特許第6228303号(P6228303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228303ケーブルにおける揺れを減衰させるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228303
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ケーブルにおける揺れを減衰させるための装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 1/00 20060101AFI20171030BHJP
   E01D 11/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   E01D1/00 K
   E01D1/00 Z
   E01D11/00
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-526056(P2016-526056)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-534257(P2016-534257A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】FR2014052693
(87)【国際公開番号】WO2015059413
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】1360318
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509167338
【氏名又は名称】ソレタンシュ フレシネ
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ストゥブレ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・メリエ
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−081313(JP,A)
【文献】 特開平03−096506(JP,A)
【文献】 特開平09−158988(JP,A)
【文献】 特開平04−194108(JP,A)
【文献】 特開平11−270623(JP,A)
【文献】 特開平06−058370(JP,A)
【文献】 特開昭63−103161(JP,A)
【文献】 特開2004−176341(JP,A)
【文献】 特開2001−032881(JP,A)
【文献】 特開2008−002594(JP,A)
【文献】 特開2004−324887(JP,A)
【文献】 特開2007−297776(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0072895(US,A1)
【文献】 米国特許第04995583(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00
E01D 11/00
E04G 1/20
E04H 9/02
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(16)の揺れを減衰させるための減衰装置(22)であって、
前記減衰装置(22)が、
− ピボット(26)周りで振動するアーム(25)と、
− 前記アーム(25)の振動を少なくともいくらか減衰させるための第1のダンパー(30)と、
− 前記ケーブル(16)に取り付けられた連結器(27)と、
− 直線ストロークと、前記連結器(27)に接続された上端部と、前記アーム(25)に接続された下端部と、を有する第2のダンパー(31)と、
− 前記第2のダンパー(31)前記直線ストロークと平行に前記アーム(25)に対して前記連結器(27)をスライドさせるためのガイド(28,60)であって、前記第2のダンパー(31)前記直線ストロークに対して横断方向の前記ケーブル(16)の運動が、前記第2のダンパー(31)とは独立して前記アーム(25)に伝達される、ガイド(28,60)と、
を備えていることを特徴とする減衰装置(22)
【請求項2】
前記第1のダンパーが、前記アーム(25)に対して横断方向に配置された少なくとも1つのピストン(30)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の減衰装置(22)
【請求項3】
前記ピストン(30)が、前記ピボット(26)の下方で前記アーム(25)に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の減衰装置(22)
【請求項4】
