(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走査部は、前記上側規制部とは前記信号ケーブルの長手方向において異なる位置で、前記信号ケーブルの下方への移動を規制する下側規制部を具備する、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像読取装置。
前記形状保持部は、少なくとも一部において前記接続部に対向する壁部を有し、前記接続部から延設された前記信号ケーブルは当該壁部に当接する、請求項5ないし7のいずれかに記載の画像読取装置。
前記壁部は、前記接続部の一部と対向する第1の部分が前記接続部よりも下方に設けられ、前記接続部の他の一部と対向する第2の部分が前記第1の部分よりも上方へと延びるように設けられている、請求項8に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す部分断面図である。
【0021】
第1の実施の形態に係る画像形成装置1は、原稿から画像を読み取る画像読取装置10と、当該画像読取装置10によって読み取られた画像を記録媒体である記録用紙に形成する装置本体(画像形成部)20とを備えている。
図1において、Z方向は鉛直方向であり、Z1方向が上方を、Z2方向が下方を示している。画像形成装置1は、使用状態において、画像読取装置10が装置本体20の上方に位置するように、床面に設置される。また、
図1において、上下方向に直交するY方向(水平方向の一方向)を副走査方向といい、Y1方向を副走査方向下流側、Y2方向を副走査方向上流側という。さらに、Z方向及びY方向の両方に直交する方向(Y方向と直交する水平方向の一方向。
図2におけるX方向。)を主走査方向といい、主走査方向の一方を前方(
図2等におけるX1方向。正面側。)とし、主走査方向の他方を後方(
図2等におけるX2方向)とする。
図1では、前方から見たときの画像形成装置1の構成を示している。
【0022】
装置本体20は、感光体ドラム21、帯電器22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、定着装置26、給紙トレイ27等を具備している。かかる装置本体20においては次のようにして画像が記録用紙に形成される。
【0023】
まず、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21の表面を、画像読取装置10によって読み取られた画像に応じて露光装置23が露光することで、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。次に、現像装置24が、感光体ドラム21に形成された静電潜像をトナーにより現像する。このようにして感光体ドラム21に形成されたトナー像が転写装置25に設けられた転写ベルト上に転写され、さらに転写ベルト上のトナー像が給紙トレイ27から供給された記録用紙上に転写される。記録用紙が定着装置26によって加熱されることにより、記録用紙に形成されたトナー像が溶融及び混合され、同時に記録用紙に対してトナー像が圧接される。トナー像が定着された後の記録用紙は、装置本体20に設けられた排紙トレイ28上に排出される。
【0024】
装置本体20の上方に、画像読取装置10が配置されている。また、画像読取装置10の上方には、原稿台のカバーとして機能する自動原稿送り装置30が配置されている。
【0025】
図2及び
図3を用いて、画像読取装置10の構成について説明する。画像読取装置10は、原稿台ガラス(透明板)2と、画像読取ユニット(画像読取部)3と、画像読取ユニット3を駆動する駆動機構(駆動部)4と、画像読取ユニット3から出力された信号を処理する制御回路(回路部)5とを備えている。画像読取ユニット3、駆動回路4、及び制御回路5のそれぞれは、直方体箱状をなすハウジング6に収容されている。当該ハウジング6は、上側ハウジング6aと、下側ハウジング6bとから構成されている。
図2は、上側ハウジング6aを取り外した状態における画像読取装置の平面図であり、
図3は、上側ハウジング6aを取り付けた状態における画像読取装置のA−A’線による断面図である。
【0026】
原稿台ガラス2は、透光性を有するガラスによって構成されており、原稿を載置するための原稿台として使用される。かかる原稿台ガラス2は、原稿の最大サイズよりも大きい矩形板状をなしており、その主面が水平方向に延びるように、上側ハウジング6aの四角形の枠に嵌め込まれている(
図3参照)。
【0027】
図4は、画像読取ユニット3の構成を示す正面断面図である。画像読取ユニット3は、原稿台ガラス2上に載置された原稿に対して光を照射するための一対の光源部31と、2つの光源部31の間に配置されたレンズアレイ32と、原稿によって反射され、レンズアレイ32を通過した光を受け、受光量に応じて電気信号(以下、「画像信号」という。)を出力するラインセンサ33とを有している。
