(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1搬送部の前記用紙搬送方向における両端部の少なくとも一方には、当該用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部が形成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の可動リブのように、搬送ガイドに対して移動機構を設けると、構成が複雑化するので、用紙搬送装置を小型化または薄型化していく上で支障が生じる。また、可動リブの移動により、その可動リブと接続される領域において用紙の先端がひっかかり易くなり、用紙ジャムや用紙の先端折れが生じ易くなってしまう。このように、搬送ガイドに対して移動機構を採用することには、支障が多い。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、用紙搬送装置およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、簡単な構成で用紙に与えるダメージを軽減でき、トナーの転写不良および定着不良を防止できる、用紙搬送装置およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、湾曲領域と非湾曲領域とを含む用紙搬送路を形成する搬送ガイドを備える用紙搬送装置において、搬送ガイドは、用紙搬送路が湾曲する箇所の外周側において、湾曲領域に配置される第1搬送部と非湾曲領域に配置される第2搬送部とを含み、用紙搬送路を搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積が、第2搬送部よりも第1搬送部の方が大きく、第1搬送部および第2搬送部のそれぞれは、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、当該用紙搬送方向に沿って延びる複数のリブを有し、第1搬送部に形成されるリブ間に
第2搬送部に形成されるリブ間の溝部よりも浅い浅溝部を形成することによって、第1搬送部における接触面積を第2搬送部よりも大きくしたことを特徴とする、用紙搬送装置である。
請求項2の発明は、湾曲領域と非湾曲領域とを含む用紙搬送路を形成する搬送ガイドを備える用紙搬送装置において、搬送ガイドは、用紙搬送路が湾曲する箇所の外周側において、湾曲領域に配置される第1搬送部と非湾曲領域に配置される第2搬送部とを含み、用紙搬送路を搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積が、第2搬送部よりも第1搬送部の方が大きく、第2搬送部は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、当該用紙搬送方向に沿って延びる複数のリブを有し、第1搬送部の用紙案内面の全体をリブ無しの平坦面とすることによって、第1搬送部における接触面積を第2搬送部よりも大きくしたことを特徴とする、用紙搬送装置である。
請求項3の発明は、湾曲領域と非湾曲領域とを含む用紙搬送路を形成する搬送ガイドを備える用紙搬送装置において、搬送ガイドは、用紙搬送路が湾曲する箇所の外周側において、湾曲領域に配置される第1搬送部と非湾曲領域に配置される第2搬送部とを含み、用紙搬送路を搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積が、第2搬送部よりも第1搬送部の方が大きく、第1搬送部および第2搬送部のそれぞれは、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、当該用紙搬送方向に沿って延びる複数のリブを有し、用紙搬送方向と直交する方向において、第1搬送部に形成するリブの数を第2搬送部に形成するリブの数よりも多くすることによって、第1搬送部における接触面積を第2搬送部よりも大きくしたことを特徴とする、用紙搬送装置である。
【0009】
請求項1
から3までのいずれかの発明によれば、用紙搬送路の湾曲領域における用紙と搬送ガイドとの接触圧を小さくできるので、搬送ガイドが用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。また、搬送ガイドの第1搬送部と用紙との接触面積を第2搬送部よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置が大型化することを防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0010】
請求項
4の発明は、請求項1
から3までのいずれかの発明に従属し、第1搬送部と第2搬送部とは一体的に形成される、用紙搬送装置である。
【0017】
請求項
5の発明は、請求項1から
4までのいずれかの発明に従属し、第1搬送部の用紙搬送方向における両端部の少なくとも一方には、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部が形成される、用紙搬送装置である。
【0018】
請求項
5の発明によれば、第1搬送部の用紙搬送方向における両端部の少なくとも一方には、第1搬送部の用紙搬送方向における先端側(第2搬送部側)に向かうに従ってその頂部が用紙から離れていくように、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部が形成されるので、用紙の先端が第1搬送部の端部にひっかかってしまうことが防止され、用紙ジャムや用紙の先端折れが防止される。
【0019】
請求項
6の発明は、請求項1から
5までのいずれかの発明に従属し、第1搬送部の用紙案内面と第2搬送部の用紙案内面とは、面一に形成される、用紙案内装置である。
【0020】
請求項
6の発明によれば、第1搬送部の用紙搬送面と第2搬送部の用紙搬送面とが面一、つまり同じ高さになるように外側搬送ガイドが形成されるので、用紙を円滑に搬送することができる。
