(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、請求項1に記載の電気化学セル。
前記イオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、請求項4に記載の電解質。
前記イオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい実施形態は、二価イオンはゲル電解質を通って伝搬する印刷可能な亜鉛電気化学セルの文脈において例示する。しかし、当業者は、本明細書に開示される材料および方法は、二価イオン輸送が所望される、特に単純および低コストの製造が重要である多数の他の文脈においても有用であることを容易に理解する。
【0024】
この開示において、「負電極」および「アノード」という用語は両方とも、「アノード」を意味するために使用される。同様に、「正電極」および「カソード」の両方とも「カソード」を意味するために使用される。
【0025】
室温「イオン液体」は、低融点(100℃未満)を有する有機塩である分類の液体として定義される。イオン液体は、高いイオン伝導度、非常に良好な電気化学および温度安定性ならびに無視できる程度の蒸気圧を含む特性を有する。これらの向上した特性および環境利益により、いくつか例を挙げると、製造、化学反応、分離、および電解質における揮発性溶媒および材料と潜在的に置き換わる室温イオン液体に多様な注目が集まっている。イオン液体は、ポリマーゲルに組み込まれる場合、それらは、他のポリマー性または固体状態電解質システムよりも数桁のオーダーで大きな液体様のイオン輸送特性を有する電解質を形成できる。こうしたイオン液体ゲル電解質はまた、構造的にロバスト性であることができ、圧縮下であっても電気化学セルの電極間に物理的分離を維持できる。さらに、周囲環境および室温条件において、ゲルは、イオン液体が無視できる程度の揮発性であるため、乾燥せず、または「発汗」もない。
【0026】
「多価」は、本明細書において、複数の完全電荷を保持する原子または分子種として定義される。
【0027】
「非水性」は、本明細書において、残留汚染物質として微量である以外、水の存在がほとんどない、システムとして定義される。
【0028】
バッテリの電力挙動はまた、速度性能によって特徴付けられることができ、その最大貯蔵容量(C)のデバイスを消耗するのにかかる時間(時間単位)によって評価されることに留意する。この技術用語は、Cがクーロンを表すためにも使用されるので混同する場合があり、充電または放電の速度として言及される場合には混同されるべきではないことに留意する。例えば、完全に排出するために10時間かかるバッテリは、C/10速度にて放電される一方で、2Cの素早い放電はバッテリが30分で消耗したことを意味する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に従う電気化学セル10の概略断面図である。セル10は、電解質層12によって分離されるカソード14およびアノード16を含む。
図1に示されるように、集電体18は、ロード20との適切な電気的接触を与えるためにアノード16およびカソード14の開放側に位置付けられ得る。集電体18は、任意の構成成分であり、セル10は、集電体18を有するまたは有していない他の構成を含んでいてもよいことが理解される。
【0031】
図1に示されるように、電気化学セル10は、回路22に取り付けられて、外側ロード20にて作用するようにできる。1つの配置において、電気化学セル10は、バッテリセルである。別の配置において、電気化学セル10は、再充電可能なバッテリセルである。さらに別の配置において、電気化学セル10は、キャパシタを含んでいてもよい。
【0032】
電気化学セル10は、多くの異なる構造的配置を含むように、以下に記載される製作方法のいずれかを用いて製作されてもよいことが理解される。例えば、電極は、
図1に示されるように、スタックされた構成に配向されてもよく、または
図2のセル30に示されるように2次元の平面状構成を含んでいてもよい。
図2において、セル30は、基板68上の隣接カソード14に位置付けられたアノード16を含む。集電体18は、アノード16、カソード14、および基板の間の電気的接触を与えるために使用されてもよい。この構成において、ゲル電解質32は、カプセル化し、アノード26とカソード14との間の分離を与える。
図1のデバイス10はまた、
図2に示されるように基板68にわたって配置されてもよいことが理解される。
【0033】
ここで
図3を参照すれば、デバイス40は、調整された電圧、容量、エネルギー密度、電力密度出力を達成するために連結されたバッテリ10のアレイのカスタム接続を含んでいてもよい。
【0034】
個々のセルは、スタックされた狭持物(各セル10は一方が他方の頂部にパターン付けされる、図示せず)、またはセル10は、開放隣接狭持物の構成にパターン付けされることができ、ここで電極は
図3に示されるように互いに隣接している。
【0035】
各バッテリの正および負リードは、基板表面においてアクセス可能であり、伝導性インクを含んでいてもよいコネクタ42を介して接続されることができる。1つの実施形態において、伝導性インク42は、以下にさらに詳述されるように、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スロットダイコーティングなど種々の堆積方法を用いて堆積されてもよい。
【0036】
伝導性インクの代替として、接続42は、箔接続(例えば、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、箔など)を介して、箔ダイ切断、コールド箔またはホット箔印刷方法を用いて製造されてもよい。
【0037】
さらなる代替実施形態において、接続42は、エラストマーコネクタ(ZEBRA、ACFテープ)、またはクランプ接続、プローブ接続、ワイア結合などを介して製作されてもよい。
【0038】
セル10は、すべてのセルが直列に接続されるように接続されて(一方のセルの正リードが、他方のセルの負リードに接続される)、セル電圧の乗数を得てもよい(すなわち、1つのセルは1.5Vであり、2つのセルは3Vである)。
【0039】
セル10は、すべてのセルが並列に接続されるように接続されて(一方のセルの正リードが、他方のセルの正リードに接続される)、セル容量の乗数を得てもよい(すなわち、1つのセルは5mAhであり、2つのセルの出力は10mAhである)。直列および並列接続の混合構成が行われることによってもまた、カスタム電圧および容量出力を得てもよい。
【0040】
各セル10のサイズは、例えば1〜5000μm直径の範囲のドットから、0.25〜500cm
2のモジュール、0.05〜1,000m
2の大きなシートに変更されてもよい。
【0041】
セル(図示せず)のスタッキングも使用されて、カスタム電圧および並列構成を得てもよい。直列接続に関して、セルは、一方のバッテリの正パネルを別のバッテリの負のパネルと接触させることによって一方を他方の頂部にスタックしてもよい。並列接続に関して、スタックされたセルは、絶縁体層によって分離されてもよく、外部バスラインが使用されて、セルの正端子に接続されることができる(例えば、バッテリの側部を流れる)。
【0042】
ゲル電解質12、32は、セパレータおよび構造材料の両方として使用されてもよい(例えば、厚さ/組成を変動させて、追加の構造上の一体性を提供してもよく、または
図2に示されるように、セルをカプセル化するために使用されてもよい)。構造的ゲル層12がまた使用されて、非平面状のフォームファクタバッテリを創出してもよく、例えばゲル電解質は、構造化されて、トレンチが形成される壁を構築し、トレンチは他の材料、例えば電極によって埋め戻されてもよい。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、電解質層12、32は、
図1の電解質層の拡大図において示されるように、ゲル電解質である。ゲル電解質12は、塩カチオン24(Zn2+)、および塩アニオンおよびイオン液体アニオン28、イオン液体カチオン26を含有し、これらがポリマー中に吸収される(暗線)。ゲル電解質は、イオン電解液が吸収されるポリマーネットワークを有する。1つの配置において、ネットワーク中のポリマーは、
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、PVDFおよび関連する他のコポリマー、PVA、PEOなどである。例示的な液体電解質としては、イオン液体として既知の分類の材料が挙げられる。1つの例示的なイオン液体は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート[C
9H
15F
3N
2O
3S]を含む。電解質ゲルを通して輸送されるべき二価または多価イオンに関して適切な電解質塩が、イオン液体中に溶解される。1つの配置において、塩は、亜鉛塩、例えば亜鉛トリフレートまたは亜鉛ビス(トリフルオロメタンスルホネート)として既知でもある亜鉛トリフルオロメタンスルホネート[Zn(CF
3SO
3)
2]である。塩はまた、多価イオンを有する他の金属、例えばアルミニウム、マグネシウム、イットリウム、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0044】
電気化学に好適なイオン液体は、低い電気伝導度(<5mS/cm)、大きな電気化学安定性窓(>1V)、塩を溶解させる能力、および所望の処理方法に適合可能な粘度を有し、カチオン、例えばイミダゾリウム異型、ピロリジニウム異型、アンモニウム異型、ピリジニウム異型、ピペリジニウム異型、ホスホニウム異型、およびスルホニウム異型、およびアニオン、例えばクロリド、テトラフルオロボレート(BF
4−)、トリフルオロアセテート(CF
3CO
2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF
3SO
3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF
6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf
2−)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO
2F)
2−)を含んでいてもよい。電気化学、伝導度、および粘度特性におけるさらなる区別は、カチオンの鎖長によって調整できる。
【0045】
1つの実施形態において、液体電解質は、1mS/cmを超える、好ましくは2mS/cm〜3.5mS/cm、より好ましくは2.3mS/cm〜2.7mS/cmのイオン伝導度を有する。
【0046】
別の実施形態において、イオン液体ゲル電解質は、0.01mS/cmを超える、または好ましくは0.03〜3.5mS/cm、より好ましくは0.3mS/cm〜2.7mS/cmのイオン伝導度を有する。
【0047】
さらに別の実施形態において、液体電解質は、イオン液体中0.2〜0.75M、好ましくは0.4〜0.75M、より好ましくは0.45〜0.65Mの亜鉛塩濃度を有する。
【0048】
別の実施形態において、0.3〜0.75Mの塩濃度を有する液体電解質は、2.3mS/cm〜2.7mS/cmの範囲のイオン伝導度を有する。
【0049】
さらなる実施形態において、0.4〜0.75Mの塩濃度を有する液体電解質は、2.3mS/cmを超えるイオン伝導度を有する。
【0050】
イオン液体に好ましい亜鉛塩濃度はまた、溶解度限度に関して塩の%として定義できる。イオン液体内の亜鉛塩の溶解度限度は、イオン液体に添加される塩の濃度であって、これ以上亜鉛塩が溶解できない濃度として定義される。1つの実施形態において、好ましい亜鉛塩濃度は、その溶解度限度の25%〜100%であり、好ましくはその溶解度限度の50%〜95%、より好ましくはその溶解度限度の60%〜88%である。
【0051】
さらに、ポリマーゲルにおけるイオン液体電解質濃度は、ポリマーゲル中のイオン液体電解質の重量%として定義できる。1つの実施形態において、ポリマーに対するイオン液体電解質の好ましい重量%は、20%を超え、好ましくは25%〜90%、より好ましくは40〜85%である。