【0028】
光源部31、レンズアレイ32、及びラインセンサ33のそれぞれは、主走査方向(
図2及び3においてX方向)に長く延びており、同じく主走査方向に長く延び、上部にスリットを有する箱状のハウジング34に収容されている。かかる画像読取ユニット3は、主走査方向に長く延びた基台35に取り付けられている。レンズアレイ32は、主走査方向に一列に並べられた複数のレンズから構成されている。また、ラインセンサ33は、主走査方向に一列に並べられた複数の受光素子によって構成されている。レンズアレイ32のレンズと、ラインセンサ33の受光素子とは一対一に対応しており、レンズを通過した光が受光素子によって受けられるようになっている。かかる構成の画像読取ユニット3により、原稿が主走査方向に走査される。
【0029】
図2及び
図3に示すように、下側ハウジング6bの内底面の主走査方向中央近傍には、副走査方向(Y方向)に延びたガイドレール61が設けられている。このガイドレール61には、画像読取ユニット3の基台35の底部に設けられた凹部が係合する。画像読取ユニット3は、ガイドレール61に沿って摺動可能である。つまり、画像読取ユニット3の移動方向がガイドレール61によって副走査方向に規制されるようになっている。
【0030】
また、ハウジング6の内部には、副走査方向に延びた壁部62が設けられている。この壁部62によって、画像読取ユニット3の移動領域7aと、制御回路5を配置するための領域7bとが区分けされている。
【0031】
駆動機構4は、ステッピングモータ41と、ステッピングモータ41が出力する回転力を伝達する複数の歯車42と、歯車42を介してステッピングモータ41により駆動される駆動プーリ43と、従動プーリ44と、駆動プーリ43及び従動プーリ44の間を懸架される無端状のベルト45とを有している(
図2)。
【0032】
ステッピングモータ41は、ハウジング6の内部の副走査方向上流側において、主走査方向中央近傍に配置されている。駆動プーリ43は、ステッピングモータ41より若干前方の位置に配置されている。従動プーリ44は、ハウジング6の内部の副走査方向下流側において、駆動プーリ43に対向する位置に配置されている。これにより、ベルト45は、副走査方向に延びて駆動プーリ43と従動プーリ44とに架設される。つまり、ベルト45とガイドレール61とは互いに平行に延設されている。かかるベルト45は、ガイドレール61より若干前方の位置に配置されている。
【0033】
画像読取ユニット3の基台35は、ベルト45の一部に接続されている。ステッピングモータ41が回転動作すると、ステッピングモータ41の回転力が歯車42を介して駆動プーリ43に伝達され、ベルト45が駆動プーリ43と従動プーリ44との間を周回移動する。このとき、画像読取ユニット3がベルト45と共に副走査方向へと移動する。
【0034】
原稿台ガラス2に原稿が載置され、ユーザから読み取り開始の指示が与えられると、ハウジング6の内部の副走査方向上流側の位置(以下、「初期位置」という。)に配置された画像読取ユニット3が、駆動機構4によって一定速度でハウジング6の内部の副走査方向下流側の位置(以下、「終期位置」という。)へと副走査方向に移動される。この移動時に、画像読取ユニット3のラインセンサが主走査方向に繰り返し原稿を走査することによって、原稿の原稿台ガラス2に対する接触面の全体が走査される。
【0035】
ハウジング6内部の壁部62によって規定された後側の領域7bには、制御回路5が配置されている。制御回路5は、ステッピングモータ41を駆動するための駆動回路と、画像読取ユニット3から出力された画像信号を処理する信号処理回路と、電源回路とを含んでいる。かかる制御回路5とステッピングモータ41とは、駆動信号伝送ケーブル51によって接続されている。また、制御回路5と画像読取ユニット3とは、画像信号伝送用の帯状のフレキシブルフラットケーブル(信号ケーブル)52によって接続されている。
【0036】
図5は、画像読取ユニット3の後端部分の構成を示す平面図であり、
図6は、その側面図である。また、
図7は、フレキシブルフラットケーブルが接続されていない状態における画像読取ユニット3の後端部分の構成を示す平面図であり、
図8は、その側面図であり、
図14は、その斜視図である。
【0037】
図5乃至
図8及び
図14を参照して分かるように、画像読取ユニット3の後端部近傍に、画像信号出力用のコネクタ(接続部)34aが設けられており、かかるコネクタ34aにフレキシブルフラットケーブル52の一端が接続されている。コネクタ34aは、主走査方向に、即ち原稿台ガラス2の主面に沿った方向に、長い形状を有しており、このコネクタ34aには、フレキシブルフラットケーブル52の一端が横長となるようにして接続される。
【0038】
