特許第6228321号(P6228321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228321磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228321
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/28 20060101AFI20171030BHJP
   B61H 7/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G01L5/28 Z
   B61H7/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-561363(P2016-561363)
(86)(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公表番号】特表2017-524895(P2017-524895A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】CN2015079335
(87)【国際公開番号】WO2016127520
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】201510073144.4
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201520093103.7
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222673
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲車▼▲輛▼研究所有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG ROLLING STOCK RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李祥瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼帆
(72)【発明者】
【氏名】▲赤▼保磊
(72)【発明者】
【氏名】王明星
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼磊
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−059271(JP,U)
【文献】 実開昭48−037670(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0049936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00, 5/28
G01M 17/08
G01R 33/12
B61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製のレールと、力測定用レールブロックと、案内溝と、弾性力測定装置と、引張機とを備えた磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置であって、前記鋼製のレールは分割された鋼製のレールから成り、前記磁気トラックブレーキの磁極は前記鋼製のレールのレール面に配置され、前記案内溝は溝体と、カバー板と、制限板とを含み、前記溝体は前記分割された鋼製のレールの間に垂直方向に設けられ、前記カバー板は前記溝体の前側に取外し可能に取り付けられ、前記制限板は前記溝体の内壁に固定され、前記力測定用レールブロックおよび前記弾性力測定装置は両方とも前記溝体の内部に位置し、前記力測定用レールブロックは前記制限板より上に取り付けられ、前記磁極が前記鋼製のレールの前記レール面上に配置されていないときには、前記力測定用レールブロックの下端が前記制限板の上端と接触しており、前記磁極が配置されると、前記力測定用レールブロックの上端が前記鋼製のレールの上面と面一になり、かつ前記磁極上で吸着され、前記力測定用レールブロックの前記下端は前記制限板から離れ、前記弾性力測定装置は前記制限板より下に取り付けられ、前記力測定用レールブロックは中間接続ロッドを介して前記弾性力測定装置に接続され、前記弾性力測定装置の下端は引張機に接続され、前記引張機は、前記弾性力測定装置および前記力測定用レールブロックを前記溝体の前記内壁に沿って垂直方向に移動させるように、さかさまに引っ張る、磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【請求項2】
前記溝体は、両側を鋼製のレールに固定された外壁と平滑表面として設けられた内壁とを有する矩形の溝体である、請求項1に記載の磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【請求項3】
潤滑グリースを貯蔵する複数の孔が前記カバー板および前記溝体の前記内壁に分散して配置された、請求項1または2に記載の磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【請求項4】
前記溝体の前記内壁の四隅にはそれぞれに1つの制限板が取り付けられ、前記制限板には、前記力測定用レールブロックによって発生する前記制限板上への衝突を緩衝するための軟質ライナーが取り付けられた、請求項1に記載の磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【請求項5】
前記カバー板、前記溝体、および前記接続ロッドは全て非磁性材料から作られる、請求項1に記載の磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【請求項6】
