(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228020
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】搬送台車およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20171030BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20171030BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B62B5/00 F
B62B5/00 J
B62B3/00 D
B62B3/02 F
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-4759(P2014-4759)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-131594(P2015-131594A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】592236670
【氏名又は名称】株式会社吉野工作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】吉野 泰広
【審査官】
梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−118404(JP,A)
【文献】
特開2004−300471(JP,A)
【文献】
特開2015−036425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 3/00
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインベース部と、前記メインベース部の下側に配され、キャスター部の取付け部位となるサイドベース部材とを備えた搬送台車において、
前記メインベース部の一部を成す、断面がチャンネル状で前記キャスター部の取付け側となる下側で両側のリップ部が対向するチャンネル状メインベース部材と、
前記チャンネル状メインベース部材を下側から閉塞し、前記両側のリップ部にその対向する両縁部が重ね合わされたサイドベース部材と、
前記チャンネル状メインベース部材に差し込まれて、その対向する両縁部が前記両側のリップ部に重ね合わされた渡し板部材とを備え、
前記サイドベース部材を前記渡し板部材に対して締付け固定することで、前記リップ部を介して前記メインベース部に取付けており、
前記メインベース部、前記サイドベース部材及び前記渡し板部材は、マルテンサイト系ステンレス鋼で薄肉に形成し焼入れされていることを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
請求項1に記載した搬送台車において、
渡し板部材は、両側のリップ部に重ね合わされる両縁部が屈曲してバネ性が付与されていることを特徴とする搬送台車。
【請求項3】
請求項1または2に記載した搬送台車において、
渡し板部材は、ナット付きになっており、ボルトナットによる締付けによりサイドベース部材がメインベース部に取り付けていることを特徴とする搬送台車。
【請求項4】
請求項3に記載した搬送台車において、
キャスター部にはボルト挿通穴が形成されており、前記ボルト挿通穴を利用して前記キャスター部もボルトナットによる締付けによりサイドベース部材に取付けられていることを特徴とする搬送台車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載した搬送台車において、
メインベース部材とサイドベース部材は、載置面を構成する平面部を有しており、前記平面部には多数の孔が開けられていることを特徴とする搬送台車。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載した搬送台車の製造方法において、
