(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駒体上昇移送部と前記駒体下降移送部は隣接して設けられるとともに、前記上部連結部及び前記下部連結部は、前記駒体上昇移送部と前記駒体下降移送部とが接続する接続壁に開口された開口部として形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の駒体移送玩具。
前記駒体下降移送部は、前記駒体を一つずつ前記ガイドレール部から最下段の前記駒体載置部材へと前記駒体を転動させて移送するゲート部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか記載の駒体移送玩具。
前記横架部材は、前後方向の幅よりも上下方向の幅が広く、前記駒体の前記溝部は、前記横架部材の前記上下方向幅よりも僅かに広い円筒部と、前記横架部材の前記上下方向幅よりも狭く前記前後方向幅よりも僅かに広い開口端部を有する請求項1乃至請求項5の何れか記載の駒体移送玩具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される玩具においては、遊戯用円盤を投射して移送させる毎に、使用者は個々の棚に設けられた押し出し部を正確に操作しなければならず、非常に煩雑である。よって、幼児が遊ぶものとしては難易度が高いものとなっていた。一方、特許文献2に開示される玩具においては、競走馬を模した駒体が競争枠下端の終着点に到着した時点でゲームが終了してしまうので、幼児にとっては面白みに欠けるという側面がある。
【0006】
本発明は、幼児にとって適度な難易度で遊ぶことができ、さらに駒体が連続して移送されることで面白みが増した駒体移送玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る駒体移送玩具は、正面視円形に形成され、側面に二箇所の溝部が対向して設けられる駒体と、前記駒体を下方から上方に移送させる駒体上昇移送部と、前記駒体を上方から下方に移送させる駒体下降移送部と、を有し、前記駒体上昇移送部は、平板状に形成され、盤面を正面側にして立設する盤面部材と、押しボタンと、前記盤面部材に搖動自在に設けられ、前記駒体を載置可能に形成され、段違いに対向して複数設けられ、前記押しボタンの操作により、載置された前記駒体を一段上方に投射して移送させる複数の駒体載置部材と、最上段の前記駒体載置部材の上方に設けられ、最上段の前記駒体載置部材から移送される前記駒体を受ける駒体受部と、を有し、前記駒体下降移送部は、上下方向に長く枠状に形成される枠状部と、前記枠状部に横架され、前記駒体の前記溝部と係脱自在に形成される複数の横架部材と、最下段の前記横架部材の下に形成され、前記駒体を転動させてガイドするガイドレール部と、を有し、前記駒体上昇移送部と前記駒体下降移送部は、前記駒体受部から最上段の前記横架部材へと前記駒体を転動させて移送される上部連結部と、前記ガイドレール部から最下段の前記駒体載置部材へと前記駒体を転動させて移送される下部連結部と、により連結される。
【0008】
また、前記駒体上昇移送部は、前記盤面部材に回動自在に複数設けられ、前面側に各前記駒体載置部材が固定され、後面側に各前記駒体載置部材と反対側に延在する搖動アームが固定される搖動軸と、前記盤面部材の後面で上下に摺動自在にガイドされ、下方向に付勢される作動杆と、前記作動杆に固定され、各前記搖動アームの上方から各前記搖動アームに当接する複数の張出部と、を有する。
【0009】
また、前記駒体上昇移送部は、搖動自在に支持され、長手方向に伸びる本体の一端は前記作動杆の下端と係脱自在に係合され、他端は前記押しボタンと係合され、他端は上方に付勢される搖動係脱部材を有し、前記搖動係脱部材は、前記押しボタンを押すと一端側が上昇し、前記作動杆の上昇限近傍で前記搖動係脱部材の一端と前記作動杆の下端との係合が解除され、前記作動杆が下限近傍において前記搖動係脱部材の一端と前記作動杆の下端とが係合される。
【0010】
