(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球及び白血球より大きい有核細胞を、少なくとも前記検体中の真菌又は細菌から区別し、白血球及び白血球より大きい有核細胞の総数を求める
請求項1又は2に記載の検体分析装置。
前記検出部は、第1の検出感度と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度と、前記第2の検出感度より高い第3の検出感度とで蛍光を検出して前記検出信号を出力可能であり、
前記処理部は、前記第1の検出感度で出力された前記検出信号に含まれる前記蛍光信号の前記蛍光パルス面積を用いて白血球を計数し、前記第2の検出感度で出力された前記検出信号に含まれる前記蛍光信号の前記蛍光強度を用いて真菌を計数し、前記第3の検出感度で出力された前記検出信号に含まれる蛍光信号の蛍光強度を用いて細菌を計数する
請求項6に記載の検体分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[1.検体分析装置の構成]
図1に示す検体分析装置100は、検体11に含まれる有形成分を分析する。検体分析装置100は、主な構成として、調製部30と、検出部50と、処理部70と、を備えている。調製部30は、検体11と試薬とを混合して測定試料を調製する。検出部50は、測定試料から有形成分の情報を検出する。処理部70は、検出部50による検出結果に基づいて処理を行う。
【0017】
検体分析装置100は、尿分析モード及び体液分析モードのいずれかで動作可能である。尿分析モードが設定されている場合には、検体分析装置100は、尿検体を内部に取り込み、尿中の有形成分を分析する。尿中の有形成分とは、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌、真菌(未出芽)、精子、トリコモナス等である。
【0018】
体液分析モードが設定されている場合には、検体分析装置100は、体液検体を内部に取り込み、体液中の有形成分を分析する。体液中の有形成分とは、赤血球、結晶、白血球、大型細胞(Large Cell)、真菌、細菌等である。大型細胞とは、白血球よりも大きい有核細胞である。大型細胞は、体腔内膜又は内臓の腹膜から剥がれることなどにより、体液中に存在する。大型細胞には、例えば、上皮細胞、組織球(Macrophage)、腫瘍細胞等が含まれる。
【0019】
体液とは、生体から採取され、細胞を含有する液体を意味する。体液には、髄液、脳脊髄液(Cerebrospinal fluid(CSF))、体腔液(胸水、腹水、心嚢液)、関節液(滑液、滑液嚢、腱鞘に存在する液)、眼房液、房水等が含まれる。体液には、腹膜透析(CAPD)の透析液や腹腔内洗浄液なども含まれる。一般的な定義による体液には、血液および尿が含まれるが、本実施形態の説明においては、体液分析モードが対象とする脳脊髄液(CSF)や関節液等の体液と、尿および血液とを区別するため、「体液」または「体液検体」という場合、血液及び尿を含まないものとする。特許請求の範囲においては、特に明示しない限り、「体液」とは血液および尿を含む。「検体」とは、血液、尿および体液を含む。
【0020】
検体分析装置100の測定部12は、検体分配部20と、調製部30と、検出部50と、マイクロコンピュータ21aと、記憶装置21bと、LANアダプタ21cを備える。測定部12は、LANアダプタ21cを介して処理部13に接続されている。
【0021】
検出部50は、光学検出器22a、増幅回路22b、フィルタ回路23、A/Dコンバータ24、ディジタル信号処理回路25及びメモリ26を備えている。
【0022】
図2に示すように、調製部230は、検体分配部20と接続されている。調製部230は、検体分配部20によって分注された検体に試薬を混合して測定試料を調製する。検体分配部20は、吸引管19とシリンジポンプとを備える。検体分配部20は、試験管10に入った検体11を、吸引管19を介して吸引し、調製部30へ分注する。調製部30は、第1反応槽30uと第2反応槽30bとを備えている。検体分配部20は、反応槽30u及び反応槽30bのそれぞれに定量されたアリコートを分配する。
【0023】
反応槽30uにおいて、分配されたアリコートは、希釈液としての第1試薬31u及び染料を含む第3試薬32uと混合される。第3試薬32uに含まれる色素により、検体中の有形成分が染色される。尿分析モードにおいて、反応槽30uにおいて調製された試料は、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための第1測定試料として使用される。体液分析モードにおいて、反応槽30uにおいて調製された試料は、体液中の赤血球及び結晶を分析するための第3測定試料として使用される。以下では、赤血球、円柱、結晶など、粒子の基本構造として核酸を有さない粒子を無核成分という。
【0024】
反応槽30bにおいて、分配されたアリコートは、希釈液としての第2試薬31b及び染料を含む第4試薬32bと混合される。第2試薬31bは、溶血作用を有する。第4試薬32bに含まれる色素により、検体中の有形成分が染色される。尿分析モードにおいて、反応槽30bにおいて調製された試料は、尿中の細菌などを分析するための第2測定試料となる。体液分析モードにおいて、反応槽30bにおいて調製された試料は、体液中の白血球、大型細胞、真菌、及び細菌を分析するための第4測定試料となる。以下、白血球、大型細胞、真菌、細菌など、粒子の基本構造として核酸を有する粒子を有核成分という。
【0025】
反応槽30uからは、検出部50が有する光学検出器22aのフローセル51へとチューブが延設されており、反応槽30uにおいて調製された測定試料がフローセル51へと供給可能となっている。反応槽30uの出口には、電磁弁33aが設けられている。反応槽30bからもチューブが延設されており、このチューブが反応槽30uから延びたチューブの途中に連結されている。反応槽30bにおいて調製された測定試料がフローセル51へと供給可能である。反応槽30uの出口には、電磁弁33bが設けられている。
【0026】
反応槽30u,30bからフローセル51まで延設されたチューブは、フローセル51の手前で分岐している。チューブの分岐先がシリンジポンプ34aに接続されている。シリンジポンプ34aと分岐点との間には、電磁弁33cが設けられている。
【0027】
反応槽30u,30bのそれぞれから延設されたチューブの接続点から、前記分岐点までの途中で、チューブはさらに分岐している。チューブの分岐先がシリンジポンプ34bに接続されている。シリンジポンプ34bへ延びるチューブの分岐点と、前述の接続点との間には、電磁弁33dが設けられている。
【0028】
調製部30には、シース液を収容するシース液収容部35が設けられている。シース液収容部35はチューブによってフローセル51に接続されている。シース液収容部35にはコンプレッサ35aが接続されている。コンプレッサ35aが駆動されると、シース液収容部35に圧縮空気が供給され、シース液収容部35からフローセル51へとシース液が供給される。
【0029】
反応槽30uからのフローセル51への測定試料の移送は次のようにして行われる。マイクロコンピュータ21aは、電磁弁33u、33d、33cを開く。この状態で、マイクロコンピュータ21aは、シリンジポンプ34aを駆動し、反応槽30uの測定試料を電磁弁33dと電磁弁33cの間の流路に充填する。マイクロコンピュータ21aは、電磁弁33d、33cを閉じ、シリンジポンプ34bを駆動し、流路に充填した測定試料をフローセル51側へ押し出す。これにより、シース液に包まれた測定試料の流れがフローセル51内に形成される。反応槽30bから測定試料を移送する場合は、電磁弁33uを閉じ、電磁弁33bを開き、反応槽30b内の測定試料を流路に充填する。それ以降の処理は同様である。マイクロコンピュータ21aは、シリンジポンプ34bの押し出し速度を制御することで、単位時間あたりにフローセル51を流れる測定試料の量を調節することができる。
【0030】
