【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、請求項1に記載の方法によって上述の問題を解決する。並列の解決策は、請求項5および19に記載されている。好ましい態様および変形形態はそれぞれの従属請求項の主題である。
【0033】
本発明はまず、上述の欠点にもかかわらず、それでも、これまで感圧接着剤に関して説明した欠点を生じさせずにまたは減少させて、感圧接着剤を電子的装置のカプセル化のために使用することが可能であるという知見に基づく。詳しく言うと、ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤が、電子的装置をカプセル化するために特に適していることが判明した。従って、本発明では、ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤を用意し、そして電子的装置のカプセル化すべき領域に適用する。この接着剤は感圧接着剤であるので、適用は、事前固化またはそれに類することを行う必要がないために特に簡単である。感圧接着剤の態様によっては、以後の処理も必要なくなる。
【0034】
接着剤の範囲において、感圧接着剤は特にその永続的な接着性および柔軟性を特色とする。永続的な粘着性を有する材料は、付着特性および凝集特性の適切な組合せをいつでも有していなければならない。この特徴が、例えば完全に反応していない状態ではほとんど凝集性を供しない反応性接着剤と感圧接着剤を区別している。優れた付着性のためには、付着性および凝集性のバランスが最適であるように感圧接着剤を調整することが重要である。
【0035】
ここでは、記載の感圧接着剤によって完全に取り囲むことだけをカプセル化と呼ぶのではなく、(光)電子的装置のカプセル化すべき領域上での感圧接着剤の部分的な適用、例えば電子構造物の片面を覆うこと、または縁取ることもすでにカプセル化と呼ぶ。
【0036】
感圧接着剤の成分の選択によって、およびそれによる、ビニル芳香族系ブロックコポリマーの非極性ブロックと、そこから結果として生じる拡散係数の低い溶解度項(S)とから結果として生じる低い極性によって、水蒸気および酸素のような浸透物の、しかし特に水蒸気の低い通過性が達成される。一つの態様では、感圧接着剤が、100g/m
2・d未満、好ましくは40g/m
2・d未満のWVTRを有すること、および/または感圧接着剤が、10000g/m
2・d・bar未満、好ましくは5000g/m
2・d・bar未満のOTRを有することを特徴とする。ブロックコポリマー内で少なくとも2つのドメインを形成することにより、追加的に、非常に優れた凝集性および同時に改善されたバリア特性が獲得される。以下に述べるような更なる成分によって、(光)電子的装置の要求に応じ、例えば架橋反応によって、特性を有利に要求に適応させることができる。
【0037】
つまり本発明の利点は、他の感圧接着剤に比べ、様々な土台上での優れた界面付着性に伴う酸素およびとりわけ水蒸気に対する非常に優れたバリア特性、優れた凝集性、および液体接着剤に比べ、非常に高い柔軟性、および(光)電子的装置内でのおよびカプセル化の際の/カプセル内での簡単な適用という利点の組み合わせである。感圧接着剤の実施形態に応じて、ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする接着剤は、化学物質および環境の及ぼす影響に対する優れた耐性を提供する。さらに特定の実施形態では透明な接着剤もあり、この接着剤は、入射光または出射光の減少を非常に少なく保つので、(光)電子的装置における用途に特に使用することができる。
【0038】
つまりビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤は、特にアクリレート、シリコーン、またはビニルアセテートをベースとする感圧接着剤に比べ、優れた加工性およびコーティング性のほかに、付着および凝集に関する優れた製品特性を特色とし、ならびに酸素に対する優れたバリア作用、および水蒸気に対する非常に優れたバリア作用を特色とする。このような感圧接着剤は、簡単に電子的装置内に組み込むことができ、特に、高い柔軟性が必要な装置内にも組み込むことができる。この感圧接着剤のさらに別の特別に有利な特性は、様々な土台上での同じように優れた付着性、高いせん断強度、および高い柔軟性である。これに加え、土台に対する非常に優れた付着性により、低い界面浸透性も達成される。(光)電子構造物、特に有機電子構造物をカプセル化するためのここに記載の手段を使用することにより、上に挙げた利点を兼ね備え、かつこれらの利点によりカプセル化プロセスを加速および簡略化させる有利な装置が得られる。
【0039】