前記弾性力測定装置は矩形の弾性ブロックを採用し、当該弾性ブロックの中に引張力を測定するための力測定センサが設けられる、請求項1に記載の磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、磁気トラックブレーキの技術分野に関し、特に磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速列車、地下鉄、および軽量レールのような輸送手段の急速な発展に伴い、輸送手段のブレーキ系統における必要不可欠なブレーキ部品として、磁気トラックブレーキも迅速に開発され適用されている。電磁吸引力は磁気トラックブレーキの主要な技術的指標でありその性能は、列車の磁気トラックブレーキによって発生する制動力の大きさに直接影響する。したがって、磁気トラックブレーキの電磁吸引力の高効率の正確な測定は、磁気トラックブレーキの開発および列車制動安全性にとって非常に重要である。
【0003】
現在、磁気トラックブレーキの電磁吸引力を測定するために多くの方法が存在する。従来の測定方法は、磁極がレールから完全に離れるように引張機で磁気トラックブレーキの両側を直接引っ張ることであり、次いで磁力の大きさを得ることができる。この測定方法は簡便であるが、磁気トラックブレーキの両端に加えられる力が不均等になると、接触面の一端が容易に外れ、それは試験結果に影響を及ぼし、あるいは磁力試験の失敗をまねくことになる。
【0004】
特許文献1は、電磁ブレーキ用の検出装置を開示している。制動ばねとばね板との間の制動ばねの復元力を検出するためのダイナモメータを設けることによって、制動ばねはブレーキアームをブレーキホイール側に向かって付勢し、ブレーキアームにはブレーキシューが取り付けられており、ばね板は制動ばねを圧縮変形された状態に維持し、判定部は、ダイナモメータの出力に基づいて、電磁ブレーキの制動力が所定の正常範囲を超えるか否かを判定する。この検出装置は制動ばねの復元力を測定することによって制動力を測定することが明らかである。この測定方法はエレベータの制動力を測定するのに適しており、それは電磁ブレーキ用の検出装置であり、磁気トラックブレーキの電磁吸引力を試験するには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許第201080055887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的は、磁気トラックブレーキ(軌道ブレーキ)の電磁吸引力を高効率で正確に測定し、かつ列車走行制動の信頼性および安全性を確保することのできる、磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の技術的解決策は、鋼製のレール、力測定用レールブロック、案内溝、弾性力測定装置、および引張機を備えた、磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置であり、ここで鋼製のレールは分割された鋼製のレールから成り、磁気トラックブレーキの磁極は鋼製のレールのレール表面に配置され、案内溝は溝体、カバー板および制限板を含み、溝体は分割された鋼製のレールの間に垂直方向に設けられ、カバー板は溝体の前側に取外し可能に取り付けられ、
【0008】
制限板は溝体の内壁に固定され、力測定用レールブロックおよび弾性力測定装置は両方とも溝体内部に位置し、力測定用レールブロックは制限板より上に取り付けられ、磁極が鋼製のレール上に配置されていないときには、力測定用レールブロックの下端は制限板の上端と接触し、磁極が配置されると、力測定用レールブロックの上端は鋼製のレールの上面と面一になり、かつ磁極上に吸着され、力測定用レールブロックの下端は制限板から離れ、
【0009】
弾性力測定装置は制限板より下に取り付けられ、力測定用レールブロックは中間接続ロッドを介して弾性力測定装置に接続され、弾性力測定装置の下端は引張機に接続され、引張機は弾性力測定装置および力測定用レールブロックを溝体の内壁に沿って垂直方向に移動させるようにさかさまに引っ張る。
【0010】
さらに、測定精度を確保するために、溝体は、両側を鋼製のレールに固定された外壁と平滑表面としてセットされた内壁とを有する矩形の溝体である。
【0011】
さらに、力測定用レールブロックと溝体の内壁との間の摩擦、および弾性力測定装置と溝体の内壁との間の摩擦を低減するために、中に潤滑グリースを貯蔵する複数の孔がカバー板および溝体の内壁に分散配置される。
【0012】
さらに、溝体の内壁の四隅にはそれぞれに1つの制限板が取り付けられ、制限板には、力測定用レールブロックによって発生する制限への衝突を緩衝するための軟質ライナーが取り付けられる。
【0013】
さらに、力測定用レールブロックに加えられる磁極の吸引力に溝体、カバー板、および接続ロッドが影響を及ぼすのを防止するために、溝体、カバー板、および接続ロッドは全て非磁性材料から作られる。
【0014】
さらに、力測定用レールブロックに加えられる引張力が確実に均一に変化するために、弾性力測定装置は緩衝および力測定機能を持つ矩形の弾性ブロックを採用し、引張力を測定するための力測定センサは弾性ブロックに設けられる。
【0015】
先行技術と比較して、本願は以下の有利な効果を有する。
1)従来の力測定装置と比べて、吸引力試験装置は構造が単純であり、かつ力試験に便利である。また、それは、接触面の一端が容易に外れることによる、不正確な試験結果または従来の試験中の力試験の失敗を防止する。
2)力試験結果の正確さを確実にするために、カバー板、溝体、および接続ロッドは全て非磁性材料から作られ、力試験プロセスが運動摩擦によって影響されることを防止するために、溝体の内面は平滑表面としてセットされ、中に潤滑グリースを貯蔵する複数の孔がカバー板および溝体の内壁に分散配置される。
3)実際の力測定中に、電磁吸引力を測定するために単位長さの力測定用レールブロックを選択することができ、単位長さの測定用レールブロックの長さと電磁吸引力との間の関係に従って、任意の長さの力測定用レールブロックの電磁吸引力を得ることができる。この測定方法は、磁気トラックブレーキ(軌道ブレーキ)の電磁吸引力を試験するための試験領域を大幅に低減し、鋼製のレールの試験表面に対する磁気トラックブレーキの電磁吸引力の大きさの感応性を低下させることができ、測定結果は正確でありかつ安定している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願の構造図(I)である。
