特許第6228375号(P6228375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228375
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ロック装置およびリム
(51)【国際特許分類】
   B60B 25/16 20060101AFI20171030BHJP
   B60B 21/00 20060101ALI20171030BHJP
   B60B 21/02 20060101ALI20171030BHJP
   B60B 25/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B60B25/16
   B60B21/00 Q
   B60B21/02 H
   B60B25/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-55334(P2013-55334)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-180902(P2014-180902A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 晃
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−169003(JP,U)
【文献】 実開昭62−082802(JP,U)
【文献】 特開2006−335089(JP,A)
【文献】 実開昭62−006112(JP,U)
【文献】 特開昭58−139801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 25/16
B60B 21/00
B60B 21/02
B60B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが装着され該タイヤのビード部を径方向の内側から支持するベース部、および該ベース部に外嵌され前記ビード部をリム軸方向の外側から支持するフランジ部を有するリム本体に装着され、前記ベース部と前記フランジ部との周方向に沿った相対的な移動を規制するロック装置であって、
前記ベース部および前記フランジ部をリム軸方向の外側から覆う本体環部を備え、
該本体環部においてリム軸方向の内側を向く内側面には、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第1外凹凸部および第2外凹凸部がそれぞれ、当該本体環部と一体に設けられ、
前記第1外凹凸部は、前記フランジ部においてリム軸方向の外側を向く外側面に、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第1内凹凸部と係合し合うことで、当該本体環部と前記フランジ部との周方向に沿った相対的な移動を規制し、
前記第2外凹凸部は、前記ベース部においてリム軸方向の外側を向く外側面に、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第2内凹凸部と係合し合うことで、当該本体環部と前記ベース部との周方向に沿った相対的な移動を規制し、
前記第1外凹凸部および前記第2外凹凸部は、互いに径方向に離間して配置され互いに独立し、前記本体環部において内周縁部および外周縁部の間に位置する中間部を回避して設けられ、
前記本体環部の内側面は段状に形成され、内側面のうち、前記第1外凹凸部の凹部が位置する部分は、前記中間部の内側面よりもリム軸方向の内側に位置し、内側面のうち、前記第2外凹凸部の凹部が位置する部分は、前記中間部の内側面よりもリム軸方向の外側に位置することを特徴とするロック装置。
【請求項2】
請求項1記載のロック装置であって、
前記第1外凹凸部および前記第2外凹凸部における前記凹部同士、並びにこれらの両外凹凸部における前記凸部同士はそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されていることを特徴とするロック装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロック装置であって、
前記中間部の内側面は、前記第2外凹凸部の凸部の頂面と面一であることを特徴とするロック装置。
【請求項4】
タイヤが装着され該タイヤのビード部を径方向の内側から支持するベース部、および該ベース部に外嵌され前記ビード部をリム軸方向の外側から支持するフランジ部を有するリム本体と、
請求項1記載のロック装置と、を備えていることを特徴とするリム。
【請求項5】
請求項4記載のリムであって、
前記第1外凹凸部、前記第2外凹凸部、前記第1内凹凸部および前記第2内凹凸部のうちの少なくとも1つにおける前記凹部は、補強部により補強されていることを特徴とするリム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のリムであって、
前記フランジ部は、
前記ベース部に外嵌された筒状部、および該筒状部から径方向の外側に突出する突条部を有するビードシートリングと、