【0021】
請求項
7の発明は、請求項1から
5までのいずれかの発明に従属し、第1搬送部の用紙案内面は、第2搬送部の用紙案内面よりも窪む、用紙案内装置である。
【0022】
請求項
7の発明によれば、第1搬送部の用紙案内面が第2搬送部の用紙案内面よりも窪むように外側搬送ガイドが形成されるので、この部分を用紙が大回りして搬送されるようになる。したがって、外側搬送ガイドと用紙との接触圧を小さくでき、外側搬送ガイドが用紙に与えるダメージを低減することができる。
【0023】
請求項
8の発明は、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の用紙搬送装置を備える、画像形成装置である。
【0024】
請求項
8に発明によれば、用紙搬送路の湾曲領域における用紙と外側搬送ガイドとの接触圧を小さくできるので、外側搬送ガイドが用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。また、外側搬送ガイドの第1搬送部と用紙との接触面積を第2搬送部よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置が大型化することを防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、用紙搬送路の湾曲領域における用紙と搬送ガイドとの接触圧を小さくできるので、搬送ガイドが用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。また、搬送ガイドの第1搬送部と用紙との接触面積を第2搬送部よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置が大型化することを防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0026】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施例]
以下、図面を適宜参照して、この発明の第1実施例である用紙搬送装置10について説明する。
図1は、用紙搬送装置10を備える画像形成装置100の断面を概略的に示す図解図である。
図2は、画像形成装置100の用紙搬送路Sを拡大して示す図解図である。
【0029】
図1および
図2を参照して、用紙搬送装置10は、複写機、ファクシミリ、プリンタおよびこれらの複合機などの画像形成装置100に用いられる。詳細は後述するように、この第1実施例では、用紙搬送装置10は、用紙搬送路Sを形成する一対の搬送ガイドG(外側搬送ガイド74および内側搬送ガイド76)を備え、画像形成装置100の用紙搬送路Sのうち、トナー像を定着させた用紙を排紙トレイ52に導く領域に配置される。
【0030】
先ず、画像形成装置100の構成について概略的に説明する。この実施例では、画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
図1に示すように、画像形成装置100は、装置本体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含み、画像読取装置14で読み込まれた画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データに基づいて、所定の用紙(記録紙)に対して多色または単色の画像を形成する。
【0031】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備え、原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押さえカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、原稿載置台18の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部(図示せず)が設けられる。
【0032】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内装される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等を用いるとよい。
【0033】
なお、画像読取部26は、画像読取位置22と対向する位置がホームポジションとされ、原稿載置トレイ20に載置された原稿の画像を読み取る場合には、ADFによって搬送される原稿が画像読取位置22を通過するときに当該原稿表面の画像を読み取り、その画像データを取得する。また、原稿載置台16に載置された原稿の画像を読み取る場合には、光源およびミラー等が原稿載置台16の下方を適宜移動することによって、当該原稿表面の画像を読み取り、その画像データを取得する。
【0034】
また、画像形成装置100の装置本体12には、制御部28および画像形成部30が内装される。制御部28は、CPUおよびメモリ等を備え、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置100の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置100に種々の動作を実行させる。
