【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例に係るビーコン、携帯端末を利用する超音波通信システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例1に係る超音波通信システム1について、
図1〜
図8を参照して説明する。
【0067】
本実施例1に係る超音波通信システム1は、
図1に示すように、例えば、小売店、量販店のような店舗側のコンピュータ装置2と、
図2に示すように、店舗側が一つのフロアに設けた売場3内の例えば天井4に配置され、前記店舗側のコンピュータ装置2に接続されて超音波を発振するビーコン5と、個々の顧客が保持し、前記ビーコン5と交信する例えばスマートフォン等の携帯端末6と、顧客が自己の携帯端末6を操作して無線接続し、インターネット情報を取得するためのインターネット網Nと、このインターネット網Nを通じて前記携帯端末6にインターネット情報を配信するサーバ7(本発明のプログラム提供サーバの機能を含む)と、を含んで構成される。
【0068】
前記店舗側のコンピュータ装置2は、
図3に示すように、オペレーティング用、超音波通信システム1の動作用等各種プログラムを格納したメモリ11と、全体の制御を行う制御部10と、各種情報を記憶する記憶部12と、インターネット網Nに接続するための通信処理部13と、各種操作を行うためのキーボードのような操作部14と、各種情報を画面表示するLCDディスプレイ等のような表示部15と、各種情報をプリント出力するプリンタ16と、店舗側の操作員が作成する顧客に対するサービス情報、宣伝情報等の送信したい店舗情報を出力する店舗情報出力部18と、ビーコン5に対して、詳細は後述する制御キャリア(本発明の信号キャリアに相当する)の出力制御を行うための制御キャリア制御信号、ビーコン5から売場3内に向けて発信するビーコン情報の発信周波数を切り替えるための周波数切り替え信号等を出力するビーコンコントローラ17と、を有している。
【0069】
ビーコン5は、
図4に示すように、店舗側のコンピュータ装置2から送信したい店舗情報(本発明の所定情報に相当する)を受信する店舗情報受信部21と、1つの演算チップ内に乱数表(第1暗号鍵乱数表)とリアルタイムクロック(第1リアルタイムクロック)を実装することにより構成されて店舗情報受信部21から出力される店舗情報の暗号化処理を行う暗号化処理部22と、前記制御キャリア制御信号により制御され一定のサイクルで信号開始点を表す制御キャリア信号(矩形波信号)を出力する制御キャリア発信部23と、前記店舗情報に同期して後述する第1搬送信号出力部25及び第2搬送信号出力部26を動作させる搬送信号同期制御部24と、搬送信号同期制御部24の制御の基に第1搬送信号(アナログ信号)を出力する第1搬送信号出力部25と、搬送信号同期制御部24の制御の基に第2搬送信号(アナログ信号)を出力する第2搬送信号出力部26と、前記店舗情報、第1搬送信号、第2搬送信号が入力されて、振幅変調を行い、店舗情報を載せた第1キャリア及び第2キャリア(本発明の信号キャリアに相当する)を出力する振幅変調部(ASK(Ampulitude Shift Keying))27と、前記制御キャリア、第1キャリア及び、第2キャリアをデジタル/アナログ変換しビーコン情報とするD/A変換部28と、前記ビーコン情報を売場3内に超音波情報として送信するビーコン情報発信部29と、前記ビーコン情報に時間情報を付加するためのクロック30と、振幅変調部27とD/A変換部28との間に接続した必要に応じて振幅変調部27からの出力信号の周波数切り替えを行う周波数切り替え部20と、を有している。
【0070】
前記第1キャリア、第2キャリアは、近接する可聴域外の周波数(例えば、第1キャリア:19,000Hz、第2キャリア:19,050Hz)をもち、かつ、対となる音量レベルの二つのデジタル信号であり、これらの組み合わせにより一つのチャンネルとして前記店舗情報を含むビーコン情報(本発明のデータ信号に相当する)を構成している。
【0071】
第1キャリアと第2キャリアの周波数の差は、個々のユーザの携帯端末6が保有する一つの機能であるFFT(高速フーリエ変換、本発明の周波数の解析に相当する)分解能が許す限りなるべく小さな差となるように設定している。なお、FFT以外の手法により周波数解析を行ってもよい。或いは、波長の解析により制御キャリア、第1キャリア、及び第2キャリアを抽出してもよい。
【0072】
これは、周波数が十分に近いと、携帯端末6の携帯マイク36の周波数特性の差の影響を小さくし、既述した制約1の個々の携帯端末6の携帯マイク36がもつ周波数特性の相違を無視できる利点があることを考慮したものである。
【0073】
また、第1キャリア,第2キャリア間の周波数の幅は、利用可能な周波数帯域において、予め約束された定数を使用するものとしている。
【0074】
