(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置規制部は、前記シリンダの周縁部に環状に設けられ、前記スプールの周縁部を当接させてシリンダとスプールとの間の空隙を閉止する規制面である、請求項1に記載の流量検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、絞りに逆止弁機能を持たせる場合、例えば特許文献2に示すようなスプールの位置を検出することにより冷媒流量を検出する方式では、スプール41の外周面(筒状部42)と密封室36の内周面との間の隙間を経由して逆止弁の上流側(流体供給孔47側)と下流側(流体供給孔50側)とが常時連通してしまうので、逆止弁が閉じても、逆止弁をバイパスして逆止弁の下流から上流へと冷媒が僅かながら流れる惧れがある。
【0007】
例えば、可変容量圧縮機を長時間停止していた場合、周囲の環境温度の変化に伴って、圧縮機とエアコンシステムの熱交換器との間で温度差が生じ、エアコンシステム内部で圧力差が生じることがある。このような圧力差が生じると、逆止弁が閉じていてもスプールの外周面と密封室の内周面との間の隙間を経由して、熱交換器内の冷媒が可変容量圧縮機内部に移動し、可変容量圧縮機内部に液冷媒が貯留される惧れがある。
特にクランク室に液冷媒が貯留されると、次に可変容量圧縮機を起動するときに、液冷媒が排出されるまでの間吐出容量が増大せず、エアコンシステムが直ちに機能しないという問題があった。
【0008】
本発明は、逆止弁を流量検出用の絞りと兼用して構成を簡素化しつつ、逆止弁の逆流防止機能を確保できる流量検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明に係る流量検出装置は、
上流側圧力と下流側圧力との差圧に応じて開閉する逆止弁を備えた流体通路を流通する流体の流量を検出する流量検出装置であって、
一方の受圧面に前記逆止弁の上流側圧力、他方の受圧面に前記逆止弁の下流側圧力を受け、これらの差圧による力とスプリングの付勢力とが釣り合うように、シリンダ内を摺動するスプールと、
前記スプールの位置を検出して前記流量を検出するセンサと、を備え、
前記シリンダに、前記差圧が所定値以下のときに、前記スプールを該スプールの軸心方向において位置規制して、シリンダとスプールとの間の空隙を閉止する位置規制部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る可変容量圧縮機は、吐出室と外部冷媒回路とを連通する吐出通路に、上記本発明に係る流量検出装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る流量検出装置によれば、逆止弁を流量検出用の絞りと兼用するため構成を簡素化できると共に、逆止弁の上流側圧力と下流側圧力との差圧が所定値以下のときに、スプールが位置規制されて、シリンダとスプールとの間の空隙が閉止されるため、逆止弁閉時に前記空隙からの流体の漏出が抑制され、逆止弁の逆流防止機能を確保することができる。
【0012】
また、本発明に係る可変容量圧縮機によれば、上記のように簡素化された流量検出装置を圧縮機内に設けることにより、圧縮機本体構造を簡素化できると共に、圧縮機が停止される逆止弁の閉時に、外部冷媒回路からの冷媒の逆流による圧縮機内部への液冷媒の貯留を抑制でき、圧縮機の再起動直後からエアコンシステムを速やかに立ち上げることができる。
一方、可変容量圧縮機は、圧縮機が間欠的に停止することが殆どないので、安定して流量検出が可能となり、流量検出装置を備える圧縮機として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る可変容量圧縮機の内部構造を示す。
可変容量圧縮機100は、クラッチレス圧縮機であって、周辺部に複数のシリンダボア101aを備えたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端側に連結されたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端側にバルブプレート103を介して連結されたシリンダヘッド104とを備えている。
【0015】
シリンダブロック101と、フロントハウジング102とによって規定されるクランク室140内を横断して、駆動軸110が設けられ、該駆動軸110の軸線方向中心部の周囲には、斜板111が配置されている。斜板111は、駆動軸110に固定されたロータ112とリンク機構120を介して連結し、駆動軸110の軸線に対する傾角(傾斜角度)が可変に構成されている。
【0016】
リンク機構120は、ロータ112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端側が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに対して回動自在に連結され、他端側が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに対して回動自在に連結されたリンクアーム121から構成されている。
