(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6228342
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】台襟付きシャツの襟の形状保持具
(51)【国際特許分類】
A41B 3/18 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
A41B3/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-117532(P2017-117532)
(22)【出願日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-28685(P2017-28685)
(32)【優先日】2017年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507358066
【氏名又は名称】森田 久美代
(72)【発明者】
【氏名】森田 久美代
【審査官】
田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−095215(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02800576(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 3/18, 7/12
B65D 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台襟付きシャツの襟の形状を保持するために、前記台襟付きシャツの台襟と襟羽との間に挿入して使用されるものであって、
シート状の素材からなる台襟部と襟羽部とを備え、
前記台襟部は左右に細長く、前記台襟付きシャツの台襟に沿うように、前記台襟部の中央部から左右両端部に向けて下方に傾斜し、前記台襟部の左右両端部は連結手段により連結され、
前記襟羽部は、前記台襟部の左右両側付近の上端から、左右それぞれ上方向に突出し、前記台襟付きシャツの襟先の周縁より大きくなるように延設されていて、前記台襟部と前記襟羽部との境目で外側に折り曲げられていることを特徴とする台襟付きシャツの襟の形状保持具。
【請求項2】
前記襟羽部の表面又は裏面には、複数の襟の形状を描いた切り取り線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の台襟付きシャツの襟の形状保持具。
【請求項3】
前記台襟部の下部には、前記台襟部の巾を調節するために、前記台襟部の下端と略平行の1又は複数の切り取り線が設けられていること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の台襟付きシャツの襟の形状保持具。
【請求項4】
環状に連結された前記台襟部の背面中央部が分離され、該分離された部分が、長さ調節が可能な連結手段により連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の台襟付きシャツの襟の形状保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台襟付きシャツの襟の形状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台襟付きシャツの襟の形状を保持するためには、シャツの襟の内側に装着し、シャツを立体的に保持するネックサポーターや、シャツの襟の前中央部に装着し、襟がつぶれないようにする蝶キーパー等、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1は、ワイシャツ等のシャツに簡易に装着でき、且つ該シャツの襟部を良好な外観に保持して陳列できる襟保形体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−167359公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で示される襟保形体などは、主に陳列用であるため、襟保形体が目立たないようになっており、シャツの襟先までしっかりと保形できていない。例えば、家庭において、特許文献1の襟保形体をワイシャツに装着し、ハンガーに吊るして洋服ダンスに収納した場合、ハンガーに吊るされた他の衣類に挟まれて、ワイシャツの襟先が潰れてしまうことがある。
【0005】
従って本発明の目的は、台襟付きシャツの台襟及び襟羽を立体的に保持し、特に台襟付きシャツの襟先の型崩れを防止することができる、台襟付きシャツの襟の形状保持具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具は、台襟付きシャツの襟の形状を保持するために、台襟付きシャツの台襟と襟羽との間に挿入して使用されるものであって、シート状の素材からなる台襟部と襟羽部とを備える。
台襟部は左右に細長く
、台襟付きシャツの台襟に沿うように、台襟部の中央部から左右両端部に向けて下方に傾
斜し、台襟部の左右両端部は連結手段により連結され、
襟羽部は
、台襟部の左右両側付近の上端から、左右それぞれ上方向に突出し、台襟付きシャツの襟先の周縁より大きくなるように延設されていて、台襟部と襟羽部との境目で外側に折り曲げられている。
【0007】
台襟部は、台襟付きシャツの台襟の部分の形状を保持し、襟羽部は、台襟付きシャツの襟羽の部分を下部から支えて、襟羽の形状を立体的に保持することができる。台襟部を
、台襟付きシャツの台襟に沿うように、台襟部の中央部から左右両端部に向けて下方に傾斜させて連結手段により連結することにより、台襟付きシャツの襟の形状保持具を、台襟付きシャツの襟の形状に合わせることができる。また襟羽部は、台襟付きシャツの襟先よりも大きく形成されているので、襟先の型崩れを防止することができる。
【0008】
また、好ましくは、襟羽部の表面又は裏面には、複数の襟の形状を描いた切り取り線が設けられている。
【0009】
襟羽部を、多種類の台襟付きシャツの襟の形状に合うような大きさに形成しておき、襟羽部の表面又は裏面に、複数の襟の形状を描いた切り取り線を設けておけば、使用者が好みの台襟付きシャツの襟の形状に合わせて、襟羽部に設けられた任意の切り取り線を切れば、多種類の台襟付きシャツに使用することができる。これにより、製品の種類を押さえることができるので、製造コストの削減や在庫の削減になる。
【0010】
また、好ましくは、台襟部の下部には、台襟部の巾を調節するために、台襟部の下端と略平行の1又は複数の切り取り線が設けられている
【0011】
