(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
DOC(1)と、DPF(2)と、DPF(2)のPM堆積量推定装置(3)と、制御装置(4)と、DPF再生装置(5)と、DOC入口排気温度検出装置(6)と、吸気絞り装置(7)と、吸気量検出装置(8)と、回転数変動検出装置(9)を備え、
DPF(2)のPM堆積推定値が所定値Pに至り、DOC入口排気温度が所定値T0に至っている場合には、DPF再生処理が開始され、DPF再生処理では、制御手段(4)によりDPF再生装置(5)で排気(10)に未燃燃料が混入され、未燃燃料のDOC(1)での触媒燃焼で排気(10)の温度が上昇され、DPF(2)に堆積したPMが燃焼除去されて、DPF(2)が再生され、
DOC入口排気温度が所定値T0に至っていない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が実施され、吸気量フィードバック制御では、DPF再生用の吸気絞り(S8)の目標値が所定の吸気量Vに設定(S5)され、DPF再生用の吸気絞り(S8)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、吸気量フィードバック制御を開始してから、DOC入口排気温度が所定値T0に至らないまま、経過時間が所定値tに至っても、前記DPF再生処理が開始されない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が排気温度フィードバック制御に変更され、
排気温度フィードバック制御では、制御装置(4)でDPF再生用の吸気絞り(S15)の目標値が所定のDOC入口排気温度T0に変更(S13)され、DPF再生用の吸気絞り(S15)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、DOC入口排気温度が所定値T0に至る前に、エンジン回転数の所定の周期的変動が検出された場合には、制御装置(4)で吸気絞りによる吸気の減量が停止(S18)され、DOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 DPFのPM堆積量が過剰になるおそれがある。
従来では、DPF再生用の吸気絞りの目標値が吸気量のみとされていたため、吸気量フィードバック制御での吸気絞り量が制限され、軽負荷で排気温度が低い運転状態では、DOC入口排気温度がDOC活性化温度まで上昇せず、DPF再生が長期間延期され、DPFのPM堆積量が過剰になるおそれがある。この場合、DPFが使用不能になり、交換が必要になることがある。
【0007】
本発明の課題は、DPFのPM堆積量が過剰になるのを防止することができるディーゼルエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、DOC(1)と、DPF(2)と、DPF(2)のPM堆積量推定装置(3)と、制御装置(4)と、DPF再生装置(5)と、DOC入口排気温度検出装置(6)と、吸気絞り装置(7)と、吸気量検出装置(8)と、回転数変動検出装置(9)を備え、
図2に例示するように、DPF(2)のPM堆積推定値が所定値Pに至り、DOC入口排気温度が所定値T0に至っている場合には、DPF再生処理が開始され、DPF再生処理では、
図1に例示するように、制御手段(4)によりDPF再生装置(5)で排気(10)に未燃燃料が混入され、未燃燃料のDOC(1)での触媒燃焼で排気(10)の温度が上昇され、DPF(2)に堆積したPMが燃焼除去されて、DPF(2)が再生され、
図2に例示するように、DOC入口排気温度が所定値T0に至っていない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が実施され、吸気量フィードバック制御では、DPF再生用の吸気絞り(S8)の目標値が所定の吸気量Vに設定(S5)され、DPF再生用の吸気絞り(S8)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、吸気量フィードバック制御を開始してから、DOC入口排気温度が所定値T0に至らないまま、経過時間が所定値tに至っても、前記DPF再生処理が開始されない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が排気温度フィードバック制御に変更され、
図2に例示するように、排気温度フィードバック制御では、制御装置(4)でDPF再生用の吸気絞り(S15)の目標値が所定のDOC入口排気温度T0に変更(S13)され、DPF再生用の吸気絞り(S15)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、DOC入口排気温度が所定値T0に至る前に、エンジン回転数の所定の周期的変動が検出された場合には、制御装置(4)で吸気絞りによる吸気の減量が停止(S18)され、DOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 DPFのPM堆積量が過剰になるのを防止することができる。
