(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227973
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】アンカー孔の下孔加工用ドリル
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
B28D1/14
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-221215(P2013-221215)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-80937(P2015-80937A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】513268128
【氏名又は名称】三浦 智基
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】三浦 智基
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−099924(JP,A)
【文献】
特開昭53−146392(JP,A)
【文献】
特開2010−094750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル本体(1)の本体先端部(1a)より後端側に、その軸線に直交して貫通された側孔(2)と、
その側孔(2)の前記軸線方向に平行な縦断面にそれぞれ外周が整合し、その四周が側孔(2)の内周に案内され、ドリル本体(1)の半径方向外方へ刃部(3)がそれぞれ突設される一対の加工ブロック(4)(4)と、
一対の加工ブロック(4)(4)を互いに近接方向に付勢する第1付勢手段(6)と、
前記ドリル本体(1)の軸線上で、その本体先端部(1a)の先端面から前記側孔(2)に貫通する中心孔(7)と、
その中心孔(7)に上下動自在に挿通され、その端部が中心孔(7)から外側に突出する操作棒(8)と、
その操作棒(8)と前記ドリル本体(1)との間に介装され、その操作棒(8)を突出側に付勢する第2付勢手段(9)と、を具備し、
操作棒(8)の先端がアンカー孔(10)の孔底(10a) に着座して、その孔底(10a) からの反力により、その操作棒(8)が前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向面間に挿入されることにより、その両加工ブロック(4)(4)が半径方向外側に押し出されるように構成されたアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
一対の加工ブロック(4)(4)の外周に環状溝(5)が設けられ、その環状溝(5)に弾性リング(6a)が嵌着されて前記第1付勢手段(6)を構成し、
ドリル本体(1)の軸線上で且つ、前記本体先端部(1a)に凹陥部(11)が形成され、
その凹陥部(11)内で、操作棒(8)に抜け止め手段(12)が設けられて、操作棒(8)が突出側に抜け出ることを阻止したアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【請求項3】
請求項2に記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
ドリル本体(1)の軸線上で、本体先端部(1a)の先端に他の部分より小径の筒状部(11a) が設けられて、その内側に前記凹陥部(11)を構成し、その筒状部(11a) の外周または内周に螺着条(13)が形成され、その螺着条(13)に蓋材(14)が螺着締結され、その蓋材(14)に前記操作棒(8)が貫通され、
前記筒状部(11a) 内で、その操作棒(8)に抜け止め手段(12)が設けられて、操作棒(8)が突出側に抜け出ることを阻止し、前記蓋材(14)と操作棒(8)との間に圧縮スプリング(9a)が介装されて、前記第2付勢手段(9)を構成するアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
前記操作棒(8)は、前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向面間に挿入される部分の各横断面外周が、その先端部を除き、同一直径に形成されたアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向接触面上で、両加工ブロックの下面に案内孔(15)が形成され、操作棒(8)の先端部のみが先細りのテーパ(16)に形成され、その先端部が前記案内 孔(15)に嵌入するように形成されたアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
