(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一般式(1)におけるWは、単結合、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数3〜20の脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、及び上記一般式(2)で表される基から成る群より選ばれる2価の基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0040】
<感光性樹脂組成物>
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物、(B)光酸発生剤、所望により(C)架橋剤、所望により(D)熱酸発生剤、及び所望により、その他の成分を含む。感光性樹脂組成物を構成する各成分について以下で詳細に説明する。なお、本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合には、それぞれ同一であるか、又は異なっていてもよい。
【0041】
[(A−1)樹脂]
実施の形態では、(A−1)樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂である。
【化27】
{式(1)中、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基であり、m
1は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、2≦(m
1+m
2)≦4であり、m
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、n
1/(n
1+n
2)は、m
1が2又は3の場合は0.05〜0.95の範囲であり、m
1が1の場合は、0.35〜0.95であり、R
1は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、下記一般式(5)で表される基、及び下記一般式(6)で表される基から成る群から選ばれる1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、R
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、m
3が2〜4の整数である場合には、複数のR
6は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
4が2〜4の整数である場合には、複数のR
7は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、Yは、下記一般式(3)又は(4)で表される2価の有機基であり、Wは、単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数3〜20の脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、及び下記一般式(2):
【化28】
で表される基から成る群より選ばれる2価の基であり、そしてポリマーの構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。}
−CR
8R
9− (3)
(式(3)中、R
8及びR
9はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機基もしくはカルボキシル基、スルホン酸基及びフェノール性水酸基を含む基である。)
【化29】
{式(4)中、R
11〜R
14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されて成る炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、m
5は、1〜4の整数であり、m
5が1である場合には、R
12は、水酸基、カルボキシル基、又はスルホン酸基であり、そしてn
5が2〜4の整数である場合には、少なくとも1つのR
12は水酸基であり、残りのR
12は、ハロゲン原子、水酸基、1価の有機基、カルボキシル基、又はスルホン酸基であり、そして全てのR
10は、同一であるか、又は異なっていてよい。}
【化30】
{式(5)中、R
15は、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、炭素数6〜18の芳香族基、−NH
2、−NH−R
19、−N(R
19)
2、及び−O−R
19で表される基から成る群より選ばれる1価の基である(ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。)。}
【化31】
{式(6)中、R
16及びR
17’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、及び炭素数6〜18の芳香族基から成る群より選ばれる1価の基であり、そしてR
16とR
17’で環を形成していてもよい。}
【0042】
上記一般式(1)において、Xは、それぞれ独立に水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基である。その中で、Xとしては、感度の観点から、水素原子、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、又はテトラヒドロフラニル基が好ましく、耐熱性の観点から、水素原子であることがより好ましい。
【0043】
上記一般式(1)において、m
1は、それぞれ独立に、1〜3の整数である。アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターンの形状の観点から、m
1は2又は3が好ましく、特に、リソグラフィーの観点から、m
1は2であることが好ましい。(A−1)フェノール樹脂を(B)光酸発生剤と相互作用させ易くするために、m
1が2である場合には、上記一般式(1)において水酸基同士の結合位置は、メタ位であることが好ましい。
【0044】
上記一般式(1)において、R
1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素数1〜10の1価の基、ニトロ基、シアノ基、下記一般式(5)で表される基、及び/又は上記一般式(6)で表される基であれば限定されない。
【0045】
R
1が炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素数1〜10の1価の基の場合は、耐熱性の観点から、炭素数1〜5の炭化水素基又はアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。
【0046】
R
1が、ニトロ基、シアノ基、上記一般式(5)で表される基、及び上記一般式(6)で表される基のような電子吸引基である場合、フェノール性水酸基の酸性度が上がり、感光性樹脂組成物としたときに、塗膜のアルカリ溶解性に優れる。本明細書では、電子吸引基とは、共鳴効果又は誘起効果によって相手から電子を引き付ける力が水素原子より強い原子団をいう。また、フェノール樹脂を高分子量化しても現像に必要なアルカリ溶解性が保たれるため、硬化膜の伸度を高くするという点で有利である。
【0047】
また、フェノール樹脂が電子吸引基であるR
1を有する場合には、硬化レリーフパターンの形状が良好となる。これは、作用機序に拘束されるものではないが、R
1が極性を有する基であり、基R
1と樹脂中のフェノール性水酸基とが強い相互作用を持つことが原因と推定される。この相互作用により樹脂の軟化点が上がることにより、現像後のレリーフパターンを加熱して硬化レリーフパターンとするときに、レリーフパターンの形状が崩れることなく、パターン形状が良好な状態を維持することができる。
【0048】
上記m
2が2である場合には、複数のR
1は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよい。
【0049】
前記m
1が1である場合には、m
2は1〜2が好ましく、R
1は電子吸引基であることが好ましい。
【0050】
上記で説明された基の中で、R
1は、ポリマー合成時に副生成物の生成が少ないという観点から、下記一般式(5)で表される1価の基であることがより好ましい。
【化32】
{式(5)中、R
15は、水酸基、−NH
2、−NH−R
19、−N(R
19)
2、−O−R
19で表される基から成る群から選ばれる1価の基である(ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。)}
更に、アルカリ溶解性を制御し易いという観点から、R
15が−O−R
19で表されることが特に好ましい。
【0051】
一般式(1)におけるR
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であれば限定されない。その中で、R
2〜R
5は、感光性樹脂組成物としたときの感度の観点から、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3の1価の脂肪族基が好ましく、耐熱性の観点から、すべて水素原子がより好ましい。
【0052】
一般式(1)におけるR
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基である。その中で、耐熱性の観点から、水酸基又は炭素数1〜3の脂肪族基が好ましい。
【0053】
一般式(1)におけるm
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜4の整数である。耐熱性の観点から、m
3およびm
4が0の場合が好ましい。
【0054】
次に、前記一般式(1)におけるWについて説明する。
Wは、単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数3〜20の脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、及び下記一般式(2):
【化33】
で表される基から成る群より選ばれる2価の基である。
【0055】
樹脂の耐熱性の観点から、Wは、単結合であるか、又は前記一般式(2)で表される2価の基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0056】
一般式(1)におけるYは、上記一般式(3)又は(4)で表される構造であれば限定されない。
【0057】
上記式(3)において、R
8およびR
9は、水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機基であれば限定されないが、硬化膜の耐熱性の観点から、水素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、二重結合などの重合性基を有する炭素数1〜11の1価の有機基、水酸基若しくはカルボキシル基のような極性基を有する炭素数1〜11の1価の有機基から選ばれる基であることが好ましい。
【0058】
さらに、感光性樹脂組成物を形成したときの感度の観点から、R
8およびR
9は、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる基であることがより好ましい。
【0059】
一般式(4)におけるR
11〜R
14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されて成る炭素数1〜10の1価の脂肪族基である。
その中で、耐熱性の観点から、R
11〜R
14は炭素数1〜3の1価の脂肪族基または水素原子が好ましく、感光性樹脂組成物としたときの感度の観点から、水素原子がより好ましい。
【0060】
一般式(4)におけるm
5は、1〜4の整数であり、m
5が1である場合には、R
12は水酸基もしくはカルボキシル基、スルホン酸基であれば限定されない。
m
5が2〜4の整数である場合には、少なくとも1つのR
12は水酸基であり、残りのR
12はハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基もしくはカルボキシル基、スルホン酸基であり、全てのR
10は、同一であるか、又は異なっていてよい。
この中で、耐熱性の観点から、下記一般式(20)で表される構造であることがより好ましく、感度の観点から、下記一般式(12)で表される構造であることが特に好ましい。
【化34】
【化35】
(式(20)及び(12)中、R
17は、炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、m
6は0〜3の整数であり、m
6が2又は3である場合には、複数のR
17は、同一であるか、又は異なっていてよい。m7は1〜3の整数である。ただし1≦(m6+m7)≦4を満たす。)
【0061】
上記一般式(1)におけるn
1及びn
2は、ポリマー主鎖におけるそれぞれの繰り返し単位の総数を表し、1〜500の間の整数である。n
1及びn
2は、硬化後の膜の強靭性の観点から、1以上であることが好ましく、アルカリ水溶液中での溶解性の観点から、500以下であることが好ましい。n
1及びn
2の下限値は、好ましくは2であり、より好ましくは3であり、n
1及びn
2の上限値は、好ましくは450であり、より好ましくは400であり、さらに好ましくは350である。
【0062】
n
1とn
2の比率を調整することにより、より好ましい膜物性及びより良好なアルカリ溶解性を有する感光性樹脂組成物を調製することができる。n
1/(n
1+n
2)の値が大きいほど、硬化後の膜物性が良好であり、かつ耐熱性にも優れており、一方で、n
1/(n
1+n
2)の値が小さいほど、アルカリ溶解性が良好であり、かつ硬化後のパターン形状に優れる。これは、作用機序に拘束されるものではないが、上記一般式(1)中において、n
1/(n
1+n
2)の値が大きいほど、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂の平均架橋点間距離が長くなるためと考えられる。従って、n
1/(n
1+n
2)の値の範囲としては、m1が2又は3の場合は、n
1/(n
1+n
2)=0.05〜0.95が硬化後の膜物性の観点から好ましく、n
1/(n
1+n
2)=0.35〜0.9が硬化後の膜物性、及びアルカリ溶解性の観点から更に好ましく、n
1/(n
1+n
2)=0.4〜0.8が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。作用機序に拘束されるものではないが、樹脂を共重合体とすることにより、熱硬化時の重量減少に深く寄与しているであろうノボラック構造を有する低分子量体成分が少なくなるため、熱硬化時の残膜率が高くなると考えられる。
【0063】
一方、m
1が1の場合は、n
1/(n
1+n
2)=0.35〜0.9である。この中で、n
1/(n
1+n
2)=0.4〜0.8が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。 また、m
1が1の場合には、パターン形状及びアルカリ溶解性の観点から、m2が1又は2であり、R1が電子吸引基であることが好ましい。
【0064】
また、(A−1)樹脂の構造は、ブロック構造でもランダム構造でもよいが、ブロック構造を有することが、基板との接着性の点から好ましい。
この中で、(A−1)樹脂の構造は、伸度及び耐熱性の観点から、下記一般式(13)で表される構造であることが特に好ましい。
【化36】
{式(13)中、m
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、m
3およびm
4は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、n
1およびn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、n
1/(n
1+n
2)は、0.35〜0.8の範囲であり、R
1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素数1〜10の1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1はそれぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、R
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、m
3が2〜4である場合には、複数のR
6は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
4が2〜4の整数である場合には、複数のR
7は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、Yは、メチレン基又は下記一般式(14)で表される構造を示し、そしてポリマーの構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。}
【化37】
【0065】
[(A−2)樹脂混合物]
実施の形態では、(A−2)樹脂混合物は、下記一般式(7)で表される構造を含む樹脂と、下記一般式(8)で表される構造を含む樹脂と、を含む樹脂混合物である。
【化38】
【化39】
{式(7)及び(8)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基であり、m
1は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、ただし複数のm
1が同時に1になることはなく、m
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、2≦(m
1+m
2)≦4であり、m
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、R
1は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、下記一般式(5)で表される基、及び下記一般式(6)で表される基から成る群から選ばれる1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、R
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、m
3が2〜4の整数である場合には、複数のR
6は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
4が2〜4の整数である場合には、複数のR
7は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、Yは、下記一般式(3)又は(4)で表される2価の有機基であり、Wは、単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数3〜20の脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、及び下記一般式(2):
【化40】
で表される基から成る群より選ばれる2価の基である。}
−CR
8R
9− (3)
(式中、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機基もしくはカルボキシル基、スルホン酸基及びフェノール性水酸基を含む基である。)
【化41】
{式(4)中、R
11〜R
14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されて成る炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、m
5は、1〜4の整数であり、m
5が1である場合には、R
10は水酸基であり、そしてn
5が2〜4の整数である場合には、少なくとも1つのR
10は水酸基であり、残りのR
10はハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、全てのR
10は、同一であるか、又は異なっていてよい。}
【化42】
{式(5)中、R