図3に示すように、光学検出器22aは、コンデンサレンズ52と集光レンズ54,56と、を有している。半導体レーザ光源53は、フローセルを流れる試料流に平行な直線偏光の光を放射する。コンデンサレンズ52は、半導体レーザ光源53から放射されたレーザ光をフローセル51に集光する。集光レンズ54は、測定試料中の有形成分である粒子から発せられる前方散乱光を前方散乱光受光部55に集光する。前方散乱光受光部55は、前方散乱光を検出する。他の集光レンズ56は、測定試料中の有形成分から発せられる側方散乱光と蛍光とをダイクロイックミラー57aに集光する。ダイクロイックミラー57aは、側方散乱光をハーフミラー57b側へ反射し、蛍光を蛍光受光部59の方へ透過させる。蛍光受光部59は蛍光を検出する。
【0031】
ハーフミラー57bは、無偏光タイプである。ハーフミラー57bによって、側方散乱光は2分割される。ハーフミラー57bを透過した側方散乱光は、側方散乱光受光部58aにより検出される。ハーフミラー57bにより反射された側方散乱光は、偏光フィルタ57cに入射する。
【0032】
偏光フィルタ57cは、フローセル51を流れる測定試料の流れ方向に平行な偏光(半導体レーザ光源53から放射された光と同じ偏光状態の光)を遮断し、垂直な偏光方向を通過させる。偏光フィルタ57cを通過した側方散乱光を、以下、「偏光解消側方散乱光」と称する。偏光解消側方散乱光受光部58bは、偏光解消側方散乱光を検出する。
【0033】
前方散乱光受光部55、側方散乱光受光部58a、偏光解消側方散乱光58b及び蛍光受光部59は、受光した光信号を検出信号である電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)、偏光解消側方散乱光信号(PSSC)、及び蛍光信号(FL)を出力する。
【0034】
これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、次段の処理に供される。前方散乱光受光部55、側方散乱光受光部58a、偏光解消側方散乱光受光部58b、及び蛍光受光部59のそれぞれは、駆動電圧を切り替えることにより、低感度出力と高感度出力との切り替えが可能である。この感度の切り替えは、後述のマイクロコンピュータ21aにより行われる。
【0035】
本実施形態では、前方散乱光受光部55としてフォトダイオードが用いられ、側方散乱光受光部58a、偏光解消側方散乱光受光部58b及び蛍光受光部59としてフォトマルチプライヤチューブが用いられている。前方散乱光受光部55としてフォトマルチプライヤチューブを用いてもよいし、側方散乱光受光部58a、偏光解消側方散乱光受光部58b、及び蛍光受光部59としてフォトダイオードを用いてもよい。蛍光受光部59から出力された蛍光信号(FL)は、図示しないプリアンプにより増幅された後、分岐する二つの信号チャンネルに与えられる。
【0036】
蛍光信号(FL)に関する二つの信号チャンネルは、それぞれ後述する増幅回路22b(
図1参照)に接続されている。一方の信号チャンネルに入力された蛍光信号は、増幅回路22bにより高感度に増幅される。このチャンネルに入力される蛍光信号を第1蛍光信号(FLH)と呼ぶ。他方の信号チャンネルに入力された蛍光信号は、増幅回路22bにより低感度に増幅される。このチャンネルに入力される蛍光信号を第2蛍光信号(FLL)と呼ぶ。
【0037】
図1に戻って、増幅回路22bは、光学検出部22aから出力されたFSC、SSC、PSSC、FLH、FLLの5種類の信号を増幅する。
【0038】
フィルタ回路23は、増幅回路22bによって増幅された信号にフィルタ処理を施す。A/Dコンバータ24は、フィルタ回路によって処理された信号をディジタル信号に変換する。ディジタル信号処理回路25は、各光学信号から解析用パラメータを抽出する。抽出された特徴パラメータは、測定データとしてメモリ26に格納される。
【0039】
ディジタル信号処理回路25によって抽出される解析用パラメータについて、
図4Aを参照して説明する。
【0040】
解析用パラメータとしては、各光学信号FSC,SSC,PSSC,FLH,FLLについて、「強度」、「パルス幅」及び「パルス面積」の3種類がある。強度はPで表される。パルス幅はWで表される。パルス面積はAで表される。上述したように、粒子がフローセル51を通過する度に、各受光部から出力される電気信号は、粒子の特性に応じてパルス状に変化する。
【0041】
光学信号の強度は、
図4Aに示すようなパルスのピークの高さPとして得られる。光学信号のパルス幅は、
図4Bに示すように、パルスが所定の閾値を超えたときの時刻T1から閾値を下回った時刻T2までの間隔Wとして得られる。光学信号のパルス面積は、
図4Cに示すように、信号のパルス波形線L1と、パルスの両側において光学信号強度が所定の閾値を取るときの時刻を示す直線L2,L3と、光学信号強度の値が0を示す直線L4とで囲まれる領域(図中斜線を付した領域)PAの面積、すなわち、信号強度の時間積分値として得られる。
【0042】
ここに示した解析用パラメータの抽出方法は一例に過ぎず、異なる抽出方法を用いることができる。パルス面積は、パルスの時間曲線下面積を反映する値であれば近似値であってもよく、時間積分値には限られない。例えば、パルス面積は、パルス幅とピークの高さの積であってもよいし、パルス幅とピークの高さから求めた三角形の面積であってもよい。時間積分値を抽出する形態において、底辺は強度が0の直線でなくてもよく、適宜設定できる。例えば、
図4Cに示した所定の閾値を底辺としてもよいし、あるいは、シース液のみをフローセル51に流したときのパルスの値を基準値として、それを底辺としてもよい。
【0043】
図2を再び参照して、第1〜第4試薬について詳細に説明する。第1試薬31uは、緩衝剤を主成分とする試薬である。第1試薬31uは、赤血球を溶血させずに安定した蛍光信号を得ることができるように浸透圧補償剤を含有している。第1試薬31uの浸透圧は、分類測定に適するような浸透圧となるよう100〜600mOsm/kgに調整されている。第1試薬31uは、尿中の赤血球に対する溶血作用を有していない。
【0044】
第2試薬31bは、第1試薬31uと異なり、溶血作用を有している。これは、第4試薬32bの真菌及び細菌の細胞膜への通過性を高めて染色を早く進行させるためである。さらに、粘液糸、赤血球破片などの夾雑物を収縮させるためでもある。第2試薬31bは、溶血作用を獲得するために界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン、ノニオン、カチオンなど種々用いられるが、カチオン系界面活性剤が特に好適である。界面活性剤により真菌及び細菌の細胞膜にダメージを与えることができるため、第4試薬32bが含有する色素により効率よく真菌及び細菌などの有核成分に含まれる核酸を染色することができる。その結果、真菌及び細菌の測定を短時間の染色処理で行うことができる。
【0045】
第2試薬31bは、界面活性剤ではなく、酸性又は低pHに調整されることで溶血作用を獲得してもよい。低pHとは、第1試薬31uよりもpHが低いことをいう。第1試薬31uが中性もしくは弱酸性〜弱アルカリ性の範囲内であるとき、第2試薬31bは酸性又は強酸性である。第1試薬31uのpHが6.0から8.0であるとき、第2試薬31bのpHは、それよりも低いpHであり、好ましくは2.0から6.0である。第2試薬19bは、界面活性剤を含み、かつ、低pHに調整されていてもよい。第2試薬31bは、第1試薬31uよりも低い浸透圧にすることで、溶血作用を獲得してもよい。
【0046】
第1試薬31uは界面活性剤を含んでいない。第1試薬31uは界面活性剤を含んでもよいが、この場合、赤血球を溶血させないように種類と濃度を調整する必要がある。第1試薬31uは、第2試薬31bと同じ界面活性剤を含まないか、もしくは同じ界面活性剤を含んでいたとしても、第2試薬31bよりも低濃度であることが好ましい。
【0047】
第3試薬32uは、無核成分を染色するための染色試薬である。第3試薬32uが含む染料としては、核酸よりも細胞膜の脂質及びタンパク質に結合しやすい蛍光色素が選ばれる。このような色素としては、シアニン系、スチリル系、アクリジン系色素のうち赤血球の形態に影響を及ぼさない色素が好ましい。無核有形成分を染色する色素としては、脂溶性カルボシアニン色素が好ましく、特にインドカルボシアニン色素、オキサカルボシアニン色素等が好ましい。
【0048】
