特許第6228717号(P6228717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6228717
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   A47F5/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-541713(P2017-541713)
(86)(22)【出願日】2016年11月11日
(86)【国際出願番号】JP2016083526
【審査請求日】2017年8月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500066517
【氏名又は名称】株式会社 ワン・バイ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】幸島 邦晴
【審査官】 渋谷 善弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/051613(WO,A1)
【文献】 特開平10−33290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47B 57/42,57/50,96/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された固定具と、
前記開口部に着脱自在に取り付けられる支持具と、
前記支持具に固着され荷重を支持する受け具とを備えた支持装置であって、
前記固定具の前記開口部において、
前記開口部の第一上面部は、開口側から反対側に向かって下方側に傾斜する第一前方面部と、前記第一前方面部に連続して形成され開口側から反対側に向かって上方側に傾斜する第一後方面部とにて形成され、
前記開口部の第一下面部は、前記第一前方面部に平行に傾斜して形成され、
前記開口部の第一側面部および第二側面部は、平面状にそれぞれ形成され、
前記支持具は、前記開口部に挿入する挿入部を有し、
前記挿入部において、
前記挿入部の第二上面部は、前記第一前方面部に当接する第二前方面部と、前記第一後方面部に当接する第二後方面部とにて形成され、
前記挿入部の第二下面部は、開口側から反対側に向かって下方側に傾斜するとともに前記第二前方面部の水平方向とのなす傾斜角より小さな水平方向とのなす傾斜角にて形成されるとともに、前記第一下面部の開口側端にて当接して形成され、
前記挿入部の第三側面部および第四側面部は、前記第一側面部および前記第二側面部にそれぞれ当接して形成される支持装置。
【請求項2】
前記固定具の前記開口部の外側には、前記開口部の前記第一下面部から連続して下方側に延びる第一鉛直面部が形成され、
前記支持具には、前記挿入部の前記第二下面部から連続して形成されるとともに前記第一鉛直面部に当接する第二鉛直面部が形成される請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記固定具の前記第一前方面部の開口側に向かう水平方向の長さは、前記固定具の前記第一後方面部の開口側に向かう水平方向の長さの4倍以上にて形成される請求項1または請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記固定具の前記第一前方面部および前記挿入部の前記第二前方面部の水平方向とのなす傾斜角は、20度にて、
前記固定具の前記第一後方面部および前記挿入部の前記第二後方面部の水平方向とのなす傾斜角は、30度にて、
前記挿入部の前記第二下面部の水平方向とのなす傾斜角は、8度にてそれぞれ形成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項5】
前記固定具には、前記開口部が鉛直方向に連続して複数個形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項6】
前記固定具は、複数の同形のチップ部を備え、
1つの前記チップ部の下面にて、前記開口部の前記第一上面部が形成され、
他の1つの前記チップ部の上面にて、前記開口部の前記第一下面部が形成される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項7】
前記固定具は、前記第一側面部および前記第二側面部を形成する2枚の側面板部と、
2枚の前記側面板部に複数の前記チップ部を挟持して構成され、