図2に例示するように、吸気量フィードバック制御を開始してから、DOC入口排気温度が所定値T0に至らないまま、経過時間が所定値tに至っても、DPF再生処理が開始されない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が排気温度フィードバック制御に変更されるので、吸気量フィードバック制御によるDPF再生用の吸気絞りの制限が解除され、より吸気を絞ることで、軽負荷で排気温度が低い運転状態でも、DOC入口排気温度を短時間でDOC(1)の活性化温度まで上昇させることが可能となり、DPF再生処理が早期に実施され、DPFのPM堆積量が過剰になるのを防止することができる。
【0010】
《効果》吸気絞りによるエンジン回転の不安定化を防止することができる。
図2に例示するように、DOC入口排気温度が所定値T0に至る前に、エンジン回転数の所定の周期的変動が検出された場合には、制御装置(4)で吸気絞りによる吸気の減量が停止(S18)されるので、吸気絞りによるエンジン回転の不安定化を防止することができる。
【0011】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン回転の安定化を図ることができる。
図2に例示するように、排気温度フィードバック制御で、目標値を所定のDOC入口排気温度T0とするDPF再生用の吸気絞り(S15)の前に、制御装置(4)で排気予備昇温処理(S14)が実施され、この排気予備昇温処理(S14)にはコモンレール装置(11)によるアフター噴射(S14−3)が含まれ、アフター噴射(S14−3)はポスト噴射(S3)よりも早い噴射タイミングで噴射されるように構成されているので、アフター噴射(S14−3)によって、DPF再生用の吸気絞り(S15)の前に排気(10)を予備昇温しておくことができ、その分だけ吸気絞りを緩やかにして、吸気量を増加させることが可能となり、出力増加により、エンジン回転の安定化を図ることができる。
【0012】
《効果》 DPF再生処理を速やかに開始させることができる。
図2に例示するように、アフター噴射(S14−3)によって、DPF再生用の吸気絞り(S15)の前に排気(10)を予備昇温し、DOC(1)を活性化温度に近づけておくことができるので、DPF再生処理を速やかに開始させることができる。
【0013】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 DPF再生処理を速やかに開始させることができる。
図2に例示するように、吸気量フィードバック制御で、アフター噴射(S7−3)によって、DPF再生用の吸気絞り(S7)の前に排気(10)を予備昇温し、DOC(1)を活性化温度に近づけておくことができるので、DPF再生処理を速やかに開始させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜
図4は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンを説明する図であり、この実施形態では、立形の直列4気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
このエンジンはエンジン発電機に使用されている。
【0016】
このエンジンの概要は、次の通りである。
シリンダブロック(12)の上部にシリンダヘッド(13)が組み付けられ、シリンダブロック(13)の前部にエンジン冷却ファン(14)が配置され、シリンダブロック(12)の後部にフライホイール(15)が配置されている。
シリンダヘッド(13)の横一側には吸気マニホールド(図示せず)が組付けられ、横他側には排気マニホールド(16)が組み付けられている。
排気マニホールド(16)には過給機(17)が取り付けられ、過給機(17)の排気タービン(17a)から排気経路(18)が導出され、過給機(17)のエアコンプレッサ(17b)から吸気経路(38)が導出されている。
【0017】
図1に示すように、このエンジンは、DOC(1)と、DPF(2)と、DPF(2)のPM堆積量推定装置(3)と、制御装置(4)と、DPF再生装置(5)と、DOC入口排気温度検出装置(6)と、吸気絞り装置(7)と、吸気量検出装置(8)と、負荷検出装置(9)を備えている。
【0018】
図1に示すように、DOC(1)は、排気経路(18)のDPFケース(36)内の上流側に配置され、DPF(2)は、DPFケース(36)内の下流側に配置されている。
DOC(1)は、酸化触媒であり、セラミック製のハニカム形の担体で、酸化触媒成分が担持され、セル(1a)の両端が開口されたフロースルーモノリスで、セル(1a)の内部を排気(10)が通過するように構成されている。
DPF(2)は、ディーゼル・パティキュレート・フィルタであり、セラミック製のハニカム形の担体で、酸化触媒成分が担持され、隣合うセル(2a)(2a)の端部を交互に目封じしたウォールフローモノリスで、隣合うセル(2a)(2a)間の壁(2b)を排気(10)が通過し、排気(10)に含まれるPMが捕捉される。PMは、粒子状物質の略称である。
【0019】
DPF(2)のPM堆積量推定装置(3)は、制御装置(4)であるエンジンECUの演算部であり、エンジン目標回転数設定装置(19)、エンジン実回転数検出装置(20)、DPF入口排気温度検出装置(21)、DPF入口排気圧検出装置(22)、差圧検出装置(23)、DPF出口排気温度検出装置(37)で検出された、エンジン目標回転数、エンジン実回転数、DPF入口排気温度、DPF入口排気圧、DPF(2)の入口と出口の排気差圧、DPF出口排気温度や燃料噴射量等に基づいて、予め実験的に求めたマップデータからDPF(2)のPM堆積量を推定する。
