特許第6227957号(P6227957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227957
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ソケット構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/46 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H01R33/46 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-205035(P2013-205035)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-69911(P2015-69911A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】米田 純
(72)【発明者】
【氏名】前田 正憲
(72)【発明者】
【氏名】中竹 順一
(72)【発明者】
【氏名】畑山 淳志
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−008012(JP,A)
【文献】 特開昭62−254378(JP,A)
【文献】 特開平04−126380(JP,A)
【文献】 実開昭57−025483(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のソケット本体(11)と、このソケット本体(11)に保持される正極端子(12)及び負極端子(13)とからソケット(10)が構成され、前記ソケット本体(11)が、電球(71)が挿入される筒状の周壁(21)と、前記周壁(21)より半径方向外側に配置された外壁(22)とを備え、前記負極端子(13)が、前記周壁(21)の軸線(21J)に沿うように前記周壁(21)の開口(21c)に向かって延出し、前記負極端子(13)の延出方向の中間部が前記ソケット(10)の中心側へ向かって凸状に屈曲する屈曲部(61)を備えるソケット構造において、
前記負極端子(13)は、前記外壁(22)の半径方向外側に配置されて前記ソケット本体(11)に保持される被保持部(51)と、前記被保持部(51)の前記開口(21c)とは反対側の端部から前記ソケット(10)の中心側へ延びる第1アーム部(53)と、前記第1アーム部(53)の端部から前記軸線(21J)に沿って前記開口(21c)側に延びる第2アーム部(54)とから構成され、
前記軸線(21J)の延びる方向に沿うように前記周壁(21)の内周面に溝部(21d)が形成され、この溝部(21d)に前記第2アーム部(54)が配置され、前記周壁(21)の開口(21c)側には、前記第2アーム部(54)の開口側端部の半径方向内側への移動を規制する規制部(21e)が設けられ
前記被保持部(51)に、前記開口(21c)とは反対側に指向する切り起こし部(57)が形成され、前記切り起こし部(57)は、前記外壁(22)から半径方向外側に突出した突出壁(22b)により形成された段部(22a)に係止されていることを特徴とするソケット構造。
【請求項2】
前記規制部(21e)は、前記溝部(21d)内に且つ前記周壁(21)の内周面(21f)に面一に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のソケット構造。
【請求項3】
筒状のソケット本体(81)と、このソケット本体(81)に保持される正極端子(12)及び負極端子(83)とからソケット(80)が構成され、前記ソケット本体(81)が、電球(71)が挿入される筒状の周壁(82)と、前記周壁(21)より半径方向外側に配置された外壁(22)とを備え、前記負極端子(83)が、前記周壁(82)の軸線(21J)に沿うように前記周壁(82)の開口(21c)に向かって延出し、前記負極端子(83)の延出方向の中間部が前記ソケット(10)の中心側へ向かって凸状に屈曲する屈曲部(61)を備えるソケット構造において、
前記負極端子(83)は、前記外壁(22)の半径方向外側に配置されて前記ソケット本体(81)に保持される被保持部(51)と、前記被保持部(51)の前記開口(21c)とは反対側の端部から前記ソケット(10)の中心側へ延びる第1アーム部(53)と、前記第1アーム部(53)の端部から前記軸線(21J)に沿って前記開口(21c)側に延びる第2アーム部(85)とから構成され、
