(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の巻取式スクリーン装置において、例えば、巻取軸におけるネットおよび抜止部材の巻取径を小さくするためには、抜止部材の厚みを小さく設定する必要がある。しかしながら、抜止部材の厚みを小さく設定する場合、当該抜止部材がスリットを介してガイドレール外へと抜け出てしまう可能性がある。このような課題を解決するためには、抜止部材の厚みに対応してスリットの幅を極めて小さく設定する必要があるが、巻取式スクリーン装置の製造工程においてガイドレールのスリットを極めて小さな幅で形成することは困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、抜止部材の厚みを比較的小さく設定した場合であっても当該抜止部材がガイドレール外へと抜け出すことを抑止できるスクリーン装置およびその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクリーン装置は、スクリーン部材と、前記スクリーン部材の側端部に取り付けられた抜止部材と、収容部、および前記収容部に連通したスリットを有しており、前記スクリーン部材の側端部および前記抜止部材が前記スリットを介して前記収容部内に収容されることで、前記スクリーン部材を前記スリットの長さ方向に沿って移動可能な状態に保持したレール部材と、前記レール部材を保持した保持部材と、を備え、前記レール部材は、前記保持部材によって前記スリットの幅方向に圧縮変形されており、当該圧縮変形された前記レール部材の前記スリットの幅は、前記抜止部材の厚みよりも小さい。
【0007】
上記のスクリーン装置では、保持部材によるレール部材の圧縮変形によって、スリットの幅を小さくすることができ、これにより係止部材がスリットを介して収容部から抜け出すことを抑止できる。具体的には、上記のスクリーン装置では、スリットを有するレール部材は、保持部材に保持されることにより、スリットの幅方向に圧縮変形される。このため、保持部材によって保持されたレール部材におけるスリットの幅は、保持部材によって保持される以前のレール部材におけるスリットの幅に比して小さくなる。すなわち、上記のスクリーン装置では、当該スクリーン装置の製造工程においてレール部材にスリットを形成した後に、保持部材によって当該スリットの幅を小さくする。そして、保持部材によって保持されたレール部材におけるスリットの幅は、抜止部材の厚みよりも小さく設定される。このように、上記のスクリーン装置では、当該スクリーン装置の製造工程においてレール部材に極めて小さな幅のスリットを形成しなくとも、保持部材によって当該スリットの幅を小さくすることができる。このため、レール部材の成形が容易であるとともに、抜止部材がスリットを介して収容部から抜け出すことを抑止できる。
【0008】
また、前記レール部材の前記収容部を第1収容部とし、前記レール部材の前記スリットを第1スリットとするとき、前記保持部材は、前記レール部材を収容するとともに前記レール部材を前記第1スリットの幅方向に圧縮変形させる第2収容部と、前記第2収容部および前記第1スリットに連通するとともに前記第1スリットの長さ方向に沿って設けられた第2スリットと、を有することが好ましい。
【0009】
このような構成のスクリーン装置では、レール部材を第2収容部に収容することによって、第1スリットの幅を小さくすることができるとともに、レール部材が保持部材から外れることを抑止できる。
【0010】
また、本発明は、上記のスクリーン装置の製造方法を提供する。この製造方法は、押出成形によって、第1収容部および前記第1収容部に連通した第1スリットを有するレール部材を成形する工程と、スクリーン部材の側端部に抜止部材を取り付けるとともに、前記スクリーン部材の前記側端部および前記抜止部材を、前記第1スリットを介して前記第1収容部に収容することで、前記レール部材によって前記スクリーン部材を前記第1スリットの長さ方向に沿って移動可能な状態に保持する工程と、第2収容部および前記第2収容部に連通した第2スリットを有する保持部材を準備する工程と、前記第1スリットと前記第2スリットとが連通するように、前記第2収容部に前記レール部材を収容する工程と、を備え、前記レール部材を成形する工程において、前記第1スリットが設けられた面の幅は前記第2収容部の幅よりも大きく設定されるとともに、前記第1スリットが設けられた面とは反対側の面の幅は前記第2収容部の幅以下に設定され、前記レール部材を収容する工程において、前記レール部材のうち前記第1スリットが設けられた面が前記第2収容部において前記第1スリットの幅方向に圧縮変形されることで、前記第1スリットの幅が縮小し、これにより前記第1スリットの幅が前記抜止部材の厚みよりも小さく設定される。