【0052】
ゲル電解質層12は、アノード16とカソード14との間の物理的および電子セパレータとして作用する。固体材料と同様の機械的特性を有するかどうかにかからわらず、ゲル電解質12は、液体電解質と非常によく似たイオン輸送特性を有する。
【0053】
本発明のイオン液体ゲル電解質は、通常の有機および腐食性電解質に比べて可燃性が低く、有害性が低く、特に穿刺(くぎ、弾丸および他の鋭器からの)、引裂、切断および他の物理的損傷条件において、市販のシステムにおいて使用される従来の電解質よりも、それらを固有に安全なものにする。加えて、イオン液体ゲル電解質は、イオン液体が、無視できる程度の蒸気圧を有し、そのため長期間の使用下であっても蒸発せずまたはリークしないという点において独特である。ゲル電解質における液体構成成分の蒸発およびリーク(「発汗」としても既知である)の問題を排除することによって、高価で複雑な密封されたパッケージングは必要ないので、バッテリシステムの処理を単純化し、そのコストを大きく削減する。
【0054】
本発明の好ましい実施形態において、アノード16は、イオン液体電解質との酸化反応を行う場合に多価イオンを放出する金属を含む。例えば、亜鉛金属は、イオン液体電解質との酸化反応の結果としての二価の電荷を有する亜鉛イオンを形成する。アノード16はまた、アルミニウム、マグネシウム、イットリウム、または亜鉛、アルミニウム、およびマグネシウム金属などの一部またはすべてを含んでいてもよい金属の組み合わせを含んでいてもよい。
【0055】
アノード材料組成物はまた、電気化学容量を増大させるために、複数のモルホロジー特徴(例えば亜鉛フレークおよび球状粒子およびナノ粒子)を有するものを含んでいてもよい。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、カソード14は、主要構成要素として、金属酸化物を有する。例えば、カソード14は、五酸化バナジウム(V
2O
5)、二酸化マンガン(MnO
2)粒子、酸化コバルト(CoO
x)粒子、酸化鉛(PbO
x)粒子などを含んでいてもよい。本発明のさらに別の実施形態において、カソード14は、重要な構成成分として、アノードから生じるイオンを吸収および放出できるいずれかの金属酸化物粒子を有する。
【0057】
1つの配置において、カソード14はまた、構成成分として、ポリマー結合剤、および場合により電子伝導性粒子(例えば、高い表面積の炭素、活性炭、または伝導性ナノ粒子)、ならびに場合によりレオロジー向上粒子およびポリマー(例えば酸化チタン粉末およびシリカ粒子)を含む。
【0058】
カソード14組成物はまた、伝導性添加剤の代替モルホロジー形態(例えば、グラファイトおよびフレーク状伝導性粒子)を利用するように変動させて、厚いフィルム>15μmに関して良好な電極伝導度および電気化学特性を与えてもよい。
【0059】
最適なセル性能のために、カソード14材料は、適切なアノード16材料と適合させることが理解される。カソード14は、重要な構成成分として、酸化および還元反応の組み合わせを通してアノードから生じるイオンを輸送および伝送することができる材料を含有することが重要である。例えば、
図1に示されるようにセル10についての酸化および還元反応は、以下の式1および2に与えられるように生じる。
Zn←→Zn
2++2e
− 式1
2e
−+(2MnO
2−)Zn
2+←→Zn
2++2MnO
2 式2
【0060】
アノードおよびカソード材料の熱力学的ペアリングは、測定されたセル電圧に現れる所望の電気化学電位を形成することが重要でもある。例えば、亜鉛アノード16は、MnO
2カソードと連結されてもよく、典型的なセル電圧は1.1〜1.6Vの範囲である。
【0061】
図1に示されるように、集電体18は、カソード14およびアノード16に隣接して位置し、それらと電子連通した状態である。有用な集電体18の例としては、ステンレススチール、亜鉛、金、アルミニウム、およびニッケルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
例えば、集電体18材料としてのアルミニウムを試験し、本発明のゲル電解質と接触させた場合に−3〜3Vの範囲にわたる電気化学安定性を有していた。集電体としてアルミニウム箔を用いる実際のバッテリを示した。同様に、ニッケルおよびステンレススチール箔を用いるバッテリも、集電体とは別に示した。
【0063】
加えて、異なる形態のアルミニウムおよびニッケル集電体は、例えば箔、ナノ粒子インク、複合スラリー、電着コーティング、および蒸着金属が想定される。
【0064】
コールド箔印刷、ホット箔印刷、またはキスカットダイ切断(印刷、積層、およびテープ変換産業にて一般に広く使用されているプロセス)はまた、基板(例えば、紙、プラスチック、布地)に金属箔伝導性トレースをパターン付けするために使用されてもよい。これらのプロセスは、非伝導性基板または裏打ち上に金属箔をパターン付けするための拡張性が高く、費用効率が高い、高処理量の方法である。
【0065】
箔集電体18は、好ましくは1)多量の曲げおよび湾曲および耐久性が所望されるような状況において、2)紙/プラスチック/布地基板が使用されて、インク印刷工程を排除する場合、または3)低コストの用途に使用される。
【0066】
電気化学セルの印刷を支持するために使用できる基板68の多くの可能な種類がある。可能性としての基板の例としては、紙(例えばカード用紙または異なるタイプ/織り方/厚さの紙)、ポリマー性またはプラスチック材料(例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリエステル(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、Kapton、ポリイミド、ポリエステルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンまたは他のシリコーン樹脂)、種々の折り方およびメッシュの布地(例えば、ナイロン、綿、デニム)ケイ素、プリント回路基板(例えば硬化エポキシ樹脂基板、FR4、および可撓性回路基板)、ガラス、金属箔、またはこれらの組み合わせ(例えば布地裏打ちを有する布地)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの配置において、基板は、用途に必要とされるようないずれかの形状に折り畳まれることができる。1つの配置において、デバイス、例えばマイクロプロセッサまたはMEMSデバイスは、基板68として使用できる。上述の基板のいずれかはまた、表面上にバッテリの一体化を可能にする接着性裏打ちを有していてもよい。
【0067】
基板68および電極層は、好ましくは、曲げおよび大きな曲率半径まで増大するレベルの曲率に耐えるように構成される(例えば腕時計曲率、および圧延プロセスにおいて見られる曲率)。
【0068】
ゲル電解質12はまた、環境レベルの安定性に耐えるように構成された構成成分組成物を含んでいてもよい。例えば、セル10、30は、長期間曝露の間に、例えば150℃までの高温に耐え(ポリマー分解はない)、さらに非常に短時間(数秒)さらに高温(はんだ温度のような、例えば200℃〜300℃)に耐えることができる。セル10、30は、低温、例えば家庭用電化製品のためには−20℃までの温度、工業的用途のためには−40℃までの温度、ならびに低および高湿度に耐えることができる。
【0069】
追加のパッケージング(図示せず)も、カプセル化タイプおよび方法を用いて提供されてもよい、例えばポリマーおよび/またはエラストマー、例えばシリコーン中への浸漬コーティング、カプセル化インク材料の片側印刷、カプセル化インク材料の両側印刷、ホットラミネーション(本発明のセル10は、このプロセスに関連する高圧および高温に耐えることが試験された)、接着剤を用いたポリマーラミネーション、縁部にて熱圧着された金属箔ポーチ、硬質パッケージ、例えば金属ケースおよび従来のバッテリパッケージを用いて提供されてもよい。
【0070】
1つ以上の種々のセル10層(例えばゲル電解質12、電極14、16、集電体18)は、層の少なくとも一部を印刷することによって電気化学セルを製作するためにインクに配合されてもよい。所望の材料は、共に混合され、例えば溶液、懸濁液、溶融物、またはスラリーを形成でき、これが印刷プロセスにおいて「インク」として使用できる。
【0071】
種々の堆積方法は、例えば直接描画印刷、スクリーン印刷(例えばAtma、M&R、Colt)、フレキソ印刷(Dai’s Machinery,Line O Matic)、グラビア印刷、ディスペンサ印刷、インクジェット印刷(例えばFuji Dimatix)、スロットダイコーティングを利用できる。
【0072】
図4および
図5A〜5Dは、本発明に従うディスペンサ印刷を用いるマイクロバッテリを印刷する方法を例示する。他の印刷/堆積方法も使用されることができ、
図4および
図5A〜5Dの直接描画ディスペンシング方法は、例示的な目的のためにのみ例示されることが理解される。
【0073】
直接描画ディスペンサ印刷は、一般に「インク」と称されるスラリー、溶液および懸濁液を含む種々の材料を追加堆積させる方法を含む。直接描画ディスペンサ印刷は、室温および周囲条件にてインクを堆積させる能力を有する直接描画パターニングのフロー系方法であり、その間ずっと、材料の廃棄物は無視できる程度であり、必要とされる環境諸経費は最小限である。減法混色、例えばリソグラフィおよびエッチングを利用する従来の微細加工技術に比べて、プロセス工程の数、エネルギー需要、および得られた廃棄物が顕著に少なくなる。
【0074】
本発明の材料組成物は、図
6に示されるディスペンサプリンタシステム100およびプリンタ102を用いて種々の表面に印刷されてもよい。インクは、シリンジ66へロードされ、所定の寸法の中空ニードルを通して押し出され、一連の液滴または「ショット」を介して基板68上に描かれる。液滴径は、ニードルの寸法、インクレオロジー、および適用圧力によって決定される。得られる印刷されたフィルム70のモルホロジーは、押し出された液滴の寸法、ならびに伝搬距離、速度およびショット間の時間に依存する。空気式コントローラ108から適用される圧力に沿ってシリンジ66および基板68が載置される3軸ステージ104の動きにより、堆積されたフィルムの寸法および形状を得る。
【0075】
空気式圧力が、2〜50kPaの出力であることができるコントローラ110(例えば、Musashi ML−808FX)を用いて適用される。16〜30Ga(0.15〜1.35mmの内径)使い捨てシリンジニードル66が使用されてインクを印刷する;0.05mm程小さい内径を有するチップは、ガラスピペットプーラーを用いて毛細ガラス管を引くことによって製作できる。異なるニードルサイズを有する種々のチップが、堆積されている層の組成および所望の層寸法に従って使用されてもよい。概して、スラリーが一貫して印刷されることができる最も小さい直径のニードルは、少なくともその最大の粒子よりも大きなオーダーでなければならない。インクに依存して、調製は、粒子のボールミル加工、物理的混合(磁性撹拌器、ペイントシェカー、振動表面)および超音波混合(水浴またはワンド)の組み合わせを含んでいてもよい。
【0076】
ニードルサイズの仕分けおよび適用できる広範囲の空気式圧力のワイドスパンを用いて、ディスペンサプリンタは、種々のインクを様々な印刷されたフィーチャサイズに処理できる。すべての設備は、コンピュータ12およびパーソナルコンピュータにて実行されるソフトウェアを通して制御および自動化される。
【0077】
図4は、本発明に従うインク調製プロセスを例示する。工程52において、ゲルポリマーネットワークが提供される。1つの配置において、ネットワーク中のポリマーは、
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)である。工程54において、活性粒子62は、ゲルポリマー60と混合されて、インク64を創出する。活性粒子は、印刷されている所望の層(例えば、ゲル電解質12、アノード16、カソード14または集電体18(印刷される場合)に従って変動されてもよい。種々の溶媒はまた、インクまたは電荷のレオロジーを変化させるまたはインクの作業時間を変化させて、異なる印刷プロセスに対してより適合性であるように添加でき、例えばn−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはアセトンであってもよい。溶媒または「ビヒクル」は、フィルムから後に蒸発される。
