特許第6228466号(P6228466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228466
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】トイレ制御システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   A47K13/24ZJG
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-1843(P2014-1843)
(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公開番号】特開2015-128529(P2015-128529A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小山 徹
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−322805(JP,A)
【文献】 特開2001−317247(JP,A)
【文献】 特開2002−013328(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0056084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00−17/02
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの電子鍵から該ユーザの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
ユーザの識別情報と該識別情報に係るユーザの個人情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、
便器の便蓋及び便座を開閉させるアクチュエータと、
前記識別情報取得手段が取得した識別情報に対応するユーザの個人情報を前記記憶手段から読出し、該個人情報に基づいて前記便蓋及び前記便座の開閉をするように、前記アクチュエータを各々制御すると共に、前記記憶手段から読出した個人情報が男性を示す場合には前記便蓋及び前記便座を開くように、前記記憶手段から読出した個人情報が女性を示す場合には前記便蓋を開きかつ前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記記憶手段から読出した個人情報から建物内のユーザの男女別の人数を算出し、男性が多い場合には前記便蓋及び前記便座を開くように、女性が多い場合には前記便蓋を開きかつ前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御する制御手段と、
を備えたトイレ制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記識別情報取得手段が取得した識別情報から算出した前記建物内のユーザの人数が0の場合は、前記便蓋及び前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御する請求項に記載のトイレ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設置されるトイレ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの便蓋及び便座の開閉は、洗面所へユーザの入室を検知して、自動で行うことが試みられている。例えば、特許文献1では、ユーザが入退室した際の便蓋の自動開閉や便座ヒータの自動入切が可能なトイレ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−255270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載のトイレ装置は、入室してきたユーザを検知して便蓋の自動開閉等を行うものの、ユーザを識別して便蓋の開閉の制御をしていないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、ユーザを識別した結果に基づいて便座及び便蓋の開閉を制御するトイレ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、ユーザの電子鍵から該ユーザの識別情報を取得する識別情報取得手段と、ユーザの識別情報と該識別情報に係るユーザの個人情報とを対応付けて記憶した記憶手段と、便器の便蓋及び便座を開閉させるアクチュエータと、前記識別情報取得手段が取得した識別情報に対応するユーザの個人情報を前記記憶手段から読出し、該個人情報に基づいて前記便蓋及び前記便座の開閉をするように、前記アクチュエータを各々制御すると共に、前記記憶手段から読出した個人情報が男性を示す場合には前記便蓋及び前記便座を開くように、前記記憶手段から読出した個人情報が女性を示す場合には前記便蓋を開きかつ前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御し、前記記憶手段から読出した個人情報から建物内のユーザの男女別の人数を算出し、男性が多い場合には前記便蓋及び前記便座を開くように、女性が多い場合には前記便蓋を開きかつ前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御する制御手段と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、個人を識別するための識別情報に基づいて、便蓋及び便座を開閉することができる。
【0009】
