特許第6228577号(P6228577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228577導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228577
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/076 20160101AFI20171030BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01F41/076
   H01F41/04 F
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-140426(P2015-140426)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-32106(P2016-32106A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】103125577
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515193424
【氏名又は名称】友源機械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】邱春芳
(72)【発明者】
【氏名】何肇基
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−091812(JP,A)
【文献】 特開2014−036067(JP,A)
【文献】 特開平06−231988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F41/00−41/10
H01R43/027−43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一個の導線(L)の先端を挟持する段階と、
上記導線(L)を一個のピン(P)に巻き付けて上記ピン(P)の環状周面に添着することにより、上記導線(L)の一個の初添着段(L1)を形成し、かつ上記初添着段(L1)の一端から上記導線(L)の先端までの間に上記導線(L)の第一段(L2)を形成し、上記初添着段(L1)のもう一端から上記導線(L)のその他の部分まで上記導線(L)の第二段(L3)を形成する段階と、
一個の導線収容管(1)と一個の巻線部材(2)が含まれ、上記導線収容管(1)の一端には一個の導線当接面(13)が形成され、上記導線収容管(1)には一個の導線収容部(14)が開設され、上記導線収容部(14)が上記導線収容管(1)の外環状周面(11)と内環状周面(12)を貫穿することによって、上記導線収容管(1)は一個の係止面(15)を含み、上記係止面(15)は上記導線収容管(1)の外環状周面(11)、内環状周面(12)および上記導線当接面(13)と連接し、上記巻線部材(2)は上記導線収容管(1)の中に収容され、上記巻線部材(2)には一個の軸杆(21)と一個のカッター(22)が含まれ、上記軸杆(21)の一端には押圧面(211)が形成され、上記カッター(22)は上記押圧面(211)と連接し、上記カッター(22)には一個の外円弧面(221)、一個の内円弧面(222)と一個の導線押圧面(223)が含まれ、上記軸杆(21)の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター(22)の外円弧面(221)の中心角は90〜270°であり、上記外円弧面(221)と内円弧面(222)は相対し、上記導線押圧面(223)は上記外円弧面(221)、内円弧面(222)および上記カッター(22)の自由端面と連接し、上記内円弧面(222)から上記ピン(P)までの距離は、上記導線押圧面(223)と上記内円弧面(222)との連接位置から上記ピン(P)までの距離より大きく、かつ上記導線押圧面(223)と上記外円弧面(221)が連接する端縁には一個の刃部(224)が形成されている導線先端の巻線装置を用意する段階と、
上記導線収容管(1)を上記巻線部材(2)と共に上記ピン(P)の自由端から上記ピン(P)に嵌入し、上記導線収容管(1)が上記導線当接面(13)より上記導線(L)の第二段(L3)を押圧し、上記導線(L)の初添着段(L1)と一部分の第一段(L2)を上記導線収容管(1)の導線収容部(14)の中に位置させる段階と、
上記巻線部材(2)を、上記導線収容管(1)に相対して回転するように駆動することで、上記巻線部材(2)によって上記導線(L)の第一段(L2)を切断し、かつ上記導線(L)の第一段(L2)と上記初添着段(L1)を上記ピン(P)の環状周面に巻き付ることにより、上記導線(L)の切断端(X)を上記導線(L)の上記ピン(P)の自由端に最も近接する部位に形成する段階と、