【0078】
次いでインク64は、所望の層70を印刷するために工程58にてシリンジニードル66に置かれる。
【0079】
図5Aから5Dは、本発明に従う印刷されたセルを製作するための例示的な方法を示す。
図5Aに示されるように工程82において、基板68(例えばニッケル)が提供される。場合により、第1の集電体は使用される場合、集電体(図示せず)は、基板上に印刷されてもよい。他の配置において、第1の集電体が使用されないが、工程84において、第1の電極層14(例えばMnO
2カソード)が基板68上に直接印刷される。第1のインクディスペンサ90が基板68にわたって通過するときに、電極層14は、基板68上に印刷される。集電体が使用される場合、第1の電極層14がその層の頂部に堆積される。
【0080】
図5Cに示される工程86において、ゲル層12は、第2のインクディスペンサ86が第1の電極層12にわたって通過するときに、第1の電極層14上に印刷される。1つの配置において、電解質12は、好ましくは電解質液体が吸収されているポリマーネットワークと混合されるイオン液体を含むゲル電解質である。電解質を通して輸送されるべき二価/多価イオンのために適切な電解質塩は、イオン液体中に溶解される。
【0081】
図5Dに示される工程88において、第2の電極層16(例えば亜鉛アノード)は、第3のインクディスペンサ94が電解質層12にわたって通過するときに、電解質層12上に印刷される。第1の電極層14が、正電極または負電極のいずれかであることができ、第2の電極層16が、第1の電極14とは反対のタイプであることが理解される。すなわち、第1の電極14が正電極である場合、第2の電極16は、負電極であり、その逆も同様である。正電極および負電極のための材料は、上記で議論されている。
【0082】
1つの配置において、電極のための印刷可能な材料は、ポリマー結合剤、除去可能な溶媒、および任意の添加剤と混合される活性電極材料粒子のスラリーである。本発明の1つの実施形態において、カソード化学物質は、金属酸化物、例えば五酸化バナジウム粒子、または二酸化マンガン粒子または両方の種類の粒子を、活性カソード材料粒子として含んでいてもよい。1つの実施形態において、アノード化学物質は、活性アノード材料粒子として亜鉛粒子を有する。
【0083】
電気化学セル10の層のすべてが必ずしも印刷された層である必要はないことが理解される。1つ以上の印刷された層を予備形成されたフィルムで置き換えることができる。例示的な実施形態において、亜鉛箔は、亜鉛粒子を含有するスラリーを用いる層を印刷する代わりに負電極層のために使用される。加えて、集電体は、コールドまたはホット箔印刷されたアルミニウム箔または蒸着金属トレースを含んでいてもよい。また、層は、例えばコーティングなどのような他の堆積方法を用いてもよいことが想定される。
【0084】
各層が所望の電気化学セル構造に堆積された後、層を乾燥できる。それぞれの後続層は、所望の配置にて堆積され、次いで乾燥される。乾燥プロセスは、1つ以上の層に使用されるスラリーの構成成分であってもよい溶媒を除去し、こうして固体の多層フィルムである層を残す。すべての層が配置された後、電気化学セル構造全体は、いずれかの残留蒸発溶媒を除去するために乾燥されてもよい。1つの配置において、層またはセル構造は、室温にて、約1〜15分間、次いで60℃〜90℃にて約3〜30分間乾燥される。別の配置において、層またはセル構造は、真空オーブンを用いて乾燥される。さらに別の配置において、層またはセル構造が、赤外または熱ランプを用いて乾燥される。
【0085】
1つの配置において、基板68は、電気化学セルが製作された後に除去できる。
【0086】
現在入手可能な薄膜バッテリに比べて、本発明の印刷可能な亜鉛電気化学セル10は、いくつかの独特な利点を提供する。1つの重要な利点は、上記で記載されるように印刷材料および電気化学セルを製作するための方法が室温および周囲条件下で行われ得ることである。すなわち、特別真空またはガス気圧は、セルを製作するために使用されない。薄膜バッテリ蒸着技術は、薄膜堆積電極の結晶性相を形成するために高温(>400℃)アニーリング工程を必要とする。こうした周囲条件により、以前には可能ではなかった製造、材料、およびプロセス選択肢を考慮できる。例えば、温度感受性基板、例えばポリマーフィルムまたは紙は、プロセスに高温アニーリング工程がないので、使用できる。
【0087】
現在の薄膜バッテリ蒸着技術は、多くの場合、薄膜処理中、フィルムに現れる高い応力による、厚い電極フィルムの構築に関する問題がある。故に、こうした電極フィルムの厚さは、数ミクロン以下となり得るので、バッテリのフットプリント領域に関してエネルギー貯蔵能力を大きく制限する。対照的に、本発明の印刷可能な電気化学セル10は、さらに厚い電極を用いて印刷でき−薄膜マイクロバッテリよりも少なくとも1〜2のオーダーで厚い−そのため、相当高い空間エネルギー密度を得ることができる。
【0088】
最後に、ほぼすべての薄膜バッテリ、例えばリチウムまたはリチウムイオン薄膜蒸着されたバッテリまたは亜鉛系アルカリ性および酸性の半印刷されたバッテリは、湿分に対して極めて感受性であるか、または液体構成成分を利用しているので、セルを密封状態にシールするために甚大な労力が必要とされる。比較として、本明細書に開示される化学物質は、物理的に固体状態であり、環境に対して非常に安定である。ゲル電解質12は非水性であり、腐食性構成成分を含有せず、長期間のセル使用後であっても、リークせず、乾燥もしない。故に、印刷されたセル10は、典型的な市販セルに必要とされるロバスト性の高価な密封パッケージングを用いずに使用できる。
【0089】
追加の利点として、高価な真空設備は、バッテリを製作または処理するために必要ではない。全体としてみれば、本明細書に記載されるプロセスおよび化学物質は、現在の産業標準である標準スパッタまたは蒸着または液体取り扱い薄膜方法よりも相当単純である。こうした単純性は、以前に可能であったよりも、多くのさらなる選択肢を有し、低コストの電気化学セルを製造することができる。
【0090】
この再充電可能なバッテリは、カソード電極化学に依存して1.1〜1.6Vの公称電圧を有し、0.7〜3Vで操作できる。
【0092】
一般に、バッテリ中のイオン液体の試験および使用は、優先的に、リチウムおよびリチウムイオンバッテリシステムに集中しており、非リチウムバッテリ化学物質、特に水性電解質、例えば亜鉛−炭素および亜鉛−二酸化マンガンシステムを典型的に利用する電極対への応用は全く無視されている。典型的なアルカリ性および酸性亜鉛系バッテリは、電気化学反応を行い、これは、水の存在を必要とする一方で、リチウム系バッテリ化学物質は、非水性、非プロトン性、有機電解質を利用する。歴史的には、亜鉛系バッテリシステムに、市販のリチウムおよびリチウムイオンバッテリに使用される歴史的に周知の有機液体電解質(例えば炭酸プロピレン、炭酸エチレン)を適用しようとする労力は最小限である。そのため、バッテリ電解質材料の研究は、イオン液体電解質の試験にシフトしているので、こうした労力は、リチウム系化学物質に集中しており、亜鉛系システムは見落とされている。これまで、バッテリシステムに適用されるイオン液体溶媒中の二価または多価イオンの輸送特性および機構は未知であり、利用されていない。さらに、非水性システムと組み合わせた亜鉛電極の電気化学は、ほとんど理解されていない。一般に、多価イオンの相対的なサイズおよび電荷は、一価イオンよりも大きい(亜鉛イオンは、リチウムよりも大きく、倍の電荷を有する)。結果として、ゲル電解質における亜鉛イオンの輸送は、リチウムシステムの場合よりも顕著に遅くなり、その二重電荷のために輸送機構がより複雑になることが予測される。しかし、測定される場合、イオン液体電解質における亜鉛イオンの輸送、特にイオン伝導度は、同類のリチウムイオンイオン液体電解質システムにおける場合よりも大きなオーダーであることが示された。これから、その独特の特性のために、ゲル電解質内の輸送機構は、リチウムイオンの場合と亜鉛イオンについては異なることが示唆される。これは予測できない結果であった。
【0093】
同様のゲル電解質材料を用いる同類のリチウムイオンバッテリにおいて、周囲空気条件に曝される場合に、バッテリは24時間を超えては機能できなかった。一部にこの原因であると仮定されることは、ゲル電解質が、非常に吸湿性であり、環境からの湿分を迅速に吸収する構成要素で構成されることであった。同様の亜鉛バッテリが、ゲル電解質材料を用いて構成された場合、バッテリは、同じ周囲空気条件において試験されたが、数か月(3から4カ月と見積もられる)にわたって、機能し続けることができ、分解の兆候は全く見られなかった。これも驚くべき結果であった。
【0094】
以下の例により、本発明に従う、組成物、ブロックコポリマー電解質の製作および性能特徴に関して詳述する。以下は、代表的なものに過ぎず、本発明がこれらの例に示される詳細によって限定されないことを理解すべきである。
【0095】
図
7は、インクに適用される剪断速度に応答する、バッテリ電極およびポリマー溶液についての代表的な配合を有するスラリーの粘度を例示する。ポリマー溶液は、ゲル電解質に関して代表的な配合を含む。インクの粘度は、Rheometric ARESレオメータ−[TA Instruments]によって適用される種々の剪断速度に関して測定された。
【0096】
図7に示されるように、ポリマー溶液は、適用される剪断速度に関して相対的に一定の粘度を示し、ニュートン挙動を示す(ここでこの粘度は剪断速度の変化に非感受性である)。0.21/sを超える剪断速度に関して、複合スラリーインク粘度は、log−logプロットにおいて剪断速度が増大するにつれて線形に低下する。プリンタによりインクに適用される最小および最大剪断速度が決定され、次いで印刷されるフィーチャに対応する寸法に関連させる。これは、適用される圧力の関数として最小および最大シリンジチップを通してインクの流速を測定することによって計算された。
【0097】
図7において、ディスペンサプリンタによって適用される剪断速度および対応する印刷されたフィーチャサイズの範囲は、両方のインクに関して角括弧で囲む。例えば、10msのディスペンサショット時間および20kPaの最小空気式圧力に関して、16ゲージニードルから押し出されたポリマー電解質溶液は、直角に載置されたカメラで視覚的に記録され、次いで液滴体積を、画像分析ソフトウェアを用いて決定した。インクの体積は、1.18mm
3に近似され、これらの条件下でインクが受ける剪断速度は491.91/sであり、150μmのドットピッチがもたらされた。この実験は、コントローラによって適用される最低および最高空気式圧力を用い、インクを押出成形できる利用可能な最小および最大ゲージの使い捨てニードルについて繰り返した(それぞれ16〜30ゲージ)。
【0098】
図7に示される粘度データが、ディスペンサ印刷プロセスに特異であることが理解される。粘度は、使用される堆積プロセスに依存して変動し得る、例えば所望の粘度は、スクリーン印刷または他のプロセスによって異なる。
【0099】
図8Aおよび8Bに見られるように、ゲル中の「グレイン」は、液体の組み込みが増大するにつれ(25から60重量%へのイオン液体電解質)、体積の顕著な拡大が認められる。これらの組成物のゲルは、本質的に、可撓性であるが、機械的に強度なフィルムのように作用し、構造の損傷または液相の浸出が実質的になく圧縮できる。ゲルからイオン液体の視覚可能な「発汗」は、長期間使用または貯蔵寿命の後であっても識別できない。イオン液体が75重量%を超えると、ポリマーは、液体を収容できず、フィルムのグレインサイズにおいて顕著な減少、ならびにポリマーおよびイオン液体構成要素の視覚可能な分離を伴う。
【0100】