また、前記駒体上昇移送部と前記駒体下降移送部は隣接して設けられるとともに、前記上部連結部及び前記下部連結部は、前記駒体上昇移送部と前記駒体下降移送部とが接続する接続壁に開口された開口部として形成される。
【0011】
また、前記駒体下降移送部は、前記駒体を一つずつ前記ガイドレール部から最下段の前記駒体載置部材へと前記駒体を転動させて移送するゲート部を有する。
【0012】
また、前記横架部材は、前後方向の幅よりも上下方向の幅が広く、前記駒体の前記溝部は、前記横架部材の前記上下方向幅よりも僅かに広い円筒部と、前記横架部材の前記上下方向幅よりも狭く前記前後方向幅よりも僅かに広い開口端部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る駒体移送玩具によれば、正面視円形に形成される駒体が、一つの押しボタンの操作により、駒体上昇移送部において下方から上方に投射されて移送される。そして、駒体は、上部連結部を介して駒体上昇移送部から駒体下降移送部に移送される。駒体下降移送部においては、はしご下りの要領で、上方から下方に移送される。そして、駒体は、下部連結部を介して、再度駒体上昇移送部に移送される。
【0014】
これにより、一つの押しボタン操作のみにより、駒体上昇移送部において駒体を下方から上方に順次移送させることができるので、幼児にとって適度な難易度で操作を理解して遊ぶことができる。さらに、駒体は、下方から上方へは投射により移送され、上方から下方へははしご下りにより移送されるので、面白みのある駒体移送玩具を提供することができる。そして、駒体の移送は、上昇と下降を連続的に行うことができるので、遊びが途切れることなく、連続的に遊ぶことができる。
【0015】
また、駒体載置部材の搖動運動は、盤面部材の背面に形成される作動杆や搖動アームにより駆動される。幼児は、直接これらの駆動機構を見ることがない。よって、搖動する駒体載置部材を不思議な思いで見ながら遊ぶことができ、飽きることなく楽しむことができる。
【0016】
また、作動杆は、搖動係脱部材と係脱されるので、付勢部材の付勢力により勢いよく下降する。よって、駒体載置部材は勢いよく駒体を投射する。これにより、比較的容易に一段上の駒体載置部材に駒体が投射されるので、幼児にとって遊びやすい駒体移送玩具を提供することができる。
【0017】
また、駒体上昇移送部と駒体下降移送部は隣接して設けられ、上部連結部と下部連結部は開口部として設けられる。これにより、駒体上昇移送部と駒体下降移送部を一体として形成することができるので、駒体移送玩具をコンパクトに形成することができる。
【0018】
また、下部連結部には、ガイドレール部から駒体を一つずつ駒体載置部材へ移送するゲート部が設けられる。これにより、駒体載置部材に複数の駒体が載置されることを防止し、駒体載置部材の駒体の投射をより確実に行うことができる。
【0019】
また、駒体に形成される溝部は、横架部材の上下方向の幅より広い円筒部と、横架部材の上下方向の幅より狭く、横架部材の前後方向の幅より僅かに広い開口端部とによりなる。これにより、駒体は、横架部材に対して溝部が垂直方向にある場合には係脱自在であり、駒体が横架部材回りに回転しているときには横架部材と溝部の係合状態が維持される。よって、駒体の駒体下降移送部における上方から下方への移送を、失敗することなく、確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は駒体移送玩具1を前方から見た斜視図である。この駒体移送玩具1は、正面視左側を駒体上昇移送部30とし、右側を駒体下降移送部80として形成されている。また、駒体移送玩具1で使用する駒体10は、正面視円形に形成される。この駒体10は、駒体移送玩具1の収納時には駒体収納部81に収納されている。
【0022】
駒体移送玩具1の遊び方を説明する。先ず、駒体収納部81に収納されている駒体10を一つ取り出す。そして、駒体下降移送部80の天面に開口している投入口82に駒体10を投入する。すると、駒体10は、いわゆる「はしご下り」の要領で、駒体下降移送部80を下降する。
【0023】
