(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撥水性有機ケイ素コア材料が、1〜30個の炭素原子を有する少なくとも1個のケイ素結合アルキル基を含むオルガノシラン、又はこのようなオルガノシランの部分縮合生成物である、請求項1に記載の方法。
前記マイクロカプセルが、テトラアルコキシシランを、オルガノシラン、部分的に縮合したオルガノシラン、及び分枝状シロキサン樹脂から選択される撥水性有機ケイ素材料の水性エマルションに添加し、これにより、前記テトラアルコキシシランが前記水性エマルション中の液滴の界面で縮合及び重合して、マイクロカプセルを形成することにより得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
オルガノシラン、部分的に縮合したオルガノシラン、及び分枝状シロキサン樹脂から選択される撥水性有機ケイ素コア材料と、シリカ単位を含むケイ素系ネットワークポリマーのシェルと、を含むマイクロカプセルを、セメント系組成物に添加し、前記組成物を成形し、硬化させて、セメント系製品を形成する、請求項1に記載の方法。
オルガノシラン、部分的に縮合したオルガノシラン、及び分枝状シロキサン樹脂から選択される撥水性有機ケイ素コア材料と、シリカ単位を含むケイ素系ネットワークポリマーのシェルと、を含むマイクロカプセルを、粘土系組成物に添加し、前記組成物を成形し、硬化させて、レンガ又はタイル製品を形成する、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
オルガノシラン又はオルガノポリシロキサンなどの有機ケイ素材料は、多孔質基材のための撥水剤として使用されてきた。これらは、多孔質基材上の塗料として、又は多孔質基材に取り入れる、例えば固める前のセメント系組成物に取り入れる添加剤として使用されてきた。
【0004】
欧州特許第811584号は、セメント中の粒状疎水化添加剤を記載している。この粒状添加剤は、オルガノポリシロキサン活性成分、水溶性又は水分散性結合剤、及び水溶性、水不溶性、又は水分散性担体粒子を含む。この添加剤は、これらの顆粒の結合剤及び担体の非疎水性のために、水を添加するとセメント系材料に容易に分散する。
【0005】
国際公開第WO 2008/062018号は、有機ケイ素成分及び結合剤ポリマーを水性エマルションから粒子状担体に適用する、セメント系材料向けの粒状疎水化添加剤を調製する方法を記載している。こうして調製される粒状疎水化添加剤は、添加剤を加えたセメント系材料に高い初期疎水性を与え、その疎水性は長期間持続することができる。
【0006】
米国特許第6268423号は、支持材としてのシリカ及び有機ケイ素化合物を含む疎水化粉末と、任意選択により溶媒及び/又は水と、乳化剤とを含有する建築用組成物を記載している。
【0007】
米国特許公開第2012/0101227号は、ケイ酸塩シェルマイクロカプセルの水性懸濁液を開示しており、ケイ酸塩シェルマイクロカプセルの第1部分は、少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び硬化性シロキサン組成物のパートAとしてのヒドロシリル化触媒を含有し、ケイ酸塩シェルマイクロカプセルの第2部分は、硬化性シロキサン組成物のパートBとしてオルガノハイドロジェンシロキサンを含有する。
【0008】
米国特許第6251313号は、オルガノポリシロキサンのシェル壁(shell wall)及びコア材を有するマイクロカプセルであって、4個以下のケイ素原子を含むオルガノシラン及び/又はその縮合物を加水分解及び重縮合することによってその場でシェル壁を生成するマイクロカプセルの調製を開示している。
【0009】
米国特許公開第2004/0256748号は、シリカマイクロカプセルを調製する方法に関し、より具体的には、加水分解の度合いを調節し親水性又は親油性を与えるための加水分解触媒を含有する水溶液にオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を溶解する工程と、コア材、及びゲル化剤としての適当な量のアミノプロピルトリアルコキシシラン(APS)を溶液に添加する工程と、得られる溶液を乳化し、コア材の極性とは反対の極性を有する溶液に分散して、ゾル−ゲル反応を介してコア材をシリカシェルでコーティングすることによってマイクロカプセル化する工程とを含むシリカマイクロカプセルを調製する方法に関する。
【0010】
欧州特許第0811584号は、セメントを含み、またセメントの重量に対して0.01〜5重量%のオルガノシロキサン成分を得るための、5〜15重量部のオルガノポリシロキサン成分、10〜40重量部の水溶性又は水分散性結合剤、及び50〜80重量部の担体粒子を含む十分な粒状疎水化添加剤をも含む粉末形態のセメント系材料を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
