(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228304
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】膨張圧縮機装置及びそれを備えるエアコン
(51)【国際特許分類】
F04C 23/00 20060101AFI20171030BHJP
F01C 20/14 20060101ALI20171030BHJP
F01C 11/00 20060101ALI20171030BHJP
F01C 1/356 20060101ALI20171030BHJP
F04C 18/356 20060101ALI20171030BHJP
F25B 11/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
F04C23/00 F
F01C20/14
F01C11/00
F01C1/356
F04C18/356 L
F25B11/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-527343(P2016-527343)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公表番号】特表2016-538455(P2016-538455A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】CN2014081848
(87)【国際公開番号】WO2015062307
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】201310518182.7
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514027919
【氏名又は名称】グリー グリーン リフリジレーション テクノロジー センター カンパニー リミテッド オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE GREEN REFRIGERATION TECHNOLOGY CENTER CO., LTD. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リャン ジリ
(72)【発明者】
【氏名】フ ユシェン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジャ
(72)【発明者】
【氏名】レン リピン
【審査官】
鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−134024(JP,A)
【文献】
特開2009−085189(JP,A)
【文献】
特開2012−063111(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/164609(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/135779(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/044456(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/052510(WO,A1)
【文献】
特開2011−241765(JP,A)
【文献】
特開2008−286150(JP,A)
【文献】
特開平9−53590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01C 1/356
F01C 11/00
F01C 20/14
F04C 18/356
F04C 23/00
F25B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張シリンダ(10)と、圧縮シリンダ(20)と、前記膨張シリンダ(10)と前記圧縮シリンダ(20)を接続する接続軸(30)と、を有する膨張圧縮機装置において、
前記膨張シリンダ(10)には前記膨張シリンダ(10)の吸込室に連通する膨張シリンダ吸込通路(11)が設けられていて、前記膨張シリンダ吸込通路(11)は前記膨張シリンダ(10)の径方向に沿って配置され、
制御シリンダ(40)を更に有し、