更に、ビーコン5は、環境雑音の影響が少ないチャンネルを用いることに留意する。また、複数台のビーコン5を同時使用する場合、各ビーコン5は他のビーコン5が使用していないチャンネルを用いることが適切であることに留意する。
【0075】
なお、詳細は後述するが、暗号化処理部22は、店舗情報の暗号化処理を行う際に用いる第1リアルタイムクロック221と第1暗号鍵乱数表222のデータを保持した記憶部とを有している。また、
図1に示したように、サーバ7は、店舗情報の復号化処理を行う際に用いる第2リアルタイムクロック71と第2暗号鍵乱数表72のデータを保持した記憶部とを有している。
【0076】
また、サーバ7は、携帯端末6からのダウンロード要求に応じて、携帯端末6で実行される超音波通信用のアプリケーションプログラム(本発明の携帯用プログラムに相当する)のデータを送信する。
【0077】
携帯端末6は、
図5に示すように、携帯端末6自体の動作を制御する携帯制御部31と、携帯端末6自体の動作プログラム(OS等の基本プログラム、サーバ7からダウンロードされたアプリケーションプログラム等)を格納した携帯メモリ32と、インターネット網Nと無線接続するための無線送受信部33と、各種情報を表示するLCDディスプレイ等の表示部34と、例えばタブレット型の入力キー等から構成される操作部35と、前記ビーコン情報発信部29からの前記ビーコン情報に対応した超音波を受信する携帯マイク36と、各種情報を記憶する記憶部39と、前記ビーコン5に対して、前記インターネット網Nを利用してサーバ7から受信したインターネット情報を超音波情報として発音し送信する等の動作を行う携帯スピーカ40と、前記インターネット情報等を携帯スピーカ40により発音させるためのデジタル/アナログ変換を行うD/A変換部41とを有している。
【0078】
また、携帯端末6は、携帯メモリ32に格納されたアプリケーションプログラムを、携帯端末6に実装されたCPU(Central Processing Unit、図示しない)で実行することにより、CPUを、携帯マイク36にて受信されて電気信号に変換された前記ビーコン情報を復調処理する(詳細は後述する)復調処理部37と、復調処理部37にて復調したビーコン情報に含まれている店舗情報を復号する復号処理部38として機能させる。
【0079】
次に、本実施例1に係る超音波通信システム1の動作について
図6〜
図8をも参照して詳述する。
【0080】
本実施例1の超音波通信システム1では、通信に利用可能な帯域(制約4)において複数の周波数の搬送キャリアを確定し、送信した店舗情報、複数の搬送キャリアに対して振幅変調処理を実施して店舗側が売場3内の天井4に設置したビーコン5から顧客の携帯端末6に店舗情報を送信するものである。
【0081】
ここで、搬送キャリアが立ち上がるとは、ある周波数を持った搬送キャリアの音が鳴ってない状態からなっている状態に遷移すること(搬送キャリアによるキャリア信号が出力されていない状態から出力されている状態に遷移すること)を意味するものとして、以下の説明を行う。
【0082】
本実施例1に係る超音波通信システム1の動作について
図6、
図7を参照して以下に具体的に説明する。
【0083】
[ビーコン5側]
(1)前記ビーコン5の店舗情報受信部21は、店舗側のコンピュータ装置2にて作成した顧客の携帯端末6に送るべき店舗情報を受信し、出力する。暗号化処理部22は、詳細は後述するが店舗情報の暗号化処理を行い出力する。
(2)前記ビーコン5の制御キャリア発信部23は、店舗側のコンピュータ装置2のビーコンコントローラ17からの制御キャリア制御信号により制御されて、
図7に示すように、一定のサイクル(1サイクルの時間幅tc)で信号開始点を表す制御キャリア信号(矩形波信号,本発明の制御信号に相当する)を出力する。この制御キャリア信号が最初に立ち上がる時点をシグナルの開始時点と定義する。なお、複数の制御キャリア信号により制御信号を構成してもよい。
(3)次に、制御キャリア信号を規定時間(t)出力した(鳴らした)後に、例えば第1キャリアを立ち上げる。この場合、どのキャリアが立ち上がるか、いくつのキャリアが立ち上がるか(どのキャリアによるキャリア信号をいくつ出力するか)は、送信したい店舗情報を元に決定する。すなわち、搬送信号同期制御部24は、前記店舗情報に同期して第1搬送信号出力部25により第1搬送信号を振幅変調部27に送り店舗情報の信号により第1搬送信号を振幅変調して第1キャリアを生成する。
(4)前記(3)で立ち上げた第1キャリアを規定時間鳴らした後(第1キャリアによる第1キャリア信号を規定時間出力した後)、次の第2キャリアを同様に送信したい店舗情報を元に決定し立ち上げる(第2キャリアによる第2キャリア信号を出力する)。すなわち、搬送信号同期制御部24は、前記店舗情報に同期して第2搬送信号出力部26により第1搬送信号を振幅変調部27に送り、店舗情報の信号により第2搬送信号を振幅変調して第2キャリアを生成する。
(5)前記(3)、(4)を規定の回数繰り返し行った後、前記(2)の開始時点を示すシグナルを再び立ち上げる。このような処理を順に繰り返す。
