(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左右一対の補強部材は、平面視して、前記バンパビームの車体前後方向の一方側表面に沿ってそれぞれ湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造。
前記バンパビームの車幅方向両端部には、前記固定具挿入孔とは別の位置に、バルクヘッドに設けられたバルクヘッド側固定孔に固定される固定具が挿入されるバルクヘッド固定部を有していることを特徴とする請求項6に記載の車両用バンパ構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたバンパ構造体は、開口を有する開放断面のバンパビームの前側に歩行者保護用のセーフティプレート(衝撃吸収部材)を追加して設けた場合、セーフティプレートが走行中の車体の振動や、エンジンの振動等の外力を受けて、バンパビームがねじれ変形し易いという問題点があった。
そのねじれ変形は、エンジンの振動等によって発生した場合、上下方向に交互に変形して、室内に、耳を圧するようなこもり音の周波数の振動として現れるという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の自動車の車体振動抑制装置は、バンパフェイス裏面側にダンパプレートを配置したことで、マス効果によってエンジン回転に伴う共振を抑制して、こもり音を低減させる対策効果がある。しかし、ダンパプレートの設置に伴い、バンパが大型化して重量の増加を招くという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、歩行者保護用の衝撃吸収部材を設けたとしても、効率よくこもり音の発生を抑制することができる車両用バンパ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明に係る車両用バンパ構造は、車幅方向に延在し、車体前後方向の一方側に開放する開口部を有する開放断面形状に形成されたバンパビームと、前記バンパビームの車体前後方向の一方側に取り付けられた左右一対の補強部材と、を備え、前記左右一対の補強部材は、前記バンパビームに固定した車体固定部側から車幅方向の中央部に向けて、前記開口部を跨ぐようにそれぞれ配置されると共に、車体前後方向の一方側から見て上下方向に向かって拡開するように配置されていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、車両用バンパ構造は、開放断面形状のバンパビームに歩行者保護用の衝撃吸収部材を設けた場合であっても、左右一対の補強部材を、車体前後方向の一方側から見て上下方向に拡開するように配置したことで、車幅方向中央部の断面変形を抑制することができる。その結果、補強部材は、バンパビームの断面の開き変形、及び、バンパビームの車幅方向の中央部を中心としてねじれるねじれ変形を抑制して、効率よくこもり音の発生を低減させることができる。
また、補強部材は、バンパビームの車体固定部側から車幅方向中央部に向けて、開口部を跨ぐよう配置されると共に、上下方向に拡開して配置されている。このため、車両が歩行車と衝突した場合は、バンパビームの中央部の上部が下方方向の荷重で折れ曲がるので、歩行者の脚部への反力を抑制することができる。しかも、バンパビームの車体前後方向の他方側は、補強部材等によって衝撃吸収部材の設置を規制することがないので、衝撃吸収部材を車体前後方向の他方側に大きく延びる大断面に形成することも可能であるため、歩行者の保護性能も向上させることもできる。
【0010】
また、前記左右一対の補強部材は、平面視して、前記バンパビームの車体前後方向の一方側表面に沿ってそれぞれ湾曲していることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、補強部材は、平面視して、バンパビームの車体前後方向の一方側表面に沿って湾曲していることによって、軽衝突の際に、バンパビームが押圧されて後退しても、車体前後方向の一方側に配置されるラジエータ等の冷却機器への干渉を解消させることができる。
【0012】
また、前記左右一対の補強部材は、略U字断面の部材から成る補強部材本体と、前記車体固定部側に設けられて、前記バンパビームの上部の垂直壁に固定された外側延長部と、車幅方向の中央部側に設けられて、前記バンパビームの下部の水平壁に固定された内側延長部と、をそれぞれ有し、前記内側延長部は、前記補強部材本体に対して屈曲形成された屈曲部を有し、前記外側延長部及び前記内側延長部は、ビード形状に形成されたビード形状部により補強されていることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、補強部材は、略U字断面の部材から成る補強部材本体を有していることによって、強度剛性を維持しつつ、バンパビームの車体前後方向の一方側表面に沿って湾曲変形し易くすることができるため、衝撃の吸収性を向上させることができる。外側延長部及び内側延長部は、ビード形状部によって補強されていることにより、開き変形、及び、ねじれ変形を抑制してこもり音の発生を低減させることができる。