前記筒状部に外嵌されるとともに、前記突条部によりリム軸方向の外側から支持されたサイドリングと、を備え、
前記第1内凹凸部は、前記ビードシートリングに設けられていることを特徴とするリム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置およびリムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、タイヤが装着され該タイヤのビード部を径方向の内側から支持するベース部と、該ベース部に外嵌され前記ビード部をリム軸方向の外側から支持するフランジ部と、を備えるリムが知られている。
ところで一般に、この種のリムとして、前記ベース部および前記フランジ部を有するリム本体と、該リム本体に装着され、ベース部とフランジ部との周方向に沿った相対的な移動を規制するロック装置と、を備える構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−139801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで前記従来のリムでは、例えばタイヤに大入力があり、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときに、リム本体からロック装置が離脱するのを抑えることについて、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、リム本体から離脱するのを効果的に抑えることができるロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るロック装置は、タイヤが装着され該タイヤのビード部を径方向の内側から支持するベース部、および該ベース部に外嵌され前記ビード部をリム軸方向の外側から支持するフランジ部を有するリム本体に装着され、前記ベース部と前記フランジ部との周方向に沿った相対的な移動を規制するロック装置であって、前記ベース部および前記フランジ部をリム軸方向の外側から覆う本体環部を備え、該本体環部においてリム軸方向の内側を向く内側面には、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第1外凹凸部および第2外凹凸部がそれぞれ、当該本体環部と一体に設けられ、前記第1外凹凸部は、前記フランジ部においてリム軸方向の外側を向く外側面に、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第1内凹凸部と係合し合うことで、当該本体環部と前記フランジ部との周方向に沿った相対的な移動を規制し、前記第2外凹凸部は、前記ベース部においてリム軸方向の外側を向く外側面に、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第2内凹凸部と係合し合うことで、当該本体環部と前記ベース部との周方向に沿った相対的な移動を規制し、前記第1外凹凸部および前記第2外凹凸部は、互いに径方向に離間して配置され互いに独立し、前記本体環部において内周縁部および外周縁部の間に位置する中間部を回避して設けられ、前記本体環部の内側面は段状に形成され、内側面のうち、前記第1外凹凸部の凹部が位置する部分は、前記中間部の内側面よりもリム軸方向の内側に位置し、内側面のうち、前記第2外凹凸部の凹部が位置する部分は、前記中間部の内側面よりもリム軸方向の外側に位置することを特徴とする。前記中間部の内側面は、前記第2外凹凸部の凸部の頂面と面一であってもよい。
【0007】
また、本発明に係るリムは、タイヤが装着され該タイヤのビード部を径方向の内側から支持するベース部、および該ベース部に外嵌され前記ビード部をリム軸方向の外側から支持するフランジ部を有するリム本体と、前記ロック装置と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
これらの発明では、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、フランジ部の第1内凹凸部およびロック装置の第1外凹凸部における凸部同士と、ベース部の第2内凹凸部およびロック装置の第2外凹凸部における凸部同士と、がそれぞれ周方向に係合し合い、ロック装置の第1外凹凸部における各凸部、および第2外凹凸部における各凸部に、周方向に沿って互いに反対側を向く力が加えられる。そして、これらの凸部に加えられた力が本体環部に受け止められ、ベース部とフランジ部との周方向に沿った相対的な移動が規制される。
【0009】
以上のように、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、ロック装置の第1外凹凸部および第2外凹凸部における各凸部に力が加えられるので、凸部1つあたりに加えられる力の大きさを小さく抑えることができる。また、これらの凸部に加えられた力が、本体環部に受け止められるので、各凸部に力が集中するのを抑えることができる。