下降し終えた駒体10は、ガイドレール部83上に落下し、左側に転がって、ガイドレール部83の左端で、レバー91と一体に形成された当接部材と当接して一旦停止される。そして、レバー91を押し下げると、駒体10は左側の駒体上昇移送部30へと転がっていく。そして、駒体10は、駒体10を載置可能に形成された複数の駒体載置部材41のうち、最下段の駒体載置部材41に載置される。駒体載置部材41は、盤面32上に互いに対向して4個設けられている。駒体載置部材41は、押しボタン51を押すと、
図2に示すように下方に傾斜される。そして、押しボタン51を押し切ると、駒体載置部材41は、盤面32の後ろに形成された駆動機構により、
図1の状態に勢いよく復帰する。このとき、最下段の駒体載置部材41に載置されている駒体10は、駒体10が載置されている駒体載置部材41と対向して一段上に設けられる駒体載置部材41に向けて投射される。
【0024】
このようにして、押しボタン51を押す毎に、駒体10は、対向する一段上の駒体載置部材41に向けて投射され移送される。そして、最上段の駒体載置部材41から投射された駒体10は、駒体受部34に向けて投射される。駒体10は、駒体受部34に投射されると、駒体下降移送部80に向けて転がり、再度、はしご下りの要領で下降される。なお、上段の駒体載置部材41への移送が失敗し、駒体10が落下したときは、駒体排出部38から駒体10を取り出すことができる。
【0025】
以上の通り、駒体移送玩具1では、駒体下降移送部80と駒体上昇移送部30により、駒体10の下降と上昇を繰り返して遊ぶことができる。
【0026】
次に、駒体移送玩具1の構成を説明する。駒体移送玩具1は、前述の通り、駒体上昇移送部30と、駒体下降移送部80とが隣接して接続される。具体的には、駒体上昇移送部30と駒体下降移送部80とが隣り合う境界に上下方向に長い接続壁71が形成されている。そして、接続壁71の上部には、駒体上昇移送部30から駒体下降移送部80へ駒体10が転動して移動可能なように、上部連結部としての上開口部72が形成されている。一方、接続壁71の下部には、駒体下降移送部80から駒体上昇移送部30へ駒体10が転動して移動可能なように下部連結部としての下開口部73が形成されている。このように、本実施形態において、上部連結部及び下部連結部は開口部として形成されている。
【0027】
駒体上昇移送部30は、ベース部50から盤面部材35が立設する。盤面部材35は平板状に形成され、正面側の面に盤面32が形成されている。盤面32の回りは壁部36により囲まれる。盤面32の前方には、透明板37が設けられている。
【0028】
透明板37の左側下方には、切欠き状にして開口される駒体排出部38が形成されている。駒体排出部38の後側には、駒体排出ガイド部39が形成されている。駒体排出ガイド部39は、複数の板状部材が透明板37から後方に向けて立設することにより形成される。駒体排出ガイド部39は、駒体載置部材41からの投射に失敗してこぼれ落ちた駒体10をガイドして、駒体排出部38から駒体10を排出させる。
【0029】
透明板37の右上上方には、駒体受部34が形成されている。駒体受部34は、盤面部材35の盤面32に対して相対的に固定して設けられている。具体的には、駒体受部34は、透明板37の内面から盤面32に向けて立設する平板が、右側が下方になるよう傾斜して形成されている。このように、本実施形態においては、駒体受部34は透明板37に立設して形成されているが、盤面32から前方に向けて立設するように形成してもよい。駒体受部34の上方の透明板37の内面には、駒体受部34を転動する駒体10をガイドするガイド部33が形成されている。ガイド部33は、左右方向に伸びる突条が上下平行に二本設けられている。
【0030】
盤面32上には、駒体載置部材41が複数設けられている。本実施形態においては、四個の駒体載置部材41が設けられている。この四個の駒体載置部材41は、段違いに対向して配置される。
【0031】
