特許第6228052号(P6228052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228052
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】目標検知子弾とその散布用の飛翔体
(51)【国際特許分類】
   F42B 12/58 20060101AFI20171030BHJP
   F42B 22/08 20060101ALI20171030BHJP
   F41H 13/00 20060101ALI20171030BHJP
   F41H 11/05 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F42B12/58
   F42B22/08
   F41H13/00
   F41H11/05
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-60367(P2014-60367)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-183924(P2015-183924A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】大萩 佑介
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 正人
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−137800(JP,A)
【文献】 特開2012−220053(JP,A)
【文献】 特開平02−082100(JP,A)
【文献】 特開2011−012847(JP,A)
【文献】 米国特許第05341343(US,A)
【文献】 米国特許第05076170(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 12/56−12/70
F41H 11/05
F41H 13/00
F42B 22/00−22/44
B63B 22/00−22/28
B63C 11/26
B63C 11/48
B63G 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置特定信号を発信する発信機と、
前記発信機を起動させる起動装置と、
前記発信機及び起動装置を内部に格納し、耐水性と耐圧性を有する容器である耐水圧容器と、
前記耐水圧容器の外部に取り付けられた複数の磁石と、
前記磁石が吸着したことを感知したときに吸着信号を出力する吸着検知部と、を備えた目標検知子弾であって、
前記目標検知子弾は、水面上もしくは水中を浮遊する浮力を有し、
前記磁石は、舟艇の船体又は潜水艦の船体である目標船体に磁力により吸着し、
前記吸着検知部は、前記目標船体への前記吸着を感知して前記吸着信号を出力し、
前記起動装置は、前記吸着信号を入力したときに前記発信機を起動させる、ことを特徴とする目標検知子弾。
【請求項2】
前記磁石の各々は、前記耐水圧容器の外部に設けられた電磁石と、
磁力により前記電磁石に吸着する高磁力磁石と、を有し、
前記目標検知子弾は、前記電磁石に電力を供給する電源部と、
前記電力の供給の有無を制御する磁石切離部と、を備え、
前記吸着検知部は、複数の前記磁石のうち前記目標船体に吸着した一の磁石を特定し該一の磁石の識別情報を前記吸着信号として出力し、
前記磁石切離部は、前記吸着信号を入力したときに前記一の磁石の前記電磁石への電力の供給を継続し、複数の前記磁石のうち他の磁石の前記電磁石への電力の供給を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の目標検知子弾。
【請求項3】
前記耐水圧容器は、その内部に気体層を含む緩衝材を有し、
前記目標検知子弾は、水面上を浮遊する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検知子弾。
【請求項4】
前記位置特定信号を、水中を透過する周波数の電波信号に変換する信号処理部を備え、
前記耐水圧容器は、その内部に水に対する浮力を調整する浮力調節材を有し、
前記浮力調節材は、その内部に重りを有し前記耐水圧容器が水中を浮遊するように前記浮力を調整する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検知子弾。
【請求項5】
前記吸着検知部は、前記磁石の各々に設けられ圧力を感知したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する圧力センサであり、
前記磁石切離部は、前記吸着信号を出力した圧力センサを有する磁石を前記一の磁石とする、ことを特徴とする請求項2に記載の目標検知子弾。
【請求項6】
