は、上記のシート材送り装置によって、スクリーンマスクのクリーニングに用いるクリーニングペーパを送るスクリーン印刷機も開示する。本明細書は、上記のシート材送り装置によって、接着剤の試し塗布に用いる試し塗布テープを送る接着剤塗布装置も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例のスクリーン印刷機2の概略の構成を示す側面図。
図2】実施例のクリーニング装置26において、ノズル106を下方へ移動させた状態の概略の構成を示す横断面図。
図3】実施例のクリーニング装置26において、ノズル106を上方へ移動させた状態の概略の構成を示す横断面図。
図4】実施例の制御装置20がクリーニングペーパPの送り動作において行う処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例)
以下では図面を参照しながら実施例のスクリーン印刷機2について説明する。図1に示すように、スクリーン印刷機2は、主に、制御装置20と、インターフェース装置22と、回路基板位置決め装置24と、クリーニング装置26と、スクリーンマスク28と、スキージ装置30を備えている。スクリーン印刷機2は、実装ラインの上流側から回路基板Cを受入れ、回路基板Cに所望のパターンのはんだをスクリーン印刷した後、回路基板Cを実装ラインの下流側に送り出す。なお、以下の説明では、スクリーン印刷機2において、回路基板Cの搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向に直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0015】
制御装置20は、実装ラインの全体の動作を管理する生産管理コンピュータ(図示せず)と通信可能である。制御装置20は、生産管理コンピュータからの指示に従って、スクリーン印刷機2の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置20は、スクリーン印刷機2におけるはんだ印刷作業の状態を示すデータを生産管理コンピュータへ送信する。
【0016】
インターフェース装置22は、モニタ等を介して作業者に対してスクリーン印刷機2の設定状態や作業状態を提示するとともに、スイッチ等を介して作業者からの各種の入力を受け付ける。
【0017】
回路基板位置決め装置24は、Y方向移動機構40と、X方向移動機構42と、回転機構44と、昇降機構46と、X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52を備えている。
【0018】
Y方向移動機構40は、スクリーン印刷機2の基台に支持されている。Y方向移動機構40は、図示しないアクチュエータの駆動によって、スクリーン印刷機2の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0019】
X方向移動機構42は、Y方向移動機構40に支持されている。X方向移動機構42は、図示しないアクチュエータの駆動によって、Y方向移動機構40に対してX方向に相対移動が可能となっている。
【0020】
回転機構44は、X方向移動機構42に支持されている。回転機構44は、図示しないモータの駆動によって、X方向移動機構42に対してZ軸周りに相対回転が可能となっている。
【0021】
昇降機構46は、回転機構44に支持されている。昇降機構46は、図示しないアクチュエータの駆動によって、回転機構44に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0022】
X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52は、昇降機構46に支持されている。X方向搬送機構48は、X方向に沿って配置されている一対のコンベアベルト54と、それぞれのコンベアベルト54を駆動するサーボモータ(図示せず)を備えている。X方向搬送機構48は、回路基板CのY方向の両端を一対のコンベアベルト54の上に載置し、サーボモータを駆動することで、回路基板CをX方向に搬送可能である。回路基板Cのサイズに応じて、一対のコンベアベルト54の間隔は調整可能となっている。
【0023】
クランプ機構50は、回路基板CをY方向の両端から挟持して、所望の幅で回路基板Cを保持することができる。サポート機構52は、クランプ機構50によって保持された回路基板Cの下面に複数のサポートピン56の先端を当接させて、回路基板Cを下面側から支持することができる。
【0024】