【0035】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ(2次転写ローラ)44および定着ユニット46等を備え、給紙カセット48または手差し給紙カセット50から搬送される用紙(記録紙)上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排出トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、上述のように、画像読取部26で読み取った画像データや外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0036】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0037】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させるものである。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0038】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58および4つの中間転写ローラ60等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト54は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ60を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト54に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト54上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラ56の近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト54と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト54に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0039】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。なお、定着ユニット46では、上記のようなトナー像の定着処理が行われる他に、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域に用紙を通過させることによって、用紙の平滑化処理を行うこともできる。
【0040】
図2からよく分かるように、このような装置本体12内には、給紙カセット48または手差し給紙カセット50に載置された用紙を転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路S1が設けられる。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に戻すための第2用紙搬送路S2が設けられる。なお、説明の都合上、第1用紙搬送路S1と第2用紙搬送路S2とを区別する必要がない場合には、第1用紙搬送路S1と第2用紙搬送路S2とをまとめて用紙搬送路Sと呼ぶこととする。同様に、他の構成部分の名称についてもまとめて呼ぶことがある。
【0041】
第1用紙搬送路S1には、用紙に推進力を与える搬送機構として機能する、複数の搬送ローラ66a,66b、レジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46等が設けられる。また、第2用紙搬送路S2には、用紙に推進力を与える搬送機構として機能する、複数の搬送ローラ66c,66d,66eが設けられる。さらに、定着ユニット46の用紙搬送方向における下流側において第1用紙搬送路S1から第2用紙搬送路S2が分岐する部分(第1用紙搬送路S1と第2用紙搬送路S2との合流部分)には、用紙の搬送方向を切り替えるための案内ゲート70が設けられる。
【0042】
また、用紙搬送路Sには、上述のような搬送機構と共に、用紙の表裏面を挟むようにして用紙を案内する複数の搬送ガイドGが用紙搬送路Sに沿って連続的に並ぶように設けられる。搬送ガイドGは、所定間隔(たとえば2mm程度のガイド幅)で対向するように配置される外側搬送ガイドGoと内側搬送ガイドGiとによって形成される。外側搬送ガイドGoは、用紙搬送路Sが湾曲する箇所の外周側(湾曲外側)を形成する搬送ガイドGであり、内側搬送ガイドGiは、用紙搬送路Sが湾曲する箇所の内周側(湾曲内側)を形成する搬送ガイドGである。外側搬送ガイドGoおよび内側搬送ガイドGiのそれぞれは、合成樹脂または金属などの適宜な材料によって形成される。なお、
図2においては、外側搬送ガイドGoおよび内側搬送ガイドGiをそれぞれ簡略化して薄板状に示しているが、各搬送ガイドGの具体的形状としては、適宜な形状が採用される。また、後述するように、この実施例の用紙搬送装置10が備える搬送ガイドGは、用紙搬送路Sの一部を構成するものであるので、用紙搬送路Sの他の領域を構成する搬送ガイドGと区別するために、特別に別の参照符号(74,76)を付している。
【0043】
なお、搬送ガイドGにおける外周側(外側)および内周側(内側)とは、用紙搬送路Sの湾曲方向に対する外側および内側と言うこともできる。すなわち、用紙搬送路Sの湾曲方向によっては、用紙搬送路Sの上側を形成する搬送ガイドGが外側搬送ガイドGoとなり、用紙搬送路Sの下側を形成する搬送ガイドGが内側搬送ガイドGiとなる場合もあれば、用紙搬送路Sの下側を形成する搬送ガイドGが外側搬送ガイドGoとなり、用紙搬送路Sの上側を形成する搬送ガイドGが内側搬送ガイドGiとなる場合もある。同様に、用紙搬送路Sの右側を形成する搬送ガイドGが外側搬送ガイドGoとなり、用紙搬送路Sの左側を形成する搬送ガイドGが内側搬送ガイドGiとなる場合もあれば、用紙搬送路Sの左側を形成する搬送ガイドGが外側搬送ガイドGoとなり、用紙搬送路Sの右側を形成する搬送ガイドGが内側搬送ガイドGiとなる場合もある。また、S字状に湾曲している用紙搬送路Sにおいては、外側搬送ガイドGoと内側搬送ガイドGiとが連続することとなる。
【0044】