前記吸着検知部は、前記電力の変化を感知したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する電力監視装置であり、
前記磁石切離部は、前記電力が変化した前記電磁石を有する磁石を前記一の磁石とする、ことを特徴とする請求項2に記載の目標検知子弾。
【請求項7】
前記吸着検知部は、前記磁石の各々の磁界の変化を監視し該磁界が変化したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する磁界監視装置であり、
前記磁石切離部は、前記磁界が変化した前記磁石を前記一の磁石とする、ことを特徴とする請求項2に記載の目標検知子弾。
【請求項8】
前記目標検知子弾は、前記耐水圧容器の中心より下方に重心を有し、
前記耐水圧容器は、その上面に前記位置特定信号を送信可能な開口である通信窓、を備え、
前記磁石は、前記耐水圧容器の横方向の側面の外部に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検知子弾。
【請求項9】
前記位置特定信号は、GPS座標により表された現在地であり、
前記発信機はGPS発信機である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検知子弾。
【請求項10】
前記位置特定信号は、ビーコン電波により表された現在地であり、
前記発信機はビーコン電波を発信する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標検知子弾。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の目標検知子弾の散布用の飛翔体であって、
前後に延びる前記飛翔体の機軸上に直列に並べられ前記目標検知子弾を前記機軸を中心とする半径方向外方に押し出す複数の押出器と、
前記押出器を周方向にわたって取り囲むように配置された複数の前記目標検知子弾と、
前記押出器を起動させる散布制御装置と、を備え、
複数の前記押出器のうち一の押出器は、該一の押出器より前方に位置する他の押出器より前記目標検知子弾を押し出す力が強く構成されている、ことを特徴とする目標検知子弾の散布用の飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対処目標の現在位置を検知することができる目標検知子弾とその散布用の飛翔体に関する。
【背景技術】
【0002】
侵攻してくる対処目標(以下単に、対処目標)の上陸を阻止する方法として、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。
【0003】
従来の上陸阻止の方法は、吊下式もしくは沈降式の水際地雷又は機雷を事前に水中に設置し、目標の侵攻を阻止するものであった。従来の水際地雷又は機雷は、音響や振動、水圧、等により目標の接近を感知して爆発するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−160390号公報
【特許文献2】特開平11−118398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対処目標の上陸を阻止する特許文献1や特許文献2に開示された方法では、水際地雷又は機雷を水中に事前に設置する必要がある。そのため対処目標の発見が遅れた場合や対処目標が想定外の領域から侵攻してきた場合のような緊急時では、水際地雷又は機雷を設置することが難しかった。そのため対処目標の上陸を阻止する方法として、水際地雷又は機雷は使用しにくかった。
【0006】
また水際地雷又は機雷は発見されやすく、例えばUSV等の無人航走体によって除去されることで無力化されやすかった。そのため対処目標の上陸を阻止する方法として、水際地雷又は機雷を使用しても、対処目標の上陸を阻止できないおそれがあった。
【0007】
また水際地雷又は機雷は、その使用後に1つでもそれが残っていると、その地域を安全に利用することができない。そのため水際地雷又は機雷を使った地域を完全に安全な地域に戻すことは難しく、水際地雷又は機雷の処理が完全に終了するまで、長期間その地域を利用できなくなるおそれがあった。そのため対処目標の上陸を阻止する方法として水際地雷又は機雷を使用するには、地域を利用できなくなる可能性に配慮した上で、使用しなければならなかった。
【0008】
また上述の方法以外の上陸阻止方法として、飛翔体による対処が想定される。しかし飛翔体は一般にGPSで誘導されている。そのため対処目標がGPSジャミングをした場合、対処目標に対して飛翔体が対処できる精度が、低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、対処目標の上陸を阻止するために対処目標の現在位置を遠くから安全に検知することができる目標検知子弾とその散布用の飛翔体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、位置特定信号を発信する発信機と、
