(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228308
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】多孔性金属スプラインを備えた髄内支持物
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20171030BHJP
A61F 2/42 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
A61B17/72
A61F2/42
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-536141(P2016-536141)
(86)(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公表番号】特表2016-538936(P2016-538936A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】US2014052716
(87)【国際公開番号】WO2016032443
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マコームズ−スターンズ,メアリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アーマコスト,スコット・エイ
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0206044(US,A1)
【文献】
米国特許第05360448(US,A)
【文献】
国際公開第2013/063069(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0131072(US,A1)
【文献】
特表2008−531134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/72
A61F 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中足部カラムを規定する骨を有するヒト中足部の関節固定のための髄内支持物であって、
第1端から第2端へ延びる単一のシャフトを含み、該単一のシャフトは、第1中足骨から内側楔状骨および舟状骨を通って距骨まで直線状に延びており、
前記単一のシャフトは外面を含み、前記外面上には少なくとも一つの多孔性金属形成物が配され、
前記多孔性金属形成物は、前記単一のシャフトを、前記第1中足骨、前記内側楔状骨、前記舟状骨および前記距骨のうちの少なくとも1つに構造的に固定するために、骨内成長を許容し、
前記多孔性金属形成物は、前記外面上に複数のスプラインを含み、該複数のスプラインは前記単一のシャフトの前記第1端から前記第2端まで延び、
前記シャフトは、角を有し離隔した先端で接する面を規定する多角形の断面を有し、前記複数のスプラインは前記面または前記先端に沿って提供される、髄内支持物。
【請求項2】
前記単一のシャフトは、細長い固体を含み、前記多孔性金属形成物は、前記外面に固定されている、請求項1に記載の髄内支持物。
【請求項3】
前記多孔性金属形成物は、網状骨を模倣するように構成された小柱状の物質を含む、請求項1に記載の髄内支持物。
【請求項4】
前記スプラインは、前記単一のシャフトの縦方向軸と平行に延びる、請求項1に記載の髄内支持物。
【請求項5】
前記スプラインは、前記単一のシャフトの縦方向軸に対して傾いている、請求項1に記載の髄内支持物。
【請求項6】
前記スプラインは、前記単一のシャフトの前記外面から突出する、請求項1に記載の髄内支持物。
【請求項7】
前記スプラインは、前記単一のシャフトの前記外面内に内蔵される、請求項1に記載の髄内支持物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の骨を融合、特に、解剖学的整列を向上させるために、ヒト足部内に一つ以上の関節にわたり複数の分離された骨を融合するための手術手順およびインプラントの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
