特許第6228209号(P6228209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228209可動壁を備えた拡張可能なデータセンター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228209
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】可動壁を備えた拡張可能なデータセンター
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/06 20060101AFI20171030BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   E04H1/06
   G06F1/20 B
   G06F1/20 C
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-528722(P2015-528722)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公表番号】特表2015-531037(P2015-531037A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】US2013058006
(87)【国際公開番号】WO2014039524
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】13/603,341
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/603,348
(32)【優先日】2012年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507303550
【氏名又は名称】アマゾン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ブロック・アール
(72)【発明者】
【氏名】チャマラ,マイケル・ピイ
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−063226(JP,A)
【文献】 特許第3733015(JP,B2)
【文献】 特開平03−202534(JP,A)
【文献】 特開2006−002419(JP,A)
【文献】 特開2007−285082(JP,A)
【文献】 特開2010−107188(JP,A)
【文献】 特開2011−069098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/06
G06F 1/20
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成される床と、
コンピューティング室を少なくとも部分的に包囲している複数の壁であって、前記コンピューティング室は長さおよび幅を含み、前記コンピューティング室は前記ラック式コンピューティングシステムのうちの少なくとも1個を保持するように構成される、複数の壁と、を備え、
前記複数の壁は、
前記コンピューティング室の前記幅を画成する一対の対向する平行な壁と、1個以上の可動壁であって、前記可動壁のうちの少なくとも1個の各々は、前記対向する平行な壁を実質的につなぎ、前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、前記コンピューティング室の長さを増大または減少させるように平行移動するように構成される、1個以上の可動壁と、を備え、
前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個の平行移動によって生成される前記コンピューティング室の辺に沿った1つ以上の隙間を埋めて前記コンピューティング室の境界の少なくとも一部を画するために、前記1つ以上の隙間に結することで前記一対の対向する平行な壁の少なくとも一部を構成する1個以上の側部モジュールが設けられている、
データセンター。
【請求項2】
前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、1個以上のローラを備え、前記少なくとも1個の可動壁は、前記コンピューティング室の長さを増大または減少させるように転動するように構成される、請求項1に記載のデータセンター。
【請求項3】
前記可動壁のうちの少なくとも1個は、前記コンピューティング室の長さを増大または減少させるように動かされるように動力を供給される、請求項1に記載のデータセンター。
【請求項4】
1個以上のレールを更に備え、前記1個以上の壁のうちの少なくとも1個は前記1個以上のレールのうちの少なくとも1個に沿って動く、請求項1に記載のデータセンター。
【請求項5】
1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成される床と、
コンピューティング室を少なくとも部分的に包囲している複数の壁であって、前記コンピューティング室は前記ラック式コンピューティングシステムのうちの少なくとも1個を保持するように構成される、複数の壁と、
を備え、
前記複数の壁は1個以上の可動壁を備え、前記可動壁のうちの少なくとも1個は、前記コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように他の壁に対して平行移動するように構成され、
前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個の平行移動によって生成される前記コンピューティング室の辺に沿った1つ以上の隙間を埋めて前記コンピューティング室の境界の少なくとも一部を画するために、前記1つ以上の隙間に結することで一対の対向する平行な壁の少なくとも一部を構成する1個以上の側部モジュールが設けられている、データセンター。
【請求項6】
前記複数の壁は2個以上の可動壁を備え、前記可動壁のうちの少なくとも2個の各々は、前記コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように1個以上の他の壁に対して平行移動するように構成される、請求項5に記載のデータセンター。
【請求項7】
前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔てる、請求項5に記載のデータセンター。
【請求項8】
前記1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、前記可動壁と少なくとも1個の他の壁との間の接合部に1個以上の密封要素を備え、該1個以上の密封要素は前記コンピューティング空間と前記非コンピューティング空間との間の空気流を抑制するように構成される、請求項5に記載のデータセンター。
【請求項9】
前記コンピューティング室上の天井を更に備え、前記少なくとも1個の可動壁は前記天井へ実質的に延びる、請求項5に記載のデータセンター。
【請求項10】
前記コンピューティング室の天井を介して空気を引き出すように構成される空気処理システムを更に備える、請求項5に記載のデータセンター。
【請求項11】
複数の壁により少なくとも部分的に包囲されるコンピューティング室を設けることと、
前記コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように可動壁を前記コンピューティング室の他の壁に対して平行移動させ、前記平行移動は、前記コンピューティング室の拡張域に1つ以上の隙間を生成することと、
前記コンピューティング室の辺に沿った前記1つ以上の隙間を埋めて前記コンピューティング室の境界の少なくとも一部を画するために1個以上の側部モジュールを一対の対向する平行な壁の少なくとも一部を構成するよう前記1つ以上の隙間に結合することと、
を含む、
コンピューティング室の大きさを変える方法。
【請求項12】
前記可動壁は非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔て、前記非コンピューティング空間の少なくとも一部分は未完成空間であり、前記方法は、
前記非コンピューティング空間内に拡張域を仕上げることと、
前記コンピューティング室を拡大して前記拡張域を含むように前記可動壁を平行移動させることと、
