(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228520
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】カム駆動機構
(51)【国際特許分類】
F16H 25/08 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
F16H25/08
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-144968(P2014-144968)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-20723(P2016-20723A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀夫
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−89755(JP,A)
【文献】
特開平9−42421(JP,A)
【文献】
特開昭53−25253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心廻りに回転するカム軸と、このカム軸に挿通される回転カムと、前記回転カムのカム面に係合するカムフォロアと、前記カム軸に平行に配設されて前記カムフォロアが挿通され、前記カムフォロアを搖動可能に支持する支持軸とを備えたカム機構を、カム軸が並列になるように所定間隔離間して、支持基台に複数設置されたカム駆動機構において、
支持基台に対して前記カム機構の長手方向と直交する方向に固定され、複数のカム軸及び支持軸に亘って連続して、夫々のカム軸及び支持軸を挿通支持する少なくとも2つ以上の板金製のブラケットを、前記カム機構の長手方向に沿って所定間隔に配置したことを特徴とするカム駆動機構。
【請求項2】
前記ブラケットは、カム機構の動作による反力の方向が、前記支持基台の厚さ方向と直角方向に作用するように固定されていることを特徴とする請求項1に記載のカム駆動機構。
【請求項3】
前記ブラケットは、端部が折り曲げられた補強部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカム駆動機構。
【請求項4】
前記ブラケットは、厚さが4.5mm〜9mmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカム駆動機構。
【請求項5】
1つのカム機構に、夫々複数の回転カム及びカムフォロアが設けられており、隣接する回転カム及びカムフォロアの間に前記ブラケットが設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカム駆動機構。
【請求項6】
前記支持基台は、長尺部材からなる支持架台であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカム駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム機構が複数設置されたカム駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置を駆動させるための動力源となる連動機構として、カム機構を備えたカム駆動機構により動力を発生させるものがあり(特許文献1)、ターンテーブルを利用した構成で、複数のカム機構を並列配置したものがある。
【0003】
図2に示すカム駆動機構は、架台内に設けられるものであり、第1のカム機構100aと第2のカム機構100bとが、支持基台に対して並列に設置された構成となっている。支持基台は、支持架台111と支持基板110とから構成されており、支持架台111上に支持基板110が載置されている。支持架台111は、例えば角パイプ、アングル、チャンネル等の鋼材にて構成されており、支持基板110は、全てのカム機構100a、100bを搭載できる1枚のベース板形状のものにて構成されている。
【0004】
夫々のカム機構100a、100bは、軸心廻りに回転するカム軸101a、101bと、このカム軸101a、101bに挿通される回転カム102a、102bと、回転カム102a、102bのカム面に係合するカムフォロア103a、103bと、カム軸101a、101bに平行に配設されて前記カムフォロア103a、103bが軸受106a、106bを介して挿通され、カムフォロア103a、103bを搖動可能に支持する支持軸104a、104bとを備えている。このような2つのカム機構100a、100bが、夫々のカム軸101a、101bが並列になるように所定間隔離間して設置されている。
【0005】