イオン液体電解質の電気化学および輸送特性および亜鉛イオン伝導性バッテリとの適合性も調査した。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(BMIM+Tf−)イオン液体は、その利用性、その価格性、および亜鉛塩(亜鉛トリフルオロメタンスルホネート)との適合性のアニオンという理由から使用された。しかし、他のイオン液体と塩との対も、この電気化学システムに関して考慮されてもよい;例えば低下した粘度およびより安定なアニオンを有するイオン液体は、性能を顕著に改善するために使用できる。0〜0.75Mで変動する亜鉛塩濃度を有するBMIM
+Tf
−イオン液体の電気化学特性を比較した。0.75Mを超えると、亜鉛塩は、イオン液体中にはもはや完全には可溶性ではなくなったことに留意する。同類のリチウム電解質溶液において、リチウム塩リチウムトリフルオロメタンスルホネートは、同じイオン液体において約1.4M濃度まで可溶性であった。
【0101】
電解質は、デバイスの操作電気化学電位範囲内で安定である場合にのみ有効である。線形掃引ボルタンメトリー(LSV)実験は、イオン液体電解質のそれぞれについて行われ、その電気化学安定性の電位範囲を決定した。5mV/sの速度での掃引電圧を、亜鉛とステンレススチールブロッキング電極との間にイオン液体電解質を含有するセルに適用することによって、電解質のアノードの安定性を、得られた電流密度をモニターすることによって決定した(
図9)。亜鉛電極に関して、すべての濃度は、0〜2.7Vで無視できる程度の電流密度を示し、そのためすべての電解質は、1〜2Vのデバイス電圧間でのバッテリ操作のために必須電気化学安定性を与えることができる。2.7Vを超えるセルの測定された電流密度は、電解質の亜鉛塩濃度が増大するに従って上昇する;亜鉛塩を組み込むイオン液体について、電流密度は、1mA/cm
2を超えた。
【0102】
0〜0.75Mの亜鉛塩濃度を有するイオン液体電解質のイオン伝導度および粘度特性のイオン伝導度および粘度比較を測定した。イオン液体の粘度は、小さいサンプル、小体積アダプターを用いるブルックフィールドDV−III+を用いて測定された。イオン伝導度特性は、2つで狭持された液体電解質を含有する対称性セルの電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定を介して得られた(
図9参照)。0〜0.75Mの亜鉛塩濃度を有するイオン液体電解質の電気化学電位安定性。大きい電流密度の発生は、電解質分解ブロッキングステンレススチール電極に対応する。ニートなBMIM+Tf−イオン液体は、3.15mS/cmのイオン伝導度を示した。
【0103】
亜鉛塩のイオン液体への添加が増大するにつれて、イオン伝導度は低下することが測定された。この挙動は、システムにおけるイオン濃度の増大はイオン伝導度の増大をもたらすことが推測されるので、直感に反する。反対に、イオン液体におけるイオン濃度の増大は、顕著な粘度増大を伴って検出できるように、システムにおいてイオン移動度全体を低下させる;故に2つの特性間の逆の関係が検出され、
図10に例示される。
【0104】
イオン伝導度は、イオン濃度および移動度の関数である。イオン液体電解質におけるイオンの濃度は、塩の濃度が大きくなるにつれて増大するが、システムの移動度は大きく低下する。
【0105】
同様に、制限拡散方法を用いて測定された電解質の亜鉛イオン拡散係数は、亜鉛塩濃度が増大するにつれて徐々に減少する傾向を示した。この傾向はまた、亜鉛塩濃度の増大に伴う電解質粘度の上昇に起因し得る。これらの輸送特性傾向における同類のリチウムイオンとの比較。イオン液体システムは、亜鉛イオンの二価の性質および相対サイズが、イオン液体電解質におけるその挙動にどのような影響を与え得るかについて、追加の経験的観察を行うことができる。リチウム電解質は、リチウムイオン(Li
+)、イミダゾリウム系カチオン(BMIM
+)、およびトリフルオロメタンスルホネートアニオン(Tf
−)を単独で含み;亜鉛電解質構成要素は、亜鉛イオン(Zn
2+)、BMIM
+カチオン、およびTf
−アニオンであることに留意する。
【0106】
種々の濃度のリチウムトリフルオロメタンスルホネート塩を有するBMIM
+Tf
−イオン液体のイオン伝導度は、亜鉛システムに関して記載された同じ様式で測定され、
図11にプロットされた。0.3M未満の塩濃度において、両方のシステムは、同様のイオン伝導度を示したが、より多くの塩が電解質に添加されたときには、それらの挙動は分かれた。両方の電解質において、イオン伝導度は、塩濃度が増大するにつれて低下したが、リチウムシステムの伝導度は、より速い速度で減少した。この観察は、2つの理由から直感に反する;まず、リチウムイオンのサイズは、亜鉛イオンよりも小さい(イオン半径は、それぞれ0.68nmおよび0.74nmである)ので、より大きな亜鉛イオンの緩慢な輸送のために亜鉛システムにおいてイオン伝導度が低下すると予測される。
【0107】
リチウムおよび亜鉛イオン液体電解質システムの溶質濃度に関してイオン伝導度挙動の相違は、電解質におけるトリフルオロメタンスルホネートイオンの割合に大きく依存する。リチウム系イオン液体電解質は、溶質カチオンの価数が異なるため、亜鉛系イオン液体電解質とは異なる。所与の体積に対するあらゆるモルの亜鉛塩、Zn+(Tf−)2に関して、体積は、2モル未満のBMIM+Tf−を含有する。同じ体積に対して1モルのリチウム塩、Li+Tf−では、BMIM+Tf−は1モル未満に過ぎない。これらの記述は、電解質中のカチオン体積が等しいことを仮定して、可能となる。結果として、亜鉛系イオン液体電解質は、リチウム系イオン液体電解質よりも高いイオン伝導度および低い粘度を示す。
【0108】
イオン液体電解質における塩濃度に関して活性イオンの拡散係数の比較が行われた。制限拡散測定方法を用いて得られた
図12に示されるデータから、リチウムイオンは、すべての塩濃度に関してイオン液体電解質の亜鉛イオンよりも大きなオーダーの拡散係数を有することが示される。これは、[Zn
2+][BMIM
+][Tf
−]システムが、[Li
+][BMIM
+][Tf
−]より全体としてより高いイオン伝導度を示すが、イオン液体における亜鉛イオン輸送機構は、リチウムイオンの場合とは異なり得ることを示唆する。二価の電荷を用いて、亜鉛カチオンは、隣接するTf
−アニオンとより強く相互作用する場合があり、ペア、トリオ、および妥当なより多くのアニオンをテザーするイオン錯体を創出する。しかし、これらのイオン錯体は、[Zn
2+][BMIM
+][Tf
−]システムにおいて、大きな[BMIM
+]カチオンを遊離することができ、それらの電解質内での迅速な輸送を可能にし、結果としてより高い全体のイオン伝導度に寄与し、一価イオンに比べて二価の亜鉛カチオン輸送機構をイオン液体電解質媒体を通して変更する。
【0109】
電解質濃度の関数としての亜鉛電極および電解質界面にわたる亜鉛溶解(Zn→Zn
2++2e
−)および逆の堆積反応の可逆性は、2つの亜鉛電極間に電解質を狭持する対称セルのサイクリックボルタンメトリーを用いて測定されたそれぞれの電流密度を比較することによって決定された。10mV/sのスキャン速度を使用した。0〜0.75Mの範囲の亜鉛塩濃度を有するイオン液体電解質のボルタモグラムを
図13に示す。アノード(正)およびカソード(負)電流密度の最大の大きさは、0.73Vおよび−0.69Vにて生じ、それぞれ作用電極にて生じる溶解および堆積の最大速度に対応する;電流密度ピークの大きさは、2.21mA/cm
2および−2.63mA/cm
2である。反応の効率は、アノードおよびカソード電流密度の速度を比較することによって計算され、84%である。ボルタモグラムは、亜鉛イオンがイオン液体電解質を通して輸送でき、次いで亜鉛電極上にメッキされ、亜鉛電極から剥ぎ取られ、または離れることを例示する。そのため、イオン液体は、亜鉛イオンバッテリのための電解質の選択肢である。亜鉛塩の添加につれて、最大アノードおよびカソード電流密度は、増大する傾向を示した。
【0110】
種々の亜鉛塩濃度を有するイオン液体電解質についてのアノードピーク電流密度のサイクルの大きさは、
図14に示される。溶解反応の大きさは、複数のサイクルについて記録された。0.1〜0.5Mの濃度を有する電解質は、繰り返してサイクルされた場合に、相対的に小さいピークのアノード電流密度を示した;0.75Mの亜鉛塩濃度について、電解質は、安定なサイクリング挙動を示すことはできなかったが、最初の7サイクル内でピークアノードの電流密度においておおよそ70%の低下を生じた。この傾向はまた、カソード掃引においても観察された。これらの試験から、BMIM+Tf−における0.5Mの亜鉛塩濃度が所望の電気化学および物理的特性を示すことが実験から示され、後のすべての実験においてイオン液体電解質として使用した。
【0111】
イオン液体ゲルのバルク輸送特性は、最適なゲル電解質組成物を決定するために分析した。ゲルのイオン伝導度は、2つのブロッキングステンレススチール電極との間にゲルをキャストすることによって形成された対称セルにおいてEISを用いて測定した。ゲルフィルム厚さは、続いてデジタルカリパーを用いて測定され、顕微鏡法を用いて検証された。ゲルの室温イオン伝導度(
図15)は、より高いイオン液体電解質濃度に応じて増大することを見出した。1:1のイオン液体電解質対PVDF−HFP重量比のゲル組成物は、最適な機械的一体性および輸送特性を有することが決定された。この組成物において、室温ゲルイオン伝導度(0.37mS/cm)は、ニートなイオン液体(2.4mS/cm)よりも小さいオーダーに低下するが、ゲルは、乾燥ポリマー(0.01mS/cm)およびガラス状(<10μS/cm)電解質に比べて相当伝導性であると考えられる。
【0112】
亜鉛イオンは、輸送、粘度および電気化学特性を最大化するために最適な配合を有するイオン液体電解質を通して伝搬できることが示された。亜鉛塩およびイオン液体溶液は、ポリマー結合剤に膨潤し、ゲル電解質を形成した。印刷可能なゲルは、液体様イオン輸送特性を保持するが、損傷なく屈曲して、圧縮されることができる固体フィルム様に作用する。さらに、無視できる揮発性のために、イオン液体は、ゲルから「発汗」せず、周囲に曝される場合であっても長期間にわたってその特性を保持できる。
【0113】
印刷されたマイクロバッテリ10の断面の顕微鏡写真を
図16に示す。各フィルムを印刷し、次いで60℃にて15〜30分間乾燥させた。正方形試験セルを0.25cm
2フットプリント内に印刷し、80〜120μmの総厚さを有していた。この構成に関して、亜鉛フィルム16は、電極として作用するだけでなく、それ自体の集電体としても作用する。ニッケル箔は、二酸化マンガン電極14の集電体、ならびにバッテリが印刷された基板として使用された。印刷されたニッケル集電体を利用して完全に印刷されたバッテリを得ることは、十分この技術範囲内であるが、このマイクロバッテリ構成は、マイクロバッテリがパターニングされた基板、例えばPCB板上に印刷された状況をほぼ模倣しており、ここでこの底部集電体は、蒸着のような先行するプロセスを通して既に製作されている。
【0114】
マイクロバッテリセルは、次のように製作した:電極フィルムは、粉末、添加剤、一般的なポリマー結合剤、インクの粘度を調整する除去可能な溶媒を含むスラリーとして堆積させた。ポリマー結合剤および使用された溶媒は、それぞれ
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(Kynar Flex2801からのPVDF−HFP)、およびn−メチル−2−ピロリドン(Sigma AldrichからのNMP)であった。亜鉛電極は、95重量%の亜鉛粉末(Alfa−Aesar)および5重量%のPVDF−HFPであった。二酸化マンガン(MnO
2)電極は、90重量%の活性MnO
2粉末(Alfa Aesar)、6重量%のアセチレンブラック伝導性フィラー(Alfa Aesar)、および4重量%のPVDF−HFPであった。ゲル電解質は、
PVDF−HFPと、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(BMIM
+Tf
−)イオン液体中に溶解した亜鉛トリフルオロメタンスルホネート(Zn
+Tf
−)塩の0.5Mの溶液との1:1混合物であった。インクは、設計されたパターンに印刷され、複数のフィルムは連続的に堆積させ、
