(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228095
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/60 20110101AFI20171030BHJP
F24F 1/56 20110101ALI20171030BHJP
【FI】
F24F1/60
F24F1/56
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-201624(P2014-201624)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-70616(P2016-70616A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田島 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】小谷 浩一
【審査官】
河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−071517(JP,A)
【文献】
国際公開第02/053976(WO,A1)
【文献】
特開平09−193989(JP,A)
【文献】
特開2009−210154(JP,A)
【文献】
特開2014−129923(JP,A)
【文献】
特開2009−168287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/56−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の底面に少なくとも左右2つの脚部材を備えた冷凍サイクル装置の室外ユニットにおいて、
前記脚部材は、据付時に据付場所と接する底面部と、前記底面部から上方に立ち上る右側の第1側面部と左側の第2側面部と、前記本体から前後方向に突出して設けられ、前記本体を据付場所に固定する固定部と、を有し、
前記本体前方の前記固定部における前記第1側面部には、前方に向けて高さが低くなるように傾斜する傾斜部が形成され、
一方、前記本体前方の前記固定部における前記第2側面部には、前記第1側面部に比べて上端部の高さが低い切欠き部が形成されたこと
を特徴とする冷凍サイクル装置の室外ユニット。
【請求項2】
前記本体は、前記本体前面に着脱自在なサービスパネルを有し、
前記脚部材のいずれか一つは、前記サービスパネルの下端部と前記切欠き部が対向し、
前記第1側面部が前記サービスパネルの下端部から外れた位置に配置されること
を特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷凍サイクル装置の室外ユニットに係り、特に室外ユニットを支持するとともに据付場所に固定する脚部材を備えた冷凍サイクル装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に冷凍サイクル装置の室外ユニットは、本体の底面に脚部材を有している。据付場所には、予めアンカーボルトが用意されており、このアンカーボルトを脚部材に挿通し、ナットにより固定することで室外ユニットは据付場所に据付けられる。
室外ユニットの脚部材に関しては、例えば特許文献1に記載されたもののように、上方に開口した断面コ字状の脚部材が知られている。この断面コ字状の下面にアンカーボルトが挿入され、ナットが締め付けられる。ナットを締め付ける際に、断面コ字状の下面から上方に立ち上る両側面に邪魔されてスパナやモンキーレンチ等の工具の可動範囲(回転角度)が制限されるため、作業性が良いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−14325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、上記のような課題に鑑みなされたもので、据付時の作業性を向上することができる冷凍サイクル装置の室外ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態の冷凍サイクル装置の室外ユニットでは、本体の底面に少なくとも左右2つの脚部材を備える。前記脚部材は、据付時に
据付場所と接する底面部と、前記底面部から上方に立ち上る
右側の第1側面部と
左側の第2側面部と、前記本体から前後方向に突出して設けられ、前記本体を据付場所に固定する固定部と、を有する。前記本体前方の前記固定部における
