(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228166
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】自動車用ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/84 20160101AFI20171030BHJP
B60J 10/24 20160101ALI20171030BHJP
B60R 13/06 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B60J10/84
B60J10/24
B60R13/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-134825(P2015-134825)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13720(P2017-13720A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】大尾 真之
(72)【発明者】
【氏名】中村 智則
(72)【発明者】
【氏名】大塚 範之
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−100010(JP,A)
【文献】
特開2013−091411(JP,A)
【文献】
特開2010−030445(JP,A)
【文献】
特開2014−210440(JP,A)
【文献】
特開2004−175193(JP,A)
【文献】
特開平09−123845(JP,A)
【文献】
特開昭61−215144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00−10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボデイのドア開口周縁部に取付けられる取付基部と、その取付基部に一体成形され前記ドアに弾接する中空シール部を備える自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部は、断面視で長手方向の一部が、前記中空シール部の外側に向けて屈曲する第一屈曲点を備えた第一車外側壁と第一車内側壁からなる第一中空壁と、断面視で長手方向の一部が、前記中空シール部の外側に向けて屈曲する第二屈曲点を備えた第二車外側壁と第二車内側壁からなる第二中空壁が、各屈曲点を互いに離間させた方向で接続されてなり、
前記第二中空壁の第二車外側壁端部には、該第二車外側壁の側面から連続し、第一中空壁から突出するとともに前記ドアに弾接し、前記第一中空壁側に傾斜した突起部が形成され、
前記第一中空壁の第一車外側壁端部は、前記第二中空壁の第二車外側壁における前記中空シール部の内方側で前記突起部を車外側に突出させる位置に接続され、
しかも、前記第一中空壁の第一車外側壁における前記中空シール部の外方には、さらに外方側に向けて突出する断面略山型の形状をした肉盛部が形成されてなることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項2】
前記肉盛部は、前記第一車外側壁の前記第一屈曲点側に向けて肉厚が小さくなるか、あるいは剛性が小さくなるようにして、前記中空シール部が前記ドアに弾接する際には、前記第一屈曲点が車内側に向けて沈み込むように前記中空シール部を撓ませてなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップ。
【請求項3】
前記突起部の先端は、断面形状において前記中空シール部を、前記第一中空壁側と前記第二中空壁側に2分割する直線より前記第一中空壁側の領域に位置するように形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用ウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボデイのドア開口周縁部に取付けられ、ドア閉時にそのドアに弾接して車内外をシールする自動車用ウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、例えば、自動車のバックドア100の開口周縁部には、ドア閉時にバックドア100に弾接する自動車用ウェザーストリップ10が取付けられている。
この自動用ウェザーストリップ10は、
図6に示すように、取付基部11と中空シール部12が一体成形されたものであり、取付基部11は、断面略U字形であり、その略U字形の開口部側から、バックドア100の開口周縁部に沿って形成されたフランジ101へ挿入され、取付基部11の奥壁11cに設けられた中空シール部12はバックドア100に弾接して車内外をシールするようになっている。