メインベース部材、サイドベース部材及び渡し板部材を、ニオブ含有マルテンサイト系ステンレス鋼で薄肉状に成形し、水素ガスまたは水素系混合ガスを冷却ガスとして焼入れしたもので形成することを特徴とする搬送台車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車に係り、特に作業者の手押し操作により走行面上を任意方向に走行可能な搬送台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流に使用している台車類については、使い勝手の点から、軽量化の要求は従来から強くあり、特許文献1に記載のように、一般台車類は安価なものが既に主流となっているが、食糧台車や薬用台車と言った特殊な搬送台車用には、防錆性も要求されており、これらの現行品は防錆性を考慮してSUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)が素材として主に利用されている。而して、SUS304は軟らかく、強度面を考慮してある程度の肉厚に部材を設計する必要があるので、薄肉軽量化は難しく、元々材料単価も高いこともあって、台車コストは高くついている。
同じステンレス系では、SUS420J2(マルテンサイト系ステンレス鋼)もあり、この材料は、熱処理(焼入れ・焼戻し)をすることで強度を上げることができるので薄肉軽量化は図れるが、ニッケル(Ni)が含まれておらず防錆性に欠けるので、熱処理後にニッケルめっきを施す必要があり、めっき工程が付加されることで結果的にこの材料の利用はコスト減には結びつかない。
【0003】
また、薄肉部材を利用することで軽量化する場合には、載置部側のメインベース部と、キャスター部の固定側のサイドベース部材とを別体で製造し、それらを組み合わせて一体化することになるが、ボルトやナットが突出していると、周囲を傷付ける恐れがあるので、特殊な搬送台車用には、取付け方にも工夫が要る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−049801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、強度と防錆性に優れた薄肉部材の採用と、構造的工夫により、コスト的に見合う形で軽量化された、特殊用を含む各種搬送台車を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、メインベース部と、前記メインベース部の下側に配され、キャスター部の取付け部位となるサイドベース部材とを備えた搬送台車において、前記メインベース部の一部を成す、断面がチャンネル状で前記キャスター部の取付け側となる下側で両側のリップ部が対向するチャンネル状メインベース部材と、前記チャンネル状メインベース部材を下側から閉塞し、前記両側のリップ部にその対向する両縁部が重ね合わされたサイドベース部材と、前記チャンネル状メインベース部材に差し込まれて、その対向する両縁部が前記両側のリップ部に重ね合わされた渡し板部材とを備え、前記サイドベース部材を前記渡し板部材に対して締付け固定することで、前記リップ部を介して前記メインベース部に取付けており、前記メインベース部、前記サイドベース部材及び前記渡し板部材はマルテンサイト系ステンレス鋼で薄肉に形成し焼入れされていることを特徴とする搬送台車である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した搬送台車において、渡し板部材は、両側のリップ部に重ね合わされる両縁部が屈曲してバネ性が付与されていることを特徴とする搬送台車である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した搬送台車において、渡し板部材は、ナット付きになっており、ボルトナットによる締付けにより取り付けていることを特徴とする搬送台車である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した搬送台車において、キャスター部にはボルト挿通穴が形成されており、前記ボルト挿通穴を利用して前記キャスター部もボルトナットによる締付けによりサイドベース部材に取付けられていることを特徴とする搬送台車である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載した搬送台車において、
メインベース部材とサイドベース部材は、載置面を構成する平面部を有しており、前記平面部には多数の孔が開けられていることを特徴とする搬送台車である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載した搬送台車
の製造方法において、
メインベース部材、サイドベース部材及び渡し板部材を、ニオブ含有マルテンサイト系ステンレス鋼で薄肉状に成形し、水素ガスまたは水素系混合ガスを冷却ガスとして焼入れしたもので形成することを特徴とする搬送台車