上記導線(L)を上記ピン(P)の環状周面に巻き付けた後、上記ピン(P)の軸方向に沿って上記導線収容管(1)と巻線部材(2)を移動させ、かつ上記軸杆(21)の押圧面(211)によって、上記導線(L)が上記ピン(P)の軸方向に沿って上記ピン(P)に巻き付けられた部分を押圧することにより、上記導線(L)の各層の間の螺旋距離を縮減する段階を含む、ことを特徴とする導線先端の巻線方法。
【請求項2】
上記カッター(22)の導線押圧面(223)によって上記導線(L)の第一段(L2)を押圧して上記ピン(P)の環状周面に沿って巻き付け、かつ上記導線押圧面(223)と上記導線収容管(1)の係止面(15)が交差する時、上記刃部(224)によって上記導線(L)の第一段(L2)を切断することを特徴とする請求項1に記載の導線先端の巻線方法。
【請求項3】
上記導線(L)の第一段(L2)が切断された後、上記巻線部材(2)は引続き上記導線収容管(1)に相対して回転し、上記導線(L)の第一段(L2)は上記導線押圧面(223)によって依然として上記初添着段(L1)と互いに連接する部分が、上記ピン(P)の環状周面に沿って巻き付けるように押圧されることにより、上記部分の導線(L)を上記ピン(P)の環状周面に巻き付けることを特徴とする請求項2に記載の導線先端の巻線方法。
【請求項4】
上記ピン(P)の半径方向の断面において、上記カッター(22)の上記内円弧面(222)と上記導線押圧面(223)の連接する部位から上記ピン(P)の環状周面までの距離が、上記導線(L)の線径と同じまたは少し大きく、かつ上記内円弧面(222)から上記ピン(P)の環状周面までの距離の最小部位となることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の導線先端の巻線方法。
【請求項5】
一個の導線収容管(1)と一個の巻線部材(2)を含む導線先端の巻線装置であって、上記導線収容管(1)の一端には一個の導線当接面(13)が形成され、上記導線収容管(1)には一個の導線収容部(14)が開設され、上記導線収容部(14)が上記導線収容管(1)の外環状周面(11)と内環状周面(12)を貫穿することによって、上記導線収容管(1)は一個の係止面(15)を含み、上記係止面(15)は上記導線収容管(1)の外環状周面(11)、内環状周面(12)と上記導線当接面(13)に連接し、上記巻線部材(2)は上記導線収容管(1)の中に収容され、上記巻線部材(2)には一個の軸杆(21)と一個のカッター(22)が含まれ、上記軸杆(21)の一端には一個の押圧面(211)が含まれ、上記カッター(22)は上記押圧面(211)に連接され、上記カッター(22)には一個の外円弧面(221)、一個の内円弧面(222)と一個の導線押圧面(223)が含まれ、上記軸杆(21)の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター(22)の外円弧面(221)の中心角は90〜270°であり、上記外円弧面(221)と内円弧面(222)は相対し、上記導線押圧面(223)は上記押圧面(211)、外円弧面(221)、内円弧面(222)と上記カッター(22)の自由端面と連接し、上記内円弧面(222)から上記ピン(P)までの距離は、上記導線押圧面(223)と上記内円弧面(222)との連接位置から上記ピン(P)までの距離より大きく、かつ上記導線押圧面(223)と上記外円弧面(221)が連接する端縁には一個の刃部(224)が形成されていることを特徴とする導線先端の巻線装置。
【請求項6】
上記軸杆(21)の半径方向の断面に平行する平面において、上記導線押圧面(223)は傾斜状に形成されて上記外円弧面(221)の接平面とは一個の鋭角が形成され、上記刃部(224)を上記カッター(22)の片側に突出することを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【請求項7】
上記内円弧面(222)は一方の側端縁からもう一方の側端縁に向かって曲率漸増の連続円弧状に形成され、かつ上記導線押圧面(223)は上記内円弧面(222)の曲率が比較的大きい側端縁と連接することを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【請求項8】
上記導線押圧面(223)を、上記内円弧面(222)の曲率が比較的大きい側端縁から、上記側端縁の接線方向に沿って上記外円弧面(221)まで延伸することを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【請求項9】
上記軸杆(21)の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター(22)の外円弧面(221)と上記導線収納管(1)の内環状周面(12)を同心の円弧に形成することを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【請求項10】
上記内円弧面(222)が上記導線押圧面(223)の側端縁と連接する部位の曲率中心を上記外円弧面(221)の曲率中心と同じ位置に位置することを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【請求項11】
