(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227993
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ロボットの遠隔操作システムと方法
(51)【国際特許分類】
B25J 3/00 20060101AFI20171030BHJP
B25J 19/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
B25J19/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-256979(P2013-256979)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-112688(P2015-112688A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小椋 優
(72)【発明者】
【氏名】溝内 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 光治
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−180581(JP,A)
【文献】
特開平4−269194(JP,A)
【文献】
特開2009−36589(JP,A)
【文献】
特開平5−253889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対し作業を行うためのツールと、作業中にツール及び対象物を同時に撮影可能なカメラと、前記ツール及びカメラの位置と姿勢を3次元空間内で移動可能なロボットアームと、前記カメラの画像を送信しロボットアームに対する動作指令を受信する作業側無線装置と、を有するロボットと、
前記画像を表示する表示装置と、ロボットアームを操作する操作装置と、前記画像を受信しロボットアームに対する動作指令を送信する操作側無線装置と、を有する遠隔操作装置と、
前記作業中にツール及び対象物と共に前記カメラの視野内に入る位置に固定され、前記対象物に対する前記ツールの位置又は姿勢の変化により画像上の形状が変化するように設定された立体マーカと、を備え、
前記立体マーカは、対象物の設置面から一定の間隔で外周面のまわり又は内周面にリング状に設けられた目視可能な同一の大きさの複数の模様を有する、ことを特徴とするロボットの遠隔操作システム。
【請求項2】
前記立体マーカは、対象物の設置面に固定され、前記設置面に直交する高さ方向に延びる円柱、円形パイプ、矩形柱、又は矩形パイプである、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項3】
前記遠隔操作装置は、前記画像から選択した選択画像を記憶する記憶装置を有し、
前記表示装置は、作業中の前記画像に前記選択画像を重畳して表示する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項4】
前記ロボットは、前記ツールから対象物の設置面までの距離を検出する距離センサを有し、
前記表示装置は、作業中の前記画像に検出した前記距離を重畳して表示する、ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの遠隔操作システム。
【請求項5】
対象物に対し作業を行うためのツールと、作業中にツール及び対象物を同時に撮影可能なカメラと、前記ツール及びカメラの位置と姿勢を3次元空間内で移動可能なロボットアームと、前記カメラの画像を送信しロボットアームに対する動作指令を受信する作業側無線装置と、を有するロボットと、
前記画像を表示する表示装置と、ロボットアームを操作する操作装置と、前記画像を受信しロボットアームに対する動作指令を送信する操作側無線装置と、を有する遠隔操作装置と、を準備し、
前記作業中にツール及び対象物と共に前記カメラの視野内に入る位置に、前記対象物に対する前記ツールの位置又は姿勢の変化により画像上の形状が変化する立体マーカを固定し、前記立体マーカは、対象物の設置面から一定の間隔で外周面のまわり又は内周面にリング状に設けられた目視可能な同一の大きさの複数の模様を有しており、
前記立体マーカの形状の前記画像上の変化を視認しながら前記遠隔操作装置を操作する、ことを特徴とするロボットの遠隔操作方法。
【請求項6】
記憶装置により、前記画像から選択した選択画像を記憶し、
前記表示装置により、作業中の前記画像に前記選択画像を重畳して表示する、ことを特徴とする請求項5に記載のロボットの遠隔操作方法。
