【課題を解決するための手段】
【0009】
現在、エチレンのブタ−1−エンへの選択的二量体化についての非常に高い選択性を得、かつ、ポリマーの形成を制限するために、少なくとも1種の有機金属チタン錯体を含む触媒組成物を用いる方法であって、前記有機金属錯体は、窒素、酸素、リン、硫黄、ヒ素、およびアンチモンから選択されるヘテロ原子によって、または芳香族基によって官能基化された少なくとも1種のアルコキシタイプのリガンドを含み、かつ一般式:
[Ti(OR)
n(Y)
(4−n)]
(式中、
・Yは、1〜30個の炭素原子を含むヒドロカルビル基、あるいは、ハロゲン化物、R’O−アルコキシ基、R’
2N−アミド基、およびR’COO−カルボキシラートによって形成される群より選択される基であり、ここで、R’は、1〜30個の炭素原子を含む、好ましくは官能基化されない、ヒドロカルビル基であり;
・nは、1〜4の全体値(whole value)をとってよく;
・リガンド−ORは、一般構造が、以下:
O−(CR
10R
11)
n−X−L
(式中、
・官能基Lは、窒素、酸素、リン、硫黄、ヒ素、およびアンチモンから選択されるヘテロ原子を含む基、または芳香族基であり;
・基Xは、炭化水素基(CR
7R
8)、酸素原子、または窒素原子を含む基−NR
9を表し;
・基R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11は、水素原子、または環式であってもなくてもよい、1〜30個の炭素原子を含み、かつ場合によりヘテロ原子を含む、炭化水素鎖を表し;
・nは、0〜30、好ましくは0〜10の全体値をとってよい)
に提案されるアルコキシリガンドの族より選択される有機化合物である)
を有する、方法が用いられ得ることが発見された。
【0010】
本発明との関連で、用語「アルコキシ」は、一般式−ORを有する基として定義され、式中、基Rは、アルキルまたは置換アルキル基である。用語「アルコキシ」についてのこの定義は、アリールオキシまたはフェノキシタイプの基を含まない。本発明の触媒組成物において、本明細書の上記に定義したアルコキシタイプのリガンドは、窒素、酸素、リン、硫黄、ヒ素、およびアンチモンから選択されるヘテロ原子によって、または芳香族基によって官能基化され、かつ、特許請求された式を有する。
【0011】
好ましくは、前記官能基Lは、ヘテロ原子を含む基であり、前記基は、基−NR
1R
2、−OR
3、−PR
4R
5、および−SR
6より選択されるヘテロ原子を含み、基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、水素原子または炭化水素鎖を示し、炭化水素鎖は、環式であってもなくてもよく、1〜30個の炭素原子を含む。
【0012】
好ましくは、Yは、R’O−アルコキシ基によって形成される群より選択される基であり、R’は、1〜30個の炭素原子を含む、好ましくは官能基化されない、ヒドロカルビル基である。再び好ましくは、Yは、塩素原子である。
【0013】
好ましくは、基(CR
10R
11)
nは、基−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
5−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)
2−CH
2−、−C(CH
3)
2−CH
2−CH
2−、−C(CF
3)
2−、−C(CF
3)
2−CH
2−、および−C(CF
3)
2−CH
2−CH
2−より選択される。
【0014】
好ましくは、前記官能基Lは、メトキシ(−OMe)、ブトキシ(−OBu)、ジメチルアミノ(−NMe
2)、ピロリジノ(−C
4H
8N)、ピリジノ(−C
5H
4N)、ホスフィノ(−PR
2)からなる群より選択され、Rは、置換されてもされなくてもよいアルキルまたはアリール基、チオフェン(−C
4H
3S)、テトラヒドロフラン(−C
4H
7O)、フラン(−C
4H
3O)、およびフェニル(−C
6H
5)であり、前記基は置換されてもされなくてもよい。前記基Lは、好ましくは、ホスフィノ基(−PR
2)であり、Rは、置換されてもされなくてもよいアルキルまたはアリール基である。
【0015】
好ましくは、Xは、炭化水素基(CR
7R
8)を表す。非常に好ましくは、Xは、基−CH
2−、および−C(CH
3)
2−より選択される炭化水素基(CR
7R
8)である。
【0016】
本発明の、エチレンのブタ−1−エンへの選択的二量体化の方法において用いられる触媒組成物は有利には、トリス(ヒドロカルビル)アルミニウム化合物、塩化または臭化ヒドロカルビルアルミニウム化合物、およびアルミノキサンによって形成される群より選択される、活性化剤と称される、ヒドロカルビルアルミニウム化合物も含み得る。
【0017】
トリス(ヒドロカルビル)アルミニウム化合物、および、塩化または臭化ヒドロカルビルアルミニウム化合物は好ましくは、一般式AlR”
xZ
3−xを有し、式中、R”は、12個以下の炭素原子を含む一価の炭化水素基、例えば、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、またはシクロアルキルを表し、Zは、例えば塩素および臭素から選択されるハロゲン原子を表し、Zは、好ましくは塩素原子であり、xは、1〜3の値をとる。挙げられ得る式AlR”
