(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228672
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】内視鏡検査時に腸を固定、短縮させる装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/01 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
A61B1/01 513
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-527958(P2016-527958)
(86)(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-524996(P2016-524996A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】KR2014010530
(87)【国際公開番号】WO2015065163
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年1月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0132907
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516013413
【氏名又は名称】ジェ−ホン チョイ
(73)【特許権者】
【識別番号】516013424
【氏名又は名称】ウン−ジョン チャ
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ホン チョイ
(72)【発明者】
【氏名】ウン−ジョン チャ
【審査官】
井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−261857(JP,A)
【文献】
特開2009−022443(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2016914(EP,A2)
【文献】
国際公開第2004/071284(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡が内部に貫通できるように内部が空いた円筒形に形成される外枠;前記外枠の外面を取り囲むように設置される環状の外側カフ;前記外枠の内側面に付着設置される内側カフ;前記外枠の内側面に位置する潤滑チューブ;および吸入チューブから構成され、
前記各外側カフと内側カフとを気体の流出または流入に応じてそれぞれ収縮または膨張できるようにするために、前記外側カフの一方側に外側カフチューブが設置され、前記内側カフの一方側に内側カフチューブが設置されることを特徴とする、内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項2】
環状の外枠と内視鏡との間に内側カフが位置し、前記内側カフが膨張しながら内視鏡と外枠を固定させることができることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項3】
前記外側カフに連結された外側カフチューブを通じて外部の施術者が気体を注入または抜き出すことができるようにし、前記内側カフに連結された内側カフチューブを通じて外部の施術者が気体を注入または抜き出すことができることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項4】
前記潤滑チューブを通じて内視鏡に生理食塩水を投入できることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項5】
前記吸入チューブを通じて腸に存在する空気または液体を除去できることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項6】
前記腸固定装置は一つの内視鏡に少なくとも一つが適用され得ることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項7】
前記外側カフが膨張されながら腸に固定位置を形成できることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【請求項8】
