(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の着想または範囲からの逸脱なしに、本発明において様々な変更と変形が加えられることが可能であるということが、当業者にとって明らかだろう。したがって、添付されている特許請求項とその等価物との範囲内に含まれる限りは、本発明が、こうした本発明の変更と変形とを範囲内に含むということが意図されている。
【0011】
以下では、強化された医療用バルーンの製造方法の実施形態を説明する。この方法は、破裂することなしに高い膨張圧力に耐えることが可能な、強度が高くかつ壁が薄い医療用バルーンを実現する。術語「近位の(proximal)」は、本明細書で使用される場合に、「心臓に最も近い」方向に関連し、および、術語「遠位の(distal)」は、「心臓から最も遠い」方向に関連する。
【0012】
図1Aは、一実施形態による、バルーン106とバルーンカバー108とを有するカテーテルシステム100の側面図である。遠位ハブ102、カテーテルシャフト104、および、収縮状態で示されているバルーン106が示されている。バルーンカバー108が、バルーン106の大部分を包囲する形で示されている。
図1Bは、ハブ102とカテーテルシャフト104と膨張状態で示されているバルーン106とを有するバルーンカテーテルシステム100の側面図である。バルーンカバー108が、バルーン106の大部分を包囲する形で示されている。「3−3」として画定されている断面も示されている。
【0013】
図2は、典型的な医療用バルーン200の側面図である。肩部/先細部分202に一体的に連結されている2つの互いに反対側に位置した脚部分204を有するバルーン200が示されている。この開示のために、「作用長さ」が、バルーン200の直線本体区域206の長さとして定義され、この直線本体区域206は、互いに反対側に位置した肩部/先細部分202の間の大凡の長さを含む。脚部部分204と、肩部/先細部分202と、作用長さ208とが、バルーン全長を画定する。
【0014】
図3Aは、
図1Bの断面3−3に沿った側面図断面であり、一実施形態によるバルーン304およびバルーンカバー312の様々な部分を示す。カテーテルシャフト302と、膨張ポート325と、カテーテルシャフト302に連結されているバルーン304とが示されている。バルーンカバー306は、バルーン肩部/先細部分308と、バルーン304の作用長さ310との周囲に位置している。バルーンカバー306は、バルーン作用長さ310に近似した作用長さ311を有する第1の外側の部分312を備える。バルーンカバー306の第1の外側の部分312の作用長さ311は、先細部分316の頂点に配置されている開口部316を有する先細端部314に一体的に連結されている。バルーンカバー306は、さらに、バルーン作用長さ310に近似した作用長さ311を有する第2の内側の部分318を備える。バルーンカバー306の第2の内側の部分318の作用長さ311は、先細部分320の頂点に配置されている開口部322を有する先細端部320に一体的に連結されている。
【0015】
したがって、バルーンカバー306は、バルーンカバー306の互いに反対側に位置した端部に配置されている第1の外側の部分312と第2の内側の部分318の先細端部314、320を有する。これに加えて、第1の外側の部分312と第2の内側の部分318の作用長さ311は、バルーン作用長さ310の大部分において重なり合っている。この開示のために、「バルーン作用長さの大部分」は、バルーン作用長さ310の約50%よりから約100%を意味する。特定の実施形態では、「バルーン作用長さの大部分」は、バルーン作用長さ310の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%を越えるか、および/または、この比率を意味する。
【0016】
膨張したバルーン304に重なる形で示されているバルーンカバー306の第1の外側の部分312の部分断面側面図が
図3Bに示されている。
図3Aに示されている追加の層は、図を明瞭にするために省略されている。開口部316が、バルーン304の先細肩部部分308に「沿った(up along)」約20%に位置している形で示されている。示されているように、先細肩部部分308に沿って「ゼロ%」である位置は、バルーン脚部321とバルーン先細肩部部分308との接合点に位置している。先細肩部部分308に沿って「100%」である位置は、
図3Aに示されているように、バルーン先細肩部308とバルーン作用長さ310との接合部に位置している。
図3Cは、周囲を取り囲む第1のカバー部分312を有する完全な(断面ではない)バルーンの端面図である。バルーン304の先細肩部部分308に沿って約20%に位置しているカバー開口部316が示されている。さらに、膨張バルーン直径324と、バルーン脚部直径326と、第1のカバー部分の開口部直径328aとが示されている。バルーン304の先細肩部部分308に対するカバー開口部316の相対的な位置が、膨張バルーン直径324に対するカバー開口部直径328aの比率として表現されることが可能である。同様に、バルーン304の先細肩部部分308に対するカバー開口部316の相対的な位置が、バルーン脚部直径326に対するカバー開口部直径328aの比率として表現されることが可能である。
【0017】
図3Dと
図3Eは、上記の
図3Bと
図3Cに類似している。
図3Dに示されているように、カバー開口部316は、バルーン304の先細肩部部分308に「沿った」約75%に位置している形で示されている。
図3Eは、周囲を取り囲む第1のカバー部分312を有する完全な(断面ではない)バルーン304の端面図である。バルーン304の先細肩部部分308に沿って約75%に位置しているカバー開口部316が示されている。さらに、膨張バルーン直径324と、バルーン脚部直径326と、第1のカバー部分の開口部直径328bとが示されている。バルーン304の先細肩部部分308に対するカバー開口部328bの相対的な位置が、膨張バルーン直径324に対するカバー開口部直径328bの比率として表現されることが可能である。同様に、バルーン304の先細肩部部分308に対するカバー開口部328bの相対的な位置が、バルーン脚部直径326に対するカバー開口部直径328bの比率として表現されることが可能である。