【0017】
斜板111の貫通孔111bは斜板111が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能となるように形状が形成されており、貫通孔111bには駆動軸110と当接する最小傾角規制部が形成されている。斜板111が駆動軸110に対して直交するときの斜板の傾角を0°とした場合、貫通孔111bの最小傾角規制部は斜板111をほぼ0°まで傾角変位可能なように形成されている。また斜板111の最大傾角は斜板111の一部がロータ112に当接することで規制される。
【0018】
ロータ112と斜板111の間には斜板111を最小傾角に向けて最小傾角に至るまで付勢する傾角減少バネ114が装着され、また斜板111とバネ支持部材116との間には斜板111の傾角を増大する方向に付勢する傾角増大バネ115が装着されている。最小傾角において傾角増大バネ115の付勢力は傾角減少バネ114の付勢力より大きく設定されているので、斜板111は駆動軸110が回転していないときは、傾角減少バネ114と傾角増大バネ115の付勢力がバランスする傾角に位置する。
【0019】
駆動軸110の一端は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通して外側まで延在し、図示しない動力伝達装置に連結されている。尚、駆動軸110とボス部102aとの間には、軸封装置130が挿入され、内部と外部とを遮断している。駆動軸110とロータ112の連結体はラジアル方向に軸受131、132で支持され、スラスト方向に軸受133、スラストプレート134で支持されている。尚、駆動軸110のスラストプレート134の当接部とスラストプレート134との隙間は調整ネジ135により所定の隙間に調整されている。したがって外部駆動源からの動力が動力伝達装置に伝達され、駆動軸110は動力伝達装置と同期して回転可能となっている。
【0020】
シリンダボア101a内には、ピストン136が配置され、ピストン136のクランク室140側に突出している端部の内側空間には、斜板111の外周部が収容され、斜板111は一対のシュー137を介して、ピストン136と連動する構成となっている。したがって斜板111の回転によりピストン136がシリンダボア101a内を往復動することが可能となる。
【0021】
シリンダヘッド104には、中央部に吐出室142と、吐出室142を環状に取り囲む吸入室141が形成され、吸入室141は、シリンダボア101aとは、バルブプレート103に設けられた吸入孔103a、吸入弁(図示せず)を介して連通し、吐出室142は、シリンダボア101aとは、吐出弁(図示せず)、バルブプレート103に設けられた吐出孔103bを介して連通している。
【0022】
吐出弁(図示せず)はリテーナ150によりその最大開度が規制され、吸入弁(図示せず)はシリンダボア101aの端面に形成された凹部(図示せず)によりその最大開度が規制されている。吸入弁(図示せず)、バルブプレート103、吐出弁(図示せず)、リテーナ150は締結部材151により締結されて一体化されている。締結部材151は、例えば、ボルト、ナット、座金で構成されている。
【0023】
フロントハウジング102、センターガスケット(図示せず)、シリンダブロック101、シリンダガスケット(図示せず)、バルブプレート103、ヘッドガスケット(図示せず)、シリンダヘッド104が複数の通しボルト105によって締結されて圧縮機ハウジングが形成される。
【0024】
シリンダヘッド104には、エアコンシステムの低圧側冷媒回路と吸入室141とを連通する吸入通路(図示せず)が形成され、これによって吸入室141はエアコンシステムの低圧側冷媒回路と接続されている。
【0025】
また吐出室142は収容室104b及び吐出通路104aを介してエアコンシステムの高圧側外部冷媒回路と接続されている。吐出通路104aはシリンダヘッド104の径方向外側から吸入室141を横断して吐出室142に向かって延設されており、収容室104bは、上流側は吐出室142と、下流側は吐出通路104aと連通するよう配置されている。
【0026】
シリンダヘッド104には、吐出通路104aを開閉する逆止弁200が配設されている。
図2は、逆止弁200周辺部を拡大して示し、
図3は、逆止弁200の内部構造を示す。
【0027】
逆止弁200は、入口孔201aと、弁座201bと、が形成された弁座形成部材201と、一端面が弁座201bに接離する弁体202と、弁体202を弁座201bに向けて付勢する圧縮コイルバネ203と、弁体202と、圧縮コイルバネ203とを収容し、周壁に複数の出口孔204aが形成され、開放端が弁座形成部材201に嵌合固定される有底筒状のハウジング204と、Oリング205から構成され、シリンダヘッド104に形成された収容室104bに、入口孔201aが上流側の吐出孔142と連通し、出口孔204aが下流側の吐出通路104aと連通するよう配設されて止め輪152で抜け止めされている。