感圧接着剤の特定の実施形態では、熱を用いた更なる工程または照射が必要なく、架橋反応による収縮が生じず、また感圧接着剤が帯状の材料として、または電子的装置に相応に適応された形において存在するので、感圧接着剤を簡単で、かつ速く、少ない圧力下で、(光)電子構成物のカプセル化プロセスに組み込むことができる。熱負荷および機械的負荷のような、回避された処理ステップに伴って通常は生じる欠点を、こうして最小化することができる。平面的なバリア材料(例えばガラス、特に薄いガラス、金属酸化物をコーティングしたフィルム、金属フィルム、多層の土台材料)により(光)電子構成物の少なくとも一部をラミネート加工することによるカプセル化は、非常に優れたバリア作用を伴って、簡単なロール・ツー・ロール・プロセスにおいて可能である。構成全体の柔軟性は、感圧接着剤の柔軟性のほかに、(光)電子構成物もしくは平坦なバリア材料の幾何学形状および厚みのような更なる因子に依存する。しかし感圧接着剤の高い柔軟性は、非常に薄く、曲げやすく、かつ柔軟な(光)電子構成物の実現を可能にする。使用した「曲げやすい」という概念は、特定の半径、特に1mmの半径のドラムのような曲げられた物体の湾曲を損傷なく倣うことができる特性と理解され得る。
【0040】
浸透物に対する電子的装置のカプセル化方法の好ましい態様では、感圧接着剤を接着テープの形で提供することができる。この種の体裁は、感圧接着剤の特に簡単で、かつ均等な適用を可能にする。
【0041】
その際、「接着テープ」という一般的な表現は、一実施形態では、片面または両面に感圧接着剤が付与された支持体材料を含む。この支持体材料は、全ての平面的な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット、多層構成物、およびその類似物を含む。その際、多様な用途のために、例えばフィルム、織編布、不織布、および紙のような非常に様々な支持体を接着剤と組み合わせることができる。さらに「接着テープ」という表現は、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープも含んでいる。転写式接着テープの場合、接着剤は逆に適用前に剥離層を備えており、かつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの間に施されている。適用のためには、通常は、まずライナーを取り除き、接着剤を適用し、かつその後で第2のライナーを取り除く。この感圧接着剤は、このように直接的に、(光)電子的装置内の2つの表面の結合のために使用できる。
【0042】
接着テープの支持体材料として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/または無機層を備えたフィルムまたは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、一般的に流通しているフィルム作製に使用される全てのプラスチックから成ることができ、これに限定されるわけではないが例示的に言及するとすれば、すなわちポリエチレン、ポリプロピレン−特に1軸または2軸の延伸によって生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル−特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)が挙げられる。
【0043】
加えて支持体は、有機または無機のコーティングまたは層と組み合わせることができる。これは例えば塗装、印刷、蒸着、スパッタリング、同時押出し、またはラミネート加工のような通常の方法によって行うことができる。これに限定されるわけではないが例示的に言及するとすれば、ここでは例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物または窒化物、酸化インジウムスズ(ITO)、またはゾルゲルコーティングが挙げられる。
【0044】
これらのフィルム、特にポリマーフィルムは、透明であることおよび/または酸素および水蒸気に対する浸透バリアを備えることが特に好ましく、その際この浸透バリアは、包装分野に対する要求を上回る(WVTR<10
−1g/(m
2d);OTR<10
−1cm
3/(m
2d bar))。酸素(OTR)および水蒸気(WVTR)に関する浸透性の決定は、DIN53380第3部またはASTM F−1249に基づき行われる。酸素透過性は、23℃および相対湿度50%で測定される。水蒸気透過性は、37.5℃および相対湿度90%で決定される。結果は50μmのフィルム厚で規格化される。
【0045】
感圧接着剤の特定の実施形態では、(光)電子的装置の要求に応じて、弾性および粘性の特性、ならびに(後からの)架橋反応によるバリア作用を変化させることができる。これは、(光)電子的装置に適応させて、熱によっても、電磁放射線、好ましくはUV放射線によっても行うことができる。ただしその際、感圧接着剤の高い柔軟性は維持され続ける。さらに必要ならば、電子的装置上に感圧接着剤を適用する前に、架橋を行うことが好ましい。そうすることで、架橋のために場合によっては必要な例えば熱の形での、またはUV照射による、またはそれに類するエネルギー供給が電子構造を傷つける可能性がなくなる。
【0046】