台襟部の巾を広く形成しておき、台襟部の下部に設けられた切り取り線に沿って、台襟部の下部を切り取れば、台襟部の巾を好みの台襟付きシャツの台襟の巾に合わせることができる。また、これにより製品の種類を押さえることができるので、製造コストの削減や在庫の削減になる。
【0012】
また、好ましくは、環状に連結された台襟部の背面中央部が分離され、該分離された部分が、長さ調節が可能な連結手段により連結されている。
【0013】
台襟部に長さ調節が可能な連結手段を設けることにより、台襟付きシャツの首回りに合わせて台襟部の長さを調節することができる。また、これにより製品の種類を押さえることができるので、製造コストの削減や在庫の削減になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、台襟付きシャツの台襟及び襟羽を立体的に保持し、特に台襟付きシャツの襟先の型崩れを防止することができる、台襟付きシャツの襟の形状保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の使用例を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の展開図である。
【
図4】
図3に示した第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1を環状に連結した状態を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具2の展開図(表面)である。
【
図6】第2実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具2の展開図(裏面)である。
【
図7】第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1を背面中央で分離した状態を示す背面図である。
【
図8】第3実施形態の実施例1に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Aの連結部を示した背面図である。
【
図9】第3実施形態の実施例1に係る台襟部31Aを連結した状態を示す背面図である。
【
図10】第3実施形態の実施例2に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Bの連結部を示した背面図である。
【
図11】第3実施形態の実施例2に係る台襟部31Bを連結した状態を示す背面図である。
【
図12】第3実施形態の実施例3に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Cの連結部を示した斜視図である。
【
図13】第4実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具4の斜視図である。
【
図14】第4実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具4の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について、図を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の使用例を示す斜視図である。台襟付きシャツの襟の形状保持具1は、台襟付きシャツ9の襟の形状を保持するために、台襟付きシャツ9の台襟5と襟羽6との間に挿入されるもので、合成樹脂製のシート状の素材からなり、台襟部11と襟羽部12とで構成されている。
【0017】
図3は、台襟付きシャツの襟の形状保持具1の展開図である。
図3に示すように、台襟部11は、台襟付きシャツ9の台襟5と略同じ形で、左右に細長い。襟羽部12は、台襟部11の左右両側付近の上端から、蝶が羽を広げたような形状で左右それぞれ上方向に突出し、かつ、台襟付きシャツ9の襟先7の周縁よりも大きくなるように延設されている。
【0018】
図4は、
図3に示した第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1を環状に連結した状態を示す斜視図である。
図4に示すように、台襟部11は、台襟付きシャツ9の台襟5に沿うよう
に、台襟部11の中央部から左右両端部に向けて下方に傾斜させ
、台襟部11の左右両端部は、溶着により連結されている。この状態においては、襟羽
部12の一部は重なっている。
【0019】
図1に示すように、襟羽部12は、台襟部11と襟羽部12との境目である点線Aで外側に折り曲げられている。
【0020】
台襟付きシャツの襟の形状保持具1は、折り畳んだ状態の台襟付きシャツ9でも、ハンガーに吊るした状態の台襟付きシャツ9でも使用できる。台襟部11は、台襟付きシャツ9の台襟5の形状を保持し、襟羽部12は、台襟付きシャツ9の襟先7の周縁より大きいので、襟羽6を下部から支え、特に襟先7の形状を保持することができる。
【0021】
なお、シート状の素材は、合成樹脂製に限らず、紙製でもよい。また、台襟部11の左右両端部の連結手段は溶着に限らず、接着、両面テープでもよく、面テープ等の着脱可能な留め具で連結してもよい。
【0022】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具2の展開図(表面)で、
図6は、第2実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具2の展開図(裏面)である。第2実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具2は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1と略同じ構成であるが、台襟部11と襟羽部12とに切り取り線が設けられている点に特徴がある。その他の構成及び効果は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0023】
図5に示すように、台襟部の表面21aの下部には、台襟部21の巾を調整するために、台襟部21の下端と略平行の切り取り線24が設けられている。なお、第2実施形態においては、1つの切り取り線24が設けられているが、複数設けてもよい。
【0024】
また、襟羽部22は、多種類の襟の形状に対応できるように、襟羽部12よりも大きく形成し、
図6に示すように、襟羽部の裏面22bには、台襟付きシャツの襟の形状を示す複数の切り取り線25が設けられている。なお、切り取り線25をわかりやすくする示すために、襟の形の種類ごとに、切り取り線25の色を変えてもよい。
襟羽部22は、台襟部21aと襟羽部22aの境目である点線Bで外側に折り曲げられている。
【0025】