シャルコー中足部変形は、糖尿病性神経障害および四肢における感覚低下と関連する疾患である。限られた感覚を有する人は、日常の活動中に足部に捻挫、骨折、脱臼、または同様の損傷を受け、負傷に気づかなかったり負傷の程度に気づかないことがある。負傷した足部での継続した活動は、更なる損傷を引き起こす。損傷は漸進的である。特徴的な条件として、部分的な脱臼、骨折、および中足部を形成する中足骨、楔状骨、および舟状骨の誤整列を含む。「カラム(columns)」として知られている、踵骨から末節骨までの骨の連続に沿う中足部の一般的なアーチ型の形状は崩れ、一部の場合、舟底足または丸い足底側面であり得る。
【0003】
シャルコー変形を改善する一つの方法は、関節固定または中足部カラムの骨の融合である。個別の骨は、関節で以前に接した骨の当接面に沿って骨が融合または硬化されるように、連続した骨を互いに固定するだけでなく、切除することを含み得る外科的処置で再整列され得る。有利に融合された主要な耐荷重カラムは、(足の親指まで)内側カラムである。2つ以上の中足部カラムは、例えば、第1中足骨カラムおよび第3中足骨カラムの融合を引き起こし得る。
【0004】
手順は、支持の必要がある中足部カラムに沿って隣接骨の外部に沿って一つ以上の筋交い板を取付けることを含むことができる。筋交い板は、ねじを使用して、それぞれの骨に取付けられる。代案の技術としては、中足部カラム内に支持構造として縦方向骨髄内釘(nail)またはボルトを設置することを含む。中足骨から距骨までの圧縮ねじは、圧縮を有利に加えて中足骨を強引に締結させる。その位置から骨が移動しないようにすることは、骨の融合を可能にする。
【0005】
中足カラムの隣接する骨の整列だけでなく、形状も変更できる。例えば、足部の丸みを逆にし、これによりさらなる蹠行性の輪郭を達成するために、空間はウェッジ(wedge)またはスペーサを収容するために切開することができ、空間の切除が可能であり、隣接骨は集められた。患者の移植骨または同種移植片または骨内成長が可能な合成物質は、退化した骨および関節を補充し、構造的なストレスポイントを充填するために挿入することができる。骨は、固定されたままであり、治療後に融合または硬化される。自然な柔軟性または相対的な移動自由度の結果的な損失はあるものの、少なくとも、よりほぼ解剖学的な状態で足部の構造物を整列させることが目的である。
【0006】
髄内支持物はまた、脛骨、大腿骨、上腕骨などの相対的に大きな骨において、典型的に骨折部位にわたり骨断片を融合するためのものとして知られている。細長い髄内支持物は、骨の中にルーメンを形成する縦方向に穿孔された穴の中に配置される。支持物は、骨折部位にわたり骨断片の間を埋める。支持物は、シャフト、ボルト、釘、ねじ、またはバーなどと多様に称されるステンレス鋼、チタン合金などの細長いシャフトを含む。シャフトは、骨断片がシャフトに沿って自由に摺動し、縦に互いに接することができるように滑らかである。横断ねじは、骨断片および髄内支持物の相対的な位置を固定するために、骨を通ってシャフト内に挿入できる。髄内支持物は、横断ねじによって分解された骨断片の外部に固定された筋交い板の代案でありうる。または、筋交い板および髄内支持物は、同時に使用可能である。
【0007】
中足骨はある程度細長いが、中足部の骨は腕または脚の長骨よりも小さい。中足部カラムのより近い骨はブロック状である。しかし、圧縮ねじおよび他の髄内支持物は、関節固定手術において中足部内の骨を支持することが知られている。国際公開第2004/014243号‐ウィリアムは、第1中足骨、内側楔状骨、舟状骨および距骨の整列を固定するための細長い髄内釘の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/014243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる手術手順において、例えば、内側カラムの関節固定を考慮すると、中間指節は、遠位第1指節から下方に脱臼する。内側カラムに沿った骨は、遠位第1中足骨から距骨までパイロット穴を通って穿孔される間に整列される。カラムの整列は、足底側面上で外側に延びるウェッジを切除し、下向きに開放することを含んでもよく、ウェッジの閉鎖は、内側カラム内の下部アーチの一部を逆にする。