図3Cと
図3Eとが同一の縮尺で描かれてはいないが、カバー開口部304のサイズの差を示すことが意図されているということに留意されたい。
【0018】
バルーン304の先細肩部部分308のような非被覆区域内でしかバルーンが故障しないように、バルーンをフェイルセーフに設計するために、および/または、先細肩部部分308内の材料の量を減少させてその区域内の輪郭を小さくすることによって引き抜き力(pull through force)(下記を参照されたい)を減少させるために、大きなカバー開口部のサイズが多くの用途にとって有用である。
【0019】
腔内バルーンが、典型的には、壁厚さが均一な管から吹込成形される。成形が終わると、この管は引き延ばされて、変化する壁厚さを有する。このバルーンは、一般的に、脚部部分において最も厚く、および、先細肩部部分から直線本体区域に向かって次第に薄くなり、直線本体区域が最も薄い。
【0020】
圧力下にある時に、バルーン上の応力に対して厚さが逆である。吹込成形されたバルーンの最も薄い壁が最も大きい応力を受ける。バルーンの脚部部分における厚い壁が、不要な強度と余分な質量とをもたらす。これらの厚い脚部部分は、バルーンが中を通して引き抜かれることが可能な最小導入器サイズを小さくする。
【0021】
したがって、本明細書に示されている実施形態は、バルーン壁に対して付加的な強度を提供するカバーを備える。特に、バルーンの最も薄い部分がそのカバーの最も強度が高い部分であり、および、逆もまた同様である。本明細書で提供されるバルーンカバーは、引き抜き輪郭の増大を最小限にとどめながらバルーンの定格破裂圧力を増大させる。
【0022】
バルーンとバルーンカバーは、ポリメチルメタクリラート(PMMAまたはアクリル)とポリスチレン(PS)とアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)とポリ塩化ビニル(PVC)と変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)とセルロースアセテートブチレート(CAB)とを含む非晶質の汎用熱可塑性樹脂と、ポリエチレン(PE)と高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPEまたはLLDPE)とポリプロピレン(PP)とポリメチルペンテン(PMP)とを含む半晶質汎用プラスチックと、ポリカーボネート(PC)とポリフェニレンオキシド(PPO)と変性ポリフェニレンオキシド(Mod PPO)とポリフェニレンエーテル(PPE)と変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)と熱可塑性ポリウレタン(TPU)とを含む非晶質エンジニアリング熱可塑性樹脂と、ポリアミド(PAまたはナイロン)とポリオキシメチレン(POMまたはアセタール)とポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)とポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)と超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)とを含む半晶質エンジニアリング熱可塑性樹脂と、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)とポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)とポリベンゾイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック)とを含む高性能熱可塑性樹脂と、ポリスルホン(PSU)とポリエーテルイミド(PEI)とポリエーテルスルホン(PES)とポリアリルスルホン(PAS)とを含む非晶質高性能熱可塑性樹脂と、ポリフェニレンスルフィド(PPS)とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半晶質高性能熱可塑性樹脂と、フッ化エチレンプロピレン(FEP)とエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)とエチレン・エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)とポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリフッ化ビニリデン(PVDF)とペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む半晶質高性能熱可塑性樹脂フルオロポリマーとのような様々な公知の材料から製造されることが可能である。他の公知の医療グレードの材料が、エラストマー性有機シリコンポリマー、ポリエーテルブロックアミド、または、熱可塑性コポリエーテル(PEBAX)を含む。
【0023】
本明細書で提供される実施形態のバルーンカバーは、成形、真空/圧力成形、フィルムラッピング(film wrapping)、フィルム積層(film layering)、繊維巻き付け(fiber winding)、または、当業で公知の他の方法のような、種々の方法によって製造されることが可能である。
【0024】
以下の説明は、本発明による、様々なバルーンカバーを製造するために使用されることが可能な、薄いポリマーフィルム積層材を使用する方法の1つの具体例を示す。この方法は、次の諸段階を含むことが可能である。
【0025】
1)段付きの金属製のフィルム積層マンドレルが、