さらに好ましくは、特定の実施形態においては、スペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明な感圧接着剤が使用される。所望の透明性は、特に無色の接着樹脂を使用することで達成可能である。そのためこのような感圧接着剤は、(光)電子構造を覆う面全体の使用にも適している。面全体を貼り付けることは、電子構造物がほぼ中心に配置される場合、縁封止と比べ、浸透物が構造物に達する前に浸透物が面全体にくまなく拡散するにちがいないという利点を提供する。これにより浸透経路は明らかにより長くなる。浸透経路は透過性に反比例するので、この実施形態では、例えば液体接着剤による縁封止に比べて延長された浸透経路が、総合的なバリア性に良い影響を及ぼす。
【0047】
その際「透明性」とは、光の可視領域において、接着剤の平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味する。支持体を備えた感圧接着テープとしての実施形態の場合、構成全体の最大透過率は、これに加え、使用される支持体の種類および構成の種類に依存する。
【0048】
(光)電子的装置の電子構造物は、しばしばUV放射線に対して抵抗力がない。このため感圧接着剤がさらにUVブロック性に形成される場合が特に有利なことが判明した。「UVブロック性」という概念は、ここでは、相応の波長領域における最大20%、好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大1%の平均透過度を意味する。好ましい様態では、感圧接着剤が320nm〜400nmの波長領域(UVA放射線)、好ましくは280nm〜400nmの波長領域(UVAおよびUVB放射線)、さらに好ましくは190nm〜400nmの波長領域(UVA、UVB、およびUVC放射線)においてUVブロック性に形成されている。
【0049】
感圧接着剤のUVブロック作用は特に、感圧接着剤にUVブロッカーまたは適切な充填剤を添加することによって達成することができる。UVブロッカーとしては、例えばCiba社のTinuvinのようなHALS(ヒンダードアミン系光安定剤)またはベンズイミダゾール誘導体が適している。充填剤としては特に二酸化チタンが適しており、ことのほかナノスケールの二酸化チタンが適しており、なぜならこれによって可視領域における透明性を維持できるからである。
【0050】
更なる有利な実施形態では、感圧接着剤が天候の影響およびUV光に対する非常に優れた耐性を示す。この耐性は特に水素化エラストマーおよび/または水素化樹脂の使用によって達成することができる。
【0051】
接着剤として、主にビニル芳香族類(Aブロック)、好ましくはスチレンによって構成されたポリマーブロックを含むブロックコポリマーをベースとする接着剤、および主に1,3−ジエン(Bブロック)、好ましくはブタジエン、イソプレン、または両方のモノマーから成る混合物を重合することによって構成された接着剤を使用することが好ましい。このBブロックは一般的に低い極性を有する。ホモポリマーブロックもコポリマーブロックも、Bブロックとして好ましく利用可能である。
【0052】
AブロックおよびBブロックから生じるブロックコポリマーは、同じまたは異なるBブロックを含むことができ、このBブロックは、部分的に、選択的に、または完全に水素化することができる。ブロックコポリマーは直鎖状のA−B−A構造を有することができる。同様に放射状の形態のブロックコポリマーならびに星状および直鎖状のマルチブロックコポリマーも使用可能である。更なる成分として、A−B二元ブロックコポリマーが存在し得る。前述のポリマーの全てが、単独でまたは互いに混合されて利用され得る。
【0053】
好ましいポリスチレンブロックの代わりに、ビニル芳香族類として、75℃超のガラス転移温度を有する別の芳香族類含有ホモポリマーおよびコポリマー(好ましくはC−8〜C−12芳香族類)をベースとするポリマーブロック、例えばα−メチルスチレンを含有する芳香族ブロックも使用可能である。さらに、同じまたは異なるAブロックを含むこともできる。
【0054】
上述のブロックAおよびBのほかに少なくとも1つの更なるブロックを含む例えばA−B−Cブロックコポリマーのようなブロックコポリマーも使用可能である。
【0055】
本発明の主題ではないが、上に挙げたBブロックを、室温より高いガラス転移温度を示す例えばポリメチルメタクリレートのような別の化学的性質のAブロックと共に使用することも考えられる。
【0056】
市販されているビニル芳香族系ブロックコポリマーとしては、例えばKraton社の商品名Kraton(スチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマーであるKraton D1101および1102、スチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマーであるKraton D1107または1163、または水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマーであるKraton G1652)、Polimeri Europa社の商品名Europrene(イソプレン、ブタジエン、またはそれらの水素化生成物を有するスチレンブロックコポリマー)、またはKuraray社の商品名Septon(水素化されたスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー)が知られている。A−B−Cビニル芳香族系ブロックコポリマーは、例えばArkema社から商品名SBMの下に入手可能である。
