特許第6227952号(P6227952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227952位相同期回路、位相同期方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227952
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】位相同期回路、位相同期方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/10 20060101AFI20171030BHJP
   H03L 7/08 20060101ALI20171030BHJP
   H03L 7/22 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H03L7/10
   H03L7/08
   H03L7/22
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-197715(P2013-197715)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-65547(P2015-65547A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏尚
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−001721(JP,A)
【文献】 特開平04−092512(JP,A)
【文献】 特開平08−340253(JP,A)
【文献】 特開平04−081126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/10
H03L 7/08
H03L 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路であって、
前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する位相弁別器と、
前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する発振部と、
前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記低域通過信号と前記出力信号との位相差が3π/4乃至5π/4となるように選択された信号を前記出力信号として出力するスイッチと
を備えていることを特徴とする位相同期回路。
【請求項2】
前記複数の信号は、前記発振信号と同位相の第1の信号、前記発振信号から位相がπ/2遅れた第2の信号、前記発振信号から位相がπ遅れた第3の信号及び前記発振信号から位相が3π/2遅れた第4の信号であり、前記スイッチは、前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力信号として選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の位相同期回路。
【請求項3】
前記発振部は、前記位相差信号の周波数を2倍にした発振信号を発振し、
前記第1の信号は、前記発振信号を周波数を2分割する2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第2の信号は、前記発振信号を前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であり、
前記第3の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第4の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号である請求項2に記載の位相同期回路。
【請求項4】
所定の間隔で制御信号を出力する制御回路をさらに備え、
前記スイッチは、前記第1乃至第4の信号のうち前記出力信号として選択する信号を、前記制御回路からの制御信号に基づいて、前記第1乃至第4の信号のいずれかに切り替える
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の位相同期回路。
【請求項5】
前記制御回路は、π/2毎に、前記制御信号を出力し、
前記スイッチは、前記制御信号を入力する毎に、前記第1の信号から前記第2の信号へ、前記第2の信号から前記第3の信号へ、前記第3の信号から前記第4の信号へ、又は、前記第4の信号から前記第1の信号へ、前記出力信号として選択する信号を切り替える
ことを特徴とする請求項4に記載の位相同期回路。
【請求項6】
前記制御回路は、前記位相差からπ/4減じたタイミングで前記制御信号の出力を開始し、前記開始後はπ/2毎に、前記制御信号を出力することを特徴とする請求項4又は5に記載の位相同期回路。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記位相差信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第1の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号とをNAND回路に入力し、前記NAND回路から出力された第2の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号を反転させた信号とをAND回路に入力して得た第3の制御信号と、
前記位相差信号を反転させた信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第4の制御信号と、を出力し、
前記スイッチは、前記第1乃至第4の制御信号のいずれかが立ち上がったことに応じて、前記立ち上がった制御信号に対応する前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力として選択する
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の位相同期回路。
【請求項8】
前記スイッチは、前記第1の制御信号と前記第2の信号とを対応付け、前記第2の制御信号と前記第3の信号とを対応付け、前記第3の制御信号と前記第1の信号とを対応付け、かつ、前記第4の制御信号と前記第4の信号とを対応付けることを特徴とする請求項7に記載の位相同期回路。
【請求項9】
前記位相弁別器は、位相比較器と、ループフィルタとを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の位相同期回路。
【請求項10】
入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路において、
前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力し、
前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力し、