【0011】
上記のスクリーン装置の製造方法では、レール部材を特定の形状で成形することによって、当該レール部材を第2収容部に収容する工程において第1スリットの幅を容易に縮小することができ、これにより製造工程が簡略化される。具体的には、上記のスクリーン装置の製造方法では、レール部材を成形する工程において、当該レール部材は、第1スリットが設けられた面の幅が第2収容部の幅よりも大きく設定されるとともに、第1スリットが設けられた面とは反対側の面の幅が第2収容部の幅以下に設定される。そして、レール部材を第2収容部に収容する工程において、レール部材のうち第1スリットが設けられた面が第2収容部において第1スリットの幅方向に圧縮変形される。すなわち、上記のスクリーン装置の製造方法では、レール部材を第2収容部に収容する工程において、第2収容部に対するレール部材の収容と第1スリットの幅の縮小とが同時に達成され、これにより製造工程が簡略化される。また、レール部材の押出成形時において、第1スリットの幅を極めて小さく形成する必要がないため、当該レール部材の成形が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、係止部材の厚みを比較的小さく設定した場合であっても、当該係止部材がレール部材から外れることを抑止できるスクリーン装置および当該スクリーン装置を容易に製造することが可能な製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材を簡略化して示したものである。したがって、本発明に係るスクリーン装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0015】
図1および
図2に示すように、スクリーン装置X1は、住宅等における窓枠に適用される巻取式のスクリーン装置であって、枠部材1、巻取スクリーン3、前面カバー5、ウェイトバー7、およびガイドレール9を備える。スクリーン装置X1は、例えば、後述するスクリーン部材33を電動で巻き取る構成であってもよいし、当該スクリーン部材33をチェーン等によって手動で巻き取る構成であってもよい。なお、本発明に係るスクリーン装置は、巻取式以外の方式にも適用される。また、本発明に係るスクリーン装置は、住宅等における窓枠のみならず、例えば、プロジェクタスクリーン等にも適用される。
【0016】
枠部材1は、スクリーン装置X1の外枠を構成する部材である。本実施形態では、枠部材1は、平面視して矩形状である。ここで、当該枠部材1によって取り囲まれる矩形状の領域は、後述するスクリーン部材33によって開閉される領域となる。なお、枠部材1は、平面視して矩形状でなくともよく、スクリーン装置X1の使用態様に応じて適宜変更することができる。また、枠部材1はなくともよく、例えば、住宅等における窓枠を枠部材1として利用してもよい。
【0017】
巻取スクリーン3は、巻取軸31、スクリーン部材33、および抜止部材35を備える。
【0018】
巻取軸31は、スクリーン部材33を巻き取る役割を有する。巻取軸31は、枠部材1の短手方向に延びる円柱形状の部材である。巻取軸31は、枠部材1によって取り囲まれる領域において、当該枠部材1の上枠に沿って配置されている。また、巻取軸31は、当該巻取軸31の周方向に回動可能な状態で、枠部材1の両側枠に取り付けられている。なお、巻取軸31は、枠部材1の下枠に沿って配置されていてもよい。
【0019】
スクリーン部材33は、枠部材1によって取り囲まれる領域を開閉する役割を有する。スクリーン部材33の上端部は、巻取軸31に接続されている。そして、スクリーン部材33は、巻取軸31の回動に応じて当該巻取軸31に巻き取られることで、枠部材1によって取り囲まれる領域の一部または全部を開放するとともに、巻取軸31の回動に応じて当該巻取軸31から送り出されることで、当該領域の一部または全部を閉鎖する。
【0020】