前記接続軸(30)は前記制御シリンダ(40)内に挿入され、前記制御シリンダ(40)は制御シリンダ吸込通路(41)と制御シリンダ排気通路(42)を有し、前記制御シリンダ吸込通路(41)と前記制御シリンダ排気通路(42)はいずれも前記制御シリンダ(40)の径方向に沿って配置され、前記制御シリンダ排気通路(42)と前記膨張シリンダ吸込通路(11)の間に連通通路が設けられていて、
前記接続軸(30)における前記制御シリンダ(40)に対応する位置に連通溝が設けられていて、前記制御シリンダ吸込通路(41)と前記制御シリンダ排気通路(42)が連通又は分離するように、前記連通溝が前記接続軸(30)に連動して回転することを特徴とする膨張圧縮機装置。
【請求項2】
前記膨張シリンダ(10)が、前記接続軸(30)の膨張偏心部(32)にカバーされる膨張ローラ(12)を更に含み、前記膨張シリンダ(10)は第1の内孔を有し、前記膨張ローラ(12)は前記第1の内孔で偏心回転し、前記膨張シリンダ(10)には前記膨張シリンダ(10)の排気室に連通する膨張シリンダ排気通路(13)が設けられていて、前記膨張シリンダ排気通路(13)は前記膨張シリンダ(10)の径方向に沿って配置され、前記膨張シリンダ吸込通路(11)と前記膨張シリンダ排気通路(13)との間に前記膨張シリンダ(10)の径方向に沿って延長するスライド溝(14)が設けられていて、前記スライド溝(14)内に膨張スライドシート(15)が設けられ、前記膨張スライドシート(15)は前記膨張ローラ(12)に当接し、前記第1の内孔で前記膨張ローラ(12)との間に前記膨張シリンダ(10)の吸込室と前記膨張シリンダ(10)の排気室を形成することを特徴とする請求項1に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項3】
前記膨張シリンダ吸込通路(11)のその幅方向に沿った一側と前記膨張スライドシート(15)の長さ方向との間の角を膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βとし、前記膨張シリンダ吸込通路(11)のその幅方向に沿った他側と前記膨張スライドシート(15)の長さ方向との間の角を膨張シリンダに気体を吸い込みした後の限界角αとし、
前記膨張シリンダ排気通路(13)のその幅方向に沿った一側と前記膨張スライドシート(15)の長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気する前の限界角Φとし、前記膨張シリンダ排気通路(13)のその幅方向に沿った他側と前記膨張スライドシート(15)の長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気した後の限界角γとし、
前記制御シリンダ吸込通路(41)の時計回りに沿って前記制御シリンダ排気通路(42)から離れる一側と前記膨張偏心部(32)の中央線との間の角をδとし、
前記膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βと、前記膨張シリンダに気体を吸い込みした後の限界角αと、前記膨張シリンダが排気する前の限界角Φと、前記膨張シリンダが排気した後の限界角γと、前記角δとが、
β>α、
γ>Φ、
−90°≦δ≦90°の中の少なくとも一つの関係式を満たすことを特徴とする請求項2に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項4】
前記制御シリンダ(40)が前記接続軸(30)と同軸に設けられる同心ピストン(43)を更に含み、前記制御シリンダ(40)は第2の内孔を有し、前記同心ピストン(43)は回転可能に前記第2の内孔に設けられ、前記連通溝が前記同心ピストン(43)に形成されることを特徴とする請求項1に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項5】
前記同心ピストン(43)の外径と前記制御シリンダ(40)の第2の内孔の内径との間の間隔が0〜0.1mmの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項6】
前記同心ピストン(43)と前記制御シリンダ(40)の第2の内孔との間の間隔が油膜によって密封されることを特徴とする請求項5に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項7】
前記膨張シリンダ(10)が前記圧縮シリンダ(20)と前記制御シリンダ(40)との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項8】
