(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228510
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】超音波探触子
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-104293(P2014-104293)
(22)【出願日】2014年5月20日
(65)【公開番号】特開2015-217208(P2015-217208A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(74)【代理人】
【識別番号】100094651
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 晃
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 功
【審査官】
伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−327501(JP,A)
【文献】
特公平07−030812(JP,B2)
【文献】
特開平09−222826(JP,A)
【文献】
特開2004−316672(JP,A)
【文献】
特開2011−012688(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/093861(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/178341(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/79614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
F16D 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子において、探触子本体を搖動させる動力源の出力軸と前記探触子本体との間にカップリングを、また、前記動力源の前記出力軸にフライホイールを搖動自在に遊合し、
前記カップリングは、2個の対向して配置したハブと、前記2個のハブの間に設けた緩衝材と、からなり、
前記カップリングの前記2個のハブの間に、前記緩衝材に加えて、圧縮コイルバネを設け、前記ハブを軸方向に付勢し、
前記探触子本体からの振動及び騒音の発生を軽減したことを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記カップリングを前記出力軸の一端部に、また、前記フライホイールを前記出力軸の他端部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記緩衝材が、シリコンゴムからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記緩衝材が、平面視十字状の形状をしていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子に係り、特に、探触子本体を駆動させる動力源と探触子との間に緩衝材を内装したカップリングとフライホイールを組み合わせて設けて、探触子本体からの振動と騒音の軽減を図った超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探触子、例えば、医用の経腟・経直腸用のメカニカル3D超音波探触子10は、
図7に示すように、先端が先細り形状をしたハウジング11内に探触子本体13の駆動源であるステッピングモータ1を設け、ステッピングモータ1の出力軸1aと駆動軸1cとの間にハブ4a、4b、4cを設ける。そして、ハブ4cをステッピングモータ1の出力軸1aに、また、ハブ4aを駆動軸1cに、それぞれネジ止めし、両方のハブ4a、4b、4cとの間に金属製ディスク2aをそれぞれ介在固定させて、出力軸1aのトルクを駆動軸1cに伝達し、駆動軸1cを所定角度正逆方向に搖動させるようになっている。
【0003】
そして、この駆動軸1cの搖動により、駆動軸1cの先端に小かさ歯車7aと噛合う大かさ歯車7bを搖動させ、ハウジング11の先端に嵌着されたカバー12内に充填した超音波伝播媒体中で超音波送受信部(圧電素子群)13を、その短軸方向に正逆搖動させる。
【0004】
医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子10として、超音波診断装置に用いて患者の超音波診断をする際には、
図7に示すハウジング11の下端部にキャップ14を嵌合して、ハウジング11内を密封状態にし、超音波探触子10のカバー12の表面を、例えば、患者の膣内、直腸内に挿入して、それらの内壁面に、あるいは体表面に接触させて超音波の送受信を行う。
【0005】
このように、探触子本体13を搖動させる構造の医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子では、その先端部を超音波診断に患者の体表面、膣、直腸のような体腔の内部に接触して使用するため、患者に探触子本体からの振動、騒音等を感じさせないようにすることが不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の探触子本体13を搖動させる構造の超音波診断装置の超音波探触子は、探触子本体13を搖動させるための動力源としてステッピングモータを用い、特に、
図8に示すように、ステッピングモータ1の出力軸1aと小かさ歯車7aを駆動させる駆動軸1cとの間にハブ4a、4b、4cの間にディスク2aをそれぞれ介在させて連結し、金属製ディスク2aのねじり剛性によりトルクを駆動軸1cに伝達する形式のディスク型のカップリング2を用いている。
【0007】
しかしながら、このような従来の超音波診断装置の超音波探触子では、前述したように、探触子本体13の駆動源としてステッピングモータ1を用い、かつ、カップリングにディスク型のカップリング2を用いているため、ステッピングモータ1の回転方向の振動が直接探触子本体に伝わるとことで、患者にとっては不快な振動と騒音を発生させていた。
【0008】
また、大小かさ歯車7a、7bを噛み合わせて探触子本体13(圧電素子群)を、その短軸方向に所定角度正逆方向に搖動させるため、両かさ歯車の組み立て精度のバラツキ等により両歯車の軸間に狂いが生じてしまい、かさ歯車間のバックラッシュにも個体差が生じてしまう。その結果、超音波探触子の製品としての振動レベルにも個体差が生じてしまう問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波探触子は、探触子本体を搖動させる動力源と前記探触子本体との間にカップリングを、また、前記動力源の出力軸にフライホイールを搖動自在に遊合し