【0057】
有利な実施形態では、ブロックコポリマーが10重量%〜35重量%の割合でポリビニル芳香族類を有する。
【0058】
更なる好ましい様態では、感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が合計で少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも35重量%である。ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が少な過ぎると、感圧接着剤の凝集性が相対的に低くなる。感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの最大割合は合計で最大80重量%、好ましくは最大65重量%、ことのほか好ましくは最大60重量%である。ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が高過ぎてもまた、感圧接着剤はほとんど粘着性がなくなる。
【0059】
さらに好ましい様態では、付着性を望む通りに高めるために、感圧接着剤が少なくとも一種のビニル芳香族系ブロックコポリマーのほかに、少なくとも一種の接着樹脂を有している。この接着樹脂は、ブロックコポリマーのエラストマーブロックと相性が良いものがよい。
【0060】
接着性付与剤として、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする水素化されていないかまたは部分的にもしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C5、C5/C9もしくはC9モノマー流をベースとした水素化されていないかまたは部分的、選択的もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはss−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとしたポリテルペン樹脂、好ましくは純粋なC8およびC9芳香族類の水素化ポリマーなどが、感圧接着剤に使用され得る。前述の接着樹脂は、単独で使用することも、混合して使用することも可能である。その際、室温で固体の樹脂も液体の樹脂も使用することができる。高い耐老朽化性およびUV安定性を保証するため、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化度を有する水素化樹脂が好ましい。
【0061】
さらに、30℃より高いDACP値(ジアセトンアルコール曇り点)および50℃より高いMMAP値(混合メチルシクロヘキサンアニリン点)、特に37℃より高いDACP値および60℃より高いMMAP値を有する非極性樹脂が好ましい。DACP値およびMMAP値は、それぞれ特定の溶剤中での溶解度を示す。この範囲を選択することによって、特に高い浸透バリアが、とりわけ水蒸気に対して達成される。
【0062】
95℃超、特に100℃超の軟化温度(環/球式)を有する樹脂がさらに好ましい。この選択によって、特に高い浸透バリアが、とりわけ酸素に対して達成される。
【0063】
更なる添加剤として典型的に利用され得るのは、
・可塑剤、例えば軟化オイル、または低分子ポリブテンなどの低分子液体ポリマー
・一次酸化防止剤、例えば立体阻害されたフェノール
・二次酸化防止剤、例えば亜リン酸塩またはチオエーテル
・プロセス安定化剤、例えばC−ラジカルスカベンジャー
・光保護剤、例えばUV吸収剤または立体阻害されたアミン
加工助剤
・末端ブロック強化樹脂、ならびに
・場合によっては、好ましくはエラストマー性質の更なるポリマー; 相応に利用可能なエラストマーには、なかでも純粋な炭化水素をベースとしたエラストマー、例えば天然または合成で生成されたポリイソプレンまたはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に本質的に飽和状のエラストマー、例えば飽和エチレン−プロピレン−コポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ならびに化学的に官能基化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル―もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンが含まれる。
【0064】
更なる実施形態では、本発明に従って使用される感圧接着剤を、表面上に流す前または場合によっては後にも架橋することが好ましく、その際さらに、材料の高い柔軟性および優れた付着性を可能にするような架橋度を得るよう努められる。架橋後に、感圧接着剤が少なくとも20%の破断伸びを有することが好ましい。このような破断伸びは、感圧接着剤のできるだけ柔軟な様態に関して特に好ましい。破断伸びは、300mm/minの伸び速度および23℃の温度で決定される。
