(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.一実施形態
<A−1.構成>
[A−1−1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電力供給システムとしての燃料電池システム12(以下「FCシステム12」又は「システム12」という。)を搭載した燃料電池車両10(以下「FC車両10」又は「車両10」という。)の概略全体構成図である。FC車両10は、FCシステム12に加え、走行モータ14(以下「モータ14」という。)と、インバータ16とを有する。
【0019】
FCシステム12(電力供給システム)は、燃料電池ユニット20(以下「FCユニット20」という。)と、高電圧バッテリ22(以下「バッテリ22」ともいう。)と、FCコンバータ24と、バッテリコンバータ26と、電子制御装置28(以下「ECU28」という。)とを有する。
【0020】
[A−1−2.駆動系]
本実施形態のモータ14は、3相交流ブラシレス式である。モータ14は、FCユニット20及びバッテリ22から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション30を通じて車輪32を回転させる。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ22等に出力する。
【0021】
モータ14のU相−V相間及びV相−W相間の電圧は、電圧センサ36uv、36vwにより検出される。モータ14の各相(U相、V相、W相)の電流は、電流センサ38u、38v、38wにより検出される。或いは、3相のうち2相のみ電流を検出し、これらの電流から残りの1相の電流を検出してもよい。
【0022】
インバータ16は、3相フルブリッジ型の構成を有し、直流−交流変換を行う。より具体的には、インバータ16は、直流を3相の交流に変換してモータ14に供給する一方、回生動作に伴う交流−直流変換後の直流をバッテリコンバータ26を通じてバッテリ22等に供給する。なお、モータ14とインバータ16を併せて負荷40という。
【0023】
[A−1−3.FCユニット20]
FCユニット20は、燃料電池スタック50(以下「FCスタック50」、「燃料電池50」又は「FC50」という。)と、その周辺部品とを備える。FCスタック50(第1電源)は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セルを積層した構造を有する。前記周辺部品には、FCスタック50のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、FCスタック50のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系とが含まれる。
【0024】
FC50の出力電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)は、電圧センサ52により検出される。FC50の出力電流(以下「FC電流Ifc」という。)は、電流センサ54により検出される。
【0025】
[A−1−4.高電圧バッテリ22]
バッテリ22(第2電源)は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素2次電池等を利用することができる。バッテリ22の代わりに、キャパシタ等の蓄電装置を用いてもよい。
【0026】
バッテリ22の入出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」又は「BAT電圧Vbat」という。)[V]は、電圧センサ60により検出される。バッテリ22の入出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」又は「BAT電流Ibat」という。)[A]は、電流センサ62により検出される。ECU28は、バッテリ電圧Vbatとバッテリ電流Ibatとに基づいて、バッテリ22の残容量(SOC)[%]を算出する。
【0027】
[A−1−5.FCコンバータ24]
FCコンバータ24(第1電圧変換器)は、FC50の出力電圧(FC電圧Vfc)を昇圧してインバータ16に供給する昇圧チョッパ型の電圧変換装置(DC/DCコンバータ)である。FCコンバータ24は、FC50とインバータ16との間に配置される。換言すると、FCコンバータ24は、一方がFC50のある1次側1Sfに接続され、他方がバッテリ22と負荷40との接続点である2次側2Sに接続されている。以下では、FCコンバータ24を、コンバータ24、昇圧コンバータ24又はFC−VCU24ともいう。FC−VCU24は、FC50用電圧制御ユニットの意味である。
【0028】
図2は、本実施形態におけるFCコンバータ24の構成例を示す模式的回路図である。FC−VCU24は、インダクタ70、スイッチング素子72、ダイオード74及び平滑コンデンサ76を備える。FC−VCU24は、ECU28を通じてスイッチング素子72がスイッチング(デューティ制御)されることでFC電圧Vfcを昇圧する。昇圧された電圧は、インバータ16の入力端電圧(以下「インバータ入力端電圧Vinv」又は「入力端電圧Vinv」という。)となる。インバータ入力端電圧Vinvは、電圧センサ78(