前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記低域通過信号と前記出力信号との位相差が3π/4乃至5π/4となるように選択された信号を前記出力信号として出力する
ことを特徴とする位相同期方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相同期回路、位相同期方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号と出力信号とを同期させる位相同期回路において、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)における同期(周波数引き込み)に要する時間を短縮する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、三角波型位相比較器を含む位相同期回路において、VCOに対して、入力信号と出力信号との同期に必要な情報(信号)に相反する情報(信号)を伝達せず、必要な情報(信号)のみを伝達することにより、同期に必要な時間を短縮する技術が開示されている。
【0004】
図15は、特許文献1に記載の位相同期回路の構成を示す図である。図15に示すように、特許文献1に記載の位相同期回路は、三角波型位相比較器100と、ループフィルタ101と、VCO102とを含む。特許文献1において、三角波型位相比較器100は、入力信号103と、出力信号104の位相差を検出し、位相差信号105を出力する。ループフィルタ101は、この位相差信号105に含まれる直流成分及び位相に対応する低域通過信号106を出力する。VCO102は、低域通過信号106によって発振周波数を制御する。
【0005】
図16は、特許文献1に記載の位相同期回路に含まれる三角波型位相比較器100から出力される信号の特性を示す図である。特許文献1に記載のように、図16に示される三角波特性において、0〜π/2及び3π/2〜2πの信号成分は、VCOからの出力信号を入力信号と遠ざけようとする信号成分(三角波の負となる部分)である。そのため、0〜π/2及び3π/2〜2πの信号成分を用いると、同期に要する時間が長くなってしまう。
【0006】
そこで、特許文献1の位相同期回路は、三角波型位相比較器100から出力される位相差信号105の特性が3π/2になった時点を検出し、その時点で回路の切り替え等を実行し、当該3π/2からπ/2へと位相ジャンプを行う。その結果、当該位相同期回路では、0〜π/2及び3π/2〜2πの信号成分以外の三角波の正の部分だけをVCOに入力し、発振周波数を制御している。したがって、特許文献1に記載の位相同期回路は、同期に要する時間を短縮できる。
【0007】
また、特許文献2にも、三角波型位相比較器を含む位相同期回路において、特許文献1と同様に、三角波型位相比較器から出力される信号の特性が3π/2になった時点で、π/2に位相ジャンプを行う技術を開示する。これにより、特許文献2に記載の位相同期回路も、特許文献1に記載の位相同期回路と同様に、同期に要する時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−92512号公報
【特許文献2】特開平8−340253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のとおり、特許文献1及び2に記載の位相同期回路では、三角波型位相比較器から出力される信号の特性が3π/2になったときに、当該3π/2からπ/2へと位相ジャンプを行っている。すなわち、特許文献1及び2に記載の位相同期回路は、π/2〜3π/2の範囲の信号をVCOに入力して、同期を実行している。
【0010】
しかしながら、三角波型位相比較器から出力される信号の特性における3π/2及びπ/2の付近は、過渡変動を含んでいる。過渡変動の領域は信号が安定していないため、VCOにおける発振周波数の制御には適さない信号である。
【0011】
すなわち、特許文献1及び2に記載の位相同期回路は、三角波型位相比較器の出力信号における3π/2及びπ/2の付近の成分、つまり、VCOにおける発振周波数の制御には適さない信号を当該VCOに入力しており、その分、同期に要する時間が増大してしまうという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決し、位相同期回路に含まれるVCOに対して、過渡変動を含む信号を入力せず、当該VCOにおける信号の同期に要する時間を短縮できる位相同期回路等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の位相同期回路は、入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路であって、前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する位相弁別器と、前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する発振部と、前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力するスイッチとを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の位相同期方法は、入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路において、前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力し、前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力し、前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力することを特徴とする。
【0015】
本発明のプログラムは、入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路において、前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する処理と、前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する処理と、前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、位相同期回路に含まれるVCOに対して、過渡変動を含む信号を入力せず、当該VCOにおける信号の同期に要する時間を短縮可能な位相同期回路等を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態における位相同期回路の構成例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態における信号2aと、信号5a、5b、6a、6b、8a及び8bの関係を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態における信号2aと、信号5c、5d、6c、7a、7b、8c及び8dの関係を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態における信号3a、信号3d及び信号4