ドリル本体(1)の断面外周が円形に形成され、前記側孔(2)の位置の外周半径を他の部分より小径にした中間小径部(17)を有するアンカー孔の下孔加工用ドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカー孔の中間部又は下部に拡開部を形成し、アンカーの強力な抜け止めを行うことができる加工用ドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドリルとして下記特許文献1の発明が提案されている。
このアンカー下穴加工用ドリルは、ドリル本体の下端部を中空に形成するとともに、その最下端両側にスリットを形成し、そのスリットに板状刃物を配置するとともに、中空の中心に操作棒として、テーパ部材を上下動自在に挿入し、そのテーパ部材の両側に板状刃物を係止する。そして、そのテーパ部材を下穴の底に押し当て、その反力によってテーパ部材を押し込み、それに伴って、一対の板状刃物を半径方向外側に押し出し、その刃物でコンクリートの底部をテーパ状に拡開するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の下穴加工用ドリルは、そのドリル本体の下端部が筒状に開放され、その両側にスリットが設けられ、そのスリットに板状刃物が取り付けられ、テーパ部材の操作棒を介して板状刃物を半径方向外方に移動させるものである。そのため、板状刃物の支持が十分でなく、コンクリートの下穴加工として、十分な強度を有しないおそれがある。
また、操作棒及び板状刃物の構造が極めて複雑で、その加工が面倒であるとともに、その組み立ても極めて複雑である。
そこで、本発明は構造が簡単で、組立て容易で、かつ壊れ難い、丈夫な構造の下穴加工用ドリルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、ドリル本体(1)の本体先端部(1a)より後端側に、その軸線に直交して貫通された側孔(2)と、
その側孔(2)の前記軸線方向に平行な縦断面にそれぞれ外周が整合し、その四周が側孔(2)の内周に案内され、ドリル本体(1)の半径方向外方へ刃部(3)がそれぞれ突設される一対の加工ブロック(4)(4)と、
一対の加工ブロック(4)(4)を互いに近接方向に付勢する第1付勢手段(6)と、
前記ドリル本体(1)の軸線上で、その本体先端部(1a)の先端面から前記側孔(2)に貫通する中心孔(7)と、
その中心孔(7)に上下動自在に挿通され、その端部が中心孔(7)から外側に突出する操作棒(8)と、
その操作棒(8)と前記ドリル本体(1)との間に介装され、その操作棒(8)を突出側に付勢する第2付勢手段(9)と、を具備し、
操作棒(8)の先端がアンカー孔(10)の孔底(10a) に着座して、その孔底(10a) からの反力により、その操作棒(8)が前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向面間に挿入されることにより、その両加工ブロック(4)(4)が半径方向外側に押し出されるように構成されたアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
一対の加工ブロック(4)(4)の外周に環状溝(5)が設けられ、その環状溝(5)に弾性リング(6a)が嵌着されて前記第1付勢手段(6)を構成し、
ドリル本体(1)の軸線上で且つ、前記本体先端部(1a)に凹陥部(11)が形成され、
その凹陥部(11)内で、操作棒(8)に抜け止め手段(12)が設けられて、操作棒(8)が突出側に抜け出ることを阻止したアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
ドリル本体(1)の軸線上で、本体先端部(1a)の先端に他の部分より小径の筒状部(11a) が設けられて、その内側に前記凹陥部(11)を構成し、その筒状部(11a) の外周または内周に螺着条(13)が形成され、その螺着条(13)に蓋材(14)が螺着締結され、その蓋材(14)に前記操作棒(8)が貫通され、
前記筒状部(11a) 内で、その操作棒(8)に抜け止め手段(12)が設けられて、操作棒(8)が突出側に抜け出ることを阻止し、前記蓋材(14)と操作棒(8)との間に圧縮スプリング(9a)が介装されて、前記第2付勢手段(9)を構成するアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
前記操作棒(8)は、前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向面間に挿入される部分の各横断面外周が
、その先端部を除き、同一直径に形成されたアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
前記一対の加工ブロック(4)(4)の対向接触面上で、両加工ブロックの下面に案内孔(15)が形成され、操作棒(8)の先端
部のみが先細りのテーパ(16)に形成され、その先端部が前記案内 孔(15)に嵌入するように形成されたアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のアンカー孔の下孔加工用ドリルにおいて、