【請求項7】
距離センサにより、前記ツールから対象物の設置面までの距離を検出し、
前記表示装置により、作業中の前記画像に検出した前記距離を重畳して表示する、ことを特徴とする請求項5に記載のロボットの遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの遠隔操作システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔操作システムは、対象物に対し作業を行うためのロボットと遠隔操作装置を備え、ロボットを無線等で遠隔操作するシステムである。
ここで作業とは、例えば、人が近づけない環境(高温環境、低温環境、汚染環境、など)におけるワークの把持、搬送、設置などである。ロボットは、例えばロボットアーム(例えば多関節アーム又はマニピュレータ)を備えた自走式又は固定式の装置である。ロボットは、さらに、遠隔操作装置と通信する通信装置、作業を行うためのツール(例えばハンド)、及び作業状態を監視するためのカメラを有する。遠隔操作装置は、ロボットと通信する通信装置、カメラの画像を表示する表示装置(モニタ)、及び人がロボットアームを操作する操作装置(ジョイスティックなど)を有する。
【0003】
上述した遠隔操作システムは、例えば特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1の「ロボットシステム」は、ハンドにカメラを内蔵し、ハンドの回転軸とカメラの軸をずらすことで、ハンドの回転によって、より広範囲な画像を取得するものである。
特許文献2の「レーザセンサ制御装置及びレーザセンサ制御方法」は、ハンドにレーザセンサを付加し、これを用いて3次元画像を取得するものである。
特許文献3の「マニピュレータの制御装置および操作支援装置」は、ロボットを遠隔操作するにあたって、複数台の移動可能なカメラで作業場所を撮影することで、作業効率を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011‐101915号公報
【特許文献2】特開2011‐62786号公報
【特許文献3】特開平10‐249786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は上述した従来の遠隔操作システムの模式図である。この例で、ロボット1は、所定位置に固定されたロボットアーム2(この例では多関節アーム)と、ロボットアーム2の先端部に固定されたカメラ3とツール4(この例ではハンド)を有する。人5(オペレータ)は、モニタ6上のカメラ3の画像(モニタ画像)を見ながら操作装置7(ジョイスティックなど)を操作し、ハンド4で対象物8(この例では円筒形のワーク)の把持、搬送、設置などの作業を実行する。
【0006】
かかる遠隔操作システムで、ロボット1を遠隔操作してワーク8をハンド4で把持するために、人5は、ハンド4の位置と姿勢を遠隔操作して、ハンド4をワーク8の位置と姿勢に合わせる必要がある。位置は、x、y、zの3自由度、姿勢は、x軸回り、y軸回り、z軸回りの3自由度を有する。
また先にハンド4でワーク8を把持しており、把持したワーク8を作業場所に設置する場合も、人5はワーク8を作業場所の位置と姿勢に合わせる必要がある。
【0007】
しかし、モニタ画像は2次元情報なので、モニタ6の縦横方向への位置のずれは容易に視認できるが、
図2に示すように、モニタ6の奥行き方向の位置ずれは視認しづらい。また、ハンド4とワーク8の姿勢のずれも視認しづらい。
【0008】
さらに
図3(A)は、ワーク8の設置面に設置マーク9が設けられており、その設置マーク9の位置にワーク8を設置するような場合を示している。この場合、
図3(B)に示すように設置マーク9の設置面に対してハンド4の姿勢が変化しても、モニタ画像上における設置マーク9の見え方にはほとんど差がないので、設置マーク9の設置面に対してハンド4がどの程度傾いているかわからない。特に、地面や床面など、平坦で広い作業場所にハンド4の位置と姿勢を合わせる場合は困難であった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ロボットに固定されたカメラの画像を見ながら、対象物に対してロボットに設けられたツールの位置と姿勢を目視で合わせることができるロボットの遠隔操作システムと方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、対象物に対し作業を行うためのツールと、作業中にツール及び対象物を同時に撮影可能なカメラと、前記ツール及びカメラの位置と姿勢を3次元空間内で移動可能なロボットアームと、前記カメラの画像を送信しロボットアームに対する動作指令を受信する作業側無線装置と、を有するロボットと、