2枚の前記側面板部の前記第一側面部および前記第二側面部には鉛直方向に連続する第一凹凸部が形成され、
複数の前記チップ部の側面には、前記第一凹凸部に嵌合する第二凹凸部が形成され、
複数の前記チップ部の前記第二凹凸部が、2枚の前記側面板部に前記第一凹凸部に嵌合して挟持され形成される請求項6に記載の支持装置。
【請求項8】
前記固定具の前記開口部の前記第一側面部および前記第二側面部の開口側に向かう水平方向の長さは、前記固定具の前記開口部の前記第一上面部および前記第一下面部の開口側に向かう水平方向の長さより長く形成される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項9】
前記受け具の鉛直方向の長さは、前記開口部の鉛直方向の長さより短く形成される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項10】
前記固定具は、前記開口部の開口側と反対側の第一底面部に外部から電源を送電する配線部を有し、
前記支持具は、前記固定具に装着した際の開口側と反対側の第二底面部に、前記配線部に接触して前記固定具の前記開口部の開口側から外部に電源を引き出す電源部を有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項11】
前記電源部は、前記配線部と接触するスプリング電極部と、
前記スプリング電極部に接続される引き出し線部とにて形成されている請求項10に記載の支持装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の支持装置において、
前記固定具を一対有し、
一対の前記固定具の前記開口部は、高さ方向において同一箇所に形成され、
一対の前記固定具の高さ方向において同一箇所に形成され一対の前記開口部に挿入される一対の前記支持具を有し、
一対の前記支持具の一対の前記受け具は、一対の前記受け具を跨がる荷重を支持する支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定具に対して支持具を安定的に固定できる支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の支持装置は、サポート部材に上下多段に設けられたスリットに、後端部に設けられた係止フックが挿入され片持ち状に支持され、上部に棚板が載置される陳列棚用ブラケットにおいて、前記棚板が載置される面に装着される断面コの字状の樹脂製滑り止め材と、前記載置面部に設けられ前記滑り止め材のブラケットからの脱落を抑制する突部とを備え、前記突部の高さが滑り止め材の樹脂の弾性力で吸収可能な高さに形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−136685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の支持装置は、スリットに係止フックを挿入した場合、スリットの上面部側と、係止フックの上面部側との間に空間が存在するため、ブラケットが安定的に固定されないという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、固定具に対して支持具を安定的に固定できる支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の支持装置は、
開口部が形成された固定具と、
前記開口部に着脱自在に取り付けられる支持具と、
前記支持具に固着され荷重を支持する受け具とを備えた支持装置であって、
前記固定具の前記開口部において、
前記開口部の第一上面部は、開口側から反対側に向かって下方側に傾斜する第一前方面部と、前記第一前方面部に連続して形成され開口側から反対側に向かって上方側に傾斜する第一後方面部とにて形成され、
前記開口部の第一下面部は、前記第一前方面部に平行に傾斜して形成され、
前記開口部の第一側面部および第二側面部は、平面状にそれぞれ形成され、
前記支持具は、前記開口部に挿入する挿入部を有し、
前記挿入部において、
前記挿入部の第二上面部は、前記第一前方面部に当接する第二前方面部と、前記第一後方面部に当接する第二後方面部とにて形成され、
前記挿入部の第二下面部は、開口側から反対側に向かって下方側に傾斜するとともに前記第二前方面部の水平方向とのなす傾斜角より小さな水平方向とのなす傾斜角にて形成されるとともに、前記第一下面部の開口側端にて当接して形成され、
