(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、振り子式ハンマは、自由状態で吊下された原点位置から所定角度(規格では150度)上方へ揺動させた位置が待機位置となり、この待機位置において、係止手段により振り子式ハンマが係止されている。そして、係止手段による係止を例えばマニュアル操作して解除することにより、振り子式ハンマが待機位置から試験片に向けて揺動されることになる。
【0006】
試験を精度よく行うために、待機位置にある振り子式ハンマの原点位置からの揺動角度を、規格上の所定角度となるように精度よく決定する必要がある。打撃式試験装置の工場出荷時には、待機位置での揺動角度が所定角度に対応させて150度.0度となるように極めて精度よく調整したとしても、長期の使用等により、待機位置での揺動角度が例えば150.0度から例えば0.1度〜0.5度程度ずれてしまうことがある。
【0007】
待機位置での揺動角度のずれを修正するために、振り子式ハンマの基端部にウエイトを設けて、このウエイトの位置をずらすことにより原点位置を修正することが行われている。しかしながら、この場合は、ウエイトの位置調整が面倒であり、また試験片保持台の取付位置を原点位置の修正に応じて修正しなければならず、全体として修正が極めて面倒になっていた。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、待機位置にある振り子式ハンマの揺動角度を簡単かつ精度よく所定角度に調整できるようにした打撃式試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
上部に設けた回動軸を中心として揺動される振り子式ハンマと、
前記回動軸の下方に設けられ、前記振り子式ハンマの揺動軌跡上に試験片を保持するための試験片保持台と、
前記振り子式ハンマを自由状態で吊下した原点位置から所定角度だけ上方へ揺動された待機位置で、該振り子式ハンマを係止しておく係止手段と、
を有し、
前記係止手段は、前記待機位置における前記振り子式ハンマの係止位置での揺動角度を調整するために、ねじ機構を用いた位置調整機構を有
し、
前記係止手段が、前記回動軸を保持したハンマ保持台部の上面に固定されたベース部材と、該ベース部材に対してスライド可能に保持されると共に前記待機位置にある前記振り子式ハンマを係止する係止部材を保持した保持台と、を有し、
前記位置調整機構が、前記ベース部材と前記保持台との一方に対して回転可能かつスライド不能に保持されたねじ棒と、他方に形成されて該ねじ棒が螺合されるねじ孔と、によって構成され、
前記ねじ棒を回転操作することによって、前記保持台が前記係止部材と共に前記ベース部材に対してスライド変位される、
ようにしてある。
【0010】
上記解決手法によれば、位置調整機構による調整によって、待機位置での振り子式ハンマの揺動角度を簡単に調整することができる。そして、この調整は、ねじ機構を利用しているために、微調整が可能であり、例えば0.1度単位でもって揺動角度を調整して、振り子式ハンマの待機位置における揺動角度を、規格上の所定角度に極めて正確にかつ精度よく調整することができる。
以上に加えて、ベース部材と保持台との間でねじ機構を用いた位置調整機構を構成して、保持台に関連した部分に従来の係止構造をそのまま有効に構成することができる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記
係止部材が、前記振り子式ハンマに設けた係止ピンを係止するための揺動式の係止フック
とされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、係止手段として係止フックを用いたものが一般的に採択されているが、この係止フックを用いた係止機構をそのまま有効に利用した位置調整機構とすることができる。
【0012】
【0013】
前記保持台に、前記係止フックを係止方向に向けて付勢するリターンスプリングが保持され、
前記係止フックと前記保持台との一方に保持されると共に他方に作用して、該係止フックが係止解除方向に揺動されるのを規制するロック機構が設けられている、
ようにしてある(請求項
3対応)。この場合、リターンスプリングによって係止フックを係止状態に付勢しつつ、ロック機構によって係止フックが不用意に係止解除されてしまう自体を防止することができる。そして、このリターンスプリングとロック機構とを、保持台部分に集中させて設ける構成とすることができる。