前記連通溝が前記接続軸(30)の周方向に沿って延長する弧状の溝(31)であることを特徴とする請求項3に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項9】
前記弧状の溝(31)が形成するラジアン角度をθとし、θの範囲が0°〜360°−γであることを特徴とする請求項8に記載の膨張圧縮機装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の中のいずれかに記載の膨張圧縮機装置を具備することを特徴とするエアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン技術分野に関し、具体的に、膨張圧縮機装置及びそれを備えるエアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、エアコン中の膨張機と圧縮機は軸を介して接続されて、膨張機中の膨張された気体から回収した動力を用いて圧縮機を駆動させる。
【0003】
既存技術において、流体機械は、膨張機と、圧縮機とを含み、ここで、膨張機は膨張機吸込孔と膨張機排出孔とを有し、圧縮機は圧縮機吸込孔と圧縮機排出孔とを有する。冷房循環装置が起動された時、作動流体の圧力のみによっても、駆動装置を具備しない流体機械が確実に自己起動できる。流体機械が動作状態である場合、膨張機吸込孔及び圧縮機吸込孔は軸の回転につれて閉鎖される。具体的に、圧縮機吸込孔の閉鎖期間において、膨張機吸込孔は開放状態であって、膨張機吸込孔の閉鎖期間において、圧縮機吸込孔は開放状態であって、圧縮機排出孔と連通しない状態である。
【0004】
膨張機吸込孔が下軸受けの底部に位置し、該底部に高圧の流体が投入された後、高圧流体がクランクシャフトの扇形ガムに上向きの衝撃力を与え、クランクシャフトの軸方向の移動を増加し、さらに膨張圧縮機の運行が不安定になる。膨張機の気体吸い込みの制御方式にこのような信頼性に欠けている問題が存在し、運行時間が増加するにつれて、気体吸い込み制御方式のガムの磨耗を増やし、ガムの上端面と膨張シリンダの下端面との間隔が増加されて、密封が失効し、気体の吸い込みを制御することができなくなる。膨張機の構造も比較的に複雑であって、加工も困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既存技術における高圧流体が扇形ガムに対し軸方向の衝撃力を与える問題を解決できる膨張圧縮機装置及びそれを備えるエアコンを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するため、本発明の一態様によると、膨張シリンダと、圧縮シリンダと、膨張シリンダと圧縮シリンダを接続する接続軸と、を含み、膨張シリンダには膨張シリンダの吸込室と連通する膨張シリンダ吸込通路が設けられていて、膨張シリンダ吸込通路は膨張シリンダの径方向に沿って配置され、膨張圧縮機装置は、接続軸が挿入される制御シリンダを更に含み、制御シリンダは制御シリンダ吸込通路と制御シリンダ排気通路とを有し、制御シリンダ吸込通路と制御シリンダ排気通路はいずれも制御シリンダの径方向に沿って配置され、制御シリンダ排気通路と膨張シリンダ吸込通路との間に連通通路が設けられていて、接続軸における制御シリンダに対応する位置に連通溝が設けられ、制御シリンダ吸込通路と制御シリンダ排気通路が連通又は分離するように、連通溝は接続軸に連動して回転する膨張圧縮機装置を提供する。
【0007】
さらに、膨張シリンダは、接続軸の膨張偏心部にカバーされる膨張ローラをさらに含み、膨張シリンダは第1の内孔を有し、膨張ローラは第1の内孔において偏心回転し、膨張シリンダには膨張シリンダの排気室に連通される膨張シリンダ排気通路が設けられていて、膨張シリンダ排気通路は膨張シリンダの径方向に沿って配置され、膨張シリンダ吸込通路と膨張シリンダ排気通路との間に膨張シリンダの径方向に沿って延長するスライド溝が設けられていて、スライド溝内に膨張スライドシートが設けられ、膨張スライドシートは膨張ローラに当接し、第1の内孔で膨張ローラとの間で膨張シリンダの吸込室と膨張シリンダの排気室とを形成する。
【0008】