15は、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、炭素数6〜18の芳香族基、−NH
2、−NH−R
19、−N(R
19)
2、及び−O−R
19で表される基から成る群より選ばれる1価の基である(ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。)。}
【化43】
{式(6)中、R
16及びR
17’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、及び炭素数6〜18の芳香族基から成る群より選ばれる1価の基であり、そしてR
16とR
17’で環を形成していてもよい。}
【0066】
上記一般式(7)及び(8)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基である。その中で、Xは、感度の観点から、水素原子、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、又はテトラヒドロフラニル基が好ましく、耐熱性の観点から、水素原子であることがより好ましい。
【0067】
上記一般式(7)及び(8)において、m
1は、それぞれ独立に1〜3の整数であり、ただし複数のm
1が同時に1になることはない。アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターンの形状の観点から、m
1は2又は3が好ましく、特に、リソグラフィーの観点から、m
1は2であることが好ましい。フェノール樹脂を(B)光酸発生剤と相互作用させ易くするために、m
1が2である場合には、上記一般式(1)において水酸基同士の結合位置は、メタ位であることが好ましい。
【0068】
上記一般式(7)及び(8)におけるm
2〜m
4、R
1〜R
5及びWの好ましい範囲又は態様は、上記一般式(1)の場合と同様である。
【0069】
さらに、上記(A−2)樹脂混合物については、上記一般式(7)で表される構造を含む樹脂と、一般式(8)で表される構造を含む樹脂の重量比は、5:95〜95:5であることが好ましい。その中で、35:65〜90:10が硬化後の膜物性、及びアルカリ溶解性の観点から更に好ましく、40:60〜80:20が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。
【0070】
上記一般式(7)および(8)で表される構造を含む樹脂混合物としては、耐熱性及びリソグラフィー性能の観点から、下記一般式(15)と下記一般式(8a)で表される構造を含む樹脂混合物であることが好ましい。
【化44】
【化45】
{式(15)及び(8a)中、m
1は、1〜3であり、m
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、m
3およびm
4は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、n
1およびn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、R
1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素数1〜10の1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1はそれぞれ同一であるか、又は異なっていて良く、R
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、m
3が2〜4である場合には、複数のR
6はそれぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
4が2〜4の整数である場合には、複数のR
7は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、Yはメチレン基又は下記一般式(16)で表される構造を示す。一般式(15)と(8a)で表される構造を含む樹脂の重量比は、35:65〜80:20である。}
【化46】
【0071】
実施の形態では、(A−2)樹脂混合物は、下記一般式(9)で表される構造を含む樹脂と、下記一般式(10)で表される構造を含む樹脂と、を含む樹脂混合物である。
【化47】
【化48】
{式(9)及び(10)中、Xは、それぞれ独立に水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基であり、m
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、ただし複数のm
2は同時に0になることはなく、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、R
1は、それぞれ独立に、ニトロ基、シアノ基、上記一般式(5)で表される基、及び上記一般式(6)で表される基から成る群から選ばれる1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、R
2〜R
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の1価の脂肪族基、又は水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の1価の脂肪族基であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基又は1価の有機基であり、m
3が2〜4の整数である場合には、複数のR
6は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
4が2〜4の整数である場合には、複数のR
7は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、Yは、上記一般式(3)又は(4)で表される2価の有機基であり、Wは、単結合、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、炭素数3〜20の脂環式基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている炭素数3〜20の脂環式基、繰り返し単位数1〜20のアルキレンオキシド基、及び下記一般式(2):
【化49】
で表される基から成る群より選ばれる2価の基である。上記一般式(9)と(10)で表される構造を含む樹脂の重量比は、5:95〜95:5である。}
【0072】
上記一般式(9)及び(10)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基である。その中で、Xは、感度の観点から、水素原子、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、又はテトラヒドロフラニル基が好ましく、耐熱性の観点から、水素原子であることがより好ましい。
【0073】
上記一般式(9)及び(10)におけるm
2の値は、ポリマー合成時の反応性の観点から1が好ましい。
【0074】
上記一般式(9)及び(10)におけるm
3、m
4、R
1〜R
7、W、及びYの好ましい範囲又は態様は、上記一般式(1)の場合と同様である。
【0075】
上記一般式(9)で表される構造を含む樹脂と、一般式(10)で表される構造を含む樹脂の重量比は、5:95〜95:5である。その中で、35:65〜90:10が硬化後の膜物性、及びアルカリ溶解性の観点から更に好ましく、40:60〜80:20が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。
【0076】
上記一般式(1)、(7)、(8)、(9)、(10)、(13)、又は(15)で表される構造を含む樹脂は、樹脂構造中に上記一般式で表される構造を有していれば限定されない。これらの樹脂の構造は、フェノール樹脂構造単独でもよいし、アルカリ可溶性ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリヒドロキシスチレンなどの樹脂の共重合体でもよい。その中で、樹脂の透明性の観点から、フェノール樹脂単独であることが好ましい。
【0077】
また、本発明の実施の形態では、下記一般式(17)又は下記一般式(18)で表される構造を含む樹脂が、単独又は感光性樹脂組成物の形で提供されることができる。
【化50】
{式(17)中、R
1及びR
17は、それぞれ独立に、炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素原子数1〜10の1価の基であり、m
1は、2又は3の整数であり、m
2及びm
6は、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、2≦m
1+m
2≦4であり、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、0.05≦n
1/(n
1+n
2)≦1を満たし、m
2が2である場合には、複数のR
1は、同一であるか、又は異なっていてよく、そしてポリマーの構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。}
【化51】
{式(18)中、R
1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素原子数1〜10の1価の基であり、m
1は、2又は3の整数であり、m
2は、0〜2の整数であり、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、2≦m
1+m
2≦4であり、0.35≦n
1/(n
1+n
2)≦0.95を満たし、m
2が2である場合には、複数のR
1は、同一であるか、又は異なっていてよく、そしてポリマーの構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。}
【0078】
上記一般式(17)中、m
1は、2又は3の整数であれば限定されない。その中で、リソグラフィー性能の観点からm
1は2がより好ましい。
【0079】
上記一般式(17)中、R
1、R
17は、それぞれ独立に炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素原子数1〜10の基であれば限定されない。その中で耐熱性の観点から炭素数1〜3の炭化水素基が好ましい。
【0080】
上記一般式(17)中、m
2、m
6はそれぞれ独立に、0〜2の整数であれば限定されない。その中で、耐熱性の観点から、m
2は0が好ましく、m
6は0又は1が好ましい。
【0081】
上記一般式(17)中、n
1、n
2はそれぞれ独立に、1〜500の整数であり、0.05≦n
1/(n
1+n
2)≦1を満たせば限定されない。その中で、0.35≦n
1/(n
1+n
2)≦0.9が硬化後の膜物性、及びアルカリ溶解性の観点から更に好ましく、0.4≦n
1/(n
1+n
2)≦0.8が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。
【0082】
0.9<n
1/(n
1+n
2)≦1の場合には、m
2は1が好ましく、R1は電子吸引基であることが好ましい。
【0083】
上記一般式(18)中、m
1は、2又は3の整数であれば限定されない。その中で、リソグラフィー性能の観点からm
1は2がより好ましい。
【0084】
上記一般式(18)中、R
1は、それぞれ独立に炭化水素基又はアルコキシ基から選ばれる炭素原子数1〜10の基であれば限定されない。その中で耐熱性の観点から炭素数1〜3の炭化水素基が好ましい。
【0085】
上記一般式(17)中、m
2の値は、0〜2の整数であれば限定されない。その中で、耐熱性の観点から、m
2は0が好ましい。
【0086】
上記一般式(18)中、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、0.35≦n
1/(n
1+n
2)≦0.95を満たせば限定されない。その中で、0.4≦n
1/(n
1+n
2)≦0.8が硬化後の膜物性、パターン形状、及びアルカリ溶解性の観点から特に好ましい。
【0087】
実施の形態では、(A−1)樹脂として、下記一般式(19)で表される構造を含む樹脂を用いることもできる。
【化52】
{式(19)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、少なくとも1つの炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基から成る群より選ばれる1価の基であり、m
1は、それぞれ独立に、1〜3の整数であり、m
2は、それぞれ独立に、1〜2の整数であり、2≦(m
1+m
2)≦4であり、n
1及びn
2は、それぞれ独立に、1〜500の整数であり、n
1/(n
1+n
2)は、0.05〜1の範囲であり、R
1は、それぞれ独立に、ニトロ基、シアノ基、上記一般式(5)で表される基、及び上記一般式(6)で表される基から成る群から選ばれる1価の基であり、m
2が2である場合には、複数のR
1は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、m
7は0〜2の整数であり、R
18は、水酸基又はメチル基であり、m
7=2の場合、複数のR
18は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、zは0または1の整数であり、Yはメチレン基又は上記一般式(16)で表される構造を示し、そしてポリマーの構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。}
【0088】
これらの中で、感度の観点から、Xは水素原子、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、又はテトラヒドロフラニル基が好ましく、耐熱性の観点から、水素原子であることがより好ましい。
【0089】
R
1はニトロ基、シアノ基、上記一般式(5)で表される基、及び上記一般式(6)で表される基から選ばれる1価の基であれば限定されない。その中で、ポリマー合成時に副生成物の生成が少ないという観点から、前記一般式(5)で表される1価の基であることがより好ましい。
【0090】
更に、アルカリ溶解性を制御し易いという観点から、R
15が−O−R
19で表されることが特に好ましい。
【0091】
m1は、1〜3の整数であれば限定されない。その中で、アルカリ溶解性及び硬化レリーフパターンの形状の観点から、m1は2又は3が好ましく、特に、リソグラフィーの観点からがより好ましい。
【0092】
m
2は、1〜2の整数であれば限定されない。その中で、ポリマー合成時の反応性の観点から、1がより好ましい。
【0093】
zは、0または1の整数であれば限定されない。その中で、伸度の観点から、1がより好ましい。
【0094】
典型的には、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂は、フェノール化合物と重合成分とを重合反応させることによって合成できる。具体的には、重合成分としては、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、ハロアルキル基を分子内に2個有する化合物、及びアルデヒド基を有する化合物から成る群から選ばれる1種類以上の化合物を含むものが挙げられ、より典型的には、重合成分としては、これらの少なくとも1つから成る成分が好ましい。例えば、フェノール化合物と、メチロール基を分子内に2個有する化合物、アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物、ハロアルキル基を分子内に2個有する化合物、及びアルデヒド基を有する化合物から成る群から選ばれる1種類以上の化合物とを重合反応させることにより、(A−1)フェノール樹脂は得られることができる。反応制御、並びに得られた(A−1)フェノール樹脂及び感光性樹脂組成物の安定性の観点から、フェノール化合物と上記重合成分との好ましい仕込みモル比としては、5:1〜1.01:1、より好ましいモル比としては、2.5:1〜1.1:1である。
【0095】
実施の形態では、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の合成に用いられるフェノール化合物について説明する。フェノール化合物としては、一価〜三価のフェノールが挙げられ、二価フェノール及び三価フェノールが好ましい。
本明細書では、一価フェノールとは、ベンゼン環に1個の水酸基が直接結合した化合物をいう。具体的には、一価フェノールとしては、例えば、フェノール、及び炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基によって芳香環上の水素原子が置換されているフェノールが挙げられるが、硬化後の熱膨張率の観点から、フェノール又はクレゾールが好ましい。
【0096】
本明細書では、二価フェノールとは、ベンゼン環に2個の水酸基が直接結合した化合物をいう。具体的には、二価フェノールとしては、例えば、レゾルシン、ハイドロキノン、カテコールなどが挙げられる。これらの二価フェノールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。アルカリ溶解性の観点及びジアゾナフトキノンとの相互作用の観点から、レゾルシンが好ましい。
【0097】
さらに、二価フェノールは、炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基によって芳香環上の水素原子が置換されている化合物でもよいが、硬化後の熱膨張率の観点から、無置換の二価フェノールが好ましい。
【0098】
本明細書では、三価フェノールとは、ベンゼン環に3個の水酸基が直接結合した化合物をいう。具体的には、三価フェノールとしては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらの三価フェノールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。リソグラフィー性の観点から、ピロガロールが好ましい。
【0099】
さらに、三価フェノールは、炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基によって芳香環上の水素原子が置換されている化合物でもよいが、硬化後の熱膨張率の観点から、無置換の三価フェノールが好ましい。
また、一般式(1)におけるR
1が電子吸引性基である場合は、ニトロ基、シアノ基、下記一般式(5)または(6)で表される構造であれば限定されない。
【化53】
{式(5)中、R
15は、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、炭素数6〜18の芳香族基、−NH
2、−NH−R
19、−N(R
19)
2、及び−O−R
19で表される基から成る群より選ばれる1価の基である(ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。)。}
【化54】
{式(6)中、R
16及びR
17’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、及び炭素数6〜18の芳香族基から成る群より選ばれる1価の基であり、そしてR
16とR
17’で環を形成していてもよい。}
【0100】
この中で、ポリマー合成時に副生成物の生成が少ないという観点から、R
15は水酸基、−NH
2、−NH−R
19、−N(R
19)
2、及び−O−R
19で表される基から成る群より選ばれる1価の基であることが好ましい。ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。
また、アルカリ溶解性を制御し易いという観点から、R
15は、上記式−O−R
19で表される基から成る群より選ばれる1価の基であることが特に好ましい。ただし、R
19は、炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数3〜12の脂環式基、又は炭素数6〜18の芳香族基から選ばれる1価の基である。
【0101】
上記のフェノール樹脂の合成に用いられるフェノール化合物としては、下記が挙げられる。