【0028】
ハウジング204の底壁には貫通孔204bが形成され、弁体202の他端面には収容室104b、つまり逆止弁200より下流の吐出通路104aの圧力が作用しており、また弁体202の一端面には入口孔201aから逆止弁200より上流の圧力となる吐出室142の圧力が作用している。したがって逆止弁200は、吐出通路104aを弁体202に作用する吐出室142と逆止弁200より下流の吐出通路104aとの差圧に応じて開閉し、差圧が予め設定された開弁差圧より大きくなると弁体202がハウジング204の底壁側に移動することにより、入口孔201aと出口孔204aとが連通して吐出通路104aを開放し、差圧が開弁差圧より小さくなると弁体202が弁座201bに着座することにより入口孔201aと出口孔204aとが連通されなくなり、吐出通路104aを閉塞する。開弁差圧は圧縮コイルバネ203の付勢力によって予め設定されている。従って、差圧が予め設定された開弁差圧より小さくなると吐出通路104aが閉塞されて高圧側外部冷媒回路から吐出室142への冷媒の流入を防止している。
【0029】
またシリンダヘッド104には、逆止弁200の上流と下流の圧力差を検出して、吐出通路104aを流れる冷媒の流量を検出するための差圧検出手段250が配設されている。
【0030】
逆止弁200は流量検出のための絞りとしての機能を兼ねており、逆止弁200と差圧検出手段250とで流量検出装置を構成している。可変容量圧縮機100は、吐出容量が変化して圧縮機が連続的に運転され、断続することがほとんど無いので、流量検出装置を備える圧縮機として好適である。
尚、差圧検出手段250については後で詳述する。
【0031】
シリンダヘッド104にはさらに制御弁300が配設されている。制御弁300は吐出室142とクランク室140とを連通する圧力供給通路145の開度を調整し、クランク室140への吐出ガス導入量を制御する。
【0032】
図4は、制御弁300の内部構造を示す。
制御弁300は、バルブハウジング301に形成され、連通孔301aを介してクランク室140と連通する第1感圧室302と、第1感圧室302に一端が開口し、連通孔301bを介して吐出室142と連通する弁室303に他端が開口する弁孔301cと、弁室303に配設された一端が弁孔301cを開閉し他端部が支持孔301dに摺動可能に支持された円筒形状の弁体304と、第1感圧室302に配設され、連通孔301aを介してクランク室140の圧力を受圧し、内部を真空にしてバネを配設した感圧手段として機能するベローズ組立体305と、一端にベローズ組立体305が接離可能に連結し他端が弁体304の一端に固定された連結部306と、弁体304の他端が配設され連通孔301eを介して吸入室141に連通する第2感圧室307とを備えている。
【0033】
バルブハウジング301には弁体304の他端部を摺動可能に支持する支持孔301dが形成され、弁体304が支持孔301dに微小隙間で摺動可能に支持されることにより弁体304の他端は弁室303から遮断されている。
【0034】
制御弁300は更に、弁体304と一体形成され弁体304から離隔する端部に可動コア308が圧入固定されたソレノイドロッド304aと、ソレノイドロッド304aを内挿し、所定隙間を隔てて可動コア308に対向配置された固定コア309と、固定コア309と可動コア308の間に配設され、可動コア308を開弁方向に付勢するばね310と、固定コア309と可動コア308とを内挿してソレノイドハウジング311に固定された非磁性体からなる筒状部材312と、筒状部材312を取り囲み、ソレノイドハウジング311に収容された電磁コイル313とから構成されている。
【0035】
制御弁300の外周部には、クランク室140の圧力が作用する領域、吐出室142の圧力が作用する領域及び吸入室141の圧力が作用する領域を区画する3つのOリング320a、320b、320cが配設されている。
【0036】
ベローズ組立体305のベローズ伸縮方向の有効圧力受圧面積Sbと、弁体304に作用する弁孔301c側より受けるクランク室140の圧力受圧面積Svと、第2感圧室307において弁体304に作用する吸入室141の圧力受圧面積Srとをほぼ同一値に設定しているので、弁体304に作用する力は次式(1)で表される。
【0037】
Ps=[F+f−F(i)]/Sb・・・(1)
Ps:吸入室(第2空間)の圧力
F:ベローズ付勢力
f:圧縮コイルばね310の付勢力
F(i):電磁力
Sb:ベローズ有効圧力受圧面積=クランク室の圧力受圧面積Sv=吸入室の圧力受圧面積Sr
【0038】
したがって制御弁300は、連通孔301eを介して導入された吸入室141の圧力Psが外部信号に基づいて電磁コイル313に流れる電流で決定される所定の値に維持されるように吐出室142とクランク室140とを連通する圧力供給通路145の開度を調整し、クランク室140への吐出ガス導入量を制御する。所定の値は電磁コイル313に流れる電流を調整することにより外部から可変可能である。
【0039】