前記内側カフの気体が流出するにつれて前記内視鏡と前記腸固定装置とが分離されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査時に腸を固定および短縮させる腸固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に係り、より詳細には従来の内視鏡に装着して、腸の内壁を固定および短縮させ、内視鏡を腸内で容易に移動できるようにして、既存の内視鏡機械だけでは観察が困難であるか不可能な部位を観察することができ、治療的な施術を可能にする内視鏡検査時に腸を固定、短縮させる装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡とは、人体内の内臓臓器や体腔内部を直接観察できる医療器具を意味し、また、内視鏡を利用して患者の観察や治療的な施術を含む過程全体を意味することもある。以下の記載では、「内視鏡」または「内視鏡施術」とは、内視鏡を利用して患者内部の臓器を観察したり治療する施術を意味する単語と定義して使用し、「内視鏡機械」または「内視鏡装置」とは、の内視鏡施術に使用する医療器具としての内視鏡と定義して使用することにする。
【0003】
内視鏡施術を通じて人体内の内臓臓器や体腔内部を観察する上で最も困難が伴われる部位は、小さい腸とも呼ばれる小腸である。その理由として、小腸は内視鏡施術が主になされる胃や大腸などとは違って、体の特定部位に固定されておらず、長さが長く、蠕動運動をするからである。したがって、小腸は他の臓器と比べて検査が容易でなく、既存の内視鏡装置はこのような問題点の解決に限界があった。
【0004】
このような問題があるため、小腸内部の観察および診断のためには、一般的にカプセル内視鏡を利用する。
【0005】
カプセル内視鏡は、レンズおよび発光素子、映像記録装置、バッテリ、無線送信装置およびアンテナなどから構成される、ビタミン錠剤の大きさ程度の内視鏡装置であり、使用者はこのカプセル内視鏡を口腔を通じて投入する。カプセル内視鏡は口腔から直腸まで移動しながら小腸の映像を撮影し、これを無線通信を通じて外部の記録装置に保存する。
【0006】
しかしながら、カプセル内視鏡は遠隔調整が不可能で、カプセル内視鏡自体の動きにより撮影方向および角度が決定されるため小腸の観察に制限があり、繰り返し検査が不可能である。また、そのサイズを最小化させる必要があるので付加的な装置の設置に困難があり、組織検査などができない短所がある。
【0007】
このようなカプセル内視鏡の短所を克服し、小腸疾患が疑われる、または確認された場合、該当部位に対する治療や組織検査を遂行するために、ダブルバルーン内視鏡が開発された。2004年以降、FDAおよび韓国国内の食品医薬品安全庁の許可が下りて実施されているこのダブルバルーン内視鏡は、狭くて屈曲した小腸に沿って進入しながら内視鏡とオーバーチューブの先端にそれぞれ装着されているバルーンとオーバーチューブを操作しながら内視鏡検査を遂行する。一般に、約6m程度の長さの小腸全体に一度に入り切ることはできないため、口と肛門のいずれに近い病変であるかを判断して、一方から進行するか、2回に分けて両方から進行する。
【0008】
このダブルバルーン内視鏡は現在まで開発された内視鏡のうち、内視鏡装置を人体内の最も深い部位まで挿入できる装置であって、小腸疾患に対する治療や組織検査を効果的に遂行することができる。しかしながら、ダブルバルーン内視鏡は、施術のために高価の内視鏡装置を新しく具備しなければならず、従来の内視鏡施術に比べて施術時間が長く、施術の難易度が高いため施術者の高い熟練度を必要とする。また、患者の痛みおよび不快感が大きく、コスト的にも負担の大きい施術であるため、広く利用されてはいない。
【0009】
小腸は胃から、十二指腸、空腸および回腸の三部分に区分され、十二指腸は後腹壁に堅固に固定されるが、小腸の大部分を占める空腸と回腸は腹腔の中に固定されておらず、長く広がっている。このような小腸の構造のためにダブルバルーン内視鏡装置を利用しても小腸に対する内視鏡施術を効率的に遂行することはできない。内視鏡施術を施行するために、基本的に内視鏡本体と連結されたライン状の内視鏡スコープを人体の内部に押し入れて挿入しなければならない。内視鏡スコープが小腸に挿入されるにつれて固定されていない小腸が押し伸ばされることにより、患者の不快感および痛みが大きくなる問題が発生する。
【0010】