上記カッター(22)の外円弧面(221)からその曲率中心までの距離を、上記導線収容管(1)の内環状周面(12)からその曲率中心までの距離と同じまたは少し小さくすることを特徴とする請求項5に記載の導線先端の巻線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置に関するもので、特に、電子部品の導線の導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
導電コイルを含む電子部品を製造する時、導線を電子部品の絶縁基座に巻き付ける前に先ず導線の一端を上記絶縁基座と連接する一個のピン(Pin)に巻き付けて固定しなければならない。そして導線を予定される巻き数に基づいて上記絶縁基座に巻き付けた後、導線のもう一端を、上記絶縁基座と連接するもう一個のピンに巻き付けて固定しなければならない。それから、さらに導線の端部と導線を巻き付けて固定されたピンを液体すずで付けることにより、導線とピンの間は導電するようになる。上述した構造を有する電子部品として、例えば中華民国公告第I475580号(特許文献1参照)の「変圧器の骨組みと上記変圧器の骨組みを用いた骨組みの巻線方法」や、中華民国公告第M496838号(特許文献2参照)の「変圧器構造」などがある。
【0003】
図10を参照すると、例えば自動化の作業で上述した巻線の作業を完成させる場合、一個の導線保持器Cを使用して導線Lの一端を挟持し、そして一個の導線針(図示略)によって導線Lを導引して一個のピンPに巻き付けて固定し、それから導線Lを絶縁基座の中に移入して、予定される巻数を巻き付ける。上記の工程において、上記導線針によって導線Lを上記ピンPに巻き付けて固定する時に、導線Lが絡み合ってしまうという問題点が生じるのを避けるために、現在の製造工程では、上記導線針によって導線Lを上記ピンPの自由端の方向へ向かって巻き付ける必要があり(図10においては上へ向かって巻き付けている)、それによって、導線Lの一部分を上記ピンPに巻き付けて固定している。しかし、このような巻き付けの方式では、上記導線針によって導線Lを絶縁基座の中に移入してコイルの巻き付けの作動を行なおうとする時、導線Lが傾斜状にぶら下がるような状態が形成されてしまう。そのため、後続するコイル巻き付け工程において導線Lが引きちぎれ易くなり、不良品となり易くなる。
【0004】
図11を参照すると、たとえ導線Lが引きちぎられることなく巻線を完成できたとしても、導線Lを上記導線保持器Cから分離した後、導線Lの切断端Xは依然として余分な手作業で上記ピンPに巻き付けて固定しなければならず、完全な自動化の作業により導線Lと絶縁基座の結合を完成することができないため、全体的な製造工程における生産効率を高めることが難しい。
【0005】
一方、導線Lの切断端Xは、絶縁基座に比較的近接して位置するため、上記導線Lが切断端Xに連接する部分はたとえ完全に一回り巻き付けていなくても、依然として少なくとも上記ピンPの軸方向において一層分の線径の厚さを占めている。その上、上記導線Lは、各層の間における螺旋距離により、上記導線Lが上記ピンPにおいて占める範囲としてかなりの軸方向の高さを占めている。しかしながら、電子部品を薄型の電子製品に適用することができるようにするためには、ある種の特定の安全規定において、導線LをピンPに巻き付ける巻数と、それが占める軸方向の高さの規制値は全て非常に小さく定められており、上述した方法で製造される電子部品では上記規制値に適合し難いため、薄型の電子製品には適用することができないという問題点があった。
【0006】
また、導線Lの切断端Xを液体すずに付けさせるため、殆ど全てのピンPを液体すずの中に浸さなければならない。そのため、導線LのピンPから絶縁基座の中まで延伸した部分にも液体すずが付着し、液体すずが毛細管現象によって導線Lが絶縁基座の中に巻き付けられている部分にまで拡散し易くなる。導線Lの絶縁層の融点は液体すずの温度より低いため、液体すずが付着した導線Lの部分は全て絶縁層の破壊によって絶縁の効果を失ってしまうという問題点が生じ、そして絶縁基座の中に巻き付けられる部分の導線Lの絶縁が失効すると、不良品となってしまうという問題点があった。
【0007】
図12を参照すると、そのために現在は、一般的に人手により巻き付ける方式を採用し、導線Lが上記ピンPに巻き付けて固定された部分を解き開き、それから新たに巻き付けることにより、導線Lの切断端Xを、導線Lの中で上記ピンPの自由端に最も近接する部位(図12では最も上方に位置する)に形成し、さらに、導線Lの各層の間の螺旋距離をできるだけ縮減することにより、電子部品を安全規定に適合させ、薄型の電子製品に適用するようになる。他に、導線Lに液体すずを付ける場合、導線Lの切断端Xを液体すずに少し浸すだけでいい。たとえ液体すずが毛細管現象によって拡散しても、導線Lが絶縁基座の中に巻き付けられた部分まで拡散することがないため、不良品が形成されるのを避けることができる。
