特許第6227927号(P6227927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227927
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20171030BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20171030BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20171030BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01M2/34 B
   H01M2/34 Z
   H01M2/30 A
   H05K5/03 A
   H02G3/14
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-162993(P2013-162993)
(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-32533(P2015-32533A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 義紀
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−311089(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0293091(US,A1)
【文献】 特開2013−054947(JP,A)
【文献】 特開2010−108785(JP,A)
【文献】 特開2013−130742(JP,A)
【文献】 特開2015−026516(JP,A)
【文献】 特開平08−161999(JP,A)
【文献】 特開2008−108425(JP,A)
【文献】 特開平11−086840(JP,A)
【文献】 特開2011−081979(JP,A)
【文献】 実開平02−033404(JP,U)
【文献】 実開昭56−107655(JP,U)
【文献】 実開昭50−085739(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第103096667(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/30
H02G 3/14
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の第1面を覆う第1カバーと、前記電子機器の第2面を覆う第2カバーと、前記第1カバーと前記第2カバー間を連結し撓み変形可能な連結ヒンジ部とを備え、
前記連結ヒンジ部の撓み変形によって、前記第2カバーが前記電子機器の第2面を覆う閉位置と第2面より離間する開位置との間で変移するカバーであって、
前記連結ヒンジ部は、断面の外周形状が円周状であることを特徴とするカバー。
【請求項2】
請求項1記載のカバーであって、
前記連結ヒンジ部は、断面が円形状であることを特徴とするカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカバーであって、
前記電子機器は、バッテリに固定されるヒューズユニット本体であり、前記電子機器の前記第1面が前記ヒューズユニット本体の側面であり、前記電子機器の前記第2面が前記ヒューズユニット本体の上面であることを特徴とするカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに配設される電子機器を覆うカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば車両のバッテリに直付けされるヒューズユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるヒューズユニットの一従来例が図5図8に示されている。このヒューズユニット50は、バッテリ(図示せず)に固定されるヒューズユニット本体51と、このヒューズユニット本体51を覆うカバー60とを備えている。カバー60は、ヒューズユニット本体51の側面を覆う第1カバー61と、ヒューズユニット本体51の上面を覆う第2カバー62と、第1カバー61と第2カバー62間を連結する連結ヒンジ部63とを備えている。連結ヒンジ部63は、図6(b)に示すように、断面形状が偏平長方形(幅:W>厚み:H)のベルト形状であり、撓み変形可能に形成されている。
【0004】
第2カバー62は、連結ヒンジ部63の撓み変形によって、ヒューズユニット本体51の上面を覆う閉位置(図5の位置)と、ヒューズユニット本体51の上面より離間する開位置(図6(a)の位置)との間で変移する。
【0005】
この従来例では、第1カバー61と第2カバー62が連結ヒンジ部63を介して連結されているので、第2カバー62を閉位置と開位置との間で変移しても第2カバー62が第1カバー61より離脱しないため、メンテナンス時等の作業性が良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−73808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、第2カバー62は、通常の使用状態では、図5の閉位置と図6(a)の開位置との上下方向の移動が繰り返される。しかし、第2カバー62が第1カバー61に対して左右方向に引っ張られたり(図7の状態)、前後方向に引っ張られたり(図8の状態)する事態が起こり得る。連結ヒンジ部63は、曲げ方向(例えば、図6(b)の中立軸C1とC2)によって断面二次モーメント(曲げ剛性)が相違するため、連結ヒンジ部63の根本部63a,63bに発生する応力は、引っ張り荷重の大きさにのみ起因せずに、曲げ方向の向きによっても相違する。例えば、図8のように前後方向に引っ張られた場合には、連結ヒンジ部63の中立軸がC2となり、断面二次モーメント(曲げ剛性)が大きく、大きく曲げ変形する根本部63aに大きな応力が発生する。このように、曲げ方向の向きによって根本部63a、63bに応力集中が発生する恐れがあり、応力集中すると、破損し易いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、応力集中に起因する連結ヒンジ部の破損を極力防止できるカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子機器の第1面を覆う第1カバーと、前記電子機器の第2面を覆う第2カバーと、前記第1カバーと前記第2カバー間を連結し撓み変形可能な連結ヒンジ部とを備え、前記連結ヒンジ部の撓み変形によって、前記第2カバーが前記電子機器の第2面を覆う閉位置と第2面より離間する開位置との間で変移するカバーであって、前記連結ヒンジ部は、断面の外周形状が円周状であることを特徴とするカバーである。