【0102】
R
1がニトロ基の場合のフェノール化合物としては、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、4−ニトロカテコール、2−ニトロレゾルシノールなどが挙げられる。
【0103】
R
1がシアノ基の場合のフェノール化合物としては、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、4−シアノカテコールなどが挙げられる。
【0104】
R
1が、前記一般式(5)で表される場合には、フェノール性水酸基の数m
1が1である具体的な例としては、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸、3−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸、4−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシ安息香酸メチル、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−4−メチル安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−5−メチル安息香酸メチル、2−ヒドロキシ安息香酸エチル、3−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、2−ヒドロキシ−6−メチル安息香酸エチル、2−ヒドロキシ安息香酸プロピル、2−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、2−ヒドロキシ安息香酸ブチル、2−ヒドロキシ安息香酸イソブチル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸イソブチル、2−ヒドロキシ安息香酸イソアミル、4−ヒドロキシ安息香酸アミル、4−ヒドロキシ安息香酸イソアミル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、4−ヒドロキシ安息香酸ヘプチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ安息香酸ノニル、4−ヒドロキシ安息香酸ドデシル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、2−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2−ヒドロキシベンズアミド、4−ヒドロキシベンズアミド、2−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−5−メチルアセトフェノン、4−ヒドロキシ−3−メチルアセトフェノン、2−ヒドロキシプロピオフェノン、4−ヒドロキシプロピオフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0105】
R
1が、前記一般式(5)で表される場合には、フェノール性水酸基の数m
1が2である具体的な例としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸エチル、2,4−ジヒドロキシベンズアミド、3,5−ジヒドロキシベンズアミド、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,4−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシプロピオフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0106】
R
1が、前記一般式(5)で表される場合には、フェノール性水酸基の数m
1が3である具体的な例としては、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0107】
R
1が前記一般式(6)で表される場合には、具体的な例としては、N−(ヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ジヒドロキシフェニル)−5−メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
【0108】
R
1が電子吸引性基の場合の、上記一般式(1)中のm
2は、1〜3の整数であり、ポリマー合成時の反応性の観点から好ましくは1又は2であり、さらに好ましくは1である。
【0109】
次に、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の合成に用いられる重合成分について説明する。
【0110】
上記メチロール基を分子内に2個有する化合物としては、例えば、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。反応性及び得られた(A−1)フェノール樹脂の機械物性の観点から、ビフェニルジイル骨格を有する化合物が好ましく、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニルがより好ましい。
【0111】
上記アルコキシメチル基を分子内に2個有する化合物としては、例えば、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニル等が挙げられる。アルコキシメチル基中のアルコキシ部位の炭素数は、反応活性の観点から、1〜4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
【0112】
上記ハロアルキル基を分子内に2個有する化合物としては、例えば、ビスクロロメチルビフェニル等が挙げられる。
【0113】
上記アルデヒド基を有する化合物の具体例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンタナール、2−メチルブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサナール、メチルバレルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、3,3−ジメチルブチルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、ヘプタナール、オクタナール、2−エチルヘキシルアルデヒド、ノナナール、3,5,5−トリメチルヘキサンアルデヒド、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、アクロレイン、クロトンアルデヒド、3−メチル2−ブテナール、チグリンアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2−ノネナール、10−ウンデセナール、5−ノルボルネンカルボキシアルデヒド、ペリルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、オルトトルアルデヒド、メタトルアルデヒド、パラトルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、ナフトアルデヒド、シンナムアルデヒドグリコールアルデヒド、ラクトアルデヒド、サリチルアルデヒド、5−メチルサリチルアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、オルトアニスアルデヒド、メタアニスアルデヒド、パラアニスアルデヒド、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、グリオキシル酸、スクシンモノアルデヒド、トラウマチン等が挙げられる。
【0114】
耐熱性と合成制御の観点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、ペリルアルデヒド、サリチルアルデヒド、5−メチルサリチルアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、又は4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒドが好ましい。
【0115】
パターン形成時の光感度の観点から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、又はイソブチルアルデヒドがより好ましい。
【0116】
次に、(A−1)フェノール樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の典型的な合成方法に関して詳述する。上記で説明されたフェノール化合物と、上記で説明された重合成分とを、適当な重合触媒の存在下で加熱撹拌することによって、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂を得ることができる。この重合触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸性触媒、アルカリ性触媒などが挙げられ、特に酸性触媒が好ましい。酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸;三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸等、硫酸ジエチルなどが挙げられる。酸性触媒の使用量は、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物又はハロアルキル化合物のモル数に対して、0.01モル%〜100モル%の範囲が好ましい。アルカリ性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。アルカリ性触媒の使用量は、メチロール化合物、アルコキシメチル化合物又はハロアルキル化合物のモル数に対して、0.01モル%〜100モル%の範囲が好ましい。
【0117】
(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の合成反応を行うときには、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。使用できる有機溶剤の具体例としては、特に限定されないが、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。有機溶剤の使用量は、仕込み原料の総質量100質量部に対して通常10質量部〜1000質量部であり、好ましくは20質量部〜500質量部である。また、(A−1)フェノール樹脂の合成反応において、反応温度は、通常20℃〜250℃であり、40℃〜200℃の範囲が好ましく、そして反応時間は、通常1時間〜20時間である。
【0118】
(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜200,000であり、より好ましくは3,000〜120,000、更に好ましくは4,000〜50,000である。重量平均分子量は、伸度の観点から、2,000以上であることが好ましく、一方で、アルカリ溶解性の観点から、200,000以下であることが好ましい。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と呼ぶ)を用い、標準ポリスチレン換算で得られる値である。
【0119】
上記方法で得られる(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂のフェノール性水酸基の水素原子の一部または全部を、フェノール性水酸基の保護基で置換する方法としては、従来知られている方法(例えば、T.W.Greene, Productive Groups in Organic Synthesis, John Wiley &;Sons(1981)参照)を用いることができる。
【0120】
上記方法で得られたフェノール樹脂における水酸基の水素原子の一部又は全部を置換した樹脂(A−1)は、後述する光酸発生剤(B)と組み合わせて使用し、露光部で発生する酸によりこれらの保護基が脱離してアルカリ溶液への溶解性が増大することで、レリーフパターン形成が可能となる。
【0121】
また、本発明の効果に悪影響を与えない限り、感光性樹脂組成物は、上記(A−1)樹脂及び(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂以外に、他のアルカリ水溶液可溶性樹脂を更に含有することも可能である。他のアルカリ水溶液可溶性樹脂としては、具体的には、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、並びにこれらの樹脂の誘導体、前駆体及び共重合体等が挙げられる。
【0122】
なお、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂を、他のアルカリ水溶液可溶性樹脂と混合して使用する場合、混合樹脂の組成中の(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂の含有率は、伸度の観点から、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
【0123】
[(B)光酸発生剤]
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、紫外線、電子線、X線等に代表される活性光線(放射線)に感応して樹脂パターンを形成できる組成物であれば、特に限定されるものではなく、ネガ型(未照射部が現像により溶出)又はポジ型(照射部が現像により溶出)のいずれの感光性樹脂組成物であってもよい。
【0124】
感光性樹脂組成物がネガ型として使用される場合には、(B)光酸発生剤は、放射線照射を受けて酸を発生する化合物であり、そして発生した酸が、上記(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂と他の成分との架橋反応を引き起こすことで、架橋物は現像液に不溶となる。このような化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる:
【0125】
(i)トリクロロメチル−s−トリアジン類
トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)ビス(4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等;
【0126】
(ii)ジアリールヨードニウム塩類
ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等;
【0127】
(iii)トリアリールスルホニウム塩類
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニル−p−トルエンスルホナート等。
【0128】
上記(i)〜(iii)の化合物の中で、トリクロロメチル−s−トリアジン類としては、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等が好ましく、ジアリールヨードニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート等が好ましく、そしてトリアリールスルホニウム塩類としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート等が好ましい。
【0129】
上記(i)〜(iii)の化合物の他にも、(B)光酸発生剤として、以下に示す化合物を用いることもできる:
【0130】
(1)ジアゾケトン化合物
ジアゾケトン化合物として、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、その具体例としては、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物を挙げることができる。
【0131】
(2)スルホン化合物
スルホン化合物として、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができ、その具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
【0132】
(3)スルホン酸化合物
スルホン酸化合物として、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等を挙げることができる。スルホン酸化合物の好ましい具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
【0133】
(4)スルホンイミド化合物
スルホンイミド化合物として、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
【0134】
(5)オキシムエステル化合物
オキシムエステル化合物として、具体的には、2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社製 商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社製 商品名「イルガキュアPAG103」)、[2−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社製 商品名「イルガキュアPAG108」)、α−(n−オクタンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド(チバスペシャルティケミカルズ社製 商品名「CGI725」)等を挙げることができる。
【0135】
(6)ジアゾメタン化合物
ジアゾメタン化合物として、具体的には、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0136】
感度の観点から、とりわけ、上記(5)のオキシムエステル化合物が特に好ましい。
【0137】
(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂を含む感光性樹脂組成物がネガ型である場合には、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対する(B)光酸発生剤の配合量は、0.1質量部〜50質量部であることが好ましく、1質量部〜40質量部であることがより好ましい。該配合量が0.1質量部以上であれば感度の向上効果を良好に得ることができ、一方で、該配合量が50質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好になるため好ましい。
【0138】
感光性樹脂組成物がポジ型として使用される場合には、上記(i)〜(iii)及び上記(1)〜(6)で示される光酸発生剤、及び/又はキノンジアジド化合物が好適に用いられる。その中でも硬化後の物性の観点からキノンジアジド化合物が特に好ましい。これはキノンジアジド化合物が硬化時に熱分解し、硬化膜中に残存する量が極めて低いためである。キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造(以下、「NQD化合物」ともいう。)を有する化合物が挙げられ、これらの化合物は、例えば、米国特許第2,772,972号明細書、米国特許第2,797,213号明細書、米国特許第3,669,658号明細書等に記述されている。NQD化合物は、以下に詳述する複数のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、「ポリヒドロキシ化合物」ともいう。)の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルから成る群から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0139】
NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物を、クロルスルホン酸又は塩化チオニル等でスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを反応させることにより得られる。例えば、所定量のポリヒドロキシ化合物と、所定量の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドとを、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下で反応させてエステル化を行い、得られた生成物を水洗、乾燥することにより、NQD化合物を得ることができる。
【0140】
感度及び伸度等の硬化膜物性の観点から、好ましいNQD化合物の例としては、例えば、下記一般式群で表されるものが挙げられる。
【0141】
【化55】
{式中、Qは、水素原子、又は下記式群:
【化56】
のいずれかで表されるナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基であるが、全てのQが同時に水素原子であることはない。}。
【0142】
また、NQD化合物として、同一分子中にナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及びナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いることもできるし、ナフトキノンジアジド−4−スルホニルエステル化合物とナフトキノンジアジド−5−スルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
【0143】
NQD化合物は、単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよい。
【0144】
感光性樹脂組成物がポジ型である場合には、感光性樹脂組成物中の(B)光酸発生剤の配合量は、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜70質量部であり、好ましくは1質量部〜40質量部、より好ましくは5質量部〜30質量部である。この配合量が0.1質量部であれば良好な感度が得られ、一方で、70質量部以下であれば硬化膜の機械物性が良好になるため好ましい。
【0145】
[(C)架橋剤]
実施の形態では、硬化物の熱物性及び機械的物性を更に向上させるために、(C)架橋剤を感光性樹脂組成物に更に配合することが好ましい。
【0146】
(C)架橋剤としては、既知の架橋剤を使用できるが、一例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、アルデヒド、アルデヒド変性体、イソシアネート化合物、不飽和結合含有化合物、メラミン化合物、金属キレート剤、並びに下記一般式(21)で表されるメチロール化合物又はアルコキシメチル化合物、下記一般式(22)で表される構造を有するN−メチロール化合物又はN−アルコキシメチル化合物、下記一般式(23)で表される2価の基を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
これらの中でも硬化後の膜物性の観点からエポキシ化合物、オキセタン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、下記一般式(21)で表されるメチロール化合物又はアルコキシメチル化合物、下記一般式(22)で表されるN−メチロール化合物又はN−アルコキシメチル化合物、下記一般式(23)で表される構造を有する2価の基を有する化合物等が好ましく、更に硬化後のパターン形状の観点からエポキシ化合物、イソシアネート化合物、下記一般式(22)で表される構造を有するN−メチロール化合物又はN−アルコキシメチル化合物等がより好ましい。
【化57】
{式(21)中、R
20は、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基から成る群より選ばれる1価の基であり、R
21は、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、エステル基及びウレタン基から成る群より選ばれる少なくとも1つの1価の基であり、m
8は、1〜5の整数であり、m
9は、0〜4の整数であり、ここで、1≦(m
8+m
9)≦5であり、n
3は、1〜4の整数であり、V
1は、n
3=1のとき、CH
2OR
20又はR
21であり、n
3=2〜4のとき、単結合又は2〜4価の有機基であり、CH
2OR
20が複数存在する場合には、複数のR
20は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよく、そしてR
21が複数存在する場合には、複数のR
21は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよい。}
【化58】
{式(22)中、R
22及びR
23は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。}
【化59】
{式(23)中、R
24は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基から成る群より選ばれる官能基であり、V
2は、−CH
2−、−O−、及び−S−から成る群から選ばれる2価の基であり、V
3は、2価の有機基であり、m
10は、0〜4の整数であり、R
24が複数ある場合には、複数のR
24は、それぞれ同一であるか、又は異なっていてよい。)
【0148】
エポキシ化合物の好ましい具体的な例としては、1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000(商品名、DIC社製)、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150(商品名、ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。これらの中でも、得られた熱硬化膜の伸度及び耐熱性の観点から、エピクロン830、850、1050、N−680、N−690、N−695、N−770、HP−7200、HP−820、EXA−4850−1000、デナコールEX−201、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−511、EX−512、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−731、EX−810、EX−911、EM−150のエポキシ化合物が特に好ましい。
【0149】
オキセタン化合物の好ましい具体例としては、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン―イル)メトキシ]メチル}オキセタン、ETERNACOLL OXBP(商品名、宇部興産社製)等が挙げられる。
【0150】
オキサゾリン化合物の好ましい具体例としては、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、エポクロスK−2010E、K−2020E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005(商品名、日本触媒社製)等が挙げられる。これらの中でも、得られた熱硬化膜の伸度及び耐熱性の観点から、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが特に好ましい。
【0151】
カルボジイミド化合物の好ましい具体例としては、カルボジライトSV−02、V−01、V−02、V−03、V−04、V−05、V−07、V−09、E−01、E−02、LA−1(商品名、日清紡ケミカル社製)等が挙げられる。
【0152】
イソシアネート系架橋剤の好ましい具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアナート、1,3−フェニレンビスメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、タケネート500、600、コスモネートNBDI、ND(商品名、三井化学社製)、デュラネート17B−60PX、TPA−B80E、MF−B60X、MF−K60X、E402−B80T(商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0153】
具体的なアルデヒド及びアルデヒド変性体(本明細書では、変性体とは、加熱により分解してアルデヒドを生成する化合物をいう。)の例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド等が挙げられる。
【0154】
メラミン化合物、上記一般式(21)で表される化合物、及び上記一般式(22)で表される化合物の好ましい具体例としては、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300、マイコート102、105(以上、三井サイテック社製)、ニカラックMX−270、−280、−290、ニカラックMS―11、ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(以上、三和ケミカル社製)、DML−OCHP、DML−MBPC、DML−BPC、DML−PEP、DML−34X、DML−PSBP、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−POP、DML−PFP、DML−MBOC、BisCMP−F、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BisOC−P、DMOM−PTBT、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MF(以上、本州化学工業社製)、ベンゼンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、ビス(ヒドロキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、ヒドロキシメチル安息香酸ヒドロキシメチルフェニル、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ビス(メトキシメチル)クレゾール、ビス(メトキシメチル)ジメトキシベンゼン、ビス(メトキシメチル)ジフェニルエーテル、ビス(メトキシメチル)ベンゾフェノン、メトキシメチル安息香酸メトキシメチルフェニル、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ジメチルビス(メトキシメチル)ビフェニルが挙げられる。中でも、得られた熱硬化膜の伸度及び耐熱性の観点から、ニカラックMW−30MH、MW−100LH、BL−60、MX−270、MX−280、MX−290、サイメル300、303、1123、マイコート102、105、ベンゼンジメタノール、TMOM−BP、TMOM−BPA、TML−BPAF−MFが特に好ましい。
【0155】
不飽和結合含有化合物の好ましい具体例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、NKエステル1G、2G、3G、4G、9G、14G、NPG、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE−1400、A−200、A−400、A−600、TMPT、A−TMM−3(商品名、新中村化学工業社製)、BANI−M、BANI−X(商品名、丸善石油化学株式会社製)等が挙げられる。これらの中でも、得られた熱硬化膜の伸度及び耐熱性の観点から、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリルエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、BANI−M、及びBANI−Xが特に好ましい。
【0156】
金属キレート剤の好ましい具体例としては、アセチルアセトンアルミニウム(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンクロム(III)塩、アセチルアセトンマグネシウム(II)塩、アセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミニウム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンクロム(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンマグネシウム(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンニッケル(II)塩等が挙げられる。
【0157】
実施の形態では、感光性樹脂組成物中の(C)架橋剤の配合量としては、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜40質量部が好ましく、1質量部〜30質量部がより好ましい。該配合量が0.1質量部以上であれば熱硬化膜の熱物性及び機械強度が良好であり、一方で、配合量が40質量部以下であれば組成物のワニス状態での安定性及び熱硬化膜の伸度が良好であるため好ましい。
【0158】
また、上記(C)架橋剤のうち、多価アルコール化合物、及び多価アミン化合物は、本実施形態の樹脂がカルボニル基を有する場合には、カルボニル基への求核置換反応により、樹脂同士を効率良く架橋することが可能である。
【0159】
好ましい具体的な多価アルコール化合物、または多価アミン化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、デュラノールT6002、T6001、T5652、T5651、T5650J、T5650E、T4672、T4671、T4692、T4691、G3452、G3450J(製品名、旭化成ケミカルズ社製)、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等が挙げられる。
【0160】
[(D)熱酸発生剤]
感光性樹脂組成物には、硬化の温度を下げた場合でも、良好な硬化物の熱物性及び機械的物性を発現させるという観点から、(D)熱酸発生剤を更に配合することが好ましい。(D)熱酸発生剤は、熱により酸を発生する化合物であり、かつ上記(C)架橋剤の反応を促進させる化合物である。また、(D)熱酸発生剤が酸を発生させる温度としては、150℃〜250℃が好ましい。
【0161】
具体的には、(D)熱酸発生剤としては、例えば、クロロ酢酸アリル、クロロ酢酸n−ブチル、クロロ酢酸t−ブチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸ベンジル、クロロ酢酸イソプロピル、クロロ酢酸2−メトキシエチル、ジクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸2−エトキシエチル、シアノ酢酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸アリル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸t−ブチル、2−クロロ安息香酸メチル、2−クロロ安息香酸エチル、4−クロロ安息香酸エチル、2,5−ジクロロ安息香酸エチル、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、p−フルオロ安息香酸エチル、p−フルオロ安息香酸メチル、ペンタクロロフェニルカルボン酸t−ブチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、クロトン酸t−ブチルなどのカルボン酸エステル類;フェノールフタレイン、チモールフタレインなどの環状カルボン酸エステル類;メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、メタンスルホン酸2−イソプロポキシエチル、ベンゼンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−フェニルエチル、p−トルエンスルホン酸n−プロピル、p−トルエンスルホン酸n−ブチル、p−トルエンスルホン酸t−ブチル、p−トルエンスルホン酸n−ヘキシル、p−トルエンスルホン酸n−ヘプチル、p−トルエンスルホン酸n−オクチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、p−トルエンスルホン酸プロパルギル、p−トルエンスルホン酸3−ブチニル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、パーフルオロブタンスルホン酸エチル、パーフルオロブタンスルホン酸メチル、パーフルオロオクタンスルホン酸エチル等のスルホン酸エステル類;1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、フェノールレッド、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープルなどの環状スルホン酸エステル類;並びに2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、フタル酸無水物などが挙げられる。
【0162】
これらの(D)熱酸発生剤の中でも、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、メタンスルホン酸2−イソプロポキシエチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、パーフルオロブタンスルホン酸エチル、パーフルオロブタンスルホン酸メチル、パーフルオロオクタンスルホン酸エチル、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトンなどのスルホン酸エステル類、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物が好ましい。
【0163】
さらに、基板との密着性の観点から、より好ましい(D)熱酸発生剤としては、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0164】
また、上記で説明された(D)熱酸発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
【0165】
感光性樹脂組成物中の(D)熱酸発生剤の配合量としては、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜30質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましく、1質量部〜5質量部であることがさらに好ましい。この配合量が0.1質量部以上であれば熱硬化後のパターン形状を保持する効果があり、一方で、配合量が30質量部以下であればリソグラフィー性能に悪影響がなく、かつ組成物の安定性が良好であるため好ましい。
【0166】
[その他の成分]
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、溶剤、染料、界面活性剤、シランカップリング剤、溶解促進剤、架橋促進剤等を含有させることが可能である。
【0167】
溶剤としては、例えば、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等が挙げられる。より詳細には、溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。これらの中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
【0168】
実施の形態では、感光性樹脂組成物中の溶剤の使用量は、(A−1)フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部〜1000質量部であり、より好ましくは120質量部〜700質量部であり、さらに好ましくは125質量部〜500質量部の範囲である。
【0169】
染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。感光性樹脂組成物中の染料の配合量としては、(A−1)フェノール樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましい。