エンジンECUは、エンジン電子制御ユニットであり、マイコンである。
【0020】
図1に示すように、DPF再生装置(5)は、DOC(1)とコモンレール装置(11)からなる。
コモンレール装置(11)は、インジェクタ(24)と、コモンレール(25)と、燃料サプライポンプ(26)と、燃料タンク(27)とを備えている。インジェクタ(24)は、シリンダヘッド(13)に各気筒毎に取り付けられ、高圧管でコモンレール(25)に接続されている。コモンレール(25)には、燃料サプライポンプ(26)で燃料タンク(27)から燃料(28)が供給され、蓄圧される。インジェクタ(24)の電磁バルブ(24a)は制御装置(4)に電気的に接続され、所定タイミングで所定時間、電磁バルブ(24a)が開弁され、所定タイミングで所定量の噴射がなされる。
図2〜
図4に示すように、コモンレール装置(11)の噴射には、圧縮行程の上死点付近で噴射されるメイン噴射、排気行程で噴射されるアフター噴射(S7−3)(S14−3)とポスト噴射(S−3)等があり、アフター噴射(S7−3)(S14−3)の噴射タイミングはポスト噴射(S−3)よりも早い。メイン噴射は、エンジン出力を得るための噴射、アフター噴射(S7−3)(S14−3)はDPF再生用の吸気絞り(S8)(S15)の前に排気(10)を予備昇温するための噴射、ポスト噴射(S−3)は排気(10)中に未燃焼燃料を混入させ、DOC(1)で触媒燃焼させ、排気(10)の温度を上昇させ、DPF(2)を再生するための噴射である。
【0021】
図1に示すように、インジェクタ(24)の噴射タイミングや噴射時間は、エンジン実回転数検出装置(20)とクランク角検出装置(29)で検出したエンジン実回転数とクランク角度と、気筒判別装置(30)で検出した各気筒の燃焼サイクルの位相に基づいて、制御手段(4)により制御される。エンジン実回転数検出装置(20)とクランク角検出装置(29)は、フライホイール(15)のロータプレート(31)の外周に臨ませたピックアップコイルで、ロータプレート(31)の外周に一定間隔で多数設けた歯の数を検出する。気筒判別装置(30)もカム軸に取り付けたセンサプレート(32)の外周に臨ませたピックアップコイルで、センサプレート(32)の外周に設けられた突起の検出により、各気筒の燃焼サイクルがいかなる位相にあるかを判別する。エンジン実回転数検出装置(20)とクランク角検出装置(29)を構成するピックアップコイルと、気筒判別装置(30)は、制御装置(4)に電気的に接続されている。
【0022】
図1、
図2に示すように、吸気絞り装置(7)は、吸気絞り弁であり、DOC入口排気温度がDOC(1)の活性化温度T0未満の場合には、制御手段(4)で吸気絞り弁の弁開度を徐々に小さくする吸気絞り(S8)(S15)が実施され、吸気量が減少し、DOC入口排気温度が上昇する。
吸気絞り装置(7)は、過給機(17)のエアコンプレッサ(17b)の下流に設けられたインタークーラ(33)と吸気マニホールドとの間に配置されている。
吸気量検出装置(8)は、エアフローセンサであり、エアクリーナ(34)と過給機(17)のエアコンプレッサ(17b)との間に配置されている。吸気絞り装置(7)と吸気量検出装置(8)は、制御装置(4)に電気的に接続されている。
回転数変動検出装置(9)は、エンジンECUの演算処理部で、エンジン実回転数検出装置(20)で検出したエンジン実回転数に基づいて、エンジン回転数の所定の周期的変動を検出する。エンジン回転数の所定の周期的変動とは、エンジンの回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動をいう。
【0023】
回転ブレとは、吸気不足等により、エンジン回転が不安定になる現象であり、ハンチングの場合よりも周期の短いエンジン回転数の周期的変動をいう。
回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動の検出は、エンジン実回転数検出装置(20)によるエンジン実回転数の検出に基づき、エンジンECUが行う。エンジンEUCでは、所定時間内にエンジン回転数の増減幅が所定値以上の変動が周期的に所定回数以上生じた場合には、これを回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動として検出する。例えば、10秒間にエンジン回転数の増減幅が50rpm以上(或いは30rpm以上)の変動が周期的に10回以上生じた場合には、これを回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動として検出する。
エンジン回転数の増減幅が所定値未満の周期的変動しか生じない場合には、検出ノイズか、エンジン回転の安定的な周期的変動と推定されるため、回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動とはみなされない。また、所定時間内にエンジン回転数の増減幅が所定値以上の変動が所定回数未満しか生じていない場合には、負荷変動やアクセル操作により生じたガバナの回転数整定に基づく過渡的なハンチングと推定されるため、回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動とはみなされない。
