特許第6227989号(P6227989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人豊橋技術科学大学の特許一覧 ▶ 株式会社美貴本の特許一覧 ▶ 東レ建設株式会社の特許一覧 ▶ 東レ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000002
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000003
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000004
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000005
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000006
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000007
  • 特許6227989-鋼材の補修構造および補修方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227989
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】鋼材の補修構造および補修方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20171030BHJP
   F16L 23/036 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F16L55/18 Z
   F16L23/036
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-254827(P2013-254827)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-134287(P2014-134287A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-272135(P2012-272135)
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(73)【特許権者】
【識別番号】599113590
【氏名又は名称】株式会社美貴本
(73)【特許権者】
【識別番号】391005662
【氏名又は名称】東レ建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山田 聖志
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸大
(72)【発明者】
【氏名】山口 信之
(72)【発明者】
【氏名】相見 和徳
(72)【発明者】
【氏名】大津 敬志
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝洋
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−332674(JP,A)
【文献】 実開昭60−018392(JP,U)
【文献】 特開2000−225648(JP,A)
【文献】 特開2012−052293(JP,A)
【文献】 特開2009−046931(JP,A)
【文献】 特開2003−074342(JP,A)
【文献】 特開2005−076230(JP,A)
【文献】 特開2010−255195(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0048435(US,A1)
【文献】 特開平10−238676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/028
F16L 23/00−25/14
F16L 55/16−55/179
F16L 55/18
F16L 57/00−58/18
F16B 7/00− 7/22
E04G 23/00−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの鋼材が連結されるフランジ接合部付近の鋼材の補修構造であって、一方の鋼材に貼り付けられたFRP補修材の表面に、FRP定着具の一端部が設置され、かつ、該FRP定着具の他端部が、フランジ接合部を超えて、他方の鋼材側に設置されており、前記FRP定着具が前記フランジ接合部におけるフランジ締結用ボルト内を貫通させて設置されていることを特徴とする鋼材の補修構造。
【請求項2】