画像読取ユニット3の基台35には、フレキシブルフラットケーブル52を保持する保持部(形状保持部)351が設けられている。保持部351は、コネクタ34aの下方から副走査方向上流側(
図5及び
図7中Y2方向)に突出して設けられている。かかる保持部351は、平面視において概略台形状をなしている。台形の長辺側が基台35に接続された基端側であり、同短辺側が基台35から突出した先端側である。
【0039】
保持部351は、底板部353と、壁部352とを備えている(
図5、
図7、
図8及び
図14参照)。底板部353は、上述したような概略台形状をなしている。壁部352は、底板部353の外縁に沿って上方に立ち上がるように設けられている。かかる壁部352は、第1壁部(第1の部分)352a、第2壁部(第2の部分)352b、及び第3壁部352cの連続する3つの部分から構成されている。
【0040】
第1壁部352aは、前述した台形の後側の斜辺に設けられており、第2壁部352bは、短辺に設けられており、第3壁部352cは、前側(正面側)の斜辺に設けられている。後側の斜辺に設けられた第1壁部352aは、第2壁部352b及び第3壁部352cよりも低く、前側(正面側)の斜辺に設けられた第3壁部352cは、第1壁部352a及び第2壁部352bよりも高く構成されている。
【0041】
また、前側の斜辺に設けられた第3壁部352cは、前端(後述する欠落部36aに隣接する部分)から中間部分までにおいて高さが一定となっており、中間部分から後端(第2壁部352bとの接続部)までにおいて後方(
図5乃至
図8中X2方向)へ向かうにしたがって低くなるように直線的に傾斜している。短辺に設けられた第2壁部352bは、前端(第3壁部352cとの接続部)から後端(第1壁部352aとの接続部)までの全体にわたって、後方に向かうにしたがって低くなるように直線的に傾斜している。
【0042】
また、第2壁部352bの前端における高さは、第3壁部352cの後端における高さと同一である。後側の斜辺に設けられた第1壁部352aは、前端(第2壁部352bとの接続部)から後端までの全体にわたって、高さが一定とされており、その高さは第2壁部352bの後端における高さと同一である。つまり、第1壁部352a、第2壁部352b、及び第3壁部352cは、高さが連続的に変化するように連接されている。
【0043】
第1壁部352a及び第2壁部352bのそれぞれは、コネクタ34aと対向している。特に、第2壁部352bは、コネクタ34aと平行に設けられており、正対している。つまり、コネクタ34aの前側部分は、第2壁部352bに対向しており、コネクタ34aの後側部分は、第1壁部352aに対向している。また、第1壁部352aの上端の位置は、コネクタ34aが設けられている位置よりも低い。このように、高さの低い第1壁部352aの全体がコネクタ34aの後側部分と対向しており、また、コネクタ34aの前側部分に正対する第2壁部352bにおいても後方へ向かうにしたがって高さが低くなっているので、作業者がコネクタ34aにフレキシブルフラットケーブル52を接続するときに、壁部352が作業の邪魔になることが防止され、効率的に組立作業を行うことが可能となる。
【0044】
図5及び
図6に示すように、コネクタ34aに一端が接続されたフレキシブルフラットケーブル52は、副走査方向上流側へと延び、さらにその先において捻れつつ反対方向(副走査方向下流側。
図5中Y2方向)へと折り返される。この折り返し部は、フレキシブルフラットケーブル52が湾曲するように折り返されることで形成される。つまり、フレキシブルフラットケーブル52は、その一端から離反するにしたがって水平方向から鉛直(垂直)方向に、その横長の幅方向を変化される。このような折り返し部を形成することで、フレキシブルフラットケーブル52に屈曲されることによる折り目が付けられることがなく、断線の発生が防止される。かかるフレキシブルフラットケーブル52の折り返し部は、第2壁部352bに当接するように保持部351の内部に収められる(
図5)。
【0045】
保持部351におけるフレキシブルフラットケーブル52の保持構造についてさらに詳細に説明する。
図9は、保持部351におけるフレキシブルフラットケーブル52の保持構造を模式的に示す正面断面図である。
【0046】
図9に示すように、フレキシブルフラットケーブル52は、コネクタ34aから下方に傾斜しながら副走査方向上流側へ延び、保持部351の底板部353と第2壁部352bとが接続される隅部、即ち、第2壁部352bの下端の近傍において折り返され、第2壁部352bに当接する。
【0047】