【0170】
界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類又はその誘導体などの非イオン系界面活性剤だけでなく、例えば、フロラード(登録商標、商品名、住友3M社製)、メガファック(登録商標、商品名、大日本インキ化学工業社製)、ルミフロン(登録商標、商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤;例えば、KP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤なども挙げられる。
【0171】
感光性樹脂組成物中の界面活性剤の配合量としては、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましい。
【0172】
シランカップリング剤としては、限定されるものではないが、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810など)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(例えば、信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0など)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシランなどが挙げられる。
【0173】
また、シランカップリング剤としては、限定されるものではないが、例えば、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アヅマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アヅマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アヅマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アヅマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)が挙げられる。
【0174】
また、シランカップリング剤としては、限定されるものではないが、例えば、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられる。
【0175】
上記で列挙されたシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p−トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
【化60】
【0176】
感光性樹脂組成物中のシランカップリング剤の配合量としては、(A−1)樹脂または(A−2)樹脂混合物100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部が好ましい。
【0177】
溶解促進剤としては、例えば、水酸基又はカルボキシル基を有する化合物などが挙げられる。水酸基を有する化合物の例としては、前述のナフトキノンジアジド化合物に使用しているバラスト剤、並びにパラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、及びMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物とをモル比1対2で反応させて得られる化合物、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。
【0178】
また、カルボキシル基を有する化合物の例としては、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、α−メトキシフェニル酢酸、O−アセチルマンデル酸、イタコン酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、2,4,5−トリメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、4−ビニル安息香酸、クミン酸、イソブチル安息香酸、4−プロピル安息香酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2−アセチル安息香酸、4−アセチル安息香酸、3−フルオロ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、4−フルオロ−2−メチル安息香酸、5−フルオロ−2−メチル安息香酸、p−アニス酸、4−アミル安息香酸、4−ブチル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、3,5−ジ−tert−ブチル安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、4−ヒドロキシメチル安息香酸、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ヒドロキシフタル酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、4−メトキシフタル酸、フタルアミド酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5−ジメチル安息香酸、モノメチルテレフタレート、トリメシン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸等が挙げられる。
【0179】
感光性樹脂組成物中の溶解促進剤の配合量としては、(A−1)樹脂又は(A−2)樹脂混合物を構成する樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましい。
【0180】
上記架橋促進剤としては、光により酸を発生するもの、又は熱若しくは光により塩基若しくはラジカルを発生するものが好ましい。
【0181】
光により酸を発生するものとしては、TPS−105、1000、DTS−105、NDS−105、165(商品名、みどり化学社製)、DPI−DMAS、TTBPS−TF、TPS−TF、DTBPI−TF(商品名、東洋合成社製)等のオニウム塩、NAI−100、101、105、106、PAI−101(商品名、みどり化学社製)、イルガキュアPAG−103、108、121、203、CGI−1380、725、NIT、1907、PNBT(商品名、BASFジャパン社製)等のオキシムスルホネート等が挙げられる。
【0182】
熱又は光により塩基を発生するものとしては、U−CATSA−1、102、506、603、810(商品名、サンアプロ社製)、CGI−1237、1290、1293(商品名、BASFジャパン社製)等のアミン塩、及び、2,6−ピペリジン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、又はヘキサメチレンジアミン等のアミノ基をウレタン基若しくはウレア基に変換したもの等が挙げられる。ウレタン基としてはt−ブトキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、ウレア基としてはフェニルアミノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0183】
熱又は光によりラジカルを発生するものとしては、イルガキュア651、184、2959、127、907、369、379(商品名、BASFジャパン社製)等のアルキルフェノン、イルガキュア819(商品名、BASFジャパン社製)等のアシルフォスフィンオキサイド、イルガキュア784(商品名、BASFジャパン社製)等のチタノセン、イルガキュアOXE01、02(商品名、BASFジャパン社製)等のオキシムエステル等が挙げられる。
【0184】
<硬化レリーフパターンの形成方法>
別の実施の形態では、上記で説明された感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを製造する方法が提供される。硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を基板に形成(塗布)する工程、
該感光性樹脂層を露光する工程、
該露光の後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、及び
該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程、
を含む。
【0185】
硬化レリーフパターンの製造方法の一例を以下に説明する。
まず、上記で説明された感光性樹脂組成物を適当な支持体又は基板、例えばシリコンウエハー、セラミック、アルミ基板等に塗布する。塗布時には、形成するパターンと支持体との耐水接着性を確保するために、あらかじめ支持体又は基板にシランカップリング剤等の接着助剤を塗布しておいてもよい。感光性樹脂組成物の塗布は、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等で行われる。
【0186】
次に、80℃〜140℃でプリベークして、(A−1)フェノール樹脂を含む感光性樹脂組成物の塗膜を乾燥させた後、感光性樹脂組成物を露光する。露光用の化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用されることができるが、200nm〜500nmの波長のものが好ましい。パターンの解像度及び取り扱い性の観点から、光源波長は、水銀ランプのg線、h線、又はi線が好ましく、これらが単独で使用されるか、又は2つ以上の化学線を混合していてもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、及びステッパ−が特に好ましい。露光後、必要に応じて、再度80℃〜140℃で塗膜を加熱してもよい。
【0187】
次に、浸漬法、パドル法、回転スプレー法等の方法により、現像が行われる。現像により、塗布された感光性樹脂組成物から、露光部(ポジ型の場合)又は未露光部(ネガ型の場合)を溶出除去し、レリーフパターンを得ることができる。
【0188】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩類等の水溶液、及び必要に応じてメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒又は界面活性剤を適当量で添加した水溶液を使用することができる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が好ましく、そして該テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、好ましくは、0.5質量%〜10質量%であり、さらに好ましくは、1質量%〜5質量%である。
【0189】
現像後、リンス液により洗浄を行い現像液を除去することにより、パターンフィルムを得ることができる。リンス液としては、例えば、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0190】
最後に、このようにして得られたレリーフパターンを加熱することで硬化レリーフパターンを得ることができる。加熱温度は、150℃以上300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
【0191】
一般的に使われているポリイミド又はポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を用いた硬化レリーフパターンの形成方法においては、300℃より高い温度に加熱して脱水環化反応を進行させることにより、ポリイミド又はポリベンズオキサゾール等に変換する必要があるが、本発明の硬化レリーフパターンの製造方法は、その必要性がないので、熱に弱い半導体装置等にも好適に使用することができる。一例を挙げるならば、硬化レリーフパターンの形成方法は、プロセス温度に制約のある高誘電体材料又は強誘電体材料、例えばチタン、タンタル、ハフニウム等の高融点金属の酸化物から成る絶縁層を有する半導体装置に好適に用いられる。また、半導体装置がこのような耐熱性上の制約を持たない場合であれば、もちろん、実施の形態においても、300℃〜400℃での加熱処理が行われてよい。このような加熱処理は、ホットプレート、オーブン、又は温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いることにより行うことができる。加熱処理を行うときの雰囲気気体としては、空気を用いてもよく、又は窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。また、より低温にて熱処理を行う必要が有るときには、真空ポンプ等を利用して減圧下にて加熱を行ってもよい。
【0192】
<半導体装置>
別の実施の形態では、上記で説明された感光性樹脂組成物を用いて、上記で説明された方法で製造された硬化レリーフパターンを有する半導体装置も提供される。この実施の形態では、半導体装置は、半導体素子と該半導体素子の上部に設けられた硬化膜とを備えており、そして硬化膜は、上記で説明された硬化レリーフパターンである。また、硬化レリーフパターンは、半導体素子に直接接触して積層されていてもよく、又は別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、及びバンプ構造を有する半導体装置の保護膜が挙げられる。実施の形態では、半導体装置は、既知の半導体装置の製造方法と上述した本発明の硬化レリーフパターンの製造方法とを組み合わせることで製造されることができる。
【0193】
<表示体装置>
別の実施の形態では、上記で説明された感光性樹脂組成物を用いて、上記で説明された方法で製造された硬化レリーフパターンを有する表示体装置も提供される。この実施の形態では、表示体装置は、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備えており、そして硬化膜は、上記で説明された硬化レリーフパターンである。また、硬化レリーフパターンは、表示体素子に直接接触して積層されていてもよく、又は別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子又はカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。実施の形態では、表示体装置は、上記で説明された半導体装置と同様に、既知の表示体装置の製造方法と上述した硬化レリーフパターンの製造方法とを組み合わせることで製造されることができる。
【0194】
表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子又はカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子又はカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物の硬化膜を、上記の方法で形成することによるものである。
【0195】
本発明の別の実施の形態では、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤と、を含むアルカリ可溶性樹脂組成物であって、該樹脂組成物を塗布および200℃で硬化して得られる硬化膜が、下記a)〜c)の全てを満たすことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂組成物を提供する:
a)膜厚7μmにおける応力が5MPa以上18MPa以下であり、
b)膜厚10μmの膜における引張伸度の最大値が20%以上100%以下であり、かつ
c)膜厚10μmにおけるガラス転移点が180℃以上300℃以下である。
【0196】
近年、半導体装置の製造工程では、主に構成部材の材質及び構造設計上の理由から、加熱硬化処理をより低い温度、例えば200℃以下の温度で行うことができる材料への要求が高まっている。
【0197】
従って、このような場合、200℃で硬化させた際にも、アルカリ可溶性樹脂組成物から成る硬化膜が、半導体の表面保護膜又は層間絶縁膜としての十分な特性を有することが求められるが、本発明者らはアルカリ可溶性樹脂組成物を200℃で硬化して得られる硬化膜が、上記a)〜c)を全て満たす場合に、半導体装置の保護膜として優れた性能を示すことを見出した。
【0198】
a)を満たす場合、すなわち応力が5MPa以上18MPa以下である場合には、シリコンウエハー上へ絶縁膜を形成した際のシリコンウエハーの反りが低減される。
b)を満たす場合、すなわち引っ張り伸度の最大値が20%以上100%以下である場合、硬化膜を半導体装置の表面保護膜又は層間絶縁膜に適用した際に、熱による応力が掛かったときにクラックが発生し難くなり、半導体装置の信頼性を高くすることが可能となる。
c)を満たす場合、すなわちガラス転移温度が180℃以上300℃以下である場合には、樹脂組成物から成る硬化膜を備えた半導体をプリント基板へと実装する際に掛かる熱により、硬化レリーフパターンが変形すること無く、実装することが可能となる。
【0199】
上記アルカリ可溶性樹脂は、限定されるものではないが、耐熱性の観点から、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体、又はフェノール樹脂から選ばれる樹脂が好ましい。
その中で、特に前記一般式(1)で表される構造を含む樹脂と、前記一般式(7)および(8)で表される構造を含む樹脂とを含む樹脂混合物であることがより好ましい。
【0200】
上記溶剤としては、特に限定されるものではなく、前述のものが挙げることができる。
また、微細なパターンを形成する観点から、アルカリ可溶性樹脂と、溶剤と、を含むアルカリ可溶性樹脂組成物に更に光酸発生剤を含むことが好ましい。
【0201】
光酸発生剤としては、前述のものを挙げることができる。
また、硬化物の熱物性及び機械的物性を更に向上させるために、架橋剤をアルカリ可溶性樹脂組成物に更に配合することが好ましい。
架橋剤としては、前述のものを挙げることができる。
更には、熱酸発生剤、及びその他の成分についても、前述のものを添加することができる。
【0202】
また、本発明の別の実施の形態では、フェノール樹脂と、光酸発生剤と、溶剤と、を含むポジ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板に塗布し、露光し、現像し、硬化させて得られる硬化物であって、5μm以上100μm以下のスペース部位と、1mm以上10mm以下のランド部位の断面形状において、硬化膜厚の半分の高さで接線を引いたときの基材表面に対する内角で規定される断面角度が40°以上90°以下であることを特徴とする硬化膜を提供する。
【0203】
硬化物の断面角度が40°以上であることにより、硬化膜下の配線層が剥き出しとなるのを防ぎ、一方で、断面角度が90°以下であることにより、硬化膜にかかる応力集中を防ぎ、硬化膜した構造体へのダメージを低減することができる。硬化物の断面角度は、より好ましくは、40°以上85°以下であり、45°以上80°以下が特に好ましい。
【0204】
前記基板としては、シリコンウエハーなどを挙げることができる。
前記露光、現像及び硬化の条件については、硬化物の断面角度が40°以上90°以下である硬化膜が得られれば限定されないが、例えば、後述する実施例において説明される条件下で、前記露光、現像及び硬化を実施することができる。
【実施例】
【0205】
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0206】
なお、実施例中の測定条件は以下に示すとおりである。
【0207】
<重量平均分子量(Mw)>
GPCにより、標準ポリスチレン(昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105)換算で算出した。使用したGPC装置及び測定条件は以下の通りである。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:Shodex KD−806M 直列に2本
移動相:0.01mol/l LiBr/N−メチルピロリドン
流速:1.0ml/min.