【0008】
しかしながら、人手で新たに導線Lを巻き付けたり、導線Lの各層の間の螺旋距離を調整したりするのは、時間と手間が非常に掛かるため、全体的な製造工程の効率を高めるのは難しい。特に、薄型の電子製品の中の電子部品に適用しようとする場合、その絶縁基座の体積は小さく、かつ手に取り難く、力を施し難く、さらに、合わせて使用する導線Lの線径も非常に細いため、操作し難いという問題点があった。また、操作の効率が低いだけではなく、作業者が数十個の電子部品を処理した後、目に疲労感を生じてしまうため、後続の作業において効率がさらに悪くなるだけでなく、品質が甚だしく悪くなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中華民国公告第I475580号
【特許文献2】中華民国公告第M496838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した原因に基づき、従来の導線先端の巻線方法では、依然として問題点があり、確実に改善を行わなければならない。
【0011】
本発明の目的は、自動化作業の方式で行うことができ、導線の一端を切断して絶縁基座と連接するピンに巻き付けて固定することにより、導線の切断端を、ピンの自由端に最も近接する部位に形成することができる導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による導線先端の巻線方法は、一個の導線の先端を挟持する段階と、上記導線を一個のピンに巻き付けて上記ピンの環状周面に添着することにより、上記導線の一個の初添着段を形成し、かつ上記初添着段の一端から上記導線の先端までの間に上記導線の第一段を形成し、上記初添着段のもう一端から上記導線のその他の部分まで上記導線の第二段を形成する段階と、一個の導線先端の巻線装置を上記ピンの自由端から上記ピンに嵌入し、上記導線の初添着段と一部分の第一段を上記導線先端の巻線装置の中に位置させ、かつ上記導線先端の巻線装置の端部を上記導線の第二段に当接する段階と、上記導線先端の巻線装置によって上記導線の第一段を切断し、かつ上記導線の第一段と上記初添着段を上記ピンの環状周面に巻き付けることにより、上記導線の切断端を上記導線の上記ピンの自由端に最も近接する部位に形成する段階とを含む。
【0013】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、一個の導線収容管と一個の巻線部材が含まれ、上記導線収容管の一端には一個の導線当接面が形成され、上記導線収容管には一個の導線収容部が開設され、上記導線収容部が上記導線収容管の外環状周面と内環状周面を貫穿することによって、上記導線収容管は一個の係止面を含み、上記係止面は上記導線収容管の外環状周面、内環状周面および上記導線当接面と連接し、上記巻線部材は上記導線収容管の中に収容され、上記巻線部材には一個の軸杆と一個のカッターが含まれ、上記カッターには一個の外円弧面、一個の内円弧面と一個の導線押圧面が含まれ、上記外円弧面と内円弧面は相対し、上記導線押圧面は上記外円弧面、内円弧面および上記カッターの自由端面と連接し、かつ上記導線押圧面と上記外円弧面が連接する端縁には一個の刃部が形成されている。
【0014】
また、本発明による導線先端の巻線方法によれば、上記導線収容管と巻線部材は共に上記ピンの自由端から上記ピンに嵌入され、上記導線収容管は上記導線当接面によって上記導線の第二段に当接し、かつ上記導線収容管には上記導線の初添着段と一部分の導線の第一段が収容される。
【0015】
また、本発明による導線先端の巻線方法によれば、上記巻線部材を上記導線収容管に対して相対的に回転駆動し、上記カッターの導線押圧面によって上記導線の第一段を押圧して上記ピンの環状周面に沿って巻き付け、かつ上記導線押圧面と上記導線収容管の係止面が交差する時、上記刃部によって上記導線の第一段を切断する。
【0016】
また、本発明による導線先端の巻線方法によれば、上記導線の第一段が切断された後、上記巻線部材は引続き上記導線収容管に相対して回転し、上記導線の第一段は上記導線押圧面によって依然として上記初添着段と互いに連接する部分が、上記ピンの環状周面に沿って巻き付けるように押圧されることにより、上記部分の導線を上記ピンの環状周面に巻き付け、さらに上記導線の切断端が上記ピンの自由端に最も近接する部位に形成させることもできる。
【0017】
また、本発明による導線先端の巻線方法は、上記軸杆の一端に一個の押圧面が含まれ、上記カッターは上記押圧面に連接され、上記導線を上記ピンの環状周面に巻き付けた後、上記ピンの軸方向に沿って上記導線収容管と巻線部材を移動させ、かつ上記軸杆の押圧面によって、上記導線が上記ピンの軸方向に沿って上記ピンに巻き付けられた部分を押圧することにより、上記導線の各層の間の螺旋距離を縮減することもできる。
【0018】