図2】本願の構造図(II)である。
図3】案内溝の構造図(I)である。
図4】案内溝の構造図(I)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図中、1は鋼製のレール、2は力測定用レールブロック、3は案内溝、4は弾性力測定装置、5は引張機、6は溝体、7はカバー板、8は軟質ライナー、9は制限板、10はレール面、11は中間接続ロッド、12は接続ロッドである。
【0018】
本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本願の実施形態の技術的解決策を本願の実施形態の図面に関連して明確かつ完全に説明する。本書に記載する実施形態が本願の全ての実施形態ではなく、一部にすぎないことは明らかである。本願の実施形態に基づいて、何ら創造的努力を払うことなく当業者によって得られる他の実施形態はいずれも、本願の保護範囲内に含まれるものとする。
実施形態1
【0019】
図1および図2を参照すると、それらは鋼製のレール1と、力測定用レールブロック2と、案内溝3と、弾性力測定装置4と、引張機5とを備えた、磁気トラックブレーキの電磁吸引力用試験装置を示しており、ここで鋼製のレール1は、案内溝3を取り付けるための間隙を間に備えた分割された鋼製のレールから成り、磁気トラックブレーキの磁極は鋼製のレール1のレール面10に配置される。
【0020】
図3および図4は、分割された鋼製のレールの間の間隙に垂直に設けられ、かつ両側を鋼製のレール1に固定された、案内溝3の構造図である。案内溝3は溝体6と、カバー板7と、制限板とを含む。溝体6は、鋼製のレール1に両側を固定された外壁と、平滑表面としてセットされた内壁とを有する、矩形の溝体である。制限板は溝体6の内壁に固定される。加えて、溝体6の内壁の四隅にはそれぞれに1つの制限板が取り付けられ、制限板には、力測定用レールブロック2によって発生する制限板9への衝突を緩衝するための軟質ライナー8が取り付けられる。
【0021】
力測定用レールブロック2は溝体6の内部に位置し、制限板より上に取り付けられ、力測定用レールブロック2は制限板より上で溝体6の内壁に沿って垂直方向に移動する。磁極が配置されていないときには、力測定用レールブロック2の下端は、制限板の上端で軟質ライナー8と接触する。磁極が配置されると、力測定用レールブロック2は吸引力により制限板から外れるので、力測定用レールブロック2の上端は鋼製のレール1の上面と面一になり、磁極に吸着され、力測定用レールブロック2の下端は制限板から離れる。
【0022】
弾性力測定装置4は溝体6の内部に位置し、制限板より下に取り付けられ、弾性力測定装置4は制限板より下で溝体6の内壁に沿って垂直方向に移動する。弾性力測定装置4の上端は中間接続ロッド11を介して力測定用レールブロック2に接続され、弾性力測定装置4の下端は第2接続ロッド12を介して引張機5に接続され、引張機5は弾性力測定装置4および力測定用レールブロック2を引っ張って、溝体6の内壁に沿って垂直方向に移動させる。
【0023】
カバー板7は、溝体6の前側に取外し可能に取り付けられる。磁極と力測定用レールブロック2との間の吸引力に影響を及ぼさないために、カバー板、溝体6、および接続ロッドは全て非磁性材料から作られる。溝体6の内壁に沿って移動する力測定用レールブロック2および弾性力測定装置4の摩擦を低減するために、中に潤滑グリースを貯蔵する複数の孔がカバー板および溝体6の内壁に分散配置される。
【0024】
弾性力測定装置4は矩形の弾性ブロックを採用し、それを介して、力測定用レールブロック2に加えられる引張力は均一に変化することが確保され、引張力を測定するための力測定センサはその中に設けられる。
【0025】
吸引力試験装置の作業プロセスは次の通りである。
測定中に、所定の長さの鋼製のレールが選択され、磁気トラックブレーキの磁極は鋼製のレール1のレール面10に配置される。磁極の吸引力により、力測定用レールブロック2の下端は制限板9から離れ、力測定用レールブロック2の上端は磁気トラックブレーキの磁極上に吸着される。
【0026】
引張機5が始動し、それを介して、下向きの引張力が弾性力測定装置4に加えられるので、該装置は溝体6の内壁に沿って垂直方向下向きに移動し、下向き引張力を力測定用レールブロック2に伝達する。弾性力測定装置4は下向きに移動し続け、力測定用レールブロック2に加えられる引張力は増加し続ける。力測定用レールブロック2に加えられる引張力が磁極の吸引力と同等になると、力測定用レールブロック2は磁極から外れる。弾性力測定装置4の力測定センサは最大引張力を収集して出力し、そのときにプレスの値は力測定用レールブロック2に加えられる磁極の電磁吸引力と同等である。
【0027】
実際の測定中に、電磁吸引力を測定するために単位長さの力測定用レールブロック2を選択することができ、任意の長さの力測定用レールブロック2の電磁吸引力は、単位長さの測定用レールブロック2の長さと電磁吸引力との間の関係に従って得ることができることを、当業者は理解されるであろう。この測定方法は、磁気トラックブレーキの電磁吸引力を試験するための試験領域を大幅に低減し、鋼製のレールの試験表面に対する磁気トラックブレーキの電磁吸引力の大きさの感応性を低下させることができ、測定結果は正確でありかつ安定している。
【0028】
図面は単に好適な実施形態の図にすぎず、図中の作業の流れは必ずしも本願に必須ではないことを、当業者は理解されるであろう。
【0029】
最後に記しておくが、上記の実施形態は本発明を限定するものではなく、単に本願の技術的解決策を説明するために使用しただけである。本願について上記の実施形態に関連して詳細に説明したが、修正または同等の置換により対応する技術的解決策の本質を本願の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱させることなく、上記実施形態に記載した技術的解決策になお修正を加えることができ、あるいはその中の技術的特徴の一部分を同等に置換することができることを、当業者は理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4