具体的なインドカルボシアニン色素としては、DiI(1,1‘-dioctadecyl-3,3,3’,3‘-tetramethylindocarbocyanine perchlorate), DiD(1,1’-dioctadecyl-3,3,3‘,3’- tetramethylindodicarbocyanine), DiR(1,1’-dioctadecyltetramethyl indotricarbocyanine Iodide)等が挙げられる。オキサカルボシアニン色素としてはDiOC2(3)(3,3′-diethyloxacarbocyanine iodide), DiOC3(3)(3,3-Dipropyloxacarbocyanine iodide), DiOC4(3)(3,3′-Dibutyloxacarbocyanine iodide), DiOC5(3)(3,3-Dipentyloxacarbocyanine iodide)等が挙げられる。無核成分を染色する色素としては、DiOC3(3)(3,3-Dipropyloxacarbocyanine iodide)が特に好ましい。
【0049】
第4試薬32bは、有核成分を染色するための染色試薬である。第4試薬液32bが含む染料としては、脂質及びタンパク質よりも核酸に結合しやすい蛍光色素が選ばれる。より詳細に説明すると、第4試薬32bには、核酸を特異的に染色するためのインターカレータや副溝(minor groove)に結合する色素が含有されている。
【0050】
インターカレータとしては、シアニン系、アクリジン系、phenanthridium系の公知の色素が挙げられる。例えば、シアニン系のインターカレータとしては、SYBR Green I、Thiazole orangeが挙げられる。アクリジン系のインターカレータとしては、Acridinorangeが挙げられる。phenanthridium系のインターカレータとしてはpropidium Iodide、Ethidium bromideが挙げられる。副溝に結合する色素としてはDAPI、Hoechstの公知の色素が挙げられる。例えば、Hoechetの副溝に結合する色素としては、Hoechst 33342、Hoechst 33258が挙げられる。本実施形態において、シアニン系のインターカレータが好ましく、特に、SYBR GreenI、Thiazole orangeが好ましい。
【0051】
尿分析モードにおいては、1つの尿検体から、赤血球が形態を維持し、かつ細胞膜が染色された第1測定試料と、有核成分の核酸が染色され、赤血球が溶血された第2測定試料とがそれぞれ調製される。第1測定試料を用いて尿中の赤血球、円柱、結晶が測定される。第2測定試料を用いて尿中の白血球、上皮細胞、異型細胞、真菌、精子、トリコモナス、細菌が測定される。赤血球と真菌はサイズが似ているため、これらの高精度な分類が従来望まれていたが、本実施形態では、真菌は赤血球が溶血された第2測定試料を用いて測定されるため、赤血球の影響を受けることなく真菌を高精度に分類し、計数できる。
【0052】
体液分析モードにおいては、1つの体液検体から、体液中の赤血球及び結晶を測定するための第3測定試料と、体液中の白血球、大型細胞、真菌及び細菌を測定するための第4測定試料とがそれぞれ調製される。第3測定試料を用いて体液中の赤血球及び結晶が測定される。第4測定試料を用いて体液中の白血球、大型細胞、真菌及び細菌が測定される。赤血球を溶血させた第4測定試料を調製することで、尿分析モードと同様に、赤血球の影響を受けることなく、正確に真菌を測定することができる。
【0053】
尿分析モードでの尿中有形成分の測定と、体液分析モードでの体液中の赤血球の測定とにおいて、第1試薬31u及び第3試薬32uが共用化されている。尿分析モードでの細菌の測定と、体液分析モードでの体液中の白血球、大型細胞、真菌及び細菌の測定とにおいて、第2試薬31b及び第4試薬32uが共用化されている。尿分析モードと体液分析モードとで試薬を共用化することで、専用の試薬を準備する必要がない。
【0054】
図5は、処理部13の構成を示すブロック図である。処理部13は、パーソナルコンピュータによって構成されており、本体400と、入力部408と、表示部409とを備えている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0055】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0056】
ハードディスク404には、種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。インストールされたコンピュータプログラムには、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどが含まれる。アプリケーションプログラムには、測定部12から与えられた測定データを解析し、分析結果を出力するためのコンピュータプログラムが含まれる。
【0057】
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されている。ユーザが入力部408を使用することにより、処理部13にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。処理部13は、通信インターフェース410を介して測定部12に接続されており、通信インターフェース410により、測定部12に対してデータの送受信が行われる。
【0059】
[分析モードの設定]
検体分析装置100が起動すると、処理部13のCPU401は、デフォルトで尿分析モードに設定される。CPU401は、尿分析モードに設定された状態で測定実行指示(後述の
図6のS501)を受け付けると、測定部12のマイクロコンピュータ21aに、尿分析用の検体測定動作を実行させる。尿分析用の検体測定動作において得られた測定データは、処理部13のCPU401によって解析され、尿分析モード用の計数項目に基づいて粒子の分類および計数が行われる。
【0060】
処理部13のCPU401は、尿分析モードから体液分析モードへのモード切替指示を受け付けることができる。モード切替指示を受け付けると、CPU401は、体液分析モードに設定される。CPU401は、測定部12のマイクロコンピュータ21aにプレシーケンスを実行させる。プレシーケンスとは、細胞を含有しないブランク試料としてシース液を測定し、バックグラウンドをチェックすることである。プレシーケンスの結果、バックグラウンドに問題ないことが確認されると、CPU401は測定実行の指示を受け付け可能な状態になる。CPU401は、体液分析モードに設定された状態で測定実行指示(後述の
図6のS501)を受け付けると、測定部12のマイクロコンピュータ21aに、体液分析用の測定シーケンスを実行させる。体液分析用の検体測定動作において得られた測定データは、処理部13のCPU401によって解析され、体液分析モード用の計数項目に基づいて粒子の分類および計数が行われる。
【0061】
[検体測定動作]
図6を参照して検体測定動作を説明する。尿分析モードにおける検体測定動作と、体液分析モードにおける検体測定動作は、基本的には同じシーケンスで構成されているため、以下では、同じフローチャートを用いて両モードにおける検体測定動作を説明する。
【0062】
図6のステップS501において、測定実行の指示が処理部13の入力部408から入力される。体液分析モードにおいては、処理部13の表示部409に、
図7の情報入力画面450が表示される。ユーザは、この情報入力画面を介して検体IDと体液検体の種類を入力することができる。体液検体の種類の選択肢としては、脳脊髄液、関節液、体腔液・その他、指定なしの4つが表示されている。各選択肢の隣に表示されたラジオボタンを操作することで体液検体の種類を入力することができる。体液検体は緊急で測定することがあるため、操作を急いで誤った入力が行われないように「指定なし」がデフォルトで選択されている。体液検体の種類を指定せずに測定を開始することもできる。ユーザが体液検体の種類を入力してOKボタンを操作すると、測定実行の指示がCPU401に与えられる。
【0063】
この指示を受けて、CPU401は、ステップS502において、測定部13に測定開始を指示する指示データを送信する。ステップS503において、測定部13が指示データを受信すると、マイクロコンピュータ21aが、ステップS504の測定試料調製処理と、ステップS505の無核成分測定処理と、ステップS506の有核成分測定処理と、を実行する。
【0064】
図8に示すように、測定試料調製処理S504では、ステップS601及びS602において、マイクロコンピュータ21aが調製部2を制御して、吸引管19に試験管10から検体11を所定量吸引させ、反応槽30uと反応槽30bとにそれぞれ所定量の検体を分注させる。