ダブルバルーン内視鏡施術のさらに他の問題点は、新しい内視鏡装置を利用しながらも補助のオーバーチューブを追加で使用しなければならないという点である。内視鏡が小腸に沿って進行した後にはオーバーチューブを押し入れることになるが、オーバーチューブを使用することだけでは小腸が押し伸ばされる問題を克服するのには限界がある。また、オーバーチューブの長さは固定不変でありながら、内視鏡装置がこの中に入った状態で使用することになり、既存の内視鏡に比べて使い勝手が悪い。
【0011】
上述した通り、ダブルバルーン内視鏡は小腸を効果的に短縮させることができず、検査時間が長引いたり、患者の痛みが大きくなる問題が発生する。
【0012】
したがって、既に存在する施術機構および方法以外に小腸を観察できる内視鏡装置または、効果的な小腸内視鏡観察方法が求められているのが実状である。
【0013】
小腸観察用の内視鏡として、小腸などの人体内の狭い空間を観察するために発明された内視鏡が[特許文献1]に開示されている。この登録特許は一方側にカメラ装置が装着されたヘッド部と、他方側に人体外部の外部装置と連結されるチューブと連結される中空型のシリンダ部、ヘッド部と連結されてシリンダ部の外周に設置され、臓器の内壁に固定可能な前方固定部と、シリンダ部の外周面にスライディングできるようにシリンダ部の外周に設置され、臓器の内壁に固定するようにする後方固定部と、前方固定部または後方固定部がヘッド部が臓器の内壁に固定させる時に前方固定部と後方固定部の間で伸長および収縮作動してヘッド部を臓器の内部で移動させる移動部を含む本体から形成される内視鏡システムに関するものである。
【0014】
この登録特許は、理論的には小腸の観察が可能であるが、従来の内視鏡とは違って機械式で複雑に作動する内視鏡であって、既存の内視鏡施術に熟練している使用者といえども使いこなすことが難く、誤作動の危険があって実使用が困難であり、特殊内視鏡装置を別途に購入しなければならない短所があるため非経済的である。
【0015】
また、この登録特許は従来の内視鏡装置とは基本原理および作動方法が異なり、互換が不可能で、通常の内視鏡施術で実施する組織検査、ポリープの除去および止血治療などの施術の施行が困難であり、追加の道具が必要であるため臨床での実効性が制限的であるという短所が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0471653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、既存の内視鏡装置に装着して施術者の操作により腸内で本装置を固定し、腸の短縮を可能にする、内視鏡検査時に腸を固定、短縮させる装置およびその方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は前記のような目的を達成するために、内視鏡が内部に貫通できるように内部が空いた円筒形に形成される外枠;前記外枠の外面を取り囲むように設置される環状の外側カフ;前記外枠の内側面に付着設置される内側カフ;前記外枠の内側面に位置する潤滑チューブ;および吸入チューブから構成され、前記各外側カフと内側カフとを気体の流出または、流入によりそれぞれ収縮または膨張できるようにするために、前記外側カフの一方側に外側カフチューブが設置され、前記内側カフの一方側に内側カフチューブが設置される腸の長さを固定および短縮できる腸固定装置を提供する。
【0019】
前記において、環状の外枠と内視鏡との間に内側カフが位置し、前記内側カフが膨張されながら内視鏡と外枠を固定させることができる。
潤滑チューブと吸入チューブは、前記内側カフの側面に付着設置され得る。
【0020】
前記において、前記外側カフに連結された外側カフチューブを通じて外部の施術者が気体を注入または抜き出すことができるようにし、前記内側カフに連結された内側カフチューブを通じて外部の施術者が気体を注入または抜き出すことができるようにし、潤滑チューブを通じて施術者が外側カフと内側カフ、内視鏡に生理食塩水材質の潤滑剤を投入させることができるようにして、吸入チューブを通じて腸内の空気または、液体を除去するようにする。
【0021】
前記外側カフが膨張されながら腸に固定位置を形成することができ、前記内側カフの気体が流出するにつれて前記内視鏡と前記腸固定装置が分離され得る。
【0022】
前記において、腸固定装置は一つの内視鏡に少なくとも一つ設置され得る。
【0023】
患者の身体内部に内視鏡を挿入して検査する方法において、内視鏡の外側に少なくとも一つの機構を設置し、前記装置を利用して内視鏡が挿入された身体機関の特定部分に装置を固定させ、施術者が装置と内視鏡とを分離させた後、前記装置を引っ張り内視鏡に固定されている身体器官の長さを短縮させて装置なしで観察が難しい身体内部の深い部位を観察または、施術できる方法を提供する。