第2壁部352bにおけるフレキシブルフラットケーブル52の当接位置P1は、コネクタ34aよりも低い位置であるため、コネクタ34aから前記当接位置P1までの距離D1は、コネクタ34aから第2壁部352bまでの最短距離、即ち、コネクタ34aから第2壁部352bまでの水平方向における距離D0よりも長い。つまり、フレキシブルフラットケーブル52のコネクタ34aに対する接続箇所から折り返し箇所までの部分52a(以下、「接続端部」という。)の長さD1は、コネクタ34aから第2壁部352bまでの最短距離D0より長い。
【0048】
このため、第2壁部352bにおけるコネクタ34aに最も近接した位置P0よりも低い位置に配置された接続端部52aが位置P0を越えて上方へと移動するためには、接続端部52aを変形させる必要があるが、フレキシブルフラットケーブル52は可撓性と共に弾性を有しており、接続端部52aが変形しようとしても、その弾性によって変形を復元する力が生じ、変形が阻害される。
【0049】
また、その復元する力によって、接続端部52aが第2壁部352bに付勢され、接続端部52aは、第2壁部352bからコネクタ34a側に抗力を受ける。したがって、接続端部52aと第2壁部352bとの間に静止摩擦力が生じる。
【0050】
よって、接続端部52aが第2壁部352bに係止され、したがって、接続端部52aの浮き上がりが防止され、保持部351によって接続端部52aが確実に保持される。
【0051】
上述したように、コネクタ34aの前側部分は、第2壁部352bに正対している。また、第2壁部352bは、前方へ向かうに従って高さが高くなるように構成されている(
図6、
図8及び
図14)。このため、コネクタ34aの前側部分は、高さが確保された第2壁部352bに面しており、このコネクタ34aから延びたフレキシブルフラットケーブル52の接続端部52aは、確実に第2壁部352bに当接することとなる。また、第2壁部352bの高さが確保されていることから、当該第2壁部352bに係止された接続端部52aが第2壁部352bから離脱することが防止される。さらに、上記のように、フレキシブルフラットケーブル52の折り返し部が第2壁部352bに当接するので、フレキシブルフラットケーブル52のコネクタ34aへの接続端がコネクタ34aから抜けることも防止される。
【0052】
なお、コネクタ34aと第2壁部352bとが正対する構成としたが、これに限定されるものではなく、コネクタ34aと第2壁部352bとが対向してさえいれば、コネクタ34aと第2壁部352bとが平行に設けられていなくてもよい。コネクタ34aと第2壁部352bとが対向していれば、上記と同様に、コネクタ34aから延設されたフレキシブルフラットケーブル52を第2壁部352bに係止させることが可能であるので、フレキシブルフラットケーブル52の接続端部52aを保持することができる。
【0053】
上記のようにして保持部351において折り返されたフレキシブルフラットケーブル52は、折り返し部において捻りが加えられることにより、第3壁部352cに沿って前方(
図5中X1方向)に傾斜しながら副走査方向下流側へ延びる(
図5参照)。第3壁部352cの前端からは、前方(主走査方向)へと延長された直線部354aが設けられており、この直線部354aのさらに前方に、上側から縦方向に長く切れ込んだ欠落部36aが設けられている(
図8参照)。直線部354aは、かかる欠落部36aを介して、主走査方向に延設された壁部37へと連なっている。また、直線部354aの副走査方向下流側には、フレキシブルフラットケーブル52を配置するための間隙が設けられており、当該間隙の下方には、保持部351の底板部353から続く底板部354bが設けられている(
図7参照)。
【0054】
フレキシブルフラットケーブル52の折り返し部の先は、捻られながら折り返されることによって、平面部が斜め上方を向くように傾斜する(
図5及び
図6参照)。そのさらに先の部分は、斜め上方を向いていた平面部が実質的に垂直に立つように逆方向に捻られ、欠落部36aに挿入されて支持される。欠落部36aは上部が開放された凹状をなしており、この欠落部36aを形成する直線部354a、底板部354b及び壁部37の後端部によって、フレキシブルフラットケーブル52を下方から保持する下側保持部36が構成される(
図6、
図7及び
図14参照)。つまり、底板部354bによって、フレキシブルフラットケーブル52は、下方への移動を規制されるのである。この点において、下側保持部36ないし底板部354bは、下側規制部ということができる。
【0055】
下側保持部36のさらに前方には、フレキシブルフラットケーブル52を上方から保持する上側保持部38が設けられている(
図5乃至
図7及び
図14参照)。上側保持部38は、壁部37の上端に設けられており、鈎状をなしている。かかる上側保持部38がフレキシブルフラットケーブル52の上端に係合し、フレキシブルフラットケーブル52が上側保持部38によって上方から保持される。つまり、上側保持部38によって、フレキシブルフラットケーブル52は上方への移動を規制されるのである。この点において、上側保持部36は、上側規制部ということができる。