【0208】
<アルカリ溶解性評価>
樹脂をγ−ブチロラクトンに固形分濃度37質量%となるように溶解させ、これをシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレート上において該シリコンウエハー及びスピンコート膜を120℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、10μmの膜厚の塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。次いで、膜を2.38質量%、液温23.0℃のTMAH水溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製AZ300MIF)中にディップした後に、再び膜厚を測定し、塗布膜の溶解速度を算出した。溶解速度が、0.01μm/sec以上のものを、アルカリ溶解性「良」とし、0.01μm/sec未満のものを「不良」とした。
【0209】
<硬化時の残膜率及び硬化レリーフパターン形状評価>
感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレート上において該シリコンウエハー及びスピンコート膜を120℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、10μmの膜厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通して、i線(365nm)の露光波長を有するステッパNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて露光量500mJ/cm
2のi線を照射することにより露光した。露光後、後述する実施例12、13、33、59、68、70、71及び72については、120℃で180秒間ホットプレートにて再加熱した。次に、現像機(D−SPIN)にて23℃で2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液AZ−300MIF(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて、100秒間現像し、純水でリンスし、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)にて窒素雰囲気下、225℃または250℃で1時間硬化を行い、硬化レリーフパターンを得た。この際、硬化前後において接触式膜厚測定装置P−15(ケーエルエー・テンコール社製)にて膜厚を測定し、硬化時の残膜率を算出した。
また、硬化後に20μm四方のレリーフパターンが埋まらずに形状を維持しているものを、硬化レリーフパターン形状「良」とし、形状が崩れてパターンが埋まってしまったものを、硬化レリーフパターン形状「不良」とした。但し、実施例13、33、59、68、70、71、72については、ネガ型のため、パターン形状が崩れてしまったものを「不良」とした。
【0210】
<引っ張り伸度測定>
伸度測定用サンプルを以下の方法で作製した。最表面にアルミ蒸着層を設けた6インチシリコンウエハー基板に、実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、硬化後の膜厚が約10μmとなるように回転塗布し、120℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。この塗膜を窒素雰囲気下200℃または225℃または250℃で1時間加熱し、膜厚10μmの膜を得た。得られた樹脂硬化膜を、ダイシングソーで3mm幅にカットした後に、希塩酸水溶液によりウエハーから剥離し、得られる20本の試料を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気に24時間以上静置後、引っ張り試験機(テンシロン)にて伸度を測定した。225℃または250℃で硬化させた膜の伸度は20本の平均値を示し、200℃で硬化させた膜の伸度は最大値を示す。引っ張り試験機の測定条件は以下の通りであった。
温度:23℃
相対湿度:50%
初期試料長さ:50mm
試験速度:40mm/min
ロードセル定格:2kgf
【0211】
<ガラス転移点測定>
上記引っ張り伸度測定用に作製したサンプルと同様に、膜厚約10μm、幅3mmの硬化膜片を作製し、これを熱機械分析装置(島津製作所製、型式名TMA−50)を用いてガラス転移温度を測定した。測定条件は以下の通りであった。
試料長:10mm
定荷重:200g/mm
2
測定温度範囲:25℃〜400℃
昇温速度:10℃/min
測定雰囲気:窒素雰囲気
【0212】
<残留応力測定>
予め反り量を測定しておいた、厚み625μm±25μmの6インチシリコンウエハー上に、実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を硬化後の膜厚が約10μmとなるように回転塗布し、120℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。この塗膜を窒素雰囲気下200℃で1時間加熱し、膜厚10μmの膜を得た。得られた硬化膜付きウエハーを温度23℃、湿度50%の雰囲気に24時間静置後、このウエハーの残留応力を残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX−2320)を用いて測定した。
【0213】
<断面角度測定>
感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレート上において該シリコンウエハー及びスピンコート膜を120℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、10μmの膜厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通して、i線(365nm)の露光波長を有するステッパNSR2005i8A(ニコン社製)を用いて露光量500mJ/cm
2のi線を照射することにより露光した。露光後、後述する実施例12、13、33、58、67、69、70及び71については、120℃で180秒間ホットプレートにて再加熱した。次に、現像機(D−SPIN)にて23℃で2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液AZ−300MIF(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いて、100秒間現像し、純水でリンスし、縦型キュア炉VF200B(光洋サーモシステム社製)にて窒素雰囲気下、200℃で1時間硬化を行い、硬化レリーフパターンを得た。その後、50umのスペース部位と、5mmのランド部位の断面形状をSEM(日立ハイテクノロジーズ社製、型式名S−4800)を用いて観察し、硬化膜厚の半分の高さで接線を引いた時の基材表面に対する内角で規定される断面角度を測定した。
【0214】
<
1H NMR測定条件>
測定装置:日本電子社製JNM−GSX400型
測定温度:23℃
測定溶媒:重ジメチルスルホキシド溶媒(DMSO−d
6)
【0215】
実施例および比較例で用いた(B)光酸発生剤、(C)架橋剤、(D)熱酸発生剤の構造は下記の通りである。
【0216】
(B−1)
下記式で示す光酸発生剤
【化61】
{上式中、Qの内83%が以下の式で表される構造であり、残余が水素原子である。}。
【化62】
【0217】
(B−2)
イルガキュア PAG121(商品名、BASFジャパン社製)
【0218】
(B−3)
下記式で示す光酸発生剤
【化63】
【0219】
(C―1)
【化64】
(ニカラックMX―270、商品名、三和ケミカル社製)
【0220】
(C―2)
下記式で示す架橋剤
【化65】
イソシアヌル酸トリグリシジル
【0221】
(C―3)
下記式で示す架橋剤
【化66】
{式中、n
8は1〜3の整数である。}
ETERNACOLL OXBP(商品名、宇部興産社製)
【0222】
(C―4)
下記式で示す架橋剤
【化67】
デュラネートTPA−B80E(商品名、旭化成ケミカルズ社製)
【0223】
(C―5)
下記式で示す架橋剤
【化68】
p−キシリレングリコール
【0224】
(C―6):デュラノール T5652(製品名、旭化成ケミカルズ社製)
【0225】
(C―7)
下記式で示す架橋剤
【化69】
2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール
【0226】
(D−1)
下記式で示す熱酸発生剤
【化70】
p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル
【0227】
EP−4080G:ノボラック樹脂、旭有機材社製、重量平均分子量=10,600
MEH−7851−4H:フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=10,000、下記一般式(24)で表される構造
MEH−7851−SS:フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=1,600、下記一般式(24)で表される構造
【化71】
【0228】
[合成例1]
<樹脂P1−1の合成>
容量0.5リットルのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスラスコ中で、没食子酸プロピル76.4g(0.36mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル67.9g(0.28mol)、ジエチル硫酸2.2g(0.014mol)、ジグリム(以下「DMDG」ともいう。)100gを70℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0229】
混合溶液をオイルバスにより140℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま140℃で反応液を5時間攪拌した。
【0230】
次に反応容器を大気中で冷却し、これに別途テトラヒドロフラン150gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を5Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P1−1)を収率76%で得た。このようにして合成された樹脂(P1−1)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,900であった。P1−1を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解させて日本電子社製JNM−GSX400型にて測定した
1H NMRスペクトルを
図1に示す。
【0231】
[合成例2]
<樹脂P1−2の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル70.6g(0.42mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−2)を収率78%で得た。合成された樹脂(P1−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で14,600であった。合成例1と同様にして、P1−2を測定した
1H NMRスペクトルを
図2に示す。
【0232】
[合成例3]
<樹脂P1−3の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、2,4−ジヒドロキシベンズアミド64.3g(0.42mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−3)を収率82%で得た。合成された樹脂(P1−3)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で19,200であった。
【0233】
[合成例4]
<樹脂P1−4の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン71.0g(0.47mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−4)を収率73%で得た。合成された樹脂(P1−4)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,800であった。
【0234】
[合成例5]
<イミドフェノール化合物I−1の合成>
容量0.5リットルのセパラブルフラスラスコに2−アミノフェノール54.6g(0.5mol)、γ−ブチロラクトン(GBL)120g、ピリジン39.6g(0.5mol)を入れ、これに室温でメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物89.1g(0.5mol)を投入した。そのまま室温で一晩撹拌反応を行ったあと、低分子GPCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま2リットルのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、生成物を析出させた。これを濾別した後、真空乾燥することにより下記構造のイミドフェノール化合物(I−1)を収率85%で得た。
【化72】
【0235】
<樹脂P1−5の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、上記化合物(I−1)85.0g(0.44mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−5)を収率58%で得た。合成された樹脂(P1−5)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3,900であった。
【0236】
[合成例6]
<樹脂P1−6の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、サリチル酸51.6g(0.37mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−6)を収率71%で得た。合成された樹脂(P1−6)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で18,200であった。
【0237】
[合成例7]
<樹脂P1−7の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、2,4−ジヒドロキシ安息香酸60.4g(0.39mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−7)を収率66%で得た。合成された樹脂(P1−7)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で13,500であった。
【0238】
[合成例8]
<樹脂P1−8の合成>
合成例1の没食子酸プロピルの代わりに、3−ニトロフェノール60.6g(0.44mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−8)を収率70%で得た。合成された樹脂(P1−8)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,500であった。
【0239】
[合成例9]
<樹脂P1−9の合成>
合成例1の4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルの代わりに、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン41.4g(0.3mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−9)を収率72%で得た。合成された樹脂(P1−9)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で12,600であった。
【0240】
[合成例10]
<樹脂P1−10の合成>
合成例1の4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルの代わりに、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール50.5g(0.3mol)を用いて、合成例1と同様に合成を行い、樹脂(P1−10)を収率74%で得た。合成された樹脂(P1−10)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で13,400であった。
【0241】
[合成例11]
<樹脂P1−11の合成>
容量0.5リットルのセパラブルフラスラスコ中で、合成例1で得られた樹脂P1−1を50g、GBL70gを混合攪拌し、固形物を溶解させた。その後、二炭酸ジ−tert−ブチル26.2g(0.12モル)をGBL25gと共に滴下した。その後ピリジン4.7g(0.06モル)をGBL10gと共に滴下し、室温で5時間反応させた。
【0242】
次に、別途テトラヒドロフラン100gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を3Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、全水酸基の30%がtert−ブトキシカルボニル基で保護された目的の樹脂(P1−11)を得た。
【0243】
<アルカリ溶解性評価>
合成例1〜10で得られた樹脂P1−1〜P1−10、並びに樹脂P1−12(EP−4080G:m−クレゾール:p−クレゾール=60:40の混合物とホルムアルデヒドとを縮合させたノボラック樹脂、旭有機材社製、重量平均分子量=10,600)、樹脂P1−13(MEH−7851−4H:フェノールと4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルを縮合させたフェノール−ビフェニルジイル樹脂を主として含む樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=10,000)及び樹脂P1−14(MEH−7851−SS:フェノールと4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニルを縮合させたフェノール−ビフェニルジイル樹脂を主として含む樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=1,600)を用い、上述の方法によりアルカリ溶解性の評価を行った。結果を下の表1に示す。
【0244】
【表1】
【0245】
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製およびその評価>
(実施例1)
上記合成例1にて得られた樹脂(P1−1)100質量部、光酸発生剤(B―1)12質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0246】
(実施例2)
実施例1において、さらに架橋剤(C−1)を20質量部加えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0247】
(実施例3〜11)
実施例2において、樹脂P1−1を、表3に示す通り樹脂P1―2〜P1−10に代えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0248】
(実施例12)
樹脂(P1−11)100質量部、光酸発生剤(B―2)5質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0249】
(実施例13)
樹脂(P1−1)100質量部、光酸発生剤(B―2)5質量部、及び架橋剤(C−1)20質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、そのアルカリ溶解性、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0250】
(実施例14)
実施例2において、光酸発生剤B−1の添加量を20質量部に代えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0251】
(実施例15)
実施例2において、架橋剤C−1の添加量を40質量部に代えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0252】
(実施例16)
実施例2において、架橋剤C−1の変わりに架橋剤C−2を10質量部加えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0253】
(実施例17)
実施例2において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−3を20質量部加えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0254】
(実施例18)
実施例2において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−4を10質量部加えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0255】
(実施例19)
実施例2において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−5を10質量部加えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0256】
(実施例20)
実施例2において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−6を5質量部加えた以外は実施例2と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0257】
(比較例1)
実施例1において、樹脂P1−1を、樹脂(P1−12)に代えた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
【0258】
(比較例2)
実施例1において、樹脂P1−1を、樹脂(P1−13)に代えた以外は実施例1と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状についてはアルカリ溶解性が不十分であり、レリーフパターンの形成ができなかったため、評価できなかった。評価結果を表2に示す。
【0259】
(比較例3)
実施例1において、樹脂P1−1を、樹脂(P1−14)に替えた以外は実施例1と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表2に示す。
【0260】
(比較例4)
実施例2において、樹脂P1−1を、樹脂(P1−14)に替えた以外は実施例2と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表2に示す。
【0261】
【表2】
【0262】
表2に示した結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、十分なアルカリ溶解性を有し、硬化膜の引っ張り伸度に優れ、硬化レリーフパターンの形状が良好な樹脂膜を与えることを示す。
【0263】
[合成例12]
<樹脂P2−1の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン91.8g(0.833mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(BMMB)109.0g(0.45mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0264】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0265】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール8.3g(0.050mol)、PGME83gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
【0266】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME50gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P2−1)を収率78%で得た。このようにして合成された樹脂(P2−1)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で6,600であった。P2−1を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解させて日本電子社製JNM−GSX400型にて測定したNMRスペクトルを