【0014】
また、前記バンパビームの前面は、車幅方向に延在されて、車体前後方向の他方側に突出形成された板材部材から成る衝撃吸収部材によって覆われ、前記衝撃吸収部材は、前記バンパビームの上面部から車体前後方向の他方側に延出された上壁部と、前記バンパビームの下面部から車体前後方向の他方側に延出された下壁部と、前記上壁部及び前記下壁部の車体前後方向の一方側端部にそれぞれ形成されたバンパビーム固定部と、前記上壁部及び前記下壁部の車体前後方向の一方側端部の前記バンパビーム固定部以外の箇所に形成された切欠部と、を有し、前記上壁部及び前記下壁部の車体前後方向の他方側部位は、前記バンパビームの他方側表面の他方側に配置されて当該他方側表面を覆っていることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、衝撃吸収部材は、上壁部及び下壁部の車体前後方向の一方側端部に切欠部が形成されていることによって、軽量化して振動し難くすることができるため、バンパビームの断面開き変形、及び、ねじれ変形を抑制することができる。また、衝撃吸収部材は、その切欠部があることによって、歩行者の脚部と衝突した際に、上壁部及び下壁部が圧潰変形して後退するので、衝突エネルギーを吸収することができる。
【0016】
また、前記衝撃吸収部材または前記補強部材と、前記バンパビームとは、接着剤で固定されていることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、衝撃吸収部材または補強部材と、バンパビームとは、接着剤で固定されていることによって、接合面積を増大させることができる。このため、バンパビームは、断面剛性を高めて、振動による変形を抑制して、こもり音の発生を低減させることができる。
【0018】
また、前記バンパビームは、車体前後方向の一方側に開口する略ハット断面形状に形成された断面ハット形状部と、前記断面ハット形状部の中央部に形成された補強ビード部と、前記断面ハット形状部の上下に形成された鍔部と、を有し、前記補強ビード部は、前記上下の鍔部と車幅方向両端部で同一垂直面に形成された固定具挿入孔を有していることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、バンパビームは、断面ハット形状部と、補強ビード部と、鍔部と、を有していることによって、補強部材と共に断面剛性を高めて、振動による変形を抑制してこもり音の発生を低減させることができる。
【0020】
また、前記バンパビームの車幅方向両端部には、前記固定具挿入孔とは別の位置に、バルクヘッに設けられたバルクヘッド側固定孔に固定される固定具が挿入されるバルクヘッド固定部を有していることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、バンパビームの車幅方向両端部は、固定具挿入孔とは別の位置に、バルクヘッド固定部を有していることによって、バンパビームをフロントバルクヘッドに固定して一体化した後、サイドフレーム等の車体に一緒に固定することができる。このため、車体への組付作業の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車両用バンパ構造は、歩行者保護用の衝撃吸収部材を設けたとしても、効率よくこもり音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1〜
図11に基づき本発明の実施形態に係る車両用バンパ構造の一例を説明する。
なお、車両の進行方向を「前」、後退方向を「後」、鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」、車幅方向を「左」、「右」として適宜説明する。
【0025】
<車両>
車両Cは、
図1に示すように、車体1に、車幅方向に延在するバンパ2と、バンパ2に取り付けられた補強部材8(
図5参照)と、を有するものであればよく、その形式及び種類は特に限定されない。つまり、車両Cは、車体前部1aまたは車体後部にバンパ2を有している乗用車、バス、作業車等の全ての対応可能である。以下、車体前部1aに補強部材8を備えたバンパ2を設けた乗用車の場合を例に挙げて説明する。
【0026】
<車体>
図1に示すように、車体1の車体前部1aには、補強部材8を備えたバンパ2と、バンパ2を架設した矩形のバルクヘッド6と、バルクヘッド6の左右両端部に連結されたサイドフレーム5と、バルクヘッド6の前側下端部に取り付けられたロアプレート7と、を備えている。
なお、車体前部1aは、略左右対称であるため、以下、車体1の左右の一方側を主に説明して、他方側の説明を適宜省略する。
【0027】
<バンパ>