、前記カップリングは、2個の対向して配置したハブと、前記2個のハブの間に設けた緩衝材と、からなり、前記カップリングの前記2個のハブの間に、前記緩衝材に加えて、圧縮コイルバネを設け、前記ハブを軸方向に付勢し、前記探触子本体からの振動及び騒音を軽減する。
【0012】
本発明の超音波探触子では、前記カップリングを前記出力軸の一端部に、また、前記フライホイールを前記出力軸の他端部に設けたことを特徴とする。
【0013】
また、前記緩衝材が、シリコンゴムからなることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記緩衝材が、平面視十字状の形状をしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
探触子本体の正逆搖動時の噛合い精度が保たれ、振動・騒音の発生が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子の全体構成を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示した本発明の超音波探触子の探触子本体の駆動モータと搖動用のかさ歯車との間に緩衝材を内装したカップリングと、駆動モータの駆動軸にフライホイールを設けた実施例の側面図である。
【
図3】
図1に示した本発明の超音波探触子の探触子の駆動モータと搖動用のかさ歯車との間に緩衝材と圧縮コイルバネとを内装したカップリングと、駆動モータの駆動軸にフライホイールを設けた実施例の側面図である。
【
図4】
図2に示した本発明の超音波探触子の実施例のカップリング部の拡大側面図(a)と、
図4のIV−IV矢視方向から見た正面図(b)である。
【
図5】
図3に示した本発明の超音波探触子の実施例のカップリング部の拡大側面図(a)と、
図5のV−V矢視方向から見た正面図(b)である。
【
図6】
図5に示した、緩衝材と圧縮コイルバネとを内装したカップリングの分解斜視図である。
【
図7】従来の医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子の全体構成を示す縦断面図である。
【
図8】
図7に示した超音波探触子の探触子の駆動モータと搖動用のかさ歯車との間にディスク型カップリングを設けたカップリング部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の超音波探触子の実施例を添付した図面に基いて説明する。
【0018】
本発明の超音波探触子は、前述した従来の医用超音波診断装置用のメカニカル3D超音波探触子と同様に、先端が先細り形状をしたハウジング11内に探触子本体の動力源であるステッピングモータ1を設け、ステッピングモータ1の出力軸1aと駆動軸1cとの間にハブ4a、4bを設ける。そして、ハブ4bをステッピングモータ1の出力軸1aに、また、ハブ4aを駆動軸1cに、それぞれネジ止めし、両方のハブ4a、4bを係合させて、出力軸1aのトルクを駆動軸1cに伝達し、駆動軸1cを所定角度正逆方向に搖動させるようになっている。そして、駆動軸1cの搖動により、駆動軸1cの先端に固着した小かさ歯車7aと噛合う大かさ歯車7bを搖動させ、ハウジング11の先端に嵌着されたカバー12の超音波伝播媒体中で超音波送受信部(圧電素子群)13を、その短軸方向に搖動させるようになっている(
図1参照)。
【0019】
ここで、
図7及び
図8に示した従来の超音波探触子と本発明の超音波探触子と、その構成が異なる点は、
図1に示したように、本発明の超音波探触子では、カップリング2に緩衝材を用い、さらに、探触子の動力源としてステッピングモータ1の出力軸1bにフライホイール3を設けて探触子からの振動及び騒音を軽減するものである。
【0020】
すなわち、本発明の超音波探触子の
実施例1では、
図3と
図4に示すように、
ステッピングモータ1の出力軸1aの一端部1aにハブ4bをネジ4cによりネジ止めし、また、かさ歯車7aの駆動軸1cにハブ4aをネジ4cによりネジ止めして固着する。ここで、
図4(a)に示すように、ハブ4a、4bの対向する端面間に両面の接触を阻止するため隙間gを設ける。
【0021】
そして、
図4(b)に示すように、2個のハブ4a、4bの間に位置するハブ4bの十字状腕部間に、シリコンゴム等からなる平面視十字状の緩衝材5を配置し、両方のハブ4aと4bとを係合してカップリングする。この緩衝材5は、カップリング2を介してステッピングモータ1の出力軸1aから探触子本体13へ振動が伝達されるのを軽減するとともに、カップリング2からの騒音の発生を阻止する。ここで、緩衝材5は、振動、騒音を防止するとともに、出力軸1aのトルクを確実に駆動軸1cに伝達することができる程度の硬さと柔軟性を要求される。
【0022】
さらに、この実施例1では、
図2に示すように、ステッピングモータ1の一他端部1bに、フライホイール3を遊動自在にオイル層を介して遊合し、脱落防止用の座金3aで保持する。
【0023】
このように、フライホイール3を出力軸1aの他端部1bに搖動自在(例えば、最大で6往復/秒)に保持して、ステッピングモータ1からの振動をフライホイール3により軽減する。なお、仮に設けるスペースがあれば、出力軸1aの一端部にフライホイール3を遊動自在に設けてもよい。
【0024】
また、本発明の超音波探触子の
実施例2では、前述実施例1に記載の緩衝材5及びフライホイール3に加えて、
図3及び
図5に示すように、2個のハブ4a、4bの間に位置するハブ4bの十字状腕部間に、シリコンゴム等からなる平面視十字状の緩衝材5を配置するとともに、駆動軸1cをネジ止めしたハブ4bをその背面から押圧・付勢するように、圧縮コイルバネ6を配置する(
図5参照)。
【0025】
このように、駆動軸1cをネジ止めしたハブ4bを,その背面から軸方向に圧縮コイルバネ6で押圧・付勢することにより、その先端に小かさ歯車7aを固着した駆動軸1cが大かさ歯車7bとの歯面間の隙間(バックラッシュ)を無くすように作用し、両かさ歯車の噛合い時のバラツキを無くし、正逆搖動時の噛合い精度が保たれ、振動・騒音の発生を軽減する。
【符号の説明】
【0026】
1 ステッピングモータ
1a 出力軸の一端部
1b 出力軸の他端部
1c 駆動軸
2 カップリング
3 フライホイール
4a ハブ
4b ハブ
5 緩衝材
6 圧縮コイルスプリング
7a 小かさ歯車
7b 大かさ歯車
10 超音波探触子
11 ハウジング
12 カバー
13 超音波送受波部(探触子本体)
14 キャップ