前記画像を表示する表示装置と、ロボットアームを操作する操作装置と、前記画像を受信しロボットアームに対する動作指令を送信する操作側無線装置と、を有する遠隔操作装置と、
前記作業中にツール及び対象物と共に前記カメラの視野内に入る位置に固定され、前記対象物に対する前記ツールの位置又は姿勢の変化により画像上の形状が変化するように設定された立体マーカと、を備え
、
前記立体マーカは、対象物の設置面から一定の間隔で外周面のまわり又は内周面にリング状に設けられた目視可能な同一の大きさの複数の模様を有する、ことを特徴とするロボットの遠隔操作システムが提供される。
【0011】
前記立体マーカは、対象物の設置面に固定され、前記設置面に直交する高さ方向に延びる円柱、円形パイプ、矩形柱、
又は矩形パイプ
である。
【0013】
前記遠隔操作装置は、前記画像から選択した選択画像を記憶する記憶装置を有し、
前記表示装置は、作業中の前記画像に前記選択画像を重畳して表示する。
【0014】
前記ロボットは、前記ツールから対象物の設置面までの距離を検出する距離センサを有し、
前記表示装置は、作業中の前記画像に検出した前記距離を重畳して表示する。
【0015】
また本発明によれば、対象物に対し作業を行うためのツールと、作業中にツール及び対象物を同時に撮影可能なカメラと、前記ツール及びカメラの位置と姿勢を3次元空間内で移動可能なロボットアームと、前記カメラの画像を送信しロボットアームに対する動作指令を受信する作業側無線装置と、を有するロボットと、
前記画像を表示する表示装置と、ロボットアームを操作する操作装置と、前記画像を受信しロボットアームに対する動作指令を送信する操作側無線装置と、を有する遠隔操作装置と、を準備し、
前記作業中にツール及び対象物と共に前記カメラの視野内に入る位置に、前記対象物に対する前記ツールの位置又は姿勢の変化により画像上の形状が変化する立体マーカを固定し、
前記立体マーカは、対象物の設置面から一定の間隔で外周面のまわり又は内周面にリング状に設けられた目視可能な同一の大きさの複数の模様を有しており、
前記立体マーカの形状の前記画像上の変化を視認しながら前記遠隔操作装置を操作する、ことを特徴とするロボットの遠隔操作方法が提供される。
【0016】
記憶装置により、前記画像から選択した選択画像を記憶し、
前記表示装置により、作業中の前記画像に前記選択画像を重畳して表示する。
【0017】
距離センサにより、前記ツールから対象物の設置面までの距離を検出し、
前記表示装置により、作業中の前記画像に検出した前記距離を重畳して表示する。
【発明の効果】
【0018】
上記本発明の装置と方法によれば、立体マーカが、作業中にツール及び対象物と共にカメラの視野内に入る位置に固定され、対象物に対するツールの位置又は姿勢の変化によりカメラの画像(モニタ画像)上の形状が変化する。
従って、遠隔操作装置を操作する人(オペレータ)は、立体マーカの形状の画像上の変化を視認しながら遠隔操作装置を操作し、カメラの画像を見ながら、対象物に対してツールの位置と姿勢を目視で合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】従来の遠隔操作システムとモニタ画像の別の模式図である。
【
図4】本発明による遠隔操作システムの全体構成図である。
【
図5】本発明による作業中のモニタ画像の説明図である。
【
図6】立体マーカが矩形パイプである場合の説明図である。
【
図7】立体マーカが四角錐である場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図4は、本発明による遠隔操作システムの全体構成図である。
この図において、本発明の遠隔操作システムは、ロボット10、遠隔操作装置20、及び立体マーカ30を備える。
【0022】
ロボット10は、ツール12、カメラ14、ロボットアーム16、及び作業側無線装置18を有する。
【0023】
ツール12は、作業を行うためのハンド又は工具である。ここで作業とは、例えば、人が近づけない環境(高温環境、低温環境、汚染環境、など)におけるワークの把持、搬送、設置や、作業車両に対する給油作業などである。
カメラ14は、作業中にツール12及び対象物8(例えばワーク)を同時に撮影可能なデジタル式のスチールカメラ又はビデオカメラである。ツール12及びカメラ14は、ロボットアーム16の先端部に固定されている。
ロボットアーム16は、ツール12及びカメラ14の位置と姿勢を3次元空間内で移動可能な多関節アーム又はマニピュレータである。