図3に示す。
【0267】
[合成例13]
<樹脂P2−2の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン85.6g(0.778mol)、BMMB96.9g(0.40mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0268】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0269】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール16.2g(0.100mol)、PGME162gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−2)を収率77%で得た。合成された樹脂(P2−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で9,000であった。合成例12と同様にして、P2−2を測定したNMRスペクトルを
図4に示す。
【0270】
[合成例14]
<樹脂P2−3の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン81.3g(0.738mol)、BMMB84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0271】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0272】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール24.9(0.150mol)g、PGME249gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
【0273】
反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−3)を収率77%で得た。合成された樹脂(P2−3)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で9,900であった。合成例12と同様にして、P2−3を測定したNMRスペクトルを
図5に示す。
【0274】
[合成例15]
<樹脂P2−4の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン78.0g(0.708mol)、BMMB72.7g(0.30mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0275】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0276】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール33.2g(0.200mol)、PGME332gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
【0277】
反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−4)を収率79%で得た。合成された樹脂(P2−4)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,500であった。合成例12と同様にして、P2−4を測定したNMRスペクトルを
図6に示す。
【0278】
[合成例16]
<樹脂P2−5の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン73.7g(0.667mol)、BMMB48.5g(0.20mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0279】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0280】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール49.9g(0.300mol)、PGME499gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−5)を収率81%で得た。合成された樹脂(P2−5)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で18,500であった。
【0281】
[合成例17]
<樹脂P2−6の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、ピロガロール88.3g(0.700mol)、BMMB96.9g(0.40mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)130gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0282】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより115℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0283】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール16.6g(0.100mol)、PGME166gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−6)を収率81%で得た。合成された樹脂(P2−6)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で11,200であった。合成例12と同様にして、P2−6を測定したNMRスペクトルを
図7に示す。
【0284】
[合成例18]
<樹脂P2−7の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、フロログルシノール・二水和物119.7g(0.738mol)、BMMB109.0g(0.45mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)130gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0285】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0286】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール8.3g(0.100mol)、PGME83gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。反応終了後は合成例12と同様の処理を行い、樹脂(P2−7)を収率84%で得た。合成された樹脂(P2−7)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で21,000であった。合成例12と同様にして、P2−7を測定したNMRスペクトルを
図8に示す。
【0287】
[合成例19]
<樹脂P2−8の合成>
合成例15の2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール33.2g(0.200mol)の代わりに、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−エトキシフェノール39.6g(0.200mol)を用いて、合成例15と同様に合成を行い、樹脂(P2−8)を収率82%で得た。合成された樹脂(P2−8)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,800であった。
【0288】
[合成例20]
<樹脂P2−9の合成>
合成例15の2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール33.2g(0.200mol)の代わりに、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール47.7g(0.200mol)を用いて、合成例15と同様に合成を行い、樹脂(P2−9)を収率80%で得た。合成された樹脂(P2−9)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,200であった。
【0289】
[合成例21]
<樹脂P2−10の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン91.8g(0.833mol)、TML−BPAF−MF(本州化学製品名)82.1g(0.18mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0290】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま120℃で反応液を3時間攪拌した。
【0291】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール41.5g(0.25mol)、PGME83gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME50gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P2−10)を収率75%で得た。このようにして合成された樹脂(P2−10)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,600であった。
【0292】
以下に、TML−BPAF−MFの構造を記載する。
【化73】
【0293】
[合成例22]
<樹脂P2−11の合成>
合成例21のTML−BPAF−MF(本州化学製品名)82.1g(0.18mol)の代わりに、TMOM−BPA(本州化学製品名)72.8g(0.18mol)を用いて、合成例12と同様に合成を行い、樹脂(P2−11)を収率73%で得た。合成された樹脂(P2−11)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で7,600であった。
【0294】
以下に、TMOM−BPAの構造を記載する。
【化74】
【0295】
<アルカリ溶解性評価の結果>
合成例12〜22で得られた樹脂P2−1〜P2−11、並びに樹脂P2−12(EP−4080G(ノボラック樹脂、旭有機材社製、重量平均分子量=10,600)、樹脂P2−13(MEH−7851−4H(フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=10,000)及び樹脂P2−14(MEH−7851−SS(フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=1,600)、を用い、上述の方法によりアルカリ溶解性の評価を行った。結果を下の表3に示す。
【0296】
【表3】
【0297】
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製およびその評価>
(実施例21)
上記合成例12にて得られた樹脂(P2−1)100質量部、光酸発生剤(B−1)11質量部を、γ−ブチロラクトン(GBL)114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0298】
(実施例22)
実施例21において、さらに架橋剤(C−1)を10質量部加えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0299】
(実施例23〜32)
樹脂P2−1を、表4に示す通り、樹脂P2−2〜P2−11に替えた以外は実施例22と同様に組成物を調製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0300】
(実施例33)
樹脂(P2−3)100質量部、光酸発生剤(B−2)5質量部及び架橋剤(C−1)15質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、その硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0301】
(実施例34)
実施例24において、感光剤B−1の添加量を20質量部に替えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0302】
(実施例35)
実施例24において、架橋剤C−1の添加量を40質量部に替えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0303】
(実施例36)
実施例24において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−2を20質量部加えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0304】
(実施例37)
実施例24において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−3を20質量部加えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0305】
(実施例38)
実施例24において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−4を15質量部加えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0306】
(実施例39)
実施例24において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−5を10質量部加えた以外は実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0307】
(実施例40)
実施例24において、さらに熱酸発生剤(D−1)を4質量部加え、キュア温度を200℃で評価を行った以外は、実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0308】
(実施例41)
実施例24において、キュア温度200℃で評価を行った以外は、実施例24と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0309】
(実施例42)
実施例26において、光酸発生剤B−1の代わりに、光酸発生剤B−3を15質量部加えた以外は、実施例26と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0310】
(実施例43)
実施例26において、GBL114質量部の代わりに、GBL57質量部及びテトラヒドロフルフリルアルコール57質量部加えた以外は、実施例26と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0311】
(実施例44)
実施例26において、さらにフタル酸を5質量部加えた以外は、実施例26と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0312】
(実施例45)
実施例26において、さらにピロメリット酸を5質量部加えた以外は、実施例26と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0313】
(比較例5)
実施例21において、樹脂P2−1を、樹脂(P2−12)に替えた以外は実施例21と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表4に示す。
【0314】
(比較例6)
実施例21において、樹脂P2−1を、樹脂(P2−13)に替えた以外は実施例21と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状についてはアルカリ溶解性が不十分であり、レリーフパターンの形成ができなかったため、評価できなかった。評価結果を表4に示す。
【0315】
(比較例7)
実施例21において、樹脂P2−1を、樹脂(P2−14)に替えた以外は実施例21と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表4に示す。
【0316】
(比較例8)
実施例22において、樹脂P2−1を、樹脂(P2−14)に替えた以外は実施例22と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表4に示す。
【0317】
【表4】
【0318】
表4に示した結果から、実施例21〜45は、硬化膜の引っ張り伸度に優れ、厚膜でのパターン形成が可能であり、硬化レリーフパターンの形状が良好な樹脂膜を与えることを示す。
【0319】
[合成例23]
<樹脂P3−1の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン81.3g(0.738mol)、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(以下、「BMMB」という。)84.8g(0.35mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0320】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0321】
次に、別途容器でホルムアルデヒド液(37%)12.3g(純分0.15mol)gを、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0322】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME50gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P3−1)を収率82%で得た。合成された樹脂(P3−1)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,700であった。
【0323】
[合成例24]
<樹脂P3−2の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン91.8g(0.833mol)、BMMB109.0g(0.45mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0324】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0325】
次に、別途容器でホルムアルデヒド液(37%)4.1g(純分0.050mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0326】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−2)を収率74%で得た。合成された樹脂(P3−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で6,400であった。
【0327】
[合成例25]
<樹脂P3−3の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン85.6g(0.778mol)、BMMB96.9g(0.40mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0328】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0329】
次に、別途容器でホルムアルデヒド液(37%)8.2g(純分0.10mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0330】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−3)を収率83%で得た。このようにして合成された樹脂(P3−3)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,200であった。
【0331】
[合成例26]
<樹脂P3−4の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン78.0g(0.708mol)、BMMB72.7g(0.30mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0332】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0333】
次に、別途容器でホルムアルデヒド液(37%)16.4g(0.200mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0334】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−4)を収率82%で得た。合成された樹脂(P3−4)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,200であった。
【0335】
[合成例27]
<樹脂P3−5の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン73.7g(0.68mol)、BMMB48.5g(0.20mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0336】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0337】
次に、別途容器でホルムアルデヒド液(37%)24.6g(純分0.300mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0338】
反応終了後は合成例1と同様の処理を行い、樹脂(P3−5)を収率74%で得た。合成された樹脂(P3−5)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で13,900であった。
【0339】
[合成例28]
<樹脂P3−6の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、ピロガロール88.3g(0.700mol)、BMMB96.9g(0.40mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0340】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより115℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0341】
次に、ホルムアルデヒド液(37%)8.2g(純分0.10mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0342】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−6)を収率80%で得た。合成された樹脂(P3−6)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,600であった。
【0343】
[合成例29]
<樹脂P3−7の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、フロログルシノール・二水和物119.7g(0.738mol)、BMMB109.0g(0.45mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0344】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0345】
次に、ホルムアルデヒド液(37%)4.1g(純分0.050mol)を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0346】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−7)を収率71%で得た。合成された樹脂(P3−7)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で18,600であった。
【0347】
[合成例30]