【0010】
キルシュナー鋼線またはガイドは穿孔された穴に挿入され、骨の整列を蛍光透視で点検することができる。穴は、キルシュナー鋼線でガイドされたカニューレ状リーマを使用して、内側カラムに沿って距骨まで拡径する。距骨は、脛骨および腓骨を有し、足部のための構造的支持物の主要なベースである。リーマ孔は、最小間隙(例えば、0.5mmの直径隙間)で髄内釘を収容する内径を有する。髄内釘は、内側カラム全体を介して近位端部の距骨内に、すなわち、第1中足骨、内側楔状骨および舟状骨の長さを介して挿入され、距骨の約半分の長さを前進する。
【0011】
一部の場合、髄内支持物は、距骨に螺入される遠位端または先端に沿ってねじ山と、「ヘッドがない」ものの雄ねじ式近位端とを有する圧縮ねじを含むことができる。シャフトは、ねじ端部間の距離にわたり滑らかである。近位端のねじ山は、距骨内に延びたシャフトの遠位部分上のねじ山よりも短いねじピッチ(回転ユニット当たりの縦方向の前進が少ない)を有し、ファスナーの長さは、内側カラムの骨を紐(string)に沿ってビード(bead)を引っ張るように互いに対して圧縮するために選択される。
【0012】
上述したウィリアムの例のような代案の配列において、シャフトの全長は、ねじなしで滑らかである。シャフトが中足部カラム内に挿入された後、外側ファスナー(ねじまたはピン)は、それぞれの骨を通って挿入されたシャフトに沿って離隔位置に提供された横断穴を通って挿入される。ウィリアムに記載の例において、3つの横断ファスナーは、第1中足骨を髄内シャフトまたは「釘」に固定するために使用され、2つのファスナーは、距骨を固定し、1つのファスナーは、内側楔状骨および舟状骨それぞれを固定するために使用される。楔状骨および舟状骨に対し、横断穴は、更に縦方向の隙間を備えたスロットであり、滑らかなシャフトに沿って維持された骨の一部の縦方向および/または横方向の変位を許容する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の目的は、シャルコー中足部変形などの矯正のために、改善した髄内支持ビームまたはシャフトを提供することにある。特に、細長い髄内支持物には、骨内成長のために硬い多孔性物質を有する外面領域が提供される。かかる表面領域は、例えば、ビーム若しくはシャフトの端部に置かれ、および/またはビーム若しくはシャフトに沿ってまたは周囲に離隔するように戦略的に配置され、縦方向に離隔可能である。滑らかな領域間のビームまたはシャフトに沿って離隔した多孔性領域は、より密度の低い網状組織とは対照的に、ビームまたはシャフトに沿って支持された骨の密集皮質組織内に置かれるように選択的に配置できる。多孔性表面領域はまた、機械的な効果を有したり、ビームまたはシャフトの断面形状と連携するように配列され得る。例えば、多孔性金属物質は、骨内成長に適した表面だけでなく、機械的締結を提供するスプライン(splines)またはランナー(runners)を形成することができる。ビームまたはシャフトは、接合部の領域または多角形の面の接合部の間の領域に置かれた多孔性物質を備えた多角形の断面を有することができる。多孔性物質は、ビームまたはシャフト構造の外側に焼結した粒子または小柱状の断片を含むことができる。
【0014】
一部の実施例において、離隔した多孔性領域、スプラインまたはランナーは、ライトメディカル社製のBIOFOAM(登録商標)物質または骨内成長に特に適した同様の物質を有利に含む。網状または皮質骨内にビームまたはシャフトを固定し、ビームまたはシャフトおよび融合される骨が移動しないようにする多孔性網状性物質の構造的に強固な厚さを提供するために 、BIOFOAM物質は、焼結することによりその表面に融合された不規則な形状のチタン要素を含む。骨が治癒されるに伴い、骨組織は、多孔性物質内で成長して中足部カラムを支持する組成物を形成する。
【0015】