【0024】
前記した内視鏡外側に設置する装置として、前述した腸固定装置を使用する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、小腸に本発明の装置を設置した内視鏡を位置させた後、装置を利用して小腸と装置を固定させ、その後、固定された小腸の後部分を引っ張り小腸が折りたたまれるようにすることによって腸の長さを短縮させて検査を進める。したがって、従来の内視鏡施術に比べ、腸の短縮効率が高く、検査時間を減らすことができ、患者の不快感を軽減させる効果を期待することができる。また、施術者が使用していた内視鏡機械をそのまま使用できるので施術者が容易に施術することができ、機械を別途に購入しなくても済むので費用削減の効果が発生する。
【0026】
本発明の機構および使用方法の原理を応用すれば、ループができて難しい大腸内視鏡検査や手術によって解剖学的構造が変形された患者の逆行性膵胆も検査および治療することができる追加の効果も期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例に係る腸固定装置の斜視図。
【
図2】本発明の一実施例に係る腸固定装置の断面図。
【
図3】本発明の一実施例に係る腸固定装置を利用して小腸内で内視鏡を挿入する過程を図示した構造図。
【
図4】本発明の他の実施例に係る腸固定装置を二つ利用して小腸内で内視鏡を挿入する過程を図示した構造図。
【
図5】本発明の一実施例に係る腸固定装置の動作を示すフローチャート。
【
図6】本発明の他の実施例に係る腸固定装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明をより詳細に説明する。下記の説明は本発明の実施と理解を助けるためのものであって、本発明はこれに限定されない。当業者は、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の思想内で様々に変形および変更でき得ることを理解できるであろう。
【0029】
図1は本発明の一実施例に係る腸固定装置の斜視図であり、
図2は本発明の一実施例に係る腸固定装置の断面図である。
【0030】
図1および
図2を参照して本発明の腸固定装置1000の構成および設置形態に対して説明する。腸固定装置1000は、内視鏡Eが通過できるように内部が空いている短い円筒形の外枠100と、この外枠100の外部を取り囲むように付着設置される外側カフ110と外側カフ110の一方側に設置される外側カフチューブ111、外枠100と内視鏡Eとの間に挟まれて位置するように外枠100の内側に付着して設置される内側カフ120と内側カフ120の一方側に設置される内側カフチューブ121、そして外枠100の内側に設置される潤滑チューブ130および吸入チューブ140から構成される。
【0031】
ここで外側カフ110は、
図1および
図2に図示された通り、外枠100を取り囲む形態の環状チューブの形態で形成され、内側カフ120は
図1に図示された通り、外枠100の内部に付着設置されて外枠100と内視鏡Eとの間に挟まれて位置し、その形態は円筒形または、楕円形のチューブ形態で形成され得るが、これに限定されない。
【0032】
また、外側カフ110および内側カフ120は内部に気体を投入して膨張または収縮ができるようにビニルまたは、ゴム、プラスチックのような材質で形成されうるが、これに限定されない。
【0033】
そして潤滑チューブ130と吸入チューブ140とは、
図1および
図2に図示された通り、外枠100の内側に付着して設置するか、内側カフ120の側面に付着して設置するようにする。
【0034】
ここでチューブ111、121、130、140は、細いが内径を維持した状態で曲がる柔軟な細い管の形態からなり、耐久性を有するプラスチック材質で形成され得るが、これに限定されない。
【0035】
このように形成される腸固定装置1000は、
図1に図示された通り、内視鏡Eの側面を取り囲む形態で設置される。したがって、腸固定装置1000は次のような機能を有するようになる。まず、外側カフ110は収縮または膨張して、小腸内部に挿入されている腸固定装置1000を小腸のある特定の位置で固定させることができるようにする役割をし、内側カフ120は前記外枠100と内視鏡Eとの間で収縮または膨張して外枠100および外側カフ110を内視鏡Eから付着または取り外す役割をする。