前記挿入部の第三側面部および第四側面部は、前記第一側面部および前記第二側面部にそれぞれ当接して形成される
ものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の支持装置によれば、
固定具に対して支持具を安定的に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1の支持装置の構成を示す図である。
図2図1に示した支持装置の支持具および受け具の構成を示す図である。
図3図2に示した支持具および受け具の詳細を示す図である。
図4図1に示した支持装置の固定具の構成を示す斜視図である。
図5図4に示した固定具の構成を示す図である。
図6図5に示した固定具のチップ部の構成を示す図である。
図7図6に示したチップ部の詳細を示す図である。
図8図1に示した支持装置の固定具への支持具の挿入方法を示す図である。
図9図1に示した支持装置の支持具および受け具の他の構成を示す図である。
図10】この発明の実施の形態1の支持装置における支持具および受け具の他の構成を示す図である。
図11図1に示した支持装置の原理について説明する図である。
図12図1に示した支持装置の使用例を示す図である。
図13】この発明の実施の形態2の支持装置の固定具の構成を示す図である。
図14】この発明の実施の形態2の支持装置の支持具および受け具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1の支持装置の構成を示す図である。図1は後述する一方の側面板部9を外した状態を示す図である。図2図1に示した支持装置の支持具および受け具の構成を示す図である。図2(A)は支持具および受け具の正面図、図2(B)は支持具および受け具の左側面図、図2(C)は支持具および受け具の右側面図、図2(D)は支持具および受け具の平面図、図2(E)は支持具および受け具の底面図を示す。
【0010】
図3図2に示した支持具および受け具の詳細を示す部分拡大図である。図3(B)は図3(A)の点線にて囲んだ部分を更に拡大して示した部分拡大図である。図4図1に示した支持装置の固定具の構成を示す斜視図である。図5図4に示した固定具の構成を示す図である。図5(A)は固定具の正面図、図5(C)は固定具の右側面図、図5(D)は固定具の平面図を示す。
【0011】
図6図5に示した固定具のチップ部の構成を示す図である。図6(A)はチップ部の正面図、図6(B)はチップ部の左側面図、図6(C)はチップ部の右側面図、図6(D)はチップ部の平面図、図6(E)はチップ部の底面図を示す。図7図6に示したチップ部の詳細を示す拡大図である。図7(B)は図7(A)の点線にて囲んだ部分を更に拡大して示した部分拡大図である。図8図1に示した支持装置の固定具への支持具の挿入方法を示す図である。
【0012】
図9図1に示した支持装置の支持具および受け具の他の構成を示す図である。図9(A)は支持具および受け具の正面図、図9(B)は支持具および受け具の左側面図を示す。図10はこの発明の実施の形態1の支持装置における支持具および受け具の他の構成を示す図である。図10(A)は支持具および受け具の正面図、図10(B)は支持具および受け具の左側面図を示す。図11図1に示した支持装置の原理を示す図である。図11(A)は支持装置の受け具に鉛直方向の下方側に力が係る場合の原理を示し、図11(B)は支持装置の受け具に鉛直方向の上方側に力が係る場合の原理を示す。図12図1に示した支持装置の使用例を示す斜視図である。
【0013】
図において、支持装置1は、開口部5が形成された固定具2と、開口部5に着脱自在に取り付けられる支持具3と、支持具3に固着され荷重を支持する受け具4とにて構成される。支持装置1の固定具2の長手方向が鉛直方向Yとなるように床10に起立して設置されるものである。図4の固定具2において示したように、鉛直方向Y、水平方向X、短手方向Zとして以下説明する。
【0014】
尚、鉛直方向Yは、長手方向であり、高さ方向Yとして示す場合もある。そして、当該固定具2の開口部5に支持具3を着脱するものである。支持装置1の目的は、固定具2に装着された支持具3に連なる受け具4にて荷重、例えば、棚板、ハンガーかけ用治具、電気機器などを支持するものである。
【0015】