BIOFOAM物質は、骨の間に、または切開されたり切除された骨の中に挿入されるスペーサまたはウェッジとして構造化され、骨の外部にあり、支持板を通ってウェッジまたはスペーサの位置に隣接する骨の中に押し込まれたねじにより原位置で保持された支持板を使用して固定されるそれぞれの場合に、ウェッジおよびスペーサに、例えば、中足部のコットン(Cotton)骨切り術および後足部でのエバンス(Evans)骨切り術に用いることが知られている。関節固定がシャルコー変形を改善するためには、BIOFOAM物質は、骨内成長、および骨の構造内への支持構造物の結合を向上させる。本明細書に記載の構成は、支持物と骨との締結を向上させ、外部支持板、外側ねじ(screws)、圧縮ねじ(threads)などの更なる構造物の必要性を減少させる。
【0016】
本開示に係る髄内ビームまたはシャフトは、細長く、滑らかな円筒状または他の形状の断面を有することができる。特定の実施例は、スプラインが形成され、特定の実施例は、回転移動を制限する長方形エッジを提供するビームまたはシャフトのファセット(facet)の間に縦方向の頂点または先端を備えた多角形の断面を有する。多孔性金属物質は、焼結粒子を含むことができ、他の実施例において、焼結され、外面のビームまたはシャフトの本体と融合されたり、機械的固定のために表面上の溝に完全にまたは部分的に内蔵される。多孔性物質は、表面被覆として表面上に置かれたり、表面と同じ高さに配置されたり、細長い内蔵スプラインで表面から突出することができる。多孔性物質の領域は、特別な骨組織のタイプと締結するために、連続または非連続、規則的または非規則的に離隔され、選択的に配置できる。例えば、多孔性領域は、シャフトのいずれか一つの端部および/またはシャフトに沿って間隔をおいて位置することができる。スプラインは、多角形のビーム/シャフトの断面のファセットに沿って若しくは間に、縦方向に、斜めにまたはらせん状にねじれて延びることが可能である。
【0017】
スプラインは、内側カラムの隣接骨を介して提供された細長い穴の内部表面に沿って骨と締結し、移動(骨とビームまたはシャフトとの縦方向または回転相対変位)を減少または防止する。BIOFOAM物質は、内成長に適しており、補充横断ねじ、ピン若しくは外部支持板と、または補充横断ねじ、ピン若しくは外部支持板なしで使用したり治療して、内側カラムの骨と締結し支持する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
これらおよび他の目的および態様は、添付の図面を参照して、好ましい実施例および例の以下の記載により理解されるであろう。
【
図1】中足部の陥没した内側カラムに沿った骨の誤整列が特徴である例示的なシャルコー足部変形のX線描写である。
【
図2】解剖学的に正確な整列の第1中足骨、内側楔状骨、舟状骨および距骨を融合する、本発明に係る髄内ビームの内蔵による足部の治療を示する概略図である。
【
図8】縦方向スプラインを有する髄内において
図2に示される治療の上部図である。
【
図9】記載のとおり、髄内ビームを設置するステップを含む手順におけるステップの概略図であり、踵骨はこれらの図面では省略されている。
【
図10】記載のとおり、髄内ビームを設置するステップを含む手順におけるステップの概略図であり、踵骨はこれらの図面では省略されている。
【
図11】記載のとおり、髄内ビームを設置するステップを含む手順におけるステップの概略図であり、踵骨はこれらの図面では省略されている。
【
図12】髄内ビームまたはシャフトの更なる代案の構成の斜視図である。
【
図13】髄内ビームまたはシャフトの更なる代案の構成の斜視図である。
【
図14】髄内ビームまたはシャフトの更なる代案の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、シャルコー足部変形における中足部の骨の一般的な整列は、脱臼および骨折によって妨げられていた。関節固定術による変形の治療のための装置および方法は、中足部カラムの一部またはすべてのカラムに適用できるが、例えば、第1中足骨、内側楔状骨および舟状骨に関して記載されている。かかる骨は、後足部の距骨とともに、内側カラムとして知られており、歩行および他の活動のために必要な支持物の大半を一般的に提供する。
【0020】