【0056】
上記のようにして、フレキシブルフラットケーブル52は、保持部351、下側保持部36、及び上側保持部38によって3箇所で保持される。
【0057】
上記のような下側保持部36は、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約2倍の距離を隔てた位置に設けられている。また、上側保持部38は、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約2.5倍の距離を隔てた位置に設けられている(
図5参照)。
【0058】
上側保持部38がコネクタ34aから離れ過ぎていると、コネクタ34aから上側保持部38までの間において、フレキシブルフラットケーブル52に撓みが生じる等して浮き上がりが発生する虞がある。また、下側保持部36がコネクタ34aから離れ過ぎていても、同様にフレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりが発生する虞がある。
【0059】
他方、上側保持部38がコネクタ34aに近過ぎると、コネクタ34aと上側保持部38との間において上記のような捻り及び折り返しを設ける必要があることから、フレキシブルフラットケーブル52の配線作業が難しくなる虞がある。また、下側保持部36がコネクタ34aに近過ぎても、同様にフレキシブルフラットケーブル52の配線作業が難しくなる虞がある。このため、上記のような位置に下側保持部36及び上側保持部38を設けることにより、フレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりを防止しつつ、配線作業を容易にすることが可能となる。
【0060】
フレキシブルフラットケーブル52は、上側保持部38によって保持された箇所の先において、副走査方向上流側へと延び、さらにその先においてU字状に水平に折り返され、保持部351の外側を通って画像読取ユニット3の後方へと回り、壁部62に沿って副走査方向下流側へと延びる(
図2参照)。壁部62の中間部分には、縦方向の切れ込んだ欠落部が設けられており、フレキシブルフラットケーブル52は、この欠落部を通って壁部62の後側の制御回路5が配置されている領域7bへと入り込んでいる。この領域7bの内部で、フレキシブルフラットケーブル52は垂直に立てられた状態から水平に捻られ、その先において制御回路5に接続される。
【0061】
図2に示すように、ハウジング6の内部の副走査方向上流側端部には、ステッピングモータ41、歯車42及び駆動プーリ43が配置される配置領域7cが設けられている。かかる配置領域7cより副走査方向下流側の位置が、画像読取ユニット3の初期位置である。
【0062】
図10は、画像読取ユニット3が初期位置に配置されたときにおける画像読取装置10の構成を示す平面図である。配置領域7cには、フォトインタラプタからなる初期位置検出センサ46が設けられている。他方、画像読取ユニット3の壁部37には、上側保持部38よりも前方の位置に、検出片39が副走査方向上流側へと突設されている(
図5乃至
図8参照)。画像読取ユニット3が初期位置に位置づけられると、検出片39が初期位置検出センサ46によって検出される(
図10参照)。これにより、画像読取ユニット3が初期位置にあることが検出されるようになっている。
【0063】
図2には、画像読取ユニット3が初期位置から副走査方向下流側へ移動したときの状態が示されている。
図2に示すように、ステッピングモータ41等が配置される領域7cの後方において、画像読取ユニット3の移動領域7aが副走査方向上流側へと突出している。この部分は、画像読取ユニット3から副走査方向上流側に突出した保持部351を収容するための領域7dである。つまり、画像読取ユニット3が初期位置に位置づけられると、この領域7dに、保持部351が収容される(
図10参照)。このように、画像読取ユニット3が初期位置にあるときに、保持部351が他の部分に干渉しないように構成されている。
【0064】
上述の如く構成したことにより、上側保持部38によってフレキシブルフラットケーブル52が上方から保持されるため、フレキシブルフラットケーブル52が上方へ移動しようとしても、上側保持部38によってフレキシブルフラットケーブル52の移動が妨げられる。このように、上側保持部38によりフレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりが防止され、フレキシブルフラットケーブル52が原稿台ガラス2に接触することによる原稿台ガラス2の汚れ、フレキシブルフラットケーブル52の断線、及び動作不良が防止される。
【0065】