さらに、膨張シリンダ吸込通路のその幅方向に沿った一側と膨張スライドシートの長さ方向との間の角を膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βとし、膨張シリンダ吸込通路のその幅方向に沿った他側と膨張スライドシートの長さ方向との間の角を膨張シリンダに気体を吸い込みした後の限界角αとし、膨張シリンダ排気通路のその幅方向に沿った一側と膨張スライドシートの長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気する前の限界角Φとし、膨張シリンダ排気通路のその幅方向に沿った他側と膨張スライドシートの長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気した後の限界角γとし、制御シリンダ吸込通路の時計回りに沿って制御シリンダ排気通路から離れる一側と膨張偏心部中央線との間の角をδとし、ここで、膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βと、膨張シリンダに気体を吸い込みした後の限界角αと、膨張シリンダが排気する前の限界角Φと、膨張シリンダが排気した後の限界角γと、角δとは、β>α、γ>Φ、−90°≦δ≦90°の中の少なくとも一つの関係式を満たす。
【0009】
さらに、制御シリンダは、同心ピストンを更に含み、同心ピストンは接続軸と同軸に設けられ、制御シリンダは第2の内孔を有し、同心ピストンは回転可能に第2の内孔に設けられ、連通溝は同心ピストンに形成される。
【0010】
さらに、同心ピストンの外径と制御シリンダの第2の内孔の内径との間の間隔が0〜0.1mmの範囲内である。
【0011】
さらに、同心ピストンと制御シリンダの第2の内孔との間の間隔が油膜によって密封される。
【0012】
さらに
、膨張シリンダ
が圧縮シリンダ
と制御シリンダとの間に設けられる。
【0013】
さらに、連通溝は、接続軸の周方向に沿って延長する弧状の溝である。
【0014】
さらに、弧状の溝が形成するラジアン角度をθとし、θの範囲は0°〜360°−γである。
【0015】
本発明の他の態様によると、上述した膨張圧縮機装置を備えるエアコンを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の技術案を応用すると、高圧気体が制御シリンダ吸込通路に進入され、連通溝が接続軸に連動して回転し、制御シリンダ吸込通路と制御シリンダ排気通路が連通溝を介して連通される時、膨張シリンダが吸い込みを開始する。具体的に、高圧気体が制御シリンダ吸込通路、連通溝、制御シリンダ排気通路を順に通過した後、膨張シリンダ吸込通路に進入し、膨張シリンダが吸い込みを開始し、即ち、膨張シリンダによる吸い込みプロセスを開始する。制御シリンダ吸込通路と制御シリンダ排気通路がいずれも制御シリンダの径方向に沿って配置されるので、高圧気体が制御シリンダに進入した時、高圧気体が膨張偏心部に軸方向の衝撃を与えることがなく、膨張圧縮機装置の運行が一層安定されて、膨張圧縮機装置の吸い込み制御方式の信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の一部を構成する図面は本発明を一層理解させるためのものであって、本発明に示す実施例及びその説明は本発明を解釈するもので、本発明を限定するものではない。
【
図1】本発明に係る膨張圧縮機装置の実施例の分離構造を示す図である。
【
図2】
図1の膨張圧縮機装置の縦方向断面を示す図である。
【
図3】
図2の膨張圧縮機装置のA−A線断面を示す図である。
【
図4】
図2の膨張圧縮機装置のB−B線断面を示す図である。
【
図5】
図2の膨張圧縮機装置の部分構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
尚、衝突しない限り、本願の実施例及び実施例中の特徴を互いに組み合わせすることができる。以下、図面を参照しつつ実施例を結合して本発明を詳しく説明する。
図1乃至
図4に示すように、本実施例の膨張圧縮機装置は、膨張シリンダ10と、圧縮シリンダ20と、接続軸30と、制御シリンダ40と、を含む。接続軸30は膨張シリンダ10と圧縮シリンダ20を接続し、膨張シリンダ10には膨張シリンダ10の吸込室に連通する膨張シリンダ吸込通路11が設けられていて、膨張シリンダ吸込通路11は膨張シリンダ10の径方向に沿って配置され、接続軸30は制御シリンダ40内に挿入され、制御シリンダ40は制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42とを有し、制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42はいずれも制御シリンダ40の径方向に沿って配置され、制御シリンダ排気通路42と膨張シリンダ吸込通路11との間に連通通路が設けられ、接続軸30は制御シリンダ40を挿入し、接続軸30の制御シリンダ40に対応する位置に連通溝が設けられ、制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42が連通又は分離するように、連通溝は接続軸30に連動して回転する。