図3は、駒体上昇移送部30の背面カバーを省略して駒体移送玩具1を後面から見た斜視図である。各駒体載置部材41は、盤面部材35を介して、各駒体載置部材41に対応する搖動アーム46と連結される。また、駒体上昇移送部30の中心には、上下方向に長く形成され、上下に動作する作動杆52が設けられている。
【0032】
次に、
図4により、駒体載置部材41の構成を説明する。
図4は、盤面部材35を省略して、駒体上昇移送部30を後面から見た図である。駒体載置部材41には、異形に形成された平板状の絵柄板42が設けられる。絵柄板42は、正面側の平坦面にキャラクタ等の絵柄が記載される。この絵柄板42の後面には、駒体載置部43が形成されている。駒体載置部43は、平面視半円形の開口部が上方を向くように形成されるので、投射された駒体10を上方から受けることができ、さらに円形の駒体10が転動して転がり落ちることがない。
【0033】
また、絵柄板42には、絵柄板42の駒体載置部43に対応する部位から平板状に立設される駒体ガイド部42aが形成されている。駒体ガイド部42aは、側面視において底辺を駒体載置部43に接するようにした三角形状に形成されている。駒体ガイド部42aにより、投射された駒体10がガイドされ、駒体載置部43に載置される。そして、駒体ガイド部42aにより、駒体載置部43に載置された駒体10は、絵柄板42と離間されるので、駒体10の投射の際に絵柄板42と駒体10が面接触することがなく、スムーズに投射がされることとなる。
【0034】
そして、駒体載置部43からは、支持杆部44が作動杆52に向けて延在する。支持杆部44の先端からは、後方に向けて搖動軸45が突出している。搖動軸45の端部には、搖動アーム46が固定されている。搖動アーム46は、駒体載置部材41と反対側であって、作動杆52と交差するようにして延在している。換言すれば、駒体上昇移送部30の中心に向けて駒体載置部材41から延在している。搖動アーム46は、略中央部分で上方に屈折した長尺状に形成されている。
【0035】
ここで、
図5の断面図により、搖動軸45周りの構造を説明する。
図5は、盤面部材35を省略せずに表した状態の
図4におけるV−V断面図である。前面側に配置される駒体載置部材41の支持杆部44から後方に向けて突出する搖動軸45は、盤面部材35の軸受部材47により支持されている。断面を円形に形成される搖動軸45は、その突端部分に平坦部45aが形成されている。一方、搖動アーム46には、この搖動軸45と合わせて、平坦部45aと合わせられる平坦面を有する穴部46aが形成される。そして、搖動軸45は穴部46aに挿入される。このようにして、平坦部45aと合う平坦面を有する穴部46aに搖動軸45が挿入されるので、搖動アーム46は、盤面部材35の後面側から搖動軸45を介して駒体載置部材41と相対的に固定される。従って、搖動アーム46及び駒体載置部材41は同期して搖動軸45回りに搖動される。
【0036】
図3及び
図4に示すように、作動杆52は、上下方向に長く延びる平板状に形成されている。作動杆52の側面からは、複数の張出部53が水平方向に突出している。張出部53は、搖動アーム46に対応して四か所に設けられている。張出部53は、搖動アーム46が作動杆52を超えた先の搖動アーム46の先端部方向に平板状に突出する突出板53aと、突出板53aから円筒状に後方に向けて立設する当接部53bにより形成される。当接部53bは、その側面が搖動アーム46の先端部上面と当接し、搖動アーム46の上方への移動を規制している。すなわち、駒体載置部材41は自重により下がるので、搖動アーム46は、搖動軸45回りに上方に回動する。そして、搖動アーム46の先端部上面が張出部53の当接部53bと当接することにより、搖動アーム46は上方への回動が規制されている。また、
図3に示すように、盤面部材35の背面に突出して形成される複数のボス54a,54b,54cのうち、搖動アーム46の外側面と対応するボス54aは、搖動アーム46の下方への回動を規制する。
【0037】