xZ
3−xを有するこのような化合物の例は、エチルアルミニウムセスキクロリド(Et
3Al
2Cl
3)、ジクロロエチルアルミニウム(EtAlCl
2)、ジクロロイソブチルアルミニウム(iBuAlCl
2)、クロロジエチルアルミニウム(Et
2AlCl)、およびトリエチルアルミニウム(AlEt
3)である。本発明において用いられ得るアルミノキサンの例として記載され得るものは、メチルアルミノキサンおよび改変メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxan:MMAO)である。これらの活性化剤は、単独、または混合物として、用いられ得る。
【0018】
有機金属錯体[Ti(OR)
n(Y)
(4−n)]の性質に応じて、活性化剤もまた、トリス(アリール)ボランタイプ、例えば、トリス(ペルフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラン、トリス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペルフルオロナフチル)ボラン、トリス(ペルフルオロビフェニル)ボラン、およびこれらの誘導体のルイス酸の群より選択され得る。活性化剤として、トリフェニルカルベニウムカチオン、または三置換アンモニウムカチオンと関連した、(アリール)ボラート、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、N,N−ジメチルアルミニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、またはトリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラートを用いることも可能である。
【0019】
任意の特定の理論によって結び付けられることを望むことなく、窒素、酸素、リン、硫黄、アンチモンおよびヒ素より選択されるヘテロ原子の存在によって、または、芳香族基の存在によって特徴付けられる官能基Lは、金属中心Tiと相互作用することが可能であり、これにより、例えば、供与結合タイプの結合を形成し、その結果、触媒作用において活性でありかつその安定性に寄与する錯体の形成に有利に働く。制限することなく、以下の例は、本発明の「O−(CR
10R
11)
n−X−L」リガンドを示す。リガンドが、以下にプロトン化された形態で表される:
【0020】
【化1】
【0021】
(有機金属錯体の調製方法)
本発明の方法において用いられる触媒組成物のための有機金属チタン錯体の調製方法は、少なくとも1種のアルコキシリガンドを含む有機金属錯体の合成に関する文献において公知の方法を用いて実施される。この化合物のあらゆる調製方法が、適切であり得、例えば、窒素、酸素、リンまたは硫黄から選択されるヘテロ原子によってまたは芳香族基によって官能基化されたアルコキシタイプのリガンドをチタン塩と直接的にまたは有機溶媒、例えばエーテル、アルカン(例えばペンタンまたはシクロヘキサン)、芳香族溶媒(例えば、トルエン)、または、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはクロロベンゼン)の存在下に反応させる。
【0022】
前記調製方法の好ましい実施形態によると、有機金属錯体は、二量体化反応のために用いられる溶媒中において、現場(in situ)で調製される。この場合、チタン塩が混合される順序は重要ではない。しかし、好ましくは、初めに可溶チタン化合物の溶液が有機媒体中に調製され、次いで窒素、酸素、リン、または硫黄より選択されるヘテロ原子によって、あるいは芳香族基によって官能基化されたアルコキシタイプのリガンドが添加される。
【0023】
前記調製方法の好ましい実施形態によると、前記有機金属錯体が単離された後に、二量体化反応のための溶媒中に溶解する。
【0024】
(本発明の方法において用いられる触媒組成物の調製方法)
前記触媒組成物の調製方法の好ましい実施形態によると、活性化剤が用いられる場合、前記触媒組成物の2つの成分、すなわち、有機金属錯体[Ti(OR)
n(Y)
(4−n)]および活性化剤は、脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ブタンまたはイソブタン)、不飽和炭化水素(例えば、例えば4〜20個の炭素原子を含むモノオレフィンまたはジオレフィン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メシチレンまたはエチルベンゼン)または塩化炭化水素(例えば、クロロベンゼンまたはジクロロメタン)によって形成される群から選択される溶媒中あらゆる順序で純粋にまたは混合物として接触させられ得る。有利には、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサンまたはn−ヘプタン、および、芳香族炭化水素、例えばオルトキシレンが用いられる。
【0025】
前記触媒組成物の調製方法の別の好ましい実施形態によると、活性化剤が用いられる場合、活性化剤は、有機金属チタン錯体を含有する溶液に添加される。