【0065】
ステップS603及びS604において、反応槽30uには、検体11とともに所定量の第1試薬(希釈液)31u及び第3試薬(染色液)32uが定量されて分注される。ステップS605及びS606において、反応槽30bにも同様にして、検体11とともに所定量の第2試薬(希釈液)31b及び第4試薬(染色液)32bが定量されて分注される。
【0066】
反応槽30u及び反応槽30bは、それぞれ図示しないヒータによって所定温度になるように加温されている。ステップS607では、加温された状態でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により試料の攪拌が行われる。これにより、尿分析モードでは、反応槽30uにおいて無核成分測定用の第1測定試料が調製され、反応槽30bにおいて有核成分測定用の第2測定試料が調製される。体液分析モードでは、反応槽30uにおいて無核成分測定用の第3測定試料が調製され、反応槽30bにおいて有核成分測定用の第4測定試料が調製される。ステップS607の処理が終了すると、マイクロコンピュータ21aは、メインルーチンへ処理をリターンする。
【0067】
図6に戻り、無核成分測定処理S505では、マイクロコンピュータ21aは、コンプレッサ35aから圧縮空気をシース液収容部35へ供給させることで、フローセル51へシース液を送液させる。マイクロコンピュータ21aは、フローセル51へのシース液供給が継続されている状態で、シリンジポンプ34bを駆動して反応槽30uからフローセル51へ第3測定試料を供給する。
【0068】
好ましい実施形態においては、シリンジポンプ34bの単位時間当たりの押し出し量は、尿分析モードと体液分析モードとで異なってもよい。体液分析モードにおける単位時間当たりの押し出し量は、好ましくは、尿分析モードの場合の1/8である。
【0069】
体液は、尿に比べて赤血球の濃度が高い検体が多い。
図9Aに示すように、体液から調製した測定試料の単位時間当たりの押し出し量が多いと、複数の赤血球がレーザ光を同時に通過することがある。
図9Bに示すように、単位時間当たりの送り出し量を減らすと、試料流の流径が小さくなる。これにより、赤血球が1つ1つ別々にレーザ光を通過することとなり、計数精度が向上する。
【0070】
マイクロコンピュータ21aは、レーザ光源53にレーザビームを照射させる。これにより第3測定試料中の粒子の前方散乱光、蛍光、側方散乱光、及び偏光解消側方散乱光が発生する。前方散乱光、蛍光、側方散乱光及び偏光解消側方散乱光のそれぞれは、前方散乱光受光部55、蛍光受光部59、側方散乱光受光部58a、及び偏光解消側方散乱光受光部58bにより受光されて、FSC、FLH、FLL、SSC、PSSCの5種類の光学信号に変換される。
【0071】
光学検出部22aから出力された光学信号は、増幅回路22bにおいて増幅され、フィルタ回路23によってフィルタ処理が施された後、A/Dコンバータ24によってディジタル信号に変換される。ディジタル信号処理回路25は、各光学信号から解析用パラメータを抽出する。抽出された特徴パラメータは、測定データとしてメモリ26に格納される。
【0072】
有核成分測定処理S506では、マイクロコンピュータ21aは、上述の無核成分測定処理と同様に、コンプレッサ35aとシリンジポンプ34bを駆動して、シース液が供給されているフローセル51へ反応槽30bから第4測定試料を供給させる。マイクロコンピュータ21aは、レーザ光源53にレーザビームを照射させる。これにより第4測定試料中の粒子から5種類の光学信号が検出され、各光学信号の解析用パラメータが抽出されてメモリ26に格納される。
【0073】
第4測定試料の供給が開始されてから所定時間が経過すると、マイクロコンピュータ21aは、前方散乱光受光部55、側方散乱光受光部58及び蛍光受光部59の受光感度を細菌測定用に高感度に設定する。具体的には、ゲインが5倍に設定される。これは、細菌は他の有核細胞に比べてサイズが小さく、蛍光量が有核細胞測定の場合に比べて低いためである。感度を高くすることで、細菌から発せられる微量の光を高精度に検出することができる。
【0074】
受光感度が切り替えられた後も、フローセル51へのシース液及び第4測定試料の供給とレーザビームの照射が所定時間継続される。これにより第4測定試料中の粒子から5種類の光学信号が検出され、各光学信号の解析用パラメータが抽出されてメモリ26に格納される。
【0075】
ステップS507において、マイクロコンピュータ21aは、無核成分測定処理及び有核成分測定処理によって生成された測定データを処理部13へ送信し、処理を終了する。
【0076】
ステップS509においてCPU401は、測定データの解析処理を実行し、検体の分析結果を生成して、当該分析結果をハードディスク404に格納する。ステップS510において、CPU401は、分析結果を表示する。
【0077】
図10は、ステップS509の解析処理のサブルーチンを示す。CPU401は、ステップS801の無核成分分類処理と、ステップS802の白血球・大型細胞分類処理と、ステップS803の真菌検出処理と、ステップS804の細菌検出処理と、を行う。
【0078】
尿分析モードの無核成分分類処理S801では、CPU401は、第1測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、赤血球と結晶を識別し、計数する。
図11は、赤血球及び結晶の分布を示す図である。
図11の横軸は、FLHの強度(FLHP)を示し、縦軸はFSCの強度(FSCP)を示している。
図11に示すように、赤血球の分布領域R11と、結晶の分布領域R12とは、FLHPにおいて差異が認められる。これは、結晶と赤血球とで色素による染まり易さが異なるためである。したがって、赤血球と結晶とは、FLHPに基づいて分類される。
【0079】
体液分析モードの無核成分分類処理S801においても、尿分析モードと同様に、第3測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、赤血球と結晶が識別され、計数される。
【0080】
無核成分分類処理S801では、
図11に示す領域R11に含まれる粒子が赤血球として検出され、計数される。また、
図11に示す領域R12に含まれる粒子が結晶として検出され、計数される。
【0081】
尿分析モードの無核成分分類処理S801では、さらに、第1測定試料から得られたFLLWとFLLAを使用して円柱が計数される。体液に円柱は含まれないため、体液分析モードでは、円柱は計数されない。
【0082】
尿分析モードの白血球・大型細胞分類処理S802では、感度切り替え前に第2測定試料から得られたFSC及びFLLを使用して、白血球と、上皮細胞と、異型細胞と、が検出され、計数される。散乱光信号は、粒子の大きさを反映する。蛍光信号は、粒子中の核酸量を反映する。白血球、上皮細胞、異型細胞は、真菌及び細菌等よりも核酸量が大きく、蛍光量が大きいため、蛍光信号(FL)としては、低感度で得られた第2蛍光信号(FLL)を用いて検出される。
【0083】
図12Aに示すように、FLLA−FSCW空間において、白血球、異型細胞、及び上皮細胞が分布する。
図12Aの横軸は、FLLのパルス面積(FLLA)を示す。
図12Aの縦軸は、FSCのパルス幅(FSCW)を示している。
図12Aに示すように、白血球及び上皮細胞と、異型細胞とにはFLLAにおいて差異が認められる。これは、白血球と上皮細胞とには核酸量に概ね差異がなく、異型細胞の方が白血球及び上皮細胞よりも核酸量が多いためである。
【0084】
白血球と上皮細胞とは、FSCWにおいて差異が認められる。これは、大型細胞である上皮細胞は白血球よりもサイズが大きいためである。したがって、白血球、大型細胞(上皮細胞)、及び異型細胞は、FLLA及びFSCWに基づいて分類される。白血球・大型細胞分類処理S802では、
図12Aに示す領域R21に含まれる粒子が異型細胞として検出され、計数される。白血球の検出結果の一例を
図12Bに示した。
図12Aに示す領域R22に含まれる粒子が白血球として検出され、計数される。
図12Aに示す領域R23に含まれる粒子が上皮細胞として検出され、計数される。
【0085】