【0014】
前記回動軸に連結されて前記振り子式ハンマの揺動角度を検出する角度センサと、
前記角度センサで検出された検出角度を表示する表示部と、
をさらに備え、
前記角度センサが、0.1度単位で角度検出可能とされ、
前記表示部に、0.1度単位で揺動角度が表示される、
ようにしてある(請求項
4対応)。この場合、表示部による検出角度をみつつ、待機位置にある振り子式ハンマの揺動角度が丁度所定角度となるように、0.1度単位でもって精度よく調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、待機位置にある振り子式ハンマの揺動角度を簡単かつ精度よく所定角度に調整できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図3において、1は載置台で、載置台1は、鉄系金属を鋳造することによって安定した重量物として構成されている。載置台1の底面には、その4隅においてそれぞれ脚部2が設けられている。各脚部2は、載置台1に対して螺合により結合されて、載置台1の水平状態が調整可能とされている。
【0018】
載置台1の上面には、水平方向に伸びるように、例えば鉄系の金属からなる取付板3がねじ等により固定されている。この取付板3に対して、上下方向に伸びる例えば鉄系の金属からなるプレート状の基台10が、固定されている。具体的には、
図3に示すように、断面L字型の強度部材としての取付ブラケット4のうち水平部分4aが、取付板3上に着座された状態で、取付板3に対してボルト等の固定具(図示略)によって固定されている。また、取付ブラケット4のうち垂直部分4aが、基台10の裏面に着座された状態で、基台10に対してボルト等の固定具(図示略)によって固定されている。そして,基台10の裏面側はほぼ全体的に、取付ブラケット4を含めて、板金を加工したカバー部材5によって覆われている。カバー部材5は、基台1あるいは取付ブラケット4に対して、図示を略すねじ等の固定具によって着脱自在に固定されている。このカバー部材5内の空間に、図示を略す電源系統や制御系統等が組み込まれている。なお、
図1、
図2中、102は主電源スイッチである。
【0019】
基台10は、
図4に詳細に示すように、例えば鉄系の厚板材を機械加工することにより全体的に長方形状として形成されて、特にその表面側は1つの平坦面として精度よく機械加工されている。基台10の表面側には、その高い位置において、後述のようにしてハンマ保持台20が固定されている。また、基台1の表面側には、その低い位置において、後述のようにして試験片保持台30が固定されている。
【0020】
ハンマ保持台20は、前後一対の脚部21と、前後一対の脚部21の上部同士を連結している連結部22とを有し、全体的に、例えば鉄系金属による一体成形品とされている。なお、ハンマ保持台20は、一体成形品に限らず、複数に分割形成されたブロック材をボルト等の固定具によって固定する等により一体化する等、適宜構成できる。
【0021】
前後一対の脚部21の間には、回動軸23が回動可能に保持されている(
図3参照)。この回動軸23には、振り子式ハンマ24の基端部がねじ等の固定具を利用して着脱自在に固定されている。振り子式ハンマ24は、アーム部24aと、アーム部24aの先端部に設けられた重錘24bと、試験片に当接される打撃部24cとを有する。
図1〜
図3では、振り子式ハンマ24は、外力が作用しない自由状態で吊下された原点位置にある状態が示される。そして、振り子式ハンマ24は、上記原点位置から
図2中反時計方向に所定角度(規格では150度)だけ揺動された待機位置で、後述するようにして係止されるようになっている。この待機位置で係止された状態が、
図12、
図13に示される。
【0022】
試験片保持台30は、前後一対の脚部部材31と、前後一対の脚部部材31の下端部同士を連結する底壁部材32とを有している。そして、前後一対の脚部部材31の上面には、試験片の載置部31aとストッパ部31bとを有する。ストッパ部31bは、載置部31aに載置された図示を略す試験片が、前記原点位置から前記待機位置とは反対方向へ移動するのを規制する。前後一対の載置部31aに跨がるようにして載置された試験片は、振り子式ハンマ24(より具体的にはその打撃部24c)の揺動軌跡上に位置されるようになっている。なお、一対の脚部部材31と連結部材32とは精度よく組付けられて全体的に1つのブロック体として構成されているが、互いに一体の一体成形品として構成することもできる。