カプセル化撥水性組成物の調製のための本発明に従う方法では、テトラアルコキシシランを、オルガノシラン、部分的に縮合したオルガノシラン、及び分枝状シロキサン樹脂から選択される、撥水性有機ケイ素材料の水性エマルションに添加し、これにより、テトラアルコキシシランはこのエマルション中の液滴の界面で縮合及び重合し、マイクロカプセルを形成する。
【0015】
撥水性有機ケイ素材料は例えば、オルガノシランであり得る。撥水性オルガノシランは好ましくは、少なくとも1個のケイ素結合性の加水分解可能な基を含み、このため、このオルガノシランは反応して、セメント系組成物などの基材に結合することができる。このような加水分解可能な基の例は、アルコキシ及びアシルオキシ基である。撥水性オルガノシランは例えば、ジアルコキシシラン若しくはトリアルコキシシラン、又はこれらの混合物若しくはこれらとオルガノポリシロキサンとの混合物であってよい。ジアルコキシシランは一般に、式R
2Si(OR’)
2を有し、トリアルコキシシランは一般に、式RSi(OR’)
3を有し、各式中のRは、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、置換アルキル、アリール、又は置換アリール基を表し、各R’は、1〜4個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基を表す。R基が、例えば特にフルオロ基などのハロゲン、アミノ基、又はエポキシ基によって置換されてもよく、或いはアルキル基がフェニル基によって置換されてもよく、或いはフェニル基がアルキル基によって置換されてもよい。
【0016】
好ましい撥水性オルガノシランは、1〜30個の炭素原子を有する、少なくとも1個のケイ素結合アルキル基を含む。ケイ素結合とは、アルキル基が、標準の条件下では加水分解されないSi−C結合によりケイ素に直接的に結合されることを意味する。好ましいアルキル基の例は6〜18個の炭素原子を有するもの、例えばn−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、又はヘキシル基である。好ましい撥水性オルガノシランは、n−オクチルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、及びn−オクチルトリエトキシシランを含む。
【0017】
撥水性オルガノシランは、アルコキシ又はアシルオキシ加水分解可能基の加水分解、及び生ずるSi−OH基のシロキサン縮合により部分的に縮合され得る。撥水性オルガノシランが部分的に縮合された場合、縮合の度合いは好ましくは、このオルガノシランが1個のケイ素原子当たり少なくとも1個のアルコキシ又はアシルオキシ加水分解可能基を依然として有するように限定される。
【0018】
撥水性有機ケイ素材料は或いは、分枝状シロキサン樹脂であってよい。分枝状シロキサン樹脂は、式RSiO
3/2のシロキサン単位(T単位)及び/又は式SiO
4/2のシロキサン単位(Q単位)を含み、任意選択で、式R
2SiO
2/2のシロキサン単位(D単位)及び/又は式R
3SiO
1/2のシロキサン単位(M単位)を伴い、式中、各Rはヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基を表す。
【0019】
式RSiO
3/2のTシロキサン単位を含む、撥水性分枝状シロキサン樹脂は例えば、完全に又は主にT単位からなるシルセスキオキサン樹脂であってよい。式RSiO
3/2の単位中のR基は例えば、アルキル基であってよい。このような樹脂中の式RSiO
3/2の単位中のアルキル基のいくつか又は全ては、1〜30個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、オクチル基などの6〜18個の炭素原子を有するアルキル基であることが好ましい場合がある。撥水性分枝状シロキサン樹脂は例えば、n−オクチルシルセスキオキサン樹脂又はn−オクチルメチルシルセスキオキサン樹脂であってよい。式RSiO
3/2の単位中のR基はアリール基、例えばフェニル基であってよい。アルキル基及びアリール基を両方とも含有する分枝状シロキサン樹脂を使用することができる。撥水性分枝状シロキサン樹脂は例えば、フェニルシルセスキオキサン樹脂又はフェニルメチルシルセスキオキサン樹脂であってよい。
【0020】
撥水性分枝状シロキサン樹脂は、式RSiO
3/2のTシロキサン単位、並びに式R
2SiO
2/2のDシロキサン単位及び/又は式SiO
4/2のQシロキサン単位を含んでよい。分枝状シロキサン樹脂は例えば、DT樹脂、TQ樹脂、又はDTQ樹脂であってよい。分枝状シロキサン樹脂は或いは、式R
3SiO
1/2のMシロキサン単位及び式SiO
4/2のQシロキサン単位を含む、MQ樹脂であってよい。このようなMQ樹脂は好ましくは、1〜30個の炭素原子を有するアルキル基R、例えばオクチル基を含む。
【0021】