体液分析モードの白血球・大型細胞分類処理S802においても、尿分析モードと同様に、第4測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、FSC及びFLLを使用して、白血球と、上皮細胞と、異型細胞と、が検出され、計数される。上皮細胞と異型細胞は、まとめて大型細胞(LC)として計数される。計数される大型細胞としては上皮細胞以外に、腫瘍細胞など他の有核細胞を含めてもよい。
【0086】
体液検体中には、比較的大きな細胞として、白血球のほか、白血球よりも大きい有核細胞として上皮細胞又は腫瘍細胞などが含まれる。散乱光信号のパルス幅(FSCW)と蛍光信号のパルス面積(FLLA)の組み合わせは、大きいサイズの有核細胞に検出に適している。したがって、体液中の白血球数及び大型細胞数それぞれを精度よく計数することができる。
【0087】
体液分析モードの白血球・大型細胞分類処理S802では、白血球数及び上皮細胞数がそれぞれ計数されるだけでなく、白血球数、上皮細胞(大型細胞)、及び異型細胞を含む有核細胞の総数が、総有核細胞数(TNC)として計数される。
【0088】
ここで、体液分析モードにおいて計数項目となる粒子には、赤血球及び白血球のように、尿分析モードと同様のもの含まれるが、大型細胞数及び総有核細胞数のように、尿分析モードでは計数されないものも含まれる。一方、尿分析モードでは、体液分析モードでは計数されない円柱などが計数される。このように、検体分析装置100では、尿分析モード及び体液分析モードそれぞれにおいて、特有の計数項目に基づいて分類・計数が行われる。
【0089】
第4測定試料中に細菌又は真菌が含まれている場合であっても、細菌及び真菌は、白血球に比べて、十分に小さいため、
図12Aに示す領域R22,R23を用いると、白血球及び上皮細胞それぞれを、細菌又は真菌から区別することができる。このため、総有核細胞数(TNC)は、白血球及び白血球より大きい有核細胞を真菌又は細菌から区別して、白血球及び白血球より大きい有核細胞の総数として求められる。
【0090】
体液分析モードの白血球・大型細胞分類処理S802では、領域R22に含まれるものとして検出された白血球(
図12B参照)をさらに分類する。ここでは、白血球を、単核白血球(Mononuclear WBC(MN))と、多形核白血球(Polymorphonuclear WBC(PMN))とに、2分類する。分類される白血球の種類数は特に限定されず、例えば、白血球をリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球の5種類に分類してもよい。体液に含まれる白血球の数は少ないため、白血球を多種類に分類すると、分類された種類毎の白血球数が少なくなり分類精度が低下する場合がある。このため、白血球の分類は2分類が好適である。
【0091】
白血球の分類では、感度切り替え前に第4測定試料を測定から得られた前方散乱光信号(FSC)及び側方散乱光信号(SSC)が用いられる。白血球の分類によって、単核白血球及び多形核白血球それぞれが検出され、単核白血球数(MN#)と多形核白血球数(PMN#)が計数される。これらの数の比率に基づいて、単核白血球比率(MN%)と多形核白血球比率(PMN%)が算出される。
【0092】
図13に示すように、SSCP−FSCP空間において、単核白血球及び多形核白血球が分布する。
図13の横軸は、側方散乱光信号強度(SSCP)を示し、
図13の縦軸は、前方散乱光信号強度(FSCP)を示す。白血球の分類には、蛍光信号強度及び側方散乱光信号強度を用いても良い。
【0093】
白血球の分類のための検出結果を、
図14Aから
図14Cに示す。
図14Aは、単核白血球が多く含まれる体液検体についての検出結果としてのスキャッタグラムである。
図14Bは、多形核白血球が多く含まれる体液検体についての検出結果としてのスキャッタグラムである。
図14Cは、単核白血球及び多形核白血球がともに多く含まれる体液検体についての検出結果としてのスキャッタグラムである。
【0094】
尿分析モードの白血球・大型細胞分類処理S802では、白血球の分類は行われない。尿中の白血球は体液中の白血球に比べて形態が安定でなく、信頼性の高い分類が困難な場合があるためである。ただし、これはあくまで一実施形態に過ぎず、尿分析モードにおいて、体液分析モードと同様にして白血球分類を行ってもよい。
【0095】
尿分析モードの真菌検出処理S803では、感度切り替え前に第2測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、真菌が検出され、計数される。真菌は、白血球及び大型細胞よりも核酸量が小さく、蛍光量が比較的小さいため、蛍光信号(FL)としては、FLLより高感度で得られたFLHが用いられる。なお、感度切り替え後に得られたFLH(後述のFLH2)と区別するために、感度切り替え前のFLHをFLH1と呼ぶ。白血球等と真菌とは、核酸量が異なるため、検出感度の異なる蛍光信号FLL,FLH1とを使いわけることで、白血球等と真菌とを区別して計数することができる。
【0096】
図15Aに示すように、FLHP1−FSCP空間において、真菌が分布する。
図15Aの横軸は、FLH1の強度(FLHP1)を示す。
図15Aの縦軸は、前方散乱光強度(FSCP)を示している。
図15Aに示す領域R42に含まれる粒子が真菌として検出され、計数される。真菌の検出結果の一例を
図15Bに示した。
【0097】
尿分析モードの無核成分分類処理S801では、さらに、感度切り替え前の第4測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、領域R41および領域42に含まれる粒子が精子およびトリコモナスとして検出され、計数される。
【0098】
体液分析モードの真菌検出処理S802においては、尿分析モードと同様に、感度切り替え前に第4測定試料から得られたFSC及びFLHを使用して、真菌が検出され、計数される。体液には精子およびトリコモナスは含まれないため、これらは体液分析モードでは計数されない。
【0099】
尿分析モードの細菌検出処理S804では、感度切り替え後に第4測定試料から得られたFSC及びFLH2を使用して、細菌が検出され、計数される。FLH2は、感度切り替え後に得られたFLHである。細菌は、真菌よりもさらにサイズが小さく、また核酸量も少ないため、蛍光量が真菌よりも小さい。このため、細菌は、最も高感度で得られたFLH2を用いて検出される。ここで用いられる前方散乱光(FSC)も、真菌及び白血球等の検出に用いられた前方散乱光信号(FSC)よりも高感度である。
【0100】
図16に示すように、FLHP2−FSCP空間において、細菌が分布する。
図16の横軸は、感度切り替え後の高感度蛍光FLH2の強度(FLHP2)を示す。
図16の縦軸は、高感度の前方散乱光強度(FSCP)を示す。
図16に示す領域R5に含まれる粒子が細菌として検出され、計数される。
【0101】
体液分析モードの細菌検出処理S804においては、尿分析モードと同様に、感度切り替え後に第4測定試料から得られたFSC及びFLH2を使用して、細菌が検出され、計数される。
【0102】
図17は、細菌、真菌、白血球、上皮細胞、異型細胞それぞれの核酸量(DNA量)と粒子径を示している。前述したように、検体分析装置100は、粒子径が非常に小さく核酸量も少ない細菌から、粒子径が大きく核酸量も多い上皮細胞(大型細胞)まで、広範囲に粒径の異なる尿中および体液中の有形成分を、一つの測定試料を用いて分析することができる。
【0103】
検体分析装置100は、同一の光学検出器22aを用いても、幅広い範囲で分布する粒子それぞれを精度良く検出できるようにするため、第1の検出感度、第2の検出感度、及び第3の検出感度の3種類の検出感度で、検出部50から検出信号を得ることができる。第1の検出感度は最も低い感度であり、第2の検出感度は、第1の検出感度よりも高い感度である。第3の検出感度は、第2の検出感度よりも高い。
【0104】
本実施形態において、第1の検出感度で得られる検出信号は、感度切り替え前に得られた低感度蛍光信号(FLL)である。第2の検出感度で得られる検出信号は、感度切り替え前に得られた高感度蛍光信号(FLH1)である。第3の検出感度で得られる検出信号は、感度切り替え後に得られた高感度蛍光信号(FLH2)である。
【0105】
第1の検出感度で得られた低感度蛍光信号(FLL)に基づく第1特徴パラメータFLLAは、