台襟部21に切り取り線24が設けられているので、台襟付きシャツの台襟5の巾に合わせて、台襟部21の下部の切り取り線24を切り取ることにより、台襟付きシャツの台襟5の巾と台襟部21の巾とを合わせることができる。また、襟羽部22に切り取り線25が設けられているので、台襟付きシャツの襟羽6の形状に合わせて襟羽部22を切り取れば、好みの襟羽6の形状に、襟羽部22の形状を合わせることができる。これにより、台襟付きシャツの襟の形状保持具を台襟5の巾や襟羽6の形状ごとに製造する必要がなく、製造コストの削減と在庫の削減になる。
【0026】
なお、切り取り線24、25は、台襟部21及び襟羽部22の表面又は裏面のどちら側に設けてもよい。
【0027】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図7は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1を背面中央で分離した状態を示す斜視図である。第3実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1と略同じ構成であるが、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の背面中央部が分離され、該分離された部分が、台襟部31の長さ調節が可能となる連結手段により連結されている点に特徴がある。その他の構成及び効果は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0028】
(実施例1)
図8は、第3実施形態の実施例1に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Aの連結部を示した背面図である。
図8に示すように、台襟付きシャツの襟の形状保持具3Aは、第1実施形態に係る台襟部11の背面中央が分離され、該分離された部分に、左右対称の舌片状の挿入片34a、34bと、挿入片34a、34bを挿入するための複数の挿入孔35a、35bが設けられている。
【0029】
挿入片34a、34bは、それぞれの先端が台襟部31Aの正面中央に向き、舌片状に切込みが設けられている。複数の挿入孔35a、35bは、挿入片34a、34bの近傍で、台襟部31Aの正面中央側に並設されている。
【0030】
図9は、第3実施形態の実施例1に係る台襟部31Aを連結した状態を示す斜視図である。
図9に示すように、挿入片34aを、任意の挿入孔35bに挿入し、挿入片34bを、対応する挿入孔35aに挿入することにより、台襟部31Aを首回りに合った長さに調節して連結することができる。これにより、製品の種類を押さえることができるので、製造コストの削減や在庫の削減になる。
【0031】
(実施例2)
図10は、第3実施形態の実施例2に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Bの連結部を示した背面図である。
図10に示すように、第3実施形態の実施例2に係る台襟部31Bは、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1の背面中央が分離され、該分離された一方の端部には突出片36が設けられ、他方の端部には、突出片36を挿入するための複数の挿入孔37が設けられている。
【0032】
図11は、第3実施形態の実施例2に係る台襟部31Bを連結した状態を示す背面図である。
図11に示すように、台襟部31Bに設けられた突出片36を、任意の挿入孔37に挿入することにより、台襟部31Bの長さを、台襟付きシャツの首回りに合った長さに調節することができる。これにより、製品の種類を押さえることができるので、製造コストの削減や在庫の削減にもなる。
【0033】
(実施例3)
図12は、第3実施形態の実施例3に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具3Cの連結部を示した斜視図である。
図12に示すように、分離した台襟部31の両端部に面テープ38を設け、面テープ38の貼り合わせる位置を変えることにより、台襟部の長さを調節することができる。
【0034】
なお、台襟部31の背面中央の分離された部分の連結手段は、上記実施例に限らず、台襟部31の長さ調節が可能であればよい。
【0035】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図13は、第4実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具4の斜視図である。台襟付きシャツの襟の形状保持具4は、第1実施形態に係る台襟付きシャツの襟の形状保持具1と略同じ構成であるが、第1実施形態に係る台襟部11の連結部に、切り欠き部43が設けられている点に特徴がある。その他の構成及び効果は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0036】
図13に示すように、台襟部41の連結部に下側より切り欠き部43が設けられている。
図14は、台襟付きシャツの襟の形状保持具4の使用状態を示す斜視図である。台襟付きシャツ4の台襟5に台襟釦8がある場合には、切り欠き部43を台襟釦8に係止させれば、台襟付きシャツの襟の形状保持具4を、台襟付きシャツ4にしっかりと固定することができる。
【0037】
なお、第4実施形態において、切り欠き部43は、連結部の中央の下側に設けられているが、連結部の中央の上側より設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1、2、3A、3B、3C、4:台襟付きシャツの襟の形状保持具
5:台襟
6:襟羽
7:襟先
8:台襟釦
9:台襟付きシャツ
11、21、31A、31B、31C、41:台襟部
12、22:襟羽部
21a:台襟部の表面
21b:台襟部の裏面
22a:襟羽部の表面
22b:襟羽部の裏面
24、25:切り取り線
31a:台襟部の表面
31b:台襟部の裏面
34a、34b:挿入片
35a、35b:挿入孔
36:突出片
37:挿入孔
38:面テープ
43:切り欠き部
【要約】
【課題】台襟付きシャツの台襟及び襟羽を型崩れしないように立体的に支え、かつ、襟先の形状を保持することができる、台襟付きシャツの襟の形状保持具を提供する。
【解決手段】シート状の素材からなる台襟部11と襟羽部12とを備え、台襟部11は左右に細長く
、台襟付きシャツ9の台襟5に沿うように、台襟部11の中央部から左右両端部に向けて下方に傾
斜し、台襟部11の左右両端部は、連結手段により連結さ
れている。襟羽部12は
、台襟部11の左右両側付近の上端から、左右それぞれ上方向に突出し、台襟付きシャツ9の襟先7の周縁よりも大きくなるように延設されていて、台襟部11と襟羽部12との境目で外側に折り曲げられている。
【選択図】
図1