作動杆52の上方及び下方には、上下方向に長く形成される長孔55が二箇所に設けられている。この長孔55は、ボス54bに摺動自在に係合されている。よって、長孔55とボス54bとの係合により、作動杆52は上下方向にガイドされている。作動杆52は、作動杆52の略中央部の開口部56内に配置されるばね57により下方に向けて付勢されている。ばね57は、一端を開口部56の内部に位置するボス54c(
図3参照)と係止され、他端を作動杆52から突出して形成される係止部52e(
図4参照)と係止される。
【0038】
次に、
図6に基づいて、押しボタン51の操作により作動杆52が上下動される機構を説明する。
図6は
図4のVI−VI断面であり、
図6(a),(b)及び
図7(a),(b)は、押しボタン51の操作により作動杆52が上下動する様子を示している。
【0039】
図6(a)に示すように、押しボタン51は、ベース部50の穴50aから突出される。押しボタン51は、外形上部をドーム状に形成され、押しボタン51を上面視すれば長軸を左右方向にした楕円形状に形成されている。押しボタン51の外形側面は、縦断面視において上下方向に直線状に形成されている。よって、押しボタン51は、ベース部50に対して上下動自在に設けられている。押しボタン51の下端はフランジ状の環状突出部51aが形成されている。環状突出部51aは穴50aの段部50bと当接し、上方向の移動が規制されている。
【0040】
押しボタン51は、縦断面視における押しボタン51の中央から棒状に下方に延びる当接棒状部51bが形成されている。押しボタン51の下方には、搖動係脱部材61が設けられている。搖動係脱部材61は、前後方向に長く形成され、上面に平坦な平坦面61aが形成されている。当接棒状部51bに対応する平坦面61a上には、凹状に形成される凹部61bが形成されている。凹部61bには、
図6(a)の定常状態において当接棒状部51bの下面と平行に当接する傾斜面61b1が設けられている。
【0041】
搖動係脱部材61の長手方向中央からやや前方寄りの側面二箇所には、左右方向にボス状に突出する支点軸61dが形成されている。一方、底面50cからは、底面50cの内面から立設し、平面が左右方向に向くよう設けられた板状の支点支持部50fが形成されている。そして、支点軸61dは、支点支持部50fの上端面に載置されるようにして支持されている。この支点軸61dにより、搖動係脱部材61は、前後に移動自在であって、かつ、搖動自在に支持される。
【0042】
一方、搖動係脱部材61の平坦面61a前方寄りには、搖動係脱部材61の長手方向に長く開く長孔61cが形成されている。そして、この長孔61cには、ベース部50の底面50cの内面から上方に向けて立設する円筒状のガイド棒50dが挿通されている。よって、支点軸61dは、支点支持部50f上を摺接しながら移動可能にされているので、搖動係脱部材61は、この長孔61cとガイド棒50dが当接する範囲内で、前後に移動可能に形成されている。
【0043】
ガイド棒50dの外周には、ばね62が設けられている。ばね62の上端は、長孔61cの縁部分より外側の、平坦面61aの裏面と当接している。よって、搖動係脱部材61は、ばね62により凹部61b側を上方に付勢されている。また、ばね62は、当接棒状部51bよりも後方側であって、支点軸61dよりも前方側に位置しているので、当接棒状部51bよりも前方側にばね62が位置する場合よりも弱い力で押しボタン51を押すことができる。
【0044】
そして、搖動係脱部材61の一端側としての後方の端部には、舌片状に突出して形成された舌片状係止部61eが突出している。舌片状係止部61eは、縦断面において、先端下方を凸湾曲状に形成される先端湾曲部61e1が設けられている。
【0045】
一方、作動杆52は、平板状に上下の長手方向に延びる作動杆52の本体としての平板状部52aが形成されている。平板状部52aの左右両側には、前方側に向けて壁状に立設する側壁52bが、平板状部52aに沿って形成されている。側壁52bの下方部分は、側壁下端部52b1として側面視三角形状に形成されている。そして、側壁下端部52b1に挟まれるようにして、平板状部52aの下端から前方に向けて鉤状に係止受部52cが突出している。係止受部52cの基端部と平板状部52aで形成される角部には、側面視三角形状のリブ52dが形成されている。リブ52dは、後方側から前方側に向かって下る方向となるように傾斜して形成されている。