図16に示されるようにスタックされたマイクロバッテリ構成を形成した。
【0115】
セルは、サイズが0.49cm
2であり、電極寸法が50〜80μmの範囲であった。電解質厚さは、約15〜30μmであった。亜鉛スラリーは、電極およびそれ自体の集電体の両方として作用したが、ニッケル箔基板は、二酸化マンガン電極の集電体として使用した。
【0116】
スタックされたバッテリ構造を印刷した後、デバイスは、特徴付けの前に24時間にわたって平衡化した。C/3の定電流放電速度について放電深さの関数として、印刷されたバッテリの典型的なセル電位発生を
図17Aに示す。このバッテリの作用範囲は、1〜2Vの間である。放電ルーチンからのセルインピーダンススペクトルを記録した。セルインピーダンスに寄与する現象のうち、電荷移動動力学および拡散の合わせた寄与は、セルの定常状態電圧に最も大きく影響を受けるように見える。これは、
図17Bにおいて比較される充電スキャンのEISスペクトルによって支持される。1.267から1.620Vにセル電位が増大するにつれて、電荷移動および拡散半円が、放電スキャンと同じ傾向で引き延ばされ、延びる。
【0117】
MnO
2複合電極試験構造はまた、亜鉛箔電極に対して定電流としてサイクルされた。試験された多くのセルについて、適度に遅い充電および放電速度(C/2〜C/5)を用いて、活性化プロセスが、初期サイクル内で生じることが観測された。
【0118】
これは、最初の25の定電流サイクル内で顕著な容量増大において通常明らかにされる。
図18に見られるように、印刷されたバッテリの放電容量は、サイクル7と9の間で2倍以上に増大し、さらなるサイクリングではこの貯蔵容量を維持する。サイクル3およびサイクル11についての充電および放電曲線の比較を
図19Aおよび19Bに示す。2つのサイクルを比較する場合、サイクル11の充電および放電電位曲線は、放電の深さに関して2倍長くなり、曲線の形状も、変更されることに留意する:シャープなニーは、1.52Vでの充電時に視覚可能であり、充電および放電の切り替え時に急激な垂直下落が生じる。前者の特徴は、二酸化マンガン電極は、亜鉛イオンの挿入によって誘導される活性化プロセスを受け、これが、結晶性材料の体積を増大させ得るまたは相変化を生じ得ることを示唆している。この相変化は、亜鉛イオンが反応し得る界面部位へのアクセス性の向上が伴い、そのため、電流方向を切り替える場合に、貯蔵容量の増大ならびにより大きなオーム降下が生じる。後者の特徴であるサイクリング中のセルにおけるオーム抵抗の増大は、活性化現象と一致している;二酸化マンガンの非晶質相は、結晶性相よりも電子的に抵抗性である場合があり、またはモルホロジー変化が生じる場合があり、電極フィルムを通して電子経路における中断が生じる。
【0119】
セルは、C/5の放電速度にて定電流でサイクルされ、
図20において見られるように、70を超えるサイクルが性能劣化の兆候なしに達成された。この印刷されたバッテリはまた、最初の15サイクル内において二酸化マンガン電極の同様の活性化挙動を示した。試験セルは、容量において平均1mAh/cm
2が得られ、面エネルギー密度において1.2mWh/cm
2が得られた。
【0120】
印刷されたバッテリの速度性能に関する初期の試験が、
図21に示される。深い定電流放電容量は、種々の放電電流密度について測定され、その最大容量(約1mAh/cm
2)に関して規格化された。セルは、同じアルゴリズムを用いて充電された:0.1mAh/cm
2の一定電流充電、続いて1.8Vの一定電圧において3時間セルを保持。セルは、1.8〜0.3Vで放電された。達成可能な最大貯蔵容量は、0.1〜1mA/cm
2の放電電流密度について得られ、これはおおよそC/2〜C/7速度に対応する。この範囲よりも高いおよび低い電流密度に関して、得ることができる放電容量は、前者については高いセルインピーダンスのために減少し、一方で後者では自己放電およびリーク機構が支配的になる。マイクロデバイス用途に関して、おそらく、マイクロバッテリは、環境発電デバイスと関連させて使用される場合であっても、C/10よりも低い速度にて放電される。他方で、高い放電速度も起こり得る場合があり、1Cを超えるいずれかの速度で有用な容量の迅速な低下のため、このデバイスは、通常、マイクロデバイス、例えばワイアレスセンサから要求される極めて高い電力パルスに好適に対処できない。ロード水平化キャパシタは、こうした高電力密度需要を和らげ、有害なパルスからバッテリを保護できる。
【0121】
従って、デバイスの電流密度出力は、0.001mA/cm
2〜100mA/cm
2の範囲であることが示された。
【0122】
1つの実施形態において、室温20℃の周囲環境に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、25μA/cm
2未満、または好ましくは15μA/cm
2未満の測定可能な電流密度を出力し、少なくとも1週間を超える曝露、または好ましくは3カ月を超える曝露、より好ましくは6カ月を超える曝露にて維持される。
【0123】
1つの実施形態において、20℃〜45℃の高温に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、50μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは25μA/cm
2未満、またはより好ましくは15μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは3カ月を超える曝露にて維持される。
【0124】
1つの実施形態において、45℃〜90℃の高温に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満、またはより好ましくは40μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは1カ月を超える曝露にて維持される。
【0125】
1つの実施形態において、90℃を超える高温に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1ミリ秒を超える曝露、または好ましくは1時間を超える曝露、より好ましくは1日を超える曝露にて維持される。
【0126】
1つの実施形態において、−20℃〜20℃の低下した温度に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、50μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは25μA/cm
2未満、またはより好ましくは15μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは3カ月を超える曝露にて維持される。
【0127】
1つの実施形態において、−20℃未満の高温に曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1ミリ秒を超える曝露、または好ましくは1時間を超える曝露、より好ましくは1日を超える曝露にて維持される。
【0128】
1つの実施形態において、30〜80%の相対湿度レベルに曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満、またはより好ましくは25μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは3カ月を超える曝露にて維持される。
【0129】
1つの実施形態において、80%を超える相対湿度レベルに曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは1カ月を超える曝露にて維持される。
【0130】
1つの実施形態において、20%未満の相対湿度レベルに曝されたイオン液体ゲル電解質の環境安定性は、75μA/cm
2未満の電流密度、または好ましくは50μA/cm
2未満、またはより好ましくは25μA/cm
2未満を出力し、少なくとも1日を超える曝露、または好ましくは1週間を超える曝露、より好ましくは3カ月を超える曝露にて維持される。
【0131】
上記の環境安定性の範囲は、適用されたサイクリックボルタンメトリーに関して測定され、ブロッキング電極対、例えばステンレススチール、ニッケル、またはアルミニウムを用いて3〜3Vで測定されることを理解する。
【0132】
印刷されたマイクロバッテリから引き出される電力密度の放電時間への影響が、計算され、
図22にプロットされた。他の電気化学システムについて報告されるように、対数軸にてプロットされる場合に、放電時間は、より大きな適用電力密度に対して線形に低下する。15mW/cm
2パルスに関して、バッテリは、おおよそ150秒にて完全に放電した。1.49mW/cm
2の最大エネルギー密度は、0.05〜1mW/cm
2の中程度の電力密度に関して得られ、この窓を超えると、エネルギー密度が低下する。このプロットから、最大電力密度は、バッテリのエネルギー密度の75%のみが引き出された値として近似されることができ;最大電力密度は2mW/cm
2である。
【0133】
バッテリの再充電がまれに、または未知の間欠性にて生じる用途に関して、バッテリの自己放電挙動(リークとしても既知)は、調査のための重要な特性である。定義によりバッテリにおける自己放電は、通常、アノードおよびカソードにて生じる連結ファラデープロセスにより、進行時間依存性の充電損失である。
【0134】
バッテリの自己放電の速度および機構は、セル電位によって大きく変動し得る。自己放電の機構を決定するために、最も一般的な方法は、短時間の間に分極させた後に、セルの電位減衰をモニターすることである。この実験に関して、充電が通過する外部回路は存在しないので、充電状態の減少速度は、主に、セル内の自己放電プロセスに依存するはずである。この電位減衰挙動は、3つのタイプの自己放電機構を区別するために使用できる:(1)アノードおよびカソードにおける連結ファラデープロセスによる自己放電、(2)電子活性不純物の拡散制御された自己放電、または(3)電極間の短絡リーク。自己放電は、例えば過充電された後のセルにおける継続した溶液分解によるファラデー反応に起因するような第1のプロセスに関して、セル電位(V)にて測定されたリーク電流(自己放電)を近似する。
【0135】
(正電流を用いた)充電パルスに曝された後のバッテリの電位減衰を
図23に記録する。t=0における初期セル電位(V
初期)は、セルが充電パルスの間に分極された電位に対応し、このセルは、緩和され、5時間後または18,000秒後に低い電位に平衡化されることを示す。60を超える充電パルスがバッテリに適用され、1.5から2.2Vにセル電位が徐々に増大した。セルの電位減衰のプロットは、システムに加えられる充電が増大するため、上方に進む漸次傾向を示した。自己放電機構を決定するために、セル電位を、ファラデーおよび拡散制御リーク機構にそれぞれ対応する対数および時間の平方根に関して
図24および
図25にプロットした。2つの図を比較して、印刷されたバッテリにおける自己放電は、レドックス活性不純物の拡散によるのではなく、アノードおよびカソードの連結反応によるファラデー起源である。
【0136】
図26において、これらの線形掃引の傾き(dE/d[log(t)])は、バッテリが分極された初期セル電位に関してグラフ化された;この負の傾きは、バッテリにおける電位減衰の速度に対応し、分極セル電位がより高くなるにつれて自己放電速度の増大(またはより大きいdE/d[log(t)])の傾向が明らかである。1.5〜2.2Vのセル電位に関して自己放電速度の不一致は、アノードおよびカソードにて生じる相対的な寄生レドックス反応が、セルの充電状態に応じて実質的に変動することを示す。参照電極を利用する試験は、各電極での自己放電のリーク寄与の大きさおよび機構を解明できる。セルを、反対の極性を有するが、上記電位減衰試験と同じ大きさおよび時間長さを有する放電パルスに供することによって、バッテリは、興味深い「回復」挙動を示した。
図27において観察されることは、放電パルス後の開回路に置かれる場合に、セルの電位が徐々に増大した。自己放電試験において適用されたように、セル電位と時間との関係を使用して、自己回復の機構を区別した。
【0137】