また、請求項に記載の発明によれば、取得した識別情報に係るユーザの性別に応じて、便蓋及び便座を開閉することができる。
【0011】
また、請求項に記載の発明によれば、建物内に居るユーザの男女比に応じて、便蓋及び便座を開閉することができる。
【0012】
請求項の発明は、請求項に記載の発明において、前記制御手段は、前記識別情報取得手段が取得した識別情報から算出した前記建物内のユーザの人数が0の場合は、前記便蓋及び前記便座を閉じるように前記アクチュエータを制御する。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、建物内が無人の場合には、便蓋及び便座を閉じた状態にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、ユーザを識別した結果に基づいて便座及び便蓋の開閉を制御することができる。また、取得した識別情報に係るユーザの性別に応じて、便蓋及び便座を開閉することにより、ユーザを識別した結果に基づいて便座及び便蓋の開閉を制御することができ、建物内に居るユーザの男女比に応じて、便蓋及び便座を開閉することにより、ユーザを識別した結果に基づいて便座及び便蓋の開閉を制御することができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、建物内が無人の場合には、便蓋及び便座を閉じた状態とし、ユーザの存比に応じた便座及び便蓋の開閉を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るトイレ制御システムを有する建物の一例を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るトイレ制御システムにおけるHEMSの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るトイレ制御システムの制御の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施の形態に係るトイレ制御システムにおける便座を上方から見た概略図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係るトイレ制御システムにおける便座の変形例を示す概略図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係るトイレ制御システムにおける便座のもう一つの変形例を示す概略図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るトイレ制御システムにおける便座の位置及び高さを変更する便座制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ制御システム100を有する建物の一例を示す概略図である。
【0020】
本実施の形態では、系統電力12からの電力が、主幹ブレーカー100を介して建物10の分電盤14に供給されている。主幹ブレーカー100の分電盤14側には、系統電力12から供給される電力の電流値を検知する主幹ブレーカー電流センサ110が設けられている。系統電力12から分電盤14に供給された電力は、分岐回路20A〜20Eを介してリビング56に設置された電力負荷手段、トイレ58に設けられた制御部62及びアクチュエータ64、トイレ58の入り口であるドア74付近に設けられた認証器66並びに玄関70に設けられた電気錠52に分配されている。
【0021】
本実施の形態では、一例として、分岐回路20A、20Bはリビング56に導かれ、分岐回路20Aはエアコン18に、分岐回路20Bは照明26に接続されている。また、分岐回路20C、20Dはトイレ58に導かれ、分岐回路20Cは制御部62及びアクチュエータ64に、分岐回路20Dはユーザが所持する電子鍵からユーザの認証情報を取得する認証器66に接続されている。また、分岐回路20Eは電気錠52に接続されている。
【0022】
制御部62は、後述するHEMS(Home Energy Management System)30からの指令に基づいて、アクチュエータ64を制御する。アクチュエータ64は、制御部62の制御により便器60の便蓋60A及び便座60Bの開閉を電動で行う装置である。
【0023】
分岐回路20A〜20Eには分岐回路20A〜20Eの電流値を計測する電流センサ22A〜22Eが各々設けられている。電流センサ22A〜22Eからの情報線は、主幹ブレーカー電流センサ110からの情報線と建物内のエネルギーの管理や制御を行うHEMS30が分電盤14を制御するための情報線と共にHEMS30に接続されている。なお、図1において破線は計測データ又は制御情報が流れる情報線であるとする。電流センサ22A〜22Eが検知した電流値は当該電流値が検知された時に対応付けられて、電流センサ22A〜22Eの検知結果としてHEMS30のメモリに記憶される。
【0024】
分電盤14の分岐回路20A〜20Eには、分岐回路20A〜20Eをオン状態又はオフ状態に切り替えるための分岐ブレーカー24A〜24Eが各々設けられ、分岐ブレーカー24A〜24Eは、HEMS30によって制御される。なお、図1では、記載の簡略化のために分岐回路は5系統のみ記載しているが、本実施の形態では5系統以上でも5系統以下でもよく、分岐回路の本数に特段の限定はない。
【0025】
また、HEMS30には電気錠52が接続されている。HEMS30は電気錠52にカードキー等の電子鍵から入力された認証情報が適正か否かを判定し、肯定判定の場合には電気錠52の施錠又は解錠を行う。また、HEMS30にはトイレ58に入室するユーザの認証情報を取得する認証器66が接続されている。
【0026】