前記拡張域内で1個以上のラック式コンピューティングシステムを操作することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記可動壁は非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔て、前記可動壁は前記コンピューティング室の大きさを増大して拡張域を含むように平行移動され、前記方法は、空間を前記拡張域で非コンピューティング用からコンピューティング用へ再割当てすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピューティング室を拡大して前記拡張域を含むように前記可動壁を平行移動することと、
前記拡張域内の固定壁の一部分を介して少なくとも1個以上のラック式コンピューティングシステムに電力を供給することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ラック式コンピューティングシステムを介して空気を動かして熱を除去することと、
加熱された空気を前記コンピューティング室の天井を介して排出することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オンライン小売業者、インターネットサービス提供者、サーチ提供者、金融機関、大学、および他のコンピューティング集約型の機関等の機関では、大規模なコンピューティング施設からコンピュータ操作を行うことが多い。それらのコンピューティング施設は、大量のサーバ、ネットワーク、およびコンピュータ設備を収容および収納して、機関での操作を実行するのに必要とされるデータの処理、格納、および交換を行っている。一般に、コンピューティング施設のコンピュータ室には、多くのサーバラックを含んでいる。各サーバラックにも、また、多くのサーバおよび関連したコンピュータ設備を含んでいる。コンピューティング施設には多数のサーバを包含し得るので、施設を操業するためには多量の電力が必要となる可能性がある。加えて、電力は、コンピュータ室の全体に広がった多数の場所(例えば、多くのラックが相互に間隔を空けて配置され、多くのサーバが各ラック内にある)に配送される。通常は、施設は、比較的高い電圧で給電を受ける。この給電は、より低い電圧(例えば、110V)に下げられる。ケーブル、バスバー、電源コネクタ、および配電ユニットのネットワークを使用して、電力をより低い電圧で施設内の多数の特定な構成部品に配送する。
【0002】
コンピュータシステムは、一般に、廃熱を発生する多数の構成部品を含んでいる。そのような構成部品としては、プリント回路基板、大容量記憶デバイス、電源装置、およびプロセッサが含まれる。例えば、マルチプロセッサを備えた一部のコンピュータでは、250ワットの廃熱を発生する可能性がある。一部の公知のコンピュータシステムは、複数のそのようなより大型のマルチプロセッサコンピュータを含んでおり、それらはラック取付けの構成部品に構成され、その後ユニット式ラックシステム内に位置付けられる。一部の公知のユニット式ラックシステムは、40個のそのようなラック取付けの構成部品を含むため、そのようなユニット式ラックシステムは10キロワットもの廃熱を発生する。しかも、一部の公知なデータセンターは、複数のそのようなユニット式ラックシステムを含んでいる。一部の公知なデータセンターは、一般に1個以上のラックシステムを介して空気を循環させることにより、複数のユニット式ラックシステムからの廃熱の除去を容易にする方法および装置を含んでいる。
【0003】
多くのデータセンターは、建造物の内部に収容された多数のラック取付けのサーバを含み、この建造物が運転保護装置を提供する。そうした建造物は、建設コスト、保守コスト、および/または賃借コストの形で実質的投資を要する可能性がある。加えて、データセンター(またはその拡張)を設計および建設し、ケーブルを敷設し、ラックおよび冷却システムを設置するためには、一般にかなりの時間と資源とが要される。電気的およびHVACシステム等について、検査を行い証明および認可を得るためには、一般に追加の時間と資源とが必要となる。
【0004】
多くのデータセンターは、強制空気システムと空気調節に依存して、温度および他の環境条件をデータセンター内で許容範囲内に維持している。これらのシステムを設置して稼働させる初期および運用コストは、データセンターの操業に相当なコストと複雑性を加える可能性がある。
【0005】
任意のデータセンターに必要なコンピューティング容量の程度は、ビジネスニーズによる決定にしたがって、急激に変化する可能性がある。ほとんどの場合、当該場所でコンピューティング容量の増大が必要になる。データセンター内にコンピューティング容量を初期提供すること、またはデータセンターの現存容量を(例えば、追加のサーバの形で)拡張することは、資源集約型であり、効果を生じるまでに多くの月日がかかる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1A図1B図1Cは、コンピューティング室用の可動壁を有するデータセンターを示す。
図2】可動壁を平行移動することによりデータセンターのコンピューティング室の大きさを拡張変化させる一実施形態を示すフロー図である。
図3図3A図3Bは、コンピューティング室の長さを増大させるように可動壁を平行移動させた後のデータセンターの平面図および側面図を、それぞれ、示す。
図4】側部モジュールを追加することによりデータセンターのコンピューティング室を拡張することを示す。
図5】データセンターのコンピューティング室の側部に使用できる側部モジュールの一実施形態を示す。
図6】コンピューティング室の大きさを増大させるために使用できる側部モジュールを有するデータセンターの一実施形態を示す。
図7】コンピューティング室の端壁として機能するように可動壁を位置付けたデータセンターの一実施形態を示す。
図8図8A図8Bは、側部モジュールにより境界を画されるコンピューティング室を備えたデータセンターを示す。
図9図9A図9Bは、データセンターのコンピューティング室を拡張するための拡大用支持構造要素を示す。
図10図10A図10Bは、拡大されたコンピューティング室を示す。
図11】共通の側部モジュールにより接続されたコンピューティング室を有するデータセンターを示す。
図12】拡張可能な外部シェルを有するデータセンターを示す。
【0007】
本発明は種々の変形例や代替形態が可能であるが、その特定実施形態を図面における実施例により示し、本明細書で詳細に説明を行う。しかし、それらについての図面および詳細な説明は、本発明を開示した特定な形に限定するようには意図されてなく、逆に、本発明は、添付した特許請求の範囲により画成される本発明の精神および範囲内に収まる全ての変形例、均等物および代替例に及ぶべきことを理解すべきである。本明細書に使用する見出しは系統立てる目的のみのものであって明細書または特許請求の範囲を制限するために用いられるように意味するものではない。本出願書類を通して使用される、語「してもよい」は強制的な意味(即ち、しなければならないを意味する)のではなく、許容的な意味(即ち、潜在可能性を有していることを意味する)に使用される。同様に、語「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」は含んでいることを意味するが、限定はされない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
コンピューティング資源を提供するためのシステムおよび方法が開示される。一実施形態によれば、データセンターは、ラック式コンピューティングシステムを支持する床と、コンピューティング室を包囲する壁とを含む。コンピューティング室は長さおよび幅を有する。コンピューティング室は、ラック式コンピューティングシステムを保持する。壁は、コンピューティング室の幅を画成する一対の対向する平行な壁と、1個以上の可動壁とを含む。可動壁のうちの少なくとも1個は、対向する平行な壁同士を実質的につなぐ。可動壁は、コンピューティング室の長さを増大または減少させるように平行移動できる。
【0009】
一実施形態によれば、データセンターは、ラック式コンピューティングシステムを支持する床と、コンピューティング室を包囲する壁とを含む。コンピューティング室は、長さおよび幅を有する。コンピューティング室は、ラック式コンピューティングシステムを保持する。壁のうちの1個は、可動壁である。可動壁は、コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように他の壁に対して平行移動する。