aの関係を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態における信号3b、信号3c及び信号4bの関係を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態における信号3b、信号3c、信号3e及び信号4cの関係を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態における信号3a、信号3f、信号3d及び信号4dの関係を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態における信号2a、信号6aと信号4c、信号6bと信号4a、信号8aと信号4b、及び、信号8bと信号4d信号の関係を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態におけるSW21が信号6aを出力するように切り替えた場合の、信号6a、信号4c、信号2a’を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態におけるW21が信号6bを出力するように切り替えた場合の、信号6b、信号4a、信号2a’を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態におけるSW21が信号8aを出力するように切り替えた場合の、信号8a、信号4b、信号2a’を示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態におけるSW21が信号8bを出力するように切り替えた場合の、信号8b、信号4d、信号2a’を示す図である。
図13】本発明の第2の実施形態における位相同期回路の構成例を示す図である。
図14】本発明の第3の実施形態における位相同期回路の構成例を示す図である。
図15】特許文献1に記載の位相同期回路の構成例を示す図である。
図16】特許文献1に記載の位相同期回路に含まれる三角波型位相比較器から出力される信号の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態における、位相同期回路の構成例を示す図である。また、図2は、図1に示す位相同期回路における、入力信号YINを三角波位相比較器10−1に入力した場合の信号2a、信号5a、5b、6a、6b、8a及び8bの関係を示す図である。
【0020】
なお、本発明の第1の実施形態の位相同期回路では、図1に示すように、位相比較器10と、ループフィルタ11とは異なる構成であるが、当該位相比較器10とループフィルタ11とを含む位相弁別器(図1には図示していない)を設けるように構成してもよい。
【0021】
本発明の第1の実施形態において、位相同期回路は、入力信号YINを出力信号YOUTに同期させるための回路である。位相同期回路は、入力信号YINと、出力信号YOUTと位相差を一定の大きさ(例えば、π/2)で安定させるための回路である。
【0022】
なお、図2に示す信号2aは、ループフィルタ11−1の出力信号であり、本来は、位相比較器10−1から入力された信号の直流成分を積分した波形となるが、以下の説明では、VCO(2)17−1又はVCO(4)19の出力信号と同様の波形として記載する。
【0023】
特許文献1及び2に記載のとおり、図2に示す信号2aのうち0〜π/2及び3π/2〜5π/2の信号成分は、VCOからの出力信号を入力信号と遠ざけようとする信号成分(三角波の負となる部分)である。すなわち、図2に示す信号2aのうち0〜π/2及び3π/2〜5π/2の信号成分は、VCOにおける発振周波数の制御には適さない信号である。したがって、出力信号YOUTを入力信号YINに早く追随させるためには、VCO(2)17及びVCO(4)19に対して、信号2aのうちπ/2〜3π/2の信号成分を入力させることが必要である。
【0024】
さらに、本発明の第1の実施形態では、信号2aのうちπ/2及び3π/2付近の過渡変動が含まれる信号成分についても、VCOにおける発振周波数の制御には適さない信号であるため、VCO(2)17及びVCO(4)19には入力しない。
【0025】
すなわち、本発明の第1の実施形態では、信号2aのうち3π/4〜5π/4の信号成分をVCO(2)17及びVCO(4)19に対して入力するようにして、出力信号YOUTを入力信号YINに短時間で追随させる。なお、本発明の第1の実施形態における位相同期回路は、例えば、入力信号YINの数十周期〜数千周期分程度の時間をかけて、出力信号YOUTを入力信号YINに追随させる。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態における位相同期回路は、位相比較器10−1〜10−4(以下、特に区別する必要が無い場合は「位相比較器10」と記載する)を含む。位相比較器10は、入力された2つの信号の位相差を検出し、位相差信号を出力する。位相比較器10は、例えば、三角波型位相比較器である。三角波型位相比較器は、三角波特性により、入力された2つの位相差を出力する。
【0027】
本発明の第1の実施形態において、位相比較器10への入力信号YINは、例えば、基準となる信号(以下、「基準信号」と記載する)である。基準信号は、例えば、周波数の変動が少ない信号である。位相比較器10は、入力信号YINと、他の入力信号との位相差を検出し、当該位相差に応じた出力信号を出力する。
【0028】
また、当該位相同期回路は、ループフィルタ11−1〜11−4(以下、特に区別する必要が無い場合は「ループフィルタ11」と記載する)を含む。ループフィルタ11は、位相比較器10が出力した電圧波形1aを入力として、当該電圧波形1aに含まれる直流成分及びビート波形を出力する。ループフィルタ11は、例えばローパスフィルタでありVCO(2)17及びVCO(4)に入力する信号の電圧の変化を平坦にすることにより、当該VCO(2)17及びVCO(4)19の誤動作を防止する。なお、図2に示す信号2aは、ループフィルタ11−1の出力信号であり、本来は、入力信号1aの直流成分を積分した波形となるが、本発明の第1の実施形態では、VCO(2)17−1又はVCO(4)19の出力信号と同様の波形として説明する。
【0029】
ルーパスフィルタ11−1は、例えば、信号1aを入力すると、図2に示す波形である信号2aを出力する。
【0030】
また、当該位相同期回路は、比較器12−1〜12−4(以下、特に区別する必要が無い場合は「比較器12」と記載する)を含む。比較器12は、所定の閾値以上の信号に対して「1」を出力し、所定の閾値未満の信号に対して「0」を出力する装置である。
【0031】
また、当該位相同期回路は、VCO(2)17−1及び17−2とVCO(4)1(以下、特に区別する必要が無い場合は、「VCO」と記載する)を含む。VCOは、入力された信号の電圧によって、発振する信号の周波数を変えることが可能な発振器である。VCOは、例えば、入力された信号の電圧が高いと、発振周波数が高くなる。
【0032】
本発明の第1の実施形態において、VCOは、予め把握している入力信号YINの周波数の範囲に基づいて、当該入力信号YINの周波数の2倍又は4倍の周波数の範囲の信号を発振可能な発振器である。なお、本発明の第1の実施形態において、入力信号YINは、例えば基準信号であり、周波数の範囲が予め把握できる。