【0023】
次に、
図4〜
図7を参照しつつ、ハンマ保持台20の基台1に対する固定手法について説明する。まず、
図7において、回動軸23は、前後一対の脚部21に跨がるようにして、ベアリング43、44を介して回動可能にハンマ保持台20に保持されている。
図7中、45、46はベアリングホルダである。回動軸23のうち前後一対の脚部21間の部分が、振り子式ハンマ24が着脱自在に固定される取付部23aとされている。実施形態では、取付部23aの断面形状は方形とされて、振り子式ハンマ24の基端部に形成された断面方形の凹部ががたつきなく嵌合されて、振り子式ハンマ24がねじ等の固定具によって固定されたときに、その相対回転を確実に規制するようになっている。
【0024】
ハンマ保持台20のうち、基台1側に臨む面には、回動軸23の軸線を中心とする円筒状の凸部42が形成されている。この凸部42は、回動軸23に対して精度よく所定の位置関係となるように形成されている。なお、ハンマ保持台20のうち、基台1へ密着される面は、精度よく平坦面に仕上げ加工されている。
【0025】
一方、基台1には、回動軸23の軸線を中心とする円形の開口部41が形成されている。この開口部41は、ハンマ保持台20の取付面側が大径部41aとされている。この大径部41aに対して、ハンマ保持台20の凸部42が、がたつきなく嵌合されるようになっている(
図7参照)。この凸部42と大径部41aとによってハンマ側位置決め手段が構成されて、凸部42と大径部41aと嵌合させた状態で、基台1に対して回動軸23の位置決めが自動的に行われる。勿論、凸部42と凹部としての大径部41aとは、精度よく仕上げ加工されている。
【0026】
図7に示すように、回動軸23は、開口部41を通して基台1の裏面側に伸びており、ここに角度センサとしてのエンコーダ47が取付けられている。
図7中、48は、エンコーダ取付ディスクである。エンコーダ47は、振り子式ハンマ24の揺動角度を例えば0.1度単位で細かく検出できるようになっている。そして、エンコーダ47によって検出された角度は、載置台1の正面に設けられた薄型ディスプレイからなる表示部6(
図1、
図2参照)に表示されるようになっている。
【0027】
基台1には、前記開口部41の周辺において、ハンマ保持台20を基台1に固定するためのボルト孔49が複数形成されている(
図4参照)。一方、ハンマ保持台20には、ボルト孔49に整合される貫通孔50が形成されて、この貫通孔50を通してボルト孔49に螺合されるボルトが、
図1において符号50で示される。
【0028】
次に、
図4と
図8〜
図11を参照しつつ、試験片保持台30の基台1に対する固定手法について説明する。まず、試験片保持台30は、2つの中間部材61と、1つのカラー部材62を介して、基台1に取付けられるようになっている。このため、基台1には、その低い位置において、左右2つのボルト孔63と、2つのボルト孔63の間でかつやや高い位置において1つのボルト孔68が形成されている(
図4参照)。
【0029】
2つのボルト孔63のうち、試験片保持台30の取付面側が、ボルト孔63と同心状の円形の大径部63aとされている。また、試験片保持台30のうち基台1への取付面側には、円形の開口部64が形成されている。この開口部64のうち基台1への取付面側には、大径部64aが形成されている。この大径部64aは、後述するように位置決め用となっており、このため、特に試験片の載置部31aに対する位置関係が所定の関係となるように精度よく加工されている。
【0030】
一方、中間部材61は,円筒状とされて、その各端面には、円形の凸部61a、61bが形成されている。凸部61aは、基台1の大径部63aにがたつきなく嵌合される。また、凸部61bは、試験片保持台30の大径部64aにがたつきなく嵌合される。各大径部63a、64aと各凸部61a、61bとが、試験片側位置決め手段を構成しており、上記嵌合が行われた
図11の状態では、試験片保持台30(特に試験片の載置部31a)の基台1に対する組付位置関係が所定の位置関係となるようにされる。勿論、各大径部63a、64aと各凸部61a、61bとは精度よく仕上げ加工されている。
【0031】