上記に定義される撥水性有機ケイ素材料、例えば撥水性オルガノシランは、反応基を有するオルガノポリシロキサン、例えばSi−H基を含有するオルガノポリシロキサンと混合してよい。存在する任意のオルガノポリシロキサンは好ましくは、上記に定義される撥水性有機ケイ素材料より少ない重量で存在する。
【0022】
上記に定義される撥水性有機ケイ素材料、例えば室温で固体の撥水性分枝状シロキサン樹脂は、0.5〜10 000mPa.sの粘度の、アルキルアルコキシシラン又はポリジメチルシロキサン、炭化水素などの溶媒中に可溶化してよい。溶媒/分枝状シロキサン樹脂の重量比は10:1〜1:10の範囲であってよい。
【0023】
本発明の方法では、テトラアルコキシシランを撥水性有機ケイ素材料の水性エマルションに添加する。撥水性有機ケイ素材料を、好ましくは界面活性剤の補助によって、水性媒体中で乳化させる。撥水性有機ケイ素材料のエマルションの粒子サイズは一般に、0.01〜500μm、好ましくは0.1〜50μmの範囲内である。或いは、エマルションは、粒子サイズが10〜150nmのマイクロエマルションでもよい。界面活性剤は、カチオン性、非イオン性、又は両性界面活性剤でよい。正のゼータ電位のエマルションを容易に形成するカチオン性及び/又は両性界面活性剤が好ましいことがある。本発明者らは、欧州特許第1471995号に記載されるように、正のゼータ電位が、撥水性オルガノシランの乳化した液滴の界面でテトラアルコキシシランの縮合及び重合を促進させることを発見した。
【0024】
非イオン性界面活性剤は、単独で使用するか、又はカチオン性若しくは両性界面活性剤と併用することができ、例えばカチオン性又は両性界面活性剤を、等重量までの非イオン性界面活性剤と混合することができる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、この方法はその場で行われる。有機ケイ素材料をテトラアルコキシシランと混合し、その後、例えばカチオン性界面活性剤で、エマルションを形成させる。
【0026】
カチオン性界面活性剤の例として、水酸化第四級アンモニウム、例えば水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジドデシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、水酸化獣脂トリメチルアンモニウム、及び水酸化ココトリメチルアンモニウム、並びに対応するこれらの材料の塩が挙げられる。塩化物塩、例えば塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが好ましいことがある。好適なカチオン性界面活性剤の更なる例として、脂肪族アミン及び脂肪酸アミド並びにそれらの誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリンの第四級アンモニウム塩基、ポリプロパノールポリエタノールアミンが挙げられる。
【0027】
有機ケイ素基を含有するカチオン性界面活性剤を使用することができる。このような界面活性剤の例として、下記式のN−オクタデシル−N,N−ジメチル−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドがある。
【化1】
【0028】
しかしながら、このようなカチオン性アルコキシシランは、下記のように、エマルション形成後に沈降の補助として添加すると、より有益になり得る。
【0029】
好適な両性界面活性剤の例として、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシサルフェート、ココベタイン、ココアミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N−ココ−3−アミノ酪酸、及びイミダゾリニウムカルボキシル化合物が挙げられる。
【0030】
上の界面活性剤は、個別に使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0031】
非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えばポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルアルコール、及びアルキル多糖類、例えば米国特許第5,035,832号に記載の構造式R
1−O−(R
2O)
m−(G)
nの材料(式中、R
1は直鎖若しくは分枝鎖アルキル基、直鎖若しくは分枝鎖アルケニル基、又はアルキルフェニル基を表し、R
2はアルキレン基を表し、Gは還元糖を表し、mは0又は正の整数を指し、nは正の整数を表す)が挙げられる。
【0032】
撥水性有機ケイ素材料の水性エマルション中の界面活性剤の濃度は、エマルションの0.01〜5重量%とすることができるが、好ましくは2重量%未満、最も好ましくは0.02〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%である。
【0033】