前記軸線(21J)の延びる方向に沿うように前記周壁(21)の内周面に溝部(21d)が形成され、この溝部(21d)に前記第2アーム部(85)が配置され、前記第2アーム部(85)の開口側端部が、前記周壁(82)側から前記外壁(22)の端部(22c)を越え、屈曲して前記外壁(22)の外面(22g)に掛けられるように略L字状に形成された開口側屈曲部(85c)を有し、
前記被保持部(51)に、前記開口(21c)とは反対側に指向する切り起こし部(57)が形成され、前記切り起こし部(57)は、前記外壁(22)から半径方向外側に突出した突出壁(22b)により形成された段部(22a)に係止されていることを特徴とするソケット構造。
【請求項4】
前記負極端子(13,83)は、前記ソケット本体(11,81)に前記開口(21c)とは反対側から組み付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソケット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット本体に保持される端子の先端部がソケット本体の電球を挿入する開口側に位置するソケットにおいて端子の形状が改良されたソケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソケット構造として、筒状のソケット本体と、ソケット本体に保持される端子とからソケットが構成され、端子の先端部がソケット本体の電球が挿入される開口に向かって延出し、端子の長手方向中間部がソケット中心に向かって凸となる屈曲部を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−8012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、端子の先端部が、開口側に指向しているが、ソケット中心側にやや斜めに指向しているため、電球をソケットに挿入するときに、端子が、電球の口金の側面ではなく電球の口金の底部に当たる可能性があり、電球の挿入が困難になるおそれがある。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、電球をソケットに良好に挿入することが可能なソケット構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、筒状のソケット本体(11)と、このソケット本体(11)に保持される正極端子(12)及び負極端子(13)とからソケット(10)が構成され、前記ソケット本体(11)が、電球(71)が挿入される筒状の周壁(21)と、前記周壁(21)より半径方向外側に配置された外壁(22)とを備え、前記負極端子(13)が、前記周壁(21)の軸線(21J)に沿うように前記周壁(21)の開口(21c)に向かって延出し、前記負極端子(13)の延出方向の中間部が前記ソケット(10)の中心側へ向かって凸状に屈曲する屈曲部(61)を備えるソケット構造において、前記負極端子(13)は、前記外壁(22)の半径方向外側に配置されて前記ソケット本体(11)に保持される被保持部(51)と、前記被保持部(51)の前記開口(21c)とは反対側の端部から前記ソケット(10)の中心側へ延びる第1アーム部(53)と、前記第1アーム部(53)の端部から前記軸線(21J)に沿って前記開口(21c)側に延びる第2アーム部(54)とから構成され、前記軸線(21J)の延びる方向に沿うように前記周壁(21)の内周面に溝部(21d)が形成され、この溝部(21d)に前記第2アーム部(54)が配置され、前記周壁(21)の開口(21c)側には、前記第2アーム部(54)の開口側端部の半径方向内側への移動を規制する規制部(21e)が設けられ、前記被保持部(51)に、前記開口(21c)とは反対側に指向する切り起こし部(57)が形成され、前記切り起こし部(57)は、前記外壁(22)から半径方向外側に突出した突出壁(22b)により形成された段部(22a)に係止されていることを特徴とする。
【0006】
記構成において、前記規制部(21e)は、前記溝部(21d)内に且つ前記周壁(21)の内周面(21f)に面一に設けられていても良い。
【0007】