[携帯端末6側]
(1)携帯端末6側は、携帯マイク36で聴取したビーコン情報を復調処理部37によりFFT変換(高速フーリエ変換)し記憶部39に記憶し蓄積する。FFT変換処理した制御キャリア、第1キャリア、第2キャリアの波形を
図7に示す。
(2)次に、復調処理部37により制御キャリアの立ち上がり(制御キャリア信号の出力開始時)に対応するシグナルの開始時点を検出し、蓄積したビーコン情報内の制御キャリア信号間における立ち上がりのエッヂを判定する。
(3)更に、前記(2)で判定したエッヂを元に、第1キャリア、第2キャリアの鳴っている区間(制御キャリア信号間の区間)を特定し、それぞれの区間において鳴っているキャリア(出力されている第1キャリア信号及び第2キャリア信号)を推定する。
【0084】
この時、同時に鳴っているキャリアが何本あるかをビーコン側でN本と規定することで、ある区間における音の大きなキャリアからN本(
図7では第1キャリア5本、第2キャリア4本)をその区間において鳴っている音(出力されている第1キャリア信号と第2キャリア信号の数)と推定することができる。
(4)次に、前記(3)の結果を元に、前記復号処理部38により
図7に示す第1キャリア、第2キャリアの個々の区間毎の信号判定処理により第1キャリア信号5本、第2キャリア信号4本をこの区間におけるビーコン5から受信した店舗情報として復号する。このとき、携帯端末6においては、必要に応じて、誤り検出訂正や、復号した店舗情報に暗号化部分が含まれている場合の暗号復号処理を実施することもできる。
【0085】
ここで、誤り検出訂正としては、例えば、ビーコン5は同じビーコン情報を繰り返し発信しているので、携帯端末6側で、異なるタイミングで受信したビーコン情報のデータが一致するか否かを判断することによって、ビーコン情報の誤りの検出と訂正を行うことができる。また、帯域が異なるチャンネルを使用するビーコン5を複数台設置して、各ビーコン5から同じビーコン情報を送信し、携帯端末6側で異なる帯域のチャンネルにより受信したビーコン情報のデータが一致するか否かを判断することによって、ビーコン情報の誤りの検出と訂正を行ってもよい。さらに、CRC(Cyclic Redundancy Check)等の一般的な誤り検出手法を採用して、ビーコン情報の誤りの検出と訂正を行ってもよい。
【0086】
また、暗号復号処理としては、上述する暗号鍵を用いた手法等を採用することができる。
(5)次に、インターネット網Nを介してサーバ7と無線交信し、サーバ7から配信されたサーバ情報とビーコン5からの受信内容と照合し、両者が一致していればその店舗に顧客が居ることが特定される(顧客の存在確認)。
【0087】
顧客の存在確認の処理は、上述したビーコン5と携帯端末6の動作によって、例えば、(i)ビーコン5から携帯端末6に店舗ID(店舗情報)のデータが超音波により送信され、(ii)携帯端末6からサーバ7に店舗ID及び携帯端末のユーザIDのデータがインターネット網Nを介して送信され、(iii)店舗ID及びユーザIDのデータを受信したサーバ7が、ユーザIDに対応するユーザが店舗IDに対応する店舗に来店していることを認識して、来店ポイントを設定し、(iv)サーバ7から携帯端末6に来店ポイントのデータが送信され、携帯端末6のユーザが来店ポイントを獲得する、といった一連の処理により実現される。
【0088】
本実施例1は、可聴周波数外の超音波を使用してビーコン5、携帯端末6の交信を行うように構成したものであり、
図7に示したように、制御キャリア信号間における第1キャリア信号及び第2キャリア信号の出力を、第1キャリア信号と第2キャリア信号の一部を重複させて(
図7の斜線を付した部分)行っている。
【0089】
この場合、制御キャリア信号間において、第1キャリア信号と第2キャリア信号の少なくともいずれかが出力され、ビーコン5から送出される超音波の周波数全域でみた音量はほぼ一定になる。そのため、人(顧客、従業員)の耳に聞こえにくいことから、不安感を与えることは無く、心理的な抵抗感や不安感を取り除くことができ、また,より正確な位置情報に基づく精度の高い情報配信が安定した状態で実行可能となる超音波通信システム1を提供することができる。
【0090】
また、本実施例1のビーコン5は安定動作するため、メンテナンスコストが低くてすみ、店舗等において導入し易く、ビーコン5の導入指向の拡大を図ることができ、システム提供者にとっても営業し易い利点がある。
【0091】
更に、本実施例1におけるビーコン5、携帯端末6間の交信においては、携帯端末6において、店舗情報の存在を一定の区間毎に分けた制御キャリア及び近接する複数の周波数を持った第1キャリア、第2キャリアの復調処理、及び、一定の区間毎における第1キャリア、第2キャリアの復調信号の有効分の復号処理を行っている。
【0092】