エマルション中の油(有機ケイ素材料)相と水相の重量比は、概して40:1〜1:50とすることができるが、高比率の水相は、特にマイクロカプセルのエマルションを形成する場合、経済的に不都合である。通常、油相と水相の重量比は2:1〜1:3である。
【0034】
エマルションの連続相は、水とアルコール又はラクタムなどの水混和性有機溶媒との混合物であってもよいが、ただし連続相は撥水性有機ケイ素材料と混和性でないものとする。有機ケイ素材料のエマルションの粒子サイズ(直径)は、水反応性ケイ素化合物を添加する前に、例えばホモジナイザー若しくはマイクロフルイダイザーなどの剪断を増大させる装置、又は粒子サイズが200nm〜10μm、最も好ましくは2μm〜5μmのマイクロカプセルのエマルションを生成するソノレーター(超音波ミキサー)中で縮小してもよい。
【0035】
生成されるマイクロカプセルの粒子サイズは一般に、出発エマルションの粒子サイズに対応し、例えば0.01〜500mm、最も好ましくは200nm〜10mmの範囲であってよい。粒子サイズが10〜500mm、特に最大で50又は100mmのマイクロカプセルが必要な場合、エマルションの水相は好ましくは、増粘剤、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ベントナイト粘土、セルロース誘導体、特にセルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、軽度に架橋したアクリルポリマー、化工デンプン、アルギネート、又はキサンタンガムを含有して、マイクロカプセルが形成中又はその後にエマルションから沈降するのを防止する。増粘剤は、テトラアルコキシシランを添加する前にエマルションに添加する。
【0036】
テトラアルコキシシラン中のアルコキシ基は好ましくは、1〜4個の炭素原子、最も好ましくは1又は2個の炭素原子を含有する。テトラアルコキシシランは例えば、テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル又はTEOS)であってよい。TEOSなどのテトラアルコキシシランは、単量体型で使用しても、液体部分縮合物として使用してもよい。
【0037】
テトラアルコキシシランは、加水分解し、縮合して、撥水性有機ケイ素材料の乳化した液滴の周りに、ネットワークポリマー、すなわちケイ素系材料の3次元ネットワークを形成する。この3次元ネットワークは実質的にSiO
4/2単位からなる。
【0038】
本発明による一代替方法では、トリ、ジ、及びモノアルコキシシランを、テトラアルコキシシランと併用して、シリカシェルに有機官能性をもたらす。トリ、ジ、及びモノアルコキシシランをテトラアルコキシシランと反応させて、トリ、ジ、及びモノアルコキシシラン由来の有機官能性単位をネットワークポリマーに取り入れ、マイクロカプセルのシェルを形成する。
【0039】
本発明による更なる一代替方法では、カチオン性アルコキシシランをテトラアルコキシシランと併用する。N−オクタデシル−N,N−ジメチル−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドは、このようなカチオン性アルコキシシランの一例である。カチオン性アルコキシシランは、懸濁液からマイクロカプセルの基材上への沈降を改善し、したがって撥水性有機ケイ素材料のマイクロカプセルの懸濁液が、予め形成された多孔質製品の表面に塗布されるときに有利となる。カチオン性アルコキシシランは、テトラアルコキシシランより前又は同時に水性エマルションに添加する。カチオン性アルコキシシランは、テトラアルコキシシランと反応して、カチオン性アルコキシシラン由来のシロキサン単位をネットワークポリマーに取り入れ、マイクロカプセルのシェルを形成する。
【0040】
テトラアルコキシシランは、原液として又は有機溶媒中の溶液として、撥水性有機ケイ素材料のエマルションに添加してよい。テトラアルコキシシラン及びエマルションは一般に、添加中及びその後の縮合中、剪断下で混合されて、ケイ素系ポリマーシェルを乳化液滴の表面上に形成する。混合は例えば、攪拌することによってできるが、エマルションとテトラアルコキシシランを、テトラアルコキシシランの添加中、又はテトラアルコキシシランの添加後からマイクロカプセルの形成完了前までのいずれかで、例えばSilverson(商標)ミキサーなどのローター及びステーター型ミキサー中で高剪断にかけることが好ましい。テトラアルコキシシランの添加直後での高剪断混合が好ましい。これにより、粒子サイズが縮小したマイクロカプセルがもたらされ、エマルション液滴の界面でほぼ全てのテトラアルコキシシランの重合が促進するように見える。
【0041】
テトラアルコキシシランの縮合反応は、酸性、中性、又は塩基性のpHで行うことができる。縮合反応は一般に、周辺の温度と圧力で実施されるが、例えば温度を95℃まで増加させ、例えば真空下で圧力を増加又は減少させて実施し、縮合反応中に生成される揮発性アルコールを揮散させてもよい。撥水性有機ケイ素材料とテトラアルコキシシランの重量比は、好ましくは少なくとも1:1であり、多くの場合、少なくとも2:1、例えば3:1〜50:1であってよい。より小さなマイクロカプセル、例えばマイクロエマルションから形成されるものは一般に、オルガノシランと水反応性ケイ素化合物の比がより小さい。