前記発信機を起動させる起動装置と、
前記発信機及び起動装置を内部に格納し、耐水性と耐圧性を有する容器である耐水圧容器と、
前記耐水圧容器の外部に取り付けられた複数の磁石と、
前記磁石が吸着したことを感知したときに吸着信号を出力する吸着検知部と、を備えた目標検知子弾であって、
前記目標検知子弾は、水面上もしくは水中を浮遊する浮力を有し、
前記磁石は、舟艇の船体又は潜水艦の船体である目標船体に磁力により吸着し、
前記吸着検知部は、前記目標船体への前記吸着を感知して前記吸着信号を出力し、
前記起動装置は、前記吸着信号を入力したときに前記発信機を起動させる、ことを特徴とする目標検知子弾が提供される。
【0011】
また前記磁石の各々は、前記耐水圧容器の外部に設けられた電磁石と、
磁力により前記電磁石に吸着する高磁力磁石と、を有し、
前記目標検知子弾は、前記電磁石に電力を供給する電源部と、
前記電力の供給の有無を制御する磁石切離部と、を備え、
前記吸着検知部は、複数の前記磁石のうち前記目標船体に吸着した一の磁石を特定し該一の磁石の識別情報を前記吸着信号として出力し、
前記磁石切離部は、前記吸着信号を入力したときに前記一の磁石の前記電磁石への電力の供給を継続し、複数の前記磁石のうち他の磁石の前記電磁石への電力の供給を停止する。
【0012】
また前記耐水圧容器は、その内部に気体層を含む緩衝材を有し、
前記目標検知子弾は、水面上を浮遊する。
【0013】
また前記目標検知子弾は、前記位置特定信号を、水中を透過する周波数の電波信号に変換する信号処理部を備え、
前記耐水圧容器は、その内部に水に対する浮力を調整する浮力調節材を有し、
前記浮力調節材は、その内部に重りを有し前記耐水圧容器が水中を浮遊するように前記浮力を調整する。
【0014】
また前記吸着検知部は、前記磁石の各々に設けられ圧力を感知したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する圧力センサであり、
前記磁石切離部は、前記吸着信号を出力した圧力センサを有する磁石を前記一の磁石とする。
【0015】
また前記吸着検知部は、前記電力の変化を感知したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する電力監視装置であり、
前記磁石切離部は、前記電力が変化した前記電磁石を有する磁石を前記一の磁石とする。
【0016】
また前記吸着検知部は、前記磁石の各々の磁界の変化を監視し該磁界が変化したときに前記目標船体への前記吸着を感知し前記吸着信号を出力する磁界監視装置であり、
前記磁石切離部は、前記磁界が変化した前記磁石を前記一の磁石とする。
【0017】
また前記目標検知子弾は、前記耐水圧容器の中心より下方に重心を有し、
前記耐水圧容器は、その上面に前記位置特定信号を送信可能な開口である通信窓、を備え、
前記磁石は、前記耐水圧容器の横方向の側面の外部に取り付けられる。
【0018】
また前記位置特定信号は、GPS座標により表された現在地であり、
前記発信機はGPS発信機である。
【0019】
また前記位置特定信号は、ビーコン電波により表された現在地であり、
前記発信機はビーコン電波を発信する。
【0020】
また本発明によれば、上述の目標検知子弾の散布用の飛翔体であって、
前後に延びる前記飛翔体の機軸上に直列に並べられ前記目標検知子弾を前記機軸を中心とする半径方向外方に押し出す複数の押出器と、
前記押出器を周方向にわたって取り囲むように配置された複数の前記目標検知子弾と、
前記押出器を起動させる散布制御装置と、を備え、
複数の前記押出器のうち一の押出器は、該一の押出器より前方に位置する他の押出器より前記目標検知子弾を押し出す力が強く構成されている、ことを特徴とする目標検知子弾の散布用の飛翔体が提供される。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明の目標検知子弾とその散布用の飛翔体によれば、目標検知子弾が目標船体に多数吸着するため、水上もしくは水中移動中に、全ての目標検知子弾を目標船体から除去することは困難である。そのため本発明の目標検知子弾は無力化されにくい。
【0022】
また本発明の目標検知子弾は、位置特定信号を発信し続けるため、目標船体がその場から移動したとしても、目標船体の現在位置を遠隔から追跡することが可能である。そのため位置特定信号が示す現在位置に対して侵攻を防ぐ対処をすることで、有効に対処目標の上陸を阻むことができる。
【0023】
また目標検知子弾の機能は、位置特定信号を発信するだけであり、爆発はしないので、目標検知子弾の使用後にその地域を安全に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態の目標検知子弾の縦断面図である。
図2】本発明の目標検知子弾の使用説明図である。
図3】本発明の第2実施形態の目標検知子弾の縦断面図である。