前記ピストン(30)が、前記ケーブル(16)により懸架された構造物(14)の上面の下に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の減衰装置(22)
【請求項5】
記ピボット(26)と前記連結器(27)における前記ケーブル(16)への取付ポイント(P)との間の距離(D)が、前記ピボット(26)と前記アーム(25)へ取り付けられた前記ピストン(30)との間の距離(d)よりも大きいように、前記ピボット(26)が前記アーム(25)に対して位置決めされていることを特徴とする請求項4に記載の減衰装置(22)
【請求項6】
前記ピボット(26)が、前記ケーブル(16)により懸架された構造物(14)の厚さ内に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項7】
前記ピボット(26)が、ボールジョイント又は関節ジンバルタイプを提供することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項8】
前記ピボット(26)が、実質的に前記ケーブル(16)により懸架された構造物(14)に対して固定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項9】
前記アーム(25)と前記ガイド(28)との間のスライドシュー(45)を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項10】
前記ガイド(28)が、前記第2のダンパー(31)の下端部の下に位置した少なくとも1つのスライド接触部(45)によって前記アーム(25)に対して前記連結器(27)をスライドさせることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項11】
前記ガイド(60)が、前記第2のダンパー(31)の上に位置した少なくとも1つのスライド接触部(61)によって前記アーム(25)に対して前記連結器(27)をスライドさせることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項12】
前記アーム(25)が、中空であり、前記第2のダンパー(31)が、前記連結器(27)と前記アーム(25)に対して固定されたポイント(62)との間に接続されるとともに前記アーム(25)内に収納されていることを特徴とする請求項11に記載の減衰装置(22)
【請求項13】
前記第1のダンパー(30)が、力減少機構(80,81)を介して前記アーム(25)に接続されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の減衰装置(22)
【請求項14】
前記ピボット(26)と前記連結器(27)における前記ケーブル(16)への取付ポイント(P)との間の距離(D)が、前記ピボット(26)と前記アーム(25)へ取り付けられた前記ピストン(30)との間の距離(d)よりも少なくとも3倍大きいように、前記ピボット(26)が前記アーム(25)に対して位置決めされていることを特徴とする請求項4に記載の減衰装置(22)。
【請求項15】
少なくとも1つのタワー(20)と、デッキ(14)と、前記デッキ(14)を懸架するために前記タワー(20)と前記デッキ(14)との間で斜めに延在するケーブルからなるステー(16)と、ケーブルと前記デッキ(14)との間に取り付けられた、請求項1から14のいずれか一項に記載の減衰装置(22)を少なくとも1つと、を備えることを特徴とする斜張橋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を懸架するために使用されるケーブルがさらされる揺れを減衰させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に斜張懸架装置に適用される。ステーは、特に風及び車両の通行に起因して揺れる。さまざまなタイプの装置が、これら揺れを減衰させるために提案されてきた。
【0003】
第1のタイプの減衰装置(例えば特許文献1、2又は3参照)では、揺れに関するエネルギーは、懸架型構造物に固定された要素によって径方向に画定された区間においてケーブル周りで消散される。この要素は、ケーブルと懸架型構造物との間で延在するアーム、又はケーブルの底部を受けるチューブである。減衰される揺れの振幅は、このタイプの装置で制限される。
【0004】
他の装置は、直線ストロークダンパー、例えば液圧式ピストンを使用する。これらピストンは、ケーブルと懸架構造物との間(例えば特許文献4参照)又はケーブルと懸架型構造物に固定されたチューブとの間で延在するアームであって、ケーブルの底部を収容する(例えば特許文献5又は6参照)、アーム上に配置されている。
【0005】
いわゆる振り子減衰装置が、ケーブルに接続された振動アームを備え、ケーブルの振動は、粘性摩擦によって減衰させられる。特許文献7が、このような振り子装置の一例を開示している。