図1)により検出される。また、FC−VCU24の出口端電流(以下「出口端電流Ifcvcu」という。)は、電流センサ80により検出される。
【0029】
本実施形態のスイッチング素子72(第1スイッチング素子)は、例えばMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)からなる。スイッチング素子72を構成するMOSFETは、例えばSiC(シリコン・カーバイド)製である。
【0030】
[A−1−6.バッテリコンバータ26]
バッテリコンバータ26(第2電圧変換器)は、昇圧チョッパ型の電圧変換装置(DC/DCコンバータ)である。バッテリコンバータ26は、バッテリ22の出力電圧(バッテリ電圧Vbat)を昇圧して又は直結状態でインバータ16に供給する。また、バッテリコンバータ26は、モータ14の回生電圧(以下「回生電圧Vreg」という。)又はFC電圧Vfcとしてのインバータ入力端電圧Vinvを直結状態でバッテリ22に供給することが可能である。
【0031】
図1に示すように、バッテリコンバータ26は、バッテリ22とインバータ16との間に配置される。換言すると、バッテリコンバータ26は、一方がバッテリ22のある1次側1Sbに接続され、他方がFC50と負荷40との接続点である2次側2Sに接続されている。以下では、バッテリコンバータ26を、コンバータ26、BATコンバータ26、昇圧コンバータ26又はBAT−VCU26ともいう。BAT−VCU26は、バッテリ22用電圧制御ユニットの意味である。
【0032】
図3は、本実施形態におけるバッテリコンバータ26の構成例を示す模式的回路図である。BAT−VCU26は、インダクタ90と、スイッチング素子92、94と、スイッチング素子92、94にそれぞれ並列に接続されるダイオード96、98と、平滑コンデンサ100、102とを備える。
【0033】
本実施形態のスイッチング素子92、94(第2スイッチング素子)は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)からなる。スイッチング素子92、94を構成するIGBTは、例えばシリコン製である。
【0034】
バッテリ22を用いた力行時における昇圧時には、ECU28により、スイッチング素子94がオフ状態とされ、スイッチング素子92がスイッチング(デューティ制御)されることでバッテリ電圧Vbatを昇圧する。昇圧された電圧は、インバータ入力端電圧Vinvとなる。
【0035】
バッテリ22を用いた力行時における直結時には、ECU28により、スイッチング素子92がオフ状態とされ、スイッチング素子94がオン状態とされることでバッテリ電圧Vbatをそのままインバータ16に供給する。換言すると、バッテリ電圧Vbatは、インバータ入力端電圧Vinvとなる。
【0036】
回生時には、ECU28により、スイッチング素子92がオフ状態とされ、スイッチング素子94がオン状態とされることでインバータ入力端電圧Vinvをそのままバッテリ22に供給する。換言すると、バッテリ電圧Vbat(バッテリ22への入力電圧)は、インバータ入力端電圧Vinvとなる。
【0037】
上記のように、インバータ入力端電圧Vinvは、電圧センサ78(
図1)により検出される。また、BAT−VCU26の出口端電流(以下「出口端電流Ibatvcu」という。)は、電流センサ104により検出される。
【0038】
本実施形態では、ECU28によりFC−VCU24及びBAT−VCU26を制御することにより、FCユニット20から供給される電力(以下「FC電力Pfc」という。)と、バッテリ22から供給される電力(以下「バッテリ電力Pbat」又は「BAT電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
【0039】
以下では、昇圧なしにBAT電力Pbat又はFC電力Pfc若しくは回生電力Pregが供給される状態を「直結状態」といい、直結状態を実現するための動作を「直結動作」という。
【0040】
直結状態では、BAT−VCU26による昇圧が行われないため、インバータ入力端電圧Vinvは、BAT電圧Vbatと等しくなる。より正確には、直結状態では、入力端電圧Vinvは、BAT電圧Vbatからインダクタ90及びダイオード98による電圧降下分を引いた値となるが、以下では、入力端電圧VinvがBAT電圧Vbatと実質的に等しいものとして説明をする。
【0041】
[A−1−7.ECU28]
ECU28は、通信線106(
図1)を介して、FCシステム12の各部を制御する。
図1に示すように、ECU28は、入出力部110と、演算部112と、記憶部114とをハードウェアとして有する。
【0042】
入出力部110は、ECU28の入出力を行う。入出力部110には、アナログ/デジタル変換器及びデジタル/アナログ変換器を含むことができる。演算部112は、モータ14、インバータ16、FCユニット20、バッテリ22及び昇圧コンバータ24、26を制御する。当該制御に際しては、演算部112は、記憶部114に記憶されたプログラムを実行する。また、演算部112は、電圧センサ52、36uv、36vw、60、78、電流センサ38u、38v、38w、54、62、80、104等の各種センサの検出値を用いる。