【0010】
一実施形態によれば、コンピューティング室の大きさを変える方法は、壁により包囲されるコンピューティング室を設けることを含む。可動壁は、コンピューティング室の大きさを増大または減少させるようにコンピューティング室の他の壁に対して平行移動される。
【0011】
一実施形態によれば、コンピューティング室を拡大する方法は、可動壁と他の壁との間の拡張域に隙間が生成されるように、コンピューティング室の可動壁をコンピューティング室の1個以上の他の壁から遠ざかる方向に動かすことを含む。側部モジュールと、可動壁と、他の壁とが、拡張域を含む拡大されたコンピューティング室を画成するように、1個以上の側部モジュールが、可動壁と他の壁との間の隙間で結合される。
【0012】
一実施形態によれば、コンピューティング室を拡大する方法は、コンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内に支持構造要素を延ばすことを含む。拡大されたコンピューティング室を包囲するように、コンピューティング室の拡張域で、1個以上の側部モジュールが支持構造要素に結合される。
【0013】
一実施形態によれば、データセンターは、ラック式コンピューティングシステムを支持する床と、壁とを含む。壁のうちの1個は可動端壁で、これをコンピューティング室の他の壁から遠ざかる方向に動かして、可動壁と他の壁との間に拡張域を生成できる。1個以上の側部モジュールと、可動壁と、他の壁の内の少なくとも1個とが、拡張域を含む拡大されたコンピューティング室を画成するように、側部モジュールは可動壁と1個以上の他の壁との間の隙間で結合できる。
【0014】
一実施形態によれば、データセンターは、ラック式コンピューティングシステムと、ラック式コンピューティングシステムを支持する床と、2個以上の対向する端壁と、2個以上の側部モジュールとを含む。側部モジュールと端壁とは、ラック式コンピューティングシステム用のコンピューティング室を包囲するように配置される。端壁のうちの1個は可動で、コンピューティング室の辺に沿う追加の側部モジュールの挿入によりコンピューティング室を拡大させることを可能にする。
【0015】
本明細書で使用される、「データセンター基盤」は、電力、外部システムとのデータ交換能力、空気、熱除去、および環境制御(例えば、湿度制御、粒子制御)等の、コンピューティングデバイス用の資源を提供するシステム、構成部品、またはシステムの要素を意味する。
【0016】
本明細書で使用される、「モジュール式パネル」は、空間を部分的に包囲可能なパネル、板、フレームを含む。モジュール式パネルは、1個以上の開口を有していても構わない。一部の実施形態では、モジュール式パネルは、他の要素と組合わされて働いて、空間を部分的に包囲する。例えば、データセンター基盤モジュールとモジュール式パネルとが組合わさってコンピューティング室を包囲するように、データセンター基盤モジュールは、モジュール式パネルの開口に結合できる。
【0017】
本明細書で使用される、「室」は、建造物の室または空間を意味する。本明細書で使用される、「コンピューティング室」は、内部で、ラック取付けのサーバ等の、コンピューティングデバイスを操作できる建造物の室を意味する。
【0018】
本明細書で使用される、「支持構造要素」は、コンピューティング室を包囲する要素を支持する1個以上の要素を含む。支持構造要素の実施例には、床、スラブ、床下張、レール、フレーム、ロッド、バー、または足場を含む。
【0019】
本明細書で使用される、「通路」は、1個以上のラックに隣接する空間を意味する。
【0020】
本明細書で使用される、「空気処理システム」は、空気を1個以上のシステムまたは構成部品に提供または動かす、またはそこから除去する、システムを意味する。
【0021】
本明細書で使用される、「空気移動デバイス」は、空気を動かし得る任意のデバイス、要素、システム、またはそれらの組合せを含む。空気移動デバイスの実施例には、ファン、ブロワー、および圧縮空気システムを含む。
【0022】
本明細書で使用される、「周囲」は、システムまたはデータセンターの場所での外気の状態を指す。周囲温度は、例えば、空気処理システムの吸気フードで、または近傍で、得られる。
【0023】
本明細書で使用される、「ケーブル」は、1個以上の導体を備え、その長さの少なくとも一部分で可撓性がある任意のケーブル、導管または回線を含む。ケーブルは、1箇所以上のその端に、プラグ等のコネクタ部分を含み得る。
【0024】
本明細書で使用される、「低温通路」は、ラック式コンピューティングシステム等の、システムから熱を除去する際の使用のために空気を引出し得る通路を意味する。
【0025】
本明細書で使用される、「コンピューティング」は、計算、データ格納、データ検索、または通信等の、コンピュータにより遂行され得る任意の動作を含む。
【0026】
本明細書で使用される、「コンピューティングデバイス」は、コンピュータシステムまたはその構成部品等の、コンピューティング動作を行える種々のデバイスのいずれかを含む。コンピューティングデバイスの一実施例は、ラック取付けのサーバである。本明細書で使用される、コンピューティングデバイスの用語は、当該技術分野でコンピュータと呼ばれる単なる集積回路に限定されず、プロセッサ、サーバ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、用途特化集積回路、および他のプログラマブル回路をも広く示し、これらの用語は本明細書では互換的に使用される。コンピューティングデバイスの一部の実施例には、電子商取引サービス、ネットワークデバイス、電気通信設備、医療設備、電力管理および制御デバイス、および本格的音声機器(デジタル、アナログ、またはそれらの組合せ)を含む。種々の実施形態で、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の、コンピュータ可読媒体を含み得るが、それに限定はされない。あるいは、コンパクトディスク−リードオンリメモリ(CD‐ROM)、光磁気ディスク(MOD)、および/またはデジタル多目的ディスク(DVD)も使用可能である。また、追加の入力チャネルは、マウスおよびキーボード等のオペレータインターフェースに関連するコンピュータ周辺機器を含み得る。あるいは、他のコンピュータ周辺機器も使用可能で、例えば、スキャナーを含み得る。更に、一部の実施形態で、追加の出力チャネルは、オペレータインターフェースモニタおよび/またはプリンタを含み得る。
【0027】
本明細書で使用される、「データセンター」は、コンピュータ動作が行われる任意の施設または施設の部分を含む。データセンターは、特定な機能専用のまたは多機能を果たすサーバを含む。コンピュータ動作の実施例には、情報処理、通信、シミュレーション、および業務管理を含む。
【0028】
本明細書で使用される、「高温通路」は、ラック式コンピューティングシステム等の、システムから熱を除去する際の使用のために加熱された空気を排出し得る通路を意味する。
【0029】
本明細書で使用される、「機械的な冷却」は、蒸気圧縮冷凍システムで起こるような、少なくとも1種類の流体に機械仕事を行うことを含む処理による空気の冷却を意味する。
【0030】
本明細書で使用される、「モジュール」は、構成部品または物理的に相互に結合する構成部品の組合せである。モジュールには、コンピュータシステム、回路盤、ラック、ブロワー、ダクト、および配電ユニット等、の機能要素およびシステム、ならびにベース、フレーム、筐体、またはコンテナ等の、構造要素を含み得る。
【0031】
本明細書で使用される、「動作環境」は、コンピューティング資源の関連で、コンピューティング資源用に提供される空間、施設および基盤資源を意味する。一組のラック式コンピューティングシステム用の動作環境には、当該組のコンピューティングシステム用に提供される空間、電力、データ交換、冷却、および環境制御資源を含む。
【0032】
本明細書で使用される、「配電ユニット」は、電力の配電に使用され得る任意のデバイス、モジュール、構成部品、またはそれらの組合せを指す。配電ユニットの要素は、単一の構成部品または組立体(例えば、共通の包囲体内に収容された変圧器およびラック式配電ユニット)内に具体化してよく、または2個以上の構成部品または組立体(例えば、別個の包囲体内に各々収容された変圧器およびラック式配電ユニット、および関連のケーブル等)間に分散配置してもよい。本明細書で使用される、「電力パネル」は、1個以上の入力導体から1個以上の出力導体に送電または配電するために使用され得る任意のパネル、デバイス、モジュール、構成部品、またはそれらの組合せを意味する。ある実施形態では、遠隔電力パネルは、メインラグオンリパネル導体を含む。遠隔電力パネルは、キャビネット等の、包囲体内に収容できる。