シャルコー変形は、糖尿病性神経障害および感覚の損失のため痛みがなかったり、おそらく気づいていなかったり、深刻に考えられていない軽傷の蓄積に起因する。
図1において、2つの破線に沿った骨を共線整列に導くことにより達成される合理的かつ解剖学的に正確な整列を回復するための関節固定手術法が表示されている。これは、
図2に示すように、中足骨、楔状骨および舟状骨を距骨と一列になるように導き、穴を末節骨から距骨に形成し、穴と実質的に相補的な細長い髄内ビームまたはシャフト22を挿入し内蔵することにより達成される。
図8は、
図2でのような結果を示しているが、上部図である。
【0021】
ビームまたはシャフト22の外面には、ビームをそれぞれの骨に構造的に固定するために、骨内成長を許容する少なくとも一つの多孔性金属形成物24が提供されることが、本発明の態様である。ビームは、骨の内面にぴったり合う。多孔性金属形成物は、ライトメディカル社製のBIOFOAMなどの多孔性手術用金属物質を有利に含む。多孔性物質は、骨内成長を受け入れるための網状骨の構造を模倣するために、互いにおよびビームまたはシャフト22に固定された不規則な形状のチタン本体を基質として有することができる。多孔性物質は、例えば、粒子を互いにおよび一体型完全基質に焼結するか、表面に多孔性領域を含む基質を完全に形成することにより、または他の固定技術により、基質ビームまたはシャフトにしっかりと固定される。骨に沿った内成長の後、ビームまたはシャフトは骨と構造的に結合する。
【0022】
特定の実施例において、多孔性金属形成物は、例えば、略1.5mmの厚さを有するBIOFOAM網状チタンを含む。この物質は、商業的に純粋なチタンで製造され、チタンまたはチタン合金シャフト構造に容易に融合される。BIOFOAMは、小柱状マトリックス構造において、タンタル(略3GPa)と類似の係数及び略500ミクロンの孔径を有する。BIOFOAMは、小柱状構造を有する。代案の実施例は、焼結ビーズまたは粒子粉末などの多孔性金属の他の形態および他の非小柱状構造を用いることができる。同様に、表面は、骨内成長を支持する不規則性を提供するためにエッチングされるか、他の方法で加工され得る。
【0023】
図3〜
図6は、多孔性金属が髄内ビームの外面上に配列され、そのため穴に挿入される際に骨の内向面に対して置かれる例示的な代案の実施例を示す斜視図である。可能な配列において、髄内ビームの全表面は、予め決められた深さ、例えば略1mmに固定粒子の被覆を有することができる。しかし、有利に、焼結された金属粒子は、特に、円筒上に複数のスプラインとして制限された位置に塗布できる。図示された実施例において、スプラインは、髄内ビームの長さに沿って完全にまたは部分的に延びる。円筒は、有利にカニューレ状であり、他の実施例において、例えば、非円形の断面を有するために直円筒状から外れることがある。
【0024】
髄内ビーム22の主要シャフト部は、商業的に純粋なチタン(CPTi)、コバルトクロムまたはチタン合金、例えば、Ti
6Al
4V(チタン、アルミニウムおよびバナジウム)またはオーステナイト316ステンレス鋼などの周知の手術用インプラント金属を含むことができる。
図3〜
図5および
図7に示される実施例において、ビームは、一般に多角形の断面を有し、
図6において、ビームは円筒状である。かかる実施例において、ビームは、以下に述べるように、穿孔、穴の準備および挿入中のビームの案内のために有用な中央開口31でカニューレ処置される。
【0025】
ビームのシャフトが細長の固体を含み、多孔性金属形成物が外面に提供されるが、これを達成できる方法は幾つかある。例えば、
図3において、多孔性金属は、ビーム22の表面に内蔵された軸方向に平行な溝33で機械的に固定される。溝33は、断面が台形であるが、長方形のチャネルであってもよい。
図3および
図4において、ビーム22の断面は五角形である。
図5において、ビームは六角形の断面で示されており、