【0043】
ここでの各種センサには、上記センサに加え、開度センサ120及びモータ回転数センサ122(
図1)が含まれる。開度センサ120は、アクセルペダル124の開度θp[度]を検出する。モータ回転数センサ122は、モータ14の回転数(以下「モータ回転数Nmot」又は「回転数Nmot」という。)[rpm]を検出する。ECU28は、回転数Nmotを用いてFC車両10の車速V[km/h]を検出する。さらに、ECU28には、メインスイッチ126(以下「メインSW126」という。)が接続される。メインSW126は、FCユニット20及びバッテリ22からモータ14への電力供給の可否を切り替えるものであり、ユーザにより操作可能である。
【0044】
演算部112は、中央演算装置(CPU)を含む。
図1に示すように、演算部112は、インバータ16を制御するインバータ制御部130と、コンバータ24、26を制御するコンバータ制御部132とを有する。
【0045】
演算部112は、FCスタック50の状態、バッテリ22の状態及びモータ14の状態の他、各種スイッチ及び各種センサからの入力(負荷要求)に基づいて、FC車両10全体としてFCシステム12に要求される負荷Psys(以下「システム負荷Psys」という。)を決定する。そして、演算部112は、FCスタック50が負担すべき負荷と、バッテリ22が負担すべき負荷と、回生電源(モータ14)が負担すべき負荷の配分(分担)を調停しながら決定する。さらに、演算部112は、モータ14、インバータ16、FCユニット20、バッテリ22及びコンバータ24、26に指令を送出する。ECU28の演算部112における基本的な制御は、例えば特許文献1に記載されているものを用いることができる。
【0046】
なお、ECU28は、1つのECUのみからなるのではなく、モータ14、FCユニット20、バッテリ22及びコンバータ24、26毎の複数のECUから構成することもできる。
【0047】
<A−2.制御>
次に、本実施形態におけるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御について説明する。それ以外の各種制御は、例えば特許文献1に記載されているものを用いることができる。
【0048】
[A−2−1.基本的考え方]
図4は、本実施形態におけるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の電力効率ηfv、ηbv[%]の例を示す図である。ここにいう電力効率ηfv(以下「FC−VCU効率ηfv」ともいう。)は、どれだけ電力損失(熱への変換等)を少なくしてFC−VCU24が変圧(昇圧)することができるかを示す指標である。FC−VCU効率ηfvは、FC−VCU24への入力電力と、FC−VCU24からの出力電力との比率により算出される。FC−VCU効率ηfvは、FC−VCU24を通過する通過電力Pfv及びFC−VCU24の昇圧率に応じて変化する。
【0049】
例えば、
図4では、FC−VCU効率ηfvとして、ηfv1、ηfv2、ηfv3が示されている。ηfv1は、FC−VCU24の昇圧率が高い場合の電力効率ηfvである。ηfv2は、FC−VCU24の昇圧率が低い場合の電力効率ηfvである。ηfv3は、FC−VCU24が直結状態のときの電力効率ηfvである。
図4から明らかなように、ηfv1よりもηfv2の方が値が高い(電力損失が少ない)。また、ηfv2よりもηfv3の方が値が高い(電力損失が少ない)。
【0050】
同様に、電力効率ηbv(以下「BAT−VCU効率ηbv」ともいう。)は、どれだけ電力損失(熱への変換等)を少なくしてBAT−VCU26が変圧(昇圧)することができるかを示す指標である。BAT−VCU効率ηbvは、BAT−VCU26への入力電力と、BAT−VCU26からの出力電力との比率により算出される。BAT−VCU効率ηbvは、BAT−VCU26を通過する通過電力Pbv及びBAT−VCU26の昇圧率に応じて変化する。
【0051】
図4の電力効率ηbv1、ηbv2、ηbv3は、電力効率ηfv1、ηfv2、ηfv3と同様、昇圧率が高い場合、昇圧率が低い場合及び直結状態の場合に対応する。電力効率ηfv1、ηbv1は入力電力及び昇圧率が同じであり、電力効率ηfv2、ηbv2は入力電力及び昇圧率が同じである。
図4に示すように、昇圧率が同じである場合、BAT−VCU効率ηbvよりも、FC−VCU効率ηfvの方が高い(優れている)。そこで、本実施形態では、できるだけバッテリコンバータ26の直結状態を利用することで、システム12全体の電力効率ηtotal(以下「全体効率ηtotal」ともいう。)の改善を図る。
【0052】
なお、FC−VCU効率ηfvの方がBAT−VCU効率ηbvよりも優れている理由は、例えば、次の理由による。すなわち、FCコンバータ24のスイッチング素子72がSiC製のMOSFETであるのに対し、BATコンバータ26のスイッチング素子92、94がシリコン製のIGBTであるためである。
【0053】
[A−2−2.FC50及びバッテリ22の電力−電圧特性]