また、本発明による導線先端の巻線方法は、上記ピンの半径方向の断面において、上記カッターが上記内円弧面および上記導線押圧面の連接する部位から上記ピンの環状周面までの距離が、上記導線の線径と同じまたは少し大きく、かつ上記内円弧面から上記ピンの環状周面までの距離の最小部位となることもできる。
【0019】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記軸杆の半径方向の断面に平行する平面において、上記導線押圧面は傾斜状に形成され、上記外円弧面の接平面とは一個の鋭角が形成され、上記刃部を上記カッターの片側に突出することもできる。
【0020】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記内円弧面は一方の側端縁からもう一方の側端縁に向かって曲率が漸増する連続円弧状に形成され、かつ上記導線押圧面は上記内円弧面の曲率が比較的大きい側端縁と連接することもできる。
【0021】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記導線押圧面を、上記内円弧面の曲率が比較的大きい側端縁から、上記側端縁の接線方向に沿って上記外円弧面まで延伸することもできる。
【0022】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記軸杆の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッターの外円弧面と上記導線収容管の内環状周面を同心の円弧に形成することもできる。
【0023】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記内円弧面が上記導線押圧面の側端縁と連接する部位の曲率中心を上記外円弧面の曲率中心と同じ位置に位置することもできる。
【0024】
また、本発明による導線先端の巻線装置は、上記カッターの外円弧面からその曲率中心までの距離を、上記導線収容管の内環状周面からその曲率中心までの距離と同じくまたは少し小さくすることもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置によれば、自動化作業の方式で導線の一端を切断して絶縁基座と連接するピンに巻き付けて固定することができ、さらに導線の切断端を導線の中においてピンの自由端に最も近接する部位に形成させることにより、生産の効率を高めるとともに、製品の歩留まりを高め、さらに製品の品質を高め、品質の安定性を確保するなどの多重的な効果を有するため、後続において製造される電子部品は薄型の電子製品に適用することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例の分解斜視構造の説明図である。
図2】本発明の実施例の導線をピンに巻き付けた後の実施説明図である。
図3】本発明の実施例の導線を切断する前の断面構造の説明図である。
図4】本発明の実施例の導線を切断する時の実施説明図である。
図5】本発明の実施例の導線を切断してピンに巻き付けた後の断面構造の説明図である。
図6図5のA−A線に沿った断面の構造の説明図である。
図7】本発明の実施例の導線の各層の間の螺旋距離を縮減した後の断面構造の説明図である。
図8】本発明の実施例の導線の始端をピンに巻き付けた後の実施説明図である。
図9】本発明のもう一つの実施例の分解斜視構造の説明図である。
図10】従来の導線先端の巻線方法の実施説明図である。
図11】従来の導線先端の巻線方法において人力で導線の切断端をピンに巻き付けて固定している実施説明図である。
図12】従来の導線先端の巻線方法において人力でピンに巻き付けられた導線を解いて再び新たに巻き付けている実施説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施例の分解斜視構造の説明図である。図1を参照すると、本発明である、導線先端の巻線方法と合わせて使用する導線先端の巻線装置の一実施例が掲示されている。上記導線先端の巻線装置には、主として、一個の導線収容管1と一個の巻線部材2が含まれ、上記巻線部材2の一部分は上記導線収容管1の中に収容され、かつ上記巻線部材2は上記導線収容管1に対して相対的に回転することができる。
【0029】
上記導線収容管1は管状に形成され、そして一個の外環状周面11と一個の内環状周面12を含む。上記導線収容管1の一端には一個の導線当接面13が形成される。上記導線収容管1には一個の導線収容部14が開設され、上記導線収容部14が上記導線収容管1の外環状周面11と内環状周面12を貫穿することによって、上記導線収容管1は一個の係止面15を含むことができ、かつ上記係止面15は上記外環状周面11と、内環状周面12と、上記導線当接面13に連接している。
【0030】
図2は本発明の一実施例の導線をピンに巻き付けた後の実施説明図で、図3は本発明の実施例1の導線を切断する前の断面構造の説明図である。図2、3を合わせて参照すると、一個の導線Lを一個のピンPに巻き付け、かつ上記ピンPが上記導線収容管1の中に嵌入される時、上記導線収容管1は上記導線当接面13によって上記導線Lの一段と当接し、さらに上記導線Lの他の一段は上記導線収容部14の中に収容され、かつ上記導線Lは上記巻線部材2の回転によって上記係止面15と接触するように形成されている。