また、本発明は、筒状のソケット本体(81)と、このソケット本体(81)に保持される正極端子(12)及び負極端子(83)とからソケット(80)が構成され、前記ソケット本体(81)が、電球(71)が挿入される筒状の周壁(82)と、前記周壁(21)より半径方向外側に配置された外壁(22)とを備え、前記負極端子(83)が、前記周壁(82)の軸線(21J)に沿うように前記周壁(82)の開口(21c)に向かって延出し、前記負極端子(83)の延出方向の中間部が前記ソケット(10)の中心側へ向かって凸状に屈曲する屈曲部(61)を備えるソケット構造において、前記負極端子(13)は、前記外壁(22)の半径方向外側に配置されて前記ソケット本体(11)に保持される被保持部(51)と、前記被保持部(51)の前記開口(21c)とは反対側の端部から前記ソケット(10)の中心側へ延びる第1アーム部(53)と、前記第1アーム部(53)の端部から前記軸線(21J)に沿って前記開口(21c)側に延びる第2アーム部(54)とから構成され、前記軸線(21J)の延びる方向に沿うように前記周壁(21)の内周面に溝部(21d)が形成され、この溝部(21d)に前記第2アーム部(85)が配置され、前記第2アーム部(85)の開口側端部が、前記周壁(82)側から前記外壁(22)の端部(22c)を越え、屈曲して前記外壁(22)の外面(22g)に掛けられるように略L字状に形成された開口側屈曲部(85c)を有し、前記被保持部(51)に、前記開口(21c)とは反対側に指向する切り起こし部(57)が形成され、前記切り起こし部(57)は、前記外壁(22)から半径方向外側に突出した突出壁(22b)により形成された段部(22a)に係止されていることを特徴とする。
上記構成において、前記負極端子(13,83)は、前記ソケット本体(11,81)に前記開口(21c)とは反対側から組み付けられるようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、周壁に沿って負極端子が配置され、周壁の開口側には、負極端子の開口側端部の半径方向内側への移動を規制する規制部が設けられているので、負極端子の開口側端部の半径方向内側への移動を規制部で規制するため、電球をソケットに挿入する際の電球の底部が負極端子の開口側端部に当たることがない。従って、電球をソケットに良好に挿入することができる。
【0009】
また、軸線の延びる方向に沿うように周壁に溝部が形成され、この溝部に負極端子が配置されているので、溝部で負極端子を位置決めすることができ、電球をソケットに挿入する際に負極端子が受ける外力等による位置ずれを防止することができる。
また、規制部は、溝部内に且つ周壁の内周面に面一に設けられているので、電球をソケットに挿入する際に規制部が邪魔にならず、電球をスムーズに挿入することができる。
【0010】
また、周壁に沿って負極端子が配置され、負極端子の開口側端部が、周壁側から周壁より半径方向外側に配置された外壁の端部を越え、屈曲して外壁の外面に掛けられるように略L字状に形成された開口側屈曲部を有するので、負極端子の開口側屈曲部が外壁に掛けられることで負極端子の先端部が半径方向内側への移動を規制することができ、電球をソケットに挿入する際の電球の底部が負極端子の先端部に当たることがない。従って、電球をソケットに良好に挿入することができる。
また、軸線の延びる方向に沿うように周壁に溝部が形成され、この溝部に負極端子が配置されているので、溝部で負極端子を位置決めすることができ、電球をソケットに挿入する際に負極端子が受ける外力等による位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態のソケットを示す斜視図である。
図2】ソケット(第1実施形態)を示す断面図である。
図3】正極端子を示す背面図(第1実施形態)である。
図4】ソケット(第1実施形態)を示す平面図である。
図5】ソケット(第1実施形態)の底面図である。
図6】ソケット(第1実施形態)の作用を示す第1作用図である。
図7】ソケット(第1実施形態)の作用を示す第2作用図である。
図8】第2実施形態のソケットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のソケット10を示す斜視図であり、一部にソケット10の断面も示している。
ソケット10は、電球を支持するとともに電球に電力を供給する部品であり、筒状で樹脂製のソケット本体11と、ソケット本体11に保持された金属製の正極端子12及び負極端子13とを備える。
ソケット本体11は、円筒形の内周壁21と、内周壁21より半径方向外側に配置された外壁22と、正極端子12を内周壁21と共に囲むように形成された正極端子包囲壁26と、負極端子13を外壁22と共に囲むように形成された負極端子包囲壁27とを備える。
内周壁21の一部には、負極端子13が挿入される溝部21dが形成され、この溝部21dの底が外壁22により形成される。
【0013】
図2は、ソケット本体11を示す断面図である。
図中の符号21Jは内周壁21の内周面21fの軸線を示している。