そのため、マイク特性、環境雑音、ドップラー効果等に影響されにくく、ネズミ除け、ゴキブリ除け、若者のたむろ防止のモスキート音、眼鏡等の超音波洗浄機、デジタルサイネージや電子機器等から発生する環境雑音と混信するようなことはなく、環境雑音に強く、安定的な通信を確保できる超音波通信システムを構築できる。
【0093】
携帯端末6における既述したような技術的な制約1〜3により、周波数の絶対値、音量の絶対値、環境雑音の音量の絶対値、ある程度離れた複数の周波数の音量の比較等を通信のパラメーターとすることは不完全であるが、本実施例1によれば、このような欠点のない超音波通信システム1を実現し、提供することができる。
【0094】
[店舗情報の暗号化処理]
次に、前記暗号化処理部22による店舗情報の暗号化処理について以下に詳述する。
【0095】
前記ビーコン5の暗号化処理部22は、第1リアルタイムクロック221(本発明の第1計時部に相当する)と高性能の第1暗号鍵乱数表222のデータを保持した記憶部(図示しない)とを備えている。第1リアルタイムクロック221と第1暗号鍵乱数表222のデータを保持した記憶部は、1つの演算チップ内に実装して備えられている。
【0096】
第1暗号鍵乱数表222は、与えられた時刻情報に対して、所定ロジックで決められた乱数表から一意の暗号鍵を選択するものであり、暗号化処理部22は、第1リアルタイムクロック221による時刻情報(計時時刻)を第1暗号鍵乱数表222に適用して、一意の暗号鍵(第1暗号鍵)を取得する。
【0097】
ここで、第1暗号鍵乱数表222は、第1暗号鍵乱数表222のデータが保持された記憶部を、第1リアルタイムクロック221と共に1つの演算チップ内に実装することによって、第1リアルタイムクロック221による時刻情報のみが適用可能になっている。これにより、暗号化処理部22以外によって、この演算チップ外から時刻情報を第1暗号鍵乱数表222に適用することが禁止された構成となっている。
【0098】
なお、このように、暗号化処理部22以外による第1暗号鍵乱数表222へのアクセスを禁止した構成が、本発明の暗号鍵アクセス禁止部に相当する。また、第1暗号鍵乱数表222は、推定されることのない十分に大きなものであるとする。
【0099】
一方、サーバ7は、
図1に示したように、ビーコン5が用いる第1暗号鍵乱数表222と同一の構成の第2暗号鍵乱数表72のデータを保持した記憶部(図示しない)と、計時時刻がビーコン5の有する第1リアルタイムクロック221と同一となるように構成された第2リアルタイムクロック71(本発明の第2計時部に相当する)とを有している。
【0100】
第1リアルタイムクロック221と第2リアルタイムクロック71は、例えば、標準電波送信所から送信される標準電波により認識可能な標準時刻による計時を行うことで、同一時点における計時時刻が同一(厳密な意味での同一を意味するものではなく、第1リアルタイムクロック221と第2リアルタイムクロック71の計時単位に対して、無視できる範囲の時刻のずれを許容する)となるように構成されている。
【0101】
サーバ7は、第2リアルタイムクロック71による時刻情報を、ビーコン5が用いる第1暗号鍵乱数表222と同一構成の第2暗号鍵乱数表72に適用して、ビーコン5側と同じロジックで暗号鍵(第2暗号鍵)を取得する。
【0102】
ここで、ビーコン5側の第1リアルタイムクロック221による時刻情報と、サーバ7側の第2リアルタイムクロック71による時刻情報は同じものとなるため、ビーコン5とサーバ7が同時刻に選択している暗号鍵(第1暗号鍵及び第2暗号鍵)は同一の値を持つ。なお、第1リアルタイムクロック221と第2リアルタイムクロック71の計時単位は、ビーコン5と携帯端末6間及び携帯端末6とサーバ7間の通信による遅延時間を無視できる程度に設定されている。
【0103】
これにより、ビーコン5が送信した暗号化ボディ(暗号化済みデータ)を携帯端末6、インターネット網Nを通じてサーバ7が受信し、復号化した元のデータをサーバ7側で正しく読むことができる。
【0104】
ここで、暗号化処理手段として、リアルタイムクロックと演算チップが別々になっている通常の実装方法では、異なる時刻データを演算チップに対して送信し、返り値を分析することで乱数表を復元できる可能性がある。
【0105】
ビーコン5はスタンドアローンのハードウェアである以上、ビーコン5が盗難等で悪意ある第三者の手に渡った場合、こうした総当たり攻撃が試みられることは十分考えられる。また、乱数表が復元できてしまうと同じ暗号表を持つ他のビーコンの暗号化も解読可能になるため、損害範囲が大きい。
【0106】
今日、高性能携帯電話(以下スマートフォン)の世界的な普及にともない、位置情報を活用したサービスが爆発的に増加している。なかでも、スマートフォンの位置情報機能を活用して実店舗の販促支援を行うアプリケーションは今後一層拡大が見込まれるマーケットである。
【0107】
一方で、サービスの利用者が、サービス提供者が想定していない方法で、スマートフォンが認識する位置情報を偽装または改ざんし、不正に景品等を入手する利用者が出現するリスクが高まることが考えられる。
【0108】