【0033】
本明細書で使用される、「ラック式コンピューティングシステム」は、ラックに取付けられる1個以上のコンピューティングデバイスを含むコンピューティングシステムを意味する。
【0034】
本明細書で使用される、「空間」は、空間、領域または容積を意味する。
【0035】
図1Aは、コンピューティング室用の可動壁を有するデータセンターの一実施形態を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示したデータセンターを示す側面図である。図1Cは、図1Aに示したデータセンターを示す端面図である。データセンター100は、外壁102および屋根104を含む。外壁102および屋根104は、一階空間106と、二階空間108と、下張り床空間110とを包囲する。
【0036】
一階空間は、床112と天井114とにより境界を画される。一階空間106は、ホール116と周辺の室118とを含む。ホール116は、側壁120により周囲空間118から分離されている。
【0037】
データセンター100は、可動壁124を含む。可動壁124は、パネル126とローラ組立体128とを含む。可動壁124は、ホール118の側壁120間に広がってもよい。可動壁124は、ホール116の床130から天井114へまたがっても構わない。
【0038】
コンピューティング室132は、対向する側壁120と、端壁134と、可動壁124とにより包囲される。コンピューティング室132は、ラック式コンピューティングシステム136を収容する。ラック式コンピューティングシステム136の各々は、サーバ等の、コンピューティングデバイスと、電源ユニット、ラック式配電ユニット、およびファン等の、コンピューティング室内でコンピューティング動作を支援する他のシステムおよびデバイスとを含んでもよい。
【0039】
データ基盤モジュール140は、周辺の室118内に設けられる。データセンター基盤モジュール140は、コンピューティング室内でのコンピューティング資源用の、電力、冷却空気、ネットワーク接続、および格納等の、基盤資源を提供してもよい。図1Aでは、データセンター基盤モジュール140は、電力システム142、機械モジュール144、ネットワークモジュール146、安全格納モジュール148、オフィス空間モジュール150、および支払金搬送システムモジュール152を含んでいる。電力システム142は、発電機154、無停電電源155、および配電ユニット156を含めてもよい。一部の実施形態では、異なる側部モジュール同士が互いに置き換え可能である。例えば、オフィス空間モジュール150と支払金搬送システムモジュール152とは、これらのモジュールのいずれをも室内フレーム内の任意のスロットに取付けられ可能なように、同一の取付けインターフェースを有する。一実施形態では、データセンター基盤モジュールは、搬入口を含む。搬入口は、コンピューティング資源およびデータセンター基盤をコンピューティング室内へまたは室外へ搬送するために用いてもよい。搬入口モジュールは扉を含んでもよい。扉を、モジュールを介したアクセスを制御するように、かつコンピューティング資源をモジュール外部の環境条件から保護するように用いてもよい。
【0040】
一部の実施形態では、対向する側壁120と、端壁134と、可動壁124と、天井114と、床106とが組合わさって、ラック式コンピューティングシステム134内のコンピューティングデバイスを冷却するために用いる空気のプレナムとして機能する。例えば、空気をコンピューティング室132内ではコンピューティング室132の外のホール114の一部内よりも高圧に維持してもよい。一部の実施形態では、密封要素(例えば、フラップ)を包囲体の可動124とそれに隣接する、側壁120、床130、および天井114等の、要素との間の接合部に設ける。一部の実施形態では、可動壁124、密封要素、またはそれら両方の主要な構造体に防火材が使用される。
【0041】
可動壁124により、コンピューティング空間を非コンピューティング空間から隔ててもよい。例えば、コンピューティング室124は、コンピューティング動作を行うためのラック取付けのコンピューティングデバイスを保持するのに適していてもよい。非コンピューティング空間158は、機器の保管、オフィス空間、または製品保管空間等の、演算以外の目的に用いられても構わない。ある実施形態では、非コンピューティング空間158は、CRAC、UPS、発電機、電力パネル、またはネットワークスイッチ等の、データセンター基盤の提供に用いるシステムを保持する。
【0042】
二階空間108には、廃気プレナム160、歩路162、および混気プレナム164が含まれる。空気処理システム146を、二階空間108内に設置してもよい。空気処理システム166により、コンピューティング室132の主要通路168から天井114の開口を介して空気を引き込み、かつ廃気プレナム160へ空気を排出してもよい。廃気プレナム160内の空気は、屋根ベント162を経由して外部へ排出してもよい。
【0043】
一部の実施形態では、混気プレナム164では、コンピューティング室132から除去された空気を、データセンター外部からの空気と混合する。混気プレナム164からの空気は、コンピューティング室132内へ導管を介して送り込んでもよい。
【0044】
下張り床空間110は、下張り床プレナム170を含んでもよい。下張り床プレナム170は、ラック式コンピューティングシステム136内のコンピューティングデバイスから熱を除去するための空気源を保持してもよい。床ベント172により、下張り床プレナム170からの空気を低温通路174へ引き込むことができる。図1C中の矢印は、データセンター内での空気流の一例を示す。
【0045】
折に触れて、データセンターに必要なコンピューティング空間量を増大または減少させてもよい。一部の実施形態では、可動壁を平行移動させて、コンピューティング室の大きさを増大または減少させる。例えば、図1A〜1Cに示したデータセンターでは、可動壁124を端壁134に対して側壁120に沿って平行移動させて、コンピューティング室114の長さを増大または減少させてもよい。この実施例では、可動壁114の位置に拘わらず、コンピューティング室114の幅が一定に維持される。可動壁を、ローラ組立体128のローラ178で転動するようにしてもよい。可動壁124は床レール176により案内させてもよい。ある実施形態では、床レールまたは軌道上に可動壁を支えてもよい。
【0046】
図2は、可動壁を平行移動することにより、データセンターのコンピューティング室の大きさを拡張変更させる一実施形態を示すフロー図である。180で、複数の壁により包囲されたコンピューティング室が提供される。コンピューティング空間の拡張の場合、壁を動かして拡張域を取囲むことで、拡張域をコンピューティング空間に加えることができる。拡張域は、データセンター内でコンピューティング空間を拡張するようにデータセンター内に準備できる。まず、拡張域は未加工空間で構わず、あるいはコンピューティング資源を支援する準備状態になくても構わない。コンピューティング空間として使用するための拡張域を準備するために、天井と拡張域内の壁とに仕上げ処理を施してもよい。電力、冷却空気、ネットワークケーブル、および他のデータ基盤要素について、拡張域へ経路決定を行ってもよい。
【0047】
182で、可動壁をコンピューティング室の他の壁に対して平行移動させて、コンピューティング室の大きさを増大または減少させる。可動壁は、例えば、対向壁から遠ざかる方向に平行移動させて、コンピューティング室の長さを増大させてもよい。
【0048】
図3Aおよび3Bは、コンピューティング室の長さを増大させるように可動壁を平行移動させた後のデータセンターの平面図および側面図をそれぞれ示す。図1Aおよび1Bに対して、可動壁124が端壁134から遠ざかる方向に動かされており、コンピューティング室132の長を増大し、かつ拡張域190を取囲んでいる。ラック式コンピューティングシステム136aが拡張域190内に追加されている。データセンター基盤モジュール140aが加えられており、ラック式コンピューティングシステム136a用基盤を拡張域180内に設けている。ある実施形態では、一部のまたはラック式コンピューティングシステム136aがデータセンター基盤モジュール140により支援されており、データセンター基盤モジュール140aのうちの一部または全部が省略されても構わない。