図4にしたがって製造されることが可能である。第1の円筒形の部分402を有する金属製マンドレル400が示されている。この第1の円筒形の部分402は直径404と長さ406とを有する。同様に、金属製マンドレル400は第2の円筒形の部分408を有する。この第2の円筒形の部分408は直径410と長さ412とを有する。第1および第2の円筒形の部分402、408は、互いに反対側に位置した先細の肩部部分414、416に一体的に連結されている。この互いに反対側に位置した先細の肩部部分414、416は、直径422を有する互いに反対側に位置したシャフト418、420に一体的に連結されている。長さ406、412と、直径404、410と、肩部414、416の寸法は、後続の下に位置するバルーンの寸法に適合するように変化させられることが可能である。長さ406、412は約1mmから100mm以上の範囲内であることが可能であり、直径404、410は約1mmから100mm以上の範囲内であることが可能であり、および、肩部の角度は約10°から約90°の範囲内であることが可能である。一具体例では、カバー直径はバルーン直径に比較して少なくとも約5%は小さい。少なくとも5%だけバルーンカバーを小さくすることが、そのバルーンカバーが半径方向荷重に耐えることを可能にし、したがって、少なくともバルーンの被覆領域内においては、バルーンが故障することを可能にしない。
【0026】
マンドレル400は、重なり合う作用長さを有する2つのカバーカップ(cover cup)部分を形成するために使用されることが可能である。作用長さが重なり合うために、第1のカップが、第2のカップの作用長さ外径よりもわずかに大きい作用長さ内径を有するように製造される。作業長さ直径の差が、第1の円筒形部分402と第2の円筒形部分408との互いに異なる直径によってもたらされる。例えば、直径404は直径410よりも約0.012″大きく、0.006″の壁厚さを有するカバーに適合することが可能である。
【0027】
2)シャフト418、420の1つが、マンドレルを保持するために、かつ、後続の加工処理段階中にマンドレルの回転を可能にするために、回転可能なコレットの上に取り付けられることが可能である。
図5に示されているように、熱可塑性接着材で被覆されているフィルム502の形態である製造補助器具が、マンドレル500の中央部分に付加されることが可能である。例えば、2つから5つの外周ラップ(circumferential wrap)が取り付けられることが可能である。これらの層は、例えば、はんだごて、または、他の加熱手段によって、熱を加えることによって熱可塑性接着材をリフロー(reflow)することによって固定されることが可能である。フィルムの幅と、マンドレル上の位置とが、所望のカバー部分の寸法に適合するように選択されることが可能である。適切なフィルムが、熱可塑性フルオロエラストマー、または、ポリマーフィルムと熱可塑性樹脂との他の組み合わせによって膨潤または被覆された、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことが可能である。
【0028】
3)
図6Aから
図6Eにおいて説明されているように、一連のフィルム層またはストラップが、第1の円筒形部分(第2の円筒形部分よりも直径が大きい)上に、および、一体的に連結されているマンドレルの先細肩部部分上に、付着させられることが可能である。先細肩部部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の正面図が、
図6Aに示されている。先細肩部部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)右側面図が、
図6Bに示されている。図示されているように、フィルムストラップ604は、一定状のシャフト618の基部に対して近接している。同様に、
図6Cが、先細肩部部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)背面図である。
図6Dは、先細肩部部分614上に配置されている薄いポリマーフィルム604のストラップを伴うマンドレル600の(
図6Aの)左側面図である。これらのストラップの幅とサイズとが用途に応じて様々であることが可能であることに留意されたい。
【0029】
4)フィルム/熱可塑性製造補助器具602上を覆うフィルムストラップ604の一部分が、皺を伸ばしされて、製造補助器具602に熱接着(heat tack)され、この結果としてマンドレル600上に形成されている1つのフィルムストラップが得られることが可能である。
【0030】
5)
図6Eは、一体状シャフト618に近接しているフィルム604を示す(
図6Aの)平面図である。参考のために述べると、図示されているフィルムは(マンドレル600を基準として)「ゼロ度」位置に配置されている。2つの追加のフィルムストラップが、このフィルムストラップが一体状シャフト618に接触する箇所が前のフィルムストラップに対して約120°に方向配置されているように、「時計状(clocked)」の形で追加されることが可能である。この2つの追加のフィルムストラップは、製造補助器具602に熱接着されることが可能であり、この結果として、マンドレル600上に形成された3つのフィルムストラップが得られる。
【0031】
6)フィルムストラップとして使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤によって片面が被覆されている延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことが可能である。
図6Aから
図6Eの3つのフィルムストラップは、マンドレルから外向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0032】