上述した構成の本実施例1の超音波通信システム1によれば、上述した暗号化処理部22の構成により、位置情報の偽装又は改ざんを効果的に防止でき、ビーコン5を分解しての総当たり攻撃による乱数表解読を困難とし、超音波通信システム1のセキュリティ性を大幅に向上させることができる。
【0109】
更に、前記暗号化処理部22による店舗情報の暗号化処理について付言すると、通信内容をビーコン5に固有の値である平文固有値と、任意のデータを暗号化した値である暗号化ボディ値に分割した構成とすることもできる。
【0110】
通信内容に、平文固有値を含めることで、万が一復号化できなくてもどのビーコン5からの情報が送信されているのかを特定することができる。
【0111】
特に、リアルタイムクロックに何らかの理由で誤差が生じることは十分想定できる不具合であり、その場合不具合の起きているビーコン5を特定することは有益である。
【0112】
上述した平文固有値の具体例としては、デバイスや設置してある店舗を示すID番号等を含めることが考えられる。
【0113】
また、暗号化ボディ値の具体例としては、それが改ざん・複製されたものではないことを認証するためのパスワードや、秘匿したい通信の内容を含めることが考えられる。
【0114】
これらにより、何らかの理由で復号化できない場合でも、どのビーコン5や店舗に不具合があったのかを平文で送信されるID番号をもって把握することが可能となる。
【0115】
このような前記暗号化処理部22による店舗情報の暗号化処理の構成によれば、以下のような利点がある。
【0116】
すなわち、店舗等に設置してあるビーコン5が発信しているビーコン情報は、付近にいる不特定多数の携帯端末6が自由に受信することができるため、暗号化しないと解析されて不正利用されるリスクを免れない。
【0117】
これは、店舗という不特定多数人の出入りを管理することができない場にデバイス(ビーコン)が設置されているという特殊性に起因する。
【0118】
サーバ・クライアントモデルの暗号化においては、両者間で鍵を交換することが一般的であるが、本実施例のビーコン、携帯端末を利用する超音波通信システムについては、ビーコン5と携帯端末6が双方向通信を行わないシステムも考慮されており、鍵交換を必要としない暗号化が必要となる。
【0119】
また、超音波通信システムにおいては、後述するようにビーコン5自体がインターネット網Nと接続しない利点があり、このためインターネット網N経由で時刻を同期することも必須としない暗号化システムが求められるところであり、前記暗号化処理部22の構成によれば、このような場合にも対応できるものである。
【0120】
[周波数切り替え処理]
次に、周波数切り替え部20によるビーコン情報の周波数切り替え処理について
図8を参照して説明する。
【0121】
周波数切り替え部20は、ビーコン5から発信するビーコン情報の例えば制御キャリア、第1キャリア又は第2キャリアの波形を、一方のレベルを0、他方のレベルを1とする矩形波とし、必要に応じて前記ビーコンコントローラ17から周波数切り替え信号を前記周波数切り替え部20に送る。
【0122】
そして、周波数切り替え部20は、
図8に示すように、波形の終端が0のレベルで終わっている波長λA(周波数FA)の波形と、波形の始端が0のレベルからはじまっている波長λB(周波数FB)の波形とを両者のアクティブ時点でつなぎ合わせることで、波形の急な断絶を防止して、ビーコン5からビーコン情報を発信する構成とするものである。
【0123】
これにより、携帯端末6にて受信するビーコン情報においては、信号波形の急な断絶が無くなる。そのため、人間の可聴域を超える18kHz以上の音域であっても、発信するビーコン情報の波形に急な断絶があると、受信側でクリック音(クリックノイズ)が生じてしまうという不都合を回避することができる。
【0124】
本実施例1の超音波通信システム1においては、以下に述べるような技術要素を付加することができる。
【0125】
既述した(制約6:録音による不正行為)を満たすためにはビーコン情報が変化しなければならない。そして、多くの店舗を包含して、現実的な検出時間でそれを行うには多くの店舗情報をビーコン情報に載せる必要が出てくる。
【0126】
本実施例1の超音波通信システム1のように複数キャリアを用いた通信であれば、ビーコン情報に載せられる店舗情報の情報量を増やせるため、ビーコン情報に店舗情報に加えて時計情報等を載せることが可能となる。
【0127】
その場合ビーコン情報は時間変化するため、録音したビーコン情報は価値を失う。
【0128】
本実施例1の超音波通信システム1における店舗コンピュータ装置2において、記憶部12を大容量の構成とし、ビーコン5側に送る店舗情報を、内容を変えて所定個数(例えば1月分の送信回数の想定値)記憶部12に保持しておく構成としてもよい。
【0129】
この構成とした場合、ビーコン5があるビーコン情報を所定回数出力したら、店舗コンピュータ装置2から内容を変えた(更新した)店舗情報をビーコン5に送り、ビーコン5は店舗情報の内容が異なる次のビーコン情報を出力する。
