(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の保管容器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の保管容器を説明するのに先立って、
図1〜3を参照して、脊椎後方固定術、および椎体に形成した下穴に骨補填材を挿入する方法について説明する。
【0028】
図1、2は、それぞれ、脊椎後方固定術を説明するための図、
図3は、椎体に形成した下穴に、保管容器内に保管された骨補填材を挿入する方法を順を追って説明するための図である。なお、
図1中の上側が背側、下側が腹側、紙面手前側が頭側、紙面奥側が尻側、
図2中の上側が頭側、下側が尻側、右側が背側、左側が腹側、
図3中の上側が背側、下側が腹側である。
【0029】
<脊椎後方固定術>
図2、3に示すように、椎骨100は、椎体110と、椎体110の後方(
図2中の上側)に延び、脊柱管(椎孔)140を形成する椎弓120と、椎弓120の中央部から後方に突出する棘突起130とを有している。
[1] まず、椎骨100において、神経を圧迫している部位を取り除く。
【0030】
[2] 次に、椎弓120が有する横突起および椎間関節の表面の一部を取り除く。
これにより、骨補填材の椎骨100への付きが良好に行うことができ、さらに、椎弓120へのスクリューの取り付けを容易に行うことができる。
【0031】
[3] 次に、椎弓120のスクリュー200を螺合すべき位置に、下穴125を形成した後、この下穴125にスクリュー200を螺合(挿入)する。
【0032】
この工程[1]〜[3]を、神経を圧迫している上下(複数)の椎骨100に対して実施する。
【0033】
[4] 次に、スクリュー200に、ロッド250を、上下に位置する椎骨100の下穴125に固定された各スクリュー200に渡るようにして固定する(
図1、2参照。)。
【0034】
これにより、上下の椎骨100における離間距離が適切な大きさに保たれつつ椎骨100が固定されることから、神経の圧迫が除去された状態で、脊椎の安定性が確保される。
【0035】
[5] 次に、横突起および椎間関節の一部を取り除いた位置に、自家骨または人工骨を配置する。
【0036】
これにより、上下の椎骨100同士を、より強固に固定することができ、脊椎の安定性をより確実に確保することができる。
【0037】
なお、自家骨または人工骨の脊椎への配置を省略するようにしてもよく、この場合には、前記工程[2]および前記工程[5]を省略することができる。
【0038】
以上のような脊椎後方固定術において、前記工程[3]での下穴125へのスクリュー200の螺合は、患者が例えば骨粗鬆症を併発しており、椎弓120とスクリュー200との間で十分な固定強度が得られない場合には、例えば、以下のようにして、スクリュー200の固定が実施される。
【0039】
[3−1] まず、椎弓120のスクリュー200を螺合すべき位置に、下穴125を例えばエアドリル等を用いて形成する(
図3(a)参照)。
【0040】
[3−2] 次いで、先端および基端で開口する中空部を備える筒体(中空体)で構成されるインサーター300を用意し、このインサーター300の先端を、椎弓120に形成した下穴125に挿入した状態とする。
【0041】
そして、この状態を維持したまま、有底筒状をなす保管容器1に保管された骨補填材10を、インサーター300の基端部から、インサーター300内に移し替える(
図3(b)参照)。
【0042】
このようにして保管容器1からインサーター300内に移し替えられた骨補填材10は、このインサーター300内を移動して先端部から排出されることで、下穴125に挿入される(
図3(c)参照)。
【0043】
なお、骨補填材10のインサーター300内における移動は、骨補填材10の自由落下によるものであってもよいし、押出棒をインサーター300内に挿通することで、骨補填材10を強制的に移動させるものであってもよい。
【0044】
[3−3] 次いで、下穴125に骨補填材10が挿入された状態で、この下穴125にスクリュー200を螺合(挿入)する(
図3(d)参照)。
【0045】
この際、本発明では、骨補填材10が、人の指等での押圧力で容易に崩壊し、崩壊時には顆粒11の形状を保持する程度の強度で顆粒11同士が結合している焼結接合体からなるものである。そのため、下穴125へのスクリュー200の螺合により、骨補填材10に押圧力が作用し、これにより、骨補填材10は、下穴125において顆粒11の状態にまで崩壊する。
【0046】
そして、この崩壊により生じた顆粒11が下穴125とスクリュー200との間に介在し、これにより、顆粒11は、スクリュー200が下穴125に固定される足場として機能する。その結果、スクリュー200は、椎弓120とスクリュー200との間で十分な固定強度を得られた状態で、下穴125内に固定される(
図3(e)参照)。
【0047】
<保管容器>
さて、このような骨補填材10を用いたスクリュー200の下穴125への螺合では、前記工程[3−2]において、保管容器1に保管された骨補填材10は、インサーター300を用いて、下穴125に挿入される。
【0048】
この際、前述のとおり、骨補填材10が人の指等での押圧力で容易に崩壊し得る程度の強度しか有しないものであるため、例えば、骨補填材10の搬送時や保管時等に保管容器1内において、数個(2、3個)に分断されるように折れてしまうことがある。
【0049】