前記FRP定着具が、ヤーン、トウ、ストランド、織物、編物、組紐のうちの少なくとも一つの形態の強化繊維を含む、請求項に記載の鋼材の補修構造。
【請求項3】
前記フランジ締結用ボルトが前記FRP定着具を貫通させるための貫通孔を有し、該貫通孔の開口端部がテーパー部に形成されている、請求項またはに記載の鋼材の補修構造。
【請求項4】
前記FRP定着具と前記FRP補修材もしくは鋼材との間に土台が介在されている、請求項1〜のいずれかに記載の鋼材の補修構造。
【請求項5】
前記FRP定着具の少なくとも一方の端部が三角状または扇状に形成されている、請求項1〜のいずれかに記載の鋼材の補修構造。
【請求項6】
前記FRP定着具の表面上に、前記FRP補修材の強化繊維延設方向と交差する方向に延びる強化繊維を含むFRPシートが設置されている、請求項1〜のいずれかに記載の鋼材の補修構造。
【請求項7】
前記FRP補修材および前記FRP定着具の強化繊維として炭素繊維を含む、請求項1〜のいずれかに記載の鋼材の補修構造。
【請求項8】
以下の工程を有する鋼材の補修方法。
(1)2つの鋼材が連結されるフランジ接合部付近の少なくとも一方の鋼材の表面にFRP補修材を貼り付ける工程
(2)FRP定着具を、前記フランジ接合部におけるフランジ締結用ボルト内を貫通させ、かつ、FRP定着具の一端部が前記少なくとも一方の鋼材側のFRP補修材上まで延び他端部が他方の鋼材側まで延びるように設置する工程
【請求項9】
さらに、以下の工程を有する請求項に記載の鋼材の補修方法。
(3)前記FRP定着具と前記FRP補修材もしくは鋼材との間に土台を設置する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ接合された鋼材の補修構造およびその補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの鋼材(とくに、鋼管)がフランジ部を介して連結されるフランジ付き鋼材の接合においては、両者のフランジを突合せ、設計に応じた強度を持つ複数のボルトをフランジのボルト孔に通して、ナットで締め付けて接合している。しかし、近年鋼材の腐食が顕著化しており、フランジ付き鋼材の接合部付近も同様に腐食が進行しているものも確認されている。
【0003】
フランジ部付近が腐食した鋼材の腐食部を補修する場合、補修材の定着長の確保や定着方法が難しいため、通常、部材自身を取り替える方法を採用している。しかし、部材を取り替える場合、取り替えのために別途大掛かりな仮設などが必要となり、工期および工事費が増大するという問題がある。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1に記載されているように、既設管路の軸方向に沿ってフランジ部を跨いだ状態で補強筋を配置し、その補強筋の外周囲にFRP(繊維強化樹脂)を構成するための強化繊維を配置し、ボルト、ナットを埋め込めんだ状態で高強度樹脂を充填する技術を適用することが考えられる。しかしながら、この技術では、フランジ部周りの強度、剛性は得られるものの、その鋼管を取り換える際の工事が難航するという問題を招く。
【0005】
また、特許文献2には、鋼管ではないが繊維強化樹脂管のフランジ接合部近傍を補強するために、フランジ接合部近傍にさらに管端を突き合わせた接合部分を設け、その接合部分を覆うような管状のジョイントを設置して補強するようにした技術が記載されている。このような技術においては、管路の変位に耐えて接合部が破損することが少なくなるが、応力が常時かかるような既存鋼管のフランジ接合部近傍を補修する場合、上記のような管状のジョイントを設置することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−238676号公報
【特許文献2】特開2001−205707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、フランジ接合部付近が腐食等により劣化した鋼材の補修や鋼材自体の補強について、FRPによる十分な補修補強効果を確保し、定着具を使うことによって軸方向の力を健全な鋼材部分に伝達させるために必要な定着長を確保することができるようにした、鋼材の補修構造および補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼材の補修構造は、2つの鋼材が連結されるフランジ接合部付近の鋼材の補修構造であって、一方の鋼材に貼り付けられたFRP補修材の表面に、FRP定着具の一端部が設置され、かつ、該FRP定着具の他端部が、フランジ接合部を超えて、他方の鋼材側に設置されており、前記FRP定着具が前記フランジ接合部におけるフランジ締結用ボルト内を貫通させて設置されていることを特徴とする構造からなる。