図5は、本実施形態におけるFC50及びバッテリ22の電力−電圧特性を示す図である。
図5において、FC電圧VfcはFC電力Pfcと対応し、BAT電圧VbatはBAT電力Pbatと対応する。BAT電圧Vbatは、SOCが大、中、小の場合それぞれについて示している。また、Vfc_aveは、FC電圧Vfcの平均値であり、Vbat_aveは、BAT電圧Vbatの平均値である。
【0054】
図5の特性は、基準状態における特性の例である。ここにいうFC50の基準状態は、例えば、発電を行うのに十分な反応ガス(燃料ガス及び酸化剤ガス)がFC50に供給されていること、FC50の温度(FC温度Tfc)が常温(例えば20℃)であることである。また、バッテリ22の基準状態は、バッテリ22の残容量(SOC)が所定値(例えば満充電を示す100%)であること及びバッテリ22の温度(バッテリ温度Tbat)が常温であることである。
【0055】
上記のように、本実施形態では、電力効率が低いバッテリコンバータ26の直結状態をできるだけ利用できるようにする。そのため、本実施形態では、バッテリ電圧Vbatを高めに設定する。具体的には、
図5に示すように、FC50及びバッテリ22が電力を供給する作動範囲(所定の通過電力範囲)のいずれにおいても、FC50(第1電源)が出力可能な電圧範囲は、バッテリ22(第2電源)が出力可能な電圧範囲に対して低い。換言すると、FC50及びバッテリ22の仕様として
図5の特性を満たすようにFC50及びバッテリ22を設計している。
【0056】
また、後述するように、バッテリ電圧Vbatは、要求モータ電圧Vmot_reqの最低値よりも高い値とする(最低値と同じとすることも可能である。)。このため、バッテリ22を直結状態とする場合でも、要求モータ電圧Vmot_reqを満たすことが可能となる。
【0057】
[A−2−3.ECU28(コンバータ制御部132)によるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御]
(A−2−3−1.概要)
図6A、
図6B及び
図6Cは、本実施形態におけるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御(又は動作モード)を説明するための第1図、第2図及び第3図である。表1、
図6A、
図6B及び
図6Cに示すように、本実施形態では、主として3つの動作モード1〜3を用いてコンバータ24、26を制御する。
図6A〜
図6Cにおける実線の矢印は、FC50からの電流を示す。
図6A及び
図6Bにおける破線の矢印は、バッテリ22からの電流を示す。
図6Cにおける一点鎖線の矢印は、モータ14からの回生電流を示す。動作モード1〜3のさらなる詳細については、
図7を参照して後述する。
【0059】
(A−2−3−2.具体的な流れ)
図7は、本実施形態におけるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御のフローチャートである。
図7の制御は、ECU28のコンバータ制御部132が実行する。
図7のステップS1において、ECU28は、モータ14が回生中であるか否かを判定する。
【0060】
回生中である場合(S1:YES)、ステップS2において、ECU28は、FCコンバータ24に昇圧動作をさせると共に、バッテリコンバータ26を直結状態にさせる動作モード3(
図6C)を選択する。
【0061】
具体的には、ECU28は、例えば、FC電圧Vfcが目標FC電圧Vfc_tarとなるようにFC−VCU24のスイッチング素子72(
図2)をスイッチングさせる。ここでの目標FC電圧Vfc_tarは、例えば、FC50の劣化を抑制する値である。或いは、バッテリ22のSOCに基づく目標FC電流Ifc_tarに対応する目標FC電圧Vfc_tarをFC50の電流−電圧特性に基づいて設定してもよい。
【0062】
また、ECU28は、BAT−VCU26のスイッチング素子94(
図3)に駆動信号を出力することによりBAT−VCU26に直結動作を行わせる。
【0063】
ステップS1に戻り、回生中でない場合(S1:NO)、ステップS3において、ECU28は、モータ14が高負荷状態にあるか否か(換言すると、モータ14の出力が高負荷領域にあるか否か)を判定する。高負荷状態(高負荷領域)については、
図8を参照して後述する。
【0064】
モータ14が高負荷状態である場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU28は、FCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の両方に昇圧動作を行わせる動作モード1(
図6A)を選択する。
【0065】
例えば、ECU28は、FC−VCU24の出力電圧Vfcvcu及びBAT−VCU26の出力電圧Vbatvcuが要求モータ電圧Vmot_reqとなるようにコンバータ24、26の昇圧率(駆動デューティ)を設定する。或いは、インバータ16での電圧降下分を考慮して要求モータ電圧Vmot_reqよりも若干大きな値となるように出力電圧Vfcvcu、Vbatvcuを制御してもよい。この際、インバータ制御部130は、インバータ16の各スイッチング素子(図示せず)を最大デューティ比で駆動する。これにより、モータ14には要求モータ電圧Vmot_reqに等しい入力電圧が印加される。要求モータ電圧Vmot_reqについては、