図2は、本実施の形態に係るトイレ制御システムに係るHEMS30の概略構成を示すブロック図である。HEMS30は、コンピュータを含んで構成されており、図2に示すように、CPU36、ROM38、RAM40、及び入出力ポート42を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0027】
入出力ポート42には、各種入出力機器として、表示部46、操作部48、及びメモリ50が接続されている。なお、表示部46及び操作部48は一体で構成され、操作部48は、表示部46に設けられたタッチパネルを適用してもよい。
【0028】
表示部46には、建物10の消費電力量及び制御部62の稼働状況等の情報が表示可能である。メモリ50には、分岐ブレーカー24A〜24Eを制御するプログラム、電流センサ22A〜22Eの検知結果に基づいて建物10での消費電力量を算出するプログラム、制御部62を制御するプログラム及びこれらのプログラムを実行するための各種情報等、例えば、ユーザのID情報及びID情報に対応したユーザの性別等の情報が記憶されている。HEMS30は、メモリ50に記憶されたプログラムをRAM40等に展開してCPU36で実行することにより、建物10へ供給する電力の制御等の各種制御、消費電力量の算出及び制御部62の制御を行うようになっている。
【0029】
建物10の消費電力量は、電流センサ22A〜22Eが検知した電流値から算出可能である。分電盤14から供給される電圧は略100Vなので、本実施の形態では各電流センサが検知した電流値に100を乗算することで、消費電力量を算出する。しかしながら、電圧の変動が大きい分岐回路では、別途電圧を測定する手段を設けてもよい。また、HEMS30の入出力ポート42には、分電盤14、電気錠52、制御部62及び認証器66等が接続されている。
【0030】
以上、本実施の形態に係るトイレ制御システム100は、HEMS30、電気錠52、認証器66、便器60、制御部62及びアクチュエータ64で構成されている。
【0031】
続いて、本実施の形態に係るトイレ制御システムの制御について説明する。図3は、本実施の形態に係るトイレ制御システムの制御の一例を示すフローチャートである。ステップ300では、ユーザの人数を性別でカウントするカウンタをリセットし、カウンタがカウントする整数値であるN及びMを0にする。ステップ302では、玄関70に設けられた電気錠52をユーザが解錠して建物10に入室したか否かを判定すると共に、ユーザが自身の電子鍵を用いて電気錠52を解錠した時に、当該ユーザを識別するためのID情報が識別情報としてHEMS30に入力される。ID情報は、例えば、複数の文字又は記号を含み、ユーザ毎に異なる構成となっている情報である。また、本実施の形態では、玄関70の戸外から電気錠52を解錠した場合を入室とする。
【0032】
ステップ302で肯定判定の場合には、ステップ304で建物10に入室したユーザのID情報から当該ユーザが男性か否かを判定する。ステップ304で肯定判定の場合には、ステップ306でカウンタのNに1を加算する。ステップ304で否定判定の場合には、入室者は女性なので、ステップ308でカウンタのMに1を加算する。
【0033】
ステップ302で否定判定の場合には、ステップ310で、電気錠52を解錠して退室したか否かを判定する。本実施の形態では、玄関70の戸内から電気錠52を解錠した場合を退室とする。ステップ310で否定判定の場合には、電気錠52がエラー検知したとみなし、手順をステップ300に戻す。
【0034】
ステップ310で肯定判定の場合には、ステップ312で建物10から退室したユーザのID情報から当該ユーザが男性か否かを判定する。ステップ312で肯定判定の場合には、ステップ314でカウンタのNから1を減算する。ステップ312で否定判定の場合には、退室者は女性なので、ステップ316でカウンタのMから1を減算する。
【0035】
ステップ318では、カウンタのN,Mの数値をチェックし、N>Mの場合、すなわち入室者に男性が多い場合を肯定判定とし、ステップ320で、便蓋60A及び便座60Bを開いた状態とする。
【0036】
ステップ318で否定判定の場合には、ステップ322でN+M=0か否か、すなわち入室者が誰もいないか否かを判定する。ステップ322で肯定判定の場合には、ステップ324で、便蓋60A及び便座60Bを閉じた状態とする。ステップ322で否定判定の場合には、入室者に女性が多いとみなし、便蓋60Aを開き便座60Bを閉じた状態とする。
【0037】
そして、ステップ328では、カウンタのN,Mをメモリ50に記憶して、処理をリターンする。
【0038】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、電気錠52でのユーザの認証に基づき、入室者の性別を把握して、入室者における男女の構成比率によって便蓋60A及び便座60Bの開閉を制御している。これにより、ユーザを識別した結果に基づいて便座及び便蓋の開閉を制御するトイレ制御システムを提供することができる。
【0039】
なお、図3を用いた説明では、建物10内のユーザの男女別の人数に応じた制御をしたが、ドア74の近傍に設けた認証器66でトイレに入室するユーザのID情報を取得し、取得したID情報のユーザの性別に応じて、便蓋60A及び便座60Bを制御してもよい。さらには、ID情報に対応付けてメモリ50に記憶されている個人情報に便蓋60A及び便座60Bの制御の態様を記載してもよい。かかる場合には、認証器66で取得したID情報に対応する個人情報に基づいて、便蓋60A及び便座60Bの制御をする。
【0040】
[第2の実施の形態]