またクランク室140内の冷媒は、クランク室140と吸入室141とを連通する放圧通路146に配設されたオリフィス103cを経由して吸入室141へ流れる。
したがって制御弁300によりクランク室140の圧力を変化させ、斜板111の傾角、つまりピストン136のストロークを変化させることにより可変容量圧縮機100の吐出容量を可変制御することができる。
【0040】
エアコン作動時、つまり可変容量圧縮機100の作動状態では、外部信号に基づいて電磁コイル313の通電量が調整され、吸入室141の圧力が所定の値になるように吐出容量が可変制御される。制御弁300は、外部環境に応じて、吸入室141の圧力を最適制御することができる。
【0041】
またエアコン非作動時、つまり可変容量圧縮機100の非作動状態では、電磁コイル313の通電をOFFすることにより圧力供給通路145を強制開放し、可変容量圧縮機100の吐出容量を最小に制御する。
【0042】
次に、差圧検出手段を、主に
図2及び
図5に基づいて説明する。
差圧検出手段250は、周壁251aと底壁251bとを有し、内部に円筒状の空間が形成されたシリンダ部を有するハウジング251と、周壁251aの内周面に外周面が摺動可能に支持され、一端側が底壁251bに差し向けられたスプール252と、一端がスプール252を底壁251bに向けて付勢する付勢手段としての圧縮コイルバネ253と、ハウジング251に内嵌合して固定され、圧縮コイルバネ253の他端を受ける支持部材254と、スプール252の一端側に固定された磁石255と、底壁251bを挟んで磁石255に対向して配置され、磁石255の磁束密度の変化を検出する磁気検出ユニット256と、を一体的に備え、シリンダヘッド104に形成された収容孔104cに収容されて止め輪153で抜け止めされている。
【0043】
スプール252の一端側と底壁251bとで区画されるハウジング251内の空間を第1空間250a、スプール252の他端側と支持部材254とで区画されるハウジング251内の空間を第2空間250bとしたときに、ハウジング251の径方向には第1空間250aと連通する連通孔251c及び第2空間250bと連通する連通孔251dがそれぞれ周方向に間隔を置いて複数形成されている。
【0044】
ハウジング251の周囲には2つのOリング257a、257bが配設されており、差圧検出手段250が収容孔104cに収容されることによって収容孔104cの内部が第1空間250aと連通する空間104c1と、第2空間250bと連通する空間104c2に区画される。第1空間250aと連通する空間104c1は、連通路104dによって逆止弁200の上流、つまり吐出室142と連通している。具体的には連通路104dは逆止弁200の入口孔201aの近傍に開口している。また第2空間250bと連通する空間104c2は、連通路104eによって逆止弁200の下流の吐出通路104aと連通している。
【0045】
したがって連通路104d、空間104c1及び連通孔251cによって構成される第1連通路によって、逆止弁200より上流の吐出室142の圧力が第1空間250aに導入され、連通路104e、空間104c2及び連通孔251dによって構成される第2連通路によって、逆止弁200より下流の吐出通路104aの圧力が第2空間250bに導入されている。
【0046】
したがってスプール252の一端面には逆止弁200より上流の吐出室142の圧力が作用し、スプール252の他端面には逆止弁200より下流の吐出通路104aの圧力が作用し、スプール252は逆止弁200の上流と下流との差圧に応じてハウジング251内を移動する。具体的には、差圧が小さくなるとスプール252は底壁251b側へ移動し、差圧が大きくなるとスプール252は、支持部材254側へ移動する。
【0047】
スプール252の移動に伴って磁石255の位置が変化し、これによって磁気検出ユニット256で検出される磁石255の磁束密度が変化するので、逆止弁200の上流と下流との差圧が検出できる。磁気検出ユニット256は、磁気検出手段としてのホールIC256aと、基板上に設けられた電子回路256bと、入出力端子256cと、を樹脂成型されたハウジングに埋設したものであり、磁気検出ユニット256はハウジング251に固定されている。
【0048】
スプール252は、ハウジング251の内周面に摺動可能に支持される外周面を有する大径部252aと、磁石255を収容する小径部252bと、大径部252aと小径部252bとを接続する環状の接続部252cとを有している。またハウジング251内は、スプールの大径部252aが摺動可能に支持される内周面を有する第1収容孔251a1と、スプールの小径部252bを収容し、第1収容孔251a1より小径であって連通孔251cが連通する第2収容孔251a2と、第1収容孔251a1の内周面から径方向内側に向かい、第1収容孔251a1と第2収容孔251a2とを接続する環状の規制面251a3とを有している。
【0049】
