(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
〔背景〕
従来から、プリント基板に対して電子部品を機械的にハンダ付する方法として、『フロー半田付け法』や『リフロー半田付け法』が行われている。
【0003】
『フロー半田付け法』は、加熱溶融した半田を半田槽に満たし、スルーホールに電子部品の端子導線を差し込んだプリント基板を半田槽の上で移動させ、半田の液面と基板表面を接触させて半田付けを行なう方法である。この方法は、加熱溶融した半田の液面にプリント基板を接触させて半田付けするため、プリント基板の接触で半田が固まってしまうと半田付け不良となる。それを避けるためには、半田槽の半田を十分に加熱しておく必要がある。ところが、最近多様される鉛フリー半田のように溶融点が高い半田では、加熱温度もそれだけ高くしなければならないため、電子部品に対して熱ストレスを与えやすいという問題がある。
【0004】
『リフロー半田付け法』は、あらかじめパターンに合わせてクリーム半田を印刷をしたプリント基板に部品を実装し、そのプリント基板に対して直接熱を加えてクリーム半田を溶かして半田付けを行う方法である。この方法は、クリーム半田を印刷するためにスクリーン印刷等を行わなければならず、大量生産品には適するが小ロット品への適用はコスト面で極めて不利である。
【0005】
〔従来技術〕
そこで、筒状の半田ごてを使用することにより、半田付け箇所にそれぞれ必要十分な加熱処理を行う技術として、たとえば下記の特許文献1および特許文献2が開示されている。なお、以下に述べる文献の説明で記載した符号は公報に掲載されたものである。
【0006】
〔文献の開示〕
特許文献1は、複数の導電性パッドへのハンダ付着方法を開示する。この文献には、つぎの記載がある(段落0023〜0024、
図2)。
ハンダ・ノズル経路68は、A地点からB地点へ移動し、その後は、同様にしてC地点及び残りの地点へと移動する。A地点は第1のリニア・アレイ60のラインから選択された距離だけオフセットされている。これは、ハンダ・ノズル・アセンブリ20が、位置合わせ地点72の上部を通過しないようにするためである。かかる位置合わせ地点72は、電子部品を所望の位置に光学的に位置合わせして、かかる電子部品の導体リードを導電性パッド18と一致させることにある。
ハンダ・ノズル・アセンブリ20は、先ずA地点に位置決めされ、そして所望の量のハンダ線44がハンダ・ノズル・アセンブリ20内の空洞へ供給される。次に、ハンダ・ノズル・アセンブリ20の下側に延出するハンダ液滴がプレーナ表面16に接触し得るように、ハンダ・ノズル・アセンブリ20が、プレーナ表面16の上方で適当な高さまで下降される。次に、ハンダ・ノズル・アセンブリ20は、ほぼ一定の速度でB地点へ移動され、その後、第1のリニア・アレイ60に追随する選択された移動ラインに沿ってC地点へ移動される。
【0007】
特許文献2は、挿入実装型部品の実装方法を開示する。この文献には、つぎの記載がある(段落0018、
図2)。
先ず、上述した半導体パッケージ10のリード14をスルーホール22に挿入する。続いて、リード14の挿入リード部16と、非挿入リード部20との境界がプリント配線基板28のパッケージ本体側の環状金属ランド26Aの上面に一致するように、リード14を位置決めする。次いで、挿入リード部16と、筒状金属ランド部24及び環状金属ランド部26Bとを、鉛フリーはんだを使ってはんだ接合し、接合はんだ部30を形成することにより、半導体パッケージ10をプリント配線基板28に実装することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1は、複数の導電性パッドへのハンダ付着方法に関するものである。位置合わせ地点72により、電子部品を所望の位置に光学的に位置合わせして、かかる電子部品の導体リードを導電性パッド18と一致させることが記載されている。
しかしながら、各導電性パッド18に対してハンダ・ノズル・アセンブリ20の移動位置を決定する方法について、具体的な言及はない。
【0010】
上記特許文献2は、スルーホール22を有する基板本体21に対してはんだ付けを行う挿入実装型部品の実装方法に関するものである。リード14における挿入リード部16と非挿入リード部20との境界が、プリント配線基板28の環状金属ランド26Aの上面に一致するよう、リード14を位置決めすることが記載されている。
しかしながら、各スルーホール22に対してはんだごての移動位置を決定する方法について、具体的な言及はない。
【0011】
〔目的〕