対数(
図28)および時間の平方根(
図29)の関数としてセル電位データをプロットすることによって、
図29に見られる線状挙動は、回復機構が拡散制御ではなく、アノードおよびカソードにおける種のファラデー反応に依存することを示唆する;自己回復の機構は、自己放電試験と一致する。この観察は、バッテリの回復作用におけるよく知られた仮説に反し、これは、通常、バッテリの迅速な分極中に形成された大きな濃度勾配を補うために電極に向かう電解質における電気活性イオンの拡散に起因する。
【0138】
電気化学システムにおいてリーク挙動の電圧依存性を決定するための補充試験は、フロート電流技術である。フロート電流は、セル電位に電極を維持するために必要とされる電流である。フロート電流は、セルに流れる自発的な自己放電電流の大きさに正確に適合し、そのため、寄生電流がセルの充電状態を低下させるのを防止する。印刷されたバッテリのリークの電圧依存性を決定するために、セル電位は、8時間保持され、その電流応答を測定した。特定電圧にセルを保持する開始時では、得られた電流応答は最大値を示し、次いでそれが定常状態に到達するまで経時的に徐々に減衰する。
【0139】
1.65Vに保持された印刷されたバッテリにおいて測定される電流の例を
図30に示す。フロート電流は、所与の電位にて8時間セルを保持した後に測定された電流として見積もられ、セルにて自発的に生じるリーク電流と大きさが同じであると仮定される。これらの寄生機構により進む充電の量は、電流応答曲線下の領域を積分することにより決定され、これからリーク電力を計算できる。印刷されたバッテリに関して、試験は、2回の続く測定される充電および放電サイクルにわたって行われた。1.1〜2Vのセル電位に関して記録される充電サイクルフロート電流は、充電状態が増大するにつれて増大する傾向を示した。第1および第2の充電サイクルの両方は、非常に似たリーク電流量、ならびに適用セル電位の上昇に応じて増大する傾向を示した。1.62〜1.84Vのフロート電流における顕著なスパイクは、両方のサイクルで検出されたが、これは可能性として、充電状態に依存した繰り返し可能なリーク機構を示す(例えば電解質構成要素の電気化学的破断)。
【0140】
印刷されたバッテリの電流測定から、ポテンショスタットを用いて進んだ充電もプロットされた(
図31および32)。充電および放電サイクル中に進む測定された充電および電力の傾向は、セル電位におけるフロート電流の場合と適合し、一般に、第1および第2のサイクルの測定特性が同様の値を示した。充電時のリーク電力は0〜6.4μW/cm
2の間で変動したが、放電時、測定された最大リーク電力は2.5μW/cm
2であった。印刷されたバッテリにて測定された平均リーク電力は、1.38μW/cm
2であった。
【0141】
種々の電子デバイスの耐湿性の試験も行った。最小から中程度の耐湿性を有するデバイスは、単層バリア、例えばポリイミド、シリコーン、ガラスまたは金属酸化物フィルムだけで包装できる。有機発光ダイオード(OLED)および有機トランジスタのような環境感受性である有機材料を組み込むデバイスに関して、これらのデバイスの水蒸気透過率(WVTR)によって測定される耐湿性は、非常に低い(<10
−3g/m
2/日)。これらのデバイスは、有機および無機材料が交互にある多層構造のような、より高性能のバリアを必要とする。単純な概算によれば、リチウムバッテリは、10
−4以下のWVTRに耐えることができる。概算は以下の関係に基づく:WVTRは、バッテリにおける感受性構成成分の厚さにその密度を乗じ、所望の寿命で除したものに等しい。3.5μm厚さのリチウム電極が最も環境感受性の構成成分であり、バッテリが10年間持続しなければならないリチウムバッテリに関して、1:1質量反応体比の仮定では、5*10
−4g/m
2/日のWVTR概算値となる。リチウムバッテリのWVTRは、5×10
−4g/m
2/日に等しい。これが1:1モル反応比を占めるように調節された場合、これは、同じバッテリおよび寿命要件に関してWVTRをさらに1*10
−5g/m
2/日未満に低下させる。
【0142】
種々の集電体材料はまた、本発明のゲル電解質との適合性および安定性について試験された。
【0143】
図33は、それぞれが本発明の印刷されたゲル電解質12において覆われる2つの隣接して印刷されたまたはパターン付けされた銅、銀、ニッケルおよびアルミニウム集電体フィルムを含有する対称性セルのボルタモグラムを示す。ゲル電解質中の銅、銀、ニッケルおよびアルミニウムの電気化学安定性/不安定性は、所与の電位に関して検出された電流密度の大きさと一致する。
【0144】
図33に示されるように、銅および銀集電体は、電気化学的に不安定であることを示したが、これは0.5Vを超えて−0.5V未満の電位において>50μA/cm
2のイオン液体電解質におけるリーク電流を示す。
【0145】
平面状試験セルを用いて、93重量%の球状ニッケル粉末[E−Fill、Sulzer Metco Canada]および7重量%のPVDF−HFPを含むインクを、−2V〜2Vの間で10mV/sCVスキャン速度に供した。ニッケルは、ゲル電解質と共に相当安定な挙動を示し、電流密度は無視できる程度であり、モルホロジー変化は、25サイクルにわたって集電体界面において検出されなかった。
【0146】
1μm〜80μmの厚さを有し、アルミニウム箔、アルミニウムナノ粒子、またはアルミニウム粉末をポリマー結合剤と混合させたアルミニウム複合体の材料組成を有するアルミニウム集電体を、プラスチックまたはガラス基板に堆積または接着させた。アルミニウム集電体はまた、ダイ切断、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、インクジェット印刷、またはコールド箔またはホット箔印刷方法を用いて堆積またはパターン付けされてもよい。
図33に示されるように、アルミニウム箔集電体も、−3〜3Vの範囲にわたって安定性を示した。
【0147】
図34は、アルミニウム箔集電体およびゲル電解質が曝露された種々の温度での安定性を示すボルタモグラムを示す。安定性は、25℃〜125℃の範囲の温度について示された。
【0149】
電気化学キャパシタは、
図35Aから35Cに例示される印刷方法を用いて製作された。
図35Aに示される工程122において、第1の炭素電極層132は、基板68上に直接印刷される。第1のインクディスペンサ140が基板68にわたって通過するときに炭素電極層132は、基板68上に印刷される。
図35Bに示される工程124において、ゲル電解質層134は、第2のインクディスペンサ142が第1の炭素電極層132にわたって通過するときに、第1の炭素電極層132上に印刷される。
図35Cに示される工程126において、第2の炭素電極層136は、第3のインクディスペンサ144がゲル電解質層134にわたって通過するときに、ゲル電解質層134上に直接印刷される。
【0150】
図36は、
図35A〜Cの方法に従って印刷されたキャパシタ130の断面の顕微鏡写真を示す。断面は、ゲル電解質134によって第2の炭素電極から分離された第1の炭素電極132を示す。
【0151】
図36に示されるキャパシタ130の炭素電気化学キャパシタ電極インクは、50重量%の活性化された高表面積炭素粉末、2重量%の伝導炭素添加剤、24重量%の伝導性炭素添加剤、24重量%のフッ化ポリビニリデン(PVDF)ポリマー結合剤、および24重量%のテトラフルオロボレート(BMIM+BF
4−)イオン液体電解質を含む複合スラリーを含んでいた。スラリーのレオロジーは、N−メチルピロリドン(NMP)溶媒を用いて調整されたが、これは後に乾燥時に蒸発させる。キャパシタのゲル電解質134は、等量のPVDFおよびBMIM
+BF
4−を含む。ステンレススチールおよびニッケルの市販の箔は、集電体フィルムとして使用した。すべてのインクは、均質になるまで混合され、次いで
図35A〜Cに示される構成において連続して堆積される。フィルム堆積工程の間、フィルムは70℃で20分間乾燥させた。これらの試験構造について使用される典型的な基板はガラスであった。
【0152】
図36のキャパシタ130のゲル電解質134は、
図1に例示されるバッテリ10の電解質ゲル12とは顕著に異なる組成物を使用したことに留意すべきである。試験されていないが、
図1に例示されるバッテリ10と同様の電解質ゲルも、キャパシタ130と共に使用するために組み込まれてもよいことが理解される。
【0153】
サイクリックボルタンメトリーおよび電気化学インピーダンス分光法実験は、Gamry Reference600Potentiostat/Galvanostat/ZRAを用いて行った。すべてのACインピーダンス測定は、10mHz−10kHzの周波数範囲内で、0VのDC電圧および5mVのAC電圧で、ポテンショスタットを用いて行った。測定はキャパシタフットプリント領域(電極の表面積ではない)を用いて規格化されるが、それはこの領域が、通常、小型デバイスのためのマイクロエネルギー貯蔵を設計する際の最も制限的なパラメータであるためである。
【0154】
図37は、印刷された電気化学キャパシタ130のサイクル寿命対キャパシタンスを示す。
図38は、印刷された電気化学キャパシタの充電および放電サイクルのプロットである。
図39は、1mAおよび0.1mAでの印刷されたキャパシタ130のパルス状挙動を例示する。
【0156】
図40は、エネルギー貯蔵構成成分152、熱または太陽光環境発電構成成分154、およびセンサ156(例えば、MEMSカンチレバーセンサ)を利用する活性なRFIDタグ150の例を例示する。エネルギー貯蔵構成成分152は、印刷されたマイクロバッテリ、例えば
図1のセル10を含んでいてもよく、これは
図39に関して以下に記載される「プリンティング・オン・グリーン」方法を用いて回路板に直接印刷される。
【0157】
長いデバイス寿命(>10年では、消耗した場合にその電源を交換できない)にわたって操作する用途に関して、環境発電デバイス154の組み込みにより、周囲エネルギーを有用な電気エネルギーに変換することが、最重要である。電流デバイスにおける環境発電技術の組み込みに対する障害は、その高いコストおよび供給される電力間欠性を含む。本発明の印刷されたマイクロバッテリ10は、その単純な統合手順のために、固有値を、環境発電デバイスに加え、多目的なフォームファクタおよびカスタマイズ可能な性能特性が可能となる。大部分のエネルギーハーベスタは、製作のために材料、処理、およびエネルギーを大量消費するので、これらのデバイスと、最小の材料、廃棄物およびエネルギー入力で容易に一体化される低コストのエネルギー貯蔵デバイスとのペアリングにより、顕著に有用性が増す。より重要なことには、エネルギー貯蔵は、ハーベスタによって供給される電力と、電力需要との不一致を埋める。
【0158】
大部分の用途および環境において、ハイブリッド電力供給として既知のエネルギーハーベースタ154および貯蔵デバイス152の組み合わせが、極めて望ましい。単独で、電気化学キャパシタ(例えば、
図36のキャパシタ130)は、バッテリに比べてエネルギー密度が制限されるが、頻繁な高電力パルス操作を必要とするシナリオ、例えば迅速なリアルタイム情報に依る緊急事態応答用途のためには適している。電気化学キャパシタ130はまた、より大きなエネルギー貯蔵容量を必要とする用途のためにバッテリ(例えばバッテリ10)を使用する場合の補充技術であり、組み合わせて使用される場合に、キャパシタは、ロードから需要される高電力サージに対処でき、有害なバッテリ操作を有効に和らげ、そのためバッテリの寿命を延ばし、結果としてデバイスの寿命を延ばす。
【0159】
ディスペンサ印刷方法は、ケイ素ダイ上に微細製作されたMEMS振動エネルギーハーベスタを囲む基板領域上にエネルギー貯蔵デバイスを一体化させるために使用されてもよい。ディスペンサプリンタはまた、エネルギー貯蔵性能特性を、エネルギーハーベスタ154によって供給される電力ならびにロードによって需要される電力と適合するように調整することができる追加の利益を提供し、これら両方は較正される環境によって顕著に変動し得る。
【0160】
非占有基板領域が限られた混雑したプリント回路板(PCB)において、本発明の印刷方法は、開放空間をエネルギー貯蔵構成成分で満たすことができ、混雑した基板内に最大量のエネルギー貯蔵を有効に堆積させる。「プリンティング・オン・グリーン」として既知のこうした概念は、