このような画像形成装置100の装置本体12では、片面印刷を行う際には、給紙カセット48または手差し給紙カセット50に載置された用紙が各ピックアップローラ72a,72bによって1枚ずつ第1用紙搬送路S1に導かれ、搬送ローラ66aによってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ44に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ66bを経て排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0045】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が搬送ローラ66bまで到達したとき、搬送ローラ66bを逆回転させると共に案内ゲート70を下側に切り替えることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路S2に導かれる。第2用紙搬送路S2に導かれた用紙は、搬送ローラ66c,66d,66eによって第2用紙搬送路S2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路S1に導かれる。その後、用紙は、レジストローラ68によって所定のタイミングで転写ローラ44に搬送されるが、第2用紙搬送路S2から第1用紙搬送路S1に合流する段階で用紙の表裏は反転されるので、転写ローラ44では用紙の裏面に印刷が行われる。その後、定着ユニット46を通過することによって用紙の裏面側の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ66bを経て排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0046】
ここで、用紙搬送路Sは、複数の湾曲領域C(C1,C2,C3,C4,C5)とそれら以外の領域である非湾曲領域Lとが組み合わされて形成されているが(
図1参照)、用紙搬送路Sの湾曲領域Cでは、用紙の腰(剛度または弾力性)によって外側搬送ガイドGoに用紙が強く押し当てられる。このため、外側搬送ガイドGoの用紙案内面側の全長に亘ってリブが形成されていると、用紙にリブ状の筋(リブ痕)が形成されてしまう場合がある。特に、定着ユニット46の用紙搬送方向の下流側における、第1用紙搬送路S1と第2用紙搬送路S2との合流部分となる湾曲領域C2においては、第1用紙搬送路S1の曲率が大きくなって、用紙がこの湾曲領域C2を通過する際に外側搬送ガイド74(Go)に強く押し当てられる。
【0047】
そこで、この実施例では、用紙搬送路Sのうち、トナー像を定着させた用紙を排紙トレイ52に導く領域に用紙搬送装置10を配置している。そして、第1用紙搬送路S1と第2用紙搬送路S2との合流部分となる湾曲領域C2における外側搬送ガイド74と用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積を、非湾曲領域Lにおける接触面積よりも大きくする。このことによって、この湾曲領域C2における外側搬送ガイド74と用紙との接触圧を小さくし、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを低減するようにしている。
【0048】
ただし、この発明の他の実施例として、用紙搬送路Sの他の湾曲領域C1,C3,C4,C5のいずれかを含む領域に用紙搬送装置10を配置することもできる。また、複数の湾曲領域Cを含むように用紙搬送装置10を構成することもできるし、用紙搬送路Sの全体を含むように用紙搬送装置10を構成することもできる。
【0049】
また、この発明でいう湾曲領域Cとは、用紙搬送路Sが所定以上(たとえば、1/100[1/mm]以上)の曲率で湾曲する領域、つまり用紙が外側搬送ガイドGoに押し当てられて用紙に対して大きな圧力がかかる領域を示す。また、非湾曲領域Lとは、直線状の領域、または所定未満(たとえば、1/100[1/mm]未満)の曲率で緩やかに湾曲するが直線状の領域と同視し得る領域を示す。すなわち、非湾曲領域Lには、この発明の趣旨を逸脱することのない範囲での緩やかな湾曲、つまり外側搬送ガイドGoと用紙との強い擦れ(押し当て)が生じ難いような多少の湾曲があってもよい。
【0050】
以下、用紙搬送装置10の構成について具体的に説明する。
図2を参照して、用紙搬送装置10は、外側搬送ガイド74と内側搬送ガイド76とを備える。外側搬送ガイド74および内側搬送ガイド76は、互いに対向するように配置され、定着ユニット46と搬送ローラ66bとの間において、湾曲領域C2と非湾曲領域Lとを含む用紙搬送路Sを形成する。また、外側搬送ガイド74および内側搬送ガイド76の用紙搬送方向における下流側には、用紙に推進力を与える搬送機構(定着ユニット46)が設けられる。用紙は、この搬送機構から推進力を受けることによって、外側搬送ガイド74と内側搬送ガイド76との間に形成される用紙搬送路Sを排紙トレイ52側に向かって搬送される。
【0051】
内側搬送ガイド76は、湾曲板状に形成され、定着ユニット46の上方から搬送ローラ66bまで延びるように設けられる。図示は省略するが、内側搬送ガイド76の用紙案内面側には、用紙側(湾曲外側)に向かって突出する複数のリブが形成されている。これらリブは、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔(たとえば10〜30mmの間隔)で設けられて、用紙搬送方向に沿って延びる。なお、内側搬送ガイド76は、その全体が一体成形されていてもよいし、複数の部材によって形成されていてもよい。
【0052】
外側搬送ガイド74は、案内ゲート70の上方から搬送ローラ66bまで略水平方向に直線状に延びるように設けられる。以下、
図3および
図4を参照して、外側搬送ガイド74の構成について具体的に説明する。
図3は、外側搬送ガイド74を用紙案内面側から見た様子を概略的に示す図解図である。また、
図4は、外側搬送ガイド74を示す断面図であり、(a)は
図3のIVa‐IVa線における断面を示し、(b)は
図3のIVb‐IVb線における断面を示し、(c)は
図3のIVc‐IVc線における断面を示す。
【0053】
図3および