<樹脂P3−8の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン82.6g(0.750mol)、BMMB84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0348】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0349】
次に、別途容器でプロピオンアルデヒド8.7g(0.150mol)、PGME50gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0350】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−8)を収率82%で得た。合成された樹脂(P3−8)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,500であった。
【0351】
[合成例31]
<樹脂P3−9の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン84.0g(0.763mol)、BMMB84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0352】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0353】
次に、別途容器で2−メチルバレルアルデヒド15.0g(0.150mol)、PGME50gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0354】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−9)を収率81%で得た。合成された樹脂(P3−9)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,400であった。
【0355】
[合成例32]
<樹脂P3−10の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン89.5g(0.813mol)、BMMB84.8g(0.350mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0356】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0357】
次に、別途容器でドデカナール27.6g(0.150mol)をPGME50gで希釈し、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0358】
反応終了後は合成例23と同様の処理を行い、樹脂(P3−10)を収率79%で得た。合成された樹脂(P3−10)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で7,900であった。
【0359】
[合成例33]
<樹脂P3−11の合成>
合成例31の2−メチルバレルアルデヒド15.0g(0.150mol)の代わりに、5−ノルボルネンカルボキシアルデヒド18.3g(0.150mol)を用いて、合成例31と同様に合成を行い、樹脂(P3−11)を収率80%で得た。合成された樹脂(P3−11)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,800であった。
【0360】
[合成例34]
<樹脂P3−12の合成>
合成例31の2−メチルバレルアルデヒド15.0g(0.150mol)の代わりに、サリチルアルデヒド18.3g(0.150mol)を用いて、合成例31と同様に合成を行い、樹脂(P3−12)を収率76%で得た。合成された樹脂(P3−12)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8,600であった。
【0361】
<アルカリ溶解性評価>
合成例23〜34で得られた樹脂P3−1〜P3−12、並びに樹脂P3−13(EP−4080G(ノボラック樹脂、旭有機材社製、重量平均分子量=10,600)、樹脂P−14(MEH−7851−4H(フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=10,000)及び樹脂P−15(MEH−7851−SS(フェノール−ビフェニルジイル樹脂、明和化成社製、重量平均分子量=1,600)を用い、上述の方法によりアルカリ溶解性の評価を行った。結果を下の表5に示す。
【0362】
【表5】
【0363】
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製およびその評価>
(実施例46)
上記合成例23にて得られた樹脂(P3−1)100質量部、光酸発生剤(B―1)11質量部を、γ―ブチロラクトン(GBL)114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、熱硬化時の残膜率、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表6に示す。
【0364】
(実施例47)
実施例46において、さらに架橋剤(C−1)を10質量部加えた以外は、実施例46と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0365】
(実施例48〜58)
実施例47において、樹脂P3−1を、表6に示す通り上記合成例24〜34にて得られた樹脂P3―2〜P3−12に替えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0366】
(実施例59)
樹脂(P3−1)100質量部、光酸発生剤(B―2)5質量部及び架橋剤(C−1)15質量部を、GBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、その硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表6に示す。
【0367】
(実施例60)
実施例47において、光酸発生剤B−1の添加量を20質量部に替えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0368】
(実施例61)
実施例47において、架橋剤C−1の添加量を40質量部に替えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0369】
(実施例62)
実施例47において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−2を20質量部加えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0370】
(実施例63)
実施例47において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−3を20質量部加えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0371】
(実施例64)
実施例47において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−4を15質量部加えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0372】
(実施例65)
実施例47において、架橋剤C−1の代わりに架橋剤C−7を10質量部加えた以外は実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0373】
(実施例66、67)
実施例66は、実施例47において、さらに熱酸発生剤(D−1)を4質量部加え、硬化温度を200℃とした以外は、実施例47と同様に行った。実施例67は、実施例47において、硬化温度を200℃とした以外は、実施例47と同様に行った。評価結果を表6に示す。
【0374】
(比較例9)
実施例46において、樹脂P3−1を、樹脂(P3−13)に替えた以外は実施例46と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表6に示す。
【0375】
(比較例10)
実施例47において、樹脂P3−1を、樹脂(P3−13)に替えた以外は実施例47と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表6に示す。
【0376】
(比較例11)
実施例46において、樹脂P3−1を、樹脂(P3−14)に替えた以外は実施例46と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状についてはアルカリ溶解性が不十分であり、レリーフパターンの形成ができなかったため、評価できなかった。評価結果を表6に示す。
【0377】
(比較例12)
実施例46において、樹脂P3−1を、樹脂(P3−15)に替えた以外は実施例46と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表6に示す。
【0378】
(比較例13)
実施例47において、樹脂P3−1を、樹脂(P3−15)に替えた以外は実施例47と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状については、パターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表6に示す。
【0379】
【表6】
【0380】
表6から、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の引っ張り伸度に優れ、厚膜でのパターン形成が可能であり、硬化時の残膜率が高く、かつ硬化レリーフパターンの形状が良好な樹脂膜を与えることが示された。
【0381】
[合成例35]
<樹脂P4−1の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、フェノール83.3g(0.885mol)、BMMB48.5g(0.20mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、ジグリム(DMDG)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0382】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより150℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま150℃で反応液を3時間攪拌し、その後120℃まで冷却した。
【0383】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール50.5g(0.300mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)450gを混合撹拌し、均一溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
【0384】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−1)を収率64%で得た。合成された樹脂(P4−1)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で4,700であった。
【0385】
[合成例36]
<樹脂P4−2の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、2−ヒドロキシ安息香酸メチル114.1g(0.75mol)、BMMB72.7g(0.30mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)ジグリム(DMDG)116gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0386】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより150℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。そのまま150℃で反応液を3時間攪拌し、その後120℃まで冷却した。
【0387】
次に、別途容器で2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール33.2g(0.200mol)、PGME332gを混合撹拌し、均一溶解させた溶液を、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後更に2時間撹拌した。
【0388】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−2)を収率74%で得た。合成された樹脂(P4−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で6,900であった。
【0389】
[合成例37]
<樹脂P4−3の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン95.8g(0.870mol)、BMMB84.8g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0390】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0391】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME300gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−3)を収率66%で得た。合成された樹脂(P4−3)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で5,800であった。P4−3を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解させて日本電子社製JNM−GSX400型にて測定したNMRスペクトルを
図9示す。
【0392】
[合成例38]
<樹脂P4−4の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン60.6g(0.550mol)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール84.8g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0393】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0394】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME400gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−4)を収率71%で得た。合成された樹脂(P4−4)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で38,600であった。
【0395】
[合成例39]
<樹脂P4−5の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、レゾルシン59.0g(0.536mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを40℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0396】
次に、ホルムアルデヒド液(37%)40.6g(純分0.50mol)gを、滴下漏斗を用いて、該セパラブルフラスコに1時間で滴下し、滴下後60℃に昇温し、更に2時間撹拌した。
【0397】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME400gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−5)を収率82%で得た。合成された樹脂(P4−5)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で27,900であった。
【0398】
[合成例40]
<樹脂P4−6の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、ピロガロール84.1g(0.667mol)、BMMB121.2g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、ジグリム(DMDG)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0399】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0400】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME300gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−6)を収率79%で得た。合成された樹脂(P4−6)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で12,800であった。
【0401】
[合成例41]
<樹脂P4−7の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、ピロガロール67.3g(0.533mol)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール84.1g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0402】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより120℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。120℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0403】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME400gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−7)を収率83%で得た。合成された樹脂(P4−7)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で45,700であった。
【0404】
[合成例42]
<樹脂P4−8の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、2−ヒドロキシ安息香酸メチル114.1g(0.750mol)、BMMB121.2g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、ジグリム(DMDG)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0405】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより150℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。150℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0406】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME300gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−8)を収率76%で得た。合成された樹脂(P4−8)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で6,600であった。
【0407】
[合成例43]
<樹脂P4−9の合成>
始めに容量1.0Lのディーン・スターク装置付きセパラブルフラスコを窒素置換し、その後、該セパラブルフラスコ中で、2−ヒドロキシ安息香酸メチル91.3g(0.600mol)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール84.1g(0.500mol)、p−トルエンスルホン酸3.81g(0.02mol)、ジグリム(DMDG)150gを50℃で混合攪拌し、固形物を溶解させた。
【0408】
溶解させた混合溶液をオイルバスにより130℃に加温し、反応液よりメタノールの発生を確認した。130℃を維持しながら反応液を3時間攪拌した後に溶液を室温まで冷却した。
【0409】
反応終了後、反応容器を大気中で冷却し、これに別途PGME300gを加えて攪拌した。上記反応希釈液を8Lの水に高速攪拌下で滴下し樹脂を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、樹脂(P4−9)を収率76%で得た。合成された樹脂(P4−9)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で12,100であった。
【0410】
<アルカリ溶解性評価>
合成例35〜42で得られた樹脂P4−1〜P4−9、EP−4080G(P4−10)、及び/又はMEH−7851−SS(P4−11)を、単独または表7に示す混合割合の樹脂混合物として使用し、ポリマーP−1〜P−12を調製して、上述の方法でアルカリ溶解性の評価を行った。結果を下の表7に示す。
【0411】
【表7】
【0412】
<感光性樹脂組成物の調製およびその評価>
(実施例68)
上記合成例35にて得られた樹脂(P4−1)100質量部、光酸発生剤(B―2)5質量部、架橋剤(C−1)15質量部を、γ―ブチロラクトン(GBL)114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、熱硬化時の残膜率、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表8に示す。
【0413】
(実施例69)
上記合成例36にて得られた樹脂(P4−2)100質量部、光酸発生剤(B―1)11質量部、架橋剤(C−1)10質量部を、γ―ブチロラクトン(GBL)114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、熱硬化時の残膜率、硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表8に示す。
【0414】
(実施例70)
実施例68において、樹脂(P4−1)100質量部を樹脂(P4−3)100質量部に替えた以外は実施例68と同様に行った。評価結果を表8に示す。
【0415】
(実施例71、72)
樹脂P4−3、P4−4、P4−10、P4−11、光酸発生剤(B―2)及び架橋剤(C−1)を表8に示す配合比で配合し、これらをGBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、その硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表8に示す。
【0416】
(実施例73〜79)
樹脂P4−3〜P4−11、光酸発生剤(B―1)及び架橋剤(C−1)を表8に示す配合比で配合し、これらをGBL114質量部に溶解し、0.1μmのフィルターで濾過してポジ型感光性樹脂組成物を調製し、その硬化レリーフパターン形状および引っ張り伸度を評価した。評価結果を表8に示す。
【0417】
(比較例14)
実施例69において、樹脂(P4−2)100質量部を、樹脂(P4−10)50質量部及び樹脂(P4−11)50質量部の混合物に替えた以外は実施例69と同様に行った。硬化レリーフパターンの形状についてはパターンが埋まってしまい、評価は「不良」であった。評価結果を表8に示す。
【0418】
【表8】
【0419】
表8から、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜の引っ張り伸度に優れ、厚膜でのパターン形成が可能であり、硬化時の残膜率が高く、かつ硬化レリーフパターンの形状が良好な樹脂膜を与えることが示された。
【0420】
次に、実施例2、26、44、45、51及び75、比較例1、3、4及び14における感光性樹脂組成物については、硬化温度を200℃とし、前述の方法により、引っ張り伸度測定、ガラス転移温度測定、残留応力測定、及び断面角度測定を行った。評価結果を表9に示す。
【0421】
【表9】