基台1に形成された試験片保持台30用の位置決め手段としての大径部63aは、ハンマ保持台20用の位置決め手段としての大径部41aと所定の寸法関係となるように形成されている。これにより、振り子式ハンマ24の回動軸23と試験片保持台30に形成された試験片の載置部31aとの位置関係が、所定の関係となるように自動設定される(1/1000mm単位での加工精度による位置関係の確保)。つまり、振り子式ハンマ24が原点位置にある状態で、載置部31a上に載置された試験片に対して、振り子式ハンマ24の打撃部24cが丁度当接する直前の状態となるような位置関係が自動的に確保されることになる。
【0032】
試験片保持台30の基台1に対する固定は、次のようにして行われる。すなわち、ボルト65が、その軸部を開口部64、中間部材61を通過されて、その先端部に形成された雄ねじ部65aが、基台1のボルト孔63に螺合される。さらに、前述したカラー部材62を貫通するボルト66(
図3参照)を基台10のボルト孔68に螺合することによっても、基台1に対する固定が行われる(実施形態では合計3カ所でのボルト固定となっている)。
【0033】
なお、ボルト孔68にも同心状の大径部68aが形成される一方(
図4参照)、カラー部材62には大径部62にがたつきなく嵌合される円形の凸部62aが形成されているが(
図8参照)、この大径部68aと凸部62aとは位置決めには直接関与しないものとなっている。また、試験片保持台30のうち基台1から遠い側の脚部部材31には、開口部64の延長線上において、サービス孔67が形成されている(
図1、
図2、
図10参照)。このサービス孔67を利用して、ボルト65を通過させたり、ボルト65を回転操作するための細長の工具が挿入されるようになっている。同様に、ボルト孔68に螺合されるボルト66用のサービス孔69も設けられている(
図1、
図2をも参照)。
【0034】
図4において、試験片保持台30の固定用として、前述した2つのボルト孔63と1つのボルト孔68との組み合わせが、さらに1組分だけ高い位置に形成されている。すなわち、位置決め用を兼ねた2つのボルト孔63に対応したボルト孔が符号73で示され、ボルト孔68に対応したボルト孔が符号78で示される。勿論、位置決め用となるボルト孔73にも大径部73a(63a対応)が形成されている。
【0035】
回動軸23に固定される振り子式ハンマ24を、短いものに変更した場合は、試験片保持台30が、ボルト孔73と78とを利用して基台1に固定される。位置決め機能を有するボルト孔73(の大径部73a)を利用して、長い振り子式ハンマ24を用いた場合と同様に、回動軸23と試験片載置部31aとの位置関係が自動的に確保される。なお、
図4中、符号70は、基台1を前述したブラケット4(
図3参照)に固定するためのボルト孔である。
【0036】
次に、
図12〜
図14を参照しつつ、待機位置において振り子式ハンマ24を係止しておく係止機構Kについて説明する。なお、係止機構Kは、安全のための板金加工されたカバー部材100を有するが(
図1,
図2参照)、
図12、
図13ではこのカバー部材100が取外されて状態が示される。また、
図12において、振り子式ハンマ24の原点位置を示す一点鎖線を符号αで示し、待機位置を示す一点鎖線を符号βで示し、転々位置αと待機位置βとのなす所定角度を符号θで示してある。
【0037】
まず、係止機構Kは、ハンマ保持台20の上面に固定されたブラケット80と、ブラケット80に固定されたベース部材81と、ベース部材81に対して後述のようにスライド変位可能に保持された保持台82と、保持台82に回動軸83を中心に揺動可能に保持された係止フック84とを有する。
【0038】
係止フック84は、保持台82との間に介装されたコイルスプリングからなるリターンスプリング85によって、
図12、
図13中時計方向に向けて揺動するように付勢されている。そして、係止フック84に螺合されたストッパ用のねじ86の先端が保持台82に当接することにより、所定以上時計方向へ揺動することが規制される。
【0039】
係止フック84の先端部には係止爪部87が形成されている。係止爪部87は、その先端面側が傾斜したカム面87aとされ、カム面87aよりも基端部側の内方側が凹部となる係止部87bとされている。係止部87bに対して、振り子式ハンマ24の先端部側面に突設された係止ピン24dが係止される。すなわち、振り子式ハンマ24を、原点位置から待機位置へと揺動させた際に、待機位置付近になると、係止ピン24dがカム面87aに当接されて、係止フック84をリターンスプリング85の付勢力に抗して