以上より、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときであっても、ロック装置の第1外凹凸部および第2外凹凸部における各凸部に力を確実に受け止めさせることが可能になり、リム本体からロック装置が離脱するのを効果的に抑えることができる。
【0010】
なお、例えばロック装置が、ベース部およびフランジ部における周方向の一部分を、リム軸方向の外側から局所的に覆う本体片部を備え、本体片部に、リム軸方向の外側から複数のボルトが差し込まれ、これらのボルトが、ベース部およびフランジ部に各別に螺着された構成である場合には、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときに、ボルトに力が集中することでボルトが損傷し、リム本体からロック装置が離脱するおそれがある。
また、例えばロック装置が、ベース部およびフランジ部における周方向の一部分を、リム軸方向の外側から局所的に覆う本体片部を有し、本体片部が、フランジ部およびベース部の外側面それぞれに形成された凹部に一体に嵌合される構成である場合には、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときに、本体片部に力が集中することで本体片部が損傷し、リム本体からロック装置が離脱するおそれがある。
【0011】
また、本発明に係るロック装置では、前記第1外凹凸部および前記第2外凹凸部における前記凹部同士、並びにこれらの両外凹凸部における前記凸部同士はそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されていてもよい。
【0012】
この場合、両外凹凸部における凹部同士、および両外凹凸部における凸部同士がそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されているので、ロック装置をリム本体に装着させるときに、ロック装置をリム本体に対して周方向に容易に位置決めすることが可能になり、作業性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るリムでは、前記第1外凹凸部、前記第2外凹凸部、前記第1内凹凸部および前記第2内凹凸部のうちの少なくとも1つにおける前記凹部は、補強部により補強されていてもよい。
【0014】
この場合、第1外凹凸部、第2外凹凸部、第1内凹凸部および第2内凹凸部のうちの少なくとも1つにおける凹部が、補強部により補強されているので、補強部により補強された凹部に対して周方向に隣り合う凸部も、補強部により補強されることとなる。したがって、ベース部とフランジ部とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、これらの凸部に力を確実に受け止めさせることが可能になり、リム本体からロック装置が離脱するのを一層効果的に抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係るリムでは、前記フランジ部は、前記ベース部に外嵌された筒状部、および該筒状部から径方向の外側に突出する突条部を有するビードシートリングと、前記筒状部に外嵌されるとともに、前記突条部によりリム軸方向の外側から支持されたサイドリングと、を備え、前記第1内凹凸部は、前記ビードシートリングに設けられていてもよい。
【0016】
この場合、第1内凹凸部が、フランジ部のビードシートリングに設けられているので、ベース部とビードシートリングとの周方向に沿った相対的な移動を確実に規制することができる。またこのように、ベース部とビードシートリングとの周方向に沿った相対的な移動を規制することができるので、これらのベース部とビードシートリングとが周方向に沿って相対的に移動することに起因して、フランジ部のサイドリングがベース部に対して周方向に位置ずれすることも抑えることができる。
以上より、ベース部とフランジ部との周方向に沿った相対的な移動を効果的に規制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リム本体から離脱するのを効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るリムをリム軸方向の外側から見た外側面図である。
図2図1に示すA−A断面矢視図である。
図3図1に示すB−B断面矢視図である。
図4図1に示すリムを構成するロック装置を径方向の外側から見た正面図である。
図5図4に示すロック装置をリム軸方向の内側から見た内側面図である。
図6図5に示すC−C断面矢視図である。
図7図5に示すD−D断面矢視図である。
図8図1に示すリムを構成するリム本体をリム軸方向の外側から見た外側面図である。
図9図8に示すE−E断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るリムを説明する。
図1から図3に示すように、リム10は、図示しないタイヤが装着され該タイヤの図示しないビード部を径方向の内側から支持する筒状のリムベース(ベース部)11、および該リムベース11に外嵌され前記ビード部をリム軸O方向の外側から支持する環状のフランジ部12を有するリム本体13と、該リム本体13に装着され、リムベース11とフランジ部12との周方向に沿った相対的な移動を規制するロック装置20と、を備えている。