図7において、断面は長方形である。かかる実施例において、多孔性金属形成物は、ビームまたはシャフト22の外面に固定される。多孔性形成物は、面積がより広くまたはより狭く、連続して細長くまたは非連続的に、規則的または非規則的にサイズ設定され離隔することが可能である。多孔性領域の位置は、例えば、選択的取付けを得るために選択できる。かかる場合、多孔性領域は、一部縦方向の移動を可能にするために多孔性領域間の滑らかな空間を残し、且つビーム22が固定されて取付けられる骨の皮質組織に相当するよう位置することができる。直円筒状ビームの配列において、回転移動ができるようにすることは可能である。しかし、図示された実施例は、回転安定性のために配列されている。
【0026】
溝33は、五角形の断面の他のすべての面(face)またはファセット上に提供され、そのため、4つの多孔性金属形成物24を提供している。同様の溝33は、計8つのファセット上に配置されるか、代案として、より少ない溝は、例えば、2つの正反対のファセットで使用できる。
図4は代案の実施例を示しており、多孔性金属形成物は、ファセットの代わりに五角形の断面の先端に相当する軸方向スプライン(すなわち、隣接面が接する縦方向の線)である。
図4〜
図6において、多孔性金属は、外面に薄く置かれるように塗布される。
図7は、多孔性物質が隆起スプラインを形成できることを図示している。
図3、
図4および
図7において、形成物またはスプライン24は、縦方向軸と平行である。
図5において、形成物24は、縦方向軸に対して傾くか斜めになっており、
図6において、形成物24は、螺旋状に巻き付けられている。それぞれの場合に、形成物24の多孔性は、網状骨を模倣する。治療の際の骨組織の形成物24への内部成長は、安全な構造的連結および回転安定性に寄与し、各骨は、ビーム24に沿って指定された位置で永久に固定される。一時的または永久的な横断ねじまたはピンが考えられるが(図示せず)、形成物24を有する骨の強固な内部成長は、同様の効果を奏する。
【0027】
記載のとおり、中足骨、楔状骨、舟状骨および距骨を有する内側カラムにおいて、ヒト中足部の関節固定のための髄内支持物は、実質的に中足部の複数の骨にわたる長さ、好ましくは、末節骨から3分の1〜3分の2まで、また好ましくは、距骨の半分にわたる長さを有する細長いビーム22を含む。ビームは、外面を備えたシャフト、および外面の全部または一部に提供される場合に、少なくとも一つの多孔性金属形成物24を含む。多孔性金属形成物24は、ビームを中足部の複数の骨に構造的に固定するために、骨内成長を許容する。構造的に類似した中足部ビームは、内側および次の外側カラムまたは第1および第3中足部カラムなどの他の中足部カラムに配置され得る。
【0028】
多孔性金属形成物24は、ライトメディカル社製のBIOFOAM物質などの網状骨を模倣するように構成された多孔性チタンを有利に含む。多孔性金属は、多角形の面および/または先端などのシャフトの表面上にスプライン、または縦方向、斜め若しくは螺旋状の領域、または特にビームの端部において環状カラー領域のような一つ以上の特別な形成物を含むことができる。
【0029】
ヒト中足部の陥没した内側カラムの手術用治療のための関連方法における例示的なステップは、
図9〜
図11に図示されている。
図9に示される初期のステップは、切開(骨のみ図示)を介して接近を得た後、 内側中足骨から第2中節骨(基節骨)を下部に脱臼させて内側中足骨の遠位端部を露出する。(キルシュナー鋼線またはK鋼線として知られている)薄く堅いロッド44は、骨を原位置で固定する間、それぞれの骨から次の骨に前進する。キルシュナー鋼線は、マーカー(marker)、一時固定器およびガイドの機能をする。キルシュナー鋼線は、経路の端部を見つけ、経路の長さを測定し、骨の配置に気をつけることを含み、経路が形成され、蛍光透視表示により確認できるようにする。カニューレ型手術用ドリル42は、キルシュナー鋼線に沿って縦方向の穴を穿孔または拡孔して支持カラム22を収容するために、キルシュナー鋼線上に作用する。有利に、経路は、中足骨の縦方向の中央に沿って楔状骨と舟状骨を通過し内側カラムの距骨につながる。
【0030】
図9〜
図11に示されてはいないものの、シャルコー中足部変形を治療するためには、骨の面が互いに直接接する強固な複合内側カラム構造を形成するために、内側カラムの骨の一部を切開するおよび/またはウェッジまたはスペーサを挿入することが必要であるまたは好ましい。すべての場合に求められるわけではないが、内側カラムの2つ以上の骨にわたり、また骨の任意のウェッジ若しくはスペーサ、同種移植片若しくは他の物質にわたりブリッジに固定された外部固定器または板(図示せず)などの補足的支持構造を含むことが好ましく、その板はねじで固定できる。