図4に示すように、外側搬送ガイド74は、一体成形によって一体的に形成される、湾曲領域C2に配置される第1搬送部78と非湾曲領域Lに配置される第2搬送部80とを含み、第1搬送部78および第2搬送部80の全体に亘る矩形平板状に形成されるベース部82を備える。
【0054】
第2搬送部80の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側(湾曲内側)に向かって突出する断面略半円状の複数のリブ84が形成されている。これらリブ84は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔(たとえば10〜30mmの間隔)で設けられて、用紙搬送方向に沿って延びる。第2搬送部80では、これら複数のリブ84の頂部(先端部)が用紙案内面となる。リブ84のベース部82からの突出高さは、たとえば1〜2mmであり、その基端部の幅(用紙搬送方向と直交する方向の長さ)は、たとえば2mmである。なお、
図3および
図4では、図面の簡略化のため、用紙搬送方向に延びる4本のリブ84を示しているが、リブ84の本数は任意であり、たとえば、第2搬送部80には、用紙搬送方向に延びる10−20本程度のリブ84が用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔を開けて設けられる。
【0055】
一方、第1搬送部78の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側に向かって突出する矩形平板状の平坦部86が形成される。平坦部86は、第1搬送部78の用紙案内面側の全体に形成されており、この平坦部86の頂部は、凹凸のない平坦面とされる。つまり、第1搬送部78の頂部(用紙案内面)は、リブなしの平坦面とされる。また、平坦部86と上述の複数のリブ84とは、ベース部82からの突出高さが同じであって、平坦部86の頂部と各リブ84の頂部、つまり第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とは、面一に連続している。
【0056】
さらに、平坦部86(第1搬送部78)の用紙搬送方向における両端部(リブ84と面一に連続している部分は除く)には、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部86aが形成される。傾斜部86aは、第1搬送部78の用紙搬送方向における先端側(第2搬送部80側)に向かうに従ってその頂部が用紙から離れていくように傾斜する。ただし、傾斜部86aは、
図4(c)に示すように直線状に傾斜するだけでなく、用紙側に膨らむように円弧状に傾斜していてもよい。また、傾斜部86aは、平坦部86の両端部においてその頂部のみに形成されていてもよい。
【0057】
このように、第2搬送部80に複数のリブ84を形成するのに対して、第1搬送部78の用紙案内面をリブなしの平坦面とすることによって、用紙搬送路Sを搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積は、第2搬送部80よりも第1搬送部78の方が大きくなる。これによって、用紙搬送路Sの湾曲領域C2における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧が小さくなる。つまり、用紙が外側搬送ガイド74に対して押し付けられる力が分散されて小さくなる。このため、湾曲領域C2において外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージは軽減される。
【0058】
また、第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とを面一(つまり同じ高さ)に形成することによって、用紙は、この外側搬送ガイド74を設けた領域を円滑に搬送される。
【0059】
さらに、第1搬送部78に傾斜部86aを形成することによって、用紙の先端が第1搬送部78の端部にひっかかってしまうことが防止され、用紙ジャムや用紙の先端折れが防止される。なお、傾斜部86aは、必ずしも第1搬送部78の用紙搬送方向における両端部に形成される必要はなく、少なくも第1搬送部78の用紙搬送方向における一方端部(上流側端部)に設けられていればよい。この第1実施例では、両面印刷を行うために用紙を逆走させて第2用紙搬送路S2に導く際に、第1搬送部78の搬送ローラ66b側(
図2および
図3における左側)の端部が用紙搬送方向における上流側端部となるので、第1搬送部78の搬送ローラ66b側の端部のみに傾斜部86aを形成することもできる。
【0060】
この第1実施例によれば、用紙搬送路Sの湾曲領域C1における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧を小さくできるので、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。
【0061】
また、この第1実施例によれば、第1搬送部78の用紙案内面をリブなしの平坦面にすることによって、外側搬送ガイド74の第1搬送部78における用紙との接触面積を第2搬送部80よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置の大型化を防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0062】