ドリル本体(1)の断面外周が円形に形成され、前記側孔(2)の位置の外周半径を他の部分より小径にした中間小径部(17)を有するアンカー孔の下孔加工用ドリルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の下孔加工用ドリルは、ドリル本体1の中間部の側孔2に、一対の加工ブロック4、4の四周が案内されて、半径方向に移動するから、加工ブロック4、4を安定して保持することができる。それにより、壊れにくい、丈夫な下孔加工用ドリルを提供できる。
また、一対の加工ブロック4、4は第1付勢手段6によりを互いに近接方向に付勢されているから、一対の加工ブロック4,4の刃部3の出入量を均一にして、ブレのない安定した加工を実現できる。
さらに、ドリル本体1の軸線上で、その本体先端部1aから前記側孔2に貫通する中心孔7に操作棒8が上下動自在に案内され、それが一対の加工ブロック4、4間に挿入されるものであるから、その操作棒8の出入を安定して保持し、耐久性の高い下孔加工用ドリルとなる。
【0012】
請求項2に記載の発明のように、一対の加工ブロック4,4の外周の環状溝5に、弾性リング6aを嵌着した場合には、簡単な構造で、安定して一対の加工ブロック4、4間を互いに近接方向に付勢できる。
また、請求項3に記載の発明のように、ドリル本体1の軸線上で且つ、前記本体先端部1aに、凹陥部11が形成され、その凹陥部11内で、操作棒8に抜け止め手段12が設けられて、操作棒8が突出側に抜け出ることを阻止した場合には、取り扱い易い下孔加工用ドリルとなる。
上記構成に加えて、請求項3に記載のように、本体先端部1aの先端に小径の筒状部11aを設け、それに蓋材14を螺着し、その筒状部11a 内で、その操作棒8に抜け止め手段12を設けた場合には、組立てが容易で、効果的な抜け止めを行える。
また、蓋材14と操作棒8との間に圧縮スプリング9aを介装して、第2付勢手段9を構成した場合には、簡単な構造で安定した第2付勢手段を提供できる。
【0013】
請求項4に記載の発明のように、操作棒8の加工ブロック4、4の対向面間に挿入される部分の各横断面外周が
、その先端部を除き、同一直径になるようにした場合には、アンカー孔10の中間部に、 拡大した筒状部を形成できる。
請求項5に記載のように、加工ブロック4、4の対向接触面上で、両加工ブロック4、4の下面に案内孔15を形成し、操作棒8の先端
部のみが先細りのテーパ16を前記案内孔15に嵌入した場合 には、加工ブロック4、4間への操作棒8の出入を円滑に行うことができる。
【0014】
請求項6に記載の発明のように、ドリル本体1の断面外周を円形にし、側孔2の位置に中間小径部17を設けた場合には、その中間小径部の存在によりコンクリートの切粉の排出を容易に行え、孔加工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のアンカー孔の下孔加工用ドリルの分解斜視図。
【
図5】一対の加工ブロック4の動作説明図であって、(A)は一対の加工ブロック4、4間が閉塞した状態を示し、(B)は
図5(A)のB−B断面図、(C)は操作棒8を一対の加工ブロック4、4間に挿入した状態を示す説明図。
【
図6】本発明の下孔加工用ドリルの使用説明図であって、(A)はアンカー孔10の加工前の状態を示す、(B)(C)は同アンカー孔10内面の加工状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
本発明のアンカー孔の下孔加工用ドリルは、本ドリル使用前に予め通常の振動ドリルや、ダイヤモンドコアビット等によりアンカー孔の下孔を穿設し、次いで、その下孔の中間部又は下部を本加工ドリルによって拡開するものである。
この下孔加工用ドリルは、後端に嵌着軸部18を有するドリル本体1と一対の加工ブロック4、4と操作棒8、その他を有する。
ドリル本体1は、一例として、丸棒材を加工してその後端に嵌着軸部18を一体に形成または、別体の嵌着軸部18をドリル本体1の後端に溶接固定することができる。ドリル本体1の外直径は、アンカー孔10の下孔にほぼ整合する。
そのドリル本体1は、その中間に側孔2を有し、その側孔2の先端側に本体先端部1aが設けられ、その本体先端部1aの先端に小径の筒状部11aを有する。ドリル本体1の後端部と、本体先端部1aの外直径は同径であり、側孔2の位置における外直径は僅かにそれより小であり、そこに中間小径部17を形成する。
【0017】
側孔2はドリル本体1の軸線に直行してドリル本体1を貫通する。その側孔2に装着される一対の加工ブロック4、4は、半径方向外側にそれぞれ刃部3が突出されている。その刃部3は、下方に向かって半径が小さくされ、コンクリートの切削を容易にしている。
加工ブロック4の横断面は、その環状溝5の部分を除き、側孔2の横断面に略整合する。この例では、加工ブロック4、側孔2の横断面は矩形である。それらを他の形状にしてもよい。各加工ブロック4は、この例では下部側には、環状溝5が形成され、そこに第1付勢手段6としてゴム弾性を有する弾性リング6aが嵌着し、その状態で一対の加工ブロック4、4が背中合わせに密着する。その一対の加工ブロック4、4の下端面中央には案内孔15が形成される。この案内孔15は各加工ブロック4に円の半割り浅い溝状に形成されている。