【0049】
一部の実施形態では、拡張域内で側部モジュールを加えることにより、コンピューティング室を拡大する。コンピューティング室の拡大には、コンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内への支持構造要素の拡張を含めてもよい。拡張域内で側部モジュールを支持構造要素に結合して、拡大されたコンピューティング室を包囲してもよい。一部の実施形態では、コンピューティング室の拡大には、コンピューティング室の1個以上の他の壁に対して端壁を動かすことを含む。拡張域での隙間を側部モジュールで埋めてもよい。
【0050】
図4は、側部モジュールを追加することによりデータセンターのコンピューティング室を拡大することを示す。200で、コンピューティング室の可動壁と1個以上の他の壁との間の拡張域内に隙間を生成するように、コンピューティング室の端壁をコンピューティング室の1個以上の他の壁から遠ざかる方向に動かす。
【0051】
一部の実施形態では、支持構造要素が、コンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内へ拡張される。支持構造要素の実施例には、床(例えば、コンクリートスラブ)、高位置レール、床レール、ビーム、フレーム、トラス、または支柱の区分が含まれる。
【0052】
202で、側部モジュールをコンピューティング室の拡張域内に設置する。側部モジュールは、フレーム、レール、または床等の、支持構造要素に結合してもよい。側部モジュールを、追加のコンピューティング空間を包囲するように配置してもよい。拡張域内の側部モジュールは、他の包囲要素と組合せて、拡大されたコンピューティング室を画成してもよい。
【0053】
図5は、データセンターのコンピューティング室の側部に使用することのできる側部モジュールの一実施形態を示す。側部モジュール206は、正面フレーム208と、包囲体210と、システム212とを含む。開口214はフレーム208内に設けられている。ルーバ216は、包囲体210内へ空気流を提供するように、側部モジュール206の外壁に設けることができる。
【0054】
一部の実施形態では、側部モジュール(例えば、側部モジュール206)はコンピューティング室の室内フレーム部材と結合する。コンピューティング室の室内フレーム部材の実施例には、レール、スタッド、カラム、ビーム、またはジョイストを含む。
【0055】
側部モジュール206の各々内のシステム212は、モジュール毎に変えて構わない。一部のモジュールは、コンピューティング室内のコンピューティング資源用の電力、冷却空気、ネットワーク接続、および格納等の、基盤資源を提供するためのシステムを含んでよい。一部の実施形態では、各側部モジュールにより異なる機能が提供される。例えば、一側部モジュールには冷却用の機械設備を含んでよく、別の側部モジュールは電力を提供してもよく、また別のものはコンピューティング室外部のシステムへのネットワーク接続を提供してもよい。電力ケーブル、データケーブル、または冷却空気を、フレーム208内の開口214を介してコンピューティング室内のコンピューティング資源に提供してもよい。
【0056】
図6は、コンピューティング室の大きさを増大させるために使用できる側部モジュールを有するデータセンターの一実施形態を示す。データセンター220は、床222、床レール223、高位置レール224、モジュール式パネル226、内壁228、および外壁230を含む。
【0057】
モジュール式パネル226は、モジュール式側面パネル232とモジュール式天井パネル234とを含む。モジュール式パネル226にはモジュール式側面パネル232を含み、モジュール式天井パネル234は高位置レール224上に設置しても構わない。一部の実施形態では、ねじ、ボルト、またはクリップ等の、締結具を用いて、モジュール式側面パネル232とモジュール式天井パネル234とを高位置レール224上に固定する。
【0058】
ラック式コンピューティングシステム238は、コンピューティング室242内で稼働させてもよい。コンピューティング室242を、モジュール式パネル226と、内壁228と、床222とによって包囲してもよい。
【0059】
データセンター220は、データセンター基盤モジュール240を含む。データセンター基盤モジュール240および241は、モジュール式パネル226のうちのいずれかまたは全部に結合してもよい。データセンター基盤モジュール240とモジュール式側面パネル226との各組合せは、単一側部モジュールとして機能させても構わない。データセンター基盤モジュール240は、コンピューティング室242内のコンピューティング資源用の電力、冷却空気、ネットワーク接続、および格納等の、基盤資源を提供してもよい。データセンター基盤モジュール241は、データセンター220内でコンピューティング室242と別のコンピューティング室との間をつなぐホールウェイを含んでもよい。データセンター基盤モジュール240は、図1A〜1Cに対して上述したデータセンター基盤モジュール140に類似していてもよい。したがって、データセンター基盤モジュール240は、例えば、機械モジュール、ネットワークモジュール、安全格納モジュール、オフィス空間モジュール、および安全支払モジュールを含んでもよい。データセンター基盤モジュール240は、搬入口モジュール243を含む。搬入口モジュール243は、搬入扉244、搬入プラットフォーム245、およびトラック246を含む。搬入扉244を、モジュールを介したアクセスを制御するように、かつコンピューティング資源をモジュール外部の環境条件から保護するように用いてもよい。
【0060】
一部の実施形態では、冷却モジュールは、拡張可能なデータセンターの天井パネル上に取付けられる。例えば、図6に示すデータセンターでは、冷却モジュール250は、天井モジュール式パネル234のうちの1個の上に取付けられる。冷却モジュール250は、モジュール式天井パネル234の外側開口262を介してコンピューティング室242内の低温通路260へ冷気を導入し、モジュール式天井パネル234の中央開口266を介して高温通路264コンピューティング室242から加熱された空気を除去するように操作される。
【0061】
内壁228および外壁230は、床レール223と高位置レール224との上で平行移動させてもよい。内壁228および外壁230は、各々ローラ260を含む。ローラ260は、内壁228および外壁230の動きを容易にするように用いてもよい。ある実施形態では、内壁228および外壁230は、駆動システムを含む。駆動システムは、内壁228と外壁230とをある位置から別の位置へ動かすように操作できる。駆動システムには、モーター、ケーブル、プリー、はずみ車、ガントリまたは壁を動かすための他のシステムまたはデバイスを含めてもよい。ある実施形態では、内壁、外壁、または両方、が壁の上方にまたは側部に沿って構造要素上に支持される(例えば、吊り下げられる)。ローラまたは摺動子を、内壁の辺に沿ってまたは頂部上に、または外部に設けて、壁を構造要素上に支持されるようにしてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、可動壁が、モジュール式パネルと組合されて用いられ、データセンターのコンピューティング室を包囲する。図7は、データセンターの一実施形態を示し、可動壁がコンピューティング室の端壁として機能するように位置付けられている。この実施例では、内壁228が、コンピューティング室242を包囲するように動かされている。
【0063】
図7に示した実施例では、コンピューティング室242外部のデータセンター220の部分は、コンピューティング動作を支援する準備が未だ整っていない未加工空間であるかもしれない。一部の場合には、未加工空間を、設備の保管等の、コンピューティング以外の目的に使用してもよい。
【0064】
外壁230は、内壁228から間隔を置いて配置したままで構わない。一部の実施形態では、外壁232は、データセンターのコンピューティング室242外部の一部分で、雨等の、屋外の環境条件からの保護を提供する。
【0065】