本発明の目的は、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において半田ごての位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めた半田付け装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔請求項1〕
上記目的を達成するため、請求項1の半田付け装置は、つぎの構成を採用した。
筒状の半田ごてによって基板のスルーホールに対して半田付けを行う装置であって、
上記半田ごてが搭載されたノズルユニットを、X方向,Y方向およびZ方向に搬送できる搬送ユニットと、
上記半田ごての位置において上記スルーホールを撮影するカメラが搭載され、上記ノズルユニットに替えて上記搬送ユニットに取り付け可能なカメラユニットと、
上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像をモニタ用に表示することにより、上記スルーホールに対する半田ごての位置を位置決めするための表示装置と、
上記位置決めされた位置における上記搬送ユニットにおける座標を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニットを上記搬送ユニットに取り付けて行う半田付け工程を制御する制御手段とを備えた。
【0013】
〔請求項2〕
請求項2の半田付け装置は、請求項1の構成に加えて次の構成を採用した。
上記記憶手段に記憶する上記搬送ユニットにおけるX方向およびY方向の座標は、
上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を表示装置に表示し、上記表示装置の表示画面上において上記スルーホールの位置が所定位置になったときの座標である。
【0014】
〔請求項3〕
請求項3の半田付け装置は、請求項1または2の構成に加えて次の構成を採用した。
上記記憶手段に記憶する上記搬送ユニットにおけるZ方向の座標は、
上記基板に対して上記半田ごての先端が接触する高さにあらかじめ上記カメラの焦点を合わせておき、上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を表示装置に表示し、上記表示装置の表示画面上において上記スルーホールの焦点が合ったときの座標である。
【0015】
〔請求項4〕
請求項4の半田付け装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成に加えて次の構成を採用した。
上記記憶手段に記憶する上記搬送ユニットにおけるZ方向の座標は、
上記カメラユニットに搭載したレーザ変位センサにより検知した、上記半田ごての先端が上記基板に対して接触する高さになったときの座標である。
【0016】
〔請求項5〕
上記目的を達成するため、請求項5の半田付け方法は、つぎの構成を採用した。
筒状の半田ごてによって基板のスルーホールに対して半田付けを行う方法であって、
上記半田ごてが搭載されたノズルユニットを、X方向,Y方向およびZ方向に搬送できる搬送ユニットと、
上記半田ごての位置において上記スルーホールを撮影するカメラが搭載され、上記ノズルユニットに替えて上記搬送ユニットに取り付け可能なカメラユニットと、
上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像をモニタ用に表示することにより、上記スルーホールに対する半田ごての位置を位置決めするための表示装置とを準備し、
上記位置決めされた位置における上記搬送ユニットにおける座標を記憶手段に記憶するステップと、
上記記憶手段に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニットを上記搬送ユニットに取り付けて行う半田付け工程を制御手段により制御するステップとを備えた。
【発明の効果】
【0017】
〔請求項1〕
請求項1の半田付け装置は、上記構成を採用したことにより、つぎの効果を奏する。
上記搬送ユニットに上記ノズルユニットに替えて上記カメラユニットを取り付け、上記カメラにより、上記半田ごての位置において上記スルーホールを撮影する。上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を、表示装置にモニタ用として表示し、上記スルーホールに対する半田ごての位置を位置決めする。上記位置決めされた位置における上記搬送ユニットにおける座標を記憶手段に記憶する。上記記憶手段に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニットを上記搬送ユニットに取り付けて行う半田付け工程を制御手段により制御する。