抜止部材35は、スクリーン部材33が後述するガイドレール9から外れることを抑止するとともに、当該ガイドレール9に沿ってスクリーン部材33が上下動可能なようにガイドする役割を有する。抜止部材35は、スクリーン部材33の両側端部33aに取り付けられている。抜止部材35は、スクリーン部材33の側端部33aを当該スクリーン部材33の表裏両面から覆っており、枠部材1の長手方向に沿って延びている。そして、スクリーン部材33の両側端部33aに取り付けられた抜止部材35は、枠部材1の両側枠に取り付けられたガイドレール9内に収容されている。これにより、スクリーン部材33は、枠部材1の短手方向においてガイドレール9に支持されるとともに、枠部材1の長手方向においてガイドレール9に沿って上下動可能な状態にある。そして、抜止部材35は、巻取軸31の回動に応じてスクリーン部材33が巻き取られる際に、当該スクリーン部材33とともに巻取軸31に巻き取られる。
【0021】
前面カバー5は、巻取軸31が使用者から視認されることを抑止する役割を有する。前面カバー5は、平面視して巻取軸31と重なるように、当該巻取軸31の前方、すなわち使用者側に配置されている。前面カバー5は、例えば、図示しないマグネットシート等を用いて枠部材1に固定されている。
【0022】
ウェイトバー7は、巻取軸31からスクリーン部材33が送り出された状態において、当該スクリーン部材33に対して枠部材1の長手方向に適度な張力を与える役割を有する。ウェイトバー7は、枠部材1の短手方向に沿って延びており、スクリーン部材33の下端部に取り付けられている。
【0023】
ガイドレール9は、スクリーン部材33の上下動をガイドする役割を有する。ガイドレール9は、外側ガイドレール9Aおよび内側ガイドレール9Bを備える。
【0024】
外側ガイドレール9Aは、内側ガイドレール9Bを収容する部材であって、当該内側ガイドレール9Bが使用者から視認されることを抑止する役割を有する。外側ガイドレール9Aは、枠部材1によって取り囲まれる領域において、当該枠部材1の両側枠に沿って配置されている。具体的には、外側ガイドレール9Aは、枠部材1の長手方向に沿って延びる凹型の部材であり、その底部が図示しないネジを介して枠部材1の側枠に接続される。本実施形態では、外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間は、
図2に示すように、上記ネジのネジ頭が収容される第1空間S1と、当該第1空間S1を挟んで互いに対向しており且つ後述する嵌込部材95の嵌込部95cが嵌め込まれる2つの第2空間S2と、を含む。第1空間S1と第2空間S2とは、外側ガイドレール9Aの底部から枠部材1の短手方向に沿って延びる区画壁によって互いに区画されている。
【0025】
内側ガイドレール9Bは、外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間に収容される部材であって、スクリーン部材33が上下動可能なように当該スクリーン部材33の側端部33aおよび抜止部材35を収容する役割を有する。内側ガイドレール9Bは、外側ガイドレール9Aと同様に、枠部材1によって取り囲まれる領域において、当該枠部材1の両側枠に沿って配置されている。また、内側ガイドレール9Bは、レール部材91、保持部材93、嵌込部材95、および弾性体97を備える。
【0026】
レール部材91は、スクリーン部材33の側端部33aおよび抜止部材35を収容しつつ、スクリーン部材33の上下動を直接ガイドする役割を有する。レール部材91は、中空形状をなしており、当該中空部分に対応する第1収容部91a、および当該第1収容部91aとレール部材91の外部とを連通するとともにレール部材91の長さ方向に沿って延びる第1スリット91bを有する。
レール部材91における第1収容部91aを囲む壁部は、請求項にいう「第1壁部」に相当する。スクリーン部材33の側端部33aおよび抜止部材35は、第1スリット91bを介して第1収容部91aに収容される。換言すれば、スクリーン部材33は、第1スリット91bを介して第1収容部91aの内部および外部に位置しており、第1収容部91aの内部に位置する側端部33aに対して抜止部材35が取り付けられている。
【0027】