図4】飛翔体から本発明の目標検知子弾を散布するときの説明図である。
図5】本発明の目標検知子弾の機能についての説明図である。
図6】本発明の第1実施形態の目標検知子弾の使用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の目標検知子弾の縦断面図である。以下、第1実施形態の目標検知子弾1を、目標検知子弾1aとする。図1(A)は、吸着検知部11が圧力センサ25であるときの第1実施形態の目標検知子弾1aの縦断面図である。図1(B)は、吸着検知部11が電力監視装置27または磁界監視装置29であるときの第1実施形態の目標検知子弾1aの縦断面図である。
図2は、本発明の目標検知子弾の使用説明図である。
【0027】
本発明の目標検知子弾1は、発信機3、起動装置5、耐水圧容器7、複数の磁石8及び吸着検知部11を備える。また本発明の目標検知子弾1は、電源部13と磁石切離部15を備えることが好ましい。また本発明の目標検知子弾1は、耐水圧容器7の中心より下方に重心を有する。それにより目標検知子弾1は、水面上もしくは水中では、耐水圧容器7の上面7bに設けられた通信窓33を常に上方に向けるように構成されている。
また本発明の目標検知子弾1の直径は、6cmから80cmであることが好ましいが、これより大きくても小さくてもよい。
【0028】
発信機3は、位置特定信号を発信する。発信機3は、持続的もしくは間欠的に位置特定信号を発信し続けることが好ましい。本発明の発信機3と位置特定信号は、以下の第1実施例と第2実施例のいずれでもよく、またその他の発信機や信号でもよい。
【0029】
(第1実施例の発信機3と位置特定信号)
第1実施例の発信機3はGPS発信機であり、第1実施例の位置特定信号は、GPS座標により表された現在地である。
一般に、水面上を通航する舟艇X1は、GPS受信機を使用している。そのため、目標船体Xが舟艇X1(例えば図5図6)の場合、GPSジャミングをしない場合がある。第1実施例の発信機3と位置特定信号は、このような場合に有効である。
【0030】
本発明の目標検知子弾1は、第1実施例の発信機3としてGPS発信機を使用することにより、目標検知子弾1の製造コストを抑えることができる。
なお、第1実施例の発信機3は、GPS受信機を有していてもよい。
【0031】
(第2実施例の発信機3と位置特定信号)
第2実施例の発信機3はビーコン電波を発信する。また第2実施例の位置特定信号は、ビーコン電波により表された現在地である。
本発明の目標検知子弾1は、第2実施例の発信機3を備えることによりビーコン電波により対処目標Yを検知することができるため、たとえ対処目標YがGPSジャミングしたとしても、GPSジャミングの影響を受けずに目標検知子弾1を使用することができる。
【0032】
また発信機3がビーコン電波を発信することにより、発信機3と通信する遠隔地に設置された通信機は、数mから数kmの検出精度で目標船体Xの現在位置を特定することができる。
なお、第2実施例の発信機3は、ビーコン電波の受信機を有していてもよい。
【0033】
起動装置5は、発信機3を起動させる装置である。具体的には吸着検知部11が、舟艇X1の船体又は潜水艦X2の船体である目標船体X(以下、単に目標船体X)への吸着を感知して吸着信号を出力する。その後起動装置5は、吸着信号を入力したときに発信機3を起動させる。
【0034】
耐水圧容器7は、発信機3及び起動装置5を内部に格納し、耐水性と耐圧性を有する容器である。本発明の耐水圧容器7は、その上面7bに、位置特定信号を送信可能な開口である通信窓33を備えることが好ましい。
【0035】
また第1実施形態の耐水圧容器7は、その内部に気体層を含む緩衝材17を有する。この構成により、第1実施形態の目標検知子弾1aは、水面上を浮遊する浮力を有し、飛翔体35から水中に落下した後、水面に浮かび上がり、水面上を浮遊することができる。
【0036】
また本発明の耐水圧容器7は、その横方向の側面として、上下方向に延びる耐水圧容器7の軸に交わる面を複数有する形状であることが好ましい。すなわち、例えば図1に例示した耐水圧容器7の縦断面形状が八角形であるように、上下に延びる軸と平行な面(以下、垂直面7a)や垂直な面(以下、上面7bまたは下面7c)だけでなく、その軸に対して平行でも垂直でもなく交わる面(以下、傾斜面7d)を側面として有することが好ましい。なお、本発明の耐水圧容器7の縦断面形状は八角形に限らず、他の多角形であってもよい。
【0037】
本発明の目標検知子弾1は、傾斜面7dにも磁石8を有することにより、目標船体Xに吸着する確率を高くすることができる。
【0038】
複数の磁石8は、耐水圧容器7の外部に取り付けられた磁石である。本発明の磁石8は、目標船体Xに磁力により吸着する。本発明の磁石8の各々は、耐水圧容器7の外部に設けられた電磁石8aと、磁力により電磁石8aに吸着する高磁力磁石8bと、を有することが好ましい。高磁力磁石8bは、永久磁石であることが好ましい。