固定具2の開口部5について説明する。開口部5は、第一上面部51、第一下面部52、第一側面部53、第二側面部54、および第一底面部56にて形成される。第一上面部51は、第一前方面部511と、第一後方面部512とにて形成される。第一前方面部511は、開口部5の開口側X1から反対側X2に向かって下方側Y2に傾斜して形成される。第一前方面部511の水平方向Xとのなす傾斜角θ1(図7(A)参照)は、例えば20度にて形成される。
【0016】
第一後方面部512は、第一前方面部511に連続して形成される。第一後方面部512は、開口部5の開口側X1から反対側X2に向かって上方側Y1に傾斜して形成される。第一後方面部512の水平方向Xとのなす傾斜角θ2(図7(B)参照)は、例えば30度にて形成される。開口部5の第一下面部52は、第一前方面部511に平行に傾斜して形成される。よって、第一下面部52の水平方向Xとのなす傾斜角θ1は、例えば20度にて形成される。
【0017】
第一前方面部511の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW14は、第一後方面部512の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW13の4倍以上にて形成される。ここでは6倍程度にて形成される。開口部5の長手方向すなわち鉛直方向Yの長さW2は、短手方向Zの長さW1の10倍程度にて形成される。開口部5の第一側面部53および第二側面部54(図5(D)参照)は、鉛直方向Yに平行に平面状にてそれぞれ形成される。
【0018】
開口部5の第一側面部53および第二側面部54の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW6は、開口部5の第一上面部51および第一下面部52の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW5より長く形成される。開口部5の外側には、開口部5の第一下面部52から連続して下方側Y2に延びる第一鉛直面部55が形成される。固定具2は、開口部5の開口側X1と反対側X2の第一底面部56に外部の電源7から送電する配線部57を有する。
【0019】
支持具3は、開口部5に挿入する挿入部30を有する。挿入部30は、第二上面部31、第二下面部32、第三側面部33、第四側面部34および第二底面部36にて形成される。第二上面部31は、第二前方面部311と、第二後方面部312とにて形成される。第二前方面部311は、第一前方面部511に当接するように形成されるため、開口部5の開口側X1から反対側X2に向かって下方側Y2に傾斜して形成される。よって、第二前方面部311の水平方向Xとのなす傾斜角θ1は、開口部5の第一前方面部511と同様の20度にて形成される。また、第二後方面部312の鉛直方向Yとのなす傾斜角θ4は、60度にて形成される。
【0020】
第二後方面部312は、第一後方面部512に当接するように形成されるため、開口部5の開口側X1から反対側X2に向かって上方側Y1に傾斜して形成される。よって、第二後方面部312の水平方向Xとのなす傾斜角θ2は、開口部5の第一前方面部511と同様の30度にて形成される。第二下面部32は、開口側X1から反対側X2に向かって下方側Y2に傾斜するとともに第二前方面部311の水平方向Xとのなす傾斜角θ1より小さな水平方向Xとのなす傾斜角θ3にて形成される。さらに、第二下面部32は、第二前方面部311の開口側端521にて当接する。
【0021】
第二下面部32の水平方向Xとのなす傾斜角θ3は、例えば8度にて形成される。第二前方面部311の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW4は、第二後方面部312の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW3の4倍以上、ここでは開口部5と同様の6倍程度にて形成される。第三側面部33および第四側面部34は、第一側面部53および第二側面部54にそれぞれ当接するように形成されるため、鉛直方向Yに平行に平面状にそれぞれ形成される。
【0022】
支持具3には、挿入部30の第二下面部32から連続して形成されるとともに第一鉛直面部55に当接する第二鉛直面部35が形成される。受け具4の鉛直方向Yの長さW9は、開口部5の鉛直方向の長さW2より短く形成される。また、支持具3であって、電源を外部に引き出す場合には図9に示すように構成する。この場合は、挿入部30の第二底面部36に、配線部57に接触して固定具2の開口部5の開口側X1から外部に電源を引き出す電源部37を有する。