【0026】
触媒溶液中のチタンの濃度は、有利には1×10
−4〜1モル/Lの範囲であり、好ましくは1×10
−3〜0.5モル/Lの範囲である。
【0027】
場合による活性化剤および有機金属チタン錯体のモル比は、有利には1/1〜2000/1の範囲であり、好ましくは2/1〜800/1の範囲であり、より好ましくは2/1〜500/1の範囲である。
【0028】
触媒系の成分が混合される温度は、有利には、−10〜180℃の範囲であり、好ましくは0〜+150℃の範囲であり、例えば周囲温度(15〜30℃)に近い温度である。混合物は、エチレンまたは不活性ガスの雰囲気中で作られ得る。
【0029】
(二量体化反応)
本発明の方法は、上述した触媒組成物を用いる、エチレンのブタ−1−エンへの選択的二量体化のための方法である。
【0030】
好ましい実施形態において、活性化剤としてのトリエチルアルミニウムと共に、チタン金属が用いられ、エチレンの二量体化のために、活性化剤のチタンに対するモル比は、1〜5の範囲である。
【0031】
エチレンの二量体化反応は有利には、0.5〜15MPa、好ましくは1〜10MPaの全圧で、20〜180℃、好ましくは40〜140℃の温度で行われる。
【0032】
好ましい実施形態によると、二量体化反応は、バッチ式で行われる。上述のように構成される、選択された体積の触媒溶液は、通常の攪拌、加熱、および冷却装置を備えた反応器内に導入され、その後、エチレンで所望の圧力まで加圧され、温度は、所望の値に調整される。二量体化反応器は、生じる液体の全体積が、最初に導入された触媒溶液の体積の例えば2〜50倍を示すまでエチレンを導入することによって、一定の圧力で維持される。次いで、触媒は、当業者に公知のあらゆる通常の手段を用いて破壊され、その後、反応生成物および溶媒は、抜き出され、分離される。
【0033】
別の好ましい実施形態によると、触媒の二量体化反応は、連続的に行われる。触媒溶液は、エチレンと同時に反応器に注入される。反応器は、当業者に知られる従来の機械的手段または外部の再循環によって撹拌され、所望の温度に保持される。触媒の成分を反応媒体内へと別個に注入することも可能である。エチレンは、圧力操作入口弁を介して導入される。この弁は、圧力を一定に維持する。反応混合物は、液体レベル作動弁を用いて抜き出される。この弁は、液体レベルを一定に維持する。触媒は、当業者に公知のあらゆる通常の手段を用いて連続的に破壊され、その後、反応からの生成物、並びに溶媒は、例えば蒸留によって分離される。転換されなかったエチレンは、反応器に再循環させられ得る。重質フラクション中に含まれる触媒残渣は、焼却され得る。
【0034】
(得られる生成物)
本発明の方法は、ブタ−1−エンの選択的製造のために用いられ得る。この化合物は、線状低密度ポリエチレンの製造において、エチレンとのコモノマーとして有用である。
【0035】
以下の実施例は本発明を例証する。
【0036】
(実施例1:錯体[(L7)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
3.6g(35ミリモル)のリガンドL7、10mLの無水シクロヘキサン、および5g(17.5ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、オレンジ色の油状物の形態の錯体[(L7)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を、
1Hおよび
13C NMR分析によって確認した。
【0037】
(実施例2:錯体[(L8)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
3.4g(35ミリモル)のリガンドL8、10mLの無水シクロヘキサン、および5.0g(17.5ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、濃いオレンジ色の油状物の形態の錯体[(L8)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を、
1Hおよび
13C NMR分析によって確認した。
【0038】
(実施例3:錯体[(L9)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
3.8g(35ミリモル)のリガンドL9、10mLの無水シクロヘキサン、および5.0g(17.5ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、無色の油状物の形態の錯体[(L9)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を、
1Hおよび
13C NMR分析によって確認した。
【0039】
(実施例4:錯体[(L11)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
4.3g(35ミリモル)のリガンドL11、10mLの無水シクロヘキサン、および5.0g(17.5ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、オレンジ色の油状物の形態の錯体[(L11)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を