【0039】
また磁石8は、耐水圧容器7の横方向の側面(垂直面7aと傾斜面7d)の外部に取り付けられることが好ましい。すなわち、耐水圧容器7の上面7bと下面7cには、磁石8が取り付けられていないことが好ましい。
【0040】
本発明の目標検知子弾1は、重心が耐水圧容器7の中心より下方に位置する。水面上や水中の浮遊時や飛翔体35からの落下時には、耐水圧容器7の下面7cが下方を向いている。そのため飛翔体35による散布時には、耐水圧容器7の下面7cが水面と衝突する。本発明の目標検知子弾1は、耐水圧容器7の下面7cに磁石8を有さないことにより、たとえ吸着検知部11が後述する圧力センサ25であったとしても、水面に衝突したときの衝撃で、目標検知子弾1が、目標船体Xへ吸着したものと感知する誤作動を起こすのを防ぐことができる。
【0041】
電源部13は、電磁石8aに電力を供給する電源であり、例えば蓄電池である。また電源部13は、発信機3、起動装置5、吸着検知部11、磁石切離部15、電力監視装置27、もしくは磁界監視装置29にも電力を供給する。
【0042】
磁石切離部15は、電磁石8aへの電力の供給の有無を制御する制御装置である。本発明の磁石切離部15は、吸着信号を入力したときに一の磁石8c(図6を参照)の電磁石8aへの電力の供給を継続し、複数の磁石8のうち他の磁石8d(図6を参照)の電磁石8aへの電力の供給を停止する。
【0043】
一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給は継続されるため、目標船体Xに吸着する一の磁石8cの高磁力磁石8bに、一の磁石8cの電磁石8aが吸着し続け、目標検知子弾1は、目標船体Xに吸着し続けることができる。
また他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給は停止されるため、他の磁石8dの電磁石8aの磁力は消失し、他の磁石8dの高磁力磁石8bを目標検知子弾1から離すことができる。
【0044】
なお、磁石切離部15は、他の磁石8dの電磁石8aに供給する電力を、電流の流れる向きを逆向きにして流して電磁石8aの磁極を反転させ、高磁力磁石8bと電磁石8aを反発させることによって高磁力磁石8bを目標検知子弾1から離してもよい。
【0045】
吸着検知部11は、磁石8が吸着したことを感知したときに吸着信号を出力する。本発明の吸着検知部11は、複数の磁石8のうち目標船体Xに吸着した一の磁石8cを特定し一の磁石8cの識別情報を吸着信号として出力する。
本発明の吸着検知部11は、以下の第1実施例から第3実施例の吸着検知部11であることが好ましいが、そのほかの機構であってもよい。
【0046】
(第1実施例の吸着検知部11)
第1実施例の吸着検知部11は、磁石8の各々に設けられ圧力を感知したときに目標船体Xへの吸着を感知し吸着信号を出力する圧力センサ25である。
【0047】
第1実施例の磁石切離部15は、吸着信号を出力した圧力センサ25を有する磁石8を、一の磁石8cとし、一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給を継続する。また磁石切離部15は、複数の磁石8のうち他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給を停止する。
図1(A)に示すように、圧力センサ25と磁石切離部15とは、有線もしくは無線で接続されている。
【0048】
大きな船体に目標検知子弾1が吸着した場合、船体の大きさに応じた大きな吸着衝撃が発生する。本発明の目標検知子弾1が第1実施例の吸着検知部11を備える場合、圧力センサ25から入力した吸着信号の大きさが、予め定めた設定値より大きかったときに、磁石切離部15は磁石8が吸着したものが目標船体Xであることを感知する。そして磁石切離部15は一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給を継続し、複数の磁石8のうち他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給を停止する。
【0049】
それにより本発明の目標検知子弾1は、金属製の漂流物等、目標船体Xではない小さな金属が磁石8に吸着したときに、磁石8が誤作動をすることを防ぐことができる。
【0050】
(第2実施例の吸着検知部11)
第2実施例の吸着検知部11は、電磁石8aに供給する電力の変化を感知したときに目標船体Xへの吸着を感知し吸着信号を出力する電力監視装置27である。電力監視装置27は電気抵抗の変化を測定する抵抗測定器や、電流の大きさの変化を測定する電流測定器であることが好ましい。
【0051】
磁石切離部15は、供給する電力が変化した電磁石8aを有する磁石8を、一の磁石8cとし、一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給を継続する。また磁石切離部15は、複数の磁石8のうち他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給を停止する。