図12Aに示すように白血球・大型細胞分類処理S802に用いられる。第2の検出感度で得られた高感度蛍光信号(FLH1)に基づく第2特徴パラメータFLHP1は、
図15Aに示すように、真菌検出処理S803に用いられる。第3の検出感度で得られた高感度蛍光信号(FLH2)に基づく第3特徴パラメータFLHP2は、
図16に示すように、細菌検出処理S804に用いられる。
【0106】
白血球・大型細胞分類処理S802では、特徴パラメータとして、蛍光パルス面積(FLLA)が用いられ、真菌検出処理S803及び細菌検出処理S804では、特徴パラメータとして、蛍光強度(FLHP1,FLHP2)が用いられる。蛍光パルス面積と蛍光強度とを使い分ける理由は次のとおりである。
【0107】
本実施形態では光源53によって形成されるビームスポットの試料の流れ方向の径Wは約4〜7μmである。これに対し、上皮細胞、異型細胞、及び白血球は、核径がビームスポットの径Wよりも大きい。真菌の核、細菌は、ビームスポットの径Wより小さい。
【0108】
図18Aに示すように、大型の細胞LCの核N1は、ビームスポットの径Wよりも大きいので、ビームスポット中に大型の細胞LCの核N1は収まらない。蛍光信号の強度は、照射された核の一部の核酸量しか反映していない。一方、蛍光信号強度を時間で積分した面積値LA1は、核全体の核酸量を反映した値と考えることができる。大型の細胞LCについては、核全体の核酸量を反映するパラメータとして、蛍光信号強度を時間で積分した蛍光パルス面積値LA1が適している。
【0109】
真菌などの小型の細胞SCでは、
図18Bに示すように、核N2がビームスポットの径Wよりも小さいので、ビームスポット中に細胞LCの核N2全体が収まる。真菌や細菌のような特に小型の細胞は、粒子全体がビームスポット中に納まる。進行方向に細胞SCが進行すると、核N2がビームスポットに入ってから外に出るまでの間、核N2の全体が照射され続ける。このため、小型の細胞SCの核酸量を反映するパラメータとして蛍光信号強度を時間で積分した面積値LA2を用いると、見かけの値が実際の核酸量よりも大きな値となってしまう。一方、蛍光信号強度は、核の実際の核酸量を反映した値と考えることができる。よって、小型の細胞SCについては、核酸量を反映するパラメータとして、蛍光強度が適している。
【0110】
白血球は直径が約10〜15μmであり、真菌(未出芽の真菌)は直径が約3〜8μmである。白血球と真菌は似たようなサイズを有しているため、白血球と真菌との区別は必ずしも容易ではないが、本実施形態では、白血球と真菌を区別して両者を計数することが可能である。本実施形態では、白血球と真菌とで、検出感度の異なる蛍光信号FLL,FLH1とを使いわけるとともに、白血球については蛍光パルス面積を用い、小型細胞である真菌については蛍光強度を用いることで、核酸量の違いに基づいて白血球と真菌との区別を容易にしている。
【0111】
図6に戻って、尿分析モードにおける分類計数結果の解析・表示処理ステップS510では、CPU401は、尿中有形成分の分類計数結果とスキャッタグラムを含む計数結果画面を表示部409に表示させる。計数結果画面に表示される計数結果は、赤血球、白血球、円柱、上皮細胞、細菌、真菌、精子、トリコモナス、異型細胞の数を含む。
【0112】
体液分析モードにおける分類計数結果の解析・表示処理ステップS510では、CPU401は、例えば、
図19に示す処理を実行する。この処理では、体液中に含まれる複数種類の粒子の分析結果(計数結果)に基づき判定が行われる。具体的には、異常値を示した粒子の種類の組み合わせに基づいて、疑われる炎症の判定が行われる。
【0113】
ステップS851において、CPU401は、受け付けた体液検体の種類を判定する。体液の種類が脳脊髄液である場合には、S852において、脳脊髄液用の判定条件に従って炎症判定が行われる。体液の種類が関節液である場合には、S853において、関節液用の判定条件に従って炎症判定が行われる。体液の種類が体腔液である場合には、S854において、体腔液用の一又は複数の判定条件に従って、炎症判定が行われる。体液の種類が指定されていない場合には、S855において、S852〜S854において用いられる判定条件のいずれかに該当するかを判定する。S852〜S854のそれぞれの判定条件は、ハードディスク404に設定されている。
【0114】
S852の脳脊髄液についての炎症判定で用いられる複数の判定条件は、例えば、次の条件A1からA4である。以下に示す条件はあくまで一例であって、各判定条件に含まれる閾値はユーザが適宜設定することができる。
【0115】
細菌性髄膜炎の疑いを判定するための第1条件A1:
(白血球数が1000個/μL以上)かつ(多形核白血球数が優勢)かつ(細菌数が1000個/μL以上)
【0116】
真菌性髄膜炎の疑いを判定するための第2条A2:
(白血球数が100個/μL以上)かつ(単核白血球数が優勢)かつ(真菌数が100個/μL以上)
【0117】
ウィルス性髄膜炎の疑いを判定するための第3条件A3:
(白血球数が10個/μL以上)かつ(単核白血球数が優勢)かつ(第1条件A1および第2条件A2のいずれの条件も充足しない)
【0118】
腫瘍性髄膜炎の疑いを判定するための第4条件A4:
(異型細胞が10個/μL以上)
【0119】
多形核白血球数および単核白血球数に関して「優勢」とは、総白血球数に占める比率が高い方をいう。つまり、単核白血球の割合(MN%)と多形核白血球の割合(PMN%)を比べたとき、MN%>PMN%であれば単核白血球が優勢であり、MN%≦PMN%であれば多形核白血球が優勢である。正常な髄液に含まれる白血球のほとんど(約98%)は単核白血球であるが、細菌性髄膜炎の場合には多形核白血球が優勢になる。
【0120】
S853の関節液についての炎症判定で用いられる複数の判定条件は、例えば、次の条件B1およびB2である。
【0121】
化膿性関節炎の疑いを判定するための第2条件B1:
(白血球数が1000個/μL以上)かつ((細菌数が1000個/μL以上)または(真菌数が1000個/μL以上))
【0122】
結晶誘発性関節炎の疑いを判定するための第1条件B2:
(白血球数が100個/μL以上)かつ(結晶数が10000個/μL以上)
【0123】
S854の体腔液についての炎症判定で用いられる複数の判定条件は、例えば、次の条件C1からC3である。
【0124】
細菌性炎症の疑いを判定するための第1条件C1:
(白血球数が1000個/μL以上)かつ(多形核白血球数が優勢)かつ(細菌数が1000個/μL以上)
【0125】
真菌性炎症の疑いを判定するための第2条件C2:
(白血球数が100個/μL以上)かつ(単核白血球数が優勢)かつ(真菌数が100個/μL以上)
【0126】
腫瘍性炎症の疑いを判定するための第3条件C3:
(異型細胞数が10個/μL以上)
【0127】
CPU401は、S856において、炎症の疑いがあるか否かを判定する。炎症の疑いがあれば、CPU401は、S857において判定結果にサスペクトメッセージを付加する。体液検体の種類が「指定なし」である場合であって、いずれかの判定条件を充足した場合には、サスペクトメッセージに代えて、充足した判定条件の情報が付加される。
【0128】
CPU401は、S858において、以下の条件D1に基づいて出血の疑いがあるか否かを判定する。出血の疑いを判定するための条件D1:
(赤血球が1000個/μL以上)
【0129】
出血の疑いがあれば、CPU401は、S859において、判定結果に赤血球補正を促す赤血球補正メッセージを付加する。
【0130】
CPU401は、S860において、分類計数結果を含む計数結果画面と、判定結果を含む判定結果画面を表示部409に表示させる。計数結果画面は、尿分析モードと同様に、計数結果とスキャッタグラムを含む。体液分析モードにおいて計数結果画面に表示される計数結果は、赤血球、白血球、単核白血球(MN)、多形核白血球(PMN)、有核細胞(TNC)、大型細胞(LC)、細菌、真菌、異型細胞の数を含む。画面は、さらに単核白血球比率(MN%)および多形核白血球比率(PMN%)を含む。
【0131】
S857において判定結果にサスペクトメッセージが付加されている場合、CPU401は、サスペクトメッセージを含む判定結果画面をさらに表示する。
図20は、この判定結果表示画面の例である。
【0132】