【0009】
このような本発明に係る鋼材の補修構造においては、フランジ接合部付近の鋼材の腐食部等の補修すべき部位上にFRP補修材が貼り付けられてその補修部位がFRP補修材によって補修補強されるが、そのFRP補修材の表面にFRP定着具の一端部が設置され、該FRP定着具はフランジ接合部を超えて延び、FRP定着具の他端部が他方の鋼材側に設置される。補修すべき部位上に貼り付けられたFRP補修材がFRP定着具によって固定されることで、FRP補修材による補修補強作用が発現され、FRP定着具がフランジ接合部を跨いで両側に延びることで、FRP定着具自身の安定した設置状態の維持が可能になるとともに、FRP補修材を定着させ、軸方向の力を補修部位に隣接する健全な鋼材部分に伝達させるために必要な定着長を十分にとることが可能になり、それによってFRP補修材による十分に高い補修補強効果が安定した形態にて確保されることになる。そして、この構造による補修は、フランジ接合部を実質的にそのままの形態にして、鋼管部材を解体・取替えすることが不要であるので、短期間の工期で実施可能であり、鋼材の交換が不要であり、経済的にも有利な構造となる。さらに、本発明に係る鋼材の補修構造においては、上記FRP定着具がフランジ接合部におけるフランジ締結用ボルト内を貫通させて設置されている構造とされている。このようにすれば、FRP定着具の所望の設置位置をより安定した状態にて維持することができる。FRP定着具をフランジ締結用ボルト内を貫通させるには、例えば、既存のフランジ締結用ボルトを孔付きボルトに交換することで容易に達成できる。
【0011】
また、上記FRP定着具の形態としては、特に限定されず、例えば、ヤーン、トウ、ストランド、織物、編物、組紐のうちの少なくとも一つの形態の強化繊維を含むものから構成することができる。
【0012】
また、上記フランジ締結用ボルトとして上記FRP定着具を貫通させるための貫通孔を有するものを用いる場合、該貫通孔の開口端部がテーパー部に形成されている構造を採ることもできる。FRP定着具をフランジ締結用ボルトの貫通孔に貫通させる場合、貫通孔の開口端部でFRP定着具が折れ曲がりやすい構造となりやすく、大きな角度をもって折れ曲がると、折れ曲がり部分における応力集中が大きくなる可能性がある。貫通孔の開口端部がテーパー部に形成されていることで、FRP定着具が大きな角度をもって折れ曲がることが回避され、大きな応力集中の発生が防止される。
【0013】
また、上記FRP定着具と上記FRP補修材もしくは鋼材との間に土台が介在されている構造とすることもできる。FRP定着具は、フランジ接合部を跨いで両側に延びることになり、フランジ締結用ボルトを貫通して延びる場合を含めて、FRP定着具のフランジ接合部における径方向位置は、鋼材の表面やFRP補修材の表面の位置よりもより大径側の位置となることが多く、フランジ接合部の両側においては、FRP定着具と鋼材の表面やFRP補修材の表面との間に隙間(デッドスペース)が生じる構造となることが多い。この隙間をそのまま残しておくことも可能であるが、隙間のまま残しておくと、その隙間に対応するFRP定着具部位の姿勢が不安定になり、隙間端部部分からFRP定着具が剥がれやすくなる可能性があるので、隙間を埋めてFRP定着具を支持すべく、土台を設けておくことが好ましい。土台の素材としては、例えば、石膏、樹脂などを使用できるが、施工の行いやすい樹脂(例えば、エポキシ、アクリル、ウレタン、ポリウレア樹脂など)の使用が好ましい。
【0014】
また、上記FRP定着具の少なくとも一方の端部は、例えば、三角状または扇状に広がる端部に形成されていることが好ましい。つまり、FRP定着具の端部が、FRP補修材の表面上や鋼材の表面上に設置される際に、その端部が三角状または扇状に広げられる。このようにすれば、定着部の面積を大きく確保でき、より安定した定着が可能になる。
【0015】
また、本発明に係る鋼材の補修構造においては、設置したFRP定着具の固定形態をより安定して維持するために、上記FRP定着具の表面上に、上記FRP補修材の強化繊維延設方向と交差する方向に延びる強化繊維を含むFRPシートが設置されている構造とすることができる。このようにすれば、FRP補修材とその上に設置されているFRP定着具が、FRPシートによってより強固に固定されることになるので、補修構造部の所望の構造が安定して維持されることになる。
【0016】