内周面21fの溝部21dは、軸線21Jに沿って形成されている。内周壁21の開口21c近くの溝部21dには、負極端子13の移動を規制するために、溝部21dを横切るように横断部21eが形成されている。横断部21eは、内周壁21と一体に形成され、横断部21eの内周面は、内周壁21の内周面21fと面一に形成されている。
溝部21dの底面は、外壁22の内面22fで形成されている。
正極端子包囲壁26は、内周壁21に一体に接続された一対の側壁26a,26a(一方の側壁26aのみ図示)と、側壁26a,26aの外端同士を一体に接続する最外壁26cとからなる。負極端子包囲壁27は、外壁22に一体に接続された一対の側壁27a,27a(一方の側壁27aのみ図示)と、側壁27a,27aの外端同士を一体に接続する最外壁27cとからなる。なお、符号21gは内周壁21の外周面、22gは外壁22の外面、26gは最外壁26cの内面、27gは最外壁27cの内面である。
【0014】
正極端子12は、U字状に形成されたU字形状部41と、U字の一端から屈曲形成されたアーム部42と、アーム部の先端に形成された端子側接点43とから構成されている。
U字形状部41は、導線が圧着される圧着部45が形成された第1延出部46と、切り起こし部47が形成された第2延出部48と、第1延出部46及び第2延出部48のそれぞれを接続する屈曲部49とからなる。
圧着部45は、導線の芯線を圧着する芯線圧着部45aと、導線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部45bとから構成される。切り起こし部47は、第2延出部48の一部に切り込みが入れられて曲げ加工が施された部分であり、内周壁21から半径方向外側に突出した突出壁21bにより形成された段部21aに係止されている。なお、符号21hは突出壁21bの外面である。
端子側接点43は、電球の口金の底部に設けられた接点に接触する部分である。
【0015】
負極端子13は、U字状に形成されたU字形状部51と、U字の一端からほぼ直角に屈曲形成された第1アーム部53と、第1アーム部53の端部からほぼ直角に屈曲形成された第2アーム部54とから構成されている。
U字形状部51は、導線が圧着される圧着部55が形成された第1延出部56と、切り起こし部57が形成された第2延出部58と、第1延出部56及び第2延出部58のそれぞれを接続する屈曲部59とからなる。
圧着部55は、導線の芯線を圧着する芯線圧着部55aと、導線の絶縁被覆を圧着する被覆圧着部55bとから構成される。切り起こし部57は、第2延出部58の一部に切り込みが入れられて曲げ加工が施された部分であり、外壁22から半径方向外側に突出した突出壁22bにより形成された段部22aに係止されている。なお、符号22hは突出壁22bの外面である。
第2アーム部54は、第1アーム部53の端部から屈曲形成された基部アーム54aと、基部アーム54aの端部にアーム屈曲部61を介して接続された端部側アーム54bとからなる。アーム屈曲部61は、U字形状部51から離れる方向に突出するように屈曲し、電球の口金の側面に接触する部分である。
【0016】
以上に述べた正極端子12及び負極端子13のソケット本体11への配置構造を次に説明する。
正極端子12は、U字形状部41の大部分が、内周壁21と正極端子包囲壁26との間の空間65に配置され、正極端子保持部23で保持されている。正極端子保持部23は、切り起こし部47を備え、切り起こし部47が段部21aに係止されることで、正極端子12の軸線21Jに沿った方向への移動(図の下方への移動)を規制することができる。
電球をソケット本体11の内周壁21の上部に設けられた開口21cから内周壁21内に挿入したときには、電球の下端の接点が正極端子12の端子側接点43を押し下げるため、そのときの押し下げ力を切り起こし部47で支持することができる。
正極端子12をソケット本体11に組付けるには、正極端子12を、屈曲部49側から内周壁21及び正極端子包囲壁26で囲まれる空間65の下部の開口65aに挿入する。このとき、U字形状部41をU字の幅が狭くなるように弾性変形させ、また、切り起こし部47も傾きが小さくなるように弾性変形させる。切り起こし部47が突出壁21bを越えれば、U字形状部41及び切り起こし部47の弾性変形が元に戻る。この結果、正極端子12は、空間65から下方に抜けなくなる。
【0017】
負極端子13は、U字形状部51の大部分が、外壁22と負極端子包囲壁27との間の空間66に配置され、負極端子保持部24で保持されている。負極端子保持部24は、切り起こし部57を備え、切り起こし部57が段部22aに係止されることで、負極端子13の軸線21Jに沿った方向への移動(図の下方への移動)を規制することができる。