【0065】
好ましいやり方では、感圧接着剤はUV放射線または電子線によって架橋される。架橋に関する従来技術の詳細な説明および重要な方法パラメータは、例えば「Chemistry and Technology of UV and EB formulation for Coatings, Inks and Paints」(Vol. 1, 1991, SITA, London)(非特許文献1)から当業者に知られている。これに加え、高エネルギー照射を可能にする別の方法も使用することができる。
【0066】
必要な放射線量を減らすため、粘弾性材料に架橋剤および/または架橋促進剤を混入させることができ、特にUV放射線により、電子線により、および/または熱により励起可能な架橋剤および/または促進剤によって行われる。放射線架橋に適した架橋剤は、例えば以下の官能基を含むモノマーまたはポリマーである。すなわち、アクリレートまたはメタクリレート、エポキシド、ヒドロキシ、カルボキシ、ビニル、ビニルエーテル、オキセタン、チオール、アセトアセテート、イソシアネート、アリル、または概して不飽和の化合物。使用されるモノマーまたはポリマーは、架橋度の要求に応じて二官能性または多官能性であることができる。
【0067】
さらに好ましい形態では、感圧接着剤が熱活性化可能な架橋剤によって架橋される。このために、好ましくは過酸化物、酸または酸無水物、金属キレート、二官能性または多官能性エポキシド、二官能性または多官能性水酸化物、ならびに二官能性または多官能性イソシアネートが混入され、これは、例えば酸無水物に関してEP1311559B1(特許文献10)に記載されているように行われる。
【0068】
前述の官能基を備えたモノマー架橋剤のほかに、架橋基によって官能基化されたビニル芳香族系ブロックコポリマーが好ましく使用される。有利には、Kraton FGシリーズ(例えばKraton FG1901またはKraton FG1924)、Asahi Tuftec M1913もしくはTuftec M1943またはSepton HG252(SEEPS−OH)のような官能基化されたビニル芳香族系ブロックコポリマーが使用される。さらに別の好ましいブロックコポリマーとして、例えばDaicel社の商品名Epofriend A1005、A1010、またはA1020が入手可能である。適切な架橋剤(例えば多価イソシアネート、アミン、エポキシド、アルコール、チオール、フェノール、グアニジン、メルカプタン、カルボン酸、または酸無水物)を添加することにより、ブロックコポリマーを熱または放射線によって架橋することができる。酸または酸無水物により変性されたビニル芳香族系ブロックコポリマー(例えばKraton FGシリーズ)とエポキシ化ビニル芳香族系ブロックコポリマー(例えばDaicel Epofriendシリーズ)との組合せも有利に利用し得る。これにより、モノマー架橋剤を使わずに架橋を達成することができ、このため架橋が不完全な場合も、モノマー成分が残らない。官能基化されたモノマーまたはポリマーの混合物も同様に使用可能である。
【0069】
本発明の一実施形態では感圧接着剤は充填剤も含んでおり、これに限定されるわけではないが例示的に言及するとすれば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、ハロゲン化物、炭化物、またはアルミニウムの、ケイ素の、ジルコニウムの、チタンの、スズの、亜鉛の、鉄の、もしくはアルカリ(土類)金属の混合酸化物化合物/混合水酸化物化合物/混合ハロゲン化物化合物が挙げられる。これは本質的にアルミナであり、例えば酸化アルミニウム、ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、ダイアスポア、およびその類似物である。ことのほか適しているのは層状ケイ酸塩、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、ヘクトライト、カオリナイト、ベーマイト、雲母、バーミキュライト、またはそれらの混合物である。しかしカーボンブラック、または炭素の更なる変態、例えばカーボンナノチューブも使用され得る。
【0070】
好ましくは、感圧接着剤の充填剤としてナノスケールおよび/または透明な充填剤が使用される。ここでは、充填剤が少なくとも一つの寸法において最大限の延びが約100nm、好ましくは約10nmである場合、その充填剤をナノスケールと呼ぶ。特に好ましくは、小板状の晶子構造および高いアスペクト比を有する塊状で透明な充填剤が、均一な分布で使用される。小板状の晶子構造および100を大きく超えるアスペクト比を有する充填剤は、一般的に数nmの厚みしか有さず、しかし晶子の長さもしくは幅は最大数μmであり得る。このような充填剤も同様にナノ粒子と呼ぶ。加えて、小さな寸法での充填剤の粒子状の様態は、感圧接着剤の透明な形態のために特に有利である。
【0071】