【0006】
図1に示す振り子減衰装置の一実施形態では、アーム10は、支持体12上に取り付けられたピボット11周りで振動し、支持体12自体は、橋のデッキ14に固定されたシャーシ13上で回動する。X字で配置された2つの液圧式ピストン15が、アーム10の底部とシャーシ13又はデッキ14との間に取り付けられている。アーム10の頂部において連結器17内で保持されたステー16の鉛直運動は、アーム10が上下に動くときにピストン15によって減衰させられ、ピボット11の鉛直運動は、支持体12の傾斜によって受けられる。ステー16の水平運動は、アーム10をピボット11周りに振動させ、且つ交差型ピストン15によって個々に減衰させられる。
【0007】
振り子装置は、ケーブル上、特に長いケーブル上の強い減衰を提供する。振り子装置は、概して、底部アンカー固定地からケーブルの全長の約2%−3%でケーブルの底部に設置されている。この装置の構成は、およそ概して±100mmから約±150mmまでの長いストロークにわたってケーブルの鉛直及び横断運動双方を減衰させることを可能にする。
【0008】
しかしながら、特に構造物が可撓性を有する場合に、ケーブルの偏差は、さらにより大きくなることがある。必要なストロークは、さらにより大きくなり、例えば±700mmにまで及ぶ。
【0009】
従って、振り子装置のコンセプトは、その限界を有する:ピストンが非常に長いストロークを有するので、図1に示すように装置は過度に大きくなる。減衰ピストンが、概して、そのストロークの3倍の長さを有しており、このため、2メートルよりも長いピストンが必要である。このような大きな振り子装置を橋上に位置決めすることは、ほぼ不可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0343054号明細書
【特許文献2】独国登録実用新案第29517250号明細書
【特許文献3】国際公開第98/04780号パンフレット
【特許文献4】特開平09−59921号公報
【特許文献5】仏国特許出願公開第2859260号明細書
【特許文献6】特開平06−58370号公報
【特許文献7】仏国特許出願公開第2664920号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に減衰させられる揺れの振幅が大きいときの、振り子装置を改良することと、振り子装置の構造物への挿入を容易にすることと、である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ケーブル、特に橋のステーの揺れを減衰させるための装置であって、
装置が、
− ピボット周りで振動するアームと、
− アームの振動を少なくともいくらか減衰させるための第1のダンパーと、
− ケーブルに取り付けられた連結器と、
− 直線ストロークと、連結器に接続された上端部と、アームに接続された下端部と、を有する第2のダンパーと、
− 第2のダンパーのストロークと平行にアームに対して連結器をスライドさせるためのガイドであって、第2のダンパーのストロークに対して横断方向のケーブルの運動が、第2のダンパーとは独立してアームに伝達される、ガイドと、
を備えていることを特徴とする減衰装置が提案される。
【0013】
ガイドは、アームに対して垂直なケーブルの運動であって、第1のダンパーによって減衰させられる、運動と、アームに対して平行な運動であって、第2のダンパーによって減衰させられる、運動と、の間の切り離しをもたらすある種のスライドを形成する。第2のダンパーは、装置の全体的なサイズ及び装置の審美的な外観にあまり重大に影響を及ぼすことなく比較的長いストロークを有する。ガイドは、第2のダンパーが、その機能に有害な曲げモーメントにさらされることを防止する。
【0014】
装置の一実施形態では、第1のダンパーが、アームに対して横断方向に配置され且つピボットの下方でアームに接続された少なくとも1つのピストンを備えている。ピストンは、特にピボットが、ピボットとケーブル上での連結器の取付ポイントとの間の距離がアーム上でピストンによってかけられる力のピボットに対するレバーアームよりも大きいようにアームに対して位置決めされるケースでは、ケーブルにより懸架された構造物の上面の下に配置されてもよい。揺れるケーブルと、第1のダンパーのピストンによって妨害される抵抗と、によって付与される横断力の間のピボットに対するレバーアームの差は、このピストンが減少したストロークを有することを可能にする。従って、装置は、制限されたサイズからなることができ、且つ懸架型構造物内に設けられたキャビティ内に収納することができる。有利には、梃子の作用は、アーム上でピストンによってかけられる力のピボットに対するレバーアームよりも少なくとも三倍大きくピボットと連結器の取付ポイントとの間の距離をもたらすことによって増大される。