【0042】
ケイ素系ネットワークポリマーを形成するために、テトラアルコキシシランの加水分解及び/又は縮合の触媒を使用してもよい。触媒は、好ましくは、油溶性有機金属化合物、例えば有機スズ化合物、特にオルガノスズ化合物、例えばジオルガノスズジエステル、例えばジメチルスズジ(ネオデカノエート)、ジブチルスズジラウレート又はジブチルスズジアセテート、或いはスズカルボキシレート、例えば第一スズオクトエート、又はチタン酸テトラブチルなどの有機チタン化合物である。オルガノスズ触媒は例えば、テトラアルコキシシランに対して0.05〜2重量%で使用してよい。オルガノスズ触媒は、中性pHにて効果的な触媒作用の利点を有する。触媒は、最も好ましくは、乳化前に、撥水性有機ケイ素材料と混合するが、それは、このことが乳化した親油性液滴の表面でのテトラアルコキシシランの縮合を促進するためである。触媒は、或いは、テトラアルコキシシランの添加前、又はテトラアルコキシシランと同時、又はテトラアルコキシシランの添加後に、エマルションに添加して、形成したケイ素系ポリマーのシェルを硬化させ、より不浸透性にすることができる。しかしながら、カプセル化は触媒なしで実現できる。触媒(使用する場合)は原液で添加しても、炭化水素、アルコール、又はケトンなどの有機溶媒中の溶液として添加しても、エマルション又は懸濁液などの多相系として添加してもよい。
【0043】
テトラアルコキシシランの加水分解及び縮合の生成物は、マイクロカプセルの水性懸濁液である。水性連続相は、水混和性有機溶媒を含有することができ、例えば、通常、Si結合したアルコキシ基の加水分解によって生じるエタノールなどのアルコールを含有する。マイクロカプセルの懸濁液を、マイクロカプセルを懸濁液から分離することなく、多孔質製品への添加剤として使用することは有利であり得る。
【0044】
他の事象では、水性媒体から単離したマイクロカプセルを扱うことが有利なこともある。このような懸濁液からのマイクロカプセルの回収又は単離は、任意の公知の液体除去技術によって、例えば噴霧乾燥、噴霧冷却、濾過、オーブン乾燥、又は凍結乾燥によって実現することができる。
【0045】
マイクロカプセルは、トリ、ジ、又はモノアルコキシシランを添加することによって、懸濁液中、又は単離(乾燥)形態で更に表面処理されてもよい。マイクロカプセルの表面処理は、このマイクロカプセルの適合性、pH抵抗力、機械的強度を改質することができる。
【0046】
したがって、多孔質製品の疎水性は、この製品又は多孔質製品を与える組成物を、任意選択により希釈後に、上記の本発明の方法によって生成されるマイクロカプセルの水性懸濁液で処理することによって向上させることができる。この処理は形成中の多孔質製品の補助剤中で、又は後処理で行うことができる。これは、既に形成された多孔質製品の後処理において特に利点を有する。公知の方法では、後処理は一般に撥水剤のエマルションを使用して実施されるが、多孔質製品の表面上に界面活性剤を残してしまう。撥水性が最も明らかに目に見える証拠は、「ビーディング」であり、表面が濡れているときの分離した水滴の形成である。エマルションによる処理は、少なくとも最初は「ビーディング」を実現しない。本発明によるマイクロカプセルの水性懸濁液による処理は、低レベルの界面活性剤デリバリーシステムであり、塗布直後に「ビーディング」を実現できる。形成した多孔質製品に塗布したマイクロカプセルの懸濁液中の撥水性有機ケイ素材料の濃度は、好ましくは懸濁液の0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。
【0047】
本発明のマイクロカプセルは、多孔質建築用材料、例えばセメント系基材、粘土系基材、石膏系基材、石灰系基材、又は木質系基材を処理する上で特に有効である。セメント系基材は例えば、セメントブロック、コンクリート、気泡セメント、又は繊維補強セメントでもよい。粘土系基材は例えば、レンガ、タイル、又はパイプでもよい。石膏系基材は例えば、プラスター、石膏パネル、石膏ベースでもよい。石灰系基材は例えば、石灰系レンダーでもよい。木質系基材は例えば、木板若しくは木片などの木材、又は合板などの加工木材、ベニヤ板、配向性ストランドボード(OSB)、パーティクルボード、断熱ボード若しくは中質繊維板(MDF)などの繊維板でもよい。本発明のマイクロカプセルの懸濁液は、同じ撥水性有機ケイ素材料のエマルションよりも界面活性剤の含有量がかなり少なく、結果として表面の湿潤性がより低い。
【0048】
本発明のマイクロカプセルは、多孔質建築用材料、例えばコンクリート又は木材を処理するときに、多孔質製品の表面をはつ油性にもするという更なる利点がある。エマルションの適用と比較して、マイクロカプセルを適用することによって多孔質基材に適用される界面活性剤のレベルが非常に低いことにより、オルガノポリシロキサンの撥水性及びはつ油性をより効果的に使用できるようになる。