バンパ2は、車幅方向に延在するバンパビーム21と、バンパビーム21の車体後側に取り付けられた左右一対の補強部材8と、バンパビーム21の後側右端部に固定されたバンパビーム取付プレート22と、バンパビーム21の前側に設けられた接合部材23、衝撃吸収部材24及びカラーナット3と、衝撃吸収部材24を前側から覆うバンパフェイス(図示省略)と、を備えている。
【0028】
<バンパビーム>
図3または
図4に示すように、バンパビーム21は、バンパ本体を形成する横長の金属製板部材である。バンパビーム21は、例えば、一枚の鋼板をプレス成形することによって形成されている。バンパビーム21は、それぞれ後記する断面ハット形状部21aと、開口部21bと、鍔部21cと、上壁部21dと、下壁部21eと、前壁部21fと、補強用横ビード部21g(補強ビード部)と、固定具挿入孔21jと、ビード部21k,21mと、仮固定具挿通孔21nと、水平壁21oと、を有している。
【0029】
図1及び
図2に示すように、バンパビーム21は、バルクヘッドアッパ61及びバルクヘッドロア62の左右両端部に上下方向に延設された左右一対のバルクヘッドサイド63の中間部に跨るように架設されている。バンパビーム21の左右両端部は、バルクヘッドサイド63よりも車幅方向車外側に突出して配置されている。そのバンパビーム21の右側の突出部位には、前側に接合部材23及び衝撃吸収部材24が設置され、バルクヘッドサイド63とバンパビーム21との間にバンパビーム取付プレート22が設置されている。
【0030】
図4に示すように、バンパビーム21は、車体後方側に開放する開口部21bを有する開放断面形状に形成されている。
図3に示すように、バンパビーム21は、左右両端部から中央部に亘って断面積が増大するように形成されている。つまり、バンパビーム21の左右両端部は、平面視して、中央部よりも後方に位置するように、略円弧状に湾曲して形成されている。このため、バンパビーム21の左右両端部のバンパビーム取付プレート22の前面22aから前方への突出長さL1は、バンパビーム21の中央部の後端から前方への突出長さL2(
図8参照)よりも小さい。そして、バンパビーム21の左右両端部の断面積は、バンパビーム21の車幅方向中央部の断面積の方が大きく、中央部側の断面積が増大するように形成されている。
【0031】
図4に示すように、バンパビーム21の左右両端部の上下中央部には、バンパビーム取付プレート22を介してバルクヘッド6に固定するボルト等の固定手段(図示省略)を挿入するための固定具挿入孔21jがそれぞれ形成されている。バンパビーム21の左端部の鍔部21cの上部には、仮固定具取付片25が接合されている。仮固定具取付片25は、バンパビーム21の左端側に仮固定具挿通孔25aを形成させるための部材である。バンパビーム21には、バルクヘッド6に取り付ける際に、バンパビーム21を、バルクヘッドサイド63(
図10参照)に仮止めさせるボルト等の仮固定具(図示省略)を挿入する仮固定具取付片25が接合されている。仮固定具取付片25には、バルクヘッドサイド63に固定された脚部付ナット64に仮止めするための仮固定具(図示省略)が挿入される仮固定具挿通孔25a(バルクヘッド固定部)が形成されている。
図10に示すように、バンパビーム21は、その仮固定具でバルクヘッドサイド63に仮止めした後、断面ハット形状部21aの鍔部21cと補強用横ビード部21gとをバンパビーム取付プレート22に重ねた状態で、後記するサイドフレーム5の連結フランジ51に、少なくとも三点固定される(
図4参照)。
【0032】
図4に示すように、断面ハット形状部21aは、後方側に開口する略ハット断面形状に形成された部位である。バンパビーム21において、断面ハット形状部21aは、左端から右端に亘って全体に形成されている。
【0033】
開口部21bは、断面ハット形状部21aの後方側に形成されて、バンパビーム取付プレート22によって閉塞されている。このため、断面ハット形状部21aと、バンパビーム取付プレート22との間には、車幅方向に延設された空洞2aを形成する閉断面が形成されている。
【0034】
鍔部21cは、断面ハット形状部21aの上下両端部の左右両端部間に亘って、垂直に形成された部位である。鍔部21cの右端側は、バンパビーム取付プレート22の前面22aに当接した状態に設置されている。鍔部21cの左端側は、バルクヘッドサイド63に直接取り付けられている。
図4に示すように、鍔部21cは、車幅方向において、両端部側が中央部よりも上下方向の幅が大きく形成されている。上下の鍔部21cの上下両端部は、それぞれ後方向に向けて曲げられている。
【0035】
図8及び
図9に示すように、上壁部21dは、上側の鍔部21cの下端から前方向に向けてやや下方に傾斜して形成された上面部を形成する部位である。上壁部21dは、バンパビーム21において、上側の鍔部21cの下側(前側)に形成されている。
図3に示すように、上壁部21dは、平面視して、左右両端部の前後方向の幅が、左右両端部に寄るのに従って小さくなるように、中央部の前後方向の幅よりも小さく形成されて、略円弧状に湾曲して形成されている。上壁部21dには、車幅方向に適宜な間隔を介して多数のビード部21kが形成されている。