1Hおよび
13C NMR分析によって確認した。
【0040】
(実施例5:錯体[(L12)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
4.0g(35ミリモル)のリガンドL12、10mLの無水シクロヘキサン、および5.0g(17.5ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、黄色の液体の形態の錯体[(L12)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を
1Hおよび
13C NMR分析によって確認した。
【0041】
(実施例6:錯体[(L14)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
3.2g(14ミリモル)のリガンドL14、10mLの無水シクロヘキサン、および2.0g(7ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、粘性の黄色の液体の形態の錯体[(L14)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を
1H、
13C、および
31P NMR分析によって確認した。
【0042】
(実施例7:錯体[(L16)
2Ti(OiPr)
2]の合成)
3.4g(14ミリモル)のリガンドL16、10mLの無水シクロヘキサン、および2.0g(7ミリモル)の[Ti(OiPr)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、粘性の黄色の液体の形態の錯体[(L16)
2Ti(OiPr)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を
1H、
13C、および
31P NMR分析によって確認した。
【0043】
(実施例8:錯体[(L16)
2Ti(OnBu)
2]の合成)
2.9g(12ミリモル)のリガンドL16、10mLの無水シクロヘキサン、および2.0g(6ミリモル)の[Ti(OnBu)
4]を、アルゴン下、周囲温度でシュレンク管に導入した。その後、この混合物を30分間還流下に加熱し、依然としてアルゴン下で、終夜撹拌した。溶媒の留去によって、粘性の黄色の液体の形態の錯体[(L16)
2Ti(OnBu)
2]が生じた。収率は、ほぼ定量的であった。錯体の構造を、
1H、
13C、および
31P NMR分析、並びに元素分析によって確認した。
【0044】
(実施例9〜16(本発明に合致する):C
2H
4の選択的二量体化)
本発明において上述の0.15ミリモルの錯体[(L)
nTi(OiPr)
4−n]または[(L)
nTi(OnBu)
4−n]をシクロヘキサン中に溶解させ、これを、ステンレス鋼製オートクレーブ中に、正常な状態で(in order)導入した。ステンレス鋼製オートクレーブは、35mLの有効体積を有し、温度を調整するために電気ヒータおよび圧縮空気渦冷却システムを備えていた。次いで、シクロヘキサンの溶液中の0.45ミリモルのトリエチルアルミニウムを導入し、すなわち、Al/Tiのモル比は3であった。シクロヘキサンの全量は6mLであった。次いで、エチレンを、2MPaの一定の圧力に維持するために、オートクレーブ中に導入した。反応時間「t」の後、エチレンの導入を停止し、反応器を周囲温度まで冷却した。その後、オートクレーブを減圧し、触媒系を、1mLの水を注入することによって中和した。ガスフラクションおよび液体フラクションを回収し、これをクロマトグラフィーによって分析した。適切な場合、少量のポリエチレンも回収した。
【0045】
下記の表1において、得られた結果を詳述する:
【0046】
【表1】
【0047】
この表において、生産性は、最初に導入されるチタンの重量(g)当たりかつ時間当たりの消費されるエチレン(C
2H
4)の質量として定義される。
【0048】
C4分布は、全分布中、4に等しい炭素原子数を有するオレフィンの量である。
【0049】
(α1)は、C4留分中のブタ−1−エンに対する選択性を表す。
【0050】
同様に、C6分布は、全分布中、6に等しい炭素原子数を有するオレフィンの量である。
【0051】
(α2)は、C6留分中のヘキサ−1−エンに対する選択性を表す。
【0052】
C4留分中のブタ−1−エンおよびC6留分中のヘキサ−1−エンに対する選択性は、当業者に公知の方法を用いるガスクロマトグラフィーによって測定された。
【0053】
(実施例17〜20(比較例):有機添加剤の存在下における[Ti(OiPr)
4]によるC
2H
4の選択的二量体化(本発明に合致しない))
表2の実施例17〜20は、表1に記載の条件と同じ条件を採用した(反応時間は1時間に等しかった)。これらの実施例は、エチレンのブタ−1−エンへの選択的二量体化における[Ti(OiPr)
4]の生産性についての、ヘテロ原子を有するが、本発明に合致しない(それ故、本発明の方法に興味深いものではない)有機添加剤の否定的な効果を示す。
【0054】
【表2】