ePTFEは、米国特許第3,953,566号明細書および米国特許第4,187,390号明細書によって教示されているように製造されることが可能であり、これらの特許明細書は本明細書に参照として援用されている。別の実施形態では、このePTFEは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤、シリコーン接着剤、シリコーンエラストマー、シリコーンディスパージョン、ポリウレタン、または、別の適切なエラストマー材料で含浸されている。含浸は、多孔性ePTFEの孔を少なくとも部分的に満たすことを含む。米国特許第5,519,172号明細書は、米国特許第7,462,675号明細書に教示されているエラストマーのようなエラストマーによる多孔性ePTFEの含浸を詳細に教示している。一実施形態では、本発明によってバルーンカバーの形に形成される時に、カバーが膨張および収縮し、したがってバルーンの縮小および/または再折り畳みを行うように、このフィルムがエラストマーを含む。
【0033】
7)円周方向に巻き付けられたフィルム層が、段階5)からの巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。巻き付けられたフィルム製造補助器具702と、段階5)によって巻き付けられた3つのポリマーフィルムストラップ704とを有する、マンドレル700が
図7Aに示されている。
図7Bに示されているように、フィルム層706が第1の円筒形部分(
図4、402)の周りに円周方向に巻き付けられることが可能である。この円周方向に巻き付けられたフィルム層706は、図示されているように、端から端(708、710)までの重複を有することが可能である。外周巻き付け物706として使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。この外周巻き付け物706は、マンドレルから外向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。このフィルムの重複端部が、互いに1つに熱接着および接合されることが可能である。
【0034】
8)段階5)の方法によって、3つの追加のフィルムストラップが第1の円筒形部分(
図4、402)に付加されることが可能である。第1の追加のフィルムストラップは、このフィルムストラップが一体状シャフト618(
図6)に接触する箇所が前のフィルムストラップに対して約60°に方向配置されているように、「時計状(clocked)」の形態で追加されることが可能である。その次に、第2および第3の追加のフィルムストラップが、フィルムストラップが一体状シャフト618(
図6)に接触する箇所が前のフィルムストラップに対して約120°に方向配置されているように、「時計状(clocked)」の形態で追加されることが可能である。
【0035】
9)フィルム/熱可塑性製造補助器具602(
図2)上に重なるフィルムストラップの一部分が皺を伸ばされて、製造補助器具に熱接着されることが可能である。
【0036】
10)フィルムストラップとして使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。段階8)の3つの追加のフィルムストラップは、マンドレルに向かって内向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0037】
11)円周方向に巻き付けられたフィルム層が、段階7)の場合と同様に、段階8)からの巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。外周巻き付け物として使用されるポリマーフィルムは、熱可塑性(または熱硬化性)接着剤で片面が被覆されているePTFEフィルムを含むことが可能である。この外周巻き付け物は、マンドレルに向かって内向きに方向配置されている接着剤側面を有することが可能である。
【0038】
12)
図6Aから
図6Eに説明されているプロセスと同様のプロセスを使用して、一連のフィルム層またはフィルムストラップが、第2の円筒形部分(第1の円筒形部分よりも小さい直径)上と、一体的に連結されているマンドレルの先細肩部部分上とに付着させられることが可能である。
【0039】
13)6つのフィルムストラップが段階3)−6)と段階8)−9)のプロセスによって付着させられることが可能である。フィルムストラップの接着剤側面がマンドレルから外向きに方向配置されていることが可能である。
【0040】
14)円周方向に巻き付けられたフィルムの2つの層が、段階13)からの巻き付けられたマンドレルに付加されることが可能である。この円周方向に巻き付けられたフィルムは、段階7)のプロセスによって付加されることが可能であり、および、マンドレルから外向きに方向配置されているフィルムストラップの接着剤側面を有することが可能である。
【0041】
15)その次に、フィルムを巻き付けられた第1および第2の円筒形部分と、一体的に連結された先細肩部部分とを有するマンドレルが、空気対流(例えば、250℃に設定された炉内において約30分間)内で熱処理されることが可能である。この熱処理は、熱可塑性接着剤をリフロー(reflow)して、様々なフィルム層を互いに1つに接合する。その次に、マンドレルとフィルムとが、約30分間にわたって周囲強制空気冷却(ambient forced air cooling)される。
【0042】
16)その次に、第1および第2の円筒形部分上の接合されたフィルムと、一体的に連結された先細肩部部分とが、その円周方向において切断され、マンドレルから取り外される。円周方向の切断の位置が、第1および第2の円筒形カップ部分の所望の作用長さを決定することが可能である。先細端部または肩部部分804に一体的に連結されている作用長さ802を有する大きい直径の第1の外側のバルーンカバー部分800が、
図8に示されている。先細端部または肩部部分804は、先細端部804の頂点に位置している開口部806を有する。先細端部または肩部部分814に一体的に連結されている作用長さ812を有する小さい直径の第2の外側のバルーンカバー部分810も、
図8に示されている。先細端部または肩部部分814は、先細端部814の頂点に位置している開口部816を有する。
【0043】
17)