図8を参照して後述する。
【0066】
なお、FC−VCU24の出力電圧Vfcvcuは、インバータ入力端電圧Vinv及び出口端電流Ifcvcuに基づいて算出することができる。或いは、FC−VCU24の出口側に別の電圧センサを求めて検出してもよい。同様に、BAT−VCU26の出力電圧Vbatvcuは、インバータ入力端電圧Vinv及び出口端電流Ibatvcuに基づいて算出することができる。或いは、BAT−VCU26の出口側に別の電圧センサを求めて検出してもよい。
【0067】
モータ14が高負荷状態でない場合(S3:NO)、ステップS5において、ECU28は、FCコンバータ24に昇圧動作を行わせると共に、バッテリコンバータ26を直結状態にする動作モード2(
図6B)を選択する。
【0068】
例えば、ECU28は、FC−VCU24の出力電圧VfcvcuがBAT−VCU26の出力電圧Vbatvcuと等しくなるようにFC−VCU24の昇圧率(駆動デューティ)を設定する。この際、インバータ制御部130は、インバータ16の各スイッチング素子のデューティ比を制御することで、モータ14への入力電圧(所定期間における平均値)が要求モータ電圧Vmot_reqと等しくなるようにフィードバック制御する。これにより、モータ14には要求モータ電圧Vmot_reqに等しい入力電圧が印加される。
【0069】
また、ECU28は、BAT−VCU26のスイッチング素子94(
図3)に駆動信号を出力することによりBAT−VCU26を直結状態とする。或いは、スイッチング素子94に駆動信号を出力せず、ダイオード98を介して電流を供給することにより直結状態を取らせてもよい。
【0070】
(A−2−3−3.モータ出力の高負荷領域及び低負荷領域並びに要求モータ電圧Vmot_req)
図8は、本実施形態におけるモータ出力の高負荷領域及び低負荷領域並びに要求モータ電圧Vmot_reqを説明するための図である。
図8において、縦軸はモータトルクTmotであり、横軸はモータ回転数Nmotである。
図8に示すように、本実施形態では、モータ回転数Nmot及びモータトルクTmotに基づいて高負荷領域及び低負荷領域を区分する。そこで、ECU28は、
図8に示す特性を示すマップを記憶部114に予め記憶しておき、モータ回転数Nmot及びモータトルクTmotに基づいてモータ14が高負荷状態であるか否かを判定する。
【0071】
本実施形態において、高負荷領域及び低負荷領域の区分は、FCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の電力効率ηfv、ηbv(
図4)に加え、モータ14の電力損失Lmot(以下「モータ損失Lmot」ともいう。)及びインバータ16の電力損失Linv(以下「インバータ損失Linv」ともいう。)を考慮する(詳細は、
図9を参照して後述する。)。
【0072】
さらに、
図8に示すように、要求モータ電圧Vmot_reqは、モータ回転数Nmot及びモータトルクTmotに基づいて段階的に変化する。
図8では、V1〜V5の5段階が示されているが、5段階よりも少なくしてもよく、或いは大きくしてもよい。
【0073】
上記のように、本実施形態では、バッテリコンバータ26を直結状態とすることで、バッテリ電圧Vbatをインバータ16にそのまま印加する。このため、バッテリ電圧Vbatは、少なくともV1(要求モータ電圧Vmot_reqの最低値)以上の値に設定される。このため、所定の基準状態において、バッテリ電圧Vbatの平均値Vbat_ave(
図5)は、例えばV3となるように設定されるが、その他の値(V1、V2、V4、V5のいずれか)に設定されてもよい。
【0074】
図9は、本実施形態におけるモータ14及びインバータ16の電力損失Lmot、Linvの例を示す図である。
図9において、横軸はモータ回転数Nmotであり、縦軸はモータ損失Lmot及びインバータ損失Linvである。モータ損失Lmotは、モータ14が回転する際、モータ14がどれだけ電力損失(熱への変換等)を生じるかを示す指標である。インバータ損失Linvは、モータ14が回転する際、インバータ16がどれだけ電力損失(熱への変換等)を生じるかを示す指標である。モータ損失Lmot及びインバータ損失Linvは、モータ回転数Nmotと、モータ14及びインバータ16それぞれへの入力電圧とに応じて変化する。
【0075】
例えば、
図9では、モータ損失Lmotとして、Lmot1、Lmot2が示されている。Lmot1は、モータ14への入力電圧がX11ボルトであるときのモータ損失Lmotである。Lmot2は、モータ14への入力電圧がX13ボルト(>X11)であるときのモータ損失Lmotである。X11ボルトよりもX13ボルトの方が大きい。
【0076】
図9において、モータ回転数Nmotが0〜N1であるときは、モータ電力損失Lmot1、Lmot2はほとんど同じである。モータ回転数NmotがN1〜N4であるときは、モータ電力損失Lmot2の方がモータ電力損失Lmot1よりも高い(劣っている)。モータ回転数NmotがN4以上であるときは、モータ電力損失Lmot1の方がモータ電力損失Lmot2よりも高い(劣っている)。