【0023】
電源部37は、配線部57と接触するスプリング電極部371と、スプリング電極部371に接続される引き出し線部372とにて形成される。引き出し線部372は、受け具4に設置される照明器具などの電気機器に電源を供給するものである。また、他の例としては図10に示すように、受け具4を水平方向Xの長さを短くして、電源の取り出しのみにて利用し、受け具4に装着した電気機器44に接続する例も考えられる。
【0024】
次に、固定具2の具体的な構成について説明する。固定具2は、複数の同形のチップ部6、側面板部8、9から構成されている。図6および図7に示すように、チップ部6は上面62、下面61、側面63、64、前面65、後面66を備える。下面61にて、開口部5の第一上面部51が形成される。上面62にて、開口部5の第一下面部52が形成される。前面65にて、固定具2の第一鉛直面部55が形成される。
【0025】
側面63には、短手方向Zの外側に突出する第二凹凸部としての凸部631、632が形成される。側面64には、短手方向Zの外側に突出する第二凹凸部としての凸部641、642が形成される。側面63、64の中央部には、短手方向Zに貫通するネジ穴67、68が形成される。側面板部8、9は、チップ部6をネジ穴67、68にてネジ止めするためのネジ穴84、85、94、95が形成される。各側面板部8、9にて、開口部5の第一側面部53、第二側面部54および第一底面部56が形成される。
【0026】
各側面板部8、9の開口側X1に突出する突出部81、91にて、第一側面部53および第二側面部54の水平方向Xの長さW6を、開口部5の第一上面部51および第一下面部52の水平方向Xの長さW5より長く形成している。各側面板部8、9の第一側面部53および第二側面部54を形成する面部には、チップ部6の凸部631、632、641、642が嵌合するための第一凹凸部としての凹部82、83、92、93が鉛直方向Yに連続して形成される。尚、チップ部6の凸部631、632、641、642を凹部にて形成し、また、各側面板部8、9の凹部82、83、92、93を凸部にて形成しても同様に構成することができる。
【0027】
各側面板部8、9の凹部82、83、92、93の所定の箇所にチップ部6の凸部631、632、641、642を嵌合する。そして、各側面板部8、9にてチップ部6を挟持して、ネジ穴67、68、84、85、94、95にてネジ止めして、固定具2を形成する。尚、ネジ止めに限られることは無く、例えば、溶接などにて固定することも可能である。また、各側面板部8、9の開口側X1と反対側X2にて、第一底面部56が形成されるとともに、配線部57が設置される。
【0028】
ここで、支持装置1の具体的な大きさの例について説明する。支持装置1の各部分は金属材にて形成され、例えばステンレス材にて形成する場合が考えられる。支持装置1の固定具2の開口部5の短手方向Zの長さW1は3mm、鉛直方向Yの長さW2は35mm、水平方向Xの長さW5は24mmにて形成される。開口部5の第一後方面部512の水平方向Xの長さW13は3.5mm、第一前方面部511の水平方向Xの長さW14は20.5mmにて形成される。
【0029】
固定具2の突出部81、91の短手方向Zの長さW7は1mm、各側面板部8、9の短手方向Zの長さW8は12mmにて形成される。支持具3の挿入部30の第二後方面部312の水平方向Xの長さW3は3.5mm、第二前方面部311の水平方向Xの長さW4は20.5mmにて形成される。
【0030】
支持具3と受け具4との短手方向Zの長さW1は、上記に示した、固定具2の開口部5の短手方向Zの長さW1と同一であり、同一の厚み部材にて形成されている。そして、固定具2の開口部5は側面板部8および側面板部9にチップ部6のネジ止め、または、溶接などにて固定して形成されている。このため、当該固定による厚み分、固定具2の長さW1が支持具3と受け具4との長さW1とが同一であっても当該固定方法によって若干の厚みの違い、また、側面板部8および側面板部9のバネ効果により、固定具2の開口部5に支持具3の挿入部30は挿入可能となる。
【0031】