ここで、第1スリット91bの幅は、抜止部材35の厚みT1よりも小さい。このため、抜止部材35が取り付けられたスクリーン部材33の側端部33aが、第1スリット91bを介してレール部材91から外れてしまうことを抑止できる。また、第1収容部91aの幅は、抜止部材35の厚みT1よりも大きい。このため、枠部材1の短手方向においてスクリーン部材33が支持された状態で、枠部材1の長手方向において抜止部材35が第1収容部91a内を移動可能である。
【0028】
保持部材93は、レール部材91を保持する役割を有する。保持部材93は、中空形状をなしており、当該中空部分に対応する第2収容部93a、および当該第2収容部93aと保持部材93の外部とを連通するとともに保持部材93の長さ方向に沿って延びる第2スリット93bを有する。
保持部材93における第2収容部93aを囲む壁部は、請求項にいう「第2壁部」に相当する。第2収容部93aは、レール部材91を収容している。これにより、保持部材93は、レール部材91を保持している。また、第2スリット93bは、第1スリット91bと連通している。この第2スリット93bの幅は、第1スリット91bの幅よりも大きく
、且つ抜止部材35の厚みT1よりも小さくなるように設定される。
【0029】
嵌込部材95は、内側ガイドレール9Bを外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間に収容する際に、当該内側ガイドレール9Bを外側ガイドレール9Aに固定する役割を有する。嵌込部材95は、中空形状をなしており、当該中空部分に対応する第3収容部95a、当該第3収容部95aと嵌込部材95の外部とを連通するとともに嵌込部材95の長さ方向に沿って延びる第3スリット95b、前記第2空間S1に嵌め込まれる嵌込部95c、および嵌込部95cの表面から突出する複数の突起95dを有する。
【0030】
第3収容部95aは、保持部材93を収容している。また、第3収容部95aに収容された保持部材93のうち、第2スリット93bが設けられた面は、第3スリット95bにおいて嵌込部材95から露出している。なお、嵌込部材95の内周面と保持部材93の外周面との間には、弾性体97が介在しており、これにより枠部材1の両側枠に沿って配置された保持部材93同士の間隔が調整される。当該間隔は、スクリーン部材33に対して枠部材1の短手方向に適度な張力を与えることができる間隔に設定される。
【0031】
嵌込部95cは、嵌込部材95のうち第3スリット95bが設けられた面とは反対側の面から、外側ガイドレール9Aの前記底部に向かって延びている。また、嵌込部95cは、2つの第2空間S2に対応して2つ設けられており、当該第2空間に嵌め込まれている。ここで、複数の突起95dは、嵌込部95cに比して軟質であり、当該嵌込部95cが第2空間S2に嵌め込まれた際に、当該第2空間S2を取り囲む外側ガイドレール9Aの内周面に当接することで弾性変形し、当該内周面に対して反発力を加える。これにより、嵌込部95cおよび複数の突起95dは、第2空間S2において固定される。すなわち、スクリーン装置X1では、内側ガイドレール9Bにおける嵌込部材95の嵌込部95cが第2空間S2に嵌め込まれることで、当該内側ガイドレール9Bが外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間に収容される。
【0032】
ところで、スクリーン装置X1では、レール部材91は、保持部材93によって第1スリット91bの幅方向に圧縮変形されており、これにより当該第1スリット91bの幅が抜止部材35の厚みT1よりも小さい状態を保っている。具体的には、
図3および
図4に示すように、保持部材93に保持される以前のレール部材91であるレール部材100のうち、第1スリット100bが設けられた面の幅W1は、保持部材93の第2収容部93aの幅W2よりも大きく設定される。このため、保持部材93によってレール部材100が保持された場合、すなわち保持部材93の第2収容部93aにレール部材100が収容された場合に、レール部材100のうち第1スリット100bが設けられた面が当該第1スリット100bの幅方向に圧縮変形する。これにより、保持部材93に保持されたレール部材91の第1スリット91bの幅は、保持部材93に保持される以前のレール部材100の第1スリット100bの幅よりも小さくなる。
【0033】