図8にさらに示されているように、第2の、小さい直径の外側のバルーンカバー部分810は、方向矢印820、822によって示されているように第1および第2の円筒形カップ部分を移動させることによって、第1の、大きい直径の外側のバルーンカバー部分800の中に挿入されることが可能であり、したがって、作用長さ812、802は概ね重なり合っている。この実施形態のために、「概ね重なり合っている」は、
図3Aに示されているカバー作用長さ311に相当する、第1および第2の円筒形カップ部分の作用長さ812、802の、約50%から約100%が重なり合っていることを意味する。特定の実施形態では、「概ね重なり合っている」は、カバー作用長さの約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%を含む。
【0044】
18)作用長さ802、812を互いに1つに接合するための準備として、第1および第2のカバー部分800、810が、
図9Aから
図9Cに概略的に示されているように、カップ形状のアセンブリを形成するように平らにされる。
図9Aは、平らにされた第1のカバー部分900と第2のカバー部分910との平面図である。示されているように、作用長さ902、912は概ね重なり合っている。第1のバルーンカバー部分と第2のバルーンカバー部分との先細端部の頂点に位置している開口部906、916も示されている。
図9Bは、
図9Aに示されているカップ形のアセンブリの正面図であり、一方、
図9Cは、
図9Aに示されているカップ形のアセンブリの右側面図である。
【0045】
19)
図10Aから
図10Cは、第1および第2のカバー部分の作用長さを互いに1つに接合するために使用されるプロセスを説明する。第1および第2のカバー部分の作用長さ1002、1012に近似した長さ1002、1012を有する金属リング1000が
図10Aに示されている。
図10Bと
図10Cとに示されているように、リング1000は、
図9Aから
図9Cのカップ形のアセンブリの中に挿入されることが可能である。
図10Cに示されているように、リング1000は、
図9Aから
図9Cのカップ形アセンブリの中に係合するような寸法にされている直径1010を有する。その次に、Kapton
TMのような高温度ポリマーフィルムの層が、リングおよびカップ形アセンブリの周りに巻き付けられることが可能である。高温度繊維が、この高温度ポリマーフィルムとリングおよびカップ形アセンブリとの周りに巻き付けられることが可能である。加熱されると、この高温度繊維は、高温度ポリマーフィルムとリングおよびカップ形アセンブリの周りで縮んで収縮することが可能であり、および、したがって、バルーンカバー部分の重なり合った作用長さの上に圧力を加える。高温度繊維を固定した後に、これらの構成要素は、空気対流炉内で約30分間にわたって約250℃に加熱されることが可能である。収縮する高温度繊維によって加えられる圧力が、重なり合う作用長さの中の熱可塑性層がリフローしてこれらの層の間の接合を形成することを生じさせる。
【0046】
20)その次に、段階20)からの構成要素が、約30分間にわたって周囲強制空気冷却されることが可能である。高温度繊維と高温度フィルムと金属リングは取り外されることが可能であり、および、2つの接合されたバルーンカバー部分は拡張されることが可能である。カテーテル上に取り付けられた圧縮されたバルーンが、拡張されたバルーンカバー部分の中に挿入されることが可能であり、これによって、
図3において前述した、カバー付きのバルーンを形成する。このバルーンは、バルーンカバーに形状的に一致するように膨張させられ、その後に部分的に収縮させられることが可能である。バルーンが部分的に収縮させられている最中に、接着剤が、下に位置するバルーンに対して、互いに反対側に位置したバルーンカバー端部を接着するために、バルーンカバー開口部(
図9Aの906、916)の中に注入されることが可能である。この接着剤は硬化させられて、
図1Aと
図1Bとに示されているように、本発明による近位バルーンとバルーンカバーとを有するカテーテルシステムを形成することが可能である。一実施形態では、バルーンカバーは、バルーンの脚部部分204(
図2に示されている)を覆わない。別の実施形態では、バルーンカバーは、カテーテル、または、バルーンが取り付けられている他の何らかの構造に取り付けられることがない。別の実施形態では、バルーンカバーは脚部部分を持たない(
図2による)。
【0047】
バルーンカバーの様々な別の実施形態が製造されることが可能である。例えば、一実施形態によるバルーンカバーが、バルーンカバーが3つ以上の部分を有するように追加のバルーンカバー部分を組み入れることが可能である。一実施形態によるバルーンカバーは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、または、それよりも多くの重なり合い部分(「作用長さ」と呼ばれる)を有することが可能である。バルーンカバーの実施形態は、さらに、先細長さ部分および/または非円形横断面輪郭を有するように形成されることも可能である。一実施形態によるバルーンカバーは、さらに、バルーンカバーの強度または剛性を増強するために、高強度繊維、組みひも(braid)または他の要素のような補強要素を組み入れることが可能である。実施形態によるバルーンカバーは、さらに、薬剤、治療剤、潤滑被覆剤、または、X線不透過性マーキングを提供するために、表面処理を組み入れることが可能である。採用随意の「迅速交換」構成を実現するために、ガイドワイヤチャンネル(guidewire channel)が、バルーンとバルーンカバーとの間に備えられることも可能である。
【0048】
本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーは、異なるサイズのバルーンに合わせて拡大縮小できる。例えば、本発明のカバーを有する24mmから37mmのバルーンが9Atmから20Atmの破裂圧力を有することがある。同様に、より小さい直径のバルーン、例えば直径5mmのバルーンが、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、高圧バルーンに変換されることが可能である。一実施形態では、3Atmの定格破裂圧力を有する約29mmのバルーンが、一実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、約11Atmの破裂圧力を有する高圧バルーンに変換される。別の実施形態では、直径5mmのバルーンが、一実施形態によるバルーンカバーを付加することによって、約45Atmの破裂圧力を有する。