の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送台車は、強度と防錆性に優れた薄肉部材の採用と、構造的工夫により、コスト的に見合う形で軽量化に成功している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る搬送台車の載置側から見た斜視図である。
【
図2】
図1の搬送台車の車輪側から見た斜視図である。
【
図6】別例のチャンネル状メインベース部材とサイドベース部材の上面図である。
【
図7】長円状のパンチ孔が開けられた板を使用して製造した搬送台車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る搬送台車1について、図面にしたがって説明する。
図1に示すように、メインベース部3は2種類のチャンネル状メインベース部材5、19で構成されており、一対のチャンネル状メインベース部材5、5の間に、別のチャンネル状メインベース部材19が配されている。3枚のチャンネル状メインベース部材5、19、5がそれぞれの長手方向側を平行に並べて配されており、上方から見ると、矩形状で上面が面一となった載置面21ができている。
【0015】
図2、
図3に示すように、チャンネル状メインベース部材5は、帯状薄板の幅方向両端側が同じ板面側に折り曲げられて断面がチャンネル状に成形されている。中間の平面部7は平らになっており、上記した載置面21の一部を構成している。折り曲げ部は、平面部7に対して垂直に屈曲した側面部9、9と、側面部9、9に対して垂直に屈曲したリップ部11、11とで構成されている。リップ部11、11の板面は、平面部7の板面と平行になっており、それぞれのエッジ13、13が間隔をあけて対向している。
符号15は車輪受け用の矩形穴(
図1)を示し、この矩形穴15は平面部7の長手方向両端側の二カ所が貫通されて形成されている。この矩形穴15に対応して車輪受け金具17が設けられている。
【0016】
チャンネル状メインベース部材19は、幅方向の寸法が若干小さいことと、車輪受け用の穴及び金具が設けられていないことを除いては、チャンネル状メインベース部材5と同様に構成されている。
【0017】
符号23は渡し板部材を示し、
図3に拡大して示すように、この渡し板部材23は薄板で形成され、正方形に近い矩形を為している。渡し板部材23の対向する一対の縁部25、25は折り曲げられて傾斜しており、素材の弾性力が利用されて板バネになっている。なお、両側の縁部25、25は同じ側に折り曲げられている。
渡し板部材23の平面部27の四隅寄りにはそれぞれボルト挿通穴29が形成されており、各ボルト挿通穴29にはナット31(
図4)が溶接により取り付けられている。ナット31はいずれも同じ板面側に配されている。
【0018】
渡し板部材23はチャンネル状メインベース部材5に対応しており、別の渡し板部材33がチャンネル状メインベース部材19に対応している。
この渡し板部材33は、渡し板部材23より小さくなって長方形になっており、縁部25の長さ寸法が約半分になっている。
【0019】
符号35はサイドベース部材を示し、このサイドベース部材35は薄板で形成されている。長方形の平面部37の3つの辺に連設する部位が垂直に折り曲げられて側面部39、41、39が形成されており、側面部41が長辺に連設されたものとなっている。
側面部41には、側面部41、39が隣り合う両側の角部寄りに、抱持部43、43が取り付けられており、嵌合パイプ45がこの抱持部43と側面部41とで抱持されている。抱持部43と嵌合パイプ45はそれぞれ溶接により固定されている。
平面部37には、10カ所にボルト挿通穴47が形成されている。
【0020】
符号49はキャスター部を示し、このキャスター部49の取付け板51に車輪53が回転可能に取り付けられている。この取付け板51の四隅にはボルト挿通穴55が形成されている。
【0021】
以上は、搬送台車1のベース部側の構成部材であり、以下で組み立て方法を説明する。
先ず、チャンネル状メインベース部材5、19、5を平行に所定の間隔をあけて並べる。
次に、渡し板部材23をチャンネル状メインベース部材5に差し込んで、リップ部11、11の間に架け渡した状態で、両側の縁部25、25をリップ部11、11に載せて重ね合わせる。このとき、縁部25は傾斜しているので、中間の平面部27が持ち上げられた状態になる。渡し板部材23は、車輪受け金具17に対向する位置に設けており、一つのチャンネル状メインベース部材5に対して二つ配することになる。
渡し板部材33も同様にして、チャンネル状メインベース部材19に差し込む。
【0022】