【0130】
このようにすることで、次に出力されるビーコン情報は製作者のみが知っているものとなって、当該ビーコン情報を製作者以外の者が予測することは非常に困難となるため、不正に店舗の発するビーコン情報を録音し悪用するという事態を回避することができる。
【0131】
なお、他の構成として、ビーコン5が店舗情報を出力した期間が所定期間(例えば、1か月)を超えたときに、出力する店舗情報を更新する構成としてもよい。
【0132】
また、上述のような構成とすることで、交換が困難な場所に設置するビーコン5において時計の時刻調整等のようなメンテナンスを不要とすることができ、非常に有用である。
(実施例2)
本発明の実施例2に係る超音波通信システム1Aについて、
図9、
図10を参照して説明する。
【0133】
本実施例2に係る超音波通信システム1Aは、基本的構成は実施例1の場合と同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0134】
本実施例2に係る超音波通信システム1Aは、
図9、
図10に示すように、実施例1の構成に替えて、店舗側が一つのフロアに設けた売場3内の例えば天井4に超音波を発振する2台のビーコン5A、5Bを配置したこと、及び、二つのビーコン5A、5B各々のキャリアの周波数を個々のチャンネル(第1のチャンネル、第2のチャンネルとする)別に可聴域外の周波数帯域で異ならせて個別に割り当てた構成とし、各ビーコン5A、5Bから、個々のチャンネル別に同じ発信情報を売場内に同時に発信する構成としたことが特徴である。なお、3台以上のビーコンを売り場内に設けてもよい。
【0135】
なお、
図10においては、ビーコン5Bの第1搬送信号出力部を25a、第2搬送信号出力部を26aとして示している。
【0136】
このような構成は、ビーコン5A、5B間で超音波を使った通信によるローカルなネットワークを形成していることと同義であり、インターネット網N(
図1参照)やIP網に接続するための複雑なシステムを必要としない点で有利である。
【0137】
すなわち、一方のビーコン5Aにおいては、第1のチャンネルとして、第1搬送信号出力部25の周波数設定により第1キャリアの周波数を19,000Hz、第2搬送信号出力部26の周波数設定により第2キャリアの周波数を19,050Hzとし、他方のビーコン5Bにおいては、第2のチャンネルとして、第1搬送信号出力部25aの周波数設定により第1キャリアの周波数を19,500Hz、第2搬送信号出力部26aの周波数設定により第2キャリアの周波数を19,550Hzとして、第1のチャンネル、第2のチャンネル間の周波数間隔を十分に大きく(500Hz)とった構成としている。
【0138】
本実施例2に係る超音波通信システム1Aの前記ビーコン5A、ビーコン5Bと携帯端末6間の交信動作は、上述した実施例1の場合と同様であり、実施例1の場合と同様な効果を発揮する。
【0139】
また、売場3内で顧客の携帯端末6の携帯マイク36により、当該携帯マイク36の周波数特性に最も適合したチャンネル(第1のチャンネル又は第2のチャンネル)の超音波のビーコン情報を受信することにより、個々の携帯端末6の携帯マイク36における周波数特性の相違を乗り越え、それぞれの顧客の携帯端末6に対してそれぞれ高品質の店舗情報の配信を行うことができる。
【0140】
更に、第1のチャンネル、第2のチャンネル間の周波数差も十分に大きいので、これにより、第1のチャンネル、第2のチャンネル間での干渉・混信を防ぎつつ個々の携帯端末6を保持する多数の顧客への情報配信を好適に行うことができる。
【0141】
本実施例2の超音波通信システム1Aにおいても、実施例1で述べた場合と同様な技術要素を付加することができ、これにより、既述した場合と同様な作用効果を発揮させることができる。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3に係る超音波通信システム1Bについて、
図11、
図12を参照して説明する。
【0142】
本実施例3に係る超音波通信システム1Bは、基本的構成は実施例2の場合と略同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0143】
本実施例3に係る超音波通信システム1Bは、
図11、
図12に示すように、一つのビーコン5から、実施例2で述べたような周波数が異なる第1のチャンネル、第2のチャンネルの二つの超音波の信号を携帯端末6に向けて送出するように構成したことが特徴である。なお、三つ以上のチャンネルの超音波の信号を送出するようにしてもよい。
【0144】
本実施例3に係る超音波通信システム1Bによれば、実施例1の場合と同様な作用効果を奏するとともに、