【0031】
(整列された)内側カラムを介した穿孔は、例えば、距骨の厚さの3分の1から3分の2まで距骨内に向かい、一般に、内側カラムの縦方向軸と同じ空間にあり、距骨内に固定された直線の細長い穴を形成する。有利に、キルシュナーガイドロッド44は、カニューレ型手術用ドリル42をガイドするために原位置に置かれる。拡孔された穴は、髄内ビーム22の小径と一致するようにサイズ設定される。ビーム22は、
図11に示すように挿入され、好ましくは、圧入されることにより整列されている内側カラムを永久に固定する。ビーム22は、穴を通過して内側カラムにのびて距骨内で終端する細長い髄内支持物である。髄内支持部は、上述され
図2〜
図6に示されているように、シャフトの外面上に少なくとも一つの多孔性金属形成物を含む。指骨の脱臼は治療され、切開は閉鎖される。治療期間中に内側カラムが移動しないようにした後、多孔性金属形成物が内側カラムの骨からの骨内成長、多孔性物質24への骨内成長、および骨の硬化を引き起こすことは、内側カラムを形成し単一構造に融合する。
【0032】
図3〜
図6を再度参照すると、髄内ビームまたはシャフト22を形成するステップは、ビーム22の表面上に多孔性金属形成物24を配置するステップを含む。ビームは円筒状であってもよく、多孔性金属で完全に被覆されることもあるが、多孔性金属形成物24が周囲の骨組織に提示される、ビーム22の外面上に縦方向の長さにわたって延びる細長いスプラインおよび/または環状の円筒状(または多角形状)表面領域を提供することは有利である。多孔性金属形成物自体は、骨内成長のためにビームの外面に露出しても、ビーム22の表面と同じ高さの縦方向の帯状に配列され得る。代案として、多孔性金属形成物は、シャフトの表面から放射状に突出するスプラインを提供することができる。スプラインは、好ましくは、縦方向に連続するだけでなく、離隔したギャップと不連続であり得る。
【0033】
図12〜
図14は、多孔性金属形成物がビーム22を囲んで縦方向の距離に沿って延びる代案の実施例を図示している。
図12において、ビーム22の端部には、滑らかなシャフト部53よりも大きい直径を有する多孔性金属形成物52が提供される。より大きな直径の端部は、距骨および末節骨内に強制的に嵌合される。2つの部分52は、同じ直径と長さおよび異なる直径と長さであってもよい。好ましくは、端部52は、シャフト53よりもわずかに直径が大きく、その差は、図面で誇張されている。
図13において、多孔性金属形成物54は、中間シャフト53と実質的に同じ直径である。
【0034】
図12〜
図14のように、中央長さ53が滑らか且つ円筒状である実施例において、中央長さでの骨のために回転移動する多少の自由がある。円筒状の中央長さ53を除き滑らかな表面は、骨が縦方向に移動する多少の自由を提供する。しかし、
図3〜
図7に示される実施例において、多孔性金属形成物は、ビームまたはシャフト22の外面の最上部または外面に内蔵された複数のスプラインで構成される。ビームまたはシャフト22は、角を有し離隔した先端または頂点で結合する細長い面を規定する多角形の断面を有し、多孔性金属のスプライン24は、面または先端/頂点に沿って縦方向であってもよい。または、代案として、スプライン24は、斜めであっても傾いていてもよい。かかる配列は、整列された連続した骨を固定する能力だけでなく、回転安定性にも寄与する。
【0035】
記載されているような多孔性金属配列は、図面に示された金属の単純な長さの他に、ビームまたは釘の形で用いられ得る。例えば、記載されているような一つ以上の多孔性形成物は、圧縮ねじ、特に両端部の間の圧縮ねじの滑らかなシャフト部品の一部にわたり提供されてもよく、そのいずれかまたは両方がねじ式であってもよい。
【0036】
本発明は、発明対象の例示を意図された多くの代案とともに開示されている。しかし、本発明は、例として開示された実施例に限定されない。独占の権利が主張される本発明の範囲を評価するために、前述の例ではなく、別添の請求項が参照されるべきである。