また、上記FRP補修材および上記FRP定着具のFRPを構成する強化繊維としては、種々の強化繊維を使用可能であり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維および高強度ポリエチレン繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種の連続繊維を用いることができる。中でも引張弾性係数が245GPa〜640GPaの範囲となる炭素繊維を使用することが好ましい。炭素繊維は、連続繊維の中でも強度および弾性率に優れるため好ましい。また、その形態は、連続繊維そのものやシート状に加工した織物などを現場で樹脂を含浸させてFRPを形成させてもよいし、プリプレグあるいは予め樹脂を含浸硬化させたFRPを接着剤で貼り付けるようにしてもよい。
【0017】
FRPの接着剤としては、例えば合成樹脂系の接着剤を用いることができ、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂および不飽和ポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を用いることができる。耐久性および強度発揮特性を考慮すれば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明は、以下の工程を有する鋼材の補修方法についても提供する。
(1)2つの鋼材が連結されるフランジ接合部付近の少なくとも一方の鋼材の表面にFRP補修材を貼り付ける工程
(2)FRP定着具を、前記フランジ接合部におけるフランジ締結用ボルト内を貫通させ、かつ、FRP定着具の一端部が前記少なくとも一方の鋼材側のFRP補修材上まで延び他端部が他方の鋼材側まで延びるように設置する工程
【0019】
この本発明に係る鋼材の補修方法においては、さらに、以下の工程を有することが好ましい。
(3)上記FRP定着具と上記FRP補修材もしくは鋼材との間に土台を設置する工程
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明に係る鋼材の補修構造および補修方法によれば、フランジ接合部付近が腐食等により劣化した鋼材に対し、十分な定着方法が確保でき、かつ短工期で、経済的に有利な補修を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施態様に係る鋼材の補修構造における補修すべき部位を例示した概略正面図である。
図2図1の補修部位を補修した鋼材の補修構造を示す概略正面図である。
図3図2の補修構造の断面図である。
図4図2の補修構造に用いたFRP定着具と貫通孔を有するボルトの拡大斜視図である。
図5】貫通孔を有するボルトの変形例を示す断面図である。
図6】本発明の別の実施態様に係るリブ付きフランジ鋼材の補修構造を示す概略正面図である。
図7図6の補修構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、鋼材の補修すべき部位を例示しており、図2図4は、この補修すべき部位を補修した本発明の一実施態様に係る鋼材の補修構造を示している。図1においては、2つの鋼材としての鋼管1、2が、それらのフランジ3、4で連結されており、フランジ3、4は複数の既設ボルト5で締結されている。このフランジ接合部6付近に、補修すべき部位として腐食部7、8が発生している例が示されている。これら腐食部7、8が、図2図4に示すように補修される。
【0023】
まず、上記フランジ接合部6付近の腐食部7、8を含む鋼管1、2の表面に、それぞれ、FRP補修材9、10が貼り付けられる。貼り付けには、前述したような接着剤を使用すればよい。FRP補修材9、10の強化繊維には、鋼管1、2の管軸方向に延びるものが配されていることが好ましい。これらFRP補修材9、10は、腐食程度に応じて複数枚積層することができる。積層する場合には、隣接層の強化繊維の延設方向を互いに異なる方向に設定することもできる。
【0024】
次に、既設ボルト5よりも材質強度が高く、ボルト断面中央部にボルト軸方向に沿って延びる貫通孔を有する孔付きボルト11が必要本数準備される。孔付きボルト11の貫通孔12(図3)に、本実施態様では、強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させたFRP定着具13が貫通されて通され、かつ、孔付きボルト11が、フランジ接合部6に設置されていた既設ボルト5と取り替えられる。すなわち、FRP定着具13は、フランジ接合部6を跨いでフランジ接合部6の両側に延びるように設置される。既設ボルト5の取替えは、鋼管が供用中の場合、一気に全部取り外すことはできないので、ボルト強度を把握しながら1本ずつ取替えが行われる。本実施態様では、FRP定着具13として、強化繊維束にマトリックス樹脂を含浸させておいて所定の形態で設置した後に一気にマトリックス樹脂を硬化させる手法を採用したが、例えば、強化繊維束を孔付きボルト11の貫通孔12に通しておき、後に樹脂を含浸させ,硬化させるようにしてもよいし、貫通孔12に通した部分のみ樹脂硬化させておき、フランジ接合部6の両側に延びる部分は後で硬化させるようにしてもよい。図4に示すような寸切りボルト(両端ねじ)の孔付きボルト11を使用する場合には、フランジ接合部6の両側でナット14を用いてフランジ3、4が締結される。