【0036】
図8及び
図9に示すように、下壁部21eは、下側の鍔部21cの上端から前方向に向けてやや上方に傾斜して形成された下面部を形成する部位である。下壁部21eは、バンパビーム21において、下側の鍔部21cの上側(前側)に形成されている。つまり、下壁部21eは、上壁部21dに対して補強用横ビード部21gを介して略対称に形成されている。
図7に示すように、下壁部21eは、底面視して、左右両端部の前後方向の幅が、左右両端部に寄るのに従って小さくなるように、中央部の前後方向の幅よりも小さく形成されて、略円弧状に湾曲して形成されている。下壁部21eには、車幅方向に適宜な間隔を介して多数のビード部21mが形成されている。
【0037】
そのビード部21k,21mは、
図6または
図7に示すように、バンパビーム21の補強用に形成された縦断面視して凸形状の部位である(
図8参照)。ビード部21k,21mは、上壁部21d及び下壁部21eにおいて左右の両端部間に亘って適宜な間隔で、縦断面視して凹凸状に多数連続形成されている。ビード部21k,21mは、平面視して矩形に形成されている。
【0038】
図8及び
図9に示すように、前壁部21fは、縦断面視して、上下方向中央部に形成された補強用横ビード部21gを介して所定間隔離間して段差状に形成された上下一対の垂直な部位である。前壁部21fは、バンパビーム21において、上壁部21dと下壁部21eとの間の中央部側にそれぞれ形成されている。上側の前壁部21fは、上壁部21dの前端から下方向に向けて垂下するように形成されている。下側の前壁部21fは、下壁部21eの前端から上方向に向けて立設したように形成されている。上下の前壁部21fは、補強用横ビード部21gに沿って車幅方向に略平行に延在している。上下の前壁部21fは、バンパビーム21において、縦断面視して前側にビード形状(凸形状)に突出した部位の最先端に形成されている。
【0039】
補強用横ビード部21gは、バンパビーム21の上下方向の中央部に溝状に形成されて、車幅方向に向けてビード形状(凹溝形状)に延設されている。補強用横ビード部21gは、縦断面視して、上下の前壁部21fを連結するように凹状に折り曲げて形成されている。
図3に示すように、補強用横ビード部21g内の右端部には、固定具挿入孔21jと、仮固定具挿通孔21nと、カラーナット3が遊嵌される貫通孔21iが形成されている。補強用横ビード部21g内の左端部には、上下の鍔部21cと、車幅方向両端部で同一垂直面に形成された固定具挿入孔21jが形成されている。
【0040】
固定具挿入孔21jは、バンパビーム21の左右端部にそれぞれ少なくとも三箇所以上形成されている。
図2に示すように、仮固定具挿通孔21nは、バンパビーム21をバルクヘッド6に仮固定する際に、仮固定用の固定具が挿入される孔である。仮固定具挿通孔21nは、バンパビーム21において、右端側のバルクヘッドサイド63の前方に形成されている。
【0041】
<補強部材>
図4に示すように、補強部材8は、バンパビーム21を補強するための左右一対の部材である。補強部材8は、バンパビーム21の左右端部に固定した車体固定部82a側から車幅方向の中央部に向けて、開口部21bを跨ぐようにそれぞれ架設されると共に、車体後方側から見て上方向に向かって拡開するように配置されている(
図8及び
図9参照)。また、補強部材8は、平面視して、バンパビーム21の後面21pに沿ってそれぞれ湾曲して形成されている(
図6及び
図7参照)。換言すれば、補強部材8は、平面視で前方に凸となるような湾曲している。補強部材8は、略U字断面の部材から成る補強部材本体81と、車幅方向外側の車体固定部82a側に設けられた外側延長部82と、車幅方向の中央部側に設けられた内側延長部83と、を有している。
【0042】
補強部材本体81は、幅方向の両端部を、縦断面視して拡開するように斜めに折曲形成して補強した帯状の鋼板から成る。補強部材本体81は、車幅方向外側端部に外側延長部82を接合し、車幅方向内側端部に内側延長部83を接合している。
【0043】
なお、補強部材本体81と外側延長部82と内側延長部83とは、1枚の金属製板部材をプレス成形して形成した一体のものであってもよい。また、補強部材本体81の幅方向両端部は、長手方向に沿って補強用の稜線が形成されるように折曲形成されてあればよく、断面視してL字状、J字状、U字状、V字状に曲げてもよく、また、折り畳んだ状態に形成してもよい。
【0044】
外側延長部82は、バンパビーム21に接合される車体固定部82aと、補強部材本体81に接合される本体側接合部82dと、車体固定部82aと本体側接合部82dとの間に形成された曲部82bと、本体側接合部82dに形成されたビード形状部82cと、を有している。
【0045】
車体固定部82aは、鍔部21cに沿って形成された部位である。車体固定部82aは、バンパビーム21の後面21pの上側に形成された鍔部21c(垂直壁)にスポット溶接で接合されている。