【0019】
本実施例の膨張圧縮機装置を応用すると、高圧気体が制御シリンダ吸込通路41に進入され、連通溝が接続軸30に連動して回転し、制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42が連通溝を介して連通される時、膨張シリンダ10が吸い込みを開始する。具体的に、高圧気体が制御シリンダ吸込通路41、連通溝、制御シリンダ排気通路42を順に通過した後、膨張シリンダ吸込通路11に進入し、膨張シリンダ10が吸い込みを開始、即ち、膨張シリンダ10による吸い込みプロセスを開始する。制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42がいずれも制御シリンダ40の径方向に沿って配置されるので、高圧気体が制御シリンダ40に進入した時、高圧気体が膨張偏心部32に軸方向の衝撃を与えることなく、膨張圧縮機装置の運行が一層安定になれ、膨張圧縮機装置の吸い込み制御方式の信頼性を向上させる。
【0020】
本実施例において、膨張シリンダ10は、膨張ローラ12を更に含み、膨張ローラ12は接続軸30の膨張偏心部32にカバーされ、膨張シリンダ10は第1の内孔を有し、膨張ローラ12は第1の内孔で偏心回転し、膨張シリンダ10には膨張シリンダ10の排気室に連通する膨張シリンダ排気通路13が設けられていて、膨張シリンダ排気通路13は膨張シリンダ10の径方向に沿って配置され、膨張シリンダ吸込通路11と膨張シリンダ排気通路13との間に膨張シリンダ10の径方向に沿って延長するスライド溝14が設けられていて、スライド溝14内に膨張スライドシート15が設けられ、膨張スライドシート15は膨張ローラ12に当接し、第1の内孔で膨張ローラ12との間に膨張シリンダ10の吸込室と膨張シリンダ10の排気室を形成する。
図5に示すように、膨張偏心部32の同心ピストン43に対する膨張偏心量はeである。
【0021】
膨張シリンダ10の動作プロセスは以下のとおりである:
高圧気体が制御シリンダ吸込通路41に進入され、連通溝が接続軸30に連動して回転し、制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42が連通される時、膨張ローラ12が膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βを過ぎた後、高圧気体は制御シリンダ吸込通路41、連通溝、制御シリンダ排気通路42を順に通過し、その後、高圧気体は膨張シリンダ吸込通路11に進入し、膨張シリンダ10が吸い込みを開始し、即ち、膨張シリンダ10による吸い込みプロセスを開始する。連通溝が接続軸30に連動して回転してまず到達する制御シリンダ吸込通路41の一端を開始端とし、連通溝の終了端が制御シリンダ吸込通路41から離れる時、膨張シリンダ10による吸い込みプロセスを終了し、この時、膨張シリンダ10が膨張し始める。膨張ローラ12が膨張シリンダが排気した後の限界角γを超えた時、膨張シリンダ10による膨張が終了し、膨張シリンダ排気通路13を介して排気し始める。膨張ローラ12が720°−γを回転した時、膨張シリンダ10による排気が終了する。
【0022】
本実施例において、膨張シリンダ吸込通路11のその幅方向に沿った一側と膨張スライドシート15の長さ方向との間の角を膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角βとし、膨張シリンダ吸込通路11のその幅方向に沿った他側と膨張スライドシート15の長さ方向との間の角を膨張シリンダに吸い込みした後の限界角αとし、膨張シリンダ排気通路13のその幅方向に沿った一側と膨張スライドシート15の長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気する前の限界角Φとし、膨張シリンダ排気通路13のその幅方向に沿った他側と膨張スライドシート15の長さ方向との間の角を膨張シリンダが排気した後の限界角γとし、制御シリンダ吸込通路41が時計回りに沿って制御シリンダ排気通路42から離れる一側と膨張偏心部32の中央線との間の角をδとし、ここで、膨張シリンダに気体を吸込みする前の限界角β、膨張シリンダに吸い込みした後の限界角α、膨張シリンダが排気する前の限界角Φ、膨張シリンダが排気した後の限界角γ、角δは、β>α、γ>Φ、−90°≦δ≦90°の中の少なくとも一つの関係式を満たす。膨張不足を防止し、膨張シリンダ10の吸い込み容積を確保する、即ち膨張シリンダ10の膨張比を確保するため、δは−90°以上90°以下にすべきである。