【0049】
後処理とは別に、処理は、多孔質製品を生成する組成物、例えばセメント系製品を製造するためのセメント系組成物、又はレンガ若しくはタイル製品を製造するための粘土系組成物にも施してよい。撥水性セメント系製品は、本発明のマイクロカプセルをセメント系組成物に添加して、組成物を成形し、硬化させてセメント系製品を形成することによって製造できる。セメント系組成物は例えば、コンクリート、気泡セメント、又は繊維補強セメントでもよい。マイクロカプセルは、上記で製造したマイクロカプセルの水性懸濁液としてセメント系組成物に添加してもよいし、マイクロカプセルを、セメント系組成物に添加する前に懸濁液から単離してもよい。マイクロカプセルは、好ましくは、セメント系組成物に対して撥水性有機ケイ素材料を0.05〜2重量%の濃度で、セメント系組成物に添加する。
【0050】
同様に、撥水性のレンガ又はタイル製品も、本発明のマイクロカプセルを粘土系組成物に添加し、この粘土系組成物を成形し、硬化させて、レンガ又はタイル製品を形成することによって製造できる。マイクロカプセルは、マイクロカプセルの水性懸濁液として、又は単離されたマイクロカプセルとして、粘土系組成物に添加することができる。マイクロカプセルは、好ましくは、粘土組成物に対して撥水性有機ケイ素材料を0.05〜2重量%の濃度で、粘土組成物に添加する。
【0051】
組成物を成形して固定する前に撥水剤を組成物に添加するこれらの方法では、本発明のマイクロカプセルは、シェル壁によって撥水剤が組成物から最初は離れた状態にあるという利点がある。例えば、セメント系組成物中で、マイクロカプセルはしばらく残存するため、撥水剤がセメントの水和反応を遮断することはない。しかしながら、セメント系組成物の高いpHが最終的にはシェル壁を溶解することにより、撥水性有機ケイ素材料が組成物全体に放出されて、撥水性セメント系製品が均一に形成される。
【0052】
本発明のマイクロカプセルが特に有益であるセメント系製品の一例として、気泡セメント製品がある。マイクロカプセルは、発泡性セメント系組成物に添加してもよい。例えば、マイクロカプセルの水性懸濁液又は単離したマイクロカプセルを、発泡性セメント系組成物に添加してもよい。撥水剤として有効な疎水性材料は一般に、泡抑制剤でもある。本発明のマイクロカプセルを使用して、マイクロカプセルのシェル壁によって撥水剤を発泡性組成物から十分長い時間離しておき、組成物の発泡を生じさせる。
【0053】
本発明のマイクロカプセルを他の製品に使用して撥水性を授与してもよい。例えば、マイクロカプセルを、ペンキ又は塗料用組成物に取り入れてもよい。
【0054】
本発明は、以下の実施例により例示され、部及び百分率は重量によるものとする。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
33.3%のオクチルトリエトキシシランを0.1% N−オクタデシル−N,N−ジメチル−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドカチオン性界面活性剤を含有する66.4%の水中に、高剪断ローターステーターミキサーを用いて乳化した。1% TEOSをエマルションに攪拌しながら添加した。中位径372nmのマイクロカプセルを懸濁液中で生成した。このマイクロカプセルは、オクチルトリエトキシシランのコアと、シリカ単位を含むTEOSのネットワークポリマーのシェルとからなった。
【0056】
マイクロカプセルの懸濁液を水で希釈することにより、5%オクチルトリエトキシシランを含有するものとした。希釈した懸濁液(2.5g)を15×15cmの繊維補強セメントボードの6面上に噴霧し、乾燥させ、周囲条件下で1週間反応させた。この繊維補強セメントボードの水分吸収率を水面下2cmにこれらのボード片を浸漬させることにより試験した。水分吸収率を水中への浸漬の1、3、6、及び24時間後に測定した。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例2)
実施例1を、2% TEOSをエマルションに更に添加して、繰り返した。
【0058】
比較例1及び2
比較例C1:実施例1で調製したオクチルトリエトキシシランのカチオン性エマルションを5%活物質まで希釈し、TEOSでのいずれの処理も伴わずに繊維補強セメントボード上に噴霧した。
【0059】
比較例C2:39.4%のオクチルトリエトキシシラン及び13.1%のオクチルT樹脂を、4.8%ポリオキシエチレンラウリルエーテル非イオン性界面活性剤を含有する41.2%の水中に、高剪断ローターステーターミキサーを用いて乳化した。このオクチルトリエトキシシランの非イオン性エマルションを5%活物質まで希釈して、比較例C2とし、繊維補強セメントボード上に噴霧した。
【0060】
実施例1及び2、並びに比較例C1及びC2の結果を表1に示す。無処理の繊維補強セメントボードの水分吸収率もまた測定した。
