(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228669
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】モータ、モータを用いたジンバル、及びジンバルを用いた撮影装置
(51)【国際特許分類】
H02K 29/08 20060101AFI20171030BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20171030BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20171030BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20171030BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
H02K29/08
H04N5/222 100
H04N5/225 100
G03B17/56 A
G03B15/00 V
G03B15/00 S
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-526167(P2016-526167)
(86)(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-501667(P2017-501667A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2014081613
(87)【国際公開番号】WO2015127741
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年4月25日
(31)【優先権主張番号】201410070502.1
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517003761
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ オスモ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI Osmo Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,リー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ペン
【審査官】
マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−011538(JP,A)
【文献】
特開2012−147519(JP,A)
【文献】
特開2003−189546(JP,A)
【文献】
特開2010−039350(JP,A)
【文献】
特開2009−153309(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/065892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 29/08
G03B 15/00
G03B 17/56
H04N 5/222
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転部材と、前記第1回転部材に回転可能に接続される第2回転部材とを備えるジンバルであって、
前記第2回転部材を駆動して前記第1回転部材に対して回転させるモータを備え、
前記モータは、
前記第1回転部材に固定されるステータと、
前記ステータに回転可能に接続されて前記第2回転部材に固定される可動子と、
前記第1回転部材に固定されて当該モータに電気信号を提供する電気的接続装置と、
前記可動子に固定されるマグネットと、
前記マグネットに対向するように前記電気的接続装置に固定されるホール角変位センサーとを備え、
前記ホール角変位センサーは前記電気的接続装置の第1表面に固定され、前記マグネットは、前記電気的接続装置における前記第1表面の裏面の第2表面に対向しており、
前記第1回転部材は、前記ホール角変位センサーを前記第1回転部材の外側に露出させる開放端部を規定することを特徴とする、ジンバル。
【請求項2】
前記可動子は、前記ステータに回転可能に接続される回転軸ユニットと、前記回転軸ユニットに固定されるロータとを備え、前記マグネットは前記回転軸ユニットに固定されることを特徴とする、請求項1に記載のジンバル。
【請求項3】
前記回転軸ユニットは、回転軸と、それぞれ前記回転軸の両端に嵌設される上軸受け及び下軸受けとを備え、前記マグネットは前記回転軸に固定されることを特徴とする、請求項2に記載のジンバル。
【請求項4】
前記電気的接続装置はPCB基板又はフレキシブル基板であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジンバル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のジンバルと、前記ジンバルに搭載される被支持物とを備えることを特徴とする、撮影装置。
【請求項6】
前記被支持物は前記第2回転部材に接続されることを特徴とする、請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記被支持物はカメラであることを特徴とする、請求項6に記載の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、前記モータを用いたジンバル、及び前記ジンバルを用いた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、撮影装置はジンバルと、前記ジンバルに搭載される撮影機とを備える。前記ジンバルは、撮影機による安定、円滑且つマルチアングルの撮影を実現させるように、前記撮影機の固定を実現させ、任意に前記撮影機の姿勢を調整(例えば、撮影機の高さ及び/又は方向を変更)し、撮影機を所定の姿勢に安定して保持させることに用いられる。前記撮影機としては、ビデオカメラ又はカメラを選ぶことができる。
【0003】
前記ジンバルは、モータを備える。前記モータには、ステータと、ロータと、前記モータにおける前記ステータと前記ロータとの相対的な位置を検知するセンサーとが設けられている。現在、センサーは一般的にエンコーダと、電位差計とを備える。但し、エンコーダは精度が高いが、体積が大きくて、コストが高く且つある程度の摩擦抵抗があり、電位差計は精度が低く且つ大きな摩擦抵抗があり、前記ジンバルの制御に大きな影響を与える。上記二つのセンサーは、いずれも接触式のものであるので、摩擦抵抗が大きく、接触不良になりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、摩擦抵抗が小さいモータ、前記モータを用いたジンバル、及び前記ジンバルを用いた撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は下記のように実現される。
【0006】
モータであって、ステータと、前記ステータに回転可能に接続される可動子と、モータに電気信号を提供する電気的接続装置とを備え、モータは、前記可動子に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向するように前記電気的接続装置に固定して設置されるホール角変位センサーとをさらに備え、前記マグネットと前記ホール角変位センサーとは、前記電気的接続装置を介して互いに離間している。