【0031】
また、本発明においては上記導線収容部14の構造の形態について特別に制限を設けていない。例を挙げて言えば、上記導線収容部14の構造の形態は、図1に示すように、上記導線当接面13から軸方向へ延伸して略扇形の溝を形成し、かつ上記扇形の溝の展開角度については限制を設けない。また、導線収容部14は、図9に示すように略一直線の貫穿式の溝からなることもできる。その他に、上記導線収容部14は、その他の適宜の形態にすることもでき、要するに「上記係止面15を規定することができ、さらに導線Lを収容できる機能を有する」の原則をもって、本発明の技術分野で通常の知識を有する者には理解することができ、かつ使用上の需要性に応じて設計を変更することができるものである。本発明の図示するものにおいては上述した加工成形が行ない易い二種類の構造形態を代表とするものであるが、この限りではない。
【0032】
図4は本発明の一実施例の導線を切断する時の実施説明図である。図1、4を参照すると、上記巻線部材2には一個の軸杆21と一個のカッター22が含まれ、上記カッター22は上記軸杆21の一端に連接される。上記巻線部材2のカッター22は、上記導線収容管1の中に収容され、上記巻線部材2の軸杆21が回転駆動できるため、上記カッター22は同期的に連動して上記導線収容管1の中で回転することができる。
【0033】
詳しく言えば、上記軸杆21の一端には一個の押圧面211が含まれ、上記カッター22は上記押圧面211に連接される。上記軸杆21の中には、一個の嵌入孔212が設けられ、上記嵌入孔212は上記軸杆21の軸方向に沿って延伸し、さらに上記軸杆21の押圧面211まで貫穿し、上記嵌入孔212の孔径は上記ピンPの径と略同じまたは少し大きく形成され、上記ピンPを容易に嵌入することができる。
【0034】
上記カッター22には、相対する一個の外円弧面221と一個の内円弧面222が含まれ、上記外円弧面221と内円弧面222の一端は上記軸杆21の押圧面211に連接され、上記外円弧面221と内円弧面222は上記軸杆21の軸方向に沿って延伸し、上記巻線部材2が上記導線収容管1の中に嵌入される時、上記カッター22の外円弧面221は内円弧面222より上記導線収容管1の内環状周面12に近接する。
【0035】
上記カッター22にはさらに一個の導線押圧面223が含まれ、上記導線押圧面223は、上記押圧面211、外円弧面221、内円弧面222と上記カッター22の自由端面に連接する。上記導線押圧面223と上記外円弧面221が連接する端縁には、一個の刃部224が形成される。上記カッター22が上記導線収容管1の中で回転する時、上記導線押圧面223によって上記導線Lを押圧して上記ピンPの環状周面に沿って巻き付け、かつ上記導線押圧面223と上記導線収容管1の係止面15が交差する時、上記刃部224によって上記導線Lを切断する。
【0036】
上記軸杆21の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター22の外円弧面221と上記導線収容管1の内環状周面12は選択的に同心の円弧の形態にすることにより、上記カッター22を上記導線収容管1の中でスムーズに回転させることができる。上記カッター22の外円弧面221からその曲率中心までの距離は、上記導線収容管1の内環状周面12からその曲率中心までの距離と略同じまたは少し小さく形成され、上記導線収容管1の係止面15は上記カッター22の導線押圧面223と共動して上記導線Lを切断することができる。
【0037】
また、上記軸杆21の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター22の外円弧面221の中心角は90〜270°からなることができるため(好ましくは135〜225°である)、上記カッター22に充分な強度を確保することができ、そして、上記導線Lが上記導線収容管1の内環状周面12の中に収容される部分に対して、必要のない湾曲をもたらすことがないため、上記導線Lが予期されない位置で断裂が生じるのを避けることができる。
【0038】
さらに、上記軸杆21の半径方向の断面に平行する平面において、上記カッター22の内円弧面222は、選択的に同じ曲率でない円弧の形態に形成することもでき、上記導線Lの巻き付けのスムーズさを高めることができる。例えば、制限を設けないとすれば、上記カッター22の内円弧面222は、一方の側端縁からもう一方の側端縁に向かって曲率が漸増する連続円弧状に形成され、かつ上記カッター22の導線押圧面223は、上述した曲率が比較的大きい上記側端縁と連接する。
【0039】