スクリーンマスク28は、矩形状に形成された金属製の板状部材であって、スクリーン印刷機2の基台に対して位置を固定されたマスク支持枠66によって4辺を支持されている。スクリーンマスク28の中央部には、回路基板Cに印刷すべきはんだのパターンに対応して開口が形成されている。以下ではスクリーンマスク28に形成された開口を印刷パターンともいう。
【0025】
スキージ装置30は、Y方向移動機構70と、スキージヘッド74a、74bと、スキージ76a、76bを備えている。
【0026】
Y方向移動機構70は、スクリーン印刷機2の基台に支持されている。Y方向移動機構70は、図示しないアクチュエータの駆動によって、スクリーン印刷機2の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0027】
スキージヘッド74a、74bは、Y方向移動機構70に支持されている。スキージヘッド74a、74bは、それぞれアクチュエータ78a、78bの駆動によって、Y方向移動機構70に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0028】
スキージ76aは、スキージヘッド74aに支持されている。スキージ76aは、図示しないサーボモータの駆動によって、スキージヘッド74aに対して傾動可能となっている。スキージ76bは、スキージヘッド74bに支持されている。スキージ76bは、図示しないサーボモータの駆動によって、スキージヘッド74bに対して傾動可能となっている。スキージ76a、76bは、図示しないはんだ供給装置からスクリーンマスク28の上面に供給されるはんだを印刷パターン上でスキージングする。
【0029】
クリーニング装置26は、クリーニングペーパPを用いて、スクリーンマスク28の下面に付着したはんだを拭き取る。図2に示すように、クリーニング装置26は、Y方向移動機構80と、巻き取り装置82と、送り出し装置84と、押し付け装置86を備えている。
【0030】
Y方向移動機構80は、スクリーン印刷機2の基台に支持されている。Y方向移動機構80は、図示しないアクチュエータの駆動によって、スクリーン印刷機2の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。巻き取り装置82と、送り出し装置84と、押し付け装置86は、Y方向移動機構80に搭載されている。
【0031】
巻き取り装置82は、使用済みのクリーニングペーパPが巻き付けられている巻き取りローラ88と、巻き取りローラ88を回転させるモータ90を備えている。巻き取りローラ88は、Y方向移動機構80にX軸周りに回転可能に支持されている。モータ90にはエンコーダ92が内蔵されている。エンコーダ92は、モータ90の回転軸が所定の角度だけ回転するごとに、パルスを生成する。
【0032】
送り出し装置84は、未使用のクリーニングペーパPが巻き付けられている送り出しローラ94と、クリーニングペーパPの送り量を検出する送り量検出装置96と、送り量検出装置96を送り出しローラ94に向けて付勢する付勢手段(図示せず)を備えている。送り出しローラ94は、Y方向移動機構80にX軸周りに回転可能に支持されている。送り量検出装置96は、円盤状に形成された送り量監視ドッグ100と、送り量監視ドッグ100の回転角度を検出する送り量監視スイッチ102を備えている。送り量監視ドッグ100は、所定角度ごとにスリット100aが形成された円盤状の部材であり、X軸に沿って配置された回転軸A周りに回転可能である。送り量監視スイッチ102は、送り量監視ドッグ100の回転軸Aに対する相対的な位置および角度が固定されており、送り量監視ドッグ100の回転に伴うスリット100aの通過を光学的に検出し、パルスを生成する。図示しない付勢手段によって、送り量監視ドッグ100の外周縁は、送り出しローラ94に捲き付けられたクリーニングペーパPの表面に押し付けられている。送り出しローラ94からクリーニングペーパPが送り出されると、それに伴って送り量監視ドッグ100が回転軸A周りに回転する。この際の、送り量監視ドッグ100の外周縁における接点の移動距離は、送り出しローラ94からのクリーニングペーパPの送り量と一致している。従って、送り量監視ドッグ100の回転角度は、クリーニングペーパPの送り量に比例する。送り量監視スイッチ102は、送り量監視ドッグ100が所定の回転角度だけ回転するごとに、すなわちクリーニングペーパPが所定の送り量だけ送られるごとに、パルスを生成する。ただし、このパルスの精度は、スリット100aのピッチに制限される。
【0033】