負極端子13をソケット本体11に組付けるには、負極端子13を、屈曲部59側から外壁22及び負極端子包囲壁27で囲まれる空間66の下部の開口66aに挿入する。このとき、U字形状部51をU字の幅が狭くなるように弾性変形させ、また、切り起こし部57も傾きが小さくなるように弾性変形させる。また、第2アーム部54を溝部21dに挿入する。
【0018】
切り起こし部57が突出壁22bを越えれば、U字形状部51及び切り起こし部57の弾性変形が元に戻り、負極端子13は、空間66から下方に抜けなくなる。このとき、第2アーム部54の先端部は、横断部21eよりソケット本体11の外側に配置され、負極端子13のアーム屈曲部61は、内周壁21の内周面21fよりソケット本体11の内側に配置される。
電球を開口21cから内周壁21内に挿入したときには、電球の口金の側面が負極端子13のアーム屈曲部61と摺動して第2アーム部54を押し下げるため、そのときの押し下げ力を切り起こし部57で支持することができる。
ソケット本体11の横断部21eは、電球が開口21cから挿入されたときに、負極端子13の第2アーム部54の先端部が、電球の口金の底部に当たらないようにソケット本体11の内側(半径方向内側)へ移動するのを規制する部分である。
【0019】
図3は、正極端子12を示す背面図であり、図2のIII矢視図に相当する。
正極端子12は、U字形状部41の大部分の幅がW1であり、U字形状部41の一部(第2延出部48の一部)の幅が、幅W1より広いW2となっている。
芯線圧着部45aは、その幅方向の縁部から幅方向の中央に延びる一対の芯線バレル片45c,45cを備える。被覆圧着部45bは、その幅方向の縁部から幅方向の中央に延びる一対の被覆バレル片45d,45dを備える。
U字形状部41の第2延出部48において両側方に延びて幅W1から幅W2までの部分を形成する幅広部48a,48aは、幅方向外側に突出する側方突出部48b,48bを一体に備える。側方突出部48b,48bの両外縁の幅は、幅W2よりも広いW3となっている。
図2及び図3において、負極端子13についても、正極端子12と同様に、U字形状部51の大部分の幅がW1であり、U字形状部51の一部(第2延出部58の一部)の幅がW2である。第2延出部58における幅W2の幅広部58a,58a(図4参照)は、幅方向外側に突出する側方突出部58b,58b(図4参照)を一体に備える。側方突出部58b,58bの両外縁の幅はW3となっている。
【0020】
図4は、ソケット10を示す平面図である。
ソケット本体11の正極端子包囲壁26は、その側壁26a,26aに軸線21J(図2参照)に沿って延びる縦溝26d,26dが形成されている。縦溝26dは、正極端子12の第2延出部48の幅広部48a,48aが挿入される部分である。
ソケット本体11の負極端子包囲壁27も同様に、その側壁27a,27aに軸線21Jに沿って延びる縦溝27d,27dが形成されている。縦溝27dは、負極端子13の第2延出部58の幅広部58a,58aが挿入される部分である。
このように、縦溝26d,26dに正極端子12の幅広部48a,48aを挿入し、縦溝27d,27dに幅広部58a,58aを挿入することで、正極端子12、負極端子13の空間65,66内における半径方向(ソケット本体11の半径方向)の移動を規制することができる。
縦溝26d,26dは、正極端子12を半径方向に保持する正極端子保持部23(図2参照)の一部を構成し、縦溝27d,27dは、負極端子13を半径方向に保持する負極端子保持部24(図2参照)の一部を構成する。
図中の符号26eは縦溝26dの底面、26fは側壁26aの側面、27eは縦溝27dの底面、27fは側壁27aの側面である。
【0021】
図5は、ソケット10の底面図である。
正極端子12の側方突出部48b,48bは、ソケット本体11の正極端子包囲壁26における側壁26a,26aの下面26h,26hに近接配置される。また、負極端子13の側方突出部58b,58bは、ソケット本体11の負極端子包囲壁27における側壁27a,27aの下面27h,27hに近接配置される。従って、正極端子12、負極端子13をソケット本体11に組付ける際、図の表裏方向で裏側に向けて空間65,66に挿入するときに、側方突出部48b,48b、側方突出部58b,58bがそれぞれ下面26h,26h、下面27h,27hに当たる。これにより、正極端子12及び負極端子13の上方への移動が規制される。即ち、正極端子12及び負極端子13は、切り起こし部47,57(図2参照)が係止される段部21a,22a(図2参照)と、側方突出部48b,48b,58b,58bに近接配置される下面26h,26h,27h,27hとの両方で軸線21J方向の移動が規制される。この結果、正極端子12及び負極端子13は、軸線21J(図2参照)方向の所定位置に組み付けられる。