そのため、この状態で、骨補填材10を保管容器1からインサーター300内に移し替えようとすると、折れた骨補填材10の一部が保管容器1に引っ掛かり、骨補填材10を保管容器1から離脱させることができないことから、下穴125に移し替える作業に、時間と手間を要するという問題があった。
【0050】
これに対して、本発明では、骨補填材10を保管する保管容器1は、骨補填材10を保管する保管部と、この保管部で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部とを有し、保管部の保持部による展開により、保管部から骨補填材10が離脱するよう構成されているものである。
【0051】
保管容器1を、かかる構成を有するものとすることにより、収納部を展開させることで、保管容器1から骨補填材10を離脱させることができる。そのため、保管容器1内において、骨補填材10が数個(2、3個)に分断されていたとしても、折れた骨補填材10の一部を保管容器1に引っ掛けることなく、骨補填材10を保管容器1からインサーター300内に容易かつ迅速に移し替えることができる。すなわち、保管容器1が備える収納部を展開させるという単純な作業で、患者に対する術場という迅速性が求められる状況において、骨補填材10を保管容器1からインサーター300内に容易かつ迅速に移し替えることができる。
【0052】
以下、この保管容器1の各実施形態について、順次、説明する。
<<第1実施形態>>
まず、本発明の保管容器の第1実施形態について、
図4、5を参照して説明する。
【0053】
図4、5は、本発明の保管容器の第1実施形態を示す斜視図(
図4は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図5は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。なお、以下では、
図4、5中に示した「x軸方向」および「y軸方向」を「水平方向」、「z軸方向」を「上下方向」として説明する。また、
図4(a)、
図5(a)は、上方から視た斜視図、
図4(b)、(c)、
図5(b)、(c)は、側方から視た斜視図、
図4(d)、
図5(d)は、下方から視た斜視図である。
【0054】
図4、5に示す保管容器1は、全体形状がほぼ有底筒状をなし、その中心部に上下方向(長手方向)に形成され、上方で開口する中空部21を有する本体部20を備えている。
【0055】
この保管容器1(本体部20)では、その外径および内径は、それぞれ、上下方向に沿ってほぼ一定であり、その上方で開口し、その下方には底部が形成され開口していない。
【0056】
かかる構成の本体部20の上方における開口を介して中空部21に骨補填材10が挿入されて保管される。
【0057】
すなわち、本実施形態では、有底筒状をなす本体部20で、骨補填材10を保管する保管部が構成される。
【0058】
また、本実施形態では、この本体部20は、その上下方向に沿って切断して形成された2つ(複数)の半体(分割体)、すなわち、第1半体22と第2半体23とで構成される。
【0059】
このように、本体部20を半体22、23で構成することで、これらを形成された切断面で重ね合わせた際には、中空部21で骨補填材10を保管することができる。
【0060】
さらに、これら同士が離間するように開くことで展開した際には、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。そのため、保管容器1内において、骨補填材10が数個(2、3個)に分断されていたとしても、折れた骨補填材10の一部を保管容器1に引っ掛けることなく、骨補填材10を保管容器1からインサーター300内に容易かつ迅速に移し替えることができる。すなわち、保管容器1が備える収納部を展開させるという単純な作業で、患者に対する術場という迅速性が求められる状況において、骨補填材10を保管容器1からインサーター300内に容易かつ迅速に移し替えることができる。
【0061】
また、この本体部20には、形成される切断面の2つの長辺のうち一方の長辺に、第1半体22と第2半体23とを回動可能に支持するヒンジ部27が設けられている。
【0062】
このようなヒンジ部27を設ける構成として、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とを開くことにより、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。そして、第1半体22と第2半体23とを閉じることにより、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。
【0063】
すなわち、本実施形態では、第1半体22と第2半体23とを回動可能に支持するヒンジ部27で、半体22、23で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部が構成される。
【0064】
さらに、本実施形態では、前記切断面の他方の長辺側で、第1半体22には2つの爪部25、26が、第2半体23には1つの爪部24が設けられている。
【0065】
爪部25、26は、第2半体23に設けられる爪部24を挟むように第1半体22に設けられ、第1半体22の前記他方の長辺側の端部から、本体部20の接線方向に突出して形成されている。
【0066】