押し付け装置86は、アクチュエータ104と、ノズル106と、緩衝材108を備えている。アクチュエータ104は、ノズル106をZ方向に移動させる。ノズル106は上面が開口しており、通気性を有する緩衝材108がその開口を覆っている。ノズル106の開口は図示しない吸引装置に連通している。緩衝材108の上面は、巻き取りローラ88と送り出しローラ94の間で、クリーニングペーパPの下面に摺動可能に当接している。アクチュエータ104を駆動してノズル106を上方に移動させると、図3に示すように、緩衝材108によってクリーニングペーパPが上方へ押し上げられ、スクリーンマスク28の下面にクリーニングペーパPの上面が押し当てられる。アクチュエータ104を駆動してノズル106を下方に移動させると、図2に示すように、緩衝材108の下方への移動とともに、張力によってクリーニングペーパPも下方へ移動し、クリーニングペーパPはスクリーンマスク28の下面から離反する。
【0034】
スクリーン印刷機2はさらに、図示しない撮像装置を備えている。撮像装置は、回路基板位置決め装置24とスクリーンマスク28の間でXY方向に移動可能であり、回路基板Cの上面とスクリーンマスク28の下面を撮像することが可能である。
【0035】
スクリーン印刷機2はさらに、図示しない受け入れ搬送装置と送り出し搬送装置を備えている。受け入れ搬送装置は、スクリーン印刷機2の上流側の基板搬送装置から送られてくる回路基板Cを受け取り、回路基板Cを回路基板位置決め装置24のX方向搬送機構48に送り出す。送り出し搬送装置は、回路基板位置決め装置24のX方向搬送機構48から送り出される回路基板Cを受け取り、スクリーン印刷機2の下流側の基板搬送装置に送り出す。
【0036】
スクリーン印刷機2のはんだ印刷動作を説明する。上流側の基板搬送装置から回路基板Cが送られてくると、制御装置20は受け入れ搬送装置を駆動して回路基板Cを受け取る。そして、X方向搬送機構48が受け入れ搬送装置から回路基板Cを受け取ることが可能な位置となるように、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44、昇降機構46を駆動する。そして、制御装置20は受け入れ搬送装置とX方向搬送機構48を駆動して、受け入れ搬送装置からX方向搬送機構48へ回路基板Cを受け渡す。
【0037】
回路基板CがX方向搬送機構48に受け渡されると、制御装置20は、X方向搬送機構48を駆動して、スクリーンマスク28の印刷パターンに対応するX方向位置まで回路基板Cを搬送する。そして、制御装置20は、クランプ機構50とサポート機構52を駆動して、回路基板Cを保持する。そして、制御装置20は、撮像装置を用いて、回路基板Cの上面の撮像と、スクリーンマスク28の下面の撮像を行う。制御装置20は、撮像装置によって撮像した画像データを処理して、回路基板Cとスクリーンマスク28の間の位置ずれを検出する。位置ずれが検出されると、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動して、回路基板Cの位置の微調整を行う。そして、制御装置20は、昇降機構46を駆動して回路基板Cを上昇させて、回路基板Cをスクリーンマスク28の下面に当接させる。
【0038】
上記のような、回路基板Cの位置決めと並行して、制御装置20は、はんだ供給装置によりはんだをスクリーンマスク28の上面に供給する。回路基板Cがスクリーンマスク28の下面に当接し、スクリーンマスク28の上面へはんだが供給されると、制御装置20は、
一方のスキージヘッド(例えばスキージヘッド74a)を駆動して、一方のスキージ(例えばスキージ76a)をスクリーンマスク28の上面に当接させた後、Y方向移動機構70を駆動して、スクリーンマスク28の印刷パターンに対するスキージングを行う。これによって、スクリーンマスク28の下面に当接して保持されている回路基板Cに、印刷パターンに対応するパターンで、はんだが印刷される。
【0039】
回路基板Cへのはんだ印刷が完了すると、制御装置20は、スキージヘッド74a、74b、Y方向移動機構70を駆動して、スキージ装置30を待機位置へ復帰させる。また、制御装置20は、昇降機構46、クランプ機構50、サポート機構52を駆動して、回路基板Cを再びX方向搬送機構48に受け渡す。さらに、制御装置20は、X方向搬送機構48が送り出し搬送装置へ回路基板Cを受け渡すことが可能な位置となるように、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動する。
【0040】
そして、制御装置20は、X方向搬送機構48と送り出し搬送装置を駆動して、X方向搬送機構48から送り出し搬送装置へ回路基板Cを受け渡す。その後、制御装置20は、送り出し搬送装置を駆動して、下流側の基板搬送装置へ回路基板Cを送り出す。