【0036】
このような外側カフ110の収縮または膨張を実施するために、外側カフ110の側面に設置されている外側カフチューブ111は、一端が外側カフ110に気体が投入できるように設置されており、他端は外部の施術者が外側カフチューブ111を通じて外側カフ110に気体を投入できるように開放露出されている。このような構成によって施術者が外側カフチューブ111の他端を通じて外側カフ110に気体を投入、または排出するようにして外側カフ110が膨張または収縮することができるようにする。
【0037】
同様に、内側カフ120の収縮または膨張を実施するために、内側カフ120の側面に設置されている内側カフチューブ121は一端が内側カフ120に空気が投入できるように設置され、他端は外部の施術者が内側カフチューブ121を通じて内側カフ120に気体を投入できるように開放露出される。このような構成によって施術者が内側カフチューブ121の他端を通じて内側カフ120に気体を投入、または排出するようにして内側カフ120が膨張または収縮することができるようにする。
【0038】
そして、前記内側カフ120の側面に付着設置される潤滑チューブ130は、一端が外枠100の内側または内側カフ120の側面に開放された状態で付着設置されるようにし、他端は外部の施術者に開放露出されるようにする。これによって、内視鏡Eが腸固定装置1000の内部で移動する時、生理食塩水から構成される潤滑剤を施術者が開放露出された潤滑チューブ130の他端を通じて患者の人体内部に挿入されている内視鏡Eおよび外枠100、外側および内側カフ110、120の間に投入できるようにして、内視鏡Eと外枠100および内側カフ120との摩擦を最小化することができる。
【0039】
同様に、外枠100の内側または内側カフ120の側面に付着設置される吸入チューブ140は、一端が内側カフ120の側面に開放された状態で付着設置されるようにし、他端が外部の施術者に開放露出されるようにする。これによって、小腸内に内視鏡Eが挿入されている状態で、内視鏡検査の途中に注入される空気が多すぎたり腸内に液体があるなどの場合、外部の施術者が開放露出されている吸入チューブ140の他端を通じて患者の小腸内のガスと液体などを吸入して除去することができるようにする。
【0040】
前記構成および動作を
図2を参照してより具体的に説明する。
図2の(a)のように構成される本発明の腸固定装置1000は、
図2の(b)のように、内視鏡Eが外枠100の内部に挿入されるように設置されるが、腸固定装置1000の設置のために、
図2の(b)のように内視鏡Eが腸固定装置1000に挿入されている状態で、
図2の(c)のように外枠100に付着設置されている内側カフ120を膨らませ、内側カフ120の膨張力により内視鏡Eが外枠100と内側カフ120との間に固定されるようにし、腸固定装置1000を内視鏡Eに固定できるようにする。
【0041】
この時、注意すべき事項としては、潤滑チューブ130および吸入チューブ140が内視鏡Eおよび内側カフ120と外枠100の間に挟まれて押し拉がれる場合、潤滑チューブ130および吸入チューブ140は本来の役割を遂行することができない。このように押し拉がれることを防止するために、使用者は潤滑チューブ130および吸入チューブ140の設置時に内側カフ120の両側面に一定間隔を置いて前記潤滑チューブ130および吸入チューブ140を設置することができる。これは後述する、チューブ111、121、130、140を利用して小腸を引っ張って短縮する過程において、潤滑チューブ、吸入チューブ130、140が一方側に偏ることによってチューブの引っ張り力が一方側に偏り、引っ張られる外枠100が内視鏡Eにかかる状況を防止し、潤滑チューブ130を通じて投入する生理食塩水のような潤滑剤を吸入チューブ140を通じて再び吸い込む場合を最小化するためである。
【0042】
図2の(c)のように、内側カフ120が膨張して内視鏡Eに外枠100を固定させた状態で内視鏡Eが小腸内部に投入され、外側カフ110はまだ収縮されている状態であるので小腸内から自由に移動が可能である。前記のように小腸内に内視鏡Eおよび腸固定装置1000が位置した状態で、
図2の(d)のように前記外側カフ110を膨張させることによって小腸の特定位置に腸固定装置1000を固定させることができるようにする。
【0043】
図3は本発明の一実施例に係る腸固定装置1000を利用して小腸G内で内視鏡Eを挿入する過程を図示した構造図であり、