作業側無線装置18は、カメラ14の画像を送信し、ロボットアーム16に対する動作指令を受信する送受信装置である。
【0024】
遠隔操作装置20は、表示装置22、操作装置24、及び操作側無線装置26を有する。
【0025】
表示装置22は、カメラ14の画像(モニタ画像)を表示するモニタである。
操作装置24は、例えばジョイスティックであり、ロボットアーム16を操作する。
操作側無線装置26は、カメラ14の画像を受信し、ロボットアーム16に対する動作指令を送信する送受信装置である。
【0026】
立体マーカ30は、作業中にツール12及び対象物8と共にカメラ14の視野内に入る位置(例えば対象物8の設置面11)に固定される。この立体マーカ30は、対象物8に対するツール12の位置又は姿勢の変化によりカメラ14の画像(モニタ画像)上の形状が変化するように設定されている。
【0027】
立体マーカ30は、この例では、対象物8の設置面11に固定され、設置面11に直交する高さ方向に延びる円柱である。しかし本発明は円柱に限定されず、円形パイプ、矩形柱、矩形パイプ、四角錐、三角錐、等であってもよい。
【0028】
また立体マーカ30は、対象物8の設置面11から一定の間隔で設けられた目視可能な模様32を有する。模様32は、この例では、円柱のまわりに描かれたリングである。
模様32は、単なる着色でも、立体的な形状であってもよい。
立体マーカ30が筒状(例えば、円形パイプや矩形パイプ)の場合、模様32(例えばリング)は、外周面だけでなく内周面にも描くのがよい。これにより、立体マーカ30の外周面が見えず内周面のみが遠近法によりすり鉢状に見える場合でも、立体マーカ30の姿勢を視認することができる。
【0029】
図4において、ロボット10は、さらに、ツール12から対象物8の設置面11までの距離を検出する距離センサ19を有する。表示装置22は、作業中の画像(モニタ画像)に検出した距離を重畳して表示する。
またこの例において、遠隔操作装置20は、さらに、カメラ14の画像(モニタ画像)から選択した選択画像27(
図5参照)を記憶する記憶装置28を有する。表示装置22は、作業中のカメラ14の画像に記憶した選択画像27を重畳して表示する。
選択画像27は、事前に実施した作業中の画像(モニタ画像)から任意に選択した1又は複数の画像である。例えば作業中において特に位置合わせが必要なとき(組立の中間、完了時、など)のモニタ画像を選択画像27として記憶するのがよい。
また選択画像27は、例えばモニタ画像の一部(例えばツール12)のみでもよい。また、選択画像27は、作業中の画像と異なる色(例えば白色)又は半透明の画像として表示するのがよい。
【0030】
本発明の遠隔操作方法は、上述したロボット10と遠隔操作装置20を準備する。本発明の遠隔操作方法は、さらに、上述した立体マーカ30を準備し、作業中にツール12及び対象物8と共にカメラ14の視野内に入る位置に立体マーカ30を固定し、立体マーカ30の形状の画像上の変化を視認しながら遠隔操作装置20を操作する。
【0031】
また、本発明の遠隔操作方法では、記憶装置28により画像から選択した選択画像27を記憶し、表示装置22により、作業中の画像に選択画像27を重畳して表示する。
さらに、距離センサ19によりツール12から対象物8の設置面11までの距離を検出し、表示装置22により作業中の画像に検出した距離を重畳して表示する
【0032】
図5は、本発明による作業中のモニタ画像(カメラ14の画像)の説明図である。この図において、(A)は作業中のモニタ画像、(B)は立体マーカ30の見え方を示している。
図5(A)に示すように、モニタ画像上の設置マーク9は、ツール12(この例ではハンド12)を傾けても見え方にほとんど差がない。
これに対して、立体マーカ30(この例では円柱)及び円柱のまわりに描かれた模様32(この例ではリング)は、
図5(B)に示すように、ハンド12の傾きによって大きく変わるので、作業場所に対してハンド12がどのような姿勢なのかが視認しやすい。
立体マーカ30が円形パイプの場合、模様32(例えばリング)は、外周面だけでなく内周面にも描くのがよい。これにより、円形パイプの外周面が見えず内周面のみが遠近法によりすり鉢状に見える場合でも、円形パイプ(すなわちハンド12)の姿勢を視認することができる。
また、作業中の画像(モニタ画像)に距離センサ19で検出した距離を重畳して表示することで、設置面11までの距離を容易に把握できる。
さらに、作業中のモニタ画像に記憶した選択画像27を重畳して表示することにより、ツール12を選択画像27に重ねることで、ツール12を例えば組立完了時のツール12の位置に容易に移動することができる。
【0033】