図12、
図13中反時計方向に揺動させる。そして、係止フック84の上記揺動が進むと、やがて係止ピン24dがカム面87aから外れて、係止部87bに位置される。このとき、係止フック84は,リターンスプリング85の付勢力によって、
図12、
図13中時計方向に揺動されて、係止部87bに係止ピン24dが係止された状態が維持されることになる。
【0040】
係止フック84の基端部にある操作部84aをマニュアル操作によって押圧して、リターンスプリング85の付勢力に抗して係止フック84を揺動させると、係止ピン24dが係止部87bから離脱して,振り子式ハンマ24は自重により原点位置に向けて揺動されることになる。
【0041】
図13、
図14に示すように、前記保持台82は、ベース部材81に対して、係止フック84のほぼ長手方向にスライド可能かつ回転不能に嵌合されている。すなわち、ベース部材81の上面には断面方形のガイド溝81aが形成される一方、保持台82の下端部には、ガイド溝81aにがたつきなく嵌合される断面方形の突起部82aが形成されている。
【0042】
ベース部材81には、ねじ棒90が、回転可能かつスライド不能として保持されている。このねじ棒90の後端部(係止爪部87とは反対側の端部)は、ベース部材1から外部へ突出しており、この外部への突出部分が、マニュアル操作される大径の回転操作部91とされている。
【0043】
上記ねじ棒90は、保持台82(の突起部82a)に形成されたねじ孔92に螺合されている。これにより、回転操作部91を正逆回転させることにより、保持台82つまり係止フック84が、ベース部材81に対して変位されることになり、その変位位置の調整は,ねじ機構を利用しているために微調整可能とされている。
【0044】
ここで、例えば、長期の使用によって振り子式ハンマ24のアーム部24aがわずかに変形する等により、対置位置βにある振り子式ハンマ24が、原点位置との間でなす揺動角度が所定角度(規格では150度)からわずかに(例えば所定角度から0.1度程度)ずれる場合がある。載置台1に設けた表示部6には、このずれた角度となる例えば「150.1度」が表示される。このようなずれが生じたときは、回転操作部91を回転操作して、係止フック84の位置を微調整すればよい(表示部6に「150.0度」が表示されるように微調整する)。このように、回転操作部91による回転操作によって、待機位置にある振り子式ハンマ24の原点位置からの揺動角度を、常に所定角度に維持することが可能となる。
【0045】
ベース部材81には、ロックねじ93が螺合されて、保持台82の突起部82aの側面に当接可能とされている(
図14参照)。上述した回転操作部91を利用した調整は、このロックねじ93を緩めた状態で行われ、棒待機位置での所定角度が確保された状態でロックねじ93が締め付けられる。
【0046】
係止フック84には、係止解除の操作を不能にするためのロック機構95が設けられている。このロック機構95は、係止フック84の側面に回動可能に保持されたカム部材96を有して、カム部材96からはその径方向外方側へ向けて操作部97が突設されている。ロック機構95は、さらに、カム部材96を挟んで係止フック84の側面から突設された一対のストッパ部97、98を有する。
【0047】
カム部材96の外周面は、その回動中心96aを中心とする円弧状部96bと、円弧状部よりも回動中心96aからの距離が小さい平坦部96cとを有する。操作部97をストッパ部99に当接させた
図12、
図13の状態では、カム部材96の平坦部96cが保持台82の上面に臨む位置となって、平坦部96cと保持台92との間隔が十分に確保されて、係止フック84は、係止解除方向に揺動可能とされる(ロック解除位置)。
【0048】
一方、操作部97がストッパ部98に当接された状態では、円弧状部96bが下方に位置されて保持台82の上面に臨む状態となる。このときは、円弧状部96bが係止フック84の下面よりも大きく下方へ突出した位置となって、保持台82の上面に当接あるいは近接した状態とされる。これにより、係止フック84を係止解除方向に揺動操作しても、円弧状部96bが保持台82の上面に当接されることから、係止フック84の揺動が規制されることになる(ロック状態)。
【0049】