【0033】
VCO(2)17−1及び17−2は、入力信号YINの周波数の2倍の周波数の信号を発振する発振器である。VCO(4)19は、入力信号YINの周波数の4倍の周波数の信号を発振する発振器である。
【0034】
また、当該位相同期回路は、2分周回路18−1〜18−4(以下、特に区別する必要が無い場合は「2分周回路18」と記載する)と、4分周回路20とを含む。分周回路は、入力された信号の周波数を分割する(下げる)回路である。2分周回路18は、周波数を1/2にする。4分周回路20は、周波数を1/4にする。
【0035】
また、当該位相同期回路は、インバータ15−1〜15−7(以下、特に区別する必要が無い場合は「インバータ15」と記載する)を含む。インバータ15は、入力された信号を反転する。
【0036】
また、当該位相同期回路は、AND回路13−1〜13−3(以下、特に区別する必要が無い場合は「AND回路13」と記載する)を含む。AND回路13は、2個以上の入力端子と1個の出力端子を備え、全ての入力端子に信号が加えられたときだけ、出力端子に出力信号が現れる回路である。
【0037】
また、当該位相同期回路は、NAND回路14を含む。NAND回路14は、2個以上の入力端子と1個の出力端子を備え、全ての入力端子に信号が加えられたときだけ、出力端子に出力信号が現れず、少なくとも1個の入力端子に信号が加わらないときに、出力信号が現れる回路である。
【0038】
本発明の第1の実施形態の位相同期回路は、制御回路16と、スイッチ(SW)21とを含む。制御回路16は、入力された信号4a、4b、4c及び4dを、SW21に出力する。
【0039】
SW21は、入力された信号4a、4b、4c及び4dのそれぞれの立ち上がりを検知し、当該立ち上がりを検知した信号に基づいて、出力する信号を切り替える。SW21は、信号4aの立ち上がりを検知したことに応じて、出力する信号を6bに切り替える。また、SW21は、信号4bの立ち上がりを検知したことに応じて、出力する信号を8aに切り替える。また、SW21は、信号4cの立ち上がりを検知したことに応じて、出力する信号を6aに切り替える。さらに、SW21は、信号4dの立ち上がりを検知したことに応じて、出力する信号を8bに切り替える。
【0040】
図2は、上述した通り、図1に示す位相同期回路における、信号2aと、信号5a、5b、6a、6b、8a及び8bの関係を示す図である。
【0041】
上述したとおり、図2に示す信号2aは、本来は、入力信号1aの直流成分を積分した波形となるが、本発明の第1の実施形態では、VCO(2)17−1又はVCO(4)19の出力信号と同様の波形として説明する。
【0042】
図2に示すように、信号2aをVCO(2)17−1に入力すると、周波数が2倍である信号5aが出力される。信号5aをインバータ15−3に入力すると、反転されて信号5bが出力される。
【0043】
図2に示すように、信号5aを2分周回路18−1に入力すると、周波数が1/2となる信号6aが出力される。また、信号5bを2分周回路18−2に入力すると、周波数が1/2となる信号6bが出力される。
【0044】
図2に示すように、信号6aをインバータ15−5に入力すると、反転されて信号8aが出力される。また、信号6bをインバータ15−6に入力すると、反転されて信号8bが出力される。
【0045】
本発明の第1の実施形態の位相同期回路では、図2に示すように、信号2aに対して、信号6bの位相はπ/2遅く、信号8aの位相はπ遅く、信号8bの位相は3π/2遅い。ただし、VCOが位相の同期処理を実行するので、信号6a、信号6b、信号8a及び信号8bは、信号2aに比べて、位相の遅れが補償されている。したがって、実際は、信号6b、信号8a及び信号8bの位相の遅れは、信号2aに対して、それぞれπ/2、π及び3π/2よりも小さい値となっている。
【0046】
本発明の第1の実施形態において、SW21は、図2に示す信号6a、6b、8a及び8bのいずれかを出力する。
【0047】
図3は、図1に示す位相同期回路における、信号2aと、信号5c、5d、6c、7a、7b、8c及び8dの関係を示す図である。図3に示すように、信号2aをVCO(4)19に入力すると、周波数が4倍である信号5cが出力される。信号5cをインバータ15−4に入力すると、反転されて信号5dが出力される。
【0048】
図3に示すように、信号5dを4分周回路20に入力すると、周波数が1/4となる信号6cが出力される。
【0049】
図3に示すように、信号6cをVCO(2)17−2に入力すると、周波数が2倍である信号7aが出力される。信号7aをインバータ15−7に入力すると、反転されて信号7bが出力される。
【0050】
図3に示すように、信号7aを2分周回路18−3に入力すると、周波数が1/2となる信号8cが出力される。信号7bを2分周回路18−4に入力すると、周波数が1/2となる信号8dが出力される。
【0051】
本発明の第1の実施形態の位相同期回路では、図3に示すように、信号8cの位相はπ/4遅く、信号8dの位相は3π/4遅い。
【0052】
図4は、図1に示す位相同期回路における、信号3a、信号3d及び信号4aの関係を示す図である。信号3aは、入力信号YINと位相差が無い信号である。信号3dは、信号入力信号YINと、入力信号YINに比べて位相が3π/4遅い信号8dとを入力とした場合の、位相比較器10−4からの出力信号である。すなわち、信号3dは、入力信号YINに対して位相が3π/4遅い信号である。
【0053】
そのため、信号3aと信号3dとをAND13−1に入力すると、図4に示すように、両者の信号が入力されている「5π/4〜3π/2」において、信号が出力される。したがって、信号4aは、図4に示すように、5π/4において立ち上がる波形となる。
【0054】
図5は、図1に示す位相同期回路における、信号3b、信号3c及び信号4bの関係を示す図である。信号3bは、入力信号YINと、入力信号YINに対して位相がπ/4遅い信号8cとを入力とした場合の、位相比較器10−2からの出力信号である。すなわち、信号3bは、入力信号YINに対して位相がπ/4遅い信号である。また、信号3cは、入力信号と、入力信号YINに対して位相がπ遅い信号6bとを入力とした場合の、位相比較器10−3からの出力信号である。すなわち、信号3cは、入力信号YINに対して位相がπ遅い信号である。
【0055】
そのため、信号3bと信号3cとをNAND14に入力すると、図5に示すように、両者の信号の少なくとも1つが入力されている「7π/4〜2π」において、信号が出力される。したがって、信号4bは、図5に示すように、7π/4において立ち上がる波形となる。
【0056】
図6は、図1に示す位相同期回路における、信号3b、信号3c、信号3e及び信号4cの関係を示す図である。信号3eは、信号3cをインバータ15−1に入力し、反転させた信号である。したがって、信号3eは、入力信号YINに対して位相が3π/2遅い信号となる。
【0057】
そのため、信号3bと信号3eとをAND13−2に入力すると、図6に示すように、両者の信号が入力されている「3π/4〜π」において、信号が出力される。したがって、信号4cは、図6に示すように、3π/4において立ち上がる波形となる。