この状態で、チャンネル状メインベース部材5、19、5に、下側からサイドベース部材35を嵌め込んで、その一対の側面部39、39を、一方のチャンネル状メインベース部材5の側面部9と他方のチャンネル状メインベース部材5の側面部9に被せて重ね合わせると共に、残りの側面部41を、チャンネル状メインベース部材5、19、5の長手方向一端部に被せて重ね合わせる。サイドベース部材35は、一対準備し、チャンネル状メインベース部材5、19、5の長手方向他端部でも、同様に被せる。
【0023】
さらに、キャスター部49の取付け板51をサイドベース部材35に下側から重ね合わせると、各構成部材が組み合わされた状態となる。
図3に示すように、位置合わせして、キャスター部49の4つのボルト挿通穴55、サイドベース部材35の4つのボルト挿通穴47、渡し板部材23の4つのボルト挿通穴29及びナット31を連通させた上で、ボルト57を通して締め付ける。
これにより、チャンネル状メインベース部材5にサイドベース部材35が取り付けられると同時にサイドベース部材35にキャスター部49が取り付けられる。
締付けにより、渡し板部材23の平面部27がチャンネル状メインベース部材5の平面部7側に押され付けられて弾性変形し、スプリングワッシャの役目を果たすので、ボルト57の緩みが阻止される。
【0024】
チャンネル状メインベース部材19には、キャスター部49が取り付けられないので、サイドベース部材35の2つのボルト挿通穴47、渡し板部材33の2つのボルト挿通穴29及びナット31を連通させた上で、ボルト57を通して締め付けることで、チャンネル状メインベース部材5にサイドベース部材35を取り付ける。この場合にも、渡し板部材33が渡し板部材23と同様の作用をする。
なお、図面では、常にチャンネル状メインベース部材5、19側が上に来るように、上記した組立て及び締付け作業は、通常は、作業上の便宜を考慮して上下反転させて行うことが想定されている。
【0025】
以上のように、搬送台車1のベース部側が構成されており、薄肉で強度を有するようチャンネル状に構成されたチャンネル状メインベース部材5、19に、薄肉のサイドベース部材35が取り付けられており、全体に軽量化が達成できている。しかも、締付け用のボルト57とナット31が台車の底面側に配されており、いずれも、チャンネル状メインベース部材5、19やサイドベース部材35の上面や側面側には出ていない。従って、これらが周囲を傷付ける恐れはない。また、渡し板部材23、33にナット31を予め取り付けているので、現場での作業も楽になっている。
【0026】
搬送台車1は、サイドベース部材35の嵌合パイプ45には、支柱パイプ(図示省略)が嵌め込まれて溶接により固定され、その支柱パイプに別の載置台が設けられたり、手押し用のハンドル(図示省略)が設けられたりして、完成品となるが、本発明の特徴をなすのは、上記したベース部であり、その他の部分は記載を省略する。
【0027】
チャンネル状メインベース部材5、19、サイドベース部材35の素材は、共に、「SUS410 13Cr系」をベースにC(炭素)を増加すると共にNb(ニオブ)を添加したものである。C(炭素)を増加したものとして、「SUS420J2」があり、本発明は、これにNb(ニオブ)を添加した、13Cr−Nb−0.25Cに分類されるものである。これに対応する材料として、日新製鋼株式会社から、「NSS WR−1」(高強度マルテンサイト系ステンレス鋼)として市販されている。
「NSS WR−1」と、「SUS420J2」と、SUS304 18Cr−Ni系の「SUS301H」とを化学成分で比較したデータは、以下の通りであり、ニオブの含有量に有意的な差がある。
【0029】
素材の段階では、冷間圧延された板状態になっている。
この素材から、上記したように、各部材に造形して熱処理を施す。
熱処理は、焼入れ・焼戻しであり、焼入れの際には、焼入れ温度まで昇温させた後に、水素ガスまたは水素系混合ガスを冷却ガスとして使用することが特徴となっている。ここで、水素系混合ガスとは、水素ガスと不活性ガス、例えば、アルゴンガスとの混合ガスであり、水素ガスが80%以上、例えば85%を含むものが想定されている。冷却ガスを使用して冷却速度を早くする事で割れの原因である、クロム炭化物の析出を無くし、二オブが添加されているので防錆性は十分に確保される。しかも、ガス冷却効果により、表面に処理ムラが出難く、さらに、水素効果により表面の酸化物が還元されるので、ショットブラスト等の最終仕上げ処理を不要とし、薄肉部材用の処理に適している。
上記した焼入れは、作業環境の点からSUS製ベルトを用いたベルトコンベア方式の無酸素ガス炉を用いて所定のガス雰囲気中に被処理物をもってくるのが好ましい。焼入れ温度は、1050℃前後で、加熱保持時間は15分程度が好ましい。