前記第1側面部には、前方に向けて高さが低くなるように傾斜する傾斜部が形成され、一方、前記本体前方の前記固定部における前記第2側面部に
は、前記第1側面部に比べて上端部の高さが低い切欠き部
を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態にかかる冷凍サイクル装置の室外ユニットの斜視図である。
【
図2】同実施形態にかかる冷凍サイクル装置の室外ユニットの正面図である。
【
図3】同実施形態にかかる冷凍サイクル装置の室外ユニットの分解斜視図である。
【
図4】同実施形態にかかる冷凍サイクル装置の室外ユニットの脚部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面にもとづき説明する。
【0008】
本実施形態の冷凍サイクル装置の室外ユニットA(以下、単に室外ユニットAという)は、
図1乃至
図3に示すように、本体1を有している。
本体1は、底面を構成する底面パネル3、正面を構成する正面パネル4、正面パネル4と正面を構成するサービスパネル5、右側面および後面の一部を構成する右側面パネル6、複数の空気吸込み口が設けれ、左側面を構成する左側面パネル7、天井面を構成する上面パネル8により形成される。
【0009】
底面パネル3は、平面視で矩形状をなすとともに、この周縁に沿って折返し部31が設けられる。底面パネル3の下面(本体1の底面)には、左右2つの脚部材2、2が本体1の幅方向に平行に取付けられる。脚部材2,2は、本体1を支持するとともに、本体1を据付場所に固定する。脚部材2,2は、底面パネル3の前後方向にそれぞれ固定部2F,2R(
図4参照)を有する。この固定部2F,2Rに据付場所に予め設けられるアンカーボルト等の固定具を挿通し、ナットを介して室外ユニットAを据付場所に固定することができる。
【0010】
上面パネル8は、平面視で底面パネル3と略同一の矩形状をなし、周縁に沿って折り返し部81が設けられる。
【0011】
本体1の後面から左側面にかけて平面視でL字状の熱交換器10が配置される。熱交換器10は、例えばフィンチューブ型の熱交換器であり、その長辺部10aが右側面パネル6と共に本体1の後面を構成し、短辺部10bが左側面パネル7の内側と対向するように配置される。
【0012】
本体1内には、熱交換器10と正面パネル4との間に2つの送風機11,11が上下に並んで配置される。正面パネル4には、2つの送風機11,11と対向する位置に2つの空気吹出口41,41が設けられると共に、2つの空気吹出口41,41をそれぞれ覆う2つのファンガード42,42が取り付けられる。
【0013】
本体1内には、底面パネル3から上面パネル8まで延びる仕切板12が設けられる。この仕切板12によって本体1内は熱交換室C1と機械室C2とに区画される。
【0014】
熱交換室C1内に、熱交換器10、送風機11が収容される。機械室C2内に、圧縮機13、四方弁14、アキュムレータ15等の冷凍サイクル構成部品および制御装置16が収容される。
機械室C2の前面を覆うようにサービスパネル5が着脱自在に取り付けられる。
【0015】
2つの脚部材2,2は、同一形状の部材であり、例えば金属製の板材を加工して形成される。脚部材2,2は、
図4に示すように、本体1の前後方向に延びるように細長く形成される。脚部材2の底面となる底面部21が据付場所に接する。この底面部21の左右両端部から側面部22,23が平行に立ち上って形成される。また、脚部材2,2は、底面部21と側面部22,23により上方に開口するコ字状の断面形状に形成される。以下、右側の側面部22を第1側面部、左側の側面部23を第2側面部という。
【0016】
第1、第2の側面部22,23には、それぞれ、上端部から外方向に延びる取付部24,25が設けられる。取付部24,25には、複数のねじ孔26が設けられる。
さらに、第2側面部23の取付部25には、その前面側端部から垂直方向に延びる取付片部27が設けられる。この取付片部27には、ねじ孔28が設けられる。
【0017】
脚部材2,2の前後両端部は、底面パネル3および本体1から突出しており、前方に突出した部分に前方固定部2F、2Fが設けられ、後側に突出した部分に後方固定部2R、2Rが設けられる。