図5は本発明の一実施例に係る腸固定装置1000の動作を示すフローチャートである。以下では本発明の腸固定装置1000および内視鏡Eが小腸G内で動作する過程を
図3および
図5を参照して説明する。
【0044】
図3の(a)は、患者の小腸Gに本発明の腸固定装置1000が内視鏡Eの内視鏡端部Ehに固定されたまま挿入されて行く様子を図示した構造図である。腸固定装置1000は内視鏡Eの内視鏡端部Ehに固定されることを以下の例示にて説明するが、腸固定装置1000は施術者の便宜を図るため内視鏡本体Ebに固定されて使用されることもある。
【0045】
図3の(a)に図示された通り、内視鏡検査を実施する前に、腸固定装置1000は内視鏡Eの内視鏡端部Ehに固定されたまま挿入される。この時、腸固定装置1000が内視鏡Eの内視鏡端部Ehに固定されて容易に小腸G内に挿入されるように、腸固定装置1000の外側カフ110は収縮した状態で挿入され、内側カフ120は膨張した状態で挿入されて、外側カフ110が内視鏡Eの内視鏡端部Ehに固定されて挿入できるようにする。
【0046】
前記のように内視鏡Eに腸固定装置1000が固定されたまま患者の小腸Gに挿入された状態が
図3の(b)に図示されている。
図3の(b)のように内視鏡Eが小腸G内に挿入された状態で、小腸Gの深い部位に内視鏡Eを到達させるために、小腸Gの特定地点で腸固定装置1000を利用して小腸Gに腸固定装置1000を固定させる。これを達成するために、
図3の(c)に図示された通り、装置の外側カフ110に気体を注入して膨張させることにより、小腸Gの固定位置G-Hに膨張した外側カフ110が密着して固定されることによって、内視鏡Eおよび腸固定装置1000、そして小腸Gが小腸Gの固定位置G-Hにともに固定されている状態となる。
【0047】
この時、外側カフ110に気体を注入するために、施術者は前記外側カフ110の側面に開放するように連結されている外側カフチューブ111を利用して、外部から施術者が外側カフ110内に気体を注入することができるようにする。
【0048】
前記のように内視鏡Eおよび腸固定装置1000が
図3の(c)のように患者の小腸Gの固定位置G-Hに固定された状態で、小腸Gの後部分を短縮させるために内視鏡Eと腸固定装置1000を分離する。これを
図3の(d)と(e)を通じて説明すると、まず、使用者は腸固定装置1000の膨張されている内側カフチューブ120の空気を抜き出して縮小させることによって腸固定装置1000を内視鏡Eから分離させる。
【0049】
次の段階として、腸固定装置1000の潤滑チューブ130を通じて生理食塩水を注入させることになるが、これは腸固定装置1000と内視鏡Eとの間の摩擦を減らして、両装置1000、E間の損傷を防止するためである。
【0050】
前記のように潤滑チューブ130を通じて生理食塩水を両装置1000、E間に注入した状態で、腸固定装置1000の4つのチューブ111、121、130、140を徐々に引っ張ると、小腸Gの固定位置G-Hが引っ張られることになり、前記固定位置G-Hの後部分はしわができながら短縮部G-Bを形成するようになる。この場合、内視鏡Eは腸固定装置1000と分離されているので実際には停止しているが、小腸Gの前方の部分が前述した腸固定装置1000の短縮部G-Bの形成過程を通じて引っ張られるようになり、内視鏡Eの内視鏡端部Ehは
図3の(e)のように小腸Gの前方の部分に前進することになる効果が得られる。
【0051】
この時、内視鏡Eと腸固定装置100が分離されて動く間、腸固定装置1000と連結されている内側、外側カフチューブ111、121および潤滑チューブ130、吸入チューブ140を同一の力で引っ張って力を加えることによって、小腸Gの後部分G-Bが縮小された状態に維持できるようにする。
【0052】
また、チューブ111、121、130、140は腸固定装置1000に加えられる引っ張り力を考慮して配置しなければならない。腸固定装置1000にチューブ111、121、130、140が一側に偏って設置される場合、前述した短縮部G-Bの形成過程において、腸固定装置1000の外枠100に加えられる力の方向がチューブが位置する方向に偏り、内視鏡Eと腸固定装置1000がかかる危険が発生するので、使用者はチューブ111、121、130、140の位置を考慮してできるだけ分散して設置できるようにする。
【0053】
内側カフ120の側面に設置されている吸入チューブ140は、内視鏡検査を実施する際に発生する空気の注入などによって膨張された腸内の空気または小腸G内の液体などを吸入して効率的な腸の短縮と固定に役立つようにする。