また、全ての回転カム102a、102b及びカムフォロア103a、103bに対応して、図示例では8つのブラケット105a、105bが支持基台110に取り付けられている。このブラケット105a、105bは、カム軸101a、101bを挿通するための穴と、支持軸104a、104bを挿通するための穴が設けられている。一方の穴には、軸受107a、107bを介してカム軸101a、101bが挿通され、カム軸101a、101bを回転可能に支持している。他方の穴には、支持軸104a、104bが挿通され、支持軸104a、104bを回転させることなく固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−009366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2に示すカム駆動機構は、カム軸101、回転カム102、カムフォロア103、支持軸104等を、個別のブラケット105に分散して設置する必要があり、部品点数が増加する。また、各軸の平行出し作業がやりにくく、メンテナンス性が低下したり、調整が難しいという問題もある。さらには、カム動作による反力の方向が、支持基台110の板厚方向に作用するため、支持基台110にたわみが発生しやすい。このため、支持基台110の肉厚を厚くする必要がある。
【0008】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、少ない部品点数でメンテナンス性が良いカム駆動機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカム駆動機構は、軸心廻りに回転するカム軸と、このカム軸に挿通される回転カムと、前記回転カムのカム面に係合するカムフォロアと、前記カム軸に平行に配設されて前記カムフォロアが挿通され、前記カムフォロアを搖動可能に支持する支持軸とを備えたカム機構を、カム軸が並列になるように所定間隔離間して、支持基台に複数設置されたカム駆動機構において、支持基台に対して前記カム機構の長手方向と直交する方向に固定され、複数のカム軸及び支持軸に亘って連続して、夫々のカム軸及び支持軸を挿通支持する少なくとも2つ以上の板金製のブラケットを、前記カム機構の長手方向に沿って所定間隔に配置したものである。
【0010】
本発明のカム駆動機構によれば、少なくとも2つ以上のブラケットが、カム機構の長手方向に沿って所定間隔で配置されており、ブラケットがカム軸及び支持軸を支持することができる。このブラケットは、1枚の板金にて構成されているため、複数のカム軸及び支持軸に亘って連続したものとなっており、回転カム及びカムフォロア毎で個々に設ける必要がなくなる。これにより、複数のカム軸及び支持軸を、1枚の板金に取り付けることができる。
【0011】
前記構成において、前記ブラケットは、カム機構の動作による反力の方向が、前記支持基台の厚さ方向と直角方向に作用するように固定する。このため、動作中に支持基台にたわみが発生することを防止でき、支持基台を薄くすることができて材料の節約ができる。
【0012】
前記ブラケットは、端部が折り曲げられた補強部を備えたものとできる。また、前記ブラケットは、厚さが4.5mm〜9mmとすることができる。
【0013】
1つのカム機構に、夫々複数の回転カム及びカムフォロアが設けられており、隣接する回転カム及びカムフォロアの間に前記ブラケットが設けられるものとできる。
【0014】
前記支持基台は、長尺部材からなる支持架台とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、回転カム及びカムフォロア毎で個々にブラケットを設ける必要はなくなって、部品点数を少なくしてコストを削減することができる。また、複数のカム軸及び支持軸を1枚の板金に取り付けることができるため、カム軸と支持軸との平行出し作業がやり易くなって、メンテナンス性が良いものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を
図1に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すカム駆動機構は、架台内に設けられるものであり、各種装置を駆動させるための動力源となる連動機構である。
図1に示すように、複数の(図示例では2つ)カム機構1a、1bが、支持基台20に設置された構成となっている。本発明の支持基台20は、支持架台20のみから構成されている。すなわち、従来の支持基台は、支持架台上に支持基板を載置して構成されていたが、本発明では支持基板を有さない。ここで、支持架台20とは、例えば角パイプ、アングル、チャンネル等の長尺部材から構成され、図示例では2本の長尺部材が並列に配置されたものとしている。
【0019】
夫々のカム機構1a、1bは、軸心廻りに回転するカム軸2a、2bと、このカム軸2a、2bに挿通される回転カム3a、3bと、回転カム3a、3bのカム面に係合するカムフォロア4a、4bと、カム軸2a、2bに平行に配設されて前記カムフォロア4a、4bが軸受11a、11bを介して挿通され、カムフォロア4a、4bを搖動可能に支持する支持軸5a、5bとを備えている。
【0020】