スプール252が底壁251bに向かって移動すると、スプールの接続部252cが規制面251a3に当接して、周壁251aの軸線方向と同じであるスプール252の軸心方向の底壁251b側へのスプール252の移動が規制される。
スプールの接続部252cは周壁251aの軸線と直交する環状の平面とその外側の傾斜面とで構成され、また規制面251a3は周壁251aの軸線と直交する平面となっており、スプールの接続部252cの環状の平面と規制面251a3とが当接部を成している。
【0050】
規制面251a3は周壁251aの軸線と直交する平面となっているので、スプール252の、接続部252cが規制面251a3に当接する位置の位置決め精度が向上する。
【0051】
スプールの接続部252cが規制面251a3に当接してスプール252の移動が規制されているときに、圧縮コイルバネ253はスプール252を所定の付勢力で付勢している。圧縮コイルバネ253の付勢力によって設定されるスプール252の最小作動差圧は、逆止弁200の開弁差圧とほぼ同等に設定されている。これによって逆止弁200の開弁に連動してスプール252が動作するので、逆止弁200の開度が小さい状態でも流量検出が可能となる。
【0052】
尚、スプール252の最小作動差圧は、逆止弁200の開弁差圧より小さく設定しても良い。このように設定すれば逆止弁200が開弁している状態では確実に流量検出が可能となる。
【0053】
可変容量圧縮機100が作動し、逆止弁200が開弁して吐出通路104aを冷媒が流れている状態では、逆止弁200が絞りとなって逆止弁200の上流と下流とで差圧が発生しており、スプールの接続部252cが規制面251a3から離間してスプール252が差圧に応じた位置に移動する。このとき第1連通路、第1空間250a、ハウジング251の内周面(第1収容孔251a1)とスプール252の外周面(大径部252a)との間の隙間、第2空間250b、第2連通路を経由して、吐出室142から逆止弁200より下流の吐出通路104aに冷媒が常時漏出している。
【0054】
また可変容量圧縮機100が停止し、逆止弁200の上流と下流とで差圧が発生していない場合、あるいは逆止弁200の下流の圧力が上流の圧力より高い場合は逆止弁200が閉弁し、このときスプールの接続部252cは規制面251a3に当接して、この当接部によってハウジング251の内周面とスプール252の外周面との間の隙間を経由して第1空間250aと第2空間250bとが連通することが阻止されている。つまり当接部は、実質的に弁として機能している。
【0055】
したがって逆止弁200の下流の圧力が上流の圧力より高くなっても、ハウジング251の内周面とスプール252の外周面との間の隙間を経由して逆止弁200より下流の吐出通路104aから吐出室142に向けて冷媒が逆流することが無く、逆止弁200をバイパスする流路が差圧検出手段250内部に形成されない。つまり逆止弁200の機能を損なうことが回避されている。
【0056】
尚、逆止弁200の下流の圧力が上流の圧力より高くなる場合は、可変容量圧縮機100を停止し長期間放置した場合の他に、制御弁300の通電をOFFして吐出容量を最小とするとき等が考えられる。
【0057】
また、以上示した実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【0058】
以下、上記実施形態の様々な変形態様について説明する。
実施形態ではハウジング251内に形成した規制面251a3は周壁251aの軸線と直交する平面としたが、規制面はこれに限定されない。例えば環状の傾斜面としても良い。また規制面をハウジングとは別部材で形成しても良い。
【0059】
実施形態ではスプール252の接続部252cとハウジング251の規制面251a3は面接触としたが、線接触としても差し支えない。
これにより、スプール252が規制面に当接しているときにスプール252の受圧面が明確に規定でき、スプールが規制面から離間する最小作動差圧の設定精度向上に寄与する。
【0060】
実施形態では差圧検出手段は磁気検出ユニット256を一体化したものであるが、磁気検出ユニットを分離して配設するようにしても良い。
【0061】
実施形態ではスプール252を収容するハウジング251は差圧検出手段専用のハウジングであるが、スプールを収容するハウジングは圧縮機を構成するハウジング部材としても良い。例えばシリンダヘッドにスプールを収容する収容孔を直接形成しても良い。
【0062】
実施形態では、逆止弁200はシリンダヘッドに配設しているが、他のハウジング部材に配設するようにしても良い。
実施形態では、中央部に吐出室142、吐出室142の周囲に吸入室141が形成されたシリンダヘッド104としたが、中央部に吸入室、吸入室の周囲に吐出室が形成されたシリンダヘッドとしても良い。
【0063】
実施形態では、圧縮機は可変容量圧縮機であるが、流量検出装置はどのようなタイプの圧縮機に適用しても良い。
【0064】
実施形態では、流量検出装置は圧縮機に備えられているが、これを冷凍装置の冷媒通路に備えるようにしても良い。
実施形態では、流量検出装置は冷媒の流量を検出するものであるが、対象とする流体は限定されない。