【0018】
次に、本体先端部1aの先端に突設された筒状部11aの外周には、雄ネジ13が形成されている。この雄ネジ13には蓋材14の図示しない雌ネジが螺着締結される。そのため、蓋材14の内周には、筒状部11aの外周に整合する雌ネジが形成されている。そして、この筒状部11aの内側に凹陥部11を形成する。その筒状部11aの底と側孔2との間には、その軸線上に中心孔7が貫通している。
その中心孔7の内径に操作棒8の外径が整合する。その操作棒8は、後端にテーパ16が形成され、中間部に浅い環状溝19が形成され、先端に膨出部20が設けられている。操作棒8の環状溝19には、蓋材14の内側で、抜け止め手段12として弾性変形するC字状のファスナが嵌着され、それにより、操作棒8が抜け止めさせるとともに、一定距離軸線方向に移動できるように保持されている。
【0019】
(組立方法)
次に、本発明の下孔加工用ドリルの組立て方法の一例につき、説明する。
先ず、一対の加工ブロック4、4を背中合わせに接触させた状態で、その環状溝5に第1付勢手段6の弾性リング6aを嵌着する。その状態で、一対の加工ブロック4、4をドリル本体1の側孔2に挿入する。このとき、加工ブロック4の四周は略側孔2の内面に囲まれる。
そこで、次に操作棒8に第2付勢手段9及びワッシャ21を介して、それを蓋材14の中心孔に挿通する。次いで、操作棒8の環状溝19に抜け止め手段12としてファスナを装着する。それによって操作棒8は蓋材14から抜け止めされる。次いで、操作棒8の先端にワッシャ21を挿通する。この状態で、蓋材14の雌ネジを筒状部11aの雄ネジ13に螺着する。その状態を示したのが、
図2である。
また、その内部は、
図3及び
図6(A)のごとく形成される。即ち、一対の加工ブロック4、4は、その対向面が互いに接触し、その下端の案内孔15に操作棒8のテーパ16が嵌入する。この時、一対の加工ブロック4、4は、弾性リング6aからなる第1付勢手段6によって互いに近接方向に付勢される。
【0020】
(作用)
次に、本発明のドリルによるアンカー孔の下孔の加工方法につき述べる。
まず、
図6(A)のごとく、ダイヤモンドコアビットや振動ドリルによって穿設されたアンカー孔10内に、本発明の下孔加工用ドリルを挿入する。この時、ドリル本体1の外周はアンカー孔10の内周よりも僅かに小なものが選択される。そして、アンカー孔10の孔底10aに操作棒8の膨出部20を着座させる。なお、その嵌着軸部18には図示しない回転工具のチャックが接続される。
次いで、
図6(B)のごとく、ドリルを回転しつつ、操作棒8先端の膨出部20を孔底10aに押圧する。すると、その反力により操作棒8は一対の加工ブロック4、4内に挿入され、その分だけ一対の加工ブロック4、4は半径方向外方に突出する。そして、各加工ブロック4の刃部3によってアンカー孔10の中間部内面が切削される。この時、
図1に示す如く、ドリル本体1の中間部には中間小径部17が形成されため、切削されたコンクリート粉末はその中間小径部17を介し、アンカー孔10の底側に移動する。なお、天井を加工する場合は、中間小径部17を介してコンクリート粉はアンカー孔10の開口側に搬出される。
【0021】
このようにしてアンカー孔10の中間部内面には、拡径加工部22が拡開形成される。そして、アンカー孔10に整合するボルトの外周に、一例として接着剤を保持して、アンカー孔10内に挿入する。すると、その接着剤は拡径加工部22に保持され、アンカーのボルト引抜き効果を強固にする。なお、拡開型のアンカーをこの拡径加工部22に係止させることもできる。
次に、拡径加工部22の位置をより上方にするには、操作棒8の膨出部20の端面に適宜なスプリングや棒材を固定すればよい。また、拡径加工部22の位置をより下方にするには、第2付勢手段9の密着高さが低いものを配置すればよい。さらには、第2付勢手段9を凹陥部11に配置してもよい。
【0022】
(変形例)
上記実施例において、第1付勢手段6の替りに、一対の加工ブロック4、4間を締結する図示しないスプリングを用いることもできる。また、一対の加工ブロック4、4の接触部に浅い溝を形成してもよい。さらには、その溝を浅い断面弧状にすることもできる。それにより、操作棒8の出入りをより円滑に行うことができる。その場合、加工ブロック4の案内孔15は不要となる。
【符号の説明】
【0023】
1 ドリル本体
1a 本体先端部
2 側孔
3 刃部
4 加工ブロック
5 環状溝
6 第1付勢手段
6a 弾性リング
7 中心孔
8 操作棒
9 第2付勢手段
9a 圧縮スプリング
10 アンカー孔
10a 孔底
【0024】
11 凹陥部
11a 筒状部
12 抜け止め手段
13 螺着条
14 蓋材
15 案内孔
16 テーパ
17 中間小径部
18 嵌着軸部
19 環状溝
20 膨出部
21 ワッシャ
22 拡径加工部