本体側接合部82dは、補強部材本体81の車幅方向外側端部に重ねて配置されて、スポット溶接で補強部材本体81に接合される箇所である。
曲部82bは、車体固定部82aの固定面が鍔部21cの後面21pに接触するように折曲形成された部位である。
ビード形状部82cは、本体側接合部82dを補強するための凸状部位である。ビード形状部82cは、本体側接合部82dの中心線に沿って中央部に形成されて、車体後方側から見て長円形に形成された直線ビードから成る。
【0046】
内側延長部83は、バンパビーム21に接合される車体固定部83aと、補強部材本体81に接合される本体側接合部83dと、車体固定部83aと本体側接合部83dとの間に形成された屈曲部83bと、本体側接合部83dに形成されたビード形状部83cと、を有している。内側延長部83は、車体後側から見て略L字状に形成された金属製平板部材から成り、平面視して、補強部材本体81に対して屈曲部83bを屈曲形成してL字状に形成されている。右側の内側延長部83と左側の内側延長部83とは、互いに適宜な間隔で離間して、左右の補強部材8が線対称になるように配置されている。
なお、右側の内側延長部83と左側の内側延長部83とは、互いに隣接させて、車体後方側から見て、左右の補強部材8がV字状に配置されるように固定してもよい。
【0047】
内側延長部83の車体固定部83aは、バンパビーム21の溝形状の補強用横ビード部21gの下側に形成された水平壁21o上にスポット溶接で接合される部位である。
本体側接合部83dは、補強部材本体81の車幅方向中央側端部に重ねて配置されて、スポット溶接で補強部材本体81に接合される箇所である。
屈曲部83bは、車体固定部83aの固定面が水平壁21oの上面に接触するように折曲形成された部位である。
ビード形状部83cは、内側延長部83全体を補強するための凸状部位である。ビード形状部83cは、内側延長部83の中心線に沿って中央部に形成されて、側面視して逆L字状に形成されたL字ビードから成る。
【0048】
<バンパビーム取付プレート>
図3に示すように、バンパビーム取付プレート22は、バンパビーム21の左右端部を後側から保持する金属製板部材である。バンパビーム取付プレート22は、バンパビーム21よりも板厚の厚い1枚の金属板をプレス成形して形成されている。バンパビーム取付プレート22は、バンパビーム21の鍔部21cに接合される前面22aと、
図4に示すカラーナット3の接合フランジ部3cに接合される後面22bと、カラーナット3の前側円筒部31aが嵌合するカラーナット挿入孔22cと、を有している。
なお、バンパビーム取付プレート22は、バンパビーム21の右側のみに取り付けても、左右両側に取り付けてもよい。
【0049】
<接合部材>
図3に示すように、接合部材23は、カラーナット3が挿入される設置孔を有する略矩形の金属製板部材である。接合部材23の上下端部は、上下の前壁部21fの前面に架設するように配置されて、スポット溶接で接合されている。
【0050】
<カラーナット>
カラーナット3は、牽引用のアイボルト(図示省略)が螺着される雌ねじ部を有する金属製の筒状部材である。カラーナット3は、接合フランジ部3cをバンパビーム取付プレート22にミグ溶接で接合し、外周面をバンパビーム21に接合された接合部材23にミグ溶接で接合されている。
【0051】
<衝撃吸収部材>
図1に示す衝撃吸収部材24は、バンパビーム21の前方側に車幅方向に延設されて、車体前方側に突出形成された板材部材から成る所謂セーフティプレートである。衝撃吸収部材24は、バンパビーム21、接合部材23及びカラーナット3の前面を覆うように配置されて、バンパビーム21との間で車幅方向に延設された閉断面を形成している(
図9参照)。衝撃吸収部材24は、バンパビーム21と比較して剛性が低い部材によって、縦断面視して、前方方向に突出した凸形状に形成されている。衝撃吸収部材24は、車両Cの前部が構造物や歩行者等の被衝突物と衝突したときに、変形することで衝突エネルギー(衝突荷重)を吸収して歩行者等の被衝突物への衝撃を緩和し、車両Cや、その乗員への衝撃を軽減する機能を備えた金属製部材である。
【0052】
図5及び
図6に示すように、衝撃吸収部材24は、例えば、中央部に配置された中央部材24oと、中央部材24oの右側に設けられた右側部材24pと、中央部材24oの左側に設けられた左側部材24qと、の三つの部材を車幅方向に連設して成る。衝撃吸収部材24の最も前端に形成された前壁部24aは、平面視して、中央部材24oが車幅方向に向けて真っすぐに形成され、右側部材24p及び左側部材24qが中央部材24oよりも後方に位置するように湾曲して形成されている。
なお、衝撃吸収部材24は、バンパビーム21と同様に、中央部材24oと、右側部材24pと、左側部材24qと、を1枚の鋼板をプレス成形して一体化したものであってもよい。
【0053】
図5及び
図6に示すように、衝撃吸収部材24は、それぞれ後記する前壁部24aと、上壁部24bと、下壁部24cと、アイボルト挿通孔24d(