このようにすることにより、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において半田ごての位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0018】
〔請求項2〕
請求項2の半田付け装置は、上記構成を採用したことにより、つぎの効果を奏する。
上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を表示装置に表示し、上記表示装置の表示画面上において上記スルーホールの位置が所定位置になったときの座標を、上記搬送ユニットにおけるX方向およびY方向の座標として上記記憶手段に記憶する。
このようにすることにより、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において、半田ごてのX方向およびY方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0019】
〔請求項3〕
請求項3の半田付け装置は、上記構成を採用したことにより、つぎの効果を奏する。
上記基板に対して上記半田ごての先端が接触する高さにあらかじめ上記カメラの焦点を合わせておき、上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を表示装置に表示し、上記表示装置の表示画面上において上記スルーホールの焦点が合ったときの座標を、上記搬送ユニットにおけるZ方向の座標として上記記憶手段に記憶する。
このようにすることにより、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において、半田ごてのZ方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0020】
〔請求項4〕
請求項4の半田付け装置は、上記構成を採用したことにより、つぎの効果を奏する。
上記カメラユニットに搭載したレーザ変位センサにより検知した、上記半田ごての先端が上記基板に対して接触する高さになったときの座標を、上記搬送ユニットにおけるZ方向の座標として上記記憶手段に記憶する。
このようにすることにより、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において、半田ごてのZ方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0021】
〔請求項5〕
請求項5の半田付け方法は、上記構成を採用したことにより、つぎの効果を奏する。
上記搬送ユニットに上記ノズルユニットに替えて上記カメラユニットを取り付け、上記カメラにより、上記半田ごての位置において上記スルーホールを撮影する。上記カメラで撮影した上記スルーホールの画像を、表示装置にモニタ用として表示し、上記スルーホールに対する半田ごての位置を位置決めする。上記位置決めされた位置における上記搬送ユニットにおける座標を記憶手段に記憶する。上記記憶手段に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニットを上記搬送ユニットに取り付けて行う半田付け工程を制御手段により制御する。このようにすることにより、スルーホールに対して半田ごてを搬送して行なう半田付け工程において半田ごての位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0024】
〔全体構成〕
図1は、本発明が適用される半田付け装置1の一例を示す図である。
この半田付け装置1は、筒状の半田ごて20によって、ワーク台17上のプリント基板5のスルーホール8に対して半田付けを行う装置である。
【0025】
上記半田付け装置1は、半田ごて20が搭載されたノズルユニット51を取り付けるヘッドユニット2と、上記ノズルユニット51をX方向,Y方向およびZ方向に搬送するための搬送ユニット4とを備えている。
【0026】
上記ノズルユニット51は、ヘッドユニット2の下面側に取り付けられている。上記ヘッドユニット2は、糸半田21を切断する切断機構10および筒状の半田ごて20を加熱する加熱機構(図示せず)を備えている。上記ノズルユニット51に搭載された半田ごて20は筒状であり、リール22から引き出された糸半田21が、切断機構10で所定寸法に切断されて中空路内に供給される。
【0027】
上記ヘッドユニット2は、フローティングユニット3に取り付けられている。上記フローティングユニット3は、搬送ユニット4に取り付けられる。これにより、上記ヘッドユニット2に取り付けられたノズルユニット51が、搬送ユニット4により、X方向,Y方向およびZ方向に搬送される。
【0028】