このように、下面26h,26hは、切り起こし部47と共に、正極端子12を軸線21Jの延びる方向に保持する正極端子保持部23(図2参照)を構成し、下面27h,27hは、切り起こし部57と共に、負極端子13を軸線21Jの延びる方向に保持する負極端子保持部24(図2参照)を構成する。
【0022】
以上に述べたソケット10の作用を次に説明する。
図6は、ソケット10の作用を示す第1作用図、図7は、ソケット10の作用を示す第2作用図である。
図6に示すように、開口21cから内周壁21内に電球71を挿入し始めると、電球71の口金72における側面72aの下縁72bが、内周壁21の内周面21fよりも半径方向内側に突出する負極端子13のアーム屈曲部61の近傍に当たる。負極端子13の第2アーム部54の先端部54cは、横断部21eの半径方向外側に位置し、横断部21eによって内周壁21の内周面21fよりも半径方向内側への移動が規制される。従って、電球71のソケット本体11への挿入時に電球71の口金72の底部72cに当たることがない。
図7は、図6の状態から、電球71を更に内周壁21内の奥に挿入し、ソケット本体11の所定位置に固定した状態を示している。電球71の口金72の底部72cに設けられた接点73が正極端子12の端子側接点43に接触し、電球71の口金72の側面72aが負極端子13のアーム屈曲部61に接触している。
【0023】
以上の図1図2及び図6に示したように、筒状のソケット本体11と、このソケット本体11に保持される正極端子12及び負極端子13とからソケット10が構成され、ソケット本体11が、電球71が挿入される筒状の周壁としての内周壁21を備え、負極端子13が、内周壁21の軸線21Jに沿うように内周壁21の開口21cに向かって延出し、負極端子13の延出方向の中間部が内周壁21の半径方向内側へ向かって凸状に屈曲する屈曲部としてのアーム屈曲部61を備えるソケット構造において、内周壁21に、軸線21Jの延びる方向に沿う溝部21dが形成され、この溝部21dに負極端子13が配置され、溝部21dの開口21c側には、負極端子13の開口側端部の半径方向内側への移動を規制する規制部としての横断部21eが設けられている。
この構成によれば、負極端子13の開口側端部の半径方向内側への移動を横断部21eで規制するため、電球71をソケット10に挿入する際の電球71の底部72cが負極端子13の開口側端部に当たることがない。従って、電球71をソケット10に良好に挿入することができる。
また、軸線21Jの延びる方向に沿うように内周壁21に溝部21dが形成され、この溝部21dに負極端子13が配置されているので、溝部21dで負極端子13を位置決めすることができ、電球71をソケット10に挿入する際に負極端子13が受ける外力等による位置ずれを防止することができる。
また、横断部21eは、溝部21d内に且つ内周壁21の内周面21fに面一に設けられているので、電球71をソケット10に挿入する際に横断部21eが邪魔にならず、電球71をスムーズに挿入することができる。
【0024】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のソケット80を示す断面図である。図2に示した第1実施形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
ソケット80は、そのソケット本体81の内周壁82に、図2に示した第1実施形態の横断部21eを備えておらず、また、第1実施形態の負極端子13(図2参照)に対して負極端子83が異なる。
負極端子83は、負極端子13の第2アーム部54(図2参照)に対して第2アーム部85のみ異なる。
第2アーム部85は、基部アーム54aと、基部アーム54aの端部にアーム屈曲部61を介して接続される端部側アーム85bと、端部側アーム85bの端部から半径方向外側に延びる断面L字状の鉤部85cとからなる。
【0025】
鉤部85cは、端部側アーム85bの端部に一体に接続された鉤部基部85dと、鉤部基部85dの端部からほぼ直角に屈曲した鉤部先端部85eとからなる。鉤部85cは、外壁22の一端部22cに掛けられている。詳しくは、鉤部先端部85eが、外壁22の外面22gに掛けられている。