このように、スクリーン装置X1では、保持部材93によってレール部材100の第1スリット100bの幅を小さくすることで、レール部材91の第1スリット91bが形成される。このため、例えば巻取軸31における抜止部材35の巻取径を小さくする目的で当該抜止部材35の厚みT1を薄く設定した場合に、スクリーン装置X1の製造工程においてレール部材100に極めて小さな幅の第1スリット100bを形成しなくとも、第1スリット91bから抜止部材35が抜け出すことを抑止できる。また、上記のとおり、スクリーン装置X1の製造工程においてレール部材100に極めて小さな幅の第1スリット100bを形成しなくともよいため、例えば樹脂材料を押出成形することによってレール部材100を成形する場合に、当該幅の小ささに起因して第1スリット100bが塞がってしまうことを抑止できる。このため、レール部材100を容易に製造することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、レール部材91は、保持部材93の第2収容部93aに収容されているとともに、当該第2収容部93aにおいて第1スリット91bの幅方向に圧縮変形されている。このような構成によれば、第2収容部93aにおいて、第1スリット91bの幅を小さくしつつ、レール部材91が保持部材93から外れることを抑止できる。なお、保持部材93は、第2収容部93aおよび第2スリット93bを有していなくともよく、少なくとも保持部材93によってレール部材91が第1スリット91bの幅方向に圧縮変形されていればよい。
【0035】
また、本実施形態では、レール部材100のうち第1スリット100bが設けられた面とは反対側の面の幅W3は、第2収容部93aの幅W2よりも以下である。このような構成によれば、レール部材100を第2収容部93aに収容する際に、第1スリット100bが設けられた面の反対側の面が第1スリット100bの幅方向に圧縮変形されないので、当該収容を容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、保持部材93の剛性は、レール部材100の剛性に比して高い。このような構成によれば、保持部材93によってレール部材100を確実に圧縮変形させることができる。なお、保持部材93およびレール部材100の剛性は、それぞれの部材の材質あるいは厚み等によって適宜調整される。
【0037】
以上説明したスクリーン装置X1は、例えば以下の工程を含む方法により、合理的かつ容易に製造されることが可能である。以下では、
図5〜
図7を参照しつつ、スクリーン装置X1の製造方法について詳述する。
【0038】
1)巻取スクリーン3および外側ガイドレール9Aの取付け工程
まず、
図5を参照しつつ、巻取スクリーン3および外側ガイドレール9Aの取付け工程について説明する。
【0039】
この工程では、まず、金属材料あるいは樹脂材料等からなる枠部材1が準備される。当該枠部材1は、平面視して略矩形状に形成される。
【0040】
次に、巻取軸31、スクリーン部材33、および抜止部材35を備えた巻取スクリーン3が準備され、当該巻取スクリーン3が枠部材1に取り付けられる。具体的には、布製等のスクリーン部材33が、枠部材1が取り囲む領域と同程度の面積を有する略矩形状に形成される。そして、スクリーン部材33の両側端部33a、すなわちスクリーン部材33の両長辺に対して、樹脂材料等からなる抜止部材35が取り付けられる。より具体的には、テープ状の抜止部材35が折り曲げられ、当該抜止部材35がスクリーン部材33の両側端部33aを当該スクリーン部材33の両面から挟み込むようにして当該両側端部33aに接着される。そして、スクリーン部材33の上端部、すなわちスクリーン部材33の一方の短辺は、円柱形状に形成された巻取軸31に対して当該巻取軸31の軸方向に沿って取り付けられる。これにより、スクリーン部材33および抜止部材35は、巻取軸31に対して当該巻取軸31の周方向に巻き取られる。このようにして準備された巻取スクリーン3は、枠部材1によって取り囲まれる領域において、枠部材1の上枠に沿って配置される。そして、巻取スクリーン3における巻取軸31は、当該巻取軸31の周方向に回動可能な状態で、枠部材1の両側枠に固定される。
【0041】