図2参照)と、バンパビーム固定部24e,24fと、切欠部24g,24hと、突部24i,24jと、凹部24m,24nと、開口24kと、凹部24m,24nと、を有している。
【0054】
図8及び
図9に示すように、前壁部24aは、衝撃吸収部材24の前端面を形成する壁部であって、縦断面視して、上壁部24bの前端から垂下した状態に形成されている。
上壁部24bは、衝撃吸収部材24の上面を形成する壁部である。上壁部24bは、バンパビーム21の上壁部21dから前壁部24aの上端まで前方に略水平に延出されている。上壁部24bの後端部には、後記するバンパビーム固定部24e、切欠部24g及び突部24iが形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0055】
下壁部24cは、衝撃吸収部材24の下面を形成する壁部である。下壁部24cは、バンパビーム21の下壁部21eから前壁部24aの下端まで、後方から前方に向かうのに連れて上方に位置するように、前方の斜め上方向に向けて延出されている。下壁部24cの後端部には、後記するバンパビーム固定部24f、切欠部24h、突部24j及び開口24kが形成されている(
図7参照)。上壁部24b及び下壁部24cの前方側部位は、バンパビーム21の前側表面21hの前方に配置されて前側表面21hを覆っている(
図9参照)。
【0056】
図3に示すように、アイボルト挿通孔24dは、カラーナット3にアイボルト(図示省略)を装着させる際に、アイボルトを挿通させるための孔である。
図2に示すように、アイボルト挿通孔24dは、衝撃吸収部材24の右端部に形成されている。
【0057】
図9に示すように、バンパビーム固定部24e,24fは、衝撃吸収部材24をバンパビーム21に固定するための接合部位である。
図5〜
図7に示すように、バンパビーム固定部24e,24fは、上壁部24b及び下壁部24cの後端部に、複数の切欠部24g,24hの左右両側に形成された突出片から成る。その突出片形状のバンパビーム固定部24e,24fの左右両端縁部には、上下方向に膨らんで形成された後記する突部24i,24jが形成されている。上下のバンパビーム固定部24e,24fは、バンパビーム21の上壁部24b及び下壁部24cに当接した状態に設置されて、スポット溶接等によって上壁部24b及び下壁部24c上のビード部21k,21m間の位置に接合されている。
図6に示す上側のバンパビーム固定部24eを形成する突出片の前後方向の長さは、
図7に示す下側のバンパビーム固定部24fを形成する突出片の前後方向の長さよりも小さい。
【0058】
切欠部24g,24hは、衝撃吸収部材24の上壁部24b及び下壁部24cの後端部において、左右端部間に方形波を形成するようにバンパビーム固定部24e,24fと交互に形成されている。換言すると、切欠部24g,24hは、上壁部24b及び下壁部24cの後端部において、バンパビーム固定部24e,24f以外の箇所に矩形に切欠形成されている。各バンパビーム固定部24e,24f間の切欠部24g,24h内には、バンパビーム21のビード部21k,21mが挿入配置されている。
図8に示すように、切欠部24g,24hの先端側の縁部は、バンパビーム21の前壁部21fよりも前側に配置されている。
【0059】
突部24i,24jは、各切欠部24g,24hの左右縁部に略逆L字状に膨らんで形成された部位である。衝撃吸収部材24の車幅方向の中央部側にある突部24i,24jは、バンパビーム21のビード部21k,21mの両側に配置されている。衝撃吸収部材24の左右端部側の位置に形成された突部24i,24jは、バンパビーム21のビード部21k,21mに重ねて配置されている。
【0060】
図5及び
図7に示すように、開口24kは、下壁部24cに適宜な間隔で複数形成された略長円形の孔である。開口24k及び切欠部24g,24hは、バンパビーム21の軽量化の役目と、衝突時の衝突荷重によってバンパビーム21の断面開き及びねじれ変形を抑制する役目と、衝突時にバンパビーム21を断面変形させてエネルギーを吸収する役目と、を果す部位である。
図5に示すように、凹部24m,24nは、前壁部24aの左右両端部の中央部に形成された平面視して三角形の溝である。
【0061】
<バルクヘッド>
図1及び
図2に示すように、バルクヘッド6は、ラジエータ(図示省略)を支持する正面視して矩形状(四角枠状)の金属製部材である。バルクヘッド6は、上下に所定間隔離間して設けられ車幅方向に沿って略平行に延在するバルクヘッドアッパ61及びバルクヘッドロア62と、バルクヘッドアッパ61及びバルクヘッドロア62の左右両端部を連結する一対のバルクヘッドサイド63と、から構成されている。
【0062】
図10に示すバルクヘッドサイド63の前端部には、中央部の上下から車幅方向外側に向けてそれぞれ突出形成された支持片63aと、上下の支持片63aの基端部にそれぞれ形成された前固定部63bと、上側の前固定部63bの上方に接合された脚部付ナット64と、を有している。バルクヘッドサイド63の後端部には、後記するナット付きブラケットから成る被固定ブラケット52,53の後固定部52a,53aに螺着されるボルト等の固定具(図示省略)が挿入される後側固定具挿入孔(図示省略)が形成されている。