【0061】
【表1】
【0062】
表1から、実施例1及び2のカプセル化オルガノシランは、比較例C1及びC2で使用された同じ濃度の同じオルガノシランのエマルションより明らかに低い水分吸収率(より優れた撥水性)を与えることが分かる。
【0063】
(実施例4)
30.3%のオクチルトリエトキシシランを、0.3% Arquad 16〜29カチオン性界面活性剤及び0.2% Volpo L−3非イオン性界面活性剤を含有する60.1%の水中に、高剪断ローターステーターミキサーを用いて乳化した。9.1% TEOSをエマルションに攪拌しながら添加した。このマイクロカプセルは、オクチルトリエトキシシランのコアと、シリカ単位を含むTEOSのネットワークポリマーのシェルとからなった。
【0064】
モルタルブロックを、450gのCEM I 42.5 Rセメント、1350gの砂、180gの水、及び疎水性添加剤を混合することにより調製した。実施例4からのマイクロカプセルの懸濁液、及び比較例C2で説明したシランの非イオン性エマルションを、モルタル乾燥組成物(セメント+砂)に対して0.1%活物質の添加レベルに達するように、モルタルスラリーに添加した。疎水性添加剤を含有しない基準モルタルブロックも調製した。
【0065】
モルタルブロック(40×40×160mm)を25℃の温度で、100%相対湿度で28日間硬化させ、その後、50℃で一晩乾燥させ、室温で冷却させ、その後、試験した。
【0066】
乾燥ブロックを秤量し(W
乾燥)、その後、このブロックの上面が水面下3cmの深さにある状態で、水中に1時間浸漬させた。1時間後、このブロックを再び秤量した(W
湿潤)。このブロックをその後、(3時間の浸漬時間に達するように)更に2時間、再び浸漬させ、再び秤量した。その後、上記と同じ作業を24時間の浸漬時間に達するように再び行う。表2における結果は以下の式を使用して得られる。
【0067】
【数1】
【0068】
【表2】
【0069】
(実施例5)
30.3%のメトキシ官能基付加オクチルT樹脂を、0.3% Arquad 16〜29カチオン性界面活性剤及び0.2% Volpo L−3非イオン性界面活性剤を含有する60.1%の水中に、高剪断ローターステーターミキサーを用いて乳化した。9.1%のTEOSをエマルションに攪拌しながら添加した。このマイクロカプセルは、シルセスキオキサン系活物質のコアと、シリカ単位を含むTEOSのネットワークポリマーのシェルとからなった。
【0070】
マイクロカプセルの懸濁液を水で希釈し、2%のメトキシ官能基付加オクチルT樹脂を含むものとした。希釈した懸濁液を別の種類の繊維補強セメントボードの6面上に噴霧し、乾燥させ、周囲条件下で2日間反応させた。この繊維補強セメントボードの水分吸収率を水面下2cmにこれらのボード片を浸漬させることにより試験した。水分吸収率を水中への浸漬の1、3、6、及び24時間後に測定した。結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
(実施例6)
33.3%のエトキシ官能基付加オクチルT樹脂を、0.1% N−オクタデシル−N,N−ジメチル−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドカチオン性界面活性剤を含有する56.4%の水中に、高剪断ローターステーターミキサーを用いて乳化した。10%のTEOSをエマルションに攪拌しながら添加した。このマイクロカプセルは、シルセスキオキサンのコアと、シリカ単位を含むTEOSのネットワークポリマーのシェルとからなった。
【0073】
気泡オートクレーブブロックを、40%の微砂(<10μm粒子サイズ)、45% CEM I 52.5 R白色セメント、10%水酸化カルシウム、5%硫酸カルシウム半水和物、及び0.7%アルミニウムペーストを混合することにより調製した。水対固体比を1の値に設定する。
【0074】
全ての成分を水中のスラリーとして添加し、連続して混合した。アルミニウムを最後の段階で添加する。この混合物をその後、50℃のオーブン内に一晩入れる。
【0075】
腐食性媒体中でのアルミニウムペーストの反応に続いて、水素が放出され、気泡を生成し、これらはセメントマトリックス中に封入され、このセメントマトリックスはそれと同時に凝結する。実施例6からのマイクロカプセルの懸濁液をこのスラリーに添加し、その後、アルミニウムを、固体組成物に対して1%の活性含有量に達するように添加した。
【0076】
膨張及び硬化後のスラリーの体積を測定する。アルミニウムをスラリーに添加しなかったときに得られた硬化ケークの高さ、及びアルミニウムの存在下であるが、添加剤を伴わなかったときに得られた硬化ケークの高さを基準とする。
【0077】
体積膨張の度合いを表4に示す。
【0078】
ブロック試料を、大体同じ重量及び形状になるように切断する。それらを秤量し、その後、それらが水面下数センチメートルに沈むように、水で満たした容器中に入れる。これらの試料を浸漬させたまま維持するために、格子をそれらの上に置く(そうしなければ、これらの試料は浮かぶ)。