上記フローティングユニット3は、上記ヘッドユニット2に対してその自重に逆らった力を加えることによりフローティング状態にする。上記フローティングユニット3は、空気圧によってヘッドユニット2をフローティング状態にするエアシリンダ30と、所定の高さ範囲内でヘッドユニット2の上下移動をガイドするガイド機構31とを含んで構成されている。この例では、上記エアシリンダ30により、上記ヘッドユニット2に対してその自重に逆らった牽引力を加える。例えば、ヘッドユニット2の自重の90%の力で上方に引き上げることにより、ヘッドユニット2は見かけ上自重の10%の荷重となる。このように見かけ上自重よりも小さい荷重となる状態をフローティング状態という。
【0029】
上記搬送ユニット4は、フローティングユニット3をヘッドユニット2を正面から見て左右方向(以下「X方向」という)に搬送するためのX方向搬送部42と、フローティングユニット3をヘッドユニット2を正面から見て前後方向(以下「Y方向」という)に搬送するためのY方向搬送部43と、フローティングユニット3を上下方向(以下「Z方向」という)に搬送するためのZ方向搬送部41とを備えて構成されている。
【0030】
〔切断機構〕
図2は、ヘッドユニット2の切断機構10を説明する図である。
上記切断機構10は、受け刃11を有する切断プレート16と、複数の切り刃12を有する切断ギヤ15と、上記切断ギヤ15を回転駆動するためのモータ13とを含んで構成されている。受け刃11は送りローラ14の直下に位置し、糸半田21の供給を受ける供給孔11aを有する筒状である。切り刃12は糸半田21を保持する保持孔12aを有する筒状である。切断ギヤ15には、回転軸を中心として対称な位置に、この例では2つの切り刃12が配置されている。一方の切り刃12が受け刃11と同軸位置になるところに切断ギヤ15が停止した状態で、他方の切り刃12と同軸位置になるところに排出孔11cおよび半田ごて20が配置されている。
【0031】
まず、一方の切り刃12が受け刃11と同軸位置になるところに切断ギヤ15が停止した状態で、切れ刃12の保持孔12aに糸半田21の先端が供給される。そこから切断ギヤ15を回転させるときに、糸半田21の先端部が切断されて糸半田片(図示していない)が生成される。ついで、切断ギヤ15を初期位置から半回転させると、切れ刃12の保持孔12aと排出孔11cの位置が一致し、糸半田片が排出孔11cから排出されて筒状の半田ごて20に供給される。筒状の半田ごて20に糸半田片が供給されると、上述したように半田付けが行われる。
【0032】
〔搬送ユニット〕
上記搬送ユニット4は、上述したように、半田ごて20が搭載されたノズルユニット51を、X方向,Y方向およびZ方向に搬送できるよう、X方向搬送部42,Y方向搬送部43およびZ方向搬送部41を備えて構成されている。
【0033】
Z方向搬送部41は、上下方向に沿うよう支持部材45に固定されたボールねじ44に対し、ボールねじ44の回転に応じて昇降する昇降ユニット46が取り付けられて構成されている。上記昇降ユニット46には、上述したフローティングユニット3が取り付けられている。ボールねじ44を回転駆動させることにより、昇降ユニット46が上下移動し、これによってフローティングユニット3をZ方向に搬送する。フローティングユニット3がZ方向に搬送されると、それに取り付けられたヘッドユニット2もZ方向に搬送され、その結果ノズルユニット51もZ方向に搬送される。
【0034】
X方向搬送部42は、上記Z方向搬送部41の支持部材45が載置され、支持部材45をX方向にスライド移動可能にするスライドレール機構を備えている。スライド移動は、例えば図示しないボールねじ機構によって実現することができる。スライドレール機構を駆動することにより、Z方向搬送部41をX方向に搬送する。Z方向搬送部41がX方向に搬送されると、それに取り付けられたフローティングユニット3およびヘッドユニット2もX方向に搬送され、その結果ノズルユニット51もX方向に搬送される。
【0035】
Y方向搬送部43は、上記X方向搬送部42が載置され、X方向搬送部42をY方向にスライド移動可能にするスライドレール機構を備えている。スライド移動は、例えば図示しないボールねじ機構によって実現することができる。スライドレール機構を駆動することにより、X方向搬送部42をY方向に搬送する。X方向搬送部42がY方向に搬送されると、それに取り付けられたZ方向搬送部41、フローティングユニット3およびヘッドユニット2もY方向に搬送され、その結果ノズルユニット51もY方向に搬送される。
【0036】
〔半田付け工程〕
図3は、半田付け工程を説明する図である。