【0063】
<ロアプレート>
図1及び
図2に示すように、ロアプレート7は、衝撃吸収部材24の下方に所定間隔離間して配置され、歩行者との衝突時に歩行者の脚部を前方へ払うための所謂足払い部材である。ロアプレート7は、車幅方向に沿って延在する板状の金属製部材から成る。ロアプレート7は、バルクヘッドロア62の前端側に溶接等で固定されている。
【0064】
<サイドフレーム>
図1に示すように、サイドフレーム5は、バルクヘッド6の左右両端部の前端部から後方に向けてそれぞれ延設されている所謂フロントサイドフレームである。
図10または
図11に示すように、サイドフレーム5の前端には、バンパビーム21の三つの固定具挿入孔21jを貫通したボルト等の固定具がバルクヘッドサイド63を介して螺着される前固定部51aを有する連結フランジ51が接合されている。サイドフレーム5において、連結フランジ51からバルクヘッドサイド63の前後方向の幅だけ後方の位置には、バルクヘッドサイド63の車幅方向外側に形成された不図示の固定具挿入孔に挿入された固定具が装着される後固定部52a,53aを有するナット付きブラケットから成る被固定ブラケット52,53が接合されている。
【0065】
図11に示す連結フランジ51の前固定部51aは、後側にナット(図示省略)が接合されて、雌ねじ状になっている。
被固定ブラケット52,53は、サイドフレーム5の上下面に上下方向に向けて突出した状態に設置されている。被固定ブラケット52,53は、後側にナット(図示省略)が接合されて、雌ねじ状になっている。
【0066】
≪車両用バンパ構造の作用≫
次に、
図1〜
図11を参照しながら本発明の実施形態に係る車両用バンパ構造の作用を説明する。
【0067】
バンパ2を車体1に組み付ける場合は、まず始めに、
図4に示すように、カラーナット3をバンパビーム取付プレート22のカラーナット挿入孔22cに挿入し、接合フランジ部3cの外周面をミグ溶接でバンパビーム取付プレート22の後面22bに接合する。
【0068】
次に、
図3に示す接合部材23をバンパビーム21にスポット溶接で接合する。続いて、カラーナット3に、バンパビーム21の貫通孔21i及びカラーナット設置孔23aを挿入して、接合部材23のカラーナット挿入孔23cの前側周縁部と前側円筒部31aとをミグ溶接で接合する。続いて、
図5に示すように、バンパビーム21の前方側に、衝撃吸収部材24を取り付ける。
【0069】
次に、
図4に示す一方の補強部材8の下側の車体固定部83aを車幅方向中央部側の水平壁21o上に配置すると共に、補強部材8をバンパビーム21の開口部21bを跨ぐようにして後面21pに配置し、上側の車体固定部82aを車幅方向外側の鍔部21cに当接させた状態に配置する。この状態で、車体固定部82aを上側の鍔部21cの車幅方向端部に接合すると共に、下側の車体固定部83aを水平壁21oの上面にそれぞれ接合する。そして、他方の補強部材8も、同様にしてバンパビーム21に接合させる。
【0070】
このように形成されたバンパビーム21を車体1に取り付ける場合は、
図10に示すように、固定具を左側の仮固定具取付片25の仮固定具挿通孔25aを挿通して脚部付ナット64に螺着すると共に、固定具を右側の仮固定具挿通孔21n(
図2参照)を挿通してバルクヘッドサイド63に仮止めする。
【0071】
バンパビーム21の車幅方向両端部は、固定具挿入孔21jとは別の位置に、バルクヘッド6のバルクヘッド側固定孔64aに固定されるボルト等の仮固定具が挿入される仮固定具挿通孔21n,25a(バルクヘッド固定部)を有している(
図3参照)。このため、バンパビーム21をバルクヘッド6に仮固定して一体化した後、この一体化したものをサイドフレーム5に固定することができるので、組付作業の作業性を向上させることができる。
【0072】
仮止め後、バンパビーム21は、補強用の稜線を形成する断面ハット形状部21aの上下の鍔部21cと補強用横ビード部21gとをバンパビーム取付プレート22に重ねた状態で、サイドフレーム5の前側端部5aの連結フランジ51に、固定具により三点固定で共締めする。このため、バンパビーム21は、断面ハット形状部21aの鍔部21c及び補強用横ビード部21g(
図8及び
図9参照)を、バンパビーム取付部と重ねた状態で、サイドフレーム5の連結フランジ51に三点固定したことで、しっかりとサイドフレーム5に連結することができる。
【0073】
図4に示すように、補強部材8は、略U字断面の部材から成る補強部材本体81を有していることによって、強度剛性を維持しつつ、バンパビーム21の後面に沿って湾曲変形し易くすることができるため、衝撃の吸収性を向上させることができる。
【0074】
図6及び