【0049】
したがって、一実施形態が、バルーン作用長さと、拡張および非拡張直径とを有する膨張可能な医療用バルーンと、長さと、拡張および非拡張直径とを有するバルーンカバーとを備えるカテーテルバルーンであって、このバルーンカバーは第1および第2の部分を備え、この第1および第2の部分の各々は、先細端部の頂点に位置した開口部を有する先細端部に一体的に連結されている作用長さを備え、および、第1および第2の部分の先細端部は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、第1および第2のカバー部分の第1および第2の作用長さが、バルーン作用長さの大部分において重なり合うカテーテルバルーンを備える。別の実施形態では、医療用バルーンは非順応性バルーン(non−compliant balloon)である。別の実施形態では、この医療用バルーンは順応性バルーンである。別の実施形態では、この医療用バルーンはフィブリル化材料(fibrillated material)を含む。別の実施形態では、このフィブリル化材料はePTFEである。別の実施形態では、ePTFE中のフィブリルは半径方向に方向配置されている。別の実施形態では、バルーンカバーは、互いに接着されているePTFEの複数のストリップから作られている。別の実施形態では、これらのストリップは、バルーンカバーの作用長さと先細端部との上に、複数の角度配置の形で置かれている。別の実施形態では、バルーンカバーは医療用バルーンに接着されている。別の実施形態では、バルーン作用長さの大部分に渡って重なり合う作用長さが、さらに、バルーン肩部の一部分も覆う。別の実施形態では、バルーンカバーの拡張直径が、医療用バルーンの拡張直径よりも小さい。
【0050】
別の実施形態が、長さと、非拡張および拡張直径と、第1および第2の部分とを備えるバルーンカバーであって、この第1および第2の部分の各々は、先細端部の頂点に位置した開口部を有する先細端部に一体的に連結されている作用長さを備え、および、第1および第2の部分の先細端部は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、第1および第2の作用長さが、バルーンカバーの長さの大部分において重なり合うカテーテルバルーンを備える。
【0051】
別の実施形態では、
図12Aから
図12Eが、様々な中間カバー部分1230、1234、1236、1238、1240を伴った第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218の部分断面側面図を示す。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218と中間カバー部分1230とが
図12Aに示されている。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218は互いに近接しており、小さな間隙1232を画定する形で示されている。
図12Bは前の
図12Aと同様であり、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218と中間カバー部分1234とを示す。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218は間隙1235によって互いに間隔を開けられている形で示されており、および、中間カバー部分1234が間隙1235を架橋し、および、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218の一部分と重なり合っている。
【0052】
図12Cは、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218と、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも小さい段付きの直径を有する中間カバー部分1236とを示す。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218は、間隙1235によって互いに間隔を開けられている形で示されており、および、中間カバー部分1234が間隙1235を架橋し、および、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218の一部分と重なり合っている。
【0053】
図12Dは、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218と、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも大きい段付きの直径を有する中間カバー部分1238とを示す。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218は、間隙1235によって互いに間隔を開けられている形で示されており、および、中間カバー部分1236が間隙1235を架橋し、および、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218の一部分と重なり合っている。
【0054】
図12Eは、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218と、第1および第2のバルーンカバー部分の直径よりも大きい段付きの直径を有する中間カバー部分1240とを示す。このより大きい段付き直径1240は、この段付き直径の外周に沿った溝1242を含む。第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218は、間隙1235によって互いに間隔を開けられている形で示されており、および、中間カバー部分1240が間隙1235を架橋し、および、第1および第2のバルーンカバー部分1212、1218の一部分と重なり合っている。