図1で説明した通り、吸入チューブ140は一端が腸固定装置1000の内側に開放された状態で付着固定され、他端は外部に露出されるようにして、施術者が吸入チューブ140の他端を通じて陰圧を加えることによって腸内のガスおよび液体を吸入して小腸の膨張を抑制し、小腸の内視鏡検査および治療を円滑にできるようにする。
【0054】
内視鏡Eを外部に取り出す時は、外側カフ110を収縮させ、内側カフ120を拡張させて内視鏡Eと腸固定装置1000を固定させながら小腸Gと腸固定装置1000を分離させて滑らかに内視鏡Eと各チューブを同時に後方に後退させて取り出す。
【0055】
これまで
図1〜
図3および
図5を参照して本発明の一実施例に係る腸固定装置1000を説明した。しかしながら、これは本発明の理解と説明の便宜を図るための一実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。例えば、
図4は本発明の腸固定装置1000、1000’を二つ利用して小腸G内で内視鏡Eを挿入して腸を観察したり治療する過程を図示した構造図であり、
図6は二つ以上の腸固定装置1000、1000’を利用して小腸G内で内視鏡Eを動作させるためのフローチャートである。また、本発明の腸固定装置を三つ以上利用して小腸内で内視鏡Eを挿入して腸を観察したり治療することももちろん可能である。
【0056】
以下では、
図4および
図6を通じて二つの腸固定装置1000、1000’を使用して小腸Gに内視鏡Eを挿入するのを本発明の他の実施例として説明する。
【0057】
内視鏡Eの側面に二つの腸固定装置1000、1000’を任意の間隔を置いて設置するが、二つの腸固定装置1000、1000’が内視鏡Eに固定される方法および小腸内で動作する方法は
図2に図示された方式と同一に動作し、腸固定装置1000、1000’の構成は
図1に図示されたものと同一に構成される。以下、本発明の他の実施例においては、第1内視鏡固定装置1000に吸入チューブ140が設置されて動作することを一例示として説明する。
【0058】
図4の(a)に図示された通り、内視鏡Eに第1内視鏡固定装置1000と第2内視鏡固定装置1000’が固定されたまま小腸Gの内部に挿入される。
【0059】
小腸Gの内部に内視鏡Eが
図4の(a)に図示されたように挿入された状態で、施術者は第2内視鏡固定装置1000’を動作させて小腸G内の特定位置に第1固定位置G-H1を形成させて内視鏡Eおよび第2内視鏡固定装置1000’を小腸Gに固定させる。
【0060】
前記のように小腸G内の第2内視鏡固定装置1000’を動作させて小腸G内の第1固定位置G-H1を形成した状態で、施術者は第2内視鏡固定装置1000’と内視鏡とを分離する。以後、前記第2内視鏡固定装置1000’と固定された小腸Gを前記第2内視鏡固定装置1000’に設置されたチューブを利用して、上述した通り、滑らかに引っ張りながら小腸Gの第1固定位置G-H1の後側の腸を短縮させて第1短縮部G-B1を形成させる。前記のように、小腸Gに第1短縮部G-B1が形成されて短縮された分だけ前記内視鏡Eの内視鏡端部Ehは相対的に小腸Gの前方に前進する効果が発生する。
【0061】
施術者が
図4の(c)に図示された通り、小腸G内の第1短縮部G-B1を形成し、短縮された長さ分だけ内視鏡Eおよび第1内視鏡固定装置1000が小腸Gの内部に前進された状態で、施術者は
図4の(d)に図示された通り、第1内視鏡固定装置1000を
図2で説明した順序にしたがって動作させて小腸G内に第2固定位置G-H2を形成させる。
【0062】
前記のように施術者が第1内視鏡固定装置1000を動作させて小腸G内に第2固定位置G-H2が形成された状態で、施術者は
図4の(e)に図示された通り、第1内視鏡固定装置1000に設置されているチューブを滑らかに引っ張って小腸Gの第1固定位置G-H1と第2固定位置G-H2との間を縮小させて第2短縮部G-B2を形成し、前記小腸Gの第2短縮部G-B2を通じて短縮された長さ分だけ内視鏡Eの内視鏡端部Ehが小腸内部に前進して施術者が所望する施術を内視鏡Eの内視鏡端部Ehを通じて完了することができるようにする。
【0063】
図4および
図6の内視鏡E内の腸固定装置1000、1000’の動作および順序は二つの腸固定装置1000、1000’を使用した本発明の他の実施例であって、内視鏡E内の三つ以上の腸固定装置を使用する時にも同じ方式で動作して小腸を短縮および内視鏡の容易な小腸内前進動作を達成できるようにする。