【0058】
図7は、図1に示す位相同期回路における、信号3a、信号3f、信号3d及び信号4dの関係を示す図である。信号3fは、信号3aをインバータ15−2に入力し、反転させた信号である。したがって、信号3fは、入力信号YINに対して位相がπ遅い信号となる。
【0059】
そのため、信号3dと信号3fとをAND13−3を入力すると、図7に示すように、両者の信号が入力されている「π/4〜π/2」において、信号が出力される。したがって、信号4dは、図7に示すように、5π/4において立ち上がる波形となる。
【0060】
図8は、図1に示す位相同期回路における、信号2a、信号6aと信号4c、信号6bと信号4a、信号8aと信号4b、及び、信号8bと信号4d信号の関係を示す図である。
【0061】
上述したとおり、SW21は、入力された信号4a、4b、4c及び4dのそれぞれの立ち上がりを検知し、出力する信号を切り替える。
【0062】
図9は、信号4cが立ち上がるタイミング(3π/4において立ち上がる)で、SW21が信号6aを出力するように切り替えた場合の、信号6a、信号4c、信号1a’、信号2a’を示す図である。
【0063】
信号6aは、信号2aと位相差がない信号である。したがって、当該信号6aを出力信号YOUTとして位相比較器10−1に入力し、ループフィルタ11−1に入力すると、図9にしめす出力信号2a’が出力される。図9に示すように、信号2a’は、図2に示す信号2aと同じ波形となる。
【0064】
ここで、当該信号2a’をVCOに入力し続けると、図9における3π/2の付近及び3π/2〜5π/2の範囲の信号2a’、すなわちVCOにおける発振周波数の制御には適さない信号を当該VCOに入力することになり、その分、同期に要する時間が増大してしまう
そこで、本発明の第1の実施形態では、信号4aが立ち上がるタイミング(5π/4において立ち上がる)で、SW21が信号6bを出力するように切り替える。
【0065】
図10は、信号4aが立ち上がり、SW21が信号6bを出力するように切り替えた場合の、信号6b、信号4a、信号2a’を示す図である。信号6bは、信号2aに対して位相がπ/2遅れている。すなわち、信号6bは、入力信号YINから、信号2aよりもさらにπ/2だけ位相が遅れている。したがって、当該信号6bが、出力信号YOUTとして位相比較器10−1に入力すると、ループフィルタ11−1の出力信号2a’は、図10に示す波形となり、三角波型位相比較器の三角波特性のうち、三角波の正の部分だけをVCOに入力することができる。
【0066】
しかし、図10に示す信号2a’をVCOに入力し続けると、図10の信号2’における2π付近及び2π〜3πの範囲の信号2a’、すなわちVCOにおける発振周波数の制御には適さない信号を当該VCOに入力することになり、その分、同期に要する時間が増大してしまう
そこで、本発明の第1の実施形態では、信号4bが立ち上がるタイミング(7π/4において立ち上がる)で、SW21が信号8aを出力するように切り替える。
【0067】
図11は、信号4bが立ち上がり、SW21が信号8aを出力するように切り替えた場合の、信号8a、信号4b、信号2a’を示す図である。信号8aは、信号2aに対して位相が3π/2遅れている。すなわち、信号8aは、入力信号YINから、信号2aよりもさらに3π/2だけ位相が遅れている。したがって、当該信号8aが、出力信号YOUTとして位相比較器10−1に入力すると、ループフィルタ11−1の出力信号2a’は、図11に示す波形となる。したがって、図11の2a’のうち矢印で示す範囲がVCOに入力されるため、三角波型位相比較器の三角波特性のうち、三角波の正の部分だけをVCOに入力することができる。
【0068】
しかし、図11に示す信号2a’をVCOに入力し続けると、図11の信号2’における5π/2付近及び5π/2〜7π/2の範囲の信号2a’、すなわちVCOにおける発振周波数の制御には適さない信号を当該VCOに入力することになり、その分、同期に要する時間が増大してしまう
そこで、本発明の第1の実施形態では、信号4bが立ち上がるタイミング(9π/4において立ち上がる)で、SW21が信号8bを出力するように切り替える。
【0069】
図12は、信号4bが立ち上がり、SW21が信号8bを出力するように切り替えた場合の、信号8b、信号4d、信号2a’を示す図である。信号8bは、信号2aに対して位相が5π/2遅れている。すなわち、信号8aは、入力信号YINから、信号2aよりもさらに5π/2だけ位相が遅れている。したがって、当該信号8aが、出力信号YOUTとして位相比較器10−1に入力すると、ループフィルタ11−1の出力信号2a’は、図12に示す波形となる。したがって、図12の2a’のうち矢印で示す範囲がVCOに入力されるので、三角波型位相比較器の三角波特性のうち、三角波の正の部分だけをVCOに入力することができる。
【0070】
上述した通り、図2に示す信号2aのうち0〜π/2及び3π/2〜2πの信号成分は、VCO(2)17及びVCO(4)19における発振周波数の制御には適さない信号であり、当該信号を当該VCOに入力すると、同期に要する時間が増大してしまう。したがって、出力信号YOUTを入力信号YINに早く追随させるためには、VCO(2)17及びVCO(4)19に対して、信号2aのうちπ/2〜3π/2の信号成分を入力させることが必要である。
【0071】
さらに、本発明の第1の実施形態では、信号2aのうちπ/2及び3π/2付近の過渡変動が含まれる信号成分についても、VCOにおける発振周波数の制御には適さない信号であることから、VCO(2)17及びVCO(4)19に対して入力しない。
【0072】
そこで、本発明の第1の実施形態では、信号2aの3π/4〜5π/4の信号成分に該当する信号成分をVCO(2)17及びVCO(4)19に対して入力するようにして、出力信号YOUTを入力信号YINに追随させる。
【0073】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明の第2の実施形態において、本発明の第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0074】
図13は、本発明の第2の実施形態における位相同期回路の構成例を示す図である。
【0075】
図13に示すように、本発明の第2の実施形態における位相同期回路は、入力信号が入力され出力信号が出力される回路である。そして、当該位相同期回路は、位相弁別器1と、SW21と、VCO(発振部)170とを含む。なお、位相弁別器1は、本発明の第1の実施形態における位相比較器10と、ループフィルタ11とを含む手段として機能する。また、VCO170は、本発明の第1の実施形態におけるVCO(2)17又はVCO(4)19に対応する。
【0076】
位相弁別器1は、当該入力信号と当該出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する。
【0077】
VCO(発振部)170は、当該低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する。
【0078】