【0052】
図1(B)に示すように、電磁石8aと吸着検知部11とは、有線もしくは無線で接続されている。
磁石8に金属が吸着した場合、電磁石8aに供給している電流がその金属にも流れ、その電力(電流値や抵抗値)が大きく変化する。本実施例の吸着検知部11は、これを利用している。例えば体積が大きな金属に目標検知子弾1が吸着した場合には、その金属の大きさに応じて電力の変化も大きくなる。
【0053】
一般に目標船体Xの体積は大きい。そのため本発明の目標検知子弾1が第2実施例の吸着検知部11を備える場合、電力監視装置27から入力した吸着信号の大きさが予め定めた設定値より大きかったときに、磁石切離部15は磁石8が吸着したものが目標船体Xであることを感知する。もしくは磁石8に吸着したものが目標船体Xであるか否かを電力の変化の大きさから判別し目標船体Xであるときのみに吸着信号を出力する機能を、電力監視装置27に設けてもよい。
【0054】
それにより本発明の目標検知子弾1は、目標船体Xではない小さな金属に磁石8が吸着したときに、誤作動が生じることをすることを防ぐことができる。
【0055】
(第3実施例の吸着検知部11)
第3実施例の吸着検知部11は、磁石8の各々の磁界の変化を監視し磁界が変化したときに目標船体Xへの吸着を感知し吸着信号を出力する磁界監視装置29である。
磁石切離部15は、磁界が変化した磁石8を、一の磁石8cとし、一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給を継続する。また磁石切離部15は、複数の磁石8のうち他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給を停止する。
【0056】
磁石8の周囲に形成される磁界は、磁石8に金属が吸着すると変化する。第3実施例の吸着検知部11は、これを利用している。
図1(B)に示すように、電磁石8aと吸着検知部11とは、有線もしくは無線で接続されている。
【0057】
第1実施形態の目標検知子弾1aは、これらの構成により、水面上を浮遊し、近接してきた舟艇X1の船体(目標船体X)に磁石8が吸着したときに発信機3を起動し、目標船体Xの現在位置を位置特定信号として発信することができる。そのためたとえ死角に入る等により目標船体Xを目視で確認できなくなったとしても、位置特定信号により目標船体Xの位置を検知することができる。
【0058】
また目標船体Xがそのまま侵攻を続け、上陸しようとしたときには、位置特定信号から検知した位置に対して侵攻を防ぐ対処をすることで、目標船体Xの侵攻または上陸を効果的に阻止することができる。
【0059】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の目標検知子弾の縦断面図である。以下、第2実施形態の目標検知子弾1を、目標検知子弾1bとする。なお図3は、吸着検知部11として圧力センサ25を使用したときの第2実施形態の目標検知子弾1bを描いているが、この図は例示にすぎない。
すなわち第2実施形態の吸着検知部11は、第1実施形態の吸着検知部11と同様に、圧力センサ25、電力監視装置27、磁界監視装置29のいずれでもよく、その他の構成の吸着検知部11でもよい。
【0060】
第2実施形態の目標検知子弾1bは信号処理部19を備える。信号処理部19は、水中を透過する周波数の電波信号に位置特定信号を変換する変換装置である。信号処理部19は、発信機3に備えられていることが好ましい。
【0061】
それにより発信機3は、位置特定信号を、水中を透過する周波数の電波信号に信号処理部19で予め変換し、その上でそれを位置特定信号として発信することができる。
また第2実施形態の発信機3は、水中から効果的に電波信号を発信するためのアンテナを有していることが好ましい。
【0062】
また第2実施形態の耐水圧容器7は、その内部に、水に対する浮力を調整する浮力調節材21を有する。浮力調節材21は、その内部に重り23を有し、耐水圧容器7が水中を浮遊するように浮力を調整する。重り23は、浮力調節材21が耐水圧容器7の内部に取り込んだ水や、比重の大きな金属でもよく、その他のものでもよい。
第2実施形態の目標検知子弾1b全体の比重は、散布される水場の水の比重と同じであることが好ましい。本発明の目標検知子弾1が散布される水場の水は、海水でも真水でもよい。
【0063】
これらの構成により、第2実施形態の目標検知子弾1bは、水中を浮遊する浮力を有し、水中を漂うことができる。
【0064】
また第2実施形態の磁石8は、耐水圧容器7の垂直面7aと、重心より下面7c側の傾斜面7dに設けられていることが好ましい。これにより、潜水艦X2(後述する図5を参照)の船体の上方に吸着した第2実施形態の目標検知子弾1bは、その上面7bを水面に向けることができ、潜水艦X2の船体に遮られることなく位置特定信号を発信することができる。