前方固定部2F,2Fの底面部21には、アンカーボルトが挿入されるボルト用孔29Fがそれぞれ設けられる。後方固定部2R、2Rの底面部21には、アンカーボルトが挿入されるボルト用切欠き部29Rがそれぞれ設けられる。ここで、ボルト用孔29Fおよびボルト用切欠き部29Rはともにアンカーボルトの外形よりも大きな幅寸法を有して形成される。さらに、ボルト用孔29Fおよびボルト用切欠き部29Rは、その前後方向の長さ寸法が幅寸法よりも大きく形成される。これにより、予め据付場所に設けられたアンカーボルトに若干のずれが生じた場合でも室外ユニットAを据付場所に設置することができる。
【0018】
前方固定部2F,2Fの第1側面部22は、前方に向けて高さが低くなるように傾斜する傾斜部22Fが形成される。一方、前方固定部2F,2Fの第2側面部23には、切欠き部23Fが形成され、第2側面部23の上端部の高さが第1側面部22に比べて低くなっている。
後方固定部2R,2Rの第1側面部22、第2側面部23は、前方固定部2Fの第1側面部22と同様にそれぞれ傾斜部22R、23Rが形成される。
また、前方固定部2F,2Fおよび後方固定部2R,2Rの端部は、いずれもヘミング加工が施され外側に折り返される。ヘミング加工により端部の強度が増し、変形しにくくなる。
【0019】
以上のように構成された脚部材2,2は、第1,第2側面部22,23の取付部24,25にそれぞれ設けられた複数のねじ孔26を用いて、底面パネル3の下面にねじ固定される。さらに、取付部25の前面側に設けられた取付片部27のねじ孔28を用いて、底面パネル3の折り返し部31にねじ固定される。
【0020】
ここで、
図2に示すように、サービスパネル5の下方に位置する右側の脚部材2は、その前方固定部2Fの第2側面部23がサービスパネル5の下端部5bに対向し、もう一方の第1側面部22がサービスパネル5の下端部5bから外れた位置となるように配置される。
【0021】
本実施形態の室外ユニットAを据付場所に据付ける場合、まず、固定部2F,2Rの位置とアンカーボルトの位置合わせを行いながら、前方固定部2F,2Fのボルト用孔29F,29Fおよび後方固定部2F,2Rのボルト用切欠き部29R,29Rにアンカーボルトが挿通されるように室外ユニットAを据付場所に置く。次に固定部2F,2Rを介して上方に突出したアンカーボルトにナットを締め付けて固定する。
【0022】
本実施形態では、前方固定部2Fの第2側面部23に切欠き部23Fが形成されているので、アンカーボルトにナットを締め付ける際に、第2側面部23が邪魔になりにくく、例えばスパナやモンキーレンチ等の工具の可動範囲(回転角度)を大きくできるので作業性が向上する。
【0023】
さらに、本実施形態では、2つの脚部材2,2を同一部材としたことにより、部品の共通化が図れるとともに、2つの切欠き部23F、23Fが正面から見て左側に形成されることになり、アンカーボルトにナットを締め付ける方向に向けて工具の可動範囲が広くなるので、据付時の作業性が向上する。
【0024】
また、本実施形態の室外ユニットAにおいて、サービスパネル5を機械室C2の前面に取り付けるときは、サービスパネル5の上端部5aを上面パネル8の折り返し部81に挿入するようにサービスパネルを持ち上げ、下端部5bが底面パネル3の折り返し部31を覆うように配置する。その後、ねじ等の固定具を用いてサービスパネルを本体1に固定する。
一方、サービスパネル5を機械室C2の前面から取り外すときは、サービスパネルを本体1に固定している固定具を取り外した後、サービスパネル5の上端部5aを上面パネル8の折り返し部81から抜き出すようにサービスパネル5を下方に引き下げる。
【0025】
本実施形態では、右側の脚部材2が、切欠き部23Fが形成された第2側面部23がサービスパネル5の下端部5bに対向し、切欠き部23Fが形成されていない第1側面部22がサービスパネル5の下端部5bから外れた位置となるように配置されるため、サービスパネル5を機械室C2から取り外すときに、下方に位置する脚部材2が邪魔になることがなく、サービスパネルの着脱作業が行いやすい。
【0026】
なお、本実施形態では、切欠き部23Fを前方固定部2Fの左側に設けた例を説明したが、前方固定部2Fの両方の側面部22,23に設けてもよいし、後方固定部2Rに設けてもよい。
【0027】
以上、本実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、実施形態の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1…本体、2…脚部材、2F…前方固定部、2R…後方固定部、21…底面部、22…第1側面部、23…第2側面部、23F…切欠き部、3…底面パネル、5…サービスパネル。