【0041】
以下ではスクリーン印刷機2のマスククリーニング動作について説明する。スクリーン印刷機2は、例えば所定の枚数の回路基板Cに対するはんだ印刷が完了する毎に、以下のようなマスククリーニング動作を実行する。
【0042】
制御装置20は、Y方向移動機構80を駆動して、クリーニング装置26をクリーニング開始位置へ移動させる。そして、制御装置20は、アクチュエータ104を駆動して、ノズル106を上方へ移動させ、クリーニングペーパPの上面をスクリーンマスク28の下面に当接させる。そして、制御装置20は、吸引装置を駆動して、ノズル106の開口を介した吸込みを開始する。この状態で、制御装置20は、Y方向移動機構80を駆動して、クリーニング装置26をクリーニング開始位置からクリーニング終了位置までY方向に移動させる。これによって、クリーニングペーパPによってスクリーンマスク28の下面の汚れが拭き取られるとともに、ノズル106からの吸引によってスクリーンマスク28の下面の汚れが吸い取られる。クリーニング装置26がクリーニング終了位置まで到達すると、制御装置20は、吸引装置による吸込みを終了するとともに、アクチュエータ104を駆動してノズル106を下方へ移動させ、クリーニングペーパPをスクリーンマスク28の下面から離反させる。
【0043】
その後、制御装置20は、次回のマスククリーニング動作に備えるために、クリーニングペーパPの送り動作を行う。クリーニングペーパPの送り動作では、スクリーンマスク28のクリーニング動作において使用したクリーニングペーパPの範囲に対応した送り量L、すなわち緩衝材108のY方向の幅に対応した送り量Lで、送り出しローラ94から巻き取りローラ88へクリーニングペーパPを巻き取る。この際のクリーニングペーパPの送り量の調整を正確に行うことができれば、スクリーンマスク28のクリーニング動作を適切に行いつつ、クリーニングペーパPの無駄を省き、資源の節約を図ることが可能となる。
【0044】
クリーニングペーパPの送り量を制御する方式として、送り量検出装置96によって検出されるクリーニングペーパPの送り量に基づいて、モータ90の動作を制御する方式が考えられる。しかしながら、この方式では、クリーニングペーパPの送り量の調整幅が、送り量検出装置96によって検出可能なクリーニングペーパPの送り量の分解能に制限されてしまう。本実施例のスクリーン印刷機2では、エンコーダ92によって検出されるモータ90の回転角度に基づいてモータ90の動作を制御することで、クリーニングペーパPの送り量の調整幅をより小さくして、高い精度でクリーニングペーパPの送り量を調整することができる。
【0045】
上記のように、エンコーダ92によって検出されるモータ90の回転角度に基づいてモータ90の動作を制御する場合、モータ90の回転角度とクリーニングペーパPの送り量の関係の変化を考慮する必要がある。巻き取りローラ88にクリーニングペーパPを巻き取るにつれて、巻き取りローラ88に巻き取られたクリーニングペーパPの半径は徐々に増加していくため、モータ90の回転角度とクリーニングペーパPの送り量の関係は変化していく。そこで、本実施例のスクリーン印刷機2では、クリーニングペーパPの送り動作において、制御装置20が図4に示す処理を行う。
【0046】
ステップS2では、制御装置20が、今回の送り動作において使用する、エンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLを取得する。後述するように、この送り量δLは、前回の送り動作における処理ですでに設定されている。
【0047】
ステップS4では、制御装置20が、ステップS2で取得されたエンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLと、今回の送り動作において必要なクリーニングペーパPの送り量Lに基づいて、エンコーダ92に関する送り動作終了パルス数Ctを算出する。
【0048】
ステップS6では、制御装置20が、モータ90の駆動を開始する。これによって、送り出しローラ94から巻き取りローラ88へのクリーニングペーパPの巻き取りが開始される。
【0049】
ステップS8では、制御装置20が、エンコーダ92のパルスのカウントを行う。
【0050】