【0015】
ピボットが、ケーブルにより懸架された構造物の厚さ内に配置された場合、ピボットは、この構造物上で移動する人には見ることができない。有利には、ピボットは、ボールジョイント又は関節ジンバルタイプを提供し、このことは、装置が、例えばその熱膨張に起因する、ケーブルの軸に対して平行な連結器の運動を受けることを可能にする。ピボットは、実質的にケーブルにより懸架された構造物に対して固定されて設けられてもよい。
【0016】
本発明の別の側面は、少なくとも1つのタワーと、デッキと、デッキを懸架するためにタワーとデッキとの間で斜めに延在するケーブルからなるステーと、デッキ上の少なくとも1つのケーブルの間に取り付けられた、上で規定した減衰装置と、を備えることを特徴とする斜張橋に関する。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する、非限定的な例の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】すでに公知の振り子減衰装置の図である。
図2】斜張橋の概略的な側面図である。
図3】本発明による減衰装置の一例の運動学を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による減衰装置を備えたステーケーブルの下部の側面図である。
図5図4に示す平面V−Vに沿った、図4の減衰装置の断面図である。
図6】減衰装置の考えられる変形例を示す図である。
図7】減衰装置の考えられる変形例を示す図である。
図8】減衰装置の考えられる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明を、斜張橋へ非限定的に適用して説明する。そして、その揺れが減衰させられるケーブルは、デッキ14を懸架するために橋のタワー20と橋のデッキ14との間で延在するステー16である。
【0020】
ステー16の1つ以上が、アームを備えた減衰装置22を備えており、アームは、ステー16の下方アンカー固定地に近く(例えばステーの全長の数%に)位置した取付ポイントPと、デッキ14と、の間でステー16に対して横断方向に延在する。通常、減衰装置22のアームは、それが接続されるステー16と略同じ鉛直平面に位置している。しかしながら、アームは、この平面から若干ずれていることが可能である。
【0021】
図3は、減衰装置22、例えば図2に示した減衰装置の運動学を概略的に示している。装置22のアーム25は、符号Xで示される方向に向けられており、且つ例えばボールジョイントタイプのピボット26により橋のデッキ上に関節式結合されている。アーム25は、ピボット26周りで振動し、その振動運動(図3における矢印F)は、第1のダンパー30により減衰させられる。
【0022】
図3に示す例では、第1のダンパー30は、デッキ14上の固定ポイントで接続された第1の端部と、アーム25の下端部に近接してアーム25に接続された第2の端部と、を有する液圧式ピストンである。第1のダンパー30は、アーム25に対して略垂直に延在している。第1の振動器30に対して他の配置が考えられる:複数の液圧式ピストンが設けられるか、もしくは液圧式ピストン(又はそれらの中の1つ)がピボット26の上に位置するか、又は減衰効果が、(特許文献7で説明されるものと類似する方式で)アーム25の下端部が挿入される粘性媒体をかき混ぜることによって得られる、などである。第1のダンパー30が、直線タイプからなる場合、第1のダンパー30におけるアーム25への接続及びデッキ14上の固定ポイントへの接続が、関節接続、例えばボールジョイントタイプの関節接続であることが好ましい。従って、直線ダンパー30は、方向Xがステー16の横断方向又は軸方向運動に起因してピボット26周りで振動するときに、望ましくない曲げモーメントにさらされない。直線ダンパー30の配置は、必ずしも水平ではない。さらに、アーム25上での第1のダンパー30の関節式結合ポイントQが、アーム25から側方に突出するアーム25の延在部上にあってもよい。
【0023】
アーム25と、取付ポイントPでステー16に取り付けられた連結器27と、の間では、スライダガイド28が、連結器27がアーム25と一直線なままであることを保証するために取り付けられている。第2の直線ストロークダンパー31、例えば液圧式ピストンが、連結器27とアーム25との間に取り付けられている。このダンパー31は、アーム25に対して平行なケーブル16の取付ポイントPの運動を減衰させる。
【0024】
図2に示す形態では、減衰装置22のアームは、それぞれのステー16に対して垂直に向けられ、ステー16の運動は減衰する。これは、減衰装置の効率を最大化させる。とはいうものの、例えばアーム25を鉛直に(従ってそれらアームのそれぞれのステーに対して直角以外の角度で)配置することによって他の配置が可能である。ステー16の揺れを減衰させるために、装置22は、ステー16を含む鉛直平面の両側で2つのアームを有してもよい。