また、上側保持部38よりもコネクタ34aに近接した位置に下側保持部36を設け、下側保持部36によってフレキシブルフラットケーブル52を下方から保持し、上側保持部38によってフレキシブルフラットケーブル52を上方から保持する構成としたので、フレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりがより一層防止される。
【0066】
図11は、フレキシブルフラットケーブル52の保持構造を模式的に示す側面図である。
図11において、フレキシブルフラットケーブル52には斜線によるハッチングを施している。
図11に示すように、フレキシブルフラットケーブル52は、水平方向、即ち、フレキシブルフラットケーブル52の長手方向の異なる位置において下側保持部36と上側保持部38とによって保持されている。
【0067】
フレキシブルフラットケーブル52の下側保持部36に保持されている箇所は、下側保持部36が上方に開放されているため、上方への移動が規制されない。他方、フレキシブルフラットケーブル52の上側保持部38に保持されている箇所は、上側保持部38が下方に開放されているため、下方への移動が規制されない。つまり、フレキシブルフラットケーブル52は、図中矢印R1で示す反時計方向へ旋回することが規制され、図中矢印R2で示す時計方向へ旋回することは規制されていない。したがって、フレキシブルフラットケーブル52における上側保持部38により保持される箇所より先(制御回路5への接続側)の部分の浮き上がりが防止される。
【0068】
図12は、上側保持部38の拡大側面図であり、
図13は、
図12に示すB−B’線による断面図である。
図13に示すように、上側保持部38は下方に開放された鈎状、即ち倒立凹状をなしている。つまり、上側保持部38は、画像読取ユニット3の壁部37から立ち上がり、壁部37よりも副走査方向上流側(Y2方向)に突出した突出部380aと、当該突出部380aに連続して設けられ、壁部37と並行に設けられる爪部380bによって構成される。
【0069】
つまり、上側保持部38によってフレキシブルフラットケーブル52が保持されることにより、突出部380aによって上方への移動が規制され、爪部380bによって突出部380aからの離脱を防止される。つまり、爪部380bによってフレキシブルフラットケーブル52が副走査方向上流側(Y2方向)への移動を規制される。
【0070】
また、かかる倒立凹状となった上側保持部38の内側の上面(突起380aの下面)38aは、前方へ向かうにしたがって低くなるように傾斜している(
図12参照)。つまり、フレキシブルフラットケーブル52の接続端部52aから離れるに従って、上面38aは下方に傾斜される。
【0071】
図11に示すように、矢印R2の方向への旋回が規制されておらず、しかも上側保持部38の内側の上面38aが上記のように傾斜していることから(
図12参照)、フレキシブルフラットケーブル52は、前方へ向かうにしたがって低くなるように、若干傾斜した状態を取りやすい。したがって、このことによっても、フレキシブルフラットケーブル52における上側保持部38により保持される箇所より先(制御回路5への接続側)の部分の浮き上がりが防止される。
【0072】
また、
図11に示すように、下側保持部36の後方に近接して(下側保持部36と相隣して)保持部351が設けられており、この保持部351によって接続端部52aが保持されているため、接続端部52aの浮き上がりが防止されると共に、接続端部52aの近接した下側保持部36におけるフレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりも防止される。このため、フレキシブルフラットケーブル52がR2方向に必要以上に旋回することが防止され、フレキシブルフラットケーブル52の原稿台ガラス2への接触及び画像読取ユニット3への巻き込み等が防止される。
【0073】
第1の実施の形態によれば、保持部351、下側保持部36、及び上側保持部38の3箇所において、フレキシブルフラットケーブル52を保持するので、フレキシブルフラットケーブル52の上方および下方への移動を規制することができる。したがって、フレキシブルフラットケーブル52が原稿台ガラス2や下側ハウジング6bの内底面に接触するのを防止することができる。このため、原稿台ガラス2に傷が入ったり、フレキシブルフラットケーブル52が断線したりするのを未然に防止することができる。
【0074】
なお、上述した第1の実施の形態においては、保持部351、下側保持部36、及び上側保持部38の3箇所において、フレキシブルフラットケーブル52を保持する構成について述べたが、これに限定されるものではない。保持部351を設けず、下側保持部36、及び上側保持部38の2箇所において、フレキシブルフラットケーブル52を保持する構成としてもよいし、保持部351及び下側保持部36を設けず、上側保持部38の1箇所において、フレキシブルフラットケーブル52を保持する構成としてもよい。