ここで、リムベース11およびフランジ部12は共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸をリム軸Oといい、リム軸Oに直交する方向を径方向といい、リム軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
リムベース11は円筒状に形成されている。リムベース11のリム軸O方向の両端部のうち、一方側の一端部には、前記フランジ部12が外嵌され、他方側の図示しない他端部には、前記タイヤのビード部をリム軸O方向の外側から支持する環状の図示しないサイドフランジが外嵌されている。前記一端部には、全周にわたって延在するロックリング溝11aが形成されている。
なお、例えば当該リム10が図示しない車両に取り付けられる場合、前記一方側を、リム軸O方向に沿った前記車両の内側とし、前記他方側を、リム軸O方向に沿った前記車両の外側としてもよい。
【0021】
フランジ部12は、リムベース11に外嵌された筒状部15a、および該筒状部15aから径方向の外側に突出する突条部15bを有するビードシートリング15と、筒状部15aに外嵌されるとともに、突条部15bによりリム軸O方向の外側から支持されたサイドリング16と、を備えている。
ビードシートリング15の筒状部15aは円筒状に形成されている。筒状部15aはリムベース11の前記一端部に外嵌され、一端部の前記ロックリング溝11aよりもリム軸O方向に沿った内側に位置している。なお、筒状部15aとリムベース11との間には、図示しないシールリングが配設されていてもよい。
【0022】
ビードシートリング15の突条部15bは、筒状部15aにおけるリム軸O方向の外側の端部から、径方向の外側に向けて突設されている。突条部15bは全周にわたって延在している。
サイドリング16は、ビードシートリング15の筒状部15aにおいて、突条部15bにリム軸O方向の内側から連なる部分から、径方向の外側に向けて延在した後、リム軸O方向の外側に向けて屈曲されている。サイドリング16のうち、リム軸O方向の外側に向けて屈曲された屈曲部分16aと、リムベース11と、の間には、ビードシートリング15の前記突条部15bが配置されている。
【0023】
ここで前記リム本体13には、リムベース11に対してフランジ部12がリム軸O方向の外側に離脱するのを規制するロックリング17が、更に備えられている。ロックリング17は、リムベース11の前記一端部に外嵌されている。ロックリング17は、フランジ部12の前記ビードシートリング15よりもリム軸O方向の外側に配置され、ビードシートリング15に、リム軸O方向の外側から当接している。ロックリング17の内周面には、前記一端部における前記ロックリング溝11a内に嵌合された脚部17aが、径方向の内側に向けて全周にわたって突設されている。
【0024】
前記リム本体13は、リムベース11、前記サイドフランジ、フランジ部12のビードシートリング15およびサイドリング16、並びにロックリング17を備えるいわゆる5ピース構造である。リム本体13では、前記タイヤの前記ビード部は、ビードシートリング15の筒状部15aに外嵌される。前記ビード部は、筒状部15aを介してリムベース11により径方向の内側から支持されるとともに、フランジ部12のサイドリング16によりリム軸O方向の外側から支持される。
【0025】
ロック装置20は、リムベース11およびフランジ部12をリム軸O方向の外側から覆う本体環部21を備えている。本体環部21は、リムベース11と、フランジ部12の前記ビードシートリング15と、をリム軸O方向の外側から、全周にわたって覆っている。
図4および図5に示すように、本体環部21は、リム軸Oと同軸に配置された円環状をなしており、全周にわたって連続して延在している。図6および図7に示すように、本体環部21においてリム軸O方向の外側を向く外側面は、径方向および周方向の両方向に沿って段差無く滑らかに延在している。本体環部21においてリム軸O方向の内側を向く内側面は段状に形成され、図示の例では、本体環部21の外周縁部における内側面が、リム軸O方向の内側に張り出している。
【0026】
本体環部21の内側面には、凹部22a、23aと凸部22b、23bとが周方向に交互に配置されてなる第1外凹凸部22および第2外凹凸部23がそれぞれ、当該本体環部21と一体に設けられている。
第1外凹凸部22は、本体環部21の外周縁部における内側面に設けられている。図5に示すように、第1外凹凸部22は、本体環部21の内側面に、複数の前記凹部22aを周方向に間隔をあけて形成することで構成されており、周方向に隣り合う凹部22a同士の間が前記凸部22bとなっている。なお前記凹部22aは、例えば切削加工などにより形成される。
【0027】