本実施例において、上記導線押圧面223は、選択的に傾斜する態様にすることができ、言い換えれば、上記軸杆21の半径方向の断面に平行する平面において、上記導線押圧面223と上記外円弧面221の接平面には一個の鋭角が形成され、上記刃部224は上記カッター22の片側に突出される。これにより、上記導線押圧面223が上記導線Lを押圧することによって、導線Lを上記ピンPの環状周面に沿って巻き付ける時、上記導線Lが上記導線押圧面223と上記内円弧面222が連接する部位において、過度な湾曲によって断裂してしまうのを避けることができる。
【0040】
好ましくは、選択的に上記導線押圧面223は、上記内円弧面222の曲率が比較的大きい側端縁から、上記側端縁の接線方向に沿って上記カッター22の外円弧面221まで延伸することにより、上記内円弧面222と導線押圧面223の間には稜線がなくなり、そうすることで、上記カッター22は「稜線」ではなく「平滑面」によって上記導線Lを押圧することにより、上記導線Lは巻き付けの過程において断裂が生じないことを確保することができる。
【0041】
さらに、上記内円弧面222が上記導線押圧面223の側端縁と連接する部位においてその曲率中心は、上記外円弧面221の曲率中心と同じ位置に位置するように選択することができる。それから、上記カッター22の上記内円弧面222と上記導線押圧面223の連接する部位から上記ピンPの環状周面までの距離は、上記導線Lの線径と同じ、または少し大きく、かつ上記内円弧面222から上記ピンPの環状周面までの距離の最小部位となる。
【0042】
これにより、上記導線押圧面223によって上記導線Lと接触する他に、上記内円弧面222は、上記導線押圧面223と隣接する部位だけで上記導線Lと接触することにより、上記内円弧面222のその他の部位が上記導線Lと摩擦するのを避けることができるため、上記カッター22によって上記導線Lを上記ピンPの環状周面にさらにスムーズに巻き付けることができ、そして上記導線Lが予期されない位置で断裂が生じるのを避けることができる。
【0043】
上述した導線先端の巻線装置に基づき、本発明において実施することができる導線先端の巻線方法は、下記の段階を含む。
【0044】
図2を参照すると、複数個のピンPを連接している一個の絶縁基座Bを位置決めする。例えば一個の導線針(図式省略)によって一個の導線Lを導引し、さらに上記導線Lの先端を一個の導線保持器Cまで移動して挟持する。それから、上記導線Lを上記絶縁基座Bのその内の一個のピンPに巻き付け、さらに上記導線Lの一部分を上記ピンPの環状周面に添着させることにより、上記導線Lの一個の初添着段L1を形成する。さらに、上記初添着段L1の一端から上記導線Lの先端の間に上記導線Lの第一段L2を形成し、上記初添着段L1のもう一端から上記導線Lのその他の部分まで上記導線Lの第二段L3を形成する。
【0045】
図2、3を参照すると、上記導線先端の巻線装置を上記ピンPの自由端から上記ピンPに嵌入し、上記導線Lの初添着段L1と一部分の第一段L2を上記導線先端の巻線装置の中に位置し、かつ上記導線先端の巻線装置の端部により上記導線Lの第二段L3を当接する。詳しく言えば、上記導線先端の巻線装置の巻線部材2は、一部分をもって上記導線収容管1の中に収容され、さらに上記導線収容管1と巻線部材2を共に上記ピンPの自由端から上記ピンPに嵌入することにより、上記ピンPは上記嵌入孔212の中に安定して嵌合される。
【0046】
また、上記導線収容管1は、上記導線当接面13によって上記導線Lの第二段L3を当接し、さらに上記導線Lの初添着段L1と一部分の第一段L2は、上記導線収容部14の中に収容される。一方、上記導線Lは、上記軸杆21の押圧面211の押圧を受けることにより、上記導線押圧面223まで押圧されて移動し、上記内円弧面222と上記押圧面211により形成される開放された空間において、上記導線Lが上記ピンPにおいて上記絶縁基座Bに比較的近接して連接する部位に位置するように確保される。
【0047】
図2、4を参照すると、上記導線先端の巻線装置によって上記導線Lの第一段L2を切断する。詳しく言えば、上記巻線部材2を上記導線収容管1に対して相対的に回転駆動すると、上記カッター22の導線押圧面223によって上記導線Lの第一段L2を押圧して上記ピンPの環状周面に沿って巻き付け、かつ上記導線押圧面223と上記導線収容管1の係止面15が交差する時、上記刃部224によって上記導線Lの第一段L2を切断し、そして上記導線Lが切断される部位において一個の切断端Xが形成される。
【0048】
図5は本発明の実施例1の導線を切断してピンに巻き付けた後の断面構造の説明図で、図6は、図5のA−A線に沿った断面の構造の説明図である。図5、6を参照すると、上記導線Lの第一段L2が切断された後、上記巻線部材2は引続き上記導線収容管1内で回転し、上記導線押圧面223によって上記導線Lの第一段L2(依然として上記初添着段L1と互い連接する部分)を押圧して上記ピンPの環状周面に沿って巻き付けることにより、上記部分の導線Lを上記ピンPの環状周面に巻き付け、その結果、上記導線Lの切断端Xは上記導線Lが上記ピンPの自由端に最も近接する部位となる。
【0049】