【0079】
試料を浸漬の1、6、及び24時間後に秤量した。秤量直前に、それらを手早く拭き、吸収されていない水を除去する。水取込量の割合は以下のように計算される。
【0080】
【数2】
Wxはx時間の浸漬後の試料重量であり、Wiは初期試料重量である。
【0081】
マイクロカプセルの懸濁液で処理したブロックの水取込量を表4に示す。参考のために、1%の純オクチルT樹脂で改質したブロックの水取込量も示す。
【0082】
【表4】
【0083】
表4は、気泡ブロックへのオクチルT樹脂の添加がこれらのブロックの水分吸収率に強い影響を有することを明らかに示す。水取込量は顕著に減少する。同じオクチルT樹脂のマイクロカプセルの懸濁液の添加は、同様の水取込量の減少をもたらし、このことは、この活物質が硬化機構中に放出され、この活物質とセメント系マトリックスとの反応が可能になることを示す。
【0084】
ケーク拡大の度合いは、純オクチルT樹脂の添加がスラリー体積膨張に対して悪影響を有することを示す。オクチルT樹脂が添加されたとき、硬化ケークの体積は僅か9.1cmであり、一方、この樹脂の不在下での硬化ケークの体積は10.5cmである。同じオクチル樹脂のマイクロカプセルの懸濁液は驚くべきことに、スラリー膨張に対して悪影響を有しない。マイクロカプセル懸濁液の存在下での硬化ケークの高さは10.3cmであり、非改質スラリーとほぼ同様である。このことは、マイクロカプセル化により、この活物質が、約1時間続く発泡及び膨張プロセス中に保護されることが可能になることを強く示す。このマイクロカプセルの断裂は後に起こり、セメント系マトリックス全体がむらなく処理されることを可能にし、水取込量を大きく減少させる。
【0085】
(実施例7)
33.3%の水及び0.1%のカチオン性界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、CTAC)を、プロペララボミキサーで、200RPMで3分間混合する。100mPa.sのポリジメチルシロキサン中に可溶化したMQ樹脂(40重量% MQ樹脂/60重量%ポリジメチルシロキサン)を上記界面活性剤溶液中に、同じミキサーで、400RPMで3分間混合する。この分散物を高剪断ミキサー(ホモジナイザー)で更に混合する。この分散物のpHを3に調節する。10%のテトラエトキシシランを穏やかに混合しながら一滴ずつ添加する。上記活物質の液滴の周りにカプセルが構築する時間をとるために、マイクロカプセル化を24時間行う。
【0086】
(実施例8)
33.3%の水及び0.1%のカチオン性界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、CTAC)を、プロペララボミキサーで、200RPMで3分間混合する。オクチルトリエトキシシラン中に可溶化したMQ樹脂(57重量% MQ樹脂/43重量%オクチルトリエトキシシラン)を上記界面活性剤溶液中に、同じミキサーで、400RPMで3分間混合する。この分散物を高剪断ミキサー(ホモジナイザー)で更に混合する。この分散物のpHを3に調節する。10%のテトラエトキシシランを穏やかに混合しながら一滴ずつ添加する。上記活物質の液滴の周りにカプセルが構築する時間をとるために、マイクロカプセル化を24時間行う。
【0087】
実施例7及び8を、含浸による木材処理の方法、及び後続する無処理の木材と対比した上記処理した木材の水分吸収率にしたがって、疎水化木質基材における有効性について試験した。
【0088】
含浸条件:
−木材:サイズ50×27×18mmのホワイトパインのブロック。
−パインのブロックを、一定重量が記録されるまで、40℃のオーブン中で乾燥する(24時間間隔)。
−ブロックを、4kPa(40mbar)で、20分間、真空下に置く(
図1A)。撥水性組成物をフラスコ内に入れ、木質ブロックを浸水させる(
図1B)。
−ブロックを、大気圧下、20分間、撥水性組成物(1%活物質)に浸す(
図1C)。
−次いで、ブロックを取り除き、ペーパーで軽く叩いて乾燥し、その重量を記録する。
−次いで、ブロックを40℃のオーブン中で4日間乾燥する。
【0089】
含浸レベルは、含浸前と含浸後プラス乾燥工程での重量の違いによって測定する。
【0090】
撥水性材料の有効性:
−上記のように処理されたブロックを、2片のガラス上に直立に(最小断面27×18mmを接する面にして)置き、木質ブロックの僅か2mmのみが水と接触することを確認する。
−毛管力が水分吸収率を促進する。
−次いで、ブロックを取り除き、ペーパーで軽く叩いて乾燥し、秤量してガラス棒の上に再度置く。次いで、水と接触させてから1、3、6、8、及び24時間後に重量を記録する。
【0091】
重量吸収率を、水の吸収前の重量と水の吸収後の重量に対して百分率で計算する。
【0092】
実施例7及び8は、表5で開示されるように、既に1時間水と接触した後、及び最大24時間まで水と接触した後の、無処理の木材に対する水取込量の減少を示す。
【0093】
【表5】