第1外凹凸部22において、各凹部22aは互いに同形同大に形成され、各凸部22bは互いに同形同大に形成されている。凹部22aおよび凸部22bはそれぞれ、リム軸O方向の内側から見た内側面視において、周方向に長い矩形状をなしている。凹部22aの周方向に沿った大きさは、凸部22bの周方向に沿った大きさよりも大きくなっている。凹部22aの深さは、凹部22aの全域にわたって同等であり、凸部22bの高さは、凸部22bの全域にわたって同等である。凹部22aは、径方向の両側に向けて開口するとともにリム軸O方向の外側に向けて非開口で、直方体形状をなす溝状に形成され、凸部22bは直方体状に形成されている。
【0028】
第2外凹凸部23は、本体環部21の内周縁部における内側面に設けられている。第2外凹凸部23は、本体環部21の内側面に、複数の前記凹部23aを周方向に間隔をあけて形成することで構成されており、周方向に隣り合う凹部23a同士の間が前記凸部23bとなっている。
第2外凹凸部23において、各凹部23aは互いに同形同大に形成され、各凸部23bは互いに同形同大に形成されている。凹部23aおよび凸部23bはそれぞれ、前記内側面視において、周方向に長い矩形状をなしている。凹部23aの周方向に沿った大きさは、凸部23bの周方向に沿った大きさよりも大きくなっている。凹部23aの深さは、凹部23aの全域にわたって同等であり、凸部23bの高さは、凸部23bの全域にわたって同等である。凹部23aは、径方向の内側に向けて開口するとともに径方向の外側およびリム軸O方向の外側に向けて非開口で、直方体形状をなす溝状に形成され、凸部23bは直方体状に形成されている。
【0029】
これらの両外凹凸部22、23は、ロック装置20の本体環部21において、内周縁部および外周縁部の間に位置する中間部を回避して設けられており、互いに径方向に離間して配置され互いに独立している。両外凹凸部22、23における凹部22a、23a同士は互いに同数であり、両外凹凸部22、23における凸部22b、23b同士は互いに同数である。両外凹凸部22、23における凹部22a、23a同士、並びに両外凹凸部22、23における凸部22b、23b同士はそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されている。図6および図7に示すように、第1外凹凸部22における凹部22aは、第2外凹凸部23における凹部23aよりも深く、第1外凹凸部22における凸部22bは、第2外凹凸部23における凸部22bよりも高くなっている。第1外凹凸部22における凹部22aは、第2外凹凸部23における凹部23aよりも径方向に沿った大きさが小さく、第1外凹凸部22における凸部22bは、第2外凹凸部23における凸部23bよりも径方向に沿った大きさが小さくなっている。
【0030】
ここで図8および図9に示すように、前記リム本体13には、第1外凹凸部22および第2外凹凸部23それぞれに対応する第1内凹凸部18および第2内凹凸部19が各別に形成されている。
第1内凹凸部18は、フランジ部12においてリム軸O方向の外側を向く外側面に、凹部18aと凸部18bとが周方向に交互に配置されてなり、フランジ部12と一体に設けられている。第1内凹凸部18は、フランジ部12の前記ビードシートリング15に設けられており、ビードシートリング15の外側面において、前記ロックリング17よりも径方向の外側に位置する部分に配置されている。第1内凹凸部18における凹部18aおよび凸部18bはそれぞれ、前記第1外凹凸部22における凸部22bおよび凹部22aと対応する位置に配設され、第1外凹凸部22における凸部22bおよび凹部22aと同形状をなしている。
【0031】
第2内凹凸部19は、リムベース11においてリム軸O方向の外側を向く外側面に、凹部19aと凸部19bとが周方向に交互に配置されてなり、リムベース11と一体に設けられている。第2内凹凸部19における凹部19aおよび凸部19bは、前記第2外凹凸部23における凸部23bおよび凹部23aと対応する位置に配設され、第2外凹凸部23における凸部23bおよび凹部23aと同形状をなしている。
なお、これらの両内凹凸部18、19における凹部18a、19a同士、並びに両内凹凸部18、19における凸部18b、19b同士はそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されている。
【0032】
そして本実施形態では、図2および図3に示すように、ロック装置20の前記第1外凹凸部22は、フランジ部12の前記第1内凹凸部18と係合し合うことで、当該本体環部21とフランジ部12との周方向に沿った相対的な移動を規制している。
第1外凹凸部22における凸部22bは、第1内凹凸部18における凹部18a内に嵌合し、第1内凹凸部18における凸部18bは、第1外凹凸部22における凹部22a内に嵌合している。これらの第1外凹凸部22と第1内凹凸部18とは、全周にわたって互いに噛み合っている。第1外凹凸部22および第1内凹凸部18における凸部22b、18b同士は、周方向に互いに近接または当接している。
【0033】
さらに本実施形態では、ロック装置20の前記第2外凹凸部23は、リムベース11の前記第2内凹凸部19と係合し合うことで、当該本体環部21とリムベース11との周方向に沿った相対的な移動を規制している。