図7に示すように、左右の補強部材8は、平面視して、バンパビーム21の後面21pに沿ってそれぞれ湾曲していることによって、軽衝突の際に、バンパビーム21が押圧されて後退しても、後方に配置するラジエータ等の冷却機器への干渉を解消させることができる。
【0075】
なお、バンパビーム21は、衝突した際に、変形中の衝撃吸収部材24を補強部材8によって安定した状態に支持しているので、衝撃吸収部材24の変形を阻害することがないように適度に変形して衝撃を軽減することができる。
【0076】
例えば、車両Cに歩行者が前突した場合、バンパビーム21の前側表面21hを覆っている衝撃吸収部材24の前面に歩行者の脚部が衝突することによって、上壁部24bと下壁部24cとが圧潰変形して後退するので、衝突エネルギーを吸収して脚部への衝撃を軽減させることができる。
【0077】
そのとき、衝撃吸収部材24は、切欠部24g,24hがあることによって、歩行者の脚部と衝突した際に、上壁部24b及び下壁部24cが圧潰変形して後退するので、衝突エネルギーを吸収することができる。
【0078】
図4に示すように、補強部材8は、バンパビーム21に固定した車体固定部82a,83a側から車幅方向中央部に向けて、車体後方側に開放する開放断面形状の断面ハット形状部21aの開口部21bを跨ぐよう配置されると共に、上下方向に拡開するように配置されている。このため、衝突時に、バンパビーム21の車幅方向中央部の上部が下方向の荷重で折れ曲がるので、歩行者脚部への反力を抑制することができる。しかも、バンパビーム21の前側は、補強部材8等によって衝撃吸収部材24の設置を規制することがないので、衝撃吸収部材24を前方に大きく延びる大断面に形成することも可能であるため、歩行者の保護性能も向上させることもできる。
【0079】
また、車両Cが走行中に、エンジンの回転等による車体前部1aの振動によってバンパビーム21の車幅方向の中央部の上向きねじれ変形を、上方向に拡開するように配置した左右一対の補強部材8で、規制することができる。また、補強部材8の外側延長部82及び内側延長部83は、ビード形状部82c,83cによって補強されている。このため、補強部材8は、バンパビーム21の断面の開き変形、及び、バンパビーム21の車幅方向中央部を中心としてねじれるねじれ変形を抑制して、効率よくこもり音の発生を低減させることができる。
【0080】
図4及び
図9に示すように、バンパビーム21は、断面ハット形状部21aと、補強用横ビード部21gと、鍔部21cと、を有していることによって、補強部材8と共に断面剛性を高めて、振動による変形を抑制してこもり音の発生を低減させることができる。
【0081】
また、
図5〜
図7に示すように、衝撃吸収部材24は、上壁部24b及び下壁部24cの後端部に、複数のバンパビーム固定部24e,24fと、複数の切欠部24g,24hと、を有している。このため、衝撃吸収部材24は、軽量化させることができるので、バンパビーム21の断面開き、及び、ねじれ変形を抑制することができる。
【0082】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0083】
図12は、本発明の実施形態に係る車両用バンパ構造の変形例を示す図であり、補強部材の設置状態を示すバンパの拡大斜視図である。
図13は、変形例の衝撃吸収部材の取り付け状態を示すバンパの要部拡大斜視図である。
【0084】
前記実施形態では、衝撃吸収部材24及び補強部材8の一例として、金属製部材を溶接してバンパビーム21に接合する場合を説明したが、
図12及び
図13に示すように、衝撃吸収部材24Aまたは補強部材8Aと、バンパビーム21Aとは、接着剤9で固定してもよい。
【0085】
この場合、衝撃吸収部材24A、補強部材8A、及び、バンパビーム21Aは、アルミニウム合金あるいは合成樹脂で形成する。
補強部材8Aは、
図12に示すように、補強部材本体81Aと外側延長部82Aとを一体成形して、内側延長部83Aを接着剤等で連結する。補強部材8Aは、外側延長部82Aをバンパビーム21Aの垂直壁から成る上側の鍔部21Aaに接着剤9で接着し、内側延長部83Aを補強用横ビード部21Ag内の水平壁21Aoに接着剤9で接着する。
衝撃吸収部材24Aは、
図13に示すように、複数のバンパビーム固定部24Aeを接着剤9によってバンパビーム21の上壁部21Ad及び下壁部(図示省略)に接合する。
接着剤9は、アルミニウム合金あるいは合成樹脂を接着可能なものであればよく、例えば、エポキシ樹脂から成る。
【0086】
このように、衝撃吸収部材24Aまたは補強部材8Aと、バンパビーム21Aとは、接着剤9で固定されていることによって、接合面積を増大させることができるため、バンパビーム21Aの断面剛性を高めて、振動による変形を抑制して、こもり音の発生を低減させることができる。
【0087】
[その他の変形例]
例えば、カラーナット3は、車体前部1aに配置したバンパ2に取り付けた場合を例に挙げて説明したが、車体後部のリヤバンパに取り付けることもできる。
また、
図12に示す補強部材8は、パイプ形状のものであってもよい。