ステップS10では、制御装置20が、送り量監視スイッチ102のパルス間における、エンコーダ92のパルス数ΔCを取得する。具体的には、制御装置20は、送り量監視スイッチ102のパルスの立ち上がりを検出するたびに、今回のパルスの立ち上がりを検出した時点でのエンコーダ92の積算パルス数C2から、前回のパルスの立ち上がりを検出した時点でのエンコーダ92の積算パルス数C1を減算することで、送り量監視スイッチ102のパルス間におけるエンコーダ92のパルス数ΔCを取得する。このパルス数ΔCの値は、制御装置20が送り量監視スイッチ102のパルスの立ち上がりを検出するたびに更新されていく。
【0051】
ステップS12では、制御装置20が、ステップS6でモータ90の駆動を開始してからのエンコーダ92の積算パルス数Cが、ステップS4で算出された送り動作終了パルス数Ctに達したか否かを判断する。エンコーダ92の積算パルス数Cが送り動作終了パルス数Ctに達していない場合(NOの場合)、処理はステップS8へ戻る。エンコーダ92の積算パルス数Cが送り動作終了パルス数Ctに達した場合(ステップS12でYESの場合)、処理はステップS14へ進む。
【0052】
ステップS14では、制御装置20が、モータ90の駆動を停止する。これによって、送り出しローラ94から巻き取りローラ88へのクリーニングペーパPの巻き取りが停止される。
【0053】
ステップS16では、次回の送り動作において使用する、エンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLを算出する。エンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLは、δL=PS/ΔCで与えられる。ここで、PSは送り量監視ドッグ100のスリット100aのピッチを外周縁での長さに換算した値であり、ΔCはステップS10で取得された送り量監視スイッチ102のパルス間におけるエンコーダ92のパルス数である。ステップS16の後、図4の処理は終了する。
【0054】
以上のように、本実施例のスクリーン印刷機2によれば、直前の送り動作において設定されたエンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLを用いて、エンコーダ92に関する送り動作終了パルス数Ctを算出し、モータ90の駆動を制御する。このような構成とすることによって、クリーニングペーパPの送り量Lを高精度で調整することができる。
【0055】
なお、送り出しローラ94のクリーニングペーパPが全て巻き取りローラ88に巻き取られ、作業者が送り出しローラ94と巻き取りローラ88の組を未使用の送り出しローラ94と巻き取りローラ88の組に交換した場合には、制御装置20は、自動的にクリーニングペーパPの送り動作を行い、図4の処理によって、エンコーダ92の1パルスあたりのクリーニングペーパPの送り量δLを設定しておく。このような構成とすることで、クリーニングペーパPを交換した場合でも、その後の送り動作において、クリーニングペーパPの送り量Lを高精度で調整することができる。
【0056】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0057】
上記の実施例では、本発明をスクリーンマスク28のクリーニングに使用するクリーニングペーパPを送り出しローラ94と巻き取りローラ88の間で送るクリーニング装置26に適用した場合について説明したが、本発明は、送り出しローラと巻き取りローラの間でシート材を送るシート材送り装置であれば、どのような装置についても適用可能である。例えば、本発明は、回路基板に接着剤を塗布する接着剤塗布装置において、接着剤の試し塗布のための試し塗布テープを送り出しローラと巻き取りローラの間で送る試し塗布テープ送り装置として具現化してもよい。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0059】
2 スクリーン印刷機
20 制御装置
22 インターフェース装置
24 回路基板位置決め装置
26 クリーニング装置
28 スクリーンマスク
30 スキージ装置
40 Y方向移動機構
42 X方向移動機構
44 回転機構
46 昇降機構
48 X方向搬送機構
50 クランプ機構
52 サポート機構
54 コンベアベルト
56 サポートピン
66 マスク支持枠
70 Y方向移動機構
74a、74b スキージヘッド
76a、76b スキージ
78a、78b アクチュエータ
80 Y方向移動機構
82 巻き取り装置
84 送り出し装置
86 押し付け装置
88 巻き取りローラ
90 モータ
92 エンコーダ
94 送り出しローラ
96 送り量検出装置
100 送り量監視ドッグ
100a スリット
102 送り量監視スイッチ
104 アクチュエータ
106 ノズル
108 緩衝材
図1
図2
図3
図4