【0055】
本明細書で提示されている実施形態のバルーンカバーは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つ以上の追加の中間カバー部分を含むことが可能である。この中間カバー部分は、互いに類似しているかまたは類似していない形状または輪郭を有することが可能であり、および、個別の用途に合わせて形状構成されることが可能である。例えば、段付きの中間カバー部分は、心臓弁ステントを拡張して固定するように形状構成されることが可能である。
【0056】
したがって、別の実施形態では、バルーンカバーは、長さと、第1および第2の部分と、非拡張および拡張直径と、第1および第2の端部を有する中間区域とを備え、第1および第2の部分の各々は、先細端部の頂点に位置した開口部を有する先細端部に一体的に連結されている作用長さを備え、および、第1および第2の部分の先細端部は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、中間区域の第1の端部が第1の部分の作用長さと重なり合い、かつ、中間区域の第2の端部が第2の部分の作用長さと重なり合う。
【0057】
別の実施形態では、バルーンカバーは、長さと、第1および第2の部分と、非拡張および拡張直径と、第1および第2の端部を有する中間区域とを備え、第1および第2の部分の各々は、先細端部の頂点に位置した開口部を有する先細端部に一体的に連結されている作用長さを備え、および、第1および第2の部分の先細端部は、バルーンカバーの互いに反対側に位置した端部に位置しており、および、中間区域の第1の端部が第1の部分の作用長さと重なり合い、かつ、中間区域の第2の端部が第2の部分の作用長さと重なり合う。別の実施形態では、バルーンカバーがその拡張直径の状態である時に、中間区域が、砂時計形、三角形、正方形、長方形、楕円形、または、他の多角形から成るグループから選択される形状をバルーンカバーに与える。別の実施形態では、中間区域が、第1および第2の部分とは異なる材料で作られている。別の実施形態では、中間区域がePTFEで作られている。
【0058】
図13に示されている別の実施形態は
図8の実施形態に類似している。作用長さ1302、1312を有する第1および第2のバルーンカバーと、互いに反対側に位置した開口部1306、1316と、実質的に球形である先細肩部部分1324とが、
図13に示されている。先細肩部部分1324は、特定のバルーンの膨張した輪郭に適合するように形状構成されることが可能である。
【実施例】
【0059】
本発明の範囲を限定する意図なしに、下記の実施例が、どのように本発明の種々の実施形態が製造および/または使用されるかを例示する。
【0060】
(実施例1)
本発明のバルーンカバーが、後述の追加の詳細事項を伴って、上述の段階1)から段階20)によって製造された。
【0061】
段階1)では、マンドレルが次の寸法を有した。すなわち、第1の円筒形部分の直径が1.142″であり、第1の円筒形部分の長さが1.378″であり、第2の円筒形部分の直径が1.130″であり、第2の円筒形部分の長さが1.378″であり、互いに反対側に位置した先細肩部が90°の角度(included angle)を有し、および、互いに反対側に位置したシャフトが0.157″の直径を有した。マンドレルは300シリーズのステンレス鋼から製造された。
【0062】
段階2)では、製造補助器具(フィルム)は、幅が約0.75で長さが約8″であった。このフィルムストラップは、Chang他に対する米国特許第7,462,675号明細書に説明されているようなフルオロエラストマー熱可塑性接着剤に積層された、Kennedy他に対する米国特許第7,521,010号明細書に説明されているような高密度フルオロポリマーを含んだ。このフィルムは次の属性を有した。
複合物の厚さ=5μm
複合物の面積当たりの質量=11.1g/m2
長さ方向の基材の引張り強さ(machine direction matrixtensile strength)=356MPa
【0063】
3つの完全な外周巻き付け物がマンドレル上に積層された。熱接着はんだごてが、約650°Fに設定された。
【0064】
段階3)から段階15)において、フィルムストラップは幅が約0.75″であり、上述した製造補助器具と同一のフィルムであった。円周方向に巻き付けられたフィルムは幅が約1″であり、上述した製造補助器具と同一のフィルムであった。
【0065】
段階15)では、熱処理温度が約250℃であり、および、熱処理時間が約30分間だった。
【0066】
段階16)では、第1および第2の円筒形カップ部分が、約25mmの作用長さを有するように切断された。
【0067】
段階19)では、金属リングが、約24mmの長さと、約38mmの外径と、約35mmの内径とを有し、および、300シリーズのステンレス鋼で製造された。高温度ポリマーフィルムは、厚さが0.004″で幅が40mmのKapton
TMだった。高温度繊維が熱収縮性フルオロポリマーだった。熱処理温度が約250℃であり、熱処理時間が約30分間だった。
【0068】
段階20)では、バルーンがポリエチレンテレフタラート(PET、熱可塑性ポリエステル)から製造され、および、約29mmの公称外径と、約26mmの公称作用長さと、約0.0028″″の公称壁厚さ(作用長さに沿った)と、約90°の円錐角度と、約3.4mmの互いに反対側に位置した脚部の外径とを有した。バルーンカバーは、LockTite
TM接着剤(部品番号495)によって、下に位置するバルーンに接着され、その後で周囲条件で硬化させられた。
【0069】
バルーンカバーは、(バルーン膨張直径を基準として)約5%だけ減寸させられ、膨張したバルーンによってバルーンカバーに対して及ぼされる荷重をそのバルーンカバーが吸収することを可能にした。
【0070】