【0075】
また、上述した第1の実施の形態においては、上側保持部38を倒立凹状に形成したが、これに限定される必要はない。上側保持部38は、フレキシブルフラットケーブル52の上方への移動を規制するとともに、この規制状態が解除されるのを防止すればよい。したがって、
図15(A)に示すように、突出部380aを副走査方向上流側(Y2方向)に向かうに従って下向きに傾斜させて、爪部380bを省略してもよい。また、
図15(B)に示すように、突出部380aを副走査方向上流側(Y2方向)に延ばして、爪部380bを省略してもよい。これらの場合には、突出部380aによって、フレキシブルフラットケーブル52の上方への移動が規制されるとともに、この規制状態が解除されるのが防止される。
【0076】
さらに、第1の実施の形態では、画像読取装置10のハウジング6内に制御回路5を設けて、フレキシブルフラットケーブル52を制御回路5に接続するようにしたが、制御回路5を画像形成装置1の装置本体(画像形成部)20側に設けるようにしてもよい。この場合、制御回路5を、画像形成装置1の装置本体(画像形成部)20に設けられる制御回路に含めてもよい。
【0077】
また、上述した第1の実施の形態においては、下側保持部36を、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約2倍の距離を隔てた位置に設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。但し、フレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりを防止しつつ、配線作業を容易にするという観点から、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約1.5倍乃至2.5倍の距離を隔てた位置に下側保持部36を設けることが好ましい。
【0078】
また、上述した第1の実施の形態においては、上側保持部38を、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約2.5倍の距離を隔てた位置に設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。但し、フレキシブルフラットケーブル52の浮き上がりを防止しつつ、配線作業を容易にするという観点から、コネクタ34aの後端からフレキシブルフラットケーブル52の幅の約2倍乃至3倍の距離を隔てた位置に下側保持部36を設けることが好ましい。
【0079】
なお、上述した第1の実施の形態においては、ステッピングモータ41を駆動するための駆動回路と、画像読取ユニット3から出力された画像信号を処理する信号処理回路と、電源回路とを有する制御回路5に、駆動信号伝送ケーブル51及びフレキシブルフラットケーブル52が接続される構成について述べたが、これに限定されるものではない。制御回路5に直接駆動信号伝送ケーブル51及びフレキシブルフラットケーブル52が接続されるのではなく、制御回路5への接続を中継する中継基板に駆動信号伝送ケーブル51及びフレキシブルフラットケーブル52が接続される構成とすることもできる。この場合、制御回路5を設けた基板は、装置本体20に設けることが可能であり、中継基板と制御回路5とがケーブル等で接続され、中継基板によって受け付けられた画像信号が制御回路5へと伝送され、制御回路5から中継基板を介してステッピングモータ41等へ駆動信号が供給される。
【0080】
また、上述した第1の実施の形態においては、画像読取装置10と装置本体20とを備える画像形成装置1について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、フラットベッド型のスキャナ装置の様に、読み取られた画像を記録媒体に形成する構成を有しない画像読取装置とすることも可能である。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の画像形成装置1は、画像読取装置の構成が異なる以外は、第1の実施の形態と同じであるため、異なる内容について説明し、重複した説明は省略する。
【0081】
なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同じものについては、同じ参照符号を用いて説明することにする。
【0082】
図16は、第2の実施の形態の画像読取装置400であり、原稿を順次供給可能な構成を有する自動搬送部402および原稿を読み取る読取部404を備える。ただし、
図16では、自動搬送部402については側面を示し、読取部404については側面から透視した状態を示す。
【0083】