なお、その他の第2実施形態の目標検知子弾1bの構成は、第1実施形態のそれと同様である。
【0065】
次に、本発明の目標検知子弾1の散布方法の実施例として、本発明の目標検知子弾1の散布用の飛翔体35について説明する。
図4は、飛翔体から本発明の目標検知子弾を散布するときの説明図である。
【0066】
飛翔体35は、先端を下方に向けて、対処目標Yの周囲に落下する。本発明の目標検知子弾1の散布用の飛翔体35はその内部に、押出器39、目標検知子弾1、及び散布制御装置45を備える。
飛翔体35は、対処目標Yが侵攻してくる場所を想定して、投射されてもよい。
【0067】
押出器39は、前後に延びる飛翔体35の機軸Z上に直列に複数並べられ、機軸Zを中心とする半径方向外方に目標検知子弾1を押し出し、放出させる装置である。押出器39は、例えばエアバックである。複数の押出器39のうち一の押出器39aは、一の押出器39aより前方に位置する押出器39である他の押出器39bより、目標検知子弾1を押し出す力が強く構成されている。
【0068】
言い換えると本発明の飛翔体35は、押し出す力の強さが何段階にも分かれている複数の押出器39を、その機軸Z上に備える。その複数の押出器39は、押し出す力の強さが強い順に、後方から前方にかけて並べられている。
【0069】
本発明の目標検知子弾1は、飛翔体35の内部に、押出器39を機軸Zの周方向にわたって取り囲むように、複数配置される。また目標検知子弾1は、飛翔体35の発射時には飛翔体外筒35aで覆われている。そして目標検知子弾1を散布する際に、飛翔体外筒35aが開頭し、目標検知子弾1を散布できる構成となっている。
飛翔体35は、第1実施形態の目標検知子弾1aと第2実施形態の目標検知子弾1bとを双方有して投射されることが好ましい。しかし、対処目標Yが舟艇X1か潜水艦X2のいずれかであることが予め分かっている場合は、飛翔体35は、第1実施形態と第2実施形態のいずれかの目標検知子弾1のみを有していてもよい。
【0070】
散布制御装置45は、押出器39を起動させる制御装置である。散布制御装置45は、飛翔体35の投射時刻から予め設定された時間が経過したときに押出器39を起動させてもよい。
その際散布制御装置45は、飛翔体外筒35aを開頭する等の方法により、目標検知子弾1を曝露させることが好ましい。その後散布制御装置45は、押出器39を起動させ、目標検知子弾1を散布させることが好ましい。
【0071】
または散布制御装置45は、位置特定信号を発信する目標検知子弾1が対処目標Yに近接した位置となったときに、作動するものであってもよい。具体的には、GPS信号等から特定された飛翔体35の現在位置が、対処目標Yの位置に近接したときに作動するものであることが好ましい。
なお、散布制御装置45の作動機構は、その他のものであってもよい。
【0072】
本発明の飛翔体35は、この構成により、本発明の複数の目標検知子弾1を、互いの磁石8が吸着しないように対処目標Yの周辺に散布することができる。
【0073】
また本発明の飛翔体35は、それを対処目標Yの周辺に向けて投射するだけで、目標検知子弾1を遠くから安全に対処目標Yの周辺に散布することができる。それにより、対処目標Yの発見が遅れた場合や対処目標Yが想定外の領域から侵攻してきた場合のような緊急時であっても、その対処目標Yに対して目標検知子弾1を広範囲に直ちに即応型として対応することができる。
【0074】
また対処目標Yの目標船体Xは、目標検知子弾1に対して事前に対処することが困難であるため、目標検知子弾1が無力化されることを防ぐことができる。
また飛翔体35を投射するだけで目標検知子弾1を広範囲にわたり散布することができるので、容易に対処目標Y(目標船体X)を捉えることができる。
【0075】
次に本発明の目標検知子弾1の使用方法について説明する。
図5は、本発明の目標検知子弾の機能についての説明図である。図5は、水面上を通航する舟艇X1と、水中を潜水する潜水艦X2を目標船体Xとして描いている。
【0076】
(A)はじめに図4に示すように飛翔体35に本発明の目標検知子弾1を多数搭載し、図2に示すように遠隔地から対処目標Yの周囲に向かって飛翔体35を投射する。
【0077】
(B)飛翔体35が対処目標Yの近くに到達すると、飛翔体35が目標検知子弾1を対処目標Yの周囲に広範囲に散布する。
【0078】
(C)着水した目標検知子弾1は、図5に示すように水面上もしくは水中を浮遊し、近くに位置する目標船体Xに吸着する。
【0079】
本発明の目標検知子弾1が第1実施形態の場合、目標検知子弾1aは着水後、水面上に浮上する。そして目標検知子弾1の近くに位置する舟艇X1の船体(すなわち目標船体X)に、磁石8で吸着する。
また本発明の目標検知子弾1が第2実施形態の場合、着水した第2実施形態の目標検知子弾1bは、水中を浮遊する。