【0024】
図2に示すように、DPF(2)のPM堆積推定値が所定値Pに至り、DOC入口排気温度が所定値T0に至っている場合には、DPF(2)の再生処理が開始され、DPF再生処理では、
図1に示すように、制御手段(4)によりDPF再生装置(5)で排気(10)に未燃燃料が混入され、未燃燃料のDOC(1)での触媒燃焼で排気(10)の温度が上昇され、DPF(2)に堆積したPMが燃焼除去されて、DPF(2)が再生される。
【0025】
図2に示すように、DOC入口排気温度が所定値T0に至っていない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が実施され、吸気量フィードバック制御では、DPF再生用の吸気絞り(S8)の目標値が所定の吸気量Vに設定(S5)され、DPF再生用の吸気絞り(S8)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、吸気量フィードバック制御を開始してから、DOC入口排気温度が所定値T0に至らないまま、経過時間が所定値tに至っても、前記DPF再生処理が開始されない場合には、制御装置(4)で吸気量フィードバック制御が排気温度フィードバック制御に変更される。
【0026】
図2に示すように、排気温度フィードバック制御では、制御装置(4)でDPF再生用の吸気絞り(S15)の目標値が所定のDOC入口排気温度T0に変更(S13)され、DPF再生用の吸気絞り(S15)によりDOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるとともに、DOC入口排気温度が所定値T0に至る前に、エンジン回転数の所定の周期的変動が検出された場合には、制御装置(4)で吸気絞りによる吸気の減量が停止(S18)され、DOC入口排気温度が所定値T0に至ったら、前記DPF再生処理が開始されるように構成されている。
【0027】
エンジン回転数の所定の周期的変動とは、前記の通り、エンジンの回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動をいう。回転ブレの前兆となるエンジン回転数の周期的変動が検出された後も吸気絞りによる吸気の減量を継続すると、吸気不足により不安定な回転ブレが生じることになるため、吸気絞りによる吸気の減量が停止(S18)される。
吸気絞りによる吸気の減量の停止は、吸気絞り弁の開度の固定によりなされる。固定する吸気絞り弁の開度は、回転ブレの前兆となるエンジン回転数の所定の周期的変動が検出された時の開度とされるが、この開度よりも少し大きな開度に戻して固定してもよい。
【0028】
図2、
図4に示すように、排気温度フィードバック制御で、目標値を所定のDOC入口排気温度T0とするDPF再生用の吸気絞り(S15)の前に、制御装置(4)で排気予備昇温処理(S14)が実施され、この排気予備昇温処理(S14)にはコモンレール装置(11)によるアフター噴射(S14−3)が含まれ、アフター噴射(S14−3)はポスト噴射(S3)よりも早い噴射タイミングで噴射されるように構成されている。
【0029】
図2、
図3に示すように、吸気量フィードバック制御で、目標値を所定の吸気量VとするDPF再生用の吸気絞り(S8)前に、制御装置(4)で排気予備昇温処理(S7)が実施され、この排気予備昇温処理(S7)にはコモンレール装置(11)によるアフター噴射(S7−3)が含まれ、アフター噴射(S7−3)はポスト噴射(S3)よりも早い噴射タイミングで噴射されるように構成されている。
【0030】
制御装置(4)による処理のフローは、次の通りである。
図2に示すように、ステップ(S1)では、DPF(2)に堆積するPMの堆積推定値が所定の値Pに至ったか否かが判定される。値PはDPF再生の判定基準値である。ステップ(S1)での判定が否定である場合には、ステップ(S1)の判定を繰り返し、判定が肯定されると、ステップ(S2)に移行する。
ステップ(S2)では、DOC入口排気温度が値T0に至っているか否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S3)に移行する。値T0はDOC(1)の活性化温度である。
ステップ(S3)では、ポスト噴射が実施され、ステップ(S4)でDPF(2)の再生終了条件が満たされたか否かが判定される。DPF(2)の再生終了条件は、所定値以上のDPF入口排気温度の累積時間が所定時間に至ることとされている。ステップ(S4)での判定が肯定されると、DPF再生処理は終了する。ステップ(S4)での判定が否定されると、ステップ(S3)に戻る。
【0031】
ステップ(S2)での判定が否定の場合には、吸気絞りの吸気量フィードバック制御が行われる。
吸気量フィードバック制御は、ステップ(S5)で吸気絞りの目標値が吸気量Vに設定される。吸気量Vは、エンジンにある程度の負荷がかかっても、エンジン回転を安定に維持することができる吸気量であり、排気温度を目標値にする排気温度フィードバック制御に比べ、吸気絞りが制限される。
ステップ(S6)では計時が開始される。計時は制御装置(4)の計時部(35)で行われる。
ステップ(S7)では排気予備昇温処理が行われる。排気予備昇温処理の詳細は後述する。