【0025】
ガイド28は、アーム25と垂直なステー16の運動から生じる望ましくない曲げ力がピストン31へ伝達することを防止する。ガイド28は、ダンパー31によって提供される、アームに対して平行な運動の減衰と、ダンパー30によって提供される、アームに対して垂直な運動の減衰と、の間での切り離しを提供する。そして、2つのダンパー30,31は、求められる減衰効果を得るために独立して設計されて最適化される。
【0026】
図4及び図5は、斜張懸架装置によって保持された橋のデッキ14と、ステー16の1つがこのデッキ14にアンカー固定される区間と、を示している。各ステーは、概して金属撚り線の束、選択的に被覆ワックス処理又は被覆グリース処理されたタイプの金属撚り線の束からなるケーブルである。アンカー固定装置35は、例えばデッキ14の下面に取り付けられ、この下面で、アンカー固定装置35は、ステー16の軌道に対して垂直な表面36に当接している。ステー16は、ステー16の下部を保護するガイドチューブ37内でデッキ14から出てくる。
【0027】
減衰装置22の取付ポイントPは、ガイドチューブ37を越えて位置している。このポイントPでは、カラー40が、ステー16を連結器27に固定するために、ステー16を構成する撚り線の束周りでクランプされている。
【0028】
図4及び図5の例示的な実施形態では、スライダガイド28は、ピストン31が収納された中空金属外形の形態である。この例では、ネジ山付きロッド41及びナット42が、ピストン31と、連結器27上のガイド28と、の上端部を固定している。この固定は、例えばボールジョイントによる関節式結合である。例えばネジ又はピンタイプの別の接続部43が、ピストン31の下端部をアーム25の上端部に接続している。この他の接続部は、上方での固定と同一の方式で関節式結合されてもよい。
【0029】
減衰装置のアーム25は、その下端部でガイド28から出てくる。ガイド28は、アーム25に対して、ピストン31によって減衰させられる入れ子式運動を有しており、且つピストン31に曲げモーメントを伝達しない。シュー又は滑り軸受45が、アーム25と、ガイド28の内面と、の間に配置されており、これにより、減衰装置22の機能を妨げないように、入れ子式運動をガイドし、且つこれら2つのパーツの間での摩擦係数を最小化させる。アーム25又はガイド28に固定されたこれらシュー又は軸受45は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から製造される。
【0030】
第2のダンパー31及びスライダガイド28は、極めて異なる配置を有してもよいことに留意されたい。
【0031】
例えば、図4及び図5のようにガイド28によって取り囲まれた中央位置において液圧式ピストン31を有するのではなく、アーム25に対する入れ子式運動は、非中央位置において1つ以上の平行ピストンを備える第2の直線ストロークダンパー31を有する中央ガイドによってガイドされ、ピストンが連結器27及びアーム25にそれぞれ固定されたブラケットに接続されてもよい。
【0032】
図4及び図5のケースでは、ガイド28がアーム25に対して連結器27をスライドさせることを可能にするスライド接触部(シュー45)が、直線ダンパー31の下端部の下に位置している。あるいは、このスライド接触部が直線ダンパー31の上に位置していることが可能である。例えば、連結器27は、レールに沿ってスライドするように取り付けられており、これらレールは、軸Xに対して平行であり、且つピボット26周りで振動するアーム25に剛結合されていてもよい。
【0033】
このような一実施形態は、図6で概略的に示してある。この例では、アーム25は、減衰ピストン31が収納された中空外形の形態である。減衰ピストン31は、ステー16に固定された連結器27と、アーム25に対して固定され且つアームの下部に近く位置したポイント62と、の間で、好ましくは関節式結合方式で接続されている。アーム25は、ステー16及びカラー27を取り囲むフレーム60によってアームの上端部で延在させられている。本実施形態では、このフレーム60は、ガイドの役割を果たす。フレーム60の側面は、内側に向けられた2つのスライド面61を有し、2つのスライド面61は、アーム25に対して連結器27をスライドさせるときに連結器27をガイドするために連結器27と協働する。スライド面61は、アーム25の方向Xに対して平行な2つのレールを形成し、且つ低摩擦係数を有する材料で覆われており、これにより、連結器27のスライドを容易にする。このような一実施形態は、比較的長いストロークのピストン31を使用することを可能にする。
【0034】