【0080】
図6は、本発明の第1実施形態の目標検知子弾の使用説明図である。図6(A)は、磁石8が目標船体Xに吸着したときの説明図である。図6(B)は、他の磁石8dの高磁力磁石8bを耐水圧容器7から切り離したときの説明図である。
【0081】
(D)次に本発明の目標検知子弾1は、磁石8が目標船体Xに吸着したことを感知する。
具体的にはまず、吸着検知部11が、複数の磁石8のうちいずれの磁石8が目標船体Xに吸着したのかを特定し、目標船体Xに吸着した磁石8(一の磁石8c)の識別情報を吸着信号として出力する。
【0082】
例えば第1実施形態の目標検知子弾1aの場合、図5に示すように目標検知子弾1は水面上を漂い、近接してきた舟艇X1の船体(すなわち目標船体X)に磁力により図6に示すように吸着する。
第2実施形態の目標検知子弾1bは、図5に示すように、水中を漂い、近接してきた潜水艦X2の船体(すなわち目標船体X)に磁力により吸着する。
【0083】
(E)吸着信号を入力すると、磁石切離部15は、一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給を継続し、複数の磁石8のうち他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給を停止する。一の磁石8cの電磁石8aへの電力の供給は継続されるため、目標船体Xに吸着する一の磁石8cの高磁力磁石8bに、一の磁石8cの電磁石8aが吸着し続け、目標検知子弾1は、目標船体Xに吸着し続けることができる。一方、他の磁石8dの電磁石8aへの電力の供給は停止されるため、他の磁石8dの電磁石8aの磁力は消失し、他の磁石8dの高磁力磁石8bを目標検知子弾1から離すことができる。
【0084】
それにより本発明の目標検知子弾1は、耐水圧容器7の上面7bの通信窓33だけでなく、他の磁石8dの高磁力磁石8bが外れた耐水圧容器7の横方向の側面からも、発信機3の位置特定信号を発信することができ、遠隔地に設置された通信機と信号を送受信しやすくなる。
【0085】
(F)また起動装置5は、吸着信号を入力すると、発信機3を起動させる。
【0086】
(G)その後、発信機3が、その目標検知子弾1の位置を特定する位置特定信号を発信する。
第2実施形態の発信機3は、位置特定信号を、水中を透過する周波数の電波信号に信号処理部19で変換したうえで、変換後の信号を位置特定信号として発信する。それにより第2実施形態の目標検知子弾1bは、目標船体Xが水深の深い領域に潜っていたとしても、その領域から位置特定信号を発信することができる。
【0087】
(H)遠隔地に設置された通信機は、目標検知子弾1から発信される位置特定信号により、その目標検知子弾1の位置を検知する。それにより特定した目標検知子弾1の現在位置に対して対処目標Yの侵攻を防ぐ対応をすることにより、対処目標Yの上陸を阻止することができる。また目標船体Xの位置を目視で確認できなかったとしても、目標検知子弾1の発する位置特定信号を追跡することにより目標船体Xを追跡することができる。
したがって本発明の目標検知子弾1を使用することにより、効果的に対処目標Yの上陸を阻止することができる。
【0088】
上述した本発明の目標検知子弾1とその散布用の飛翔体35によれば、目標検知子弾1が目標船体Xに多数吸着するため、水上もしくは水中移動中に、全ての目標検知子弾1を目標船体Xから除去することは困難である。そのため本発明の目標検知子弾1は無力化されにくい。
【0089】
また本発明の目標検知子弾1は、位置特定信号を発信し続けるため、目標船体Xがその場から移動したとしても、目標船体Xの現在位置を遠隔から追跡することが可能である。そのため位置特定信号が示す現在位置に対して侵攻を防ぐ対処をすることで、有効に対処目標Yの上陸を阻むことができる。
【0090】
また目標検知子弾1の機能は、位置特定信号を発信するだけであり、爆発はしないので、目標検知子弾1の使用後にその地域を安全に利用することができる。
【0091】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0092】
1 目標検知子弾、1a 第1実施形態の目標検知子弾、
1b 第2実施形態の目標検知子弾、3 発信機、5 起動装置、
7 耐水圧容器、7a 垂直面、7b 上面、7c 下面、7d 傾斜面、
8 磁石、8a 電磁石、8b 高磁力磁石、8c 一の磁石、8d 他の磁石、
11 吸着検知部、13 電源部、15 磁石切離部、17 緩衝材、
19 信号処理部、21 浮力調節材、23 重り、25 圧力センサ、
27 電力監視装置、29 磁界監視装置、33 通信窓、
35 飛翔体、35a 飛翔体外筒、
39 押出器、39a 一の押出器、39b 他の押出器、45 散布制御装置、
X 目標船体、X1 舟艇、X2 潜水艦、Y 対処目標、Z 機軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6