【0003】
取付基部11を構成する第一側壁11a及び第二側壁11bの内側にはフランジ101を保持する複数の突条片13が設けられ、第一側壁11aの先端及び外側には小リップ14及びシールリップ15が、また第二側壁11bの外側には装飾リップ16がそれぞれ形成されている。また、取付基部11の奥壁11c内側には、フランジ101の先端に接してその先端を包み込む止水用のスポンジ17が取付けられ、フランジ101の防錆とくぐり水防止が図られている。なお、取付基部11には補強用の芯材18が埋設されている。
【0004】
このように構成された自動車用ウェザーストリップ10において特に中空シール部12の断面形状は、遮音性や雨垂れ防止及び見栄えの観点から丸い中空形状のものが主流とされている。しかし、バックドア100の樹脂化に対応させたり、あるいは横開きドアに適用させるために、
図6に示すように、中空形状のものよりシール性能に優位とされるパンタグラフのような断面形状をした、いわゆるパンタ中空形状のものが使用されるようになった(例えば、特許文献1の
図8参照)。
【0005】
しかし、パンタ中空形状のものは、
図7に示すように、バックドア100(横開きドアの場合も同様)に弾接したときに中空シール部12とバックドア100との間に水Wが溜まる、桶形状の幅広の溝M1が生じてしまうため、ドア100を開けた際に溜まった水Wが垂れて車内側に流れたり、利用者や荷物にかかるといった問題があった。特に溝M1を生じさせる側の中空シール部12の屈曲点12Pが矢印で示すX方向、すなわちバックドア100(車外側)側に浮き上がるように中空シール部12が撓んでしまうと大きな桶形状の溝M1が生じるので好ましくない。
【0006】
これに対して、特許文献1の
図2乃至
図4に記載された発明では、中空シール部12の先端を覆うような膨出壁を設けて水Wが溜まる幅広の溝ができることを避けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−100010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、中空シール部12に膨出壁を設けたものでは、ドア100に弾接する部位が円弧状になっているためドア100の進入角度によっては中空シール部12の先端付近以外の部分が先にドア100に衝突することによって中空シール部12に転びが生じる可能性がある。
中空シール部12に転びが生じると十分なシール機能が発揮されず、車内側に水が浸入する可能性がある。また、最悪の場合には、フランジから自動車用ウェザーストリップが外れるといった恐れもある。
【0009】
そこで本発明の目的は、中空シール部の転びの発生を防止するとともに十分なシール機能を得ることのできる自動車用ウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、自動車ボデイのドア(100)開口周縁部に取付けられる取付基部(21)と、その取付基部(21)に一体成形され前記ドア(100)に弾接する中空シール部(22)を備える自動車用ウェザーストリップ(20)であって、
前記中空シール部(22)は、断面視で長手方向の一部が、前記中空シール部(22)の外側に向けて屈曲する第一屈曲点(221P)を備えた第一車外側壁(221a)と第一車内側壁(221b)からなる第一中空壁(221)と、断面視で長手方向の一部が、前記中空シール部(22)の外側に向けて屈曲する第二屈曲点(222P)を備えた第二車外側壁(222a)と第二車内側壁(222b)からなる第二中空壁(222)が、各屈曲点(221P,222P)を互いに離間させた方向で接続されてなり、
前記第二中空壁(222)の第二車外側壁(222a)端部には、該第二車外側壁(222a)の側面から連続し、前記第一中空壁(221)側から突出するとともに前記ドア(100)に弾接
し、前記第一中空壁(221)側に傾斜した突起部(31)が形成され、
前記第一中空壁(221)の第一車外側壁(221a)端部は、前記第二中空壁(222)の第二車外側壁(222a)における前記中空シール部(22)の内方側で前記突起部(31)を車外側に突出させる位置に接続され、
しかも、前記第一中空壁(221)の第一車外側壁(221a)における前記中空シール部(22)の外方には、さらに外方側に向けて突出する