【0077】
同様に、
図9では、インバータ損失Linvとして、Linv1、Linv2、Linv3が示されている。Linv1は、インバータ16への入力電圧がX11ボルトであるときのインバータ損失Linvである。Linv2は、インバータ16への入力電圧がX12ボルト(>X11)であるときのインバータ損失Linvである。Linv3は、インバータ16への入力電圧がX13ボルト(>X12)であるときのインバータ損失Linvである。X11ボルトよりもX12ボルトの方が大きく、X12ボルトよりもX13ボルトの方が大きい。
【0078】
図9において、モータ回転数NmotがN1〜N2であるときは、インバータ電力損失Linv1、Linv2、Linv3はほとんど同じである。モータ回転数NmotがN2〜N3であるときは、インバータ電力損失Linv1の方がインバータ電力損失Linv2、Linv3よりも高い(劣っている)。モータ回転数NmotがN3以上であるときは、インバータ電力損失Linv2の方がインバータ電力損失Linv3よりも高い(劣っている)。
【0079】
以上を踏まえ、ECU28は、FCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の電力効率ηfv、ηbv(
図4)並びにモータ損失Lmot及びインバータ損失Linvに基づいて、FCシステム12全体の電力損失(以下「合計電力損失Ltotal」という。)が小さくなるように、
図8の高負荷領域と低負荷領域を区分する。合計電力損失Ltotalを算出する際、ECU28は、電力効率ηfv、ηbvに対応する電力損失を算出する。
【0080】
[A−2−4.FCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御の例]
図10は、本実施形態におけるFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の制御の例を示すタイムチャートである。
図10において、縦軸は車速V、要求モータ電力Pmot_req、インバータ入力端電圧Vinv、BAT電圧Vbat及びFC電圧Vfcであり、横軸は時間である。
【0081】
図10の時点t1〜t2の間は、動作モード2(
図7のS5)が選択され、BAT−VCU26が直結状態とされ、BAT電圧Vbatと入力端電圧Vinvは等しい。また、FC−VCU24は要求モータ電圧Vmot_reqに応じて昇圧動作をする。
【0082】
時点t2から要求モータ電力Pmot_reqが急増すると、動作モード1(
図7のS4)に切り替わる。これに伴い、BAT−VCU26は昇圧を開始するため、入力端電圧VinvはBAT電圧Vbatよりも高くなる。この際もFC−VCU24は昇圧動作を継続している。
【0083】
時点t3から要求モータ電力Pmot_reqが減少すると、動作モード2(
図7のS5)に切り替わり、BAT−VCU26は直結状態に戻る。その後動作モード3の回生(S2)を経た後、動作モード2となる。
【0084】
<A−3.本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、通過電力Pfv、Pbvが正の値であるとき(換言すると、所定の通過電力範囲では)いずれの通過電力Pfv、Pbvにおいても、FCコンバータ24(第1電圧変換器)の変換効率ηfvが、バッテリコンバータ26(第2電圧変換器)の変換効率ηbvに比べて高い(
図4)。また、通過電力Pfv、Pbvが正の値であるときいずれの通過電力Pfv、Pbvにおいても、FC50(第1電源)が出力可能な電圧範囲は、バッテリ22(第2電源)が出力可能な電圧範囲に対して低い(
図5)。これらの前提条件を満たした上で、通過電力Pfv、Pbvが正の値である状態でFC50及びバッテリ22から負荷40へ電力を供給する際、FCコンバータ24に昇圧動作を実行させ、バッテリコンバータ26に直結状態を取らせる(
図6B、
図7のS5)。
【0085】
このため、変換効率が低いバッテリコンバータ26による直結状態と変換効率が高いFCコンバータ24による昇圧動作の組合せを積極的に用いることで、バッテリコンバータ26による電力損失を抑制して、電力供給システム12全体の電力効率ηtotal(又はエネルギ効率)を向上することが可能となる。
【0086】
本実施形態において、FCコンバータ24のスイッチング素子72(第1スイッチング素子)は、バッテリコンバータ26のスイッチング素子92、94(第2スイッチング素子)に比べて、スイッチング損失又は導通損失が小さい(
図4)。これにより、主たる電源としてFC50(第1電源)を用いる場合、電力供給システム12全体での電力効率ηtotalを向上させることが可能となる。
【0087】
本実施形態において、FC50(第1電源)及びバッテリ22(第2電源)から負荷40へ電力を供給する際、ECU28(制御装置)は、FCコンバータ24(第1電圧変換器)に昇圧動作を行わせると共に、システム負荷Psys(負荷40の要求出力)に応じてバッテリコンバータ26(第2電圧変換器)の直結状態又は昇圧動作を切り替える(