次に、金属材料あるいは樹脂材料等からなる外側ガイドレール9Aが準備され、当該外側ガイドレール9Aが枠部材1に取り付けられる。具体的には、外側ガイドレール9Aは、一方方向に沿って延びる凹型の部材である。外側ガイドレール9Aには、当該外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間内において、当該外側ガイドレール9Aの底部から前記一方方向と直交する方向に沿って延びる2つの区画壁が形成される。これにより、外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間は、2つの前記区画壁によって区画された第1空間S1および2つの第2空間S2を含む。この外側ガイドレール9Aは、枠部材1に取り囲まれる領域において、当該枠部材1の両側枠に沿って配置される。そして、外側ガイドレール9Aの底部は、ネジ等を介して枠部材1の両側枠に固定され、当該ネジのネジ頭が第1空間S1に配置される。
【0042】
2)内側ガイドレール9Bの嵌め込み工程
次に、
図6を参照しつつ、内側ガイドレール9Bの嵌め込み工程について説明する。
【0043】
この工程では、まず、レール部材91、保持部材93、嵌込部材95、および弾性体97を備えた内側ガイドレール9Bが準備される。
【0044】
具体的には、まず、
図3に示すレール部材100が準備されるとともに、
図4に示す保持部材93が準備される。レール部材100は、保持部材93に保持されることによって、レール部材91となる部材である。レール部材100は、樹脂材料を押出成形することによって、一方方向に沿って延びる中空形状に成形される。このレール部100には、当該レール部材100の中空部分にあたる第1収容部100a、および当該第1収容部100aに連通するとともに前記一方方向に沿って延びる第1スリット91bが形成される。また、保持部材93は、樹脂材料を押出成形することによって、一方方向に沿って延びる中空形状に成形される。この保持部材93には、当該保持部材93の中空部分にあたる第2収容部93a、および当該第2収容部93aに連通するとともに前記一方方向に沿って延びる第2スリット93bが形成される。ここで、第2収容部93aの幅W2は、レール部材100のうち第1スリット100bが形成された面の幅W1よりも小さく、且つレール部材100のうち第1スリット100bが形成された面と反対側の面の幅W3以上となるよう設定される。そして、レール部材100は、保持部材93の長さ方向に沿って当該保持部材93の第2収容部93a内へ挿入される。当該挿入されたレール部材100は、第2収容部93aに収容されるとともに、第1スリット100bの形成された面が圧縮変形することで当該第1スリット100bの幅が縮小し、これによりレール部材91となる。このとき、レール部材91の第1スリット91bの幅は、抜止部材35の厚みT1よりも小さく設定される。
【0045】
次に、嵌込部材95が準備される。嵌込部材95は、樹脂材料を押出成形することによって、一方方向に沿って延びる中空形状に成形される。この嵌込部材95には、当該嵌込部材95の中空部分にあたる第3収容部95a、および当該第3収容部95aに連通するとともに前記一方方向に沿って延びる第3スリット95bが形成される。また、嵌込部材95には、第3スリット95bが形成された面とは反対側の面における幅方向両端に位置しており、且つ第3収容部95aから遠ざかる方向に延びる嵌込部95cが形成される。さらに、嵌込部材95には、嵌込部95cから突出する複数の突起95dが形成される。この複数の突起95dは、嵌込部材95における他の部位に比して軟質に形成される。このため、嵌込部材95の押出成形には、異材質同士を組み合わせて一体に成形するいわゆる2色成形が適用される。そして、レール部材91および保持部材93は、嵌込部材95の長さ方向に沿って当該嵌込部材95の第3収容部95a内へ挿入される。この際、保持部材93の外周面と嵌込部材95の内周面との間に弾性体97が介在され、当該弾性体97によって嵌込部材95に対する保持部材93の相対位置が設定される。
【0046】
このようにして準備された内側ガイドレール9Bは、外側ガイドレール9Aの長さ方向に沿って配置され、当該外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間に収容される。具体的には、内側ガイドレール9Bにおける嵌込部材95の嵌込部95cは、外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間内の第2空間S2に挿入される。このとき、嵌込部95cから突出した複数の突起95dは、外側ガイドレール9Aの内周面に当接することで弾性変形し、当該内周面に対して反発力が加えられる。これにより、嵌込部95cおよび複数の突起95dが第2空間S2において固定され、内側ガイドレール9Bが外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間に収容される。