図20に示される通り、判定結果画面は、検体IDと、体液の種類と、S852〜S854における判定の結果として得られたサスペクトメッセージと、その判定の根拠となった分類計数結果とを含む。この例では、サスペクトメッセージとして、細菌性髄膜炎が疑われることを示す「細菌性髄膜炎?」が表示されている。さらに、判定の根拠となった白血球数、白血球比率、細菌数もあわせて表示されている。これによりオペレータが分類計数結果を基に炎症の疑いを判定する作業を補助できる。
【0133】
S859において判定結果に赤血球補正メッセージが付加されている場合、CPU401は、赤血球補正メッセージを含む判定結果画面をさらに表示する。
図21はこの判定結果表示画面の例である。
【0134】
図21示されるとおり、判定結果画面は、検体IDと、体液の種類と、赤血球数と、白血球数と、補正を促すメッセージとを含む。判定結果画面は、さらに補正の許可を受け付けるYESボタンと、補正の棄却を受け付けるNOボタンとを含む。
【0135】
髄液や関節液は、体内に穿刺針を穿刺して採取するため、穿刺時に血液(末梢血)が混入することがある。混入した血液には白血球が含まれているため、混入した血液中の白血球を差し引かなければ、体液中の白血球数を正確に計数できないことがある。そこで、赤血球数が閾値を超えて多量に含まれている場合には、赤血球の数に基づいて白血球数を補正することで、正確な白血球数を求める。
【0136】
CPU401は、S861として
図21におけるYESが選択されると、S862において赤血球数に基づいて白血球数を補正する。補正式は以下のとおりである。
WBC*=WBC−(RBC/F)
【0137】
上記式において、WBC*は補正後の白血球数である。Fはユーザが任意に設定できる値であり、末梢血液中に含まれる白血球1個に対する赤血球の数を示す値が用いられる。好適にはF=480〜1100である。
【0138】
被検者の末梢血液中の赤血球数(RBC
Bl)および末梢血中の白血球数(WBC
Bl)が判明している場合には、それらの入力を受け付けることで赤血球補正を行ってもよい。この場合、以下の補正式を用いることができる。
WBC*=WBC−(WBC
Bl/RBC
Bl)×RBC
【0139】
CPU401は、S863において、計数結果画面に赤血球補正後の白血球数を追加表示し、処理を終了する。
【0140】
判定結果の表示後においても、CPU401は、ユーザから、体液検体の種類の変更を受け付けることができる。例えば、ユーザが誤って体液検体の種類として体腔液を選択し、表示された判定結果を見て種類の誤りに気づいた場合に、ユーザは体液検体の種類を訂正することができる。この操作は計数結果のバリデーション前にのみ行うことができる。ユーザが体液検体の種類を訂正すると、再びS851の処理が実行され、訂正後の体液種類に基づいて炎症の判定が行われる。
【0141】
体液中の白血球と真菌を計数できる検体分析装置は従来存在しなかったが、本実施形態の検体分析装置100によれば、体液中の白血球および真菌を1台の装置で計数できる。これにより、例えば髄液中の白血球および真菌が高値である場合には、ユーザは真菌性髄膜炎(クリプトコッカス髄膜炎)を疑うことができる。
【0142】
本実施形態の検体分析装置100は、体液中の赤血球が溶血された測定試料から白血球および真菌を計数する。真菌と赤血球はサイズが似ているうえ、体液は尿に比べて多量の赤血球を含むことがあるが、本実施形態によれば、赤血球を溶血させることで赤血球の影響を受けずに真菌を高精度に計数することができる。
【0143】
本実施形態の検体分析装置100によれば、体液中の白血球、真菌および細菌を1台の装置で計数できる。これにより、例えば髄液を分析したときに白血球数が高値である場合には、あわせて細菌数および真菌数を確認することで、被検者が細菌性髄膜炎であるか、真菌性髄膜炎であるかの診断を補助できる。
【0144】
本実施形態の検体分析装置100によれば、体液中の白血球を単核白血球と多形核白血球とに分類できる。体液検査では、白血球の数だけでなく、単核白血球および多形核白血球のいずれが優勢であるかが臨床的に重要である。本実施形態によれば、白血球の分類により体液検査に有用な情報を提供できる。
【0145】
本実施形態の検体分析装置100によれば、白血球を分類しつつ、細菌および真菌を計数できる。髄液検査により類別される代表的な髄膜炎は、細菌性髄膜炎、真菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎である。これらのうち、細菌性髄膜炎は、白血球数の著明増多および単核球の減少により、他の髄膜炎と区別できる。一方、真菌性髄膜炎とウイルス性髄膜炎は、いずれも白血球数の増多を認めるものの、白血球比率で区別することは難しい。しかし、本実施形態によれば、白血球とともに真菌を計数することができるため、真菌性髄膜炎か否かの判断において真菌の数を考慮することができる。真菌の数が少なければ、ウイルス性髄膜炎を疑うことができる。また、細菌性髄膜炎に関しても、白血球数および白血球比率に加え、細菌数を提供することでより正確な診断に貢献できる。よって、本実施形態によれば、1台の検体分析装置で髄膜炎の診断に有用な情報を一度に提供することができる。
【0146】
[赤血球及び結晶計数方法の他の例]
体液中の赤血球数と結晶数とを計数する他の方法について、
図22を参照して説明する。上記の実施形態では
図19に示すようにFLHとFSCを用いて赤血球と結晶を識別したが、偏光解消散乱光PSSを用いて赤血球と結晶を識別してもよい。
【0147】
処理部13のCPU401は、
図22(a)に示すように、S505の無核成分測定処理によって得た特徴パラメータに基づいて、前方散乱光信号のパルス幅(FSCW)と前方散乱光信号強度(FSCP)を2軸とする第1スキャッタグラム上に粒子をプロットする。そして、第1スキャッタグラムにおいて固定の領域A11が設定される。
【0148】
図22(a)において、領域A11は、第1又は第3測定試料に含まれる赤血球と結晶に対応する領域であり、領域A11以外の領域は、測定試料に含まれるごみや細菌等に対応する領域である。CPU401は、第1スキャッタグラム上の領域A11に含まれる粒子を抽出する。
【0149】
CPU401は、
図22(b)に示すように、領域A11から抽出した粒子を、偏光解消側方散乱光信号強度(PSSCP)と前方散乱光信号強度(FSCP)を2軸とする第2スキャッタグラム上にプロットする。そして、第2スキャッタグラムにおいて固定の領域A21、A22が設定される。
【0150】
図22(b)において、横軸のPSSCPは、粒子から生じる側方散乱光のうち、照射光に対して垂直に偏光した光の量、つまり偏光解消の度合いを示す。赤血球に比べて、結晶は偏光解消を生じやすく、PSSCPの値が大きい領域に分布することになる。
図22(b)の領域A21、A22は、それぞれ、赤血球と結晶に対応する。CPU401は、領域A21に含まれる粒子を赤血球数として計数し、領域A22に含まれる粒子を結晶として計数する。
【0151】
赤血球と結晶は、何れも核を有さず、同様の大きさを有しているため、結晶が多量に含まれる検体の場合、結晶が赤血球の分類精度を低下させる可能性がある。偏光解消側方散乱光を用いると、赤血球は偏光解消をほとんど生じず、結晶は異方性を有するため偏光解消を生じるため、偏光解消側方散乱光を用いて赤血球と結晶とを精度良く識別することができる。よって、結晶を多量に含む尿検体であっても赤血球を高精度に計数できる。また、関節液は結晶を含むことがあるが、関節液の採取時には血液が混入することがあるため、赤血球と結晶の分類精度を向上することで関節液の正確な診断を補助することができる。
【0152】
[他の実施形態]
上記実施形態における体液分析モードによる粒子計数機能、体液中の成分に基づく炎症の判定機能、赤血球数に基づく白血球の補正機能は、血球計数器による体液分析に適用されてもよい。
測定部12と処理部13は一体型であってもよい。例えば処理部13を測定部12に組み込んでもよい。
【0153】
[付記]
[第1項]
体液検体を分析可能な検体分析装置であって、
体液検体と、界面活性剤を含む希釈液と、核酸を染色する試薬と、を混合して、有核細胞の核酸が染色され、かつ赤血球が溶血した測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた散乱光及び蛍光を受光して検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球及び真菌を計数する処理部と、