必要性が生じるにしたがい、モジュール式パネルとデータ基盤モジュールとを設置または除去することによって、コンピューティング室をより大きくまたは小さくすることができる。一部の実施形態では、可動壁を現存のパネルから引き離して、より多くのコンピューティング資源のための拡張域を取囲む。一部の実施形態では、モジュール式パネルまたは基盤モジュール、または両方、を、かねて設置されている支持構造要素に追加する。ある実施形態では、拡張するコンピューティング空間に先駆けて支持構造要素を必要に応じて追加する。例えば、図6および7に示したデータセンターでは、追加区分のコンクリートスラブを注入することにより、床222の区分を追加してもよい。別の実施例として、床レール223、高位置レール224または両方の区分を必要に応じて追加できる。ある実施形態では、コンピューティング室の長さを増大させるために、サイドレールまたはオーバーヘッドレール等の、垂下式の壁用の追加の構造要素をデータセンターに追加して、可動壁が外へ動かされることを可能にする。
【0066】
図8Aおよび8Bは、側部モジュールにより境界を画されるコンピューティング室付のデータセンター示す。データセンター280はコンピューティング室282を含む。コンピューティング室282は、側部モジュール284と、端壁286と、可動内壁288とにより包囲される。側部モジュール284は、室内フレーム290上に結合される。コンピューティング室282は、ラック式コンピューティングシステム292を収容する。コンピューティング室282は、二階構造体294下に位置付けられる。
【0067】
図9Aおよび9Bは、データセンターのコンピューティング室を拡大するための拡張用支持構造要素を示す。図9Aおよび9Bに対して、室内フレーム290aが拡張域296内のレール290に追加されている。側部モジュール284aを室内フレーム290aに結合してもよい。可動外壁298は、拡張域296の準備時に、環境要素からの保護を提供できるかもしれない。
【0068】
図10Aおよび10Bは、拡大されたコンピューティング室を示す。図9Aおよび9Bに対して、コンピューティング室282が拡張域296を取囲むように内壁288が動かされている。拡張域296内のコンピューティング室282にラック式コンピューティングシステム292が追加されている。側部モジュール284aは、ラック式コンピューティングシステム292a内のコンピューティングデバイスに対して、電力、ネットワーク接続、冷却等の、データセンター基盤を提供できるかもしれない。
【0069】
一部の実施形態では、データセンターは、2個以上のコンピューティング室を接続する側部モジュールを含む。図11は、共通の側部モジュールにより接続されたコンピューティング室を有するデータセンターを示す。データセンター300は、コンピューティング室302aと、コンピューティング室302bと、側部モジュール304、306、および308とを含む。コンピューティング室302aおよびコンピューティング室302bは、上述のように各々が拡張可能であってもよい。側部モジュール304は、コンピューティング室302aおよびコンピューティング室302b同士を接続する相互接続用ホールウェイを含んでもよい。一部の実施形態では、側部モジュール306および308は、コンピューティングデバイスコンピューティング室302aおよび302bに対し共通のデータ基盤を提供する。
【0070】
一部の実施形態では、データセンターは、コンピューティング空間を収容するための拡張可能な外部包囲体を含む。図12は、拡張可能な外部シェルを有するデータセンターを示す。データセンター320は、コンピューティング室322と、外部シェル324とを含む。コンピューティング室322は、図8Aおよび8Bに関連して上述したコンピューティング室282と類似していてもよい。コンピューティング室322は、ラック式コンピューティングシステム326を包囲する。コンピューティング室322は、内壁328を動かすことにより拡大できる。
【0071】
外部シェル324は、天蓋330と、端壁332と、可動外壁334とを含む。可動外壁はレール336上を走行してもよい。外部シェル324は、コンピューティング室322に対しておよびデータセンター320のコンピューティング室322外部の部分に対して、環境上の保護を提供してもよい。
【0072】
天蓋330は、ベローズ形構造を有することができる。天蓋330の一部分は、コンピューティング室332(例えば、区分330a)を覆ってもよい。コンピューティング資源を収容するために追加の室が必要な場合、可動壁334を外へ動かしてもよい(例えば、レール336に沿って転動)。
【0073】
図12に示した実施例では、天蓋330が区分されて設けられる。天蓋の区分を、境界板331を介して相互に接続してもよい。境界フランジは、隣接区分を相互にボルト接続するためのフランジを含んでもよい。壁を外へ平行移動させる際に、天蓋の追加の区分を拡張してもよい。例えば、区分330bを拡張して区分330bの下に拡張域を生成してもよい。未だ必要とされていない天蓋の区分は、区分330cのように、圧縮状態に維持してもよい。
【0074】
天蓋330を、ガイドワイヤ333上に支持してもよい。ガイドワイヤ333の対向端を、データセンターの対向端壁に取付けてもよい。境界板331の各々を、ガイドワイヤ333に掛けてもよい。ガイドワイヤ333が天蓋330を支持してもよい。例えば、ガイドワイヤ333は、データセンターの対向端壁の間で天蓋330のたるみを抑制する。一部の実施形態では、天蓋330は、少なくとも部分的に布で造られる。
【0075】
図12に示す実施形態では、天蓋330をガイドワイヤ上に支持したが、包囲体のための蓋を、ビーム、トラス、ロッド、ジョイストまたは屋根構造体等の、他の要素により支持しても構わない。一部の実施形態では、蓋用の支持要素は蓋の下方に設けられる。例えば、代替実施形態では、ガイドワイヤ333を天蓋330の下方で張り渡してもよい。
【0076】
図12に示すデータセンターでは、包囲体は、他の実施形態で、他のタイプの拡張可能な蓋を含んでよい。例えば、一実施形態では、外部包囲体は可動外壁に接続される一連の入れ子式屋根区分を含む。データセンター内に追加の空間が必要な場合、可動外壁を外へ動かして1個以上の追加の屋根区分を使用してもよい。
【0077】
上述の多くの実施形態では、可動壁はローラを含むが、可動壁は種々の実施形態ではローラを含まなくても構わない。ある実施形態では、可動壁を(例えば、1個以上のちょうつがいで)開くようにしてもよい。一部の実施形態では、2個以上の可動壁を横並びに設けられる。
【0078】
上述の多くの実施形態では、可動壁は床レール上を動くが、可動壁は種々の実施形態ではサイドレールのオーバーヘッドレール等の、床上のレールまたは軌道上に支えても構わない。ある実施形態では、コンピューティング室用の可動端壁をいかなる軌道またはレールにも結合しなくても構わない。
【0079】
上述の多くの実施形態では、コンピューティング空間の現存の部分は拡張域により拡大されるが、ある実施形態では仕切りをコンピューティング室内の古いコンピューティング空間と新しいコンピューティング空間との間に維持させてもよい。
【0080】
一部の実施形態では、データセンター内での1個以上のコンピューティング室の拡張が、異なる方向に生じる可能性がある。例えば、コンピューティング室が(例えば、一可動壁を北に動かし、別の可動壁を東に動かすことにより直角の2方向に拡張されるかもしれない。
【0081】
上述の多くの実施形態では、コンピューティング室は既存の屋根構造体により保護されるが、コンピューティングは種々の実施形態で拡張されたコンピューティング室として建造された屋根を有してもよい。
【0082】
上述の多くの実施形態では、コンピューティング室を1個の可動端壁と1個の固定端壁とを有しているように示したが、データセンターは一部の実施形態ではコンピューティング室の両端に可動端壁を有しても構わない。例えば、図1Aに示した壁134を可動壁により置換してもよい。
【0083】
上述の多くの実施形態では、可動壁用のローラはコンピューティング室の床上または床レール上を転動するが、可動壁は一部の実施形態では床上の構造要素に係合するローラを含んでもよい。例えば、可動壁は、図6および7に示したレール224等の、床の上方のレールに係合するローラを含んでもよい。一部の実施形態では、可動壁は、図6および7に示したレール224等の、床の上方の構造要素により支えられる。ある実施形態では、可動壁は、レール等の、構成部材から吊下げられる。可動壁は、構成部材との係合用のハンガー(例えば、フック)、ローラ、または両方を含み得る。ある実施形態では、可動壁は、側壁コンピューティング室または他の構成部材上に壁の辺に沿って支えられる。一実施形態では、可動壁は、可動壁の辺に沿って設けられた側壁または他の構成部材と係合するための辺取付けのローラまたは摺動子を含む。