【0046】
搖動係脱部材61の幅は、作動杆52の側壁52b間に挿通可能な程度に形成されている。そして、搖動係脱部材61の舌片状係止部61eは、
図6(a)に示す、押しボタン51を押す前の定常状態においては、係止受部52cの下側に入り込んでいる。
【0047】
次に、押しボタン51を押してから作動杆52が上下する動作を、
図6(a),(b)及び
図7(a),(b)に基づいて説明する。まず、
図6(a)の押しボタン51を押す前の定常状態から、ばね62の付勢力に抗して押しボタン51を押すと、当接棒状部51bも下に押し下げられるので、搖動係脱部材61は支点軸61d回りに回動し、舌片状係止部61eは上昇する。すると、作動杆52は上昇する。このとき、搖動係脱部材61が平行になる位置を超えて、一端側である舌片状係止部61eが上方に位置して搖動係脱部材61が傾斜すると、当接棒状部51bの下面と平坦面61aとが線接触し、搖動係脱部材61は前方に移動する。そして、
図6(b)に示すように、作動杆52が上昇限近傍まで上昇すると、搖動係脱部材61の前方への移動により、舌片状係止部61eと係止受部52cとの係合が外れ、
図7(a)に示す状態となる。
【0048】
また、作動杆52は、ばね57により下方に付勢されている。従って、舌片状係止部61eと係止受部52cとの係合が外れると、作動杆52は、勢いよく下方に移動する。そして、押しボタン51から手を離して、搖動係脱部材61が平行になる位置を超えて、一端側である舌片状係止部61eが下方に位置して搖動係脱部材61が傾斜すると、当接棒状部51bと平坦面61aとの線接触により、搖動係脱部材61は後方に移動する。しかしながら、
図7(b)に示すように、作動杆52が下限近傍に位置すると、舌片状係止部61eの先端湾曲部61e1がリブ52dの端面と接触して、リブ52dの端面上を滑り落ちる。このとき、リブ52dの端面は傾斜しているので、搖動係脱部材61は前方に僅かに移動する。そうすると、舌片状係止部61eは、係止受部52cを乗り越える。舌片状係止部61eが係止受部52cを乗り越えた後は、舌片状係止部61eが下方に位置するように搖動係脱部材61は傾斜しているので、当接棒状部51bの下面と平坦面61aとは線接触し、これにより搖動係脱部材61は後方に移動する。そして、搖動係脱部材61は、当接棒状部51bの下面が凹部61bの傾斜面61b1と平行に当接する位置まで後方移動する。当接棒状部51bの下面が凹部61bの傾斜面61b1と平行に当接すると、
図6(a)に示す状態となる。
【0049】
このようにして、作動杆52は、押しボタン51の押し操作により上下動作される。そして、作動杆52が上昇すると、駒体載置部材41は自重により下方になるように搖動軸45回りに回動する。そして、押しボタン51を押し切ると、搖動係脱部材61の舌片状係止部61eと作動杆52の係止受部52cの係合が解除され、作動杆52は勢いよく下方に移動する。このとき、当接部53bと搖動アーム46とは当接しているので、駒体載置部材41は上方に移動するようにして搖動軸45回りに回動する。このとき、駒体載置部43に載置されている駒体10は、一段上方の対向する駒体載置部43に向けて投射され移送される。最上段の駒体載置部43に駒体10が載置されている場合には、押しボタン操作により、駒体受部34に向けて投射される。
【0050】
駒体受部34に向けて投射された駒体10は、駒体受部34から転動して、上部連結部としての上開口部72を通過して駒体下降移送部80における最上段の横架部材86へと移送される。
【0051】
次に、駒体下降移送部80の構成を
図1に基づいて説明する。駒体下降移送部80は、全体を上下方向に長い矩形形状とされるフレーム84が形成されている。フレーム84の上方三分の二程は枠状に大きく開口する枠状部とされる。この開口している部分には、左右方向に渡って、はしご状に横架部材86が形成されている。本実施例においては、上下方向に等間隔で五段の横架部材86が設けられている。横架部材86は、