焼戻しは恒温炉を用いて加熱し、自然冷却するのが好ましい。焼戻し温度は、200℃前後で、加熱保持時間は30分程度が好ましい。
【0030】
この素材は、未処理の段階では、十分な曲げ加工性を有し、焼入れ・焼戻し後には、十分な強度を有し、且つ、防錆性を備えている。そのため、1.6mm以下の薄肉にしたものを、搬送台車のベース部材の材料として利用でき、サイドベース部材35では嵌合パイプ45をSUS304製のものとしたり、渡し板部材23、33では、SUS304製のナット31をスポット溶接により付けたりする等、部位に応じてSUS304も併用することで、大幅に軽量化されたベース部を上手く作り上げることができる。
【0031】
チャンネル状メインベース部材5、19やサイドベース部材35には、
図6に示すように、平面部7、37に長円形孔59を多数開けてさらに軽量化を図ることも可能である。板状素材でパンチ穴加工して、曲げ加工すれば、容易に孔開けのベース部材を製作することができる。
なお、平面部を孔開け構造とした台車は今までなく、多段台車で中間の上段、中段の板部も穴開け構造にすれば、台車全体の更なる軽量化が図れる。また、冷凍庫用台車に適用すれば、上下方向での冷気の通過も確保できる利点がある。
【実施例】
【0032】
〈機械的性質の確認〉
素材として、表1の鋼種の板材(板厚0.4mm)を選択し、それらの機械的性質を確認した。
「NSS WR−1」と「SUS420J2」は、素材の焼鈍材と、熱処理した後の処理材をそれぞれ確認した。なお、焼入れは、SUS製ベルト式の無酸素ガス炉を用いて100%水素ガスを冷却ガスとし、焼入れ温度を1050℃、加熱保持時間を15分とした。また、焼戻しは、恒温炉を用いて、焼戻し温度を200℃、加熱保持時間を30分とし、外部自然冷却を利用した。
「SUS301H」は、熱処理はせず、素材の圧延材だけ確認した。
【0033】
【表2】
引張強さは、圧延に平行な方向とした。
「NSS WR−1」は、素材(焼鈍材)段階では、十分な加工性を備え、台車のベース部材として有用なことが確認された。
【0034】
〈サイドベース部材の製造〉
次に、板厚を、「SUS304」は現行品の3.0mm、「NSS WR−1」は1.6mmとして、上記形状のサイドベース部材35を製造した。このサイドベース部材35は、焼入れしたことで強度等の面から十分に「SUS304」の代替物に成り得ることが確認された。しかも、表面も綺麗であり、現行品より、重量は半減していた。
〈チャンネル状メインベース部材の製造〉
上記と同様にして、現行品と本発明品のチャンネル状メインベース部材を製造した。但し、本発明品の素材の厚さは極限の1.3mmとし、
図6に示すように長円状のパンチ孔が開けられた板を使用した。
本発明品も表面が綺麗で、しかも、現行品より、重量は半減を超えて65%も軽量化されていた。
図7に示すのは、長円状のパンチ孔が開けられた板をベース部材として使用して形成された搬送台車(現物)61であり、チャンネル状メインベース部材63の平面部にパンチ孔65が整列した状態となっている。なお、サイドベース部材67も長円状のパンチ孔が開けられた板で形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0035】
資源高の時代、資源の少ない日本にとっても省資源化は非常に大切であり、特に、部材の軽量化ができれば、完成品が取扱い易くなるだけでなく、部材の製造工程や組立工程、さらには部材の輸送にもその効果が波及し、燃費の向上も図れる。近年、環境問題でCO
2削減が求められているが、燃費の向上により、このCO
2削減要求にも答えられる。
また、ステンレスの特殊鋼でありながら、現在使用しているステンレス鋼よりも材料コストが安く、焼入れ・焼戻しと言った熱処理が加わっても、販売価格は現行品よりも抑えられる。
【符号の説明】
【0036】
1……搬送台車 3……メインベース部
5、19……チャンネル状メインベース部材
7……平面部 9……側面部
11……リップ部 13……エッジ
15……車輪受け用の矩形穴 17……車輪受け金具
21……載置面
23……渡し板部材 25……傾斜縁部
27……平面部 29……ボルト挿通穴
31……ナット 33……渡し板部材
35……サイドベース部材 37……平面部
39……側面部(短辺側) 41……側面部(長辺側)
43……抱持部 45……嵌合パイプ
47……ボルト挿通穴 49……キャスター部
51……取付け板 53……車輪
55……ボルト挿通穴 57……ボルト
59……孔
61……搬送台車(実物) 63……チャンネル状メインベース部材65……パンチ孔 67……サイドベース部材