断面略山型の形状をした肉盛部(32)が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記肉盛部(32)は、前記第一車外側壁(221a)の前記第一屈曲点(221P)側に向けて肉厚が小さくなるか、あるいは剛性が小さくなるようにして、前記中空シール部(22)が前記ドア(100)に弾接する際には、前記第一屈曲点(221P)が車内側に向けて沈み込むように前記中空シール部(22)を撓ませてなることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記突起部(31)の先端(31a)は、断面形状において前記中空シール部(22)を、前記第一中空壁(221)側と前記第二中空壁(222)側に2分割する直線(L)より前記第一中空壁(221)側の領域に位置するように形成されてなることを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
また、車外側とは、前記ドア(100)の閉時において、相対向する前記ドア(100)側であり、車内側とは、その逆側のことを示している。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動車用ウェザーストリップは、取付基部に一体成形された中空シール部は、断面視で長手方向の一部が
、前記中空シール部の外側に向けて屈曲する第一屈曲点を備えた第一車外側壁と第一車内側壁からなる第一中空壁と、断面視で長手方向の一部が
、前記中空シール部の外側に向けて屈曲する第二屈曲点を備えた第二車外側壁と第二車内側壁からなる第二中空壁が、各屈曲点を互いに離間させた方向で接続されてなるといった、断面形状がパンタグラフのような形状をした、いわゆるパンタ中空形状であるので、従来例で示したような、丸中空断面形状のものよりシール性能に優れる。
よって、バックドアの樹脂化や横開きドア(スライドア)への適用が可能である。
【0015】
そして、第一中空壁の第一車外側壁における中空シール部の外方には、さらに外方側に向けて突出する
断面略山型の形状をした肉盛部が形成されるとともに、第二中空壁の第二車外側壁端部に形成された突起部は第一中空壁側に向けて傾斜しているので、ドアの進入角度に多少のバラツキがあったとしても、ドアの閉時には突起部から確実に弾接する。
よって、中空シール部に転びが生じる可能性はほとんどない。
その後、ドアに弾接した突起部は、肉盛部側に倒れ込むようにされているので、従来例で示したもの(
図7)と比較して、水が浸入する溝の大きさを小さく抑えることができる。
これにより、ドアを開けた際に溜まった水が垂れて車内側に流れたり、利用者や荷物にかかるといった問題を抑制することができる。
【0016】
また、本発明によれば、中空シール部がドアに弾接する際には、第一屈曲点が車内側に向けて沈み込むように中空シール部を撓ませるようにしたので、溝の形状が桶形状になることを防止することができる。
よって、溝の中に溜まる水の量を極めて少量にすることができる。
【0017】
また、本発明によれば、突起部の先端は、中空シール部を2分割する直線より第一中空壁側の領域に位置するように形成されてなるので、ドアに弾接した突起部は、肉盛部側に極めて容易に倒れ込むようにされている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップを示す、
図5のA−A線拡大断面図である。
【
図2】
図1に示す自動車用ウェザーストリップの中空シール部がドアに弾接して撓んだ状態を示す要部拡大面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る別の自動車用ウェザーストリップを示す、
図5のA−A線拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るさらに別の自動車用ウェザーストリップを示すもので、(a)は、
図5のA−A線拡大断面図であり、(b)は、
図4(a)に示す自動車用ウェザーストリップの中空シール部がドアに弾接して撓んだ状態を示す要部拡大面図である。
【
図5】自動車のバックドアが開けられた状態を示す外観斜視図である。
【
図6】従来例に係る自動車用ウェザーストリップを示す、
図5のA−A線拡大断面図である。
【
図7】
図6に示す自動車用ウェザーストリップの中空シール部がドアに弾接して撓んだ状態を示す要部拡大面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1,
図2及び
図5を参照して、本発明の第一実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ20について説明する。なお、従来で示したものと同一部分には同一符号を付した。
この自動車用ウェザーストリップ20は、
図5に示したように、バックドア100の周りに取付けられたもので、自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジ101に挿入して取付けられる取付基部21と、その取付基部21の車外側に一体成形され、バックドア100の閉時にそのドア100に弾接して車内外をシールする中空シール部22を備えている。