を備える検体分析装置。
[第2項]
前記処理部は、前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球より大きい有核細胞を計数する
第1項に記載の検体分析装置。
[第3項]
前記処理部は、前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球及び白血球より大きい有核細胞を、少なくとも前記検体中の真菌又は細菌から区別し、白血球及び白血球より大きい有核細胞の総数を求める
第1項又は第2項に記載の検体分析装置。
[第4項]
前記処理部は、核酸量を反映する蛍光に基づく第1特徴パラメータを用いて白血球を計数し、前記第1特徴パラメータとは異なり、かつ核酸量を反映する蛍光に基づく第2特徴パラメータを用いて真菌を計数する
第1〜3項のいずれか一項に記載の検体分析装置。
[第5項]
前記検出信号は、前記粒子から発せられた蛍光を受光して出力された蛍光信号を含み、
前記第1特徴パラメータは、前記蛍光信号の蛍光パルス面積であり、
前記第2特徴パラメータは、前記蛍光信号の蛍光強度である
第4項に記載の検体分析装置。
[第6項]
前記検出部は、第1の検出感度と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度とで前記検出信号を出力可能であり、
前記処理部は、前記第1の検出感度で出力された前記検出信号から前記第1特徴パラメータを取得し、前記第2の検出感度で出力された前記検出信号から前記第2特徴パラメータを取得する
第4項又は第5項に記載の検体分析装置。
[第7項]
前記処理部は、前記白血球を、単核白血球及び多形核白血球に分類する
第1〜6項のいずれか1項に記載の検体分析装置。
[第8項]
前記処理部は、前記検出信号に基づいて、前記検体中の細菌を計数する
第1〜7項のいずれか1項に記載の検体分析装置。
[第9項]
前記検出部は、第1の検出感度と、前記第1の検出感度よりも高い第2の検出感度と、前記第2の検出感度より高い第3の検出感度とで蛍光を検出して前記検出信号を出力可能であり、
前記処理部は、前記第1の検出感度で出力された前記検出信号の特徴パラメータを用いて白血球を計数し、前記第2の検出感度で出力された前記検出信号の特徴パラメータを用いて真菌を計数し、前記第3の検出感度で出力された前記検出信号の特徴パラメータを用いて細菌を計数する
第8項に記載の検体分析装置。
[第10項]
前記調製部は、前記体液検体の他の一部と試薬とを混合して、未溶血の測定試料を調製し、
前記検出部は、未溶血の前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた散乱光および蛍光を受光して検出信号を出力し、
前記処理部は、前記未溶血の測定試料の前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の赤血球を計数する
第1〜9項のいずれか一項に記載の検体分析装置。
[第11項]
前記処理部は、未溶血の前記測定試料の前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の結晶を計数する
第10項に記載の検体分析装置。
[第12項]
前記検体分析装置は、尿を分析する尿分析モードと、血液及び尿以外の体液を分析する体液分析モードと、で動作可能であり、
前記処理部は、前記体液分析モードにおいて、前記尿分析モードとは異なる計数項目に基づいて測定試料中の粒子を分類して計数する
第1〜11項のいずれか一項に記載の検体分析装置。
[第13項]
前記処理部は、体液検体に含まれる粒子の計数結果に基づいて、髄膜炎、関節炎または体腔膜の炎症に関する判定を行う
第1〜12項のいずれか1項に記載の検体分析装置。
[第14項]
前記処理部は、複数の種類から前記検体としての体液検体の種類の指定を受け付け、前記体液検体の種類毎に設定された判定条件にしたがって、炎症に関する判定を行う
第1〜12項のいずれか1項に記載の検体分析装置。
[第15項]
体液検体と、界面活性剤を含む希釈液と、核酸を染色する試薬と、を混合して、有核細胞の核酸が染色され、かつ赤血球が溶血した測定試料を調製し、
前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた散乱光及び蛍光を受光して検出信号を出力し、
前記検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球及び真菌を計数する、
検体分析方法。
[第16項]
尿検体を分析する尿分析モードと、血液及び尿以外の体液検体を分析可能な体液分析モードとで動作可能な検体分析装置であって、
体液検体と試薬とを混合して測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた光を受光して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球を単核白血球及び多形核白血球に分類し、かつ、前記体液検体中の細菌を計数する処理部と、
を備える検体分析装置。
[第17項]
尿検体を分析する尿分析モードと、血液及び尿以外の体液検体を分析可能な体液分析モードとで動作可能な検体分析装置であって、
体液検体と試薬とを混合して測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた光を受光して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された検出信号に基づいて、前記体液検体中の白血球を単核白血球及び多形核白血球に分類し、かつ、前記体液検体中の真菌を計数する処理部と、
を備える検体分析装置。
[第18項]
血液及び尿以外の体液検体を分析可能な検体分析装置であって、
体液検体と試薬とを混合して測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子を検出して信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された信号に基づいて、前記体液検体中に含まれる複数種類の粒子の分析を行い、異常値を示した粒子の種類の組み合わせに基づいて、疑われる炎症の判定を行う処理部と、
を備える検体分析装置。
[第19項]
血液及び尿以外の体液検体を分析可能な検体分析装置であって、
体液検体と試薬とを混合して測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子を検出して信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された信号に基づいて、前記体液検体中に含まれる粒子の分析を行う分析処理と、前記体液検体の種類の指示を受け付け、前記体液検体の種類毎に設定された判定条件を用いて、前記分析処理の結果から疑われる炎症の判定を行う判定処理と、を行う処理部と、
を備える検体分析装置。
[第20項]
血液及び尿以外の体液検体を分析可能な検体分析装置であって、
前記体液検体から、未溶血の測定試料と、赤血球が溶血され、かつ有核細胞の核酸が染色された第2測定試料とを調製する調製部と、
未溶血の測定試料および赤血球が溶血した測定試料のそれぞれに含まれる粒子を検出して信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された信号に基づいて、未溶血の測定試料に含まれる赤血球と、赤血球が溶血した測定試料に含まれる白血球とを計数し、前記赤血球数が所定数以上である場合に、前記赤血球数に基づいて前記白血球数を補正する処理部と、
を備える検体分析装置。
[第21項]
体液検体を分析可能な検体分析装置であって、
体液検体と核酸を染色する試薬と、を混合して測定試料を調製する調製部と、
前記測定試料に含まれる粒子に光を照射し、前記粒子から発せられた光を受光して検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された検出信号から複数の特徴パラメータを取得し、粒子の大きさ及び核酸量を反映する複数の特徴パラメータの第1の組み合わせに基づいて前記体液検体中の白血球を少なくとも大型の有核細胞及び真菌から区別し、前記第1の組み合わせとは異なる複数の特徴パラメータの第2の組み合わせに基づいて、白血球を少なくとも単核白血球と多形核白血球とに分類する処理部と、
を備える検体分析装置。