図11に示すように、一つのビーコン5から、第1のチャンネル及び第2のチャンネルによって、同じ内容の超音波のビーコン情報を顧客の携帯端末6に向けて送出することで、携帯端末6の技術制約1(周波数特性の違い)をのりこえ、個々の携帯端末6に最適なチャンネルにおいてビーコン情報を受信し復号することができる(冗長化)超音波通信システム1を提供することができる。
【0145】
本実施例3の超音波通信システム1Bにおいても、実施例1で述べた場合と同様な技術要素を付加することができ、これにより、既述した場合と同様な作用効果を発揮させることができる。
(実施例4)
次に、本発明の実施例4に係る超音波通信システム1Bについて、
図13、
図14を参照して説明する。
【0146】
本実施例4に係る超音波通信システム1Cは、基本的構成は実施例1、実施例2の場合と略同様であるため、同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0147】
本実施例4に係る超音波通信システム1Cは、実施例2の場合と同様に売場3内の例えば天井4に超音波を発振する例えば2台のビーコン5A、5Bを配置したこと、また、ビーコン5A、5Bにおいては、実施例2の場合の構成に加えて、各々マイク51及びスピーカ52を増設したことが特徴である。
【0148】
本実施例4におけるビーコン5A、5Bから携帯端末6への超音波によるビーコン情報の配信に関する動作は実施例2の場合と同様であり、本実施例4に係る超音波通信システム1Cにおいても実施例2の超音波通信システム1Aの場合と同様な作用、効果を発揮させることができる。
【0149】
また、本実施例4に係る超音波通信システム1Cにおいては、前記顧客による携帯端末6(携帯端末6には通例インターネット網Nに接続する手段が備わっている)の操作によってサーバ7とのインターネット接続により取得し、携帯スピーカ40から発信される超音波のインターネット情報(インターネット環境を利用するもの)をビーコン5A、5Bにのうちのいずれか(例えばビーコン5B)のマイク51により受信する。
【0150】
そして、インターネット情報を受信したビーコン(ビーコン5B)のスピーカ52から他のビーコン(ビーコン5A)のマイク51に超音波のインターネット情報として送信することにより、携帯端末6のインターネット環境を利用する間接的なネットワークを構成することが可能となる(携帯端末6には通例インターネットに接続する手段が備わっている)。なお、ビーコンは、受信したインターネット情報が暗号化されていた場合には、内蔵するCPUによって復号を行う。
【0151】
これにより、店舗側においては、上述した顧客の携帯端末6を利用した間接的なネットワークを介してサーバ7からメンテナンスやアップデート情報を取得して、ビーコン5A、5Bのメンテナンスやアップデートを実行することができるため、大幅なコストダウン及び省力化、省スペース、設置場所の柔軟性向上につながることが可能となる。
【0152】
また、多店舗経営を行っているような店舗では、全国各地に散らばっているビーコンがインターネットに接続されていなくても、顧客の携帯端末6が取得するインターネット情報を利用して間接的にネットワークを介してメンテナンスやアップデートをすることができ、大幅なコストダウン及び省力化、省スペース化を実現し、更に設置場所の柔軟性向上につなげることもできるという利点がある。
【0153】
更に、図示していないが、ビーコン5A、5Bにマイク51により受信した他のビーコンからの信号を基に当該ビーコンのキャリアの周波数を判定する機能をもたせて、自動的に自己が発信するキャリアのチャンネルを切り替えることにより、他のビーコンとの間の混信を防止するように構成することも可能である。
【0154】
ここで、特にビーコンに時計等を設置した場合、またはそのビーコン情報に暗号が入っていてその暗号が解かれてしまった場合などに、ビーコン交換の必要が生じることは十分考えられる。そのため、上述したように他のビーコンとの間の混信を防止する構成を備えることは非常に重要である。
【0155】
従来では、このようなビーコンのメンテナンス等を行うために、ビーコンをインターネット網NやIP網を通じてネットワークに接続する必要があったが、本実施例4によれば、ユーザの携帯端末6がインターネット網Nを介しての通信手段の役割を担うことで、ネットワークレスで(ビーコン用のネットワークを店舗側で用意することなく)ビーコン5A、5Bの遠隔操作等が可能となる利点がある。
【0156】
ここで、複数台のビーコンのうちのいずれかを特定してメンテナンスを行う場合には、各ビーコン毎に帯域が異なるメンテナンス用のチャンネルを設定する、メンテナンス用のデータ中に各ビーコン毎に設定した識別子を含める等の仕様として、各ビーコン側で自身宛てのメンテナンス用のデータを認識できるようにしておけばよい。
【0157】
本実施例4の超音波通信システム1Cにおいても、実施例1で述べた場合と同様な技術要素を付加することができ、これにより、既述した場合と同様な作用効果を発揮させることができる。
【0158】
(実施例5)
次に、本発明の実施例5に係る超音波通信システムについて、
図15〜