SW21は、当該発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、当該位相差が減少するように、かつ、当該低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する。
【0079】
上記のとおり、本発明の第2の実施形態において、SW21は、当該発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、当該位相差が減少するように、かつ、当該低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する。したがって、本発明の第2の実施形態では、位相同期回路に含まれるVCOに対して、過渡変動を含む信号を入力せず、当該VCOにおける信号の同期に要する時間を短縮できる位相同期回路等を提供することができる。
【0080】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明の第3の実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0081】
図14は、本発明の第3の実施形態における位相同期回路の構成例を示す図である。
【0082】
図14に示すように、本発明の第2の実施形態における位相同期回路は、入力信号が入力され出力信号が出力される回路である。そして、図14に示すように、本発明の第2の実施形態における位相同期回路は、制御回路16と、位相弁別器1と、SW21と、VCO(発振部)170とを含む。なお、VCO170は、本発明の第1の実施形態におけるVCO(2)17又はVCO(4)19に対応する。
【0083】
図14に示すように、本発明の第2の実施形態において、位相弁別器1は、位相比較器10と、ループフィルタ11とを含み、当該入力信号と当該出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する。
【0084】
SW21は、例えば、当該発振信号と同位相の第1の信号、当該発振信号から位相がπ/2遅れた第2の信号、当該発振信号から位相がπ遅れた第3の信号及び当該発振信号から位相が3π/2遅れた第4の信号のいずれかを、当該出力信号として選択する。
【0085】
SW21は、例えば、当該第1乃至第4の信号のうち当該出力信号として選択する信号を、当該制御回路からの制御信号に基づいて、当該第1乃至第4の信号のいずれかに切り替える。
【0086】
SW21は、例えば、当該制御信号を入力する毎に、当該第1の信号から当該第2の信号へ、当該第2の信号から当該第3の信号へ、当該第3の信号から当該第4の信号へ、又は、当該第4の信号から当該第1の信号へ、当該出力信号として選択する信号を切り替える。
【0087】
SW21は、例えば、当該制御信号を入力する毎に、当該第1の信号から当該第2の信号へ、当該第2の信号から当該第3の信号へ、当該第3の信号から当該第4の信号へ、又は、当該第4の信号から当該第1の信号へ、当該出力信号として選択する信号を切り替える。
【0088】
本発明の第3の実施形態において、VCO(発振部)170は、例えば、当該位相差信号の周波数を2倍にした発振信号を発振する。
【0089】
ここで、本発明の第3の実施形態において、当該第1の信号は、当該発振信号を、周波数を2分割する2分周回路に入力して得た信号であり、当該第2の信号は、当該発振信号を当該2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号である。また、当該第3の信号は、当該発振信号を反転させた信号を、当該2分周回路に入力して得た信号であり、当該第4の信号は、当該発振信号を反転させた信号を、当該2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号である。
【0090】
本発明の第3の実施形態において、制御回路16は、所定の間隔で制御信号を出力する。
【0091】
制御回路16は、例えば、当該位相差からπ/4減じたタイミングで当該制御信号の出力を開始し、当該開始後はπ/2毎に、当該制御信号を出力する。
【0092】
制御回路16は、例えば、当該位相差信号と、当該位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第1の制御信号を出力する。また、制御回路16は、例えば、当該位相差信号との位相差がπ/4の信号と、当該位相差信号との位相差がπ/2との信号とをNAND回路に入力し、当該NAND回路から出力された第2の制御信号を出力する。制御回路16は、例えば、当該位相差信号との位相差がπ/4の信号と、当該位相差信号との位相差がπ/2との信号を反転させた信号とをAND回路に入力して得た第3の制御信号を出力する。また、制御回路16は、例えば、当該位相差信号を反転させた信号と、当該位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第4の制御信号を出力する。
【0093】
なお、SW21は、例えば、当該第1乃至第4の制御信号のいずれかが立ち上がったことに応じて、当該立ち上がった制御信号に対応する当該第1乃至第4の信号のいずれかを当該出力として選択する。また、SW21は、例えば、当該第1の制御信号と当該第2の信号とを対応付け、当該第2の制御信号と当該第3の信号とを対応付け、当該第3の制御信号と当該第1の信号とを対応付け、かつ、当該第4の制御信号と当該第4の信号とを対応付ける。
【0094】
上記のとおり、本発明の第3の実施形態において、SW21は、当該発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、当該位相差が減少するように、かつ、当該低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する。したがって、本発明の第3の実施形態では、位相同期回路に含まれるVCOに対して、位相弁別器1の出力信号における過渡変動を含む領域の成分を入力せず、当該VCOにおける信号の同期に要する時間を短縮できる位相同期回路等を提供することができる。
【0095】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態において、上記各実施形態における位相同期回路を実現するサーバ等のコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro−Processing Unit)等は、上述した各実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を実行する。
【0096】
本発明の第4の実施形態において、当該位相同期回路を実現するサーバ等は、例えばCD−R(Compact Disc Recordable)等の各種記憶媒体又はネットワークを介して、上述した各実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を取得する。当該位相同期回路を実現するサーバ等が取得するプログラム、又は、該プログラムを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。なお、該ソフトウェア(プログラム)は、例えば、当該位相同期回路を実現するサーバ等に含まれる所定の記憶部に、予め記憶されていてもよい。