ステップ(S8)ではDPF再生用の吸気絞りが行われ、吸気絞り弁が徐々に閉じられ、開度が小さくなる。
ステップ(S9)では、吸気量が目標値Vに至ったか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S10)に移行し、判定が否定されると、ステップ(S8)に戻る。
【0032】
ステップ(S10)では、DOC入口排気温度が値T0に至ったか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S3)に移行し、判定が否定されると、ステップ(S11)に移行する。
ステップ(S11)では、計時されている経過時間が所定値tに至ったか否かが判定される。値tは、DPF(2)の再生の延期がこれ以上は許容されない時間に設定されている。ステップ(S11)での判定が肯定されると、ステップ(S12)で計時が終了し、吸気絞りの制御が排気温度フィードバック制御に切り替えられる。ステップ(S11)での判定が否定されると、ステップ(S10)に戻る。
【0033】
排気温度フィードバック制御では、ステップ(S13)でDPF再生用の吸気絞り(S15)の目標値が吸気量VからDOC入口排気温度T0に変更される。
ステップ(S14)では、排気予備昇温処理が行われる。排気予備昇温処理の詳細は後述する。
ステップ(S15)では、DPF再生用の吸気絞りが行われ、吸気絞り弁が徐々に閉じられ、開度が小さくなる。
ステップ(S16)では、DOC入口排気温度が値T0に至ったか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S3)に移行し、判定が否定されると、ステップ(S17)に移行する。
ステップ(S17)では、エンジン回転数の所定の周期的変動が検出されたか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S16)に戻る。ステップ(S17)での判定が否定されると、ステップ(S15)に戻る。
【0034】
吸気量フィードバック制御での排気予備昇温処理の詳細は次の通りである。
図3に示すように、排気予備昇温処理を行うステップ(S7)では、最初にステップ(S7−1)でアフター噴射用の吸気絞りが実施される。アフター噴射用の吸気絞りの目標値はDOC排気入口温度T0´である。値T0´はアフター噴射が燃焼する排気(10)の温度で、DOC活性化温度である値T0よりも低い値である。
ステップ(S7−2)では、DOC入口排気温度が目標値T0´に至ったか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S7−3)に移行し、判定が否定されるとステップ(S7−1)に戻る。
ステップ(S7−3)ではアフター噴射が実施される。
【0035】
ステップ(S7−4)では、DOC入口排気温度が値T0に至ったか否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S7−8)に移行し、判定が否定の場合には、ステップ(S7−5)に移行する。
ステップ(S7−8)では、その後もアフター噴射を継続して、ステップ(S3)に移行する。
ステップ(S7−5)では、アフター噴射量が上限に至っているか否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S7−6)に移行し、判定が否定の場合には、ステップ(S7−7)に移行する。
ステップ(S7−6)では、噴射量を固定して、その後もアフター噴射を継続し、ステップ(S8)に移行する。
ステップ(S7−7)では、アフター噴射量を増加し、ステップ(S7−3)に戻る。
【0036】
排気温度フィードバック制御での排気予備昇温処理も、吸気量フィードバック制御での排気予備昇温処理と同じであり、詳細は次の通りである。
図4に示すように、排気予備昇温処理を行うステップ(S14)では、最初にステップ(S14−1)でアフター噴射用の吸気絞りが実施される。アフター噴射用の吸気絞りの目標値はDOC排気入口温度T0´である。値T0´はアフター噴射が燃焼する排気(10)の温度で、DOC活性化温度である値T0よりも低い値である。
ステップ(S14−2)では、DOC入口排気温度が目標値T0´に至ったか否かが判定され、判定が肯定されると、ステップ(S14−3)に移行し、判定が否定されるとステップ(S14−1)に戻る。
ステップ(S14−3)ではアフター噴射が実施される。
【0037】
ステップ(S14−4)では、DOC入口排気温度が値T0に至ったか否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S14−8)に移行し、判定が否定の場合には、ステップ(S14−5)に移行する。
ステップ(S14−8)では、その後もアフター噴射を継続して、ステップ(S3)に移行する。
ステップ(S14−5)では、アフター噴射量が上限に至っているか否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S14−6)に移行し、判定が否定の場合には、ステップ(S14−7)に移行する。
ステップ(S14−6)では、噴射量を固定して、その後もアフター噴射を継続し、ステップ(S15)に移行する。
ステップ(S14−7)では、アフター噴射量を増加し、ステップ(S14−3)に戻る。