(実施例2)
実施例1からのバルーンカバーが取り付けられたバルーンに対して、引き通し試験(pull through test)をおこなった。この引き通し試験は、収縮状態のバルーンを一連のゲージ穴(gage hole)の中を引き通すために必要とされる力を測定するように意図されていた。この試験は、導入器シース(introducer sheath)の中に収縮状態のバルーンを引っ込めるために必要とされる力をエミュレートすることが意図されていた。
【0071】
10.2kgの引張荷重セル(tension load cell)を伴う垂直汎用機械的試験システム(Instron
TM、Model 5564、Norwood、MA、USA)が、引き通し力を測定するために構成された。水浴がこの試験システムと整合させられて、約37℃に加熱された。一連の様々な直径の引き通し穴を有する縦方向に分割されたゲージが、加熱された水浴の中に固定された。
【0072】
バルーンカバー(実施例1による)を伴うバルーンカテーテルを用意した。このバルーンカテーテルのシャフトの遠位部分を荷重セルヘッド(load cell head)に締め付け固定した。一連の様々な直径の引き通し穴を有するゲージを、第1の大きな直径の穴(面取り/切断端縁導入部を有する22Fまたは約0.29″)の中にカテーテルシャフトの近位部分を挿入することを可能にするために、「分割(split open)」した。その次に、ゲージの半分部分を互いに位置合わせして締め付け固定し、カテーテルシャフトの近位部分を包囲した。その次に、バルーンを約2ATMに膨張させ、その次に、真空によって収縮させた。この真空を、カテーテルの近位端部上に位置したストップコック(stop cock)によって維持した。その次に、収縮したバルーンを、瞬間的な引張力を記録しながら、約10″/分の速度でゲージ穴の中を引き通した。
【0073】
その次に、ゲージを分割して開き、カテーテルシャフトを、その次のより小さいゲージ穴の中に入れた。そのゲージを再組立し、バルーンを約2ATMに膨張させ、その次に、上述したように収縮させた。その次に、カテーテル/バルーンを、瞬間的な引張力を記録しながら、ゲージ穴の中を引き通した。
【0074】
試験シーケンスを、次第に小さくなるゲージ引き通し穴を使用して繰り返した。膨張中にバルーンが破裂/漏洩した場合に、または、引き通し力が予め決められた限界を超えた時に、試験シーケンスを終了した。実施例1によるバルーンカバーを伴う下に位置する典型的な29mmのバルーンの場合の引き通し穴の直径は、22F(約0.29″)から11F(約0.145″)の範囲内であった。
【0075】
本発明のカバーを伴わない、下に位置するPETバルーンも、比較データを生じさせるために、引き通し試験で評価した。
【0076】
(実施例3)
実施例1からのバルーンカバーが取り付けられているバルーンに対して、バルーンの順応性、膨張/破裂の試験を行った。このバルーンの順応性、膨張/破裂試験は、実施例1からのバルーンおよび取り付けられたカバーを破裂/爆発させるために必要とされる内部バルーン圧力を測定することと共に、「バルーン直径」対「内部圧力」を測定するように意図していた。
【0077】
バルーン順応性/破裂試験システムを用意した(Interface Associates、Laguna Niguel、CA、USA、Model PT3070)。この試験システムは、約37℃に加熱された水浴と、加圧水供給/圧力測定システムと、膨張したバルーンおよびバルーンカバーの外径を測定するためのレーザーマイクロメータとを有した。バルーン順応性/破裂試験パラメータを次の表1に示してある。
【表1】
【0078】
バルーンカバーが取り付けられているバルーンから、一連の真空による空気の引き抜きとその後の水膨張とによって空気を排出した。この空気の引き抜きを、バルーンカテーテルから空気が引き抜けなくなるまで繰り返した。空気の引き抜きの後に、カテーテルに対して順応性/破裂試験を行った。
【0079】
本発明のカバーを伴わない、下に位置するPETバルーンも、比較データを生じさせるために、順応性/破裂試験で評価した。
【0080】
(実施例4)
実施例1からのカバーが取り付けられているバルーンに対して、引き通し試験(実施例2)と、バルーン順応性、膨張/破裂試験(実施例3)とを行った。これに加えて、下に位置しているバルーン、または、カバーされていないバルーンに対して、比較データを生じさせるために、引き通し試験と、バルーン順応性/破裂試験とを行った。試験結果を
図11Aと
図11Bとに示してある。
【0081】
これらのデータは、本明細書に示されている実施形態によるバルーンカバーの存在が、引き通し力を大きく損なうことなしに、カバーされたバルーンの破裂強度を著しく増大させるということを示す。
【0082】
本発明の構造と機能の詳細と共に好ましい実施形態と代替案の実施形態とを含む本発明の様々な特徴と利点とを上述の説明の中で明らかにしてきた。この開示内容は単なる例示的なものであることが意図されており、および、したがって、網羅的であることは意図されていない。添付されている特許請求項が表現されている術語の広い全体的な意味によって示されている全範囲にまで、本発明の原理の範囲内において、特に構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ、および、部品の配置に関して様々な変更が加えられることが可能であるということが、当業者には明らかだろう。これらの様々な変更が、添付されている特許請求項の着想と範囲から逸脱しない限りは、これらの変更が本明細書に含まれることが意図されている。上記において説明されておりかつ下記において特許請求されている実施形態に関しているということに加えて、本発明は、さらに、上記において説明されておりかつ下記において特許請求されている特徴の異なる組み合わせを有する実施形態にも関する。したがって、本発明は、さらに、下記において請求されている従属的特徴のあらゆる他の実現可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関する。