なお、この第1実施例では、第1搬送部78の用紙案内面側の全体(つまり湾曲領域C2の全域)に平坦部86を形成するようにしたが、平坦部86は、必ずしも第1搬送部78の全体に形成される必要はない。要するに、用紙搬送路Sを搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積が、第2搬送部80よりも第1搬送部78の方が大きくなるように、外側搬送ガイド74が形成されていればよい。たとえば、第1搬送部78の用紙搬送方向における長さが長い場合などには、用紙搬送方向に所定間隔で並ぶように、間欠的に平坦部86を形成してもよい。また、第1搬送部78の用紙搬送方向と直交する方向の全長に亘って平坦部86を形成するのではなく、用紙搬送方向と直交する方向における一部に平坦部86を形成する、たとえば用紙搬送方向と直交する方向における両端部を除く部分に平坦部86を形成することもできる。また、たとえば、第1搬送部78の用紙搬送方向における端部から中央部(または曲率が大きい部分)に向かって徐々に幅広となるように平坦部86を形成することもできる。なお、第1搬送部78の平坦部86を設けない部分には、ベース部82から突出するリブを適宜形成しておくとよい。つまり、第1搬送部78には、リブが形成されている部分があってもよい。
【0063】
[第2実施例]
次に、
図5および
図6を参照して、この発明の第2実施例である用紙搬送装置10について説明する。この第2実施例では、外側搬送ガイド74の第1搬送部78において用紙との接触面積を大きくするために、第1搬送部78に幅広のリブ88を形成した点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化することとし、以下では、この第2実施例の用紙搬送装置10が備える外側搬送ガイド74の構成についてのみ説明する。
図5は、外側搬送ガイド74を用紙案内面側から見た様子を概略的に示す図解図である。また、
図6は、外側搬送ガイド74を示す断面図であり、(a)は
図5のVIa‐VIa線における断面を示し、(b)は
図5のVIb‐VIb線における断面を示し、(c)は
図5のVIc‐VIc線における断面を示す。
【0064】
図5および
図6に示すように、外側搬送ガイド74は、湾曲領域C2に配置される第1搬送部78と非湾曲領域Lに配置される第2搬送部80とを含み、第1搬送部78および第2搬送部80の全体に亘る矩形平板状に形成されるベース部82を備える。
【0065】
第2搬送部80の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側に向かって突出する断面略半円状の複数のリブ84が形成されている。これらリブ84は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、用紙搬送方向に沿って延びる。リブ84の基端部の幅(用紙搬送方向と直交する方向の長さ)は、たとえば2mmである。
【0066】
一方、第1搬送部78の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側に向かって突出する断面略角丸矩形状の複数のリブ88が形成される。これらリブ88のそれぞれは、第2搬送部80に形成される複数のリブ84のそれぞれと用紙搬送方向に連続するように形成されている。つまり、複数のリブ88は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、用紙搬送方向に沿って延びる。また、第1搬送部78に形成される複数のリブ88と第2搬送部80に形成される複数のリブ84とは、ベース部82からの突出高さが同じであって、各リブ88の頂部と各リブ84の頂部、つまり第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とは、面一に連続している。
【0067】
そして、第1搬送部78に形成される各リブ88は、第2搬送部80に形成される各リブ84よりも用紙搬送方向と直交する方向に幅広に形成される。各リブ88の幅(用紙搬送方向と直交する方向の長さ)は、各リブ84の幅のたとえば2〜5倍(つまり4〜10mm)の大きさとされ、各リブ88の頂部には、たとえば2〜8mmの幅を有する平坦面が形成される。これによって、用紙搬送路Sを搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積は、第2搬送部80よりも第1搬送部78の方が大きくなり、用紙搬送路Sの湾曲領域C2における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧が小さくなる。なお、各リブ88の側部(用紙搬送方向と直交する方向の両端部)の曲率は、各リブ84の側部の曲率と同じに設定しておくとよい。
【0068】
また、リブ88(第1搬送部78)の用紙搬送方向における両端部には、リブ84よりも用紙搬送方向と直交する方向に突出している部分において、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部88aが形成される。傾斜部88aは、第2搬送部80側に向かうに従ってその頂部が用紙から離れていくように傾斜する。ただし、傾斜部88aは、
図6(c)に示すように用紙側に膨らむように円弧状に傾斜するだけでなく、直線状に傾斜していてもよい。
【0069】
この第2実施例においても、上述の第1実施例と同様に、用紙搬送路Sの湾曲領域C1における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧を小さくできるので、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。
【0070】
また、第1搬送部78のリブ88を第2搬送部80のリブ84よりも幅広に形成することによって、外側搬送ガイド74の第1搬送部78における用紙との接触面積を第2搬送部80よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置の大型化を防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0071】
なお、この第2実施例では、各リブ88を用紙搬送方向の全長に亘って幅広に形成するようにしたが、全てのリブ88を幅広に形成する必要はなく、また、用紙搬送方向の全長に亘ってリブ88を幅広とする必要もない。たとえば、第1搬送部78の用紙搬送方向における長さが長い場合などには、用紙搬送方向に所定間隔で並ぶように、間欠的に幅広となる部分をリブ88に形成してもよい。また、たとえば、用紙搬送方向と直交する方向に並ぶリブ88を1つおきに幅広に形成することもできる。さらに、たとえば、用紙搬送方向の全長に亘って一様に幅広とするのではなく、第1搬送部78の用紙搬送方向における端部から中央部に向かって徐々に幅広となるようにリブ88を形成することもできる。もちろん、各リブ88によって幅が異なるように形成することもできる。