図6A、
図6B、
図7のS4、S5)。これにより、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に用いつつ、システム負荷Psysの増加時等にはバッテリコンバータ26の昇圧動作を用いることで、システム負荷Psysの変化に柔軟に対応することが可能となる。
【0088】
本実施形態において、負荷40は、交流式のモータ14(回転電機)を含む(
図1)。また、電力供給システム12は、FC50(第1電源)及びバッテリ22(第2電源)の少なくとも一方からの直流を交流に変換してモータ14に供給するインバータ16を備える(
図1)。さらに、要求モータ電圧Vmot_req(モータ14の要求入力電圧)が特定の値であるときにおけるモータ14、インバータ16、FCコンバータ24及びバッテリコンバータ26それぞれの電力損失の合計値を合計電力損失と定義するとき、ECU28(制御装置)は、バッテリコンバータ26に昇圧動作をさせたときよりも、直結状態にさせたときの方が、合計電力損失が小さくなる場合、バッテリコンバータ26に直結状態を取らせる(
図4、
図9)。
【0089】
これにより、合計電力損失を考慮して、バッテリコンバータ26に直結状態又は昇圧動作のいずれを取らせるかを判定するため、電力供給システム12全体としての電力効率の低下を効果的に抑制することができる。
【0090】
本実施形態において、FC50(第1電源)及びバッテリ22(第2電源)から負荷40へ所定期間電力を供給する際、ECU28(制御装置)は、FCコンバータ24(第1電圧変換器)に昇圧動作を継続して行わせると共に、システム負荷Psys(負荷40の要求出力)に応じてバッテリコンバータ26(第2電圧変換器)の直結状態又は昇圧動作を切り替える(
図6A、
図6B、
図7のS4、S5、
図10)。これにより、所定期間においてFCコンバータ24が昇圧動作を継続している中で、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に用いつつ、システム負荷Psysの増加時等にはバッテリコンバータ26の昇圧動作を用いることで、システム負荷Psysの変化に柔軟に対応することが可能となる。
【0091】
本実施形態において、FC電力Pfc及びBAT電力Pbatがいずれの値であっても、FC電圧VfcがBAT電圧Vbatを上回る(
図5)。換言すると、FC電圧Vfcの下限値がBAT電圧Vbatの上限値を上回る。これにより、FC−VCU24及びBAT−VCU26の通過電力Pfv、Pbvが変化しても、FC−VCU効率ηfvがBAT−VCU効率ηbvを上回り易くなる(
図4)。このため、FC−VCU24及びBAT−VCU26の作動中に電力効率ηfv、ηbvの比較をする必要がなくなるため、FC−VCU24及びBAT−VCU26の制御を単純化することが可能となる。
【0092】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0093】
<B−1.搭載対象>
上記実施形態では、FCシステム12をFC車両10に搭載した(
図1)。しかしながら、例えば、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。例えば、FCシステム12を船舶や航空機等の移動物体に用いることもできる。或いは、FCシステム12を、ロボット、製造装置、家庭用電力システム又は家電製品に適用してもよい。
【0094】
<B−2.FCシステム12の構成>
[B−2−1.モータ14]
上記実施形態では、モータ14を交流式とした(
図1)。しかしながら、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、モータ14は、直流式とすることも可能である。この場合、インバータ16を省略することが可能である。
【0095】
上記実施形態では、モータ14をFC車両10の走行用又は駆動用とした(
図1)。しかしながら、例えば、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ14を車載機器(例えば、電動パワーステアリング、エアコンプレッサ、エアコンディショナ)用に用いてもよい。
【0096】
[B−2−2.FC50(第1電源)及びバッテリ22(第2電源)]
上記実施形態では、複数の電源の組み合わせとして、FC50とバッテリ22を用いた(
図1)。しかしながら、複数の電源それぞれに対応させて電圧変換器を設ける場合に、電力変換効率の悪い電圧変換器を優先的に直結状態とする観点からすれば、これに限らない。例えば、2つのバッテリの組み合わせ又はバッテリとキャパシタの組み合わせにも本発明を適用可能である。
【0097】
上記実施形態では、FC50及びバッテリ22が電力を供給する作動範囲(所定の通過電力範囲)において、FC50(第1電源)が出力可能な電圧範囲の上限値は、バッテリ22(第2電源)が出力可能な電圧範囲の下限値よりも低かった(
図5)。しかしながら、例えば、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。
【0098】
図11は、変形例に係るFC50及びバッテリ22の電力−電圧特性を示す図である。