【0084】
以上の事項は、以下の付記の組を参考にしてよりよく理解されるかもしれない。
【0085】
1.1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成される床と、コンピューティング室を少なくとも部分的に包囲している複数の壁であって、コンピューティング室は長さおよび幅を含み、コンピューティング室はラック式コンピューティングシステムのうちの少なくとも1個を保持するように構成される、複数の壁と、を備え、複数の壁は、コンピューティング室の幅を画成する一対の対向する平行な壁と、1個以上の可動壁であって、可動壁のうちの少なくとも1個の各々は、対向する平行な壁を実質的につなぎ、1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、コンピューティング室の長さを増大または減少させるように平行移動するように構成される、1個以上の可動壁と、を備える、データセンター。
【0086】
2.1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、1個以上のローラを備え、少なくとも1個の可動壁は、コンピューティング室の長さを増大または減少させるように転動するように構成される、付記1に記載のデータセンター。
【0087】
3.可動壁のうちの少なくとも1個は、コンピューティング室の長さを増大または減少させるように動かされるように動力を供給される、付記1に記載のデータセンター。
【0088】
4.1個以上のレールを更に備え、1個以上の壁のうちの少なくとも1個は1個以上のレールのうちの少なくとも1個に沿って動く、付記1に記載のデータセンター。
【0089】
5.可動壁はデータセンターのコンピューティング空間を非コンピューティング空間から隔てる、付記1に記載のデータセンター。
【0090】
6.1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成される床と、
コンピューティング室を少なくとも部分的に包囲している複数の壁であって、コンピューティング室はラック式コンピューティングシステムのうちの少なくとも1個を保持するように構成される、複数の壁と、を備え、複数の壁は1個以上の可動壁を備え、可動壁のうちの少なくとも1個は、コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように他の壁に対して平行移動するように構成される、データセンター。
【0091】
7.複数の壁は2個以上の可動壁を備え、可動壁のうちの少なくとも2個の各々は、コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように1個以上の他の壁に対して平行移動するように構成される、付記6に記載のデータセンター。
【0092】
8.可動壁のうちの少なくとも1個はローラを備える、付記6に記載のデータセンター。
【0093】
9.可動壁のうちの少なくとも1個は動力を供給される、付記6に記載のデータセンター。
【0094】
10.1個以上のレールを更に備え、1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、1個以上のレールのうちの少なくとも1個に沿って動く、付記6に記載のデータセンター。
【0095】
11.1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔てる、付記6に記載のデータセンター。
【0096】
12.1個以上の可動壁のうちの少なくとも1個は、可動壁と少なくとも1個の他の壁との間の接合部に1個以上の密封要素を備え、該1個以上の密封要素はコンピューティング空間と非コンピューティング空間との間の空気流を抑制するように構成される、付記6に記載のデータセンター。
【0097】
13.複数の壁のうちの少なくとも1個を介してコンピューティング室内のコンピューティングシステムに電力を供給するように構成される配電システムを更に備える、付記6に記載のデータセンター。
【0098】
14.コンピューティング室上の天井を更に備え、少なくとも1個の可動壁は天井へ実質的に延びる、付記6に記載のデータセンター。
【0099】
15.コンピューティング室の天井を介して空気を引き出すように構成される空気処理システムを更に備える、付記6に記載のデータセンター。
【0100】
16.複数の壁により少なくとも部分的に包囲されるコンピューティング室を提供することと、
コンピューティング室の大きさを増大または減少させるように可動壁をコンピューティング室の他の壁に対して平行移動させることと、を含む、コンピューティング室の大きさを変える方法。
【0101】
17.コンピューティング室の可動壁の平行移動は、コンピューティング室の床上で可動壁を転動させることを含む、付記16に記載の方法。
【0102】
18.可動壁は1個以上のレール上を平行移動する、付記16に記載の方法。
【0103】
19.可動壁は非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔て、非コンピューティング空間の少なくとも一部分は未完成空間であり、方法は、非コンピューティング空間内に拡張域を仕上げることと、コンピューティング室を拡大して拡張域を含むように可動壁を平行移動させることと、拡張域内で1個以上のラック式コンピューティングシステムを操作することと、を更に含む、付記16に記載の方法。
【0104】
20.可動壁は非コンピューティング空間からコンピューティング空間を隔て、可動壁はコンピューティング室の大きさを増大して拡張域を含むように平行移動され、方法は、空間を拡張域で非コンピューティング用からコンピューティング用へ再割当てすることを更に含む、付記16に記載の方法。
【0105】
21.可動壁はコンピューティング空間を非コンピューティング空間から隔て、可動壁は縮小域内でコンピューティング室の大きさを減少させるように平行移動され、方法は縮小域内の空間をコンピューティング用から非コンピューティング用へ再割当てすることを更に含む、付記16に記載の方法。
【0106】
22.コンピューティング室を拡大して拡張域を含むように可動壁を平行移動することと、拡張域内の固定壁の一部分を介して少なくとも1個以上のラック式コンピューティングシステムに電力を供給することと、を更に含む、付記16に記載の方法。
【0107】
23.ラック式コンピューティングシステムを介して空気を動かして熱を除去することと、
加熱された空気をコンピューティング室の天井を介して排出することと、を更に含む、付記16に記載の方法。
【0108】
加えて、以上の事項は、以下の付記を参考にしてよりよく理解されるかもしれない。
【0109】
1.可動壁と1個以上の他の壁との間の拡張域内に隙間が創生されるように、コンピューティング室の可動端壁をコンピューティング室の1個以上の他の壁から遠ざかる方向に動かすことと、側部モジュール、可動端壁、および他の壁のうちの少なくとも1個が拡張域を含む拡大されたコンピューティング室を画成するように、可動壁と1個以上の他の壁との間の隙間で1個以上の側部モジュールを結合することと、を含む、コンピューティング室を拡大する方法。
【0110】
2.コンピューティング室の可動端壁を1個以上の他の壁から遠ざかる方向に動かすことは、壁を転動または摺動させることを含む、付記1に記載の方法。
【0111】
3.可動壁と1個以上の他の壁との間の隙間で1個以上の側部モジュールを結合することは、拡張域の少なくとも一部分の側面に位置して対向する側部モジュール同士を結合する、付記1に記載の方法。
【0112】
4.更に側部モジュールの少なくとも一部分はデータセンター基盤モジュールを備える、付記1に記載の方法。
【0113】
5.1個以上の支持構造要素をコンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内へ延ばすことと、拡大されたコンピューティング室を少なくとも部分的に包囲するようにコンピューティング室の拡張域内で1個以上の側部モジュールを支持構造要素のうちの少なくとも1個に結合することと、を含む、コンピューティング室を拡大する方法。
【0114】