なお、本実施形態では、車外側とは、バックドア100の閉時において、相対向するバックドア100側であり、車内側とは、その逆側(フランジ101側)のことを示している。
【0020】
取付基部21は、第一側壁21aと,車内側側壁21bと,それら両側壁21a,21bを連結する奥壁21cからなる断面略U字形である。その材質は、特に限定されるものではないが、例えば、EPDMなどのソリッド材や比重が0.4よりも大きなEPDMなどのスポンジ材で形成されている。そして、取付基部21の両側壁21a,21bの内側には、挿入時にフランジ101の面に摺接する複数(ここでは4個)の突条片23が設けられ、第一側壁21aの先端及び外側には小リップ24及びシールリップ25がそれぞれ形成されている。また、第二側壁21bの外側で、第二側壁21bと奥壁21cとの連結位置には断面略舌状の装飾リップ部26が設けられ、取付基部21には断面略U字形状の芯材28(金属製でも樹脂製でもよい)が埋設されている。また、取付基部21の奥壁21c内側には、フランジ101の先端に接してその先端を包み込む止水用のスポンジ27が取付けられ、フランジ101の防錆とくぐり水防止が図られている。
【0021】
そして中空シール部22は、特異な断面形状をしている。すなわち、中空シール部22は、断面視で長手方向の一部が
、前記中空シール部22の外側に向けて屈曲する第一屈曲点221Pを備えた第一車外側壁221aと第一車内側壁221bからなる第一中空壁221と、断面視で長手方向の一部が
、前記中空シール部22の外側に向けて屈曲する第二屈曲点222Pを備えた第二車外側壁222aと第二車内側壁222bからなる第二中空壁222が、各屈曲点221P,222Pを互いに離間させた方向で接続されてなり、パンタグラフのような断面形状をしている。第一中空壁221は、第一屈曲点221Pを介して断面略「く」字形状に形成され、第二中空壁222は、第二屈曲点222Pを介して断面略逆「く」字形状に形成されてなるものである。
【0022】
第二中空壁222の第二車外側壁222a端部には、第二車外側壁222aの側面からその第二車外側壁222aが延びる方向に沿って連続して延びるように、第一中空壁221側から突出するとともに、バックドア100に弾接する突起部31が形成されている。第二車外側壁222aは第一中空壁221側に向けて傾斜しているので、第二車外側壁222aに沿って延びる突起部31も第一中空壁221側に向けて傾斜している。そして、第一中空壁221の第一車外側壁221a端部は、第二中空壁222の第二車外側壁222aにおける中空シール部22の内方側で突起部31の先端31aを車外側に突出させる位置に接続されている。
また、第二中空壁222の第二車内側壁222b端部は、取付基部21の奥壁21cの外側で第二側壁21b側に寄った位置に接続され、第一中空壁221の第一車内側壁221b端部は、取付基部21の奥壁21cの外側で第一側壁21a側に寄った位置に接続されている。
【0023】
ここでは、断面形状において、第二車内側壁222bの長さよりも第二車外側壁222aの長さを少し長くしているが同等の長さであっても、あるいは逆に第二車内側壁222b側が長いものであってもよい。また、第二車外側壁222aの断面形状における肉厚は第二屈曲点222Pに近づくにしたがって徐々に薄肉になるようにしている。また、奥壁21cに接続される付け根となる第一車内側壁221b及び第二車内側壁222bの端部側も、第一車内側壁221b及び第二車内側壁222bの他の部位に比較して薄肉にしている。
【0024】
また、第二車外側壁222a端部に形成された突起部31の先端31aは、
図1に示すように、断面形状において中空シール部22を、第一中空壁221側と第二中空壁222側に2分割する直線Lより第一中空壁221側の領域に位置するように形成されている。突起部31の先端31aから第二車外側壁222aの側面(外表面)へは滑らかに連続しており、断面形状において曲面状で、第二車外側壁222aの端部に対する付け根31bよりも先端31a側が、直線Lより第一中空壁221側
の領域に離れるように傾けられている。
【0025】
さらに、第一中空壁221の第一車外側壁221aにおける中空シール部22の外方には、さらに外方側に向けて突出する肉盛部32が形成されている。
肉盛部32は、断面略山型の形状であり、最も肉厚の厚い部分となる肉盛部32の頂点Pは、断面形状において第一車外側壁221aの中央よりも端部側(第二車外側壁222aの端部側)に寄った位置で、その頂点Pから第一車外側壁221aの端部側とその逆側(第一屈曲点221P側)にそれぞれ斜面が延びるように形成されている。ここでは、肉盛部32の頂点Pにおける肉厚Sを、中空シール部22において最も厚い部位にしている。