この半田付け装置1は、プリント基板5上のスルーホール8に電子部品7の導線6を挿入した状態でスルーホール8と導線6を糸半田片21aで接合するものである。先端が、スルーホール8を通過した導線6を筒状の半田ごて20の中空路に侵入させた状態で、筒状の半田ごて20の先端がスルーホール8の周囲に押し付けられる。この状態で、糸半田片21aが、筒状の半田ごて20の中空路に供給され、先端部で加熱溶融して半田付けが行われるのである。図において符号9は、切断機構10で切断されて得られた糸半田片21aを筒状の半田ごて20に案内するガイド管9である。
【0037】
この例では、複数のスルーホール8に対して順次、半田付けが行われる。これを自動的に連続的に行う。つまり、まず、対象とするスルーホール8の位置に半田ごて20を正確に位置決めし、その状態で糸半田21の切断、半田ごて20の押し付け、糸半田片21aの加熱溶融、半田ごて20の除去を行う。引き続き、つぎのスルーホール8の位置まで半田ごて20を移動して位置決めし、半田付けを行う。
【0038】
〔ティーチング〕
上述した半田付け工程においては、各スルーホール8の位置に半田ごて20を正確に位置決めすることが重要である。そこで、上述した半田付け工程を行う前の準備として、各スルーホール8の位置(X方向、Y方向、Z方向における座標)を記憶させるティーチングを行う。このティーチングにおいて記憶した各スルーホール8の位置(X方向、Y方向、Z方向における座標)に基づいて、半田付け工程において半田ごて20を順次位置決めする。
【0039】
以下、上述したティーチングを行うための本発明の実施形態について説明する。
【0040】
〔カメラユニット〕
図4は、上記ヘッドユニット2に対し、ノズルユニット51に替えてカメラユニット52を取り付けた状態を示す。
【0041】
上記カメラユニット52は、上記半田ごて20の位置において上記スルーホール8を撮影するカメラ53が搭載されている。上記カメラユニット52は、上記ノズルユニット51に替えて上記搬送ユニット4に取り付け可能である。つまり、カメラユニット52をノズルユニット51に替えてヘッドユニット2に対して取り付けることで、そのカメラユニット52は、ヘッドユニット2とフローティングユニット3を介して搬送ユニット4により、X方向,Y方向およびZ方向に搬送される。
【0042】
上記カメラユニット52に取り付けられたカメラ53は、カメラユニット52をヘッドユニット2に取り付けた状態で、上記半田ごて20と同様の位置において上記スルーホール8を撮影しうるように配置されている。つまり、ヘッドユニット2にカメラユニット52を取り付けてスルーホール8を撮影し、その状態でスルーホール8に対してヘッドユニット2を位置決めする。この座標位置にヘッドユニット2を位置させると、カメラユニット52をノズルユニット51に取り替えたときに、上記スルーホール8に対して半田ごて20が正確に位置決めされるのである。スルーホール8に半田ごて20を対面させて位置決めするかわりに、スルーホール8をカメラ53で撮影して位置決めするのである。
【0043】
上記カメラユニット52は、上記カメラ53での撮影を容易にするためのライトユニット54を備えている。上記ライトユニット54は、カメラ53で撮影する被写体としてのスルーホール8を照明するためのライト55を有している。また、上記ライトユニット54には、レーザ変位センサ56が搭載されている。上記レーザ変位センサ56は、上記半田ごて20の先端が上記プリント基板5に対して接触する高さになったときの上記搬送ユニット4におけるZ方向の座標を検知する。
【0044】
上記カメラユニット52は、上記ライトユニット54およびカメラ53のX方向における位置を微調整するためのX調整部57と、上記ライトユニット54およびカメラ53のY方向における位置を微調整するためのY調整部58とを備えている。上記X調整部57は、ツマミ57Aを回転させることにより、上記ライトユニット54およびカメラ53の位置をX方向において微調整する。上記Y調整部58は、ツマミ58Aを回転させることにより、上記ライトユニット54およびカメラ53の位置をY方向において微調整する。
【0045】
〔マスター治具〕
図5は、上記ヘッドユニット2に対し、ノズルユニット51に替えてマスター治具60を取り付けた状態を示す。
【0046】
上記マスター治具60は、センター調節用治具61とセットで用いることにより、ノズルユニット51およびカメラユニット52を取り付けるヘッドユニット2のセンター位置を調節するものである。つまり、センター調節用治具61を所定位置に固定した状態で、センター調節用治具61上面に設けたセンター穴61Aに対し、マスター治具60の先端に設けた嵌合部60Aを嵌合させる。この状態のときに、ヘッドユニット2のセンター位置が定まるようになっている。
【0047】