図41に示される方法170に例示される。
【0161】
工程172において、プリント回路板184は、種々の構成成分182を有するように提供される。工程174において、空の空間186は、エネルギー貯蔵を印刷するために決定される。工程176において、デバイスプリント設計188は、PCB184において利用可能なフットプリントに基づいて得られる。工程178において、エネルギー貯蔵デバイス190は、板184上に印刷され、工程180に示される一体化されたデバイスを得る。このプロセスは周囲条件および最小ポスト処理温度(<150℃)にて行われるため、環境曝露に感受性であり得る隣接構成成分の損傷を避けることに留意する。
【0162】
混雑した基板上でアクセスできない領域に印刷できると共に、ディスペンサプリンタはまた、非平面状表面(例えば湾曲表面)においても快適に印刷できる。これは、エネルギー貯蔵デバイスがデバイスに一体化されることができる場合に、より大きな可撓性が加えられる。混雑した基板上に、電気的に絶縁した層は、いずれかの構成成分の頂部上に印刷されることができ、次いで快適に印刷されたマイクロバッテリでコーティングされる。マイクロバッテリのすべての製作およびポスト処理が120℃にて周囲条件および温度にて生じるので、すべての隣接構成成分がプロセスにおいて損傷されるべきではない。
【0163】
開放空間においてならびにデバイス構成成分にも快適にカスタムマイクロバッテリを堆積できることは、局在化エネルギー貯蔵構成成分のオンデマンド製作の可能性を広げる。典型的には、電子デバイスは、単一供給源、例えば一次バッテリからその電力を得る。その構成成分のいずれかが異なる供給電圧を必要とする場合に、追加の電力電気回路は、その必要とされる値にバッテリ電圧を変換するために必要とされる。電圧変換操作の効率は、使用される変換方法のタイプによって変動する:線形レギュレーターは、単純で低コストであるが、大きな電圧変化には全く不十分であり、所望でない熱散逸をもたらす。スイッチドモードの電圧コンバータ(例えばスイッチドキャパシタ)は、非常に効率良く(>75%)設計されることができ、これらのデバイスは、CMOS製作を用いて、線形レギュレーターに比べて領域を大量消費しないが、設計および一体化が複雑である。この議論において、典型的なワイアレスセンサは、オシレーターを通常含むマイクロコントローラおよび制御ユニット、通信手段構成成分、例えばトランシーバおよび/またはレシーバ、センサ、および電源を含有することが仮定される。
【0164】
局所供給電圧および電源としてのマイクロエネルギー貯蔵デバイスの使用は、電力レギュレーションに関連する設計の複雑性および変換不効率を緩和させることができ、ならびに基板領域の専用電力電気回路を低減する。追加の機能性および空間フットプリント効率は、マイクロバッテリおよびキャパシタのスタックされた直列および並列構成を製作することによって得られる。これは、ディスペンサ印刷を用いて達成可能であるべきであるが、なおも完全には示されていない。局在化エネルギー貯蔵構成成分は、それらの使用に従って調整できる;多くの構成成分の合計から引き出される累積的に高い電力を有するバッテリをパルシングするよりもむしろ、より高度に調整されたエネルギー貯蔵デバイスは、それぞれ個々の構成成分に割り当てる。
【0165】
例えば、マイクロコントローラユニットは、通常、継続的な低電力(<10μW)を引き出し、本明細書に提供される化学物質の局所マイクロバッテリによって好適に電力供給されてもよい。他方で、トランシーバは、電力の間欠性の高いバーストを必要とする。この挙動は、電気化学キャパシタ(例えば、キャパシタ130)または高速放電を取り扱うことができるバッテリ化学物質(例えば亜鉛−酸化銀)によって良好に対処されてもよい。それらの利点を生かし、エネルギー貯蔵構成成分を分離させることによって、エネルギー貯蔵ネットワークの全体の累積ヘルスは、典型的な単一バッテリ電力供給システムの場合を超える場合がある。この設計パラダイム変化を助長するために、この概念のシミュレーションおよび実証が必要とされる。
【0166】
議論された用途の他、フレキシブルエレクトロニクスは、印刷されたマイクロバッテリに無比の機会を提供する。関連市場は、資産管理のための低コスト活性RFIDタグおよび印刷されたメディアを含む。ポリマー系材料を利用することによって、本発明のマイクロバッテリ10は、妥当に曲げられ、損傷なく非平面基板に変形できる。さらに、最も可撓性の基板は、150〜200℃を超えて処理されることができないポリマー材料である。本発明の印刷方法は、室温付近の堆積およびポスト処理を可能にし、これらの基板と適合性である。
【0167】
上記の議論から、本発明は、以下を含む種々の方法にて具現化され得ることが理解される。
【0168】
1.アノード層;カソード層;およびこのアノード層およびカソード層に連結された非水性ゲル電解質層を含む電気化学セルであって;この電解質層は、このアノード層とこのカソード層との間を物理的に分離し;このゲル電解質層は、少なくとも1つのイオン液体および電解質塩が吸収されているポリマーを含み;この電解質層は、このアノード層とカソード層との間に多価イオンの伝送を促進することによって、このアノード層とカソード層との間のイオン性連通を提供するように構成される組成物を含む、電気化学セル。
【0169】
2.このアノード層、カソード層、および電解質層が、顕著な性能損失なく、変形できる可撓性の圧縮可能な層を含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0170】
3.このセルは、バッテリセルを含む、実施形態2に記載の電気化学セル。
【0171】
4.このバッテリセルが再充電可能なバッテリセルである、実施形態3に記載の電気化学セル。
【0172】
5.このカソードと電子連通した第1の集電体;およびこのアノードと電子連通した第2の集電体をさらに含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0173】
6.1つ以上のアノード層、カソード層、電解質層および集電体が、液体形態で基板に堆積されるように構成され、しばらくした後に少なくとも半固体状態に固化する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0174】
7.このセルが、追加のパッケージングを必要とせずに、4カ月間にわたって周囲環境で作動するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0175】
8.前記ポリマーネットワークが、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)、およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシ誘導体、
およびシリコーン誘導体からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0176】
9.このイオン液体に溶解したこの電解質塩が、亜鉛イオン(Zn
2+)、アルミニウム(Al
3+)、マグネシウム(Mg
2+)、およびイットリウム(Y
2+)からなる群から選択されるカチオンを放出する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0177】
10.このイオン液体に溶解したこの塩が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、
およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択されるアニオンを放出する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0178】
11.このイオン液体が、イミダゾリウム異型、ピロリジニウム異型、アンモニウム異型、ピリジニウム異型、ピペリジニウム異型、ホスホニウム異型、およびスルホニウム異型からなる群から選択される、室温でカチオンを有する塩である、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0179】
12.このイオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、
およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、実施形態11に記載の電気化学セル。
【0180】
13.このアノードが、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、およびイットリウムからなる群から選択される構成成分を含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0181】
14.このカソードが金属酸化物を含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0182】
15.金属酸化物が、五酸化バナジウム(V
2O
5)、二酸化マンガン(MnO
2)、酸化コバルト(Co
xO
y)、酸化チタン(Ti
xO
y)、酸化鉛(Pb
xO
y)からなる群の1つ以上から選択される構成成分を含む、実施形態14に記載の電気化学セル。
【0183】
16.この集電体が、ニッケル、ステンレススチール、金、およびアルミニウムからなる群から選択される金属を含む金属箔を含む、実施形態5に記載の電気化学セル。
【0184】
17.このアノード層およびこのカソード層のそれぞれが、8μm〜60μmの厚さを有する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0185】
18.この電解質がおおよそ1μm〜15μmの厚さを有する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0186】
19.この集電体が、それぞれ8μm〜60μmの厚さを有する印刷された層を含む、実施形態5に記載の電気化学セル。
【0187】
20.この集電体が、それぞれ1μm〜80μmの厚さを有する金属箔を含む、実施形態5に記載の電気化学セル。
【0188】
21.この液体電解質が、イオン液体中、0.2〜0.75Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0189】
22.この液体電解質が、0.4〜0.75Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態21に記載の電気化学セル。
【0190】
23.この液体電解質が、0.45〜0.65Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態21に記載の電気化学セル。
【0191】
24.この液体電解質が2.3mS/cmを超えるイオン伝導度を有する、実施形態22に記載の電気化学セル。
【0192】
25.0.001mA/cm
2〜100mA/cm
2の範囲の電流密度出力を有する、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0193】
26.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0194】
27.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、25μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態26に記載の電気化学セル。
【0195】
28.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態27に記載の電気化学セル。
【0196】
29.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、75μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0197】