【0025】
ナット14による締結後、フランジ接合部6の両側に延びるFRP定着具13と各FRP補修材9、10との間のデッドスペースを埋めるべく、前述したような材質の(好ましくは樹脂製の)土台15、16が作製、設置される。
【0026】
土台15、16が設置された状態で、FRP定着具13の端部(本実施態様では両端部)が三角状または扇状に拡げられ、その両端部がFRP補修材9、10の表面に接着、接合される。この接合だけでFRP定着具13のFRP補修材9、10への接合力が十分の場合にはそのままでもよいが、本実施態様ではさらに形態の固定性を高めるために、FRP定着具13の上から、FRPシート17、18が、その強化繊維延設方向がFRP定着具13やFRP補修材9、10の強化繊維延設方向に対し直角となるように、FRP定着具13の表面に巻きつけられる。このFRPシート17、18についても、前もってマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させたもの、先に強化繊維のみを巻き付け、巻き付けられた強化繊維に対し施工場所にて樹脂を含浸させるものの、いずれも適用可能である。なお、一方の鋼管に補修すべき腐食部等が存在しない場合には、その鋼管の表面上まで延び鋼管の表面上に貼り付けられたFRP定着材の上から上記のようにFRPシートが巻き付けられればよい。
【0027】
また、更に固定性を求める場合は、土台15,16の端部に、線条体がリング状に延びた固定具を巻いて固定してもよい。リング状の固定具の線条体の断面は円形が好ましく、直径は1mm以上で、材質は金属、樹脂、ゴム等を用いることができるが、金属とすることが好ましい。
【0028】
上記実施態様において、上記のようにフランジ締結用ボルトとしてFRP定着具13を貫通させるための貫通孔12を有するものを用いる場合、例えば図5に示すように、貫通孔21の両側の開口端部がテーパー部22に形成されている孔付きボルト23を用いることもできる。このようなテーパー部22を有することにより、貫通孔21の開口端部でFRP定着具13が大きな角度をもって折れ曲がることが防止され、それによってFRP定着具13に大きな応力集中が発生することが防止される。
【0029】
図6図7は、本発明の別の実施態様に係るリブ付きフランジ鋼材(リブ付きフランジ鋼管)の補修構造を示している。図6図7に示す実施態様においては、フランジ3、4付近にリブ24、25があり、この場合、FRP補修材9、10は、そのFRP補修材の補強繊維を短く切らずに、繊維束間を裂いて開き、リブ24、25を避けるように割ってフランジ3、4付近まで延ばしておく。
【0030】
しかし、リブ24、25の幅(厚み)が厚く、繊維束を裂いて貼り付けることが困難な場合には、リブ24、25を避けて貼り付けできるように、リブ24、25の幅厚み分のスリットを予めFRP補修材9、10内に設け、櫛状になったFRP補修材9、10を設置してもよい。ただし、この方法を採用した場合、リブ24、25の幅厚み分失ったFRP補修材9、10の剛性を補間する為に、切り取られて失った分のFRP補修材9、10の剛性分(FRP補修材の弾性率×失ったFRP補修材の横断面積)の補間用FRP補修材(図示略)を、リブ24同士、リブ25同士の間に貼り付け、さらに軸方向には、リブ24、25の長さに定着長分50mm以上を加えた長さの、補間用FRP補修材を設置することが好ましい。
【0031】
なお、土台15、16は、リブ24、25同士の間で設置すればよい。また、FRPシート17、18は、リブ付け根を避けるように軸直角方向に巻けばよい。
【0032】
上記各実施態様の如く、本発明では、実質的に2つの鋼管1、2の締結状態を維持したまま、容易に短時間で腐食部等を補修でき、補修後も補修部の十分な強度を確保することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る鋼材の補修構造および補修方法は、フランジ接合されるあらゆる鋼材の補修に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1、2 鋼材としての鋼管
3、4 フランジ
5 既設ボルト
6 フランジ接合部
7、8 補修すべき部位としての腐食部
9、10 FRP補修材
11、23 孔付きボルト
12、21 貫通孔
13 FRP定着具
14 ナット
15、16 土台
17、18 FRPシート
22 テーパー部
24、25 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7