続いて本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るトイレ制御システムは、便座60Bを各ユーザに合わせて制御する。図4は、本実施の形態に係るトイレ制御システム100における便座60Bを上方から見た概略図である。本実施の形態では、便座60Bは、上部便座60B1と下部便座60B2とを含んで構成されている。
【0041】
図4に示したように、下部便座60B2は、上部便座60B1よりも便鉢60Cを広く覆っている。本実施の形態では、下部便座を便鉢60Cの上方に展開するか否かにより、便座60Bの座面の広さを変更する。例えば、大柄なユーザであれば、下部便座60B2は展開せず、小柄なユーザでは下部便座60B2を展開することで、各ユーザの体格に応じた制御をする。
【0042】
図4に示したように、下部便座60B2は、一例として、第1セグメント601〜第8セグメント608の8個のセグメントに分割されて構成されている。本実施の形態では、下部便座60B2を構成する第1セグメント601〜第8セグメント608の8個のセグメントが、例えば、上部便座60B1側を支点にして、便鉢60C側に折り畳まれる構造となっている。この場合、便鉢60C側に折り畳まれた各セグメントを便鉢60C上方で互いが水平になるまで引き出すことによって、下部便座60B2を展開する。
【0043】
または、下部便座60B2の第1セグメント601〜第8セグメント608の8個のセグメントが水平方向にスライド可能で、上部便座60B1の内部又は上部便座60B1の下部に格納可能な構造としてもよい。この場合、上部便座60B1に格納された各セグメントを、上部便座60B1の中心に向けて引き出すことによって、下部便座60B2を展開する。
【0044】
または、下部便座60B2が第1セグメント601〜第8セグメント608の8個のセグメントで構成され、第8セグメント608〜第2セグメント602が図4の矢印Aの方向にスライドされ、第1セグメント601に重ねて格納されてもよい。この場合、第1セグメントに重ねて格納された第2セグメント602〜第8セグメント608を、図4の矢印Bの方向にスライドすることにより、下部便座60B2を展開する。
【0045】
なお、図4に示した下部便座60B2の各セグメントの展開は、アクチュエータ64による。また、トイレ58に入室したユーザの識別は、認証器66がユーザの電子鍵から取得したID情報による。
【0046】
図5は、本実施の形態に係るトイレ制御システム100における便座60Bの変形例を示す概略図である。図5に示した変形例では、上部便座60B3が、上部便座60B1よりも便鉢60Cを広く覆っている。図4に示した場合と異なり、図5に示した変形例では、上部便座60B3を、アクチュエータ64によって、矢印Cの方向に跳ね上げることが可能となっている。跳ね上げた上部便座60B3は、アクチュエータ64によって、下部便座60B4の上部を覆うまで矢印Dの方向に回動可能で、かかる回動により上部便座60B3を便鉢60Cの上方に展開する。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るトイレ制御システム100における便座60Bのもう一つの変形例を示す概略図である。図6に示した変形例では、ユーザに応じて、下部便座60B2が矢印Eの方向又は矢印Fの方向に移動する。例えば、小柄なユーザであれば、下部便座60B2を矢印Eの方向に移動させて、ペーパーホルダー80に手が届くようにする。また、大柄なユーザであれば、矢印Eの方向に移動させていた下部便座60B2を矢印Fの方向に移動させる。
【0048】
以上のように、本実施の形態及びその変形例では、便座の位置を変更することにより、様々な体格のユーザに適応したポジションを提供できる。また、本実施の形態では、便座60Bの高さを変更できる構造でもよい。脚が長い大柄なユーザでは、便座60Bの高さを高くし、小柄なユーザでは高さを低くすることができる。
【0049】
図7は、本実施の形態に係るトイレ制御システム100における便座60Bの位置及び高さを変更する便座制御処理の一例を示すフローチャートである。ステップ700では、認証器66がトイレ58に入室するユーザの電子鍵からID情報を取得し、取得したID情報がHEMS30のメモリ50に記憶されている者か否かを判定する。
【0050】
ステップ700で肯定判定の場合には、ステップ702で、ユーザを特定する。ユーザの特定は、メモリ50にID情報に対応して記憶されているユーザの情報に基づいて行われる。メモリ50に記憶したユーザの情報には、便座60Bの制御に係る情報も記載されている。例えば、下部便座60B2の展開の要否、下部便座60B2のペーパーホルダー80への水平移動の要否、又は便座60Bの高さの調整に関する情報である。
【0051】
ステップ704では、特定したユーザ向けに便座60Bの位置及び高さ等をアクチュエータ64によって変更させて、処理をリターンする。なお、ステップ700で否定判定の場合には、ステップ706で便座60Bの位置及び高さを初期値に基づいて設定し、処理をリターンする。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、個人を識別し、識別した個人に応じて便座60Bの位置及び高さを変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 建物
30 HEMS
36 CPU
38 ROM
40 RAM
42 入出力ポート
44 バス
46 表示部
48 操作部
50 メモリ
52 電気錠
58 トイレ
60 便器
60A 便蓋
60B 便座
60C 便鉢
62 制御部
64 アクチュエータ
66 認証器
70 玄関
74 ドア
100 トイレ制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7