次に、上記のように構成された実施の形態1の支持装置1の固定具2の開口部5に、支持具3の挿入部30を着脱する際の過程および支持装置1の原理について説明する。図8に示すように、受け具4の先端側を高さ方向Yの上方側Y1に傾けて、支持具3の挿入部30を開口部5に挿入していく。ここでは、開口部5の第一上面部51の第一前方面部511に、挿入部30の第二上面部31の第二前方面部311を沿わせるとともに、開口部5の第一下面部52に挿入部30の第二下面部32が沿うように挿入する。
【0032】
この際、挿入部30の第二上面部31の第二後方面部312は、第二前方面部311とは異なり鉛直方向Yの上方側Y1に傾斜しているため、挿入部30の第二下面部32が開口部5の第一下面部52と同じ傾斜角にて当接するように形成されていれば、挿入部30の第二後方面部312が開口部5の第一前方面部511に当接して挿入することができない。しかしながら、挿入部30の第二下面部32の傾斜角θ2が、開口部5の第一下面部52の傾斜角θ1より小さく形成されているため、挿入部30の第二後方面部312により挿入が遮られることなく、挿入部30を開口部5へ挿入できる。
【0033】
そして、図1に示すように、開口部5に挿入部30が装着される。更にこの際、開口部5の第一側面部53および第二側面部54は、挿入部30の第三側面部33および第四側面部34の挿入のガイドになるとともに、支持のガイドともなる。
【0034】
そして、図11(A)に示すように、支持具3を固定具2の開口部5に挿入し終えた状態では、受け具4に負荷される荷重G1は固定具2により支持される。尚、荷重Gは受け具4の自らの荷重も含むものである。受け具4に荷重G1が矢印の方向、すなわち鉛直方向Yの下方側Y2に力が負荷される。これは一般的に、支持装置1の受け具4の使用状態に相当する。そして、この状態では、開口部5の第一後方面部512に、挿入部30の第二後方面部312が当接して、当接力D1が矢印の方向に係る。更に、開口部5の第一下面部52の開口側端521に、挿入部30の第二下面部32が当接して、当接力D2が矢印の方向に係る。
【0035】
更に、固定具2の第一鉛直面部55に、支持具3の第二鉛直面部35が当接して、当接力D3が矢印の方向に係る。このように少なくとも上記に示した3点の当接力D1、D2、D3が固定具2に働いて、受け具4の荷重G1が固定具2に分散して伝わり、ガタツクことがなく安定的に保持される。また、当然のことながら、開口部5の第一側面部53および第二側面部54が、挿入部30の第三側面部33および第四側面部34を拘束することにより支持するためのガイドとなる。
【0036】
また、図11(B)に示すように、受け具4に荷重G2が矢印の方向、すなわち、鉛直方向Yの上方側Y1の方向に力が負荷された場合について説明する。これは一般的に、支持装置1の受け具4を使用しているとき(図11(A)の状態)に、誤って、受け具4に当たり、鉛直方向Yの上方側Y1の力が一時的に負荷された状態を示すものである。そして、この状態では、開口部5の第一上面部51に、挿入部30の第二上面部31が当接して、当接力D4が矢印の方向に係る。
【0037】
更に、開口部5の第一下面部52に、挿入部30の第二下面部32が当接して、当接力D5が矢印の方向に係る。よって、このように上記に示した2点の当接力D4、D5が働いて、受け具4の荷重G2が固定具2に分散して伝わり、固定具2の開口部5から支持具3の挿入部30が外れることを防止している。また、この場合も、当然のことながら、開口部5の第一側面部53および第二側面部54が、挿入部30の第三側面部33および第四側面部34を拘束することにより支持するためのガイドとなる。
【0038】
そして、開口部5から支持具3の挿入部30を取り出すときは、先の装着手順と逆の手順にて、受け具4の先端側を鉛直方向Yの上方側Y1に傾けて、支持具3および受け具4から取り出す。以上示したように、受け具4に鉛直方向Yの上方側Y1に荷重G2が負荷されても、挿入部30は開口部5から外れることはないが、受け具4を鉛直方向Yの上方側Y1に限られた角度、すなわち、図8に示すように挿入時の限られた角度に傾けると、挿入部30を開口部5から容易に外すことができる。
【0039】
次に、上記のように構成された実施の形態1の支持装置の施工例について図12を参考に説明する。まず、一対の固定具2を床10に垂直に設置する。この際、側面板部8の突出部81および側面板部9の突出部91が、壁面部11の厚み分突出するように設置する。そして、突出部81および突出部91に沿わせて壁面部11をそれぞれ設置する。
【0040】