【0097】
当該位相同期回路を実現するサーバ等のコンピュータ、CPU又はMPU等は、取得したソフトウェア(プログラム)のプログラムコードを読み出して実行する。したがって、当該位相同期回路を実現するサーバ等は、上述した各実施形態における位相同期回路の処理と同一の処理を実行する。
【0098】
本発明の第4の実施形態によれば、上記各実施形態における位相同期回路を実現するサーバ等コンピュータ、CPU又はMPU等に実現するためのプログラムといった用途に適用できる。
【0099】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0100】
[付記1]
入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路であって、
前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する位相弁別器と、
前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する発振部と、
前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力するスイッチと
を備えていることを特徴とする位相同期回路。
【0101】
[付記2]
前記複数の信号は、前記発振信号と同位相の第1の信号、前記発振信号から位相がπ/2遅れた第2の信号、前記発振信号から位相がπ遅れた第3の信号及び前記発振信号から位相が3π/2遅れた第4の信号であり、
前記スイッチは、前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力信号として選択する
ことを特徴とする付記1に記載の位相同期回路。
【0102】
[付記3]
前記発振部は、前記位相差信号の周波数を2倍にした発振信号を発振し、
前記第1の信号は、前記発振信号を、周波数を2分割する2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第2の信号は、前記発振信号を前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であり、
前記第3の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第4の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号である付記2に記載の位相同期回路。
【0103】
[付記4]
所定の間隔で制御信号を出力する制御回路をさらに備え、
前記スイッチは、前記第1乃至第4の信号のうち前記出力信号として選択する信号を、前記制御回路からの制御信号に基づいて、前記第1乃至第4の信号のいずれかに切り替える
ことを特徴とする付記2又は3に記載の位相同期回路。
【0104】
[付記5]
前記制御回路は、π/2毎に、前記制御信号を出力し、
前記スイッチは、前記制御信号を入力する毎に、前記第1の信号から前記第2の信号へ、前記第2の信号から前記第3の信号へ、前記第3の信号から前記第4の信号へ、又は、前記第4の信号から前記第1の信号へ、前記出力信号として選択する信号を切り替える
ことを特徴とする付記4に記載の位相同期回路。
【0105】
[付記6]
前記制御回路は、前記位相差からπ/4減じたタイミングで前記制御信号の出力を開始し、前記開始後はπ/2毎に、前記制御信号を出力することを特徴とする付記4又は5に記載の位相同期回路。
【0106】
[付記7]
前記制御回路は、
前記位相差信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第1の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号とをNAND回路に入力し、前記NAND回路から出力された第2の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号を反転させた信号とをAND回路に入力して得た第3の制御信号と、
前記位相差信号を反転させた信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第4の制御信号と、を出力し、
前記スイッチは、前記第1乃至第4の制御信号のいずれかが立ち上がったことに応じて、前記立ち上がった制御信号に対応する前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力として選択する
ことを特徴とする付記4乃至6のいずれかに記載の位相同期回路。
【0107】
[付記8]
前記スイッチは、前記第1の制御信号と前記第2の信号とを対応付け、前記第2の制御信号と前記第3の信号とを対応付け、前記第3の制御信号と前記第1の信号とを対応付け、かつ、前記第4の制御信号と前記第4の信号とを対応付けることを特徴とする付記7に記載の位相同期回路。
【0108】
[付記9]
前記位相弁別器は、位相比較器と、ループフィルタとを含むことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の位相同期回路。
【0109】
[付記10]
入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路において、
前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力し、
前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力し、
前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する
ことを特徴とする位相同期方法。
【0110】
[付記11]
前記複数の信号は、前記発振信号と同位相の第1の信号、前記発振信号から位相がπ/2遅れた第2の信号、前記発振信号から位相がπ遅れた第3の信号及び前記発振信号から位相が3π/2遅れた第4の信号であり、前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力信号として選択する
ことを特徴とする付記10に記載の位相同期方法。
【0111】
[付記12]
前記位相差信号の周波数を2倍にした発振信号を発振し、
前記第1の信号は、前記発振信号を、周波数を2分割する2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第2の信号は、前記発振信号を前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であり、
前記第3の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第4の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であることを特徴とする付記11に記載の位相同期方法。
【0112】
[付記13]
所定の間隔で制御信号を出力し、