第2外凹凸部23における凸部23bは、第2内凹凸部19における凹部19a内に嵌合し、第2内凹凸部19における凸部19bは、第2外凹凸部23における凹部23a内に嵌合している。これらの第2外凹凸部23と第2内凹凸部19とは、全周にわたって互いに噛み合っている。第2外凹凸部23および第2内凹凸部19における凸部23b、19b同士は、周方向に互いに近接または当接している。
なお、ロック装置20の本体環部21における前記中間部の内側面は、径方向および周方向の両方向に沿って延在する平面状となっている。前記中間部の内側面は、前記第2外凹凸部23の凸部23bの頂面と面一であるとともに、リム本体13の前記ロックリング17にリム軸O方向の外側から近接または当接している。
【0034】
ここで図1および図3に示すように、ロック装置20は、リム軸O方向の外側から差し込まれたボルト24により、前記リム本体13に装着されている。ボルト24は、ロック装置20が、リム本体13に対してリム軸O方向の外側に離脱することを規制している。ボルト24は、周方向に間隔をあけて複数配設されている。図3に示すように、ボルト24は、ロック装置20の本体環部21をリム軸O方向に貫通する貫通孔に、リム軸O方向の外側から差し込まれ、リムベース11に形成されたねじ穴にねじ込まれている。前記貫通孔は、本体環部21の前記第2外凹凸部23における凹部23aに開口し、前記ねじ穴は、リムベース11の前記第2内凹凸部19における凸部19bに開口している。
【0035】
また図8および図9に示すように、ロック装置20の第1外凹凸部22および第2外凹凸部23、並びにリム本体13の第1内凹凸部18および第2内凹凸部19のうちの少なくとも1つにおける前記凹部18a、19a、22a、23aは、補強部14により補強されている。本実施形態では、補強部14は、第1内凹凸部18における凹部18aを補強している。凹部18aは、ビードシートリング15の外周縁に開口するように形成されており、補強部14は、凹部18aを径方向の外側から閉塞するように周方向に延在している。補強部14は、周方向に隣り合う凸部18b同士のうち、凹部18aを周方向に挟んで対向する端部同士を連結している。補強部14におけるリム軸O方向の内側の端部は、周方向の全長にわたってビードシートリング15に連結されている。補強部14は、サイドリング16の前記屈曲部分16aとリムベース11との間に配置されている。
【0036】
前記リム10では、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、フランジ部12の第1内凹凸部18およびロック装置20の第1外凹凸部22における凸部18b、22b同士と、リムベース11の第2内凹凸部19およびロック装置20の第2外凹凸部23における凸部19b、22b同士と、がそれぞれ周方向に係合し合い、ロック装置20の第1外凹凸部22における各凸部22b、および第2外凹凸部23における各凸部23bに、周方向に沿って互いに反対側を向く力が加えられる。そして、これらの凸部22b、23bに加えられた力が本体環部21に受け止められ、リムベース11とフランジ部12との周方向に沿った相対的な移動が規制される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るロック装置20およびリム10によれば、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、ロック装置20の第1外凹凸部22および第2外凹凸部23における各凸部22b、23bに力が加えられるので、凸部22b、23b1つあたりに加えられる力の大きさを小さく抑えることができる。また、これらの凸部22b、23bに加えられた力が、本体環部21に受け止められるので、各凸部22b、23bに力が集中するのを抑えることができる。
以上より、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときであっても、ロック装置20の第1外凹凸部22および第2外凹凸部23に力を確実に受け止めさせることが可能になり、リム本体13からロック装置20が離脱するのを効果的に抑えることができる。
【0038】
なお、例えばロック装置が、リムベース11およびフランジ部12における周方向の一部分を、リム軸O方向の外側から局所的に覆う本体片部を備え、本体片部に、リム軸O方向の外側から複数のボルトが差し込まれ、これらのボルトが、リムベース11およびフランジ部12に各別に螺着された構成である場合には、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときに、ボルトに力が集中することでボルトが損傷し、リム本体13からロック装置が離脱するおそれがある。
また、例えばロック装置が、リムベース11およびフランジ部12における周方向の一部分を、リム軸O方向の外側から局所的に覆う本体片部を有し、本体片部が、フランジ部12およびリムベース11の外側面それぞれに形成された凹部に一体に嵌合される構成である場合には、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしたときに、本体片部に力が集中することで本体片部が損傷し、リム本体13からロック装置が離脱するおそれがある。