【0007】
ジンバルであって、第1の回転部材と、前記第1の回転部材に回転可能に接続される第2の回転部材と、前記第2の回転部材を駆動して前記第1の回転部材に対して回転させることに用いられるモータとを備える。前記モータはステータと、前記ステータに回転可能に接続される可動子と、モータに電気信号を提供する電気的接続装置とを備える。前記モータは前記可動子に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向するように前記電気的接続装置に固定して設置されるホール角変位センサーとをさらに備える。前記マグネットと前記ホール角変位センサーとは、前記電気的接続装置を介して互いに離間している。
【0008】
撮影装置であって、ジンバルと前記ジンバルに搭載される被支持物とを備える。前記ジンバルは、第1の回転部材と、前記第1の回転部材に回転可能に接続される第2の回転部材と、前記第2の回転部材を駆動して前記第1の回転部材に対して回転させることに用いられるモータとを備える。前記モータはステータと、前記ステータに回転可能に接続される可動子と、モータに電気信号を提供する電気的接続装置とを備える。前記モータは前記可動子に固定されるマグネットと、前記マグネットに対向するように前記電気的接続装置に固定して設置されるホール角変位センサーとをさらに備える。前記マグネットと前記ホール角変位センサーとは、前記電気的接続装置を介して互いに離間している。
【発明の効果】
【0009】
関連技術と比べると、本発明は、非接触式のホール角変位センサーによる前記ステータと前記可動子との位置関係の検出方法を提供し、従来の検出方法における摩擦抵抗が大きいという問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は本発明の撮影装置の前記被支持物を取り除いた斜視図である。
【
図4】
図4は
図2に示された別の視角から見た斜視図であり、ただし、前記第1の回転部材の一部が省略された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施例で提供される撮影装置は、撮影、写真、監視、サンプリングの補助装置として、空ベース(例えば、回転翼飛行体又は固定翼飛行機)、海ベース(例えば、潜水艇又は船舶)、陸ベース(例えば、自動車)又は宇宙ベース(例えば、衛星、宇宙ステーション、又は宇宙船)等の分野に搭載することができる。前記撮影装置はジンバルと、前記ジンバルに搭載される被支持物とを備える。前記ジンバルは前記被支持物の固定を実現させ、任意に前記被支持物の姿勢(例えば、前記被支持物の高さ、傾斜角及び/又は方向を変更する)を調整し、前記被支持物を所定の姿勢に安定して保持させることに用いられる。前記被支持物はカメラやビデオカメラ等の撮影装置であってもよく、センサー等であってもよい。本実施例において、前記撮影装置は飛行体に用いられる。前記被支持物は、ミラーレス一眼カメラ又は監視カメラ等であってもよい。以下に、添付図面を参照しながら、本発明の撮影装置について詳細に説明する。
【0012】
図1〜
図4に示すように、本発明の実施例により、ジンバル10と前記ジンバル10に搭載される被支持物20とを備える撮影装置100が提供される。前記ジンバル10は、第1の回転部材1と、前記第1の回転部材1の一端に回転可能に接続され、前記被支持物20を搭載するための第2の回転部材2と、前記第1の回転部材1と前記第2の回転部材2とを接続するモータ30とを備える。本実施例では、前記被支持物20はカメラである。前記モータ30は、前記第2の回転部材2を駆動して前記第1の回転部材1に対して回転させるためのものである。
【0013】
前記モータ30は、前記第1の回転部材1に固定されるステータ31と、前記ステータ31に回転可能に接続され、前記第2の回転部材2に固定される可動子32と、前記第1の回転部材1に固定され、前記ステータ31に電気信号を提供する電気的接続装置33と、前記可動子32に固定されるマグネット34と、前記マグネット34に対向するように前記電気的接続装置33に固定して設置されるホール角変位センサー35とを備える。前記マグネット34は前記ホール角変位センサー35と相俟って、前記モータ30の前記ステータ31と前記可動子32との相対的な位置を検出することに用いられる。前記マグネット34と前記ホール角変位センサー35とは、前記電気的接続装置33を介して互いに離間している。
【0014】
前記可動子32は、前記ステータ31に回転可能に接続される回転軸ユニット36と、前記回転軸ユニット36に固定されるロータ37とを備える。前記ロータ37は前記第2の回転部材2内に収容されている。本実施例の前記ステータ31はコイルであり、前記ロータ37は、前記ステータ31と磁力を生じるマグネットである。選択可能な実施の形態において、前記ステータ31はマグネットであってもよく、前記ロータ37はコイルであってもよい。
【0015】
前記回転軸ユニット36は、回転軸38と、それぞれ前記回転軸38の両端に嵌設される上軸受け381及び下軸受け382とを備える。前記回転軸38の一端は前記第1の回転部材1内に収容されており、他の一端は前記第2の回転部材2内に収容されている。前記上軸受け381は前記第1の回転部材1内に収容されている。前記下軸受け382は前記第2の回転部材2内に収容されている。前記回転軸ユニット36は、前記ロータ37と前記ステータ31により、前記第1の回転部材1と前記第2の回転部材2とが回転可能に接続されている。前記マグネット34は、前記第1の回転部材1内に収容される前記電気的接続装置33に対向するように、前記回転軸38に固定して設置されている。
【0016】
前記電気的接続装置33としては、PCB基板又はフレキシブル基板を選ぶことができる。前記電気的接続装置33は、第1の表面331と、前記第1の表面331から背離した第2の表面332とを備える。前記ホール角変位センサー35は、前記第1の表面331に固定して設置されており、前記マグネット34は前記第2の表面332に対向するように設置されるので、前記マグネット34と前記ホール角変位センサー35とは接触しない。前記ホール角変位センサー35は、前記ステータ31と前記可動子32との位置関係を検知するとともに、ホール角変位センサー35の体積が小さいので、従来の検出方法における摩擦抵抗が大きいという問題を解決することができる。
【0017】
本発明の撮影装置100は、前記マグネット34と前記可動子32とを固定的に接続させ、前記ホール角変位センサー35が装着されている前記電気的接続装置33と前記ステータ31とを固定的に接続させる。前記ホール角変位センサー35により、前記ステータ31に対する前記ロータ37の回転角度を検出することは、非接触式であるが、絶対位置エンコーダと同じ効果がある角変位検知手段が形成される。この結果、前記ジンバル10の作動抵抗が効果的に低減され、前記ジンバル10の応答が向上した。
【0018】
また、前記ステータ31が前記第1の回転部材1に直接固定され、前記可動子32が前記第2の回転部材2に直接固定されることにより、前記ステータ31と前記可動子32が前記第1の回転部材1と前記第2の回転部材2との内部空間に直接組み込まれて、前記第1の回転部材1及び前記第2の回転部材2と一体に組み合わされるので、前記ジンバル10の全体寸法が効果的に低減された。
【0019】
以上の記載は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は上記実施形態に限定されていなく、当業者が本発明の開示内容に従って等価の修飾若しくは変更を行ったものも、特許請求の範囲に記載される保護範囲内に含まれる。