【0072】
[第3実施例]
続いて、
図7および
図8を参照して、この発明の第3実施例である用紙搬送装置10について説明する。この第3実施例では、外側搬送ガイド74の第1搬送部78において用紙との接触面積を大きくするために、第1搬送部78に浅溝部90を形成した点が上述の第1および第2実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1および第2実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化することとし、以下では、この第3実施例の用紙搬送装置10が備える外側搬送ガイド74の構成についてのみ説明する。
図7は、外側搬送ガイド74を用紙案内面側から見た様子を概略的に示す図解図である。また、
図8は、外側搬送ガイド74を示す断面図であり、(a)は
図7のVIIIa‐VIIIa線における断面を示し、(b)は
図7のVIIIb‐VIIIb線における断面を示し、(c)は
図7のVIIIc‐VIIIc線における断面を示す。
【0073】
図7および
図8に示すように、外側搬送ガイド74は、湾曲領域C2に配置される第1搬送部78と非湾曲領域Lに配置される第2搬送部80とを含み、第1搬送部78および第2搬送部80の全体に亘る矩形平板状に形成されるベース部82を備える。また、ベース部82の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側に向かって突出する断面略半円状の複数のリブ84が形成されている。これらリブ84は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、第1搬送部78および第2搬送部80の全長に亘ってその頂部が面一に連続するように、用紙搬送方向に沿って延びる。つまり、第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とは、面一に連続している。
【0074】
そして、第1搬送部78においては、各リブ84の間に形成される溝を埋めることによって、第2搬送部80のリブ84間に形成される溝よりも浅くした浅溝部90が形成される。浅溝部90の深さ、つまりリブ84の頂部と浅溝部90の頂部との高低差は、たとえば0.1〜0.3mmである。一方、第2搬送部80におけるリブ84間の溝の深さ、つまりリブ84のベース部82からの突出高さは、たとえば1〜2mmである。用紙は、搬送時に外側搬送ガイド74に押し付けられることによって、用紙搬送方向と直交する方向に少し撓むので、リブ84の頂部と共に浅溝部90の頂部に接触する。つまり、浅溝部90の頂部でも用紙が受けられる。このように、第1搬送部78のリブ84間に浅溝部90を形成することによっても、用紙搬送路Sを搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積は、第2搬送部80よりも第1搬送部78の方が大きくなり、用紙搬送路Sの湾曲領域C2における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧が小さくなる。
【0075】
また、浅溝部90の(第1搬送部78)の用紙搬送方向における両端部には、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部90aが形成される。傾斜部90aは、第2搬送部80側に向かうに従ってその頂部が用紙から離れていくように傾斜する。
【0076】
この第3実施例においても、上述の第1実施例と同様に、用紙搬送路Sの湾曲領域C1における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧を小さくできるので、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。
【0077】
また、第1搬送部78のリブ84間に浅溝部90を形成することによって、外側搬送ガイド74の第1搬送部78における用紙との接触面積を第2搬送部80よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置の大型化を防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0078】
なお、この第3実施例では、第1搬送部78に形成される全てのリブ84間の用紙搬送方向の全長に亘って浅溝部90を形成するようにしたが、第1搬送部78に形成される全てのリブ84間に浅溝部90を形成する必要はなく、また、第1搬送部78の用紙搬送方向の全長に亘って浅溝部90を形成する必要もない。
【0079】
[第4実施例]
続いて、
図9および
図10を参照して、この発明の第4実施例である用紙搬送装置10について説明する。この第4実施例では、外側搬送ガイド74の第1搬送部78において用紙との接触面積を大きくするために、第1搬送部78に形成するリブの数を第2搬送部80のリブの数よりも多くした点が上述の第1−第3実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の第1−第3実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化することとし、以下では、この第4実施例の用紙搬送装置10が備える外側搬送ガイド74の構成についてのみ説明する。
図9は、外側搬送ガイド74を用紙案内面側から見た様子を概略的に示す図解図である。また、
図10は、外側搬送ガイド74を示す断面図であり、(a)は
図9のXa‐Xa線における断面を示し、(b)は