6.1個以上の支持構造要素をコンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内へ延ばすことは、拡張域内に1個以上のフレーム部材を設置することを含む、付記5に記載の方法。
【0115】
7.1個以上の支持構造要素をコンピューティング室からコンピューティング室の拡張域内へ延ばすことは、拡張域内で床を追加することまたは仕上げることを含む、付記5に記載の方法。
【0116】
8.コンピューティング室は可動端壁により部分的に包囲され、方法はコンピューティング室の長さを増大させるように可動端壁を拡張域の方向に動かすことを更に含み、側部モジュールのうちの少なくとも1個と可動端壁とは組合わさって拡張域を少なくとも部分的に包囲する、付記5に記載の方法。
【0117】
9.可動端壁を動かすことは拡張域内で可動端壁を摺動または転動させることを含む、付記8に記載の方法。
【0118】
10.1個以上のデータセンター基盤モジュールを側部モジュールのうちの少なくとも1個に結合することを更に含み、データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個はデータセンター基盤をコンピューティング室の拡張域内のラック式コンピューティングシステムに提供するように構成される、付記5に記載の方法。
【0119】
11.1個以上の天井パネルを1個以上の支持構造要素のうちの少なくとも1個に拡張域内で結合することを更に含む、付記5に記載の方法。
【0120】
12.コンピューティング室の拡張域内のラック式コンピューティングシステムにラック式コンピューティングシステムに冷却を提供するように構成される1個以上の冷却モジュールを設置することを更に含む、付記5に記載の方法。
【0121】
13.1個以上の支持構造要素をコンピューティング室から拡張域内へ延ばす前に、拡張域を外部環境から少なくとも部分的に隔離するように外壁を移動することを更に含む、付記5に記載の方法。
【0122】
14.1個以上の支持構造要素をコンピューティング室から拡張域内へ延ばす前に、拡張域を外部環境から少なくとも部分的に保護するようにコンピューティング室用の外部シェルを拡大することを更に含む、付記5に記載の方法。
【0123】
15.1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成される床と、1個以上の壁であって、壁のうちの少なくとも1個は可動壁と1個以上の他の壁との間に拡張域を生成するようにコンピューティング室の1個以上の他の壁から遠ざかる方向に動くように構成される可動端壁である、1個以上の壁と、1個以上の側部モジュール、可動壁、および他の壁のうちの少なくとも1個が拡張域を含む拡大されたコンピューティング室を画成するように、可動壁と1個以上の他の壁との間の隙間で結合するように構成される1個以上の側部モジュールと、を備える、データセンター。
【0124】
16.1個以上のレールを更に備え、少なくとも1個の可動壁は1個以上のレール上に移動可能に結合される、付記15に記載のデータセンター。
【0125】
17.1個以上の側部モジュールのうちの少なくとも2個は、可動壁と1個以上の他の壁との間の隙間内で結合されかつ拡張域の少なくとも部分の側面に位置する、付記15に記載のデータセンター。
【0126】
18.側部モジュールは1個以上のデータセンター基盤モジュールを備え、データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、データセンター基盤を拡張域内のラック式コンピューティングシステムに提供するように構成される、付記15に記載のデータセンター。
【0127】
19.拡張域を外部環境から少なくとも部分的に隔離するように構成される外壁を更に備える、付記15に記載のデータセンター。
【0128】
20.1個以上のラック式コンピューティングシステムと、1個以上のラック式コンピューティングシステムを支持するように構成された床と、2個以上の対向する端壁と、2個以上の側部モジュールと、を備え、側部モジュールのうちの少なくとも2個と端壁のうちの少なくとも2個とはラック式コンピューティングシステム用のコンピューティング室を少なくとも部分的に包囲するように配置され、少なくとも1個端壁は移動可能でコンピューティング室の辺に沿う追加の側部モジュールの挿入によりコンピューティング室を拡大させることを可能にする、データセンター。
【0129】
21.側部モジュールのうちの少なくとも1個は、データセンター基盤モジュールを備え、少なくとも1個のデータセンター基盤モジュールは、データセンター基盤をコンピューティング室内のラック式コンピューティングシステムに提供する、付記20に記載のデータセンター。
【0130】
22.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、コンピューティング室内の1個以上のラック式コンピューティングシステムに電力を供給するように構成される電力モジュールを備える、付記21に記載のデータセンター。
【0131】
23.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、コンピューティング室内の1個以上のラック式コンピューティングシステムに対して冷却を提供するように構成される冷却モジュールである、付記21に記載のデータセンター。
【0132】
24.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、格納モジュールである、付記21に記載のデータセンター。
【0133】
25.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、安全支払モジュールである、付記21に記載のデータセンター。
【0134】
26.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、搬入口を備える、付記21に記載のデータセンター。
【0135】
27.データセンター基盤モジュールのうちの少なくとも1個は、コンピューティング室と追加のコンピューティング室との間に結合され、少なくとも1個のデータセンター基盤モジュールは、追加のコンピューティング室内のラック式コンピューティングシステムに対して基盤を提供するように構成される、付記21に記載のデータセンター。
【0136】
28.追加のコンピューティング室を更に備え、側部モジュールのうちの少なくとも1個はホールウェイを備え、該ホールウェイは要員がコンピューティング室と追加のコンピューティング室との間を動くことを可能にする、付記20に記載のデータセンター。
【0137】
29.床の上方に1個以上のフレーム部材を更に備え、1個以上のフレーム部材のうちの少なくとも1個はコンピューティング室を超えて拡張域内に延びる部分を含み、少なくとも1個のフレーム部材は、コンピューティング室の長さを増大させるように拡張域内で少なくとも1個の追加の側部モジュールと結合するように構成される、付記20に記載のデータセンター。
【0138】
30.フレーム部材のうちの少なくとも1個は、床の上方に1個以上のレールを備え、レールのうちの少なくとも1個は包囲された空間から遠ざかる方向に延び、1個以上の側部モジュールのうちの少なくとも1個は、コンピューティング室の拡張域内へ延びるレールの一部分上に結合するように構成される、付記20に記載のデータセンター。
【0139】
31.コンピューティング室の拡張域上に延びるように構成される歩路を更に備える、付記20に記載のデータセンター。
【0140】
32.コンピューティング室の拡張域上に延びるように構成されるケーブルトレイを更に備える、付記20に記載のデータセンター。
【0141】
33.コンピューティング室の拡張域を外部環境から少なくとも部分的に隔離するように構成される外壁を更に備える、付記20に記載のデータセンター。
【0142】
34.コンピューティング室の拡張域を外部環境から少なくとも部分的に隔離するように拡張するように構成される外部シェルを更に備える、付記20に記載のデータセンター。
【0143】
上記の実施形態をかなり詳細に説明したが、以上の開示が充分に認識された後には多数の変形例および修正例が当業者に明らかになるであろう。以下の付記はそのような変形例および修正例の全てを包含するように解釈されるように意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12