図8(a)及び(b)に示すように、縦断面形状の上下部が略三角形状の凸部となるように形成されている。
【0052】
また、
図1に示すように、フレーム84の下側には、駒体10が収納される駒体収納部81が形成されている。駒体収納部81は、正面視円形の凹状に形成されている。駒体収納部81の側面には、一片を支持され、三方に切込みを設けて弾性力が生じるように形成された係止片81aが対向する二箇所に形成されている。係止片81aの端部には突起81a1が形成され、駒体収納部81に押し込まれた駒体10に突起81a1が嵌まり込むように形成されている。駒体収納部81と連接した上方には、駒体10を取り出すための取り出し口81bが形成されている。
【0053】
フレーム84の上面には、駒体10を投入可能に開口される投入口82が設けられている。駒体10は、この投入口82から投入されると、最上段の横架部材86から順次はしご下りの要領で下方に移送される。前述の駒体受部34に投射された駒体10も同様に、上開口部72を転動して通過して、多段に形成された横架部材86をはしご下りの要領で下方に移送される。
【0054】
ここで、
図8(a)及び(b)により、駒体10の構成と、はしご下りの様子を説明する。
図8(a)に示すように、駒体10は、第一駒体片11と第二駒体片12とが接合されて形成されている。第一駒体片11と第二駒体片12の接合は、圧入嵌合による接合であっても、接着剤による接合であってもよい。第一駒体片11と第二駒体片12は、外観を対称にして形成されている。
【0055】
第一駒体片11及び第二駒体片12には、それぞれ円盤状のベース部11a,12aが形成されている。ベース部11a,12aの円周縁には、円形のベース部11a,12aの縁の一部に倣って隆起する隆起部11b,12bが、
図8(a)において上下方向に対向して二箇所に形成されている。そして、二箇所の隆起部11b,12bの間の中央には、リブ状のリブ突起11c,12cが形成されている。そして、第一駒体片11と第二駒体片12は、リブ突起11c,12cの平坦面が接合することにより形成されている。
【0056】
そして、第一駒体片11と第二駒体片12が接合されると、対向する隆起部11b,12bにより、溝部13が上下二箇所に形成される。溝部13は、円筒状に形成される空間であって、この空間の断面円直径をHとされる円筒部13aと、この円筒部13aから上下方向に開口し、前後方向の幅Sとして形成される開口端部13bとによりなる。一方、横架部材86は、縦断面における上下方向の幅をh、前後方向の幅をsとして形成されている。このとき、横架部材86の前後方向の幅sよりも上下方向の幅hが広く形成されている。そして、円筒部13aの直径Hは、横架部材86の上下方向幅hよりも僅かに広く形成される。また、開口端部13bの幅Sは、横架部材86の上下方向幅hよりも狭く、横架部材86の前後方向の幅sよりも僅かに広く形成されている。
【0057】
よって、駒体10の溝部13は、
図8(a)に示すように、横架部材86に対して垂直に並んだときに、横架部材86と係脱自在であり、駒体10が横架部材86に対して回転しているときには、係合状態が維持され、駒体10は横架部材86から外れることはない。また、横架部材86の縦断面における上下の端部の形状は、略三角形状に形成され、鈍角の頂点部86aが形成されている。これにより、横架部材86における溝部13の開口端部13bへの係合と、横架部材86が溝部13の円筒部13aと係合した際の駒体10の回転がスムーズに行われることとなる。そして、駒体10は、第一駒体片11側又は第二駒体片12側のどちらか一方側から回転して、
図8(b)に示すように、下段の横架部材86と係合し、ガイドレール部83に到達するまでこの係合が繰り返される。
【0058】
次に、
図9(a),(b)により、ゲート部90の構成を説明する。
図9(a),(b)は、駒体下降移送部80の下方内部に設けられたゲート部90を背面側から見た斜視図である。