図9のXb‐Xb線における断面を示し、(c)は
図9のXc‐Xc線における断面を示す。
【0080】
図9および
図10に示すように、外側搬送ガイド74は、湾曲領域C2に配置される第1搬送部78と非湾曲領域Lに配置される第2搬送部80とを含み、第1搬送部78および第2搬送部80の全体に亘る矩形平板状に形成されるベース部82を備える。また、ベース部82の用紙案内面側には、ベース部82から用紙側に向かって突出する断面略半円状の複数のリブ84が形成されている。これらリブ84は、用紙搬送方向と直交する方向に所定間隔で設けられて、第1搬送部78および第2搬送部80の全長に亘ってその頂部が面一に連続するように、用紙搬送方向に沿って延びる。つまり、第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とは、面一に連続している。
【0081】
また、第1搬送部78においては、複数のリブ84の他に、断面略半円状の複数のリブ92が形成される。これらリブ92は、リブ84間のそれぞれに形成されて、第1搬送部78の全長に亘って用紙搬送方向に沿って延びる。つまり、第1搬送部78においては、第2搬送部76よりも多くのリブ84,92が形成される。これによって、用紙搬送路Sを搬送される用紙との用紙搬送方向における単位長さ当たりの接触面積は、第2搬送部80よりも第1搬送部78の方が大きくなり、用紙搬送路Sの湾曲領域C2における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧が小さくなる。
【0082】
また、各リブ92(第1搬送部78)の用紙搬送方向における両端部には、用紙搬送方向に対して傾斜する傾斜部92aが形成される。傾斜部92aは、第2搬送部80側に向かうに従ってその頂部が用紙から離れていくように傾斜する。
【0083】
この第4実施例においても、上述の第1実施例と同様に、用紙搬送路Sの湾曲領域C1における用紙と外側搬送ガイド74との接触圧を小さくできるので、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを軽減でき、用紙へのトナーの転写不良および定着不良を防止できる。
【0084】
また、第1搬送部78に形成するリブ84,92の数を第2搬送部80よりも多くすることによって、外側搬送ガイド74の第1搬送部78における用紙との接触面積を第2搬送部80よりも大きくするという簡単な構成であるので、装置の大型化を防止でき、用紙の搬送不良も生じ難い。
【0085】
なお、この第4実施例では、第1搬送部78に形成される全てのリブ84間の用紙搬送方向の全長に亘って他のリブ92を形成するようにしたが、第1搬送部78に形成される全てのリブ84間に他のリブ92を形成する必要はなく、また、第1搬送部78の用紙搬送方向の全長に亘って他のリブ92を形成する必要もない。
【0086】
なお、上述の第1−第4実施例の各々では、第1搬送部78の用紙搬送面と第2搬送部80の用紙搬送面とが面一に(つまり同じ高さで)連続するように外側搬送ガイド74(Go)を形成したが、これに限定されない。他の実施例として、第1搬送部78の用紙案内面が第2搬送部80の用紙案内面よりも外周側に窪む(つまり高さが低くされる)ように外側搬送ガイド74を形成することもできる。この際には、第1搬送部78と第2搬送部80との接続部分に傾斜部を形成することによって、第1搬送部78と第2搬送部80とを滑らかに連続させるようにするとよい。
【0087】
このように、第1搬送部78の用紙案内面が第2搬送部80の用紙案内面よりも窪むように外側搬送ガイド74を形成することによって、この部分を用紙が大回りして搬送されるようになる、つまり湾曲領域C2の曲率を小さくすることができるので、外側搬送ガイド74と用紙との接触圧を小さくでき、外側搬送ガイド74が用紙に与えるダメージを低減することができる。
【0088】
また、上述の第1−第4実施例の各々では、外側搬送ガイド74を用紙搬送方向に直線状に延びるように形成しているが、これに限定されない。たとえば、用紙搬送路Sの他の湾曲領域C1,C3,C4,C5を含む領域に用紙搬送装置10を配置する場合などには、用紙搬送経路Sに沿って湾曲するように外側搬送ガイド74を形成することもできる。
【0089】
さらに、上述の第1−第4実施例の各々では、ベース部82の形状を矩形平板状としたが、ベース部82の形状は、適宜変更可能であって特に限定されない。たとえば、ベース部82に肉盗み部を形成することもできるし、ベース部82を中空状に形成することもできる。また、たとえば、外側搬送ガイド74の周縁部に設けられる枠体状にベース部82を形成することできる。
【0090】
さらにまた、上述の第1−第4実施例の各々では、第1搬送部78と第2搬送部80とを一体的に形成しているが、第1搬送部78と第2搬送部80とは、必ずしも一体的に形成されている必要はなく、第1搬送部78と第2搬送部80とが分離可能な別部材を組み合わせて形成されていても構わない。
【0091】
また、外側搬送ガイド74には、適宜、通気孔(図示せず)を形成することもできる。たとえば、第1搬送部78に通気孔を形成する場合には、上述の第1実施例であれば、平坦部86およびその裏面側のベース部82を厚み方向に貫通する通気孔を形成するとよく、上述の第2−第4実施例であれば、リブ84,88間のベース部82(および浅溝部90)を厚み方向に貫通する通気孔を形成するとよい。また、第2搬送部80に通気孔を形成する場合には、リブ84間のベース部82を厚み方向に貫通する通気孔を形成するとよい。
【0092】
さらに、上述の第1−第4実施例の各々では、画像を印刷する用紙(記録紙)を搬送する用紙搬送路Sに用紙搬送装置10を配置するようにしたが、これに限定されない。たとえば、画像を読み取る用紙を搬送するADF(自動原稿送り装置)における用紙搬送路に用紙搬送装置10を配置することもできる。
【0093】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。