【0026】
そして、
図2に示すように、中空シール部22がバックドア100の閉時に、そのバックドア100に弾接する際には、突起部31が肉盛部32側に倒れ込むとともに、第一屈曲点221Pが矢印で示すY方向、すなわち車内側(バックドア100の閉時においてバックドア側とは逆側)に向けて沈み込む方向に、中空シール部22を撓ませるようにしている。
【0027】
これによれば、突起部31が肉盛部32側に倒れ込むようにすることで水Wが浸入する溝M2の大きさを、従来例で示したもの(
図7のM1)と比較して小さく抑えることができるので、その後、バックドア100を開けた際に溜まった水Wが垂れて車内側に流れたり、利用者や荷物にかかるといった問題を抑制することができる。
また、特に第一屈曲点221Pが沈み込むように中空シール部22を撓ませることで、溝M2の形状が桶形状になることを防止しているので、溝M2の中に溜まる水Wの量を極めて少量にすることができる。
【0028】
なお、本発明の実施形態では、突起部31については中空シール部22を2分割する直線Lより第一中空壁221側の領域に位置するように形成したが、中空シール部22がバックドア100に弾接した際に突起部31が肉盛部32側に倒れ込み、肉盛部32との間に生じる隙間を小さくするものであればよいので、例えば、
図3に示す、本発明の第二実施形態のように、突起部31が中空シール部22を2分割する直線Lが延びる方向に突出するものであってもよい。この場合は第一車外側壁221aの端部の肉厚221Tが、第二車外側壁222aの端部の肉厚222Tと比較して薄くなるようにするか、あるいは、バックドア100の侵入軌跡が、
図3において二点鎖線で示すように、直線Lより車内側に傾いた角度となっていることが望ましい。さらに、第一車外側壁221aの端部の肉厚221Tが、第二車外側壁222aの端部の肉厚222Tと比較して薄くなるようにするととともに、バックドア100の侵入軌跡が、
図3において二点鎖線で示すように、直線Lより車内側に傾いた角度となるようにしてもよい。なおこれら車外側壁221a,222aの端部の肉厚221T,222T及びバックドア100の侵入軌跡に関する要件は第一実施形態でも適用することができる。
【0029】
また、
図4(a)に示すように、肉盛部32の突起部31側に、突起部31の凸形状を受けて嵌り合う形状の凹部32aを形成して、バックドア100の閉時には、
図4(b)に示すように、肉盛部32側に倒れ込んだ突起部31が凹部32aに嵌り合うように当接して、肉盛部32と突起部31との間には隙間が生じないようにすることもできる。また、突起部31と肉盛部32が隙間なく当接する形状であれば、
図4で示した場合とは逆に、肉盛部32側の先端に凸形状の突起を設け、突起部31側の付け根に肉盛部31側の凸形状を受けて嵌り合う形状の凹部を設けるようにしてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、肉盛部32を、第一車外側壁221aの第一屈曲点221P側に向けて肉厚が小さくなるようにして、中空シール部22がバックドア100に弾接する際には、第一屈曲点221Pが車内側に向けて沈み込むようにしたが、肉盛部32について、第一車外側壁221aの第一屈曲点221P側の剛性を、例えば柔らかい材質を使用するなどして小さくするようにして、第一屈曲点221Pが車内側に向けて沈み込むようにすることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、自動車ボデイのバックドア100の開口周縁部に取付けられ、バックドア100に弾接する自動車用ウェザーストリップ20について説明したが、横開きドアやルーフなどにおいて設けられる開閉自在のドアにも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 自動車用ウェザーストリップ
11 取付基部
11a 第一側壁
11b 第二側壁
11c 奥壁
12 中空シール部
12P 屈曲点
13 突条片
14 小リップ
15 シールリップ
16 装飾リップ
17 スポンジ
18 芯材
20 自動車用ウェザーストリップ
21 取付基部
21a 第一側壁
21b 第二側壁
21c 奥壁
22 中空シール部
23 突条片
24 小リップ
25 シールリップ
26 装飾リップ
27 スポンジ
28 芯材
31 突起部
31a
突起部31の先端
31b 突起部31の付け根
32 肉盛部
32a 凹部
100 バックドア
101 フランジ
221 第一中空壁
221a 第一車外側壁
221b 第一車内側壁
221P 第一屈曲点
221T 肉厚
222T 肉厚
222 第二中空壁
222a 第二車外側壁
222b 第二車内側壁
222P 第二屈曲点
L 直線
M1 溝
M2 溝
W 水