図9(a),(b)に示すように、ガイドレール部83は、左右方向に長く壁状にガイド壁83aが前後に対向して形成されている。なお、
図9(a),(b)はゲート部90の内部構造をして示しているので、後側のガイド壁83aが省略されている。
【0059】
前後のガイド壁83a間には、傾斜面83bが形成されている。傾斜面83bは、下開口部73側に向かって下る斜面として形成されている。ガイドレール部83の下開口部73側には、ゲート部90が設けられている。ゲート部90には、上下に摺動自在に形成されるレバー91が設けられている。ゲート部90には、レバー91が設けられている。レバー91は、下方から弾性部92により上方に向けて付勢されている。弾性部92は、圧縮コイルばねを下方から支持することにより形成されている。そして、ゲート部90の下開口部73側には、レバー91と一体とされ、平面が傾斜面83bの長手方向と直交するように形成される当接係止部91aが形成されている。なお、レバー91の上下方向は、
図1に示すように、レバー91の上下動をガイドするようにフレーム84に矩形に開口されたガイド枠87の上辺及び下辺により規制されている。
【0060】
図9(a)に示すように、ゲート部90には、当接係止部91aに対向する位置に規制板93が設けられている。そして、当接係止部91aと規制板93との間には、回動自在に連結回動杆94が設けられている。連結回動杆94は、前後方向に形成される回動軸94a回りに回動する。そして、回動軸94a回りから、丸棒状の二つの連結杆94b,94cが左右に伸びている。一方の連結杆94bは、当接係止部91aに形成される孔91a1に挿入されている。他方の連結杆94cは、規制板93の孔93aに挿入されている。孔91a1,93aは、連結杆94b,94cに対して若干大きく形成される。よって、孔91a1,93aと連結杆94b,94cの間には隙間が形成されている。なお、規制板93は、この連結杆94cと孔93aとの係合により下方に落下しないよう支持されている。
【0061】
このように構成されるゲート部90は、
図9(a)の定常状態においては、レバー91が弾性部92により上方に付勢され、当接係止部91aの上部の一部が傾斜面83bから突出している。よって、駒体10は、
図9(a)の定常状態においては、当接係止部91aと当接し、転動による移動が規制されている。そして、レバー91を押し下げると、当接係止部91aが下方に下がる。すると、当接係止部91aは傾斜面83bから没入し、当接係止部91aによる駒体10の転動規制が解除される。よって、駒体10は、下開口部73を通過して、駒体上昇移送部30へと移送される。また、レバー91を押し下げて当接係止部91aが下方に下がると、連結杆94bは下方に移動する。すると、連結杆94cは上方に移動する。この連結杆94cの上方移動により、規制板93は傾斜面83bから突出する。このとき、転動規制が解除された駒体10の次に待機している駒体10と、この規制板93が当接する。これにより、駒体10が二つガイドレール部83に載置されている場合においても、レバー91による駒体上昇移送部30への駒体10の移送は一つずつ行われることとなる。そして、レバー91から手を離せば、規制板93により転動移動が規制されていた駒体10の転動規制が解除される。そして、この駒体10は、当接係止部91aと当接する位置まで転動して移動して、
図9(a)の状態となる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を適宜加えて実施することができる。例えば、本実施例においては、駒体上昇移送部30と駒体下降移送部とは隣接して形成したが、本発明はこれに限られず、駒体上昇移送部30と駒体下降移送部80とを離間して形成することもできる。この場合、上部連結部としての上開口部72に換えて、駒体受部34から最上段の横架部材86に渡るガイドレール等を上部連結部とすることができる。同様に、下開口部73に換えて、ガイドレール部83から最下段の駒体載置部材41に渡すガイドレール等を下部連結部とすることができる。