この際、一対の固定具2の開口部5が、高さ方向Yにおいて同一箇所となるように設置される。そして、一対の固定具2の高さ方向Yにおいて同一位置に形成された一対の開口部5に一対の支持具3を設置する。そして、一対の支持具3の一対の受け具4は、一対の受け具4を跨がる荷重の例えばガラス板41の設置された枠体40を支持することができる。また、枠体40の前面部42にLEDを設置すれば照明付き枠体として使用することもできる。また、1つの受け具4にハンガー受け具43を荷重として支持することができる。尚、受け具4に係る荷重は、上記に示した以外の荷重であっても、支持具3が耐えうる荷重であれば様々な物品を支持することが可能である。
【0041】
支持装置1の施工例は上記に示した場合に限られることはなく、固定具2の高さ方向Yを垂直に設置することができれば、他の施工例であっても支持具3および受け具4を同様に利用することが可能である。また、1つの固定具2のみを設置することも可能である。また、高さ方向Yに複数の開口部5を備えた1つの固定具2に、支持具3および受け具4を高さ方向Yの複数の開口部5にそれぞれ設置することも可能である。また、1つの開口部5のみを備えた固定具2に、1つの支持具3および受け具4を挿入して利用する場合も同様に可能である。
【0042】
また、受け具4の構成は上記に示した場合に限られることなく、円柱形、正四角柱形など、支持具3に設置可能な形状であれば、様々な形状にて形成することが可能である。
【0043】
上記のように構成された実施の形態1の支持装置によれば、固定具の開口部に支持具の挿入部を挿入すると、挿入部の第二前方面部は開口部の第一前方面部に当接し、挿入部の第二後方面部は開口部の第一後方面部に当接し、挿入部の第二下面部は開口部の第一下面部の開口側端にて当接し、挿入部の第三側面部および第四側面部は、開口部の第一側面部および第二側面部にそれぞれ当接するため、固定具に支持具がガタツクことなく安定的に支持できる。また、挿入部の第二下面部は、開口側から反対側に向かって下方に傾斜するとともに開口部の第二前方面部の水平方向とのなす傾斜角より小さな水平方向とのなす傾斜角にて形成されているため、挿入部を開口部に容易に着脱することができる。
【0044】
また、挿入部の第二鉛直面部は開口部の第一鉛直面部に当接するため、固定具に支持具がガタツクことなくさらに安定的に支持できる。
【0045】
また、固定具の第一前方面部の開口側に向かう水平方向の長さは、固定具の第一後方面部の開口側に向かう水平方向の長さの4倍以上にて形成されているため、挿入部を開口部にさらに容易に着脱することができる。
【0046】
また、固定具の第一前方面部および挿入部の第二前方面部の水平方向とのなす傾斜角は、20度にて、固定具の第一後方面部および挿入部の第二後方面部の水平方向とのなす傾斜角は、30度にて、挿入部の第二下面部の水平方向とのなす傾斜角は、8度にてそれぞれ形成されるため、挿入部を開口部にさらに確実に着脱することができるとともに、固定具に支持具がガタツクことなく確実に支持できる。
【0047】
また、固定具には、開口部が鉛直方向に連続して複数個形成されるので、鉛直方向において形成された複数の開口部のいずれかの位置に支持具を挿入することができ、高さ方向の自由度が増す。
【0048】
また、固定具は、複数の同形のチップ部を備え、1つのチップ部の下面にて、開口部の第一上面部が形成され、他の1つのチップ部の上面にて、開口部の前記第一下面部が形成されため、支持装置を簡便に製作することができる。また、開口部の反対側に配線部を容易に設置することができる。特に、開口部が鉛直方向に連続して複数個形成する場合の、各開口部への配線部の設置に適している。
【0049】
また、固定具は2枚の側面板部に複数のチップ部を挟持して構成され、2枚の側面板部の第一側面部および第二側面部には鉛直方向に連続する第一凹凸部が形成され、複数のチップ部の側面には、第一凹凸部に嵌合する第二凹凸部が形成されているため、複数のチップ部の第二凹凸部が、2枚の前記側面板部に第一凹凸部に嵌合して挟持されるため、固定具が容易にかつ強度に優れた構成となる。
【0050】
また、固定具の開口部の第一側面部および第二側面部の開口側に向かう水平方向の長さは、固定具の開口部の第一上面部および第一下面部より開口側に向かう水平方向の長さより長く形成してるため、支持装置の施工した後に、開口部内の構造が外部から見えにくくなり、意匠的に優れている。また、支持装置の施工時に、第一側面部および第二側面部の外側に壁面部を設置できる、施工がおこないやすくなる。