【0023】
本実施例において、制御シリンダ40は同心ピストン43を更に含み、同心ピストン43は接続軸30と同軸に設けられ、制御シリンダ40は第2の内孔を有し、同心ピストン43は回転可能に前記第2の内孔に設けられ、同心ピストン43の外径と制御シリンダ40の第2の内孔の内径との間の間隔は0〜0.1mmの範囲内である。本実施例において、同心ピストン43の外径と制御シリンダ40の第2の内孔との間の間隔は油膜によって密封される。油膜によって密封すると、同心ピストン43の外側の高圧気体がそれぞれ、制御シリンダ吸込通路41、制御シリンダ排気通路42に対して出入りを防止し、即ち熱の移動を防止する。同心ピストン43の外径と制御シリンダ40の第2の内孔との間の間隔は0.015mmで、膨張圧縮機装置が運行する時、間隔に冷凍オイルが充填されて良好な密封作用を実現する。
【0024】
本実施例において
、膨張シリンダ10
は、圧縮シリンダ20
と制御シリンダ40との間に設けられている。構造が簡単で、容易に装着できる。
本実施例において、圧縮シリンダ20は圧縮ローラ21と圧縮スライドシート22とを含み、圧縮ローラ21は接続軸30に挿入され、圧縮シリンダ20は圧縮ローラ21と係り合う第3の内孔を有し、圧縮シリンダ20は圧縮スライドシート22を収容し圧縮シリンダ20の径方向に沿って貫通する第2の径方向孔を有し、圧縮スライドシート22は圧縮ローラ21に当接し、圧縮シリンダ20の第3の内孔と圧縮ローラ21の間で圧縮シリンダ吸込室と圧縮シリンダ吸込室を形成する。
【0025】
本実施例において、膨張圧縮機装置は仕切れ板50と、上フランジ部60と、下フランジ部70と、端部蓋板80と、を更に含み、仕切れ板50は圧縮シリンダ20と膨張シリンダ10との間に設けられ、上フランジ部60は膨張シリンダ10から離れる圧縮シリンダ20の一側に設けられ、下フランジ部70は圧縮シリンダ20から離れる制御シリンダ40の一側に設けられ、端部蓋板80は膨張シリンダ10から離れる下フランジ部70の一側に設けられる。本実施例において、接続軸30は接続軸30の軸方向に沿って貫通する貫通孔を有する。
【0026】
本実施例において、連通溝は接続軸30の周方向に沿って延長する弧状の溝31である。連通溝が他の形状の溝であることもできることは言うまでもない。本実施例において、弧状の溝31が形成するラジアン角度をθとし、θの範囲は0°〜360°−γである。θを調節することで、膨張シリンダ10の吸い込みの開始時間と終了時間を調節することができ、さらに、膨張シリンダ10の吸い込み容積を調節することができ、即ち、膨張シリンダ10の膨張比を調節することができる。θが120°で、δが43°であることが好ましい。
【0027】
本願は、エアコンをさらに提供し、本実施例のエアコンの実施例(未図示)は上述した膨張圧縮機装置を有する。高圧気体が制御シリンダ吸込通路41に進入され、連通溝が接続軸30に連動して回転し、制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42が連通溝を介して連通される時、膨張シリンダ10が吸い込みを開始する。具体的に、高圧気体が制御シリンダ吸込通路41、連通溝、制御シリンダ排気通路42を順に通過した後、膨張シリンダ吸込通路11に進入し、膨張シリンダ10が吸い込みを開始し、即ち、膨張シリンダ10による吸い込みプロセスを開始する。制御シリンダ吸込通路41と制御シリンダ排気通路42がいずれも制御シリンダ40の径方向に沿って配置されるので、高圧気体が制御シリンダ40に進入した時、高圧気体が膨張偏心部32に軸方向の衝撃を与えることがなく、膨張圧縮機装置が一層安定になり、膨張圧縮機装置の吸い込み制御方式の信頼性を向上させる。
【0028】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば本発明に様々な修正や変形が可能である。本発明の精神や原則内での全ての修正、置換、改良などは本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
10、膨張シリンダ;11、膨張シリンダ吸込通路;12、膨張ローラ;13、膨張シリンダ排気通路;14、スライド溝;15、膨張スライドシート;20、圧縮シリンダ;21、圧縮ローラ;22、圧縮スライドシート;30、接続軸;31、弧状溝;32、膨張偏心部;40、制御シリンダ;41、制御シリンダ吸込通路;42、制御シリンダ排気通路;43、同心ピストン;50、仕切れ板;60、上フランジ部;70、下フランジ部;80、端部蓋板