図6で示す例では、アーム25は、ピボット26の下に、傾斜延在部63を有しており、傾斜延在部63の端部は、ポイントQで第1の減衰ピストン30に関節式結合方式で接続されている。このような傾斜延在部は、デッキ14の縁部周りの多くの制約に応じて、ダンパー30を位置決めするためにさまざまな見込まれる構成を可能にする。
【0035】
図4及び図5に示す実施形態は、アーム25がガイド28内に入り込むまで振動アーム25がデッキ14の上面から出てくるだけなので、審美性の観点から有利である。ピボット26は、第1のダンパー30のピストンのようにデッキ14の厚さ内に位置し、第1のダンパー30は、デッキ14の下面に配置されている。振動アーム25の下部は、デッキ14の底面に設けられた適切な形態のキャビティ48内で動くことができる。同様の利点が、図6に示すタイプの実施形態で得られる。
【0036】
ピボット26は、第1のダンパー30の動作に対する梃子の効果を得るために、アーム25に沿って位置決めされ、このことは、第1のダンパー30がコンパクトな形態を有することを可能にする。このために、ピボットと連結器27の取付ポイントPとの間の距離Dは、ピストン30のレバーアームよりも大きく、このレバーアームは、図5で概略的に示す特別な形態では、ピボットと、ピストン30におけるアーム25への接続ポイントQと、の間の距離dに等しい(又は、図6で概略的に示す特別な形態では傾斜延在部63の長さにおよそ等しい)。上で符合Dで示される距離は、当然ながら、ピストン31の延長に従って変更可能である。D≧dであることが示されると、Dは、ピストンがその最小長さDを有する場合であってもdよりも常に大きいことが理解されなければならない。梃子の効果を増大させるために、アーム25は、好ましくはD≧3dであることが保証されるように構成される。
【0037】
ピボット26がボールジョイントタイプからなるという事実は、装置22が、ステー16及びアーム25を含む平面においてアーム25に対して垂直な方向へのステーの取付ポイントPの運動を受けることを可能にする。これら運動は、アーム25が厳密に垂直でない場合にはステーの揺れに起因するか、又は熱膨張によるステーの伸長に起因する。
【0038】
代替的な実施形態では、ピボット26は、デッキ14とアーム25との間の関節のジンバルタイプ、すなわち2つの相互に垂直な関節軸を有するジンバルタイプにより実施される。このような変形例は、図7で極めて概略的に示してある。2つの軸の一方が、デッキ14に対して固定されることによって適切に且つステー16を含む鉛直平面に対して基本的に平行にピボット26を提供し、このため、それが許可するアーム25の揺れは、それが揺れを減衰させるように第1のピストン30に伝達される。ジンバル関節の第2の軸71は、アーム25に対して固定されており、且つステー16を含む鉛直平面に対して基本的に垂直であり、このため、それが許可するアーム25の揺れは、第1のピストン30に伝達されることなく吸収される。そして、アーム25は、下部70を有しており、下部70は、軸71周りで関節式結合され、且つそれ自体が垂直軸26周りでデッキ14に対して関節式結合されている。第1のダンパー30の接続ポイントQは、アーム25の底部70の下部に位置している。
【0039】
第1のダンパー30の別の考えられる配置は、図8に概略的に示してある。この例では、第1のダンパー30は、2つのリンク80,81によりピボット26の下で、デッキ14内でアーム25に接続されている。リンク80は、アーム25の底部で関節式結合された一端部と、リンク81の第1の端部で関節式結合された別の端部と、を有している。リンク81の第2の端部は、第1のダンパー30との関節式接続部を有している。さらに、リンク81は、その第1の端部と第2の端部との間の中間の位置においてデッキ14上での固定ポイントに対してさらなる関節を有している。図8に示す例では、リンク80は、アーム25が静止している場合にはアーム25に対して垂直に延在している一方で、リンク81は、アームに対して略平行に延在している。リンク80,81は、必要なときに減衰力を下げるための機構を形成する。極めて多様な形態が、一方ではアームの動的な力にさらされるステー16によって、他方では減衰ピストン30によってアーム25上で横断方向にかけられる力の相対的なレバーアームに作用するために提案されることに留意されたい。
【0040】
上で説明及び言及した実施形態は、本発明の実例である。さまざまな修正が、添付の特許請求の範囲から明らかになる本発明の範囲から逸脱することなく本発明の実例になされてもよい。
【符号の説明】
【0041】
14 構造物、16 ケーブル、20 タワー、22 装置、25 アーム、26 ピボット、27 連結器、28,60 ガイド、30 第1のダンパー、31 第2のダンパー、45 スライドシュー,スライド接触部、61 スライド接触部、80,81 力減少機構、D 距離、P 取付ポイント
図1
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図7
図8