【0051】
また、受け具の高さ方向の長さは、開口部の高さ方向の長さより短く形成されるため、受け具が必要以上に大きく形成する必要がなく、意匠的に自由度が増し、優れている。
【0052】
また、一対の固定具の開口部を高さ方向において同一箇所に形成し、高さ方向において同一位置に形成され一対の開口部に一対の支持具を挿入するため、一対の受け具に跨がる荷重を容易にかつガタツクことなく安定的に支持することができる。
【0053】
また、固定具は、開口部の第一底面部に外部から電源を送電する配線部を有し、支持具の第二底面部に、配線部に接触して固定具の前記開口部の開口側から外部に電源を引き出す電源部を有しているため、支持装置の開口部から外部に電源を取り出すことができる。
【0054】
また、電源部は、配線部と接触するスプリング電極部と、引き出し線部とにて形成されているため、簡便に形成することができる。
【0055】
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2の支持装置の固定具の一部の構成を示す図である。図13(A)は固定具の一部の正面図、図13(B)は固定具の一部の斜視図を示す。図14図13に示した固定具に使用する支持具および受け具の構成を示す図である。図14(A)は支持具および受け具の正面図、図14(B)は支持具および受け具の左側面図、図14(C)は支持具および受け具の右側面図、図14(D)は支持具および受け具の平面図、図14(E)は支持具および受け具の底面図を示す。
【0056】
上記実施の形態1においては、固定具2の開口部5をチップ部6を用いて形成する例を示したがこれに限られることはなく、本実施の形態2においては、複数の開口部5を一体に形成する中間板部60を使用する。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態2は、チップ部6にかえて中間板部60を側面板部8および側面板部9に挟持してネジ止めまたは溶接にて固定することにより、上記実施の形態1と同様の開口部5を備えた固定具2を形成する。但し、チップ部6の場合と異なり、複数の開口部5の第一底面部56間が鉛直方向Yにおいて連続して形成することができないため、第一底面部56に配線部を備えていない。
【0057】
また、開口部5の第一上面部51の第一前方面部511を上記実施の形態1の場合より水平方向Xの長さより短く形成した場合を示している。この場合であっても、第一前方面部511の水平方向Xの長さW24は、第一後方面部の水平方向Xの長さW13の4倍程度を有している。また、第二前方面部311の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW34は、第二後方面部312の開口側X1に向かう水平方向Xの長さW3の4倍程度を有している。
【0058】
上記のように構成された実施の形態2の支持装置は、上記実施の形態1よりも対荷重性は若干劣るものの、受け具の荷重に対して上記実施の形態1と同様に支持することができる。
【0059】
また固定具は、第一側面部および第二側面部を構成するための2枚の側面板部と、開口部の他の箇所を形成するための1枚の中間板部を挟持して構成しているため、簡便な製造方法にて支持装置を製造することができ、低コストとなる。
【0060】
尚、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【要約】
固定具(2)の開口部(5)に着脱自在な支持具(3)とを備え、開口部(5)の第一上面部(51)は、開口側(X1)から反対側(X2)に向かって下方側(Y2)に傾斜する第一前方面部(511)と、第一前方面部(511)に連続して形成され開口側(X1)から反対側(X2)に向かって上方側(Y1)に傾斜する第一後方面部(512)とにて形成され、第一下面部(52)は、第一前方面部(511)に平行に傾斜し、支持具(3)の挿入部(30)の第二上面部(31)は、第一前方面部(511)に当接する第二前方面部(311)と、第一後方面部(512)に当接する第二後方面部(312)と、第二下面部(32)は、開口側(X1)から反対側(X2)に向かって下方側(Y2)に傾斜し第二前方面部(311)の傾斜角(θ1)より小さな傾斜角(θ2)にて形成され、第一下面部(52)の開口側端(521)にて当接する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14