ヘッドユニット2のセンター位置が定まった状態で、センター調節用治具61を所定位置に固定したまま、マスター治具60に替えてカメラユニット52を取り付ける(
図4の状態である)。この状態で、センター調節用治具61のセンター穴61Aが撮影画像のセンターに来るように、上述したX調整部57とY調整部58で、上記ライトユニット54とカメラ53のX方向とY方向の位置を微調整する。このとき、撮影画像は後述する表示装置70に表示させてモニタする。
【0048】
〔制御系統〕
図6は、上記半田付け装置の制御系統を説明するための図である。
この半田付け装置1は、表示装置70と、コンピュータ装置71を備えている。
【0049】
上記表示装置70は、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像をモニタ用に表示することにより、上記スルーホール8に対する半田ごて20の位置を位置決めするためのものである。位置決めの詳細については後述する。
【0050】
上記コンピュータ装置71は、記憶手段49と制御手段50を備えている。上記記憶手段49は、上記位置決めされた位置における上記搬送ユニット4における座標を記憶する。上記制御手段50は、上記記憶手段49に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニット51を上記搬送ユニット4に取り付けて行う半田付け工程を制御する。
【0051】
上記制御手段50は、上記Z方向搬送部41を駆動するためのZ方向駆動モータ41a、X方向搬送部42を駆動するためのX方向駆動モータ42aおよびY方向搬送部43を駆動するためのY方向駆動モータ43aをそれぞれ駆動制御して、ヘッドユニット2をZ方向、X方向およびY方向に搬送する動作を制御する。
【0052】
上記制御手段50は、ヘッドユニット2がフローティング状態となるよう上記フローティングユニット3を制御する。
【0053】
上記制御手段50は、上記搬送手段4がヘッドユニット2をX方向,Y方向およびZ方向に搬送する際に、X方向,Y方向およびZ方向における座標を検知する。具体的には、X方向駆動モータ42a,Y方向駆動モータ43aおよびZ方向駆動モータ41aが回転した回数や角度によって上記座標を検知する。
【0054】
上記制御手段50は、カメラ53で撮影したスルーホール8の画像を表示装置70に表示する画像表示を制御する。また、上記制御手段50は、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像をモニタ用に表示して行う、上記スルーホール8に対する半田ごて20の位置を位置決めすることを制御する。
【0055】
〔位置決め〕
図7は、上記スルーホール8に対する半田ごて20の位置を位置決めする状態を説明する図である。
【0056】
図7(A)は、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像をモニタ用に表示装置70に表示し、上記スルーホール8に対する半田ごて20のX方向とY方向の位置決めを行う状態を示す。
【0057】
表示装置70には、スルーホール8を撮影した画像が表示されている。このとき、表示装置70には、標的状の基準線72が表示されている。そして、上記基準線72の中心とスルーホール8の中心を合わせるように搬送手段4をマニュアル操作で移動制御する。上記基準線72の中心とスルーホール8の中心が合致したところで位置決めが完了する。制御手段50は、位置決めが完了したときの搬送手段4におけるX座標とY座標を検知し、記憶手段49に記憶させる。
【0058】
つまり、上記記憶手段49に記憶する上記搬送ユニット4におけるX方向およびY方向の座標は、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像を表示装置70に表示し、上記表示装置70の表示画面上において上記スルーホール8の位置が所定位置になったときの座標である。
【0059】
図7(B)は、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像をモニタ用に表示装置70に表示し、上記スルーホール8に対する半田ごて20のZ方向の位置決めを行う状態を示す。
【0060】
表示装置70には、スルーホール8を撮影した画像が表示されている。このとき、あらかじめ、カメラ53の焦点を、上記プリント基板5に対して上記半田ごて20の先端が接触する高さに合わせておく。この状態で、搬送手段4をマニュアル操作でZ方向に移動制御する。表示装置70に表示されたスルーホール8の画像の焦点が合ったところで位置決めが完了する。制御手段50は、位置決めが完了したときの搬送手段4におけるZ座標を検知し、記憶手段49に記憶させる。
【0061】