【0047】
そして、スクリーン部材33の側端部33aおよび当該側端部33aに取り付けられた抜止部材35は、レール部材91の長さ方向に沿って当該レール部材91の第1収容部91a内に挿入される。このとき、スクリーン部材33のうち当該スクリーン部材33の短辺方向において側端部33aに連続する部位は、第1スリット91bおよび第2スリット93bに挿入されることになる。
【0048】
3)前面カバー5およびウェイトバー7の取付け工程
次に、
図7を参照しつつ、前面カバー5およびウェイトバー7の取付け工程について説明する。
【0049】
この工程では、まず、金属材料等からなる前面カバー5が準備され、当該前面カバー5が枠部材1に取り付けられる。具体的には、前面カバー5は、スクリーン部材33および抜止部材35が巻取軸31に完全に巻き取られた状態における巻取スクリーン3が使用者から視認されるのを防ぐ程度の大きさで形成される。そして、前面カバー5は、巻取軸31の前方に配置されるとともに、図示しないマグネットシート等を介して枠部材1に固定される。
【0050】
次に、ウェイトバー7が準備され、当該ウェイトバー7がスクリーン部材33に取り付けられる。具体的には、ウェイトバー7は、一方方向に沿って延びる部材であって、スクリーン部材33に適度な張力を加えることができる程度の重さで形成される。ウェイトバー7は、
図7に示すように、スクリーン部材33の下端部、すなわちスクリーン部材33のうち巻取軸31に取り付けられた短辺の反対側に位置する短辺に沿って配置され、当該下端部に取り付けられる。そして、ウェイトバー7の両端は、外側ガイドレール9Aにおける凹んだ空間内に配置され、これによりウェイトバー7の上下動が外側ガイドレール9Aにガイドされる。なお、ウェイトバー7は、上記の巻取スクリーン3および外側ガイドレール9Aの取付け工程において、巻取スクリーン3が枠部材1に取り付けられる際に、スクリーン部材33の下端部に取り付けられてもよい。
【0051】
以上のスクリーン装置X1の製造方法によれば、レール部材100を特定の形状で成形することによって、製造工程が簡略化される。具体的には、上記のスクリーン装置X1の製造方法では、レール部材100は、第1スリット100bが設けられた面の幅W1が第2収容部93aの幅W2よりも大きく設定されるとともに、第1スリット100bが設けられた面とは反対側の面の幅W3が第2収容部93aの幅W2以下に設定される。このため、レール部材100のうち第1スリット100bが設けられた面は、レール部材100を第2収容部93aに収容する際に保持部材93の内周面に押さえ付けられ、これにより第1スリット100bの幅方向に圧縮される。このように、上記のスクリーン装置X1の製造方法によれば、レール部材100を第2収容部93aに収容する工程において、第2収容部93aに対するレール部材100の収容と第1スリット100bの幅の縮小とが同時に達成される。また、レール部材100のうち第1スリット100bが設けられた面とは反対側の面が、第2収容部93aの幅方向において保持部材93の内周面に反発力を加えることがないため、第2収容部93aに対してレール部材100を容易に収容することができる。このため、スクリーン装置X1の製造工程が簡略化される。
【0052】
また、上記のスクリーン装置X1の製造方法によれば、レール部材100を容易に成形することができる。具体的には、上記のスクリーン装置X1の製造方法のように樹脂材料を押出成形することでレール部材100を成形する場合において、第1スリット100bの幅を極めて狭く形成しようとすると、当該押出成形過程において第1スリット100bが塞がってしまう可能性があり、レール部材100に第1スリット100bを形成することが困難になる。そこで、上記のスクリーン装置X1の製造方法では、レール部材100を第2収容部93aに収容することで第1スリット100bの幅を小さくすることができるため、レール部材100の第1スリット100bを極めて狭く形成する必要がなく、これによりレール部材100を容易に成形することができる。