図11において、FC電圧VfcはFC電力Pfcと対応し、BAT電圧VbatはBAT電力Pbatと対応する。
図11の特性は、
図5の特性と同様、基準状態における特性である。また、Vfc_aveは、FC電圧Vfcの平均値であり、Vbat_aveは、BAT電圧Vbatの平均値である。
【0099】
図11の特性の場合、FC50及びバッテリ22が電力を供給する作動範囲(所定の通過電力範囲)のいずれにおいても、FC50(第1電源)が出力可能な電圧範囲は、バッテリ22(第2電源)が出力可能な電圧範囲に対して低い。換言すると、FC50及びバッテリ22の仕様として
図11の特性を満たすようにFC50及びバッテリ22を設計している。
【0100】
但し、
図5の特性と異なり、
図11の特性では、FC50及びバッテリ22が電力を供給する作動範囲(所定の通過電力範囲)において、FC50が出力可能な電圧範囲の上限値は、バッテリ22(第2電源)が出力可能な電圧範囲の下限値よりも高い。FC50及びバッテリ22が
図11のような特性の場合でも、本発明を適用可能である。
【0101】
[B−2−3.FCコンバータ24(第1電力変換器)及びバッテリコンバータ26(第2電力変換器)]
上記実施形態では、FC50の手前に昇圧コンバータ24を配置した(
図1)。しかしながら、例えば、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。例えば、昇圧コンバータ24の代わりに、FC電圧Vfcを昇圧及び降圧可能な昇降圧コンバータ又はFC電圧Vfcを降圧可能な降圧コンバータを配置することも可能である。
【0102】
上記実施形態では、バッテリ22の手前に昇圧コンバータ26を配置した(
図1)。しかしながら、例えば、バッテリコンバータ26の直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。例えば、昇圧コンバータ26の代わりに、BAT電圧Vbatを昇圧すると共に回生電圧Vreg又はFC電圧Vfcを降圧する昇降圧コンバータを用いることもできる。或いは、BAT電圧Vbatを昇圧すると共に回生電圧Vreg又はFC電圧Vfcを昇圧する昇圧コンバータを用いることもできる。
【0103】
上記実施形態では、通過電力Pfv、Pbvがいずれの値であっても、FC−VCU24の電力効率ηfvがBAT−VCU26の電力効率ηbvを上回っていた(
図4)。しかしながら、例えば、電力変換効率が劣る電圧変換器について直結状態を優先的に利用する観点からすれば、これに限らない。
【0104】
図12は、変形例に係るFCコンバータ24及びバッテリコンバータ26の電力効率ηfv、ηbvの例を示す図である。
図12の例では、通過電力Pfv、Pbvがゼロからp1まで及びp2以上においては、FC−VCU24の電力効率ηfvが、BAT−VCU26の電力効率ηbvよりも高い。一方、通過電力Pfv、Pbvがp1からp2の間においては、BAT−VCU26の電力効率ηbvが、FC−VCU24の電力効率ηfvよりも高い。
【0105】
このため、ECU28は、通過電力Pfv、Pbvに基づいてより低い電力効率ηfv、ηbvを有するFC−VCU24又はBAT−VCU26について直結状態を優先的に利用するように制御してもよい。
【0106】
例えば、通過電力Pfv、Pbvがp1からp2の間で用いられる場合においては、FC−VCU24を優先的に直結状態とするようにしてもよい。また、通過電力Pfv、Pbvがゼロからp1まで又はp2以上で用いられる場合においては、BAT−VCU26を優先的に直結状態としてもよい。
【0107】
<B−3.FCシステム12の制御>
上記実施形態では、モータ14の高負荷状態を判定するためにモータ回転数Nmot及びモータトルクTmotを用いた(
図8)。しかしながら、例えば、BAT−VCU26の直結状態又は昇圧動作の切替え(
図7のS2〜S5)を判定する観点からすれば、これに限らない。例えば、精度は低下するものの、モータ回転数Nmot及びモータトルクTmotの一方のみを用いて高負荷状態を判定することも可能である。或いは、モータ14の消費電力(実測値又は予測値)に基づいて高負荷状態を判定してもよい。
【0108】
上記実施形態では、モータ14が高負荷状態でない場合(
図7のS3:NO)、BAT−VCU26を一律に直結状態とした(S5)。しかしながら、例えば、電力効率の低い電圧変換器に直結状態を優先的に取らせる観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ14が高負荷状態でない場合(
図7のS3:NO)、BAT−VCU26を継続的に直結状態にする代わりに、所定期間毎(例えばクルーズ走行時の所定タイミング毎)にBAT−VCU26を直結状態とさせ、それ以外のタイミングでは昇圧動作を行わせてもよい。
【0109】
上記実施形態では、モータ14の制御値として要求モータ電圧Vmot_reqを用いた(
図8)。しかしながら、例えば、モータ14の動作を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ14への要求入力電力を用いてモータ14を制御することも可能である。