夫々のカム機構1a、1bに、回転カム3a、3b及びカムフォロア4a、4bは3つずつ設けられており、回転カム3a、3bとカムフォロア4a、4bは、カム機構1a、1bの長手方向に沿ってほぼ等間隔に配置されている。夫々のカムフォロア4a、4bには、カム軸2a、2bの軸方向に突出する突起部10a、10bが設けられており、この突起部10a、10bが回転カム3a、3bのカム面に係合する。
【0021】
カム軸2が回転すると、回転カム3a、3bが回転し、カムフォロア4a、4bの突起部10a、10bが、回転カム3a、3bの側面(カム面)に案内されてカムフォロア4a、4bを周期的に押し上げる。これにより、カムフォロア4a、4bは、支持軸5a、5bを中心として上下に搖動する。
【0022】
このような第1のカム機構1aと、第2のカム機構1bとが、夫々のカム軸2a、2bが並列になるように所定間隔離間して設置されている。
【0023】
さらに、4つのブラケット6が、カム機構1a、1bの長手方向と直交する方向で、支持架台20に対して固定されている。これら4つのブラケット6は、第1のカム機構1a及び第2のカム機構1bの長手方向(つまり支持架台20の長手方向)に沿ってほぼ等間隔で、隣接する回転カム3及びカムフォロア4の間に設けられる。このようにして、ブラケット6が、支持架台20に局所的に固定される。
【0024】
夫々のブラケット6には、穴8a、9a、8b、9bが設けられており、穴8aに第1のカム機構1aのカム軸2aが軸受12aを介して挿通され、穴9aに第1のカム機構1aの支持軸5aが挿通される。また、穴8bに第2のカム機構1bのカム軸2bが軸受12bを介して挿通され、穴9bに第2のカム機構1bの支持軸5bが挿通される。これにより、ブラケット6は、夫々のカム軸2a、2bを回転可能に支持するとともに、支持軸5a、5bを回転させることなく支持する。
【0025】
近年のレーザー切断、NCプレスブレーキ技術の進歩により、板金の複雑形状折り曲げが容易にできるようになり、コストも低下傾向にある。そこで、本発明のブラケット6は、厚さが4.5mm〜9mmの1枚の板金の端部を折り曲げて構成される。すなわち、1枚の板金の端部を折り曲げて、この折り曲げ方向が、カム機構1a、1bの長手方向と直交する方向となるようにブラケット6を配置している。本実施形態は、1枚の板金の両端部を折り曲げて、上下方向に2つの折り曲げ部を設けている。これらの折り曲げ部は、補強部7となり、一方の補強部7が支持架台20に取り付けられている。
【0026】
ブラケット6は、1枚の板金にて構成されているため、第1のカム機構1aのカム軸2a及び支持軸5aから、第2のカム機構1bのカム軸2b及び支持軸5bに亘って連続するものとなる。すなわち、従来は、ブラケットを、夫々の回転カム及びカムフォロアに対応して個別に設けていたので、第1のカム機構1aに設けられるブラケットと、第2のカム機構1bに設けられるブラケットとは、
図2に示すように離間しており、第1のカム機構1aと第2のカム機構1bとの間が不連続なものであった。これに対して、本発明のブラケット6は、第1のカム機構1aから第2のカム機構1bに亘って連続したものとなる。これにより、複数のカム軸2a、2b及び支持軸5a、5bを、1枚の板金に取り付けることができる。
【0027】
ブラケット6は、カム機構1a、1bの動作による反力の方向が、支持架台20の厚さ方向(上下方向)と直角方向に作用するように固定されている。このため、動作中に支持基台にたわみが発生することを防止でき、支持基台を薄くすることができて材料の節約ができる。
【0028】
本発明のカム駆動機構は、回転カム3及びカムフォロア4毎で個々にブラケット6を設ける必要はなくなって、部品点数を少なくしてコストを削減することができる。また、複数のカム軸2及び支持軸5を1枚の板金に取り付けることができるため、カム軸2と支持軸5との平行出し作業がやり易くなって、メンテナンス性が良いものとなる。
【0029】
しかも、本発明のブラケット6を備えることによって、支持基台を支持架台20のみから構成することができ、従来必要としていた支持基板を、本発明では省略することができる。このように、本発明では、従来のカム機構の構成をそのままとして動力を維持しながらも、軽量化、部品点数の削減を図ることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、カム機構1の数は2つ以上であれば個数は問わず、1つのカム軸に設けられる回転カムやカムフォロアの数も任意に設定できる。ブラケットの数も、2つ以上であれば任意に設定できる。ブラケット6の補強部7は省略してもよく、また、板金の一方の端部のみを折り曲げて補強部7を1つとしてもよい。支持架台20を構成する長尺部材の数は任意に設定でき、材質や形状も任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 カム機構
2 カム軸
3 回転カム
4 カムフォロア
5 支持軸
6 ブラケット
20 支持架台