30.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態29に記載の電気化学セル。
【0198】
31.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、40μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態30に記載の電気化学セル。
【0199】
32.6カ月を超える期間において周囲環境に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0200】
33.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0201】
34.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、25μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態33に記載の電気化学セル。
【0202】
35.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態34に記載の電気化学セル。
【0203】
36.1日を超える期間において−20℃未満の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、75μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態1に記載の電気化学セル。
【0204】
37.電気機械セルにおけるアノードとこのカソードとの間を物理的に分離するように構成される電解質であって、室温イオン液体電解質および非水性ゲルを形成するためにポリマー中に吸収された溶解塩を含み;この電解質が、電解質を横断する多価イオンの伝送を促進することによってこのアノードとカソードとの間にイオン性連通を提供するように構成される組成物を含む電解質。
【0205】
38.この電解質が、少なくとも1つのイオン液体および電解質塩が吸収されているポリマーを含む、実施形態37に記載の電解質。
【0206】
39.前記ポリマーが、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)、およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシ誘導体、
およびシリコーン誘導体からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、実施形態37に記載の電解質。
【0207】
40.このイオン液体が、イミダゾリウム異型、ピロリジニウム異型、アンモニウム異型、ピリジニウム異型、ピペリジニウム異型、ホスホニウム異型、およびスルホニウム異型からなる群から選択される、室温でカチオンを有する塩である、実施形態38に記載の電解質。
【0208】
41.このイオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、
およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、実施形態40に記載の電解質。
【0209】
42.おおよそ1μm未満の厚さを有するゲル層に配置されるように構成される、実施形態
41に記載の電解質。
【0210】
43.この液体電解質が、イオン液体中、0.2〜0.75Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態42に記載の電解質。
【0211】
44.この液体電解質が、0.4〜0.75Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態43に記載の電解質。
【0212】
45.この液体電解質が、0.45〜0.65Mの亜鉛塩濃度を含む、実施形態44に記載の電解質。
【0213】
46.この液体電解質が2.3mS/cmを超えるイオン伝導度を有する、実施形態44に記載の電解質。
【0214】
47.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態42に記載の電解質。
【0215】
48.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、25μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態47に記載の電解質。
【0216】
49.3カ月を超える期間において20℃〜45℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態48に記載の電解質。
【0217】
50.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、75μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態42に記載の電解質。
【0218】
51.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態50に記載の電解質。
【0219】
52.1カ月を超える期間において45℃〜90℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、40μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態51に記載の電解質。
【0220】
53.6カ月を超える期間において周囲環境に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態42に記載の電解質。
【0221】
54.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、50μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態42に記載の電解質。
【0222】
55.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、25μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態54に記載の電解質。
【0223】
56.3カ月を超える期間において−20℃〜20℃の範囲の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、15μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態55に記載の電解質。
【0224】
57.1日を超える期間において−20℃未満の温度に曝される間に、このゲル電解質層が、75μA/cm
2未満の出力リーク電流密度を維持するように構成される、実施形態42に記載の電解質。
【0225】
58.第1の電極インクおよび第2の電極インクを提供する工程;液体電解質インクを提供する工程;第1の電極インクの第1の電極層を印刷する工程;電解質インクの層を印刷する工程;および第2の電極インクの第2の電極層を印刷する工程を含む、電気化学セルを製作する方法であって、この電解質インクの層は、第1の電極層と第2の電極層との間を物理的に分離して、電気化学セルを形成し;この電解質層は、第1の電極層と第2の電極層との間で多価イオンの伝送を促進することにより、第1の電極層と第2の層との間にイオン性連通を提供するように構成される、方法。
【0226】
59.集電体インクを提供する工程;およびこの第1の電極層および第2の電極層の1つ以上に隣接する集電体インクの層を印刷する工程をさらに含む、実施形態58に記載の方法。
【0227】
60.電気化学セルが周囲温度で製作される、実施形態58に記載の方法。
【0228】
61.この電気化学セルが周囲圧力で製作される、実施形態60に記載の方法。
【0229】
62.このインクが、溶液、懸濁液およびスラリーからなる群から選択される液体である、実施形態58に記載の方法。
【0230】
63.この第1の電極インクおよび第2の電極インクが、活性電極粒子、ポリマー結合剤、任意の添加剤、および溶媒のスラリーを含む、実施形態58に記載の方法。
【0231】
64.この電解質が、少なくとも1つのイオン液体および少なくとも1つの電解質塩が吸収されているポリマーを含む、実施形態58に記載の方法。
【0232】
65.前記ポリマーが、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、
ポリ(ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)、およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシ誘導体、
およびシリコーン誘導体からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、実施形態64に記載の方法。
【0233】
66.このイオン液体が、イミダゾリウム異型、ピロリジニウム異型、アンモニウム異型、ピリジニウム異型、ピペリジニウム異型、ホスホニウム異型、およびスルホニウム異型からなる群から選択される、室温でカチオンを有する塩である、実施形態64に記載の方法。
【0234】
67.このイオン液体が、クロリド、テトラフルオロボレート(BF4−)、トリフルオロアセテート(CF3CO2−)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(NTf2−)、
およびビス(フルオロスルホニル)イミド(N(SO2F)2−)からなる群から選択される、室温でアニオンを有する塩である、実施形態66に記載の方法。
【0235】
68.この第1の電極層が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、およびイットリウムからなる群から選択される構成成分を含む、実施形態64に記載の方法。
【0236】
69.この第2の電極層が、金属酸化物からなる群から選択される粒子を含む、実施形態64に記載の方法。
【0237】
70.この印刷工程の少なくとも1つが、直接描画ディスペンサ方法を用いて行われる、実施形態58に記載の方法。
【0238】
71.この印刷工程の少なくとも1つが、以下の方法から選択される方法を用いて行われる、実施形態58に記載の方法:スクリーン印刷、グラビア印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、フレキソコーティング、スプレーコーティング、超音波スプレーコーティングまたはスロットダイコーティング。
【0239】
上記の記載は多くの詳細を含んでいるが、これらは、本発明の範囲を限定するものとして構成されるべきではなく、本発明の現在好ましい実施形態の一部を例示するだけのものとして構成される。そのため、本発明の範囲は、当業者に自明となり得る他の実施形態を完全に包含し、従って本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、ここで単数形の要素に関して、明確に記述されない限り「1つおよびただ1つ」を意味するのではなく、むしろ「1つ以上」を意味することを意図することが理解される。当業者に既知である上述の好ましい実施形態の要素に対して、構造的、化学的および機能的に等価なものはすべて、本明細書に参考として明確に組み込まれ、これは現在の特許請求の範囲によって包含されることを意図する。さらに、デバイスまたは方法は、本発明が解決しようとするありとあらゆる問題に対処する必要はなく、現在の特許請求の範囲によって包含されることが必要である。さらに、本開示における要素、構成成分、または方法工程はいずれも、これら要素、構成成分または方法工程が明確に特許請求の範囲に記載されているかどうかにかかわらず、公に開放されることを意図しない。本明細書の特許請求の範囲の要素は、この要素が「〜ための手段」という語句を用いて明確に記載されない限り、35U.S.C.112の第6パラグラフの規定に基づいて解釈されるべきではない。