【0010】
前記連結ヒンジ部は、断面が円形状であっても良い。前記電子機器は、バッテリに固定されるヒューズユニットであり、前記電子機器の前記第1面が前記ヒューズユニットの側面であり、前記電子機器の前記第2面が前記ヒューズユニットの上面であるものを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結ヒンジ部は、あらゆる曲げ方向で断面二次モーメント(曲げ剛性)が同じである。従って、連結ヒンジ部がどの引っ張り方向に引っ張られた場合でも、連結ヒンジ部の根本部に発生する応力は、引っ張り荷重の大きさにのみ起因するため、引っ張り方向の違いによる応力集中を極力抑制できる。以上より、応力集中に起因する連結ヒンジ部の破損を極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示し、第2カバーが閉位置にある状態のヒューズユニットの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態を示し、(a)は第2カバーが開位置にある状態のヒューズユニットの斜視図、(b)は連結ヒンジ部の拡大断面図である。
図3】本発明の一実施形態を示し、第2カバーが第1カバーに対して左右方向に引っ張られた状態のヒューズユニットの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態を示し、第2カバーが第1カバーに対して前後方向に引っ張られた状態のヒューズユニットの斜視図である。
図5】従来例を示し、第2カバーが閉位置にある状態のヒューズユニットの斜視図である。
図6】従来例を示し、(a)は第2カバーが開位置にある状態のヒューズユニットの斜視図、(b)は連結ヒンジ部の拡大断面図である。
図7】従来例を示し、第2カバーが第1カバーに対して左右方向に引っ張られた状態のヒューズユニットの斜視図である。
図8】従来例を示し、第2カバーが第1カバーに対して前後方向に引っ張られた状態のヒューズユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
この実施形態では、本発明のカバーがヒューズユニットのカバーに適用されている。以下、説明する。
【0015】
図1及び図2(a)に示すように、ヒューズユニット1は、バッテリ(図示せず)にバッテリ端子30を介して固定される電子機器であるヒューズユニット本体2と、このヒューズユニット本体2を覆うカバー10とを備えている。ヒューズユニット本体2は、L字状に折れ曲がったバスバー3と、このバスバー3を絶縁性樹脂材でオーバーモールドして形成された保護樹脂部4とを備えている。バスバー3には、複数の端子部3aと、過電流を阻止する可溶部(図示せず)とが設けられている。各端子部3aは、保護樹脂部4より露出している。
【0016】
カバー10は、ヒューズユニット本体2の第1面である側面を覆う第1カバー11と、ヒューズユニット本体2の第2面である上面を覆う第2カバー12と、第1カバー11と第2カバー12間を連結する連結ヒンジ部13とを備えている。第1カバー11は、ヒューズユニット本体2にロック手段(図示せず)を介して固定されている。第1カバー11には、左右一対のロック部11aが設けられている。第2カバー12には、下記する閉位置でロック部11aに係止される左右一対のロックアーム12aが設けられている。
【0017】
連結ヒンジ部13は、図2(b)に詳しく示すように、断面の外周形状が円周状、詳細には円柱形状のベルト形状であり、撓み変形可能に形成されている。連結ヒンジ部13は、長手方向の全域に亘って同一寸法(直径:A)の断面形状である。
【0018】
このような連結ヒンジ部13で第1カバー11に連結された第2カバー12は、連結ヒンジ部13の撓み変形によって、第2カバー12がヒューズユニット本体2の上面を覆う閉位置(図1の位置)とヒューズユニット本体2の上面より離間する開位置(図2(a)の位置)との間で変移する。第2カバー12の閉位置では、連結ヒンジ部13が全域に亘って同じ曲率で屈曲して全体で大きな円弧形状に撓み変形する。閉位置に位置する第2カバー12にあって、各ロックアーム12aをロック部11aよりロック解除し、第2カバー12が閉位置から開位置に変移すると、連結ヒンジ部13が一直線状になる方向に引っ張られる。連結ヒンジ部13は、この引っ張り力によって、第1カバー11と第2カバー12の各根本部13a、13bで折れ曲がる形状(曲率半径が小さくなる形状)で撓み変形する。
【0019】
第2カバー12は、通常の使用状態では、図1の閉位置と図2(a)の開位置との上下方向の移動が繰り返される。しかし、第2カバー12が第1カバー11に対して左右方向に引っ張られたり(図3の状態)、前後方向に引っ張られたり(図4の状態)する事態が起こり得る。ここで、連結ヒンジ部13の断面形状が円形状であるので、連結ヒンジ部13は、あらゆる曲げ方向で断面二次モーメント(曲げ剛性)が同じである。従って、連結ヒンジ部13がどの引っ張り方向に引っ張られた場合でも、連結ヒンジ部13の根本部13a,13bに発生する応力は、引っ張り荷重の大きさにのみ起因するため、引っ張り方向の違いによる応力集中を抑制できる。具体的には、左右方向の引っ張りでは根本部13b、前後方向の引っ張りでは根本部13aの応力集中を抑制でき、以上より、応力集中に起因する連結ヒンジ部13の破損を防止できる。
【0020】
また、連結ヒンジ部13の根本部13a、13bは、どの方向の曲げ方向でも曲げ剛性(断面二次モーメント)が同じであるため、屈曲程度(曲率半径)が同じであれば、根本部13aに発生する最大応力が同じになる。つまり、連結ヒンジ部13がどの引っ張り方向に引っ張られた場合でも、連結ヒンジ部13の曲げ剛性が同じであるため、引っ張り方向の違いによる最大応力を抑制でき、連結ヒンジ部13の破損を防止できる。
【0021】
連結ヒンジ部13は、使用環境上、発生する恐れのある引っ張り荷重に対し、その直径Aを調整することで引っ張りに対する強度を保持することができる。従って、連結ヒンジ部13のあらゆる引っ張り方向について、簡単な設計変更によって所望の強度を得ることができる。
【0022】
この実施形態では、連結ヒンジ部13は、その断面形状が円形であるが、円筒形であっても良い。つまり、連結ヒンジ部13は、あらゆる曲げ方向で断面二次モーメントが同じになる形状であれば良い。
【0023】
この実施形態では、本発明がヒューズユニット1のカバー10に適用された場合を示したが、ヒューズユニット1以外の電子機器を覆うカバー10にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
2 ヒューズユニット本体(電子機器)
10 カバー
11 第1カバー
12 第2カバー
13 連結ヒンジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8