前記第1乃至第4の信号のうち前記出力信号として選択する信号を、前記制御信号に基づいて、前記第1乃至第4の信号のいずれかに切り替える
ことを特徴とする付記11又は12に記載の位相同期方法。
【0113】
[付記14]
π/2毎に前記制御信号を出力し、
前記制御信号を入力する毎に、前記第1の信号から前記第2の信号へ、前記第2の信号から前記第3の信号へ、前記第3の信号から前記第4の信号へ、又は、前記第4の信号から前記第1の信号へ、前記出力信号として選択する信号を切り替える
ことを特徴とする付記13に記載の位相同期方法。
【0114】
[付記15]
前記位相差からπ/4減じたタイミングで前記制御信号の出力を開始し、前記開始後はπ/2毎に、前記制御信号を出力することを特徴とする付記13又は14に記載の位相同期方法。
【0115】
[付記16]
前記位相差信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第1の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号とをNAND回路に入力し、前記NAND回路から出力された第2の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号を反転させた信号とをAND回路に入力して得た第3の制御信号と、
前記位相差信号を反転させた信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第4の制御信号と、を出力し、
前記第1乃至第4の制御信号のいずれかが立ち上がったことに応じて、前記立ち上がった制御信号に対応する前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力として選択する
ことを特徴とする付記13乃至15のいずれかに記載の位相同期方法。
【0116】
[付記17]
前記第1の制御信号と前記第2の信号とを対応付け、前記第2の制御信号と前記第3の信号とを対応付け、前記第3の制御信号と前記第1の信号とを対応付け、かつ、前記第4の制御信号と前記第4の信号とを対応付けることを特徴とする付記16に記載の位相同期方法。
【0117】
[付記18]
入力信号が入力され出力信号が出力される位相同期回路において、
前記入力信号と前記出力信号の位相差に対し、そのレベルが周期2πの三角波状に変化する低域通過信号を出力する処理と、
前記低域通過信号のレベルに対応する発振周波数を有する発振信号を出力する処理と、
前記発振信号とπ/2の整数倍の位相差を有する複数の信号から、前記位相差が減少するように、かつ、前記低域通過信号が過渡変動を含まないように選択された信号を前記出力信号として出力する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0118】
[付記19]
前記複数の信号は、前記発振信号と同位相の第1の信号、前記発振信号から位相がπ/2遅れた第2の信号、前記発振信号から位相がπ遅れた第3の信号及び前記発振信号から位相が3π/2遅れた第4の信号であり、前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力信号として選択する
ことを特徴とする付記18に記載のプログラム。
【0119】
[付記20]
前記位相差信号の周波数を2倍にした発振信号を発振する処理を含み、
前記第1の信号は、前記発振信号を、周波数を2分割する2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第2の信号は、前記発振信号を前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であり、
前記第3の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号であり、
前記第4の信号は、前記発振信号を反転させた信号を、前記2分周回路に入力して得た信号を反転させた信号であることを特徴とする付記18に記載の位相同期方法。
【0120】
[付記21]
所定の間隔で制御信号を出力する処理と、
前記第1乃至第4の信号のうち前記出力信号として選択する信号を、前記制御信号に基づいて、前記第1乃至第4の信号のいずれかに切り替える処理とを
含むことを特徴とする付記19又は20に記載のプログラム。
【0121】
[付記22]
π/2毎に前記制御信号を出力する処理と、
前記制御信号を入力する毎に、前記第1の信号から前記第2の信号へ、前記第2の信号から前記第3の信号へ、前記第3の信号から前記第4の信号へ、又は、前記第4の信号から前記第1の信号へ、前記出力信号として選択する信号を切り替える処理と
を含むことを特徴とする付記21に記載のプログラム。
【0122】
[付記23]
前記位相差からπ/4減じたタイミングで前記制御信号の出力を開始し、前記開始後はπ/2毎に、前記制御信号を出力する処理を含むことを特徴とする付記21又は22に記載のプログラム。
【0123】
[付記24]
前記位相差信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第1の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号とをNAND回路に入力し、前記NAND回路から出力された第2の制御信号と、
前記位相差信号との位相差がπ/4の信号と、前記位相差信号との位相差がπ/2との信号を反転させた信号とをAND回路に入力して得た第3の制御信号と、
前記位相差信号を反転させた信号と、前記位相差信号との位相差が3π/4である信号とをAND回路に入力して得た第4の制御信号と、を出力する処理と、
前記第1乃至第4の制御信号のいずれかが立ち上がったことに応じて、前記立ち上がった制御信号に対応する前記第1乃至第4の信号のいずれかを前記出力として選択する処理と
を含むことを特徴とする付記21乃至23のいずれかに記載のプログラム。
【0124】
[付記25]
前記第1の制御信号と前記第2の信号とを対応付け、前記第2の制御信号と前記第3の信号とを対応付け、前記第3の制御信号と前記第1の信号とを対応付け、かつ、前記第4の制御信号と前記第4の信号とを対応付けることを特徴とする付記24に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0125】
10、10−1、10−2、10−3、10−4 位相比較器
11、11−1、11−2、11−3、11−4 ループフィルタ
12、12−1、12−2、12−3、12−4 比較器
13、13−1、13−2、13−3 AND回路
14 NAND回路
15、15−1、15−2、15−3、15−4、15−5、15−6、15−7 インバータ
16 制御装置
17、17−1、17−2 VCO(2)
18、18−1、18−2、18−3、18−4 2分周回路
19 VCO(4)
20 4分周回路
21 SW
100 三角波型位相比較器
101 ループフィルタ
1 位相弁別器
102、170 VCO
図1
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図3
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