以上説明したような打撃式試験装置による試験は,従来と同様にして行われる。すなわち、振り子式ハンマ24を係止機構Kを利用して待機位置で係止した状態で、試験片が載置部31aに載置される。この状態で、係止機構Kによる係止機能を解除すると、振り子式ハンマ24がその自重により揺動されて、その打撃部24cによって試験片を打撃する。この打撃後の振り子式ハンマ24の最大揺動角度(原点位置を過ぎた状態での原点位置からの揺動角度)が、表示部6に表示され(記憶手段に記憶しておくこともできる)。この表示された最大揺動角度と試験片の破断状態とから、試験片の物性等が検証されることになる。振り子式ハンマ24として短いものを用いる場合は、回動軸23から長い振り子式ハンマ24を取外して代りに短い振り子式ハンマを固定し、また試験片保持台30を高い位置(回動軸23に近い位置)に変更すればよい。
【0050】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。試験片保持台30としては、試験片が載置されただけの状態で設置される場合に限らず、例えば、ネジ機構を利用して試験片を強固に把持しておくもの等、適宜のものを使用することができる。試験片保持台30の基台10に対する上下位置の変更を3箇所以上としてもよく、あるいは上下位置の変更を行わないものであってもよい。
【0051】
ハンマ保持台20の基台1に対する位置決めを、2カ所以上の凹凸嵌合により行うようにしてもよい。また、試験片保持台30の位置決めを、1箇所のみとしてもよく(この場合は回転しないように異形形状での凹凸嵌合とするのが好ましい)、また3箇所以上の凹凸嵌合により行うようにしてもよい。試験片保持台30の基台1への位置決めを、中間部材61を用いることなく行うようにしてもよく、この場合、例えば、基台1に形成された位置決め用の凹部に対して、試験片保持台30に形成された位置決め用の凸部を直接嵌合させるようにすればよい。
【0052】
ハンマ保持台20を、試験片保持台30の場合と同様に、中間部材61に相当する部材を介して基台1に位置決めするようにしてもよい。互いに嵌合される位置決め用の凹部と凸部とが形成される部材を、実施形態とは反対の関係としてもよい(例えば、基台1に凸部を形成する一方、ハンマ保持台20、試験片保持台30に凹部を形成する)。位置決め用の凹部と凸部とは、円形の場合に限らず、例えば方形にする等、その形状は限定されないものである。位置決め用の凹部(あるいは凸部)をボルト孔を利用して構成することなく、ボルト孔と位置決め用の凹部(あるいは凸部)とを別個独立して形成するようにしてもよい。
【0053】
ハンマ保持台20を基台10と一体に形成した構造のものであってもよい。また、試験片保持台30を基台10と一体に形成した構造のものであってもよい。例えば、鋳造によって、基台10に相当する部分とハンマ保持台20に相当する部分と試験片保持台30に相当する部分とを一体成形して、後の機械加工により、精密を要求される部分の位置設定加工や仕上げ加工を行うこともできる。
【0054】
振り子式ハンマ24が待機位置にあるときの揺動角度を調整するためのねじ機構は、ベース部81に対する保持台82の相対位置関係を変更できればよいので、ねじ棒90を保持台82に回転可能かつスライド不能に保持させる一方、ねじ棒90が螺合されるねじ孔92をベース部材に形成した構造とすることもできる。
【0055】
基台1の形状は、プレート状に限らず、適宜の形状を選択することができる。基台1を、重量物である載置台1に固定して使用することなく、例えば、建屋の柱や壁等に固定して使用するようにしてもよい。振り子式ハンマ24の基端部にバランスウエイトを位置調整可能に設けて、原点位置にあるときの振り子式ハンマ24が鉛直線となす揺動角度を微調整できるようにしてもよい。
【0056】
係止機構Kの保持台82に、係止フック84の操作部84a付近に対応した位置に電磁ソレノイドを取付けて、係止解除の際には電磁ソレノイドを励磁して係止フック84を係止解除方向に揺動駆動するようにしてもよい。この場合、不用意に電磁ソレノイドが励磁されるのを防止するため、載置台1に2つの指令スイッチ101を設けて(
図1、
図2参照)、2つの指令スイッチ101が同時に操作されたときにのみ電磁ソレノイドが励磁されるように設定しておくのが好ましい。係止機構Kとしては、揺動される係止フック84を利用する場合に限らず、振り子式ハンマ24を待機位置で係止、係止解除できるものであれば、適宜の構造のものを採択することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。