図7は本発明の一実施例の導線Lの各層の間の螺旋距離を縮減した後の断面構造の説明図である。図7を参照すると、上述の段階を完成した後、さらには上記導線収容管1と巻線部材2を共に上記絶縁基座Bに近寄る方向へ移動させる。すると、上記軸杆21の押圧面211によって上記ピンPの軸方向に沿って上記導線Lが上記ピンPに巻き付けられた部分が押圧され、上記導線Lの各層の間の螺旋距離が縮減され、それにより、上記導線Lが上記ピンPにおいて占める範囲の軸方向の高さを大幅に縮減することができる。このように、上記導線Lが上記ピンPに巻き付けられる巻数と占める軸方向の高さの規制値を全て非常に小さく、かつ、ある種の特定の安全規定に適合させることができるため、後続において製造される電子部品は薄型の電子製品に適用することができる。
【0050】
図8は本発明の実施例の導線Lの始端をピンPに巻き付けた後の実施説明図である。図8を参照すると、上記導線Lの第一段L2において依然として上記初添着段L1と互いに連接する部分が上記ピンPの環状周面に巻き付けられた後、上記導線先端の巻線装置を上記ピンPから退出することにより、上記導線収容管1の導線当接面13が上記導線Lの第二段L3に当接しないように形成される。これにより、上記導線針は上記導線Lの第二段L3を引っ張って上記絶縁基座Bの一個の凸部b1を経由し、さらに上記絶縁基座Bの一個の導線溝b2を通過し、上記絶縁基座Bの一個のコイル巻線部b3の中まで進入してコイルの巻線の作動を始めることができる。
【0051】
他に、コイルの巻線の作動を完了した後、上記導線針によって上記導線Lの第二段L3を引っ張って上記コイル巻線部b3から離れさせ、さらにもう一個のピンPのところまで移動させることにより、上記導線Lを上記もう一個のピンPが上記絶縁基座Bに近接する一端から上記もう一個のピンPの自由端に向かって巻き付けた後に切断することで、上記絶縁基座Bに対する巻き付けを完成して一個の電子部品を獲得する。
【0052】
このように、本発明の導線先端の巻線方法では、導線Lの切断端Xを導線LがピンPの自由端に最も近接する部位に形成することができ、言い換えれば、導線Lの第二段L3は導線Lが絶縁基座Bに最も近接する部位となる。これにより、導線針によって導線Lを絶縁基座Bのコイル巻線部b3の中に移入してコイルの巻線の作動を行なおうとする時、巻き付けの起点と上記コイル巻線部b3の高度の差を低く下げることにより、導線Lは巻き付けが始まる時には、殆ど水平に上記絶縁基座Bの外形に沿って上記コイル巻線部b3に引っ張られることにより、従来における導線Lが傾斜状にぶら下がるような状態になるのを改善することができるため、導線Lが後続の巻線の作業時に引きちぎられるのを有効に避けることができ、さらに電子部品が巻線の段階において不良品になるという確率を下げることができるため、全体的な製品の歩留まりを高めるのに役立つことができる。
【0053】
他に、本発明の導線先端の巻線装置では、導線Lの第一段L2を切断してピンPの環状周面に巻き付けて固定することができるため、余分な人手による操作は不要になる。また、本発明の導線先端の巻線方法では、導線Lの切断端Xを導線LがピンPの自由端に最も近接する部位に形成することができるため、導線Lの切断端Xに対して液体すずを付ける前、人手により導線Lが上記ピンPに巻き付いて固定される部分を解き開いて新たに巻き付けることは不要になる。そのため、本発明では完全に自動化の作業方式で導線Lと絶縁基座Bの結合を完成することができるため、全体的な製造工程の生産効率を大幅に高めることができ、一方、自動化の製造工程によって人手作業による各種の不安定な要素(例えば作業員の疲労など)を排除することもできるため、製品の品質の安定性をより一層確保することができる。
【0054】
総合すると、本発明の導線先端の巻線方法と導線先端の巻線装置によれば、自動化作業の方式で導線の一端を切断して絶縁基座と連接するピンに巻き付けて固定されることにより、導線の切断端は導線の中にピンの自由端に最も近接する部位に形成され、生産の効率を高めるとともに、製品の歩留まりを高め、さらに製品の品質を高め、品質の安定性を確保するなどの多重的な効果を有するため、後続において製造される電子部品は薄型の電子製品に適用することができる。
【0055】
本発明は、その精神および必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施形態は例示的なものであり、限定を意図するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 導線収容管
11 外環状周面
12 内環状周面
13 導線当接面
14 導線収容部
15 係止面
2 巻線部材
21 軸杆
211 押圧面
212 嵌入孔
22 カッター
221 外円弧面
222 内円弧面
223 導線押圧面
224 刃部
B 絶縁基座
b1 凸部
b2 導線溝
b3 コイル巻線部
C 導線保持器
L 導線
L1 初添着段
L2 第一段
L3 第二段
P ピン
X 切断端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12