図17を参照して説明する。
【0159】
上述した実施例1〜本実施例4では、第1キャリア及び第2キャリアという二つのデータキャリアにより一つのチャンネルを構成したが、実施例5では、第1キャリア〜第6キャリアという六つのデータキャリアにより一つのチャンネルを構成する。なお、システムの基本的な構成は、実施例1で示したものと同様である。
【0160】
実施例5において、ビーコン5は、
図15のタイミングチャート(時間軸t)に示したように、一定のサイクルtcで制御キャリア信号を出力し、tcの期間内に設定した四つの区分期間tb1(t11〜t12),tb2(t12〜t13),tb3(t13〜t14),tb4(t14〜t15)で、六つのデータキャリア(第1キャリア〜第6キャリア)によるデータキャリア信号(第1キャリア信号〜第6キャリア信号)を出力する。
【0161】
実施例5において、ビーコン5は、出力するキャリア信号を切替えるときに、
図15において斜線で示したように、切替前後のキャリア信号が重複する期間tvを設けている。これにより、上述した
図7の場合と同様に、制御キャリア信号間において、いずれかのデータキャリア信号が常に出力されるようにしている。
【0162】
また、各区分期間で出力するキャリア信号(制御キャリア信号,第1キャリア信号〜第6キャリア信号)の数を、重複期間tv以外では一定(二つ)にすることで、超音波の音圧変化が所定範囲内に抑制され、これにより、超音波によるビーコン情報が携帯端末の使用者に聞こえ難くしている。
【0163】
ここで、超音波の音圧のトータルが所定範囲(ほぼ一定)となるように、制御キャリア或いは他のキャリアによりダミーのキャリア信号を第1キャリア信号〜第6キャリア信号に重複させて出力(発振)することによって、超音波のトータルの音圧の変化による不快感を人に与えることをさらに防止することができる。
【0164】
ビーコン5は、このようにして構成されるビーコン情報を、繰り返し送出する。なお、使用するデータキャリアの本数は、上記実施例1〜4の2本或いは本実施例5の6本に限定されるものではなく、2本以上であればよい。また、同時に出力する制御キャリア信号とデータキャリア信号の総数は、1以上であればよい。また、制御キャリア信号の出力周期tc及び区分期間の設定数は、ビーコン情報を構成するデータの長さ等に応じて変更することができる。
【0165】
ビーコン5は、
図16に示したマッピングテーブルに従って、ビーコン情報に応じた各チャンネルのデータキャリアの出力態様を決定する。
【0166】
図15に示したチャンネルでは、tb1で制御キャリア信号と第1キャリア信号が出力され、tb2で第2キャリア信号と第4キャリア信号が出力され、tb3で第3キャリア信号と第5キャリア信号が出力され、tb4で第4キャリア信号と第6キャリア信号が出力されている。そのため、tb1→‘01’,tb2→‘13’,tb3→‘17’,tb4→‘20’とデータ信号が割り当てられた、‘01・13・17・20’というビーコン情報を表している。
【0167】
携帯端末6側では、FFT解析により抽出した制御キャリア及び第1キャリア〜第6キャリアにおける制御キャリア信号及び第1キャリア信号〜第6キャリア信号の出力を、
図16に示したマッピングテーブルに適用して、ビーコン情報を認識する。
【0168】
また、超音波の出力を圧電素子のように同時に複数の周波数帯の音を鳴らすことが難しいスピーカを用いて行う場合には、
図17のタイミングチャート(時間軸t)に示したように、複数のスピーカを用いて超音波の出力を行うようにしてもよい。
【0169】
図17に示した例では、第1キャリア,第2キャリア,第3キャリア,及び第4キャリアをスピーカ1から出力し、制御キャリア,第4キャリア,第5キャリア,及び第6キャリアをスピーカ2から出力する構成となっている。なお、一つのキャリアに対して一つのスピーカを用意するようにしてもよい。
【0170】
以上説明した実施例1から5の超音波通信システムによれば、人の耳に聞こえない可聴周波数外の超音波を使用し、かつ、超音波は周波数全域でみた音量は一定のため、人(顧客、従業員)の耳に聞こえにくいことから、不安感を与えることは無く、心理的な抵抗感や不安感を取り除くことができる。また、より正確な位置情報に基づく精度の高い情報配信が安定した状態で実行可能となり、また、ビーコン情報配信時のセキュリティ性も向上し、ビーコン5等の店舗等への導入可能性が拡大する。
【0171】
また、システム全体として安定した通信性能を確保でき、メンテナンスコストが低くてすみ、店舗等において導入し易く、普及の拡大を図ることができ、システム提供者にとっても営業し易い利点がある。
【0172】
更に、可聴周波数外の超音波を使用することで、ネズミ除け、ゴキブリ除け、若者のたむろ防止のモスキート音、眼鏡等の超音波洗浄機、デジタルサイネージや電子機器等から発生する環境雑音に強く、安定的な通信を確保可能な優れた性能を有する超音波通信システム1乃至1Cを実現し提供することができる。