接着剤マトリクス内で、前述の充填剤によりラビリンス状の構造を構成することによって、例えば酸素および水蒸気の拡散経路は、酸素および水蒸気が接着剤層を通り抜けて浸透することを減少させるように長められる。結合剤マトリクス内で充填剤がより良く分散できるように、充填剤を有機化合物によって表面変性させることができる。このような充填剤の使用自体は、例えばUS2007/0135552A1(特許文献11)およびWO02/026908A1(特許文献12)から知られている。
【0072】
本発明の更なる有利な実施形態では、酸素および/または水蒸気と特別なやり方において相互作用し得る充填剤も使用される。この場合、(光)電子的装置内に侵入する酸素または水蒸気は、この充填剤と化学的または物理的に結合される。この充填剤は「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収材」とも呼ばれる。このような充填剤には、これに限定されるわけではないが例示的に言及するとすれば、酸化性金属と、金属および遷移金属のハロゲン化物、塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩と、過塩素酸塩と、活性炭およびその変種が挙げられる。例として、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカゲル)、酸化アルミニウム(活性アルミニウム)、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、ゼオライト、およびアルカリ(土類)金属の酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および酸化マグネシウム、またはカーボンナノチューブが挙げられる。さらに有機吸収剤も使用することができ、例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステル、または更に、ハイブリッドポリマーをベースとした吸収材であり、これはたいてい例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用される。更なる有機吸収剤は、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、アスコルビン酸塩、グルコース、没食子酸、または不飽和油脂である。
【0073】
バリア作用に関する充填剤のできるだけ優れた有効性を達成するため、充填剤の割合が少なくなり過ぎないようにするべきである。この割合は、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、およびことさら好ましくは少なくとも15重量%である。典型的には充填剤は、感圧接着剤の接着力が強く下げられ過ぎることのないようにか、または他の特性を損なうことのないようにしながら、できるだけ高い割合で使用される。このためこの割合は、一形態では最大95重量%、好ましくは最大70重量%、さらに好ましくは最大50重量%である。
【0074】
さらに、充填剤のできるだけ細かい分布およびできるだけ高い表面積が有利である。これはより高い効率およびより高い積載能力を可能にし、かつ特にナノスケールの充填剤によって達成される。
【0075】
感圧接着剤の作製および処理は溶液、分散液からならびに溶融物から行うことができる。好ましくは作製および処理は溶液または溶融物から行われる。特に好ましいのは溶液からの接着剤の作製である。その際、感圧接着剤の成分は、適切な溶剤、例えばトルエン中、またはベンジンおよびアセトンから成る混合物中に溶解され、そして一般的に既知の方法によって支持体上に施される。溶融物からの処理の場合、これはノズルまたはカレンダ機を介した塗布方法であることができる。溶液からの方法の場合、一部の方法を挙げるとすれば、ドクターブレード、ナイフ、ローラ、またはノズルによるコーティングが知られている。
【0076】
該感圧接着剤は、(光)電子的装置の面全体を貼り付けるために使用することができるか、または然るべき処理をした後で、感圧接着剤または感圧接着テープからダイカット、ロールまたはその他の成形体を作製することができる。感圧接着剤/感圧接着テープの然るべきダイカットおよび成形体は、その後、好ましくは貼り付けるべき土台上に、例えば(光)電子的装置の縁取り(Umrandungen)または境界画定(Begrenzung)として貼り付けられる。ダイカットまたは成形体の形状の選択に制限はなく、(光)電子的装置の種類に依存して選択される。平面的なラミネート加工が可能であることは、液体接着剤に比べて浸透物の横からの侵入により浸透経路長が長くなることによって、感圧接着剤のバリア特性に関する利点となる。なぜなら、浸透経路長が浸透に反比例的に影響を及ぼすからである。
【0077】
感圧接着剤が支持体を備えた平面的な形成物の形で提供される場合には、支持体の厚みが好ましくは約1μm〜約350μm、さらに好ましくは約4μm〜約250μm、および特に好ましくは約12μm〜約150μmの範囲内であることが好ましい。最適な厚みは、(光)電子的装置、最終用途、および感圧接着剤の実施形態の種類に依存する。
【0078】
以下に、本発明の更なる詳細、目的、特徴、および利点を、好ましい実施例に基づきさらに詳しく説明する。