【0039】
また、ロック装置20の両外凹凸部22、23における凹部22a、23a同士、および両外凹凸部22、23における凸部22b、23b同士がそれぞれ、周方向に同等の位置に配設されているので、ロック装置20をリム本体13に装着させるときに、ロック装置20をリム本体13に対して周方向に容易に位置決めすることが可能になり、作業性を向上させることができる。
【0040】
さらに、フランジ部12の第1内凹凸部18における凹部18aが、補強部14により補強されているので、第1内凹凸部18における凸部18b(補強部により補強された凹部に対して周方向に隣り合う凸部)も、補強部14により補強されることとなる。したがって、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に移動しようとしたときに、これらの凸部18bに力を確実に受け止めさせることが可能になり、リム本体13からロック装置20が離脱するのを一層効果的に抑えることができる。
【0041】
また、第1内凹凸部18が、フランジ部12のビードシートリング15に設けられているので、リムベース11とビードシートリング15との周方向に沿った相対的な移動を確実に規制することができる。またこのように、リムベース11とビードシートリング15との周方向に沿った相対的な移動を規制することができるので、これらのリムベース11とビードシートリング15とが周方向に沿って相対的に移動することに起因して、フランジ部12のサイドリング16がリムベース11に対して周方向に位置ずれすることも抑えることができる。
以上より、リムベース11とフランジ部12との周方向に沿った相対的な移動を効果的に規制することができる。
【0042】
なお前記リム10を、例えば建設車両などの重荷重用空気入りタイヤに用いてもよい。さらにリム10を、当該リム10およびタイヤのうち、いずれか一方を周方向に回転させながら、いずれか他方の周方向の回転を規制することで、例えばリム10とタイヤとの周方向の位置ずれ量などを測定するリム滑り試験に用いてもよい。リム10を、重荷重用空気入りタイヤやリム滑り試験に用いる場合、例えば重荷重用空気入りタイヤのリム滑り試験に用いる場合などには、タイヤに大入力がされ易く、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に大きく移動し易い。
ここで当該リム10では、前述のようにリム本体13からロック装置20が離脱するのを効果的に抑えることができるので、リムベース11とフランジ部12とが周方向に沿って相対的に大きく移動しようとしても、この移動を確実に規制することができる。したがって、当該リム10を前記リム滑り試験に用いる場合、リム10とタイヤとが周方向に相対的に移動していないにも関わらず、リムベース11とフランジ部12とが周方向に相対的に移動することで、リム10とタイヤとの周方向の位置ずれが生じたと誤認するのを抑えることが可能になり、リム滑り試験を高精度に実施することができる。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ロックリング17はなくてもよい。
【0044】
また前記実施形態では、リム本体13がいわゆる5ピース構造の構成であるものとしたが、これに限られない。例えばリム本体が、リムベースおよび前記サイドフランジが一体に連結されてなる第1部材と、フランジ部のビードシートリングとサイドリングとが一体に連結されてなる第2部材と、前記ロックリングと、を備えるいわゆる3ピース構造などであってもよい。
【0045】
また前記実施形態では、本体環部21は、全周にわたって連続して延在しているものとしたが、これに限られるものではなく、周方向に複数に分割された複数の分割体により構成されてもよい。この場合、例えば周方向に隣り合う分割体同士において、互いの周方向の端面同士を近接または当接させることで、本体環部を全周にわたって延在させるように構成すること等が可能である。
【0046】
また前記実施形態では、補強部14は、第1内凹凸部18における凹部18aを補強しているものとしたが、これに限られず、ロック装置20の第1外凹凸部22および第2外凹凸部23、並びにリム本体13の第1内凹凸部18および第2内凹凸部19のうちの少なくとも1つにおける凹部18a、19a、22a、23aを補強すればよい。さらに補強部14はなくてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 リム
11 リムベース(ベース部)
12 フランジ部
13 リム本体
14 補強部
15 ビードシートリング
15a 筒状部
15b 突条部
16 サイドリング
18 第1内凹凸部
18a 凹部
18b 凸部
19 第2内凹凸部
19a 凹部
19b 凸部
20 ロック装置
21 本体環部
22 第1外凹凸部
22a 凹部
22b 凸部
23 第2外凹凸部
23a 凹部
23b 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9