図16に示すように、画像読取装置400は、光源を備える画像読取ユニット410を備えている。画像読取ユニット410は、一対の光源部412と、一対の光源部412から照射され、原稿によって反射された反射光の光路を変換する第1ミラー414を備える。
【0084】
光路を変換された反射光は、画像信号生成部420へ導入される。画像信号生成部420は、第2ミラー422と、第3ミラー423と、レンズ424と撮像装置425を備える。
【0085】
したがって、画像信号生成部420に導入された反射光は、第2ミラー422および第3ミラー423で光路を変換され、光路を変換された反射光はレンズ424で結像されて、撮像装置425に入力される。CCDのような撮像装置425は、反射光を光電変換し、電気信号(画像信号)を生成する。図示は省略するが、生成された画像信号は、信号ケーブルを用いて制御回路5に与えられる。
【0086】
図17は、第2の実施の形態の画像読取部404を斜め上方から見た斜視図である。
図17に示すように、画像読取部404は、上述した画像読取ユニット410および画像信号生成部420を備える。図示は省略するが、画像読取部404は、画像読取ユニット410および画像信号生成部420を透明板に沿って副走査方向Yに移動(走査)するための機構を有している。
【0087】
画像読取ユニット410には、第1の実施の形態と同様に、副走査方向上流側(Y2方向)であり、主走査方向Xの後方(X2方向)寄りに、保持部351、下側保持部36および上側保持部38が設けられる。したがって、フレキシブルフラットケーブル52は、保持部351、下側保持部36および側保持部38によって、接続端部52を保持されるとともに、下方への移動および上方への移動を規制される。
【0088】
なお、第2の実施の形態の画像読取ユニット410には、原稿を走査するための制御信号が制御回路5から与えられる。その制御信号がフレキシブルフラットケーブル52を通して入力される。ただし、
図17では、フレキシブルフラットケーブル52の一部および制御回路5を省略してあるが、第1の実施の形態で示した場合と同様である。
【0089】
第2の実施の形態によれば、画像信号を生成するための機構を備えていない画像読取ユニットについても、保持部351、下側保持部36および上側保持部38を設けることにより、原稿台ガラスに傷が入ったり、フレキシブルフラットケーブル52が断線したりするのを未然に防止することができる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態の画像形成装置1は、保持部351、下側保持部36および上側保持部38を設ける位置が異なる以外は、第1の実施の形態と同じであるため、異なる内容について説明し、重複した説明は省略する。
【0090】
図18に示すように、第3の実施の形態では、保持部351、下側保持部36および上側保持部38が、画像読取ユニット3において、副走査方向下流側(Y1方向)に設けられる。この場合、コネクタ34aも、画像読取ユニット3において、副走査方向下流側(Y1方向)に設けられる。
【0091】
また、
図18に示すように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態よりも副走査方向上流側(Y2方向)において、壁部62に欠落部が設けられ、フレキシブルフラットケーブル52は、この欠落部を通って領域7bへと入り込む。
【0092】
したがって、第3の実施の形態では、フレキシブルフラットケーブル52は、上側保持部38によって保持された箇所の先において、副走査方向下流側へと延び、さらにその先においてU字状に水平に折り返され、保持部351の外側を通って画像読取ユニット3の前方へと回り、壁部62に沿って副走査方向上流側へと延びる。上述したように、壁部62の中間部分よりも、副走査方向上流側(Y2方向)に欠落部が設けられており、フレキシブルフラットケーブル52は、この欠落部を通って壁部62の後側の制御回路5が配置されている領域7bへと入り込む。この領域7bの内部で、フレキシブルフラットケーブル52は垂直に立てられた状態から水平に捻られ、その先において制御回路5に接続される。
【0093】
このようにしても、フレキシブルフラットケーブル52は、保持部351、下側保持部36および側保持部38によって、接続端部52を保持されるとともに、下方への移動および上方への移動を規制される。
【0094】
第3の実施の形態においても、原稿台ガラス2に傷が入ったり、フレキシブルフラットケーブル52が断線したりするのを未然に防止することができる。
【0095】
なお、第3の実施の形態では、保持部351、下側保持部36および上側保持部38を、副走査方向下流側(Y1方向)に設けるので、領域7dを設ける必要はない。
【0096】
また、第2の実施の形態の画像読取装置400においても、保持部351、下側保持部36および上側保持部38を、副走査方向下流側(Y1方向)に設けることもできる。