つまり、上記記憶手段49に記憶する上記搬送ユニット4におけるZ方向の座標は、上記プリント基板5に対して上記半田ごて20の先端が接触する高さにあらかじめ上記カメラ53の焦点を合わせておき、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像を表示装置70に表示し、上記表示装置70の表示画面上において上記スルーホール8の焦点が合ったときの座標である。
【0062】
図7(C)は、上記スルーホール8に対する半田ごて20のZ方向の位置決めを行う状態を示す第2例である。
【0063】
この例では、カメラユニット52に搭載したレーザ変位センサ56からプリント基板5に向かってレーザ光を照射し、その反射光を受光することにより、プリント基板5に対する上記半田ごて20の高さを検知する。レーザ変位センサ56で検知したプリント基板5に対する上記半田ごて20の高さが、ゼロ(半田ごて20の先端が上記プリント基板5に対して接触する)になったところで、位置決めが完了する。制御手段50は、位置決めが完了したときの搬送手段4におけるZ座標を検知し、記憶手段49に記憶させる。
【0064】
つまり、上記記憶手段49に記憶する上記搬送ユニット4におけるZ方向の座標は、上記により検知した、上記半田ごて20の先端が上記プリント基板5に対して接触する高さになったときの座標である。
【0065】
上述したように、位置決めしたときの搬送ユニット4における座標を記憶手段49に記憶する。半田付けの対象となるスルーホール8が複数あるときは、そのすべてについて、記憶手段49に座標を記憶する。そして、半田付け工程では、記憶手段49に記憶した座標に基づいて搬送手段4でノズルユニット51を搬送し、各スルーホール8に対する半田ごて20の位置決めを行う。
【0066】
〔作用効果〕
本実施形態の半田付け装置1および方法は、次の作用効果を奏する。
【0067】
上記搬送ユニット4に上記ノズルユニット51に替えて上記カメラユニット52を取り付け、上記カメラ53により、上記半田ごて20の位置において上記スルーホール8を撮影する。上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像を、表示装置70にモニタ用として表示し、上記スルーホール8に対する半田ごて20の位置を位置決めする。上記位置決めされた位置における上記搬送ユニット4における座標を記憶手段49に記憶する。上記記憶手段49に記憶された上記座標に基づいて、上記ノズルユニット51を上記搬送ユニット4に取り付けて行う半田付け工程を制御手段50により制御する。
このようにすることにより、スルーホール8に対して半田ごて20を搬送して行なう半田付け工程において半田ごて20の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0068】
上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像を表示装置70に表示し、上記表示装置70の表示画面上において上記スルーホール8の位置が所定位置になったときの座標を、上記搬送ユニット4におけるX方向およびY方向の座標として上記記憶手段49に記憶する。
このようにすることにより、スルーホール8に対して半田ごて20を搬送して行なう半田付け工程において、半田ごて20のX方向およびY方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0069】
上記プリント基板5に対して上記半田ごて20の先端が接触する高さにあらかじめ上記カメラ53の焦点を合わせておき、上記カメラ53で撮影した上記スルーホール8の画像を表示装置70に表示し、上記表示装置70の表示画面上において上記スルーホール8の焦点が合ったときの座標を、上記搬送ユニット4におけるZ方向の座標として上記記憶手段49に記憶する。
このようにすることにより、スルーホール8に対して半田ごて20を搬送して行なう半田付け工程において、半田ごて20のZ方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0070】
上記カメラユニット52に搭載したレーザ変位センサ56により検知した、上記半田ごて20の先端が上記プリント基板5に対して接触する高さになったときの座標を、上記搬送ユニット4におけるZ方向の座標として上記記憶手段49に記憶する。
このようにすることにより、スルーホール8に対して半田ごて20を搬送して行なう半田付け工程において、半田ごて20のZ方向の座標の位置決めを正確に行い、半田付けの確実性と信頼性を高めることができた。
【0071】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。