図6は、立体マーカ30が矩形パイプである場合の説明図である。
【0034】
図6(A)に示すように、この例では、立体マーカ30は断面が正方形の矩形パイプであり、正方形の一辺に相当する間隔で矩形リングの模様32が矩形パイプのまわりに描かれている。
立体マーカ30の高さは、この例では正方形の一辺の長さの3倍であるが、本発明はこれに限定されず、短くても長くてもよい。矩形リングの模様32は、この例では、高さ方向の中間に2本設けているが、上端及び下端にも設けてもよい。
立体マーカ30が矩形パイプの場合、模様32(例えばリング)は、外周面だけでなく内周面にも描くのがよい。これにより、矩形パイプの外周面が見えず内周面のみが遠近法によりすり鉢状に見える場合でも、矩形パイプ(すなわちハンド12)の姿勢を視認することができる。
【0035】
図6(B)は、立体マーカ30とハンド12が正対している場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から立体マーカ30がハンド12にほぼ正対していることがわかる。
【0036】
図6(C)は、(B)からy軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から、左右の側面bと、縁aの位置から、(B)とのずれがわかる。また、c部とd部の比率からも、(B)とのずれがわかる。
【0037】
図6(D)は、(B)からx軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から、幅eと幅fの差で(B)とのずれがわかる。
図6(E)も同様である。
【0038】
図6(F)は、(B)からz軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から、モニタの縁との傾きから(B)とのずれがわかる。
【0039】
図7は、立体マーカ30が四角錐である場合の説明図である。
【0040】
図7(A)に示すように、この例では、立体マーカ30は底面が正方形の四角錐(ピラミッド形状)であり、底面に近い正方形の各辺に、円形の模様32が複数(この例で5つずつ)に描かれている。また、四角錐の頂点に球体33が固定されている。
立体マーカ30の高さは、この例では正方形の一辺の長さの約2倍であるが、本発明はこれに限定されず、短くても長くてもよい。
【0041】
図7(B)は、立体マーカ30とハンド12が正対している場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から頂点の球体33の位置から立体マーカ30がハンド12にほぼ正対していることがわかる。
【0042】
図7(C)(D)は、(B)からy軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像の球体33の位置からy軸まわりのハンド12のずれがわかる。
【0043】
図7(E)は、(B)からx軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像の球体33の位置からx軸まわりのハンド12のずれがわかる。
【0044】
図7(F)は、(B)からz軸(
図4参照)まわりにハンド12の姿勢がずれている場合のモニタ画像上の立体マーカ30を示している。このモニタ画像から、モニタの縁との傾きから(B)とのずれがわかる。
【0045】
上述した本発明の装置と方法によれば、立体マーカ30が、作業中にツール12及び対象物8と共にカメラ14の視野内に入る位置に固定され、対象物8に対するツール12の位置又は姿勢の変化によりカメラ14の画像(モニタ画像)上の形状が変化する。
従って、遠隔操作装置20を操作する人5(オペレータ)は、立体マーカ30の形状の画像上の変化を視認しながら遠隔操作装置20を操作し、カメラ14の画像(モニタ画像)を見ながら、対象物8に対してツール12の位置と姿勢を目視で合わせることができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0047】
1 ロボット、2 ロボットアーム(多関節アーム)、3 カメラ、
4 ツール(ハンド)、5 人、6 モニタ、
7 操作装置(ジョイスティック)、8 対象物(ワーク)、
9 設置マーク、10 ロボット、11 設置面、
12 ツール(ハンド又は工具)、14 カメラ、
16 ロボットアーム、18 作業側無線装置、19 距離センサ、
20 遠隔操作装置、22 表示装置(モニタ)、
24 操作装置(ジョイスティック)、26 操作側無線装置、
27 選択画像、28 記憶装置、30 立体マーカ、
32 模様、33 球体