このように、負極端子83に鉤部85cを形成し、鉤部85cを外壁22の一端部22cに掛けることで、負極端子の第2アーム部85の半径方向内側への移動が規制される。従って、第2アーム部85の先端部が、電球挿入時に電球の口金の底部に当たるのを防止することができる。
【0026】
負極端子83をソケット本体81に組付けるには、負極端子83を、屈曲部59側から外壁22及び負極端子包囲壁27で囲まれる空間66の下部の開口66aに挿入する。このとき、U字形状部51をU字の幅が狭くなるように弾性変形させ、また、切り起こし部57も傾きが小さくなるように弾性変形させる。
また、第2アーム部85を溝部21dに挿入する。このとき、鉤部85cが外壁22に当たらないように第2アーム部85を溝部21dの半径方向内側に弾性変形させて広げる。
【0027】
切り起こし部57が突出壁22bを越えれば、U字形状部51及び切り起こし部57の弾性変形が元に戻り、負極端子13は、空間66から下方に抜けなくなる。また、第1アーム部53が外壁22の他端部22dに当たれば、鉤部85cが外壁22の一端部22cを越えるため、弾性変形が元に戻り、鉤部85cの鉤部先端部85eが外壁22の外面22g側に移動する。その状態で、切り起こし部57の先端部を段部22aに当たるまで負極端子83を軸線21Jの延びる方向へ移動させれば、鉤部85cの鉤部先端部85eが外面22gに掛かる。
電球を開口21cから内周壁82内に挿入したときには、電球の口金の側面が負極端子83のアーム屈曲部61と摺動して第2アーム部85を押し下げるため、鉤部85cの鉤部先端部85eが外面22gに掛かけられた状態が維持される。
【0028】
以上の図6及び図8に示したように、筒状のソケット本体81と、このソケット本体81に保持される正極端子12及び負極端子83とからソケット80が構成され、ソケット本体81が、電球71が挿入される筒状の周壁としての内周壁82を備え、負極端子83が、内周壁82の軸線21Jに沿うように内周壁82の開口21cに向かって延出し、負極端子83の延出方向の中間部が内周壁82の半径方向内側へ向かって凸状に屈曲するアーム屈曲部61を備えるソケット構造において、内周壁82に、軸線21Jの延びる方向に沿うように形成された溝部21dと、この溝部21dの底を形成する外壁22とが設けられ、溝部21dに負極端子83が配置され、負極端子83の開口側端部が、溝部21d内から外壁22の端部22cを越え、屈曲して外壁22の外面22gに掛けられるように略L字状に形成された開口側屈曲部としての鉤部85cを有する。
この構成によれば、負極端子83の鉤部85cが外壁22に掛けられることで負極端子83の先端部が半径方向内側へ移動するのを規制することができ、電球71をソケット80に挿入する際の電球71の底部72cが負極端子83の先端部に当たることがない。従って、電球71をソケット80に良好に挿入することができる。
また、軸線21Jの延びる方向に沿うように内周壁82に溝部21dが形成され、この溝部21dに負極端子83が配置されているので、溝部21dで負極端子83を位置決めすることができ、電球71をソケット80に挿入する際に負極端子83が受ける外力等による位置ずれを防止することができる。
【0029】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図1図2に示したように、ソケット本体11の溝部21dを横断するように規制部としての横断部21eを設けたが、これに限らず、溝部21dの両側の側面のうち、少なくとも一方の側面に、他の側面に向けて突出する突出部を設け、この突出部で負極端子の半径方向内側への移動を規制しても良い。
また、溝部21dの開口21c側に壁を設け、この壁に軸線21Jに沿うように穴部を開け、この穴部に負極端子の先端部を挿入しても良い。これにより、負極端子の先端部が、外部に露出せず且つ半径方向内側へ移動できないので、電球の口金の底部に当たるのを防止することができる。
本発明は、車両、車両以外の移動手段、産業機械、各種工業製品、建築物のソケット構造に採用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10,80 ソケット
11,81 ソケット本体
12 正極端子
13,83 負極端子
21,82 内周壁(周壁)
21c 開口
21d 溝部
21e 横断部(規制部)
21f 内周面
21J 軸線
22 外壁
22c 一端部(端部)
22g 外壁の外面
61 アーム屈曲部(屈曲部)
71 電球
85c 鉤部(開口側屈曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8