また、爪部24は、第1半体22に設けられる爪部25、26同士の間に位置するように第2半体23に設けられ、第2半体23の前記他方の長辺側の端部から、本体部20の接線方向に突出して形成されている。
【0067】
このような爪部24〜26を設ける構成として、爪部24と爪部25、26とが互いに近付く方向に押し出すこと、すなわち、
図4(c)中の矢印方向に爪部24と爪部25、26とを押し出すことにより、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とが開かれ、その結果、中空部21から骨補填材10が離脱する。
【0068】
すなわち、爪部24〜26を用いて、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とを容易に開くことができ、中空部21から骨補填材10を容易に離脱させることができる。このような爪部の構成によれば、片手による容器の開放を可能とし、術者の負担をより軽減できる。
【0069】
また、爪部24には凸部28が設けられ、第1半体22と第2半体23とを閉じた際に第1半体22の外周面の凸部28と重なる位置に凹部29が設けられている。かかる構成とすることで、第1半体22と第2半体23とを閉じた際に、凸部28と凹部29とが係合するようになる。そのため、第1半体22と第2半体23とが互いに固定され、第1半体22と第2半体23とを閉じた状態で、第1半体22と第2半体23とが不用意に開くのを確実に防止することができる。また、爪部24に凸部28を設ける構成とすることで、爪部24に押し出す力を作用させた際に、凸部28が凹部29から浮き上がる力を作用させることができる。そのため、爪部24と爪部25、26とが互いに近付く方向に押し出すことで、凸部28と凹部29とが係合する係合状態を容易に解除することができる。
【0070】
すなわち、本実施形態では、凸部28と凹部29とで、第1半体22と第2半体23とを閉じた状態で、第1半体22と第2半体23とが開くのを防止する係合部が構成される。
【0071】
このような保管容器1は、特に限定されないが、樹脂材料を主材料として構成されたものが好ましい。保管容器1を主として樹脂材料で構成されるものとすることにより、骨補填材10の保管時には、外部からの衝撃を保管容器1により緩和することができ、骨補填材10が不必要に分断されてしまうのを確実に防止することができる。また、第1半体22と第2半体23とを開く際には、ヒンジ部27を介して容易にこれらを開くことができるようになる。
【0072】
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリアリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
また、この保管容器1において、本体部20の長さ、本体部20の内径および本体部20の外径等の各寸法は、下穴125の大きさや、症例に応じて適宜決定されるが、概ね、以下に示すような範囲内に設定される。
【0074】
すなわち、本体部20の長さは、好ましくは10〜60mm程度、より好ましくは20〜40mm程度に設定される。
【0075】
また、本体部20の内径は、好ましくは3〜17mm、より好ましくは5〜10mm程度に設定される。
【0076】
さらに、本体部20の外径は、好ましくは4〜12mm程度、より好ましくは6〜9mm程度に設定される。
【0077】
なお、このような保管容器1は、骨補填材10の保管時には、本体部20の上方の開口において、栓体により栓がなされている。このとき、栓体は、中空部21内の骨補填材10に、その先端部が当接するような位置に配置される。これにより、骨補填材10の保管時に、中空部21内で骨補填材10が移動するのを的確に抑制または防止することができるため、骨補填材10が不必要に分断されてしまうのを確実に防止することができる。
【0078】
また、前述のとおり、保管容器1で保管される骨補填材10は、人の指等での押圧力で容易に崩壊し得る程度の強度しか有しないものであるが、例えば、全体形状が円柱状をなす中実体であり、セラミックス多孔質顆粒同士が、このセラミックス多孔質顆粒よりも粒径が小さいセラミックス多孔質粒子により結合された焼結体で構成されるものが挙げられる。
【0079】
このような骨補填材10において、セラミックス多孔質顆粒は、その形状を維持した状態で互いに接合しており、セラミックス多孔質顆粒同士の接合強度が崩壊時に、セラミックス多孔質顆粒の形状を保持する程度となっている。
【0080】
また、その圧縮強度は、具体的には、特に限定されないが、好ましくは0.2〜2.7kgf程度に設定され、より好ましくは1.0〜1.8kgf程度に設定される。骨補填材10は、寸法や形状は問わず、上記範囲の負荷を加えた際に崩壊するものであるのが好ましい。これにより、下穴125中に、骨補填材10を入れておき、この下穴125にスクリュー200を螺入(挿入)することにより、押圧力が生じ、これに起因して骨補填材10がセラミックス多孔質顆粒の形状に崩壊する。その結果、下穴125とスクリュー200との間にセラミックス多孔質顆粒が介在することとなるため、スクリュー200の固定力(アンカー力)が増大する。
【0081】
なお、このような骨補填材10において、その長さ、および、底面の直径の各寸法は、補填すべき下穴125等の大きさや、症例に応じて適宜決定されるが、概ね、以下に示すような範囲内に設定される。
【0082】
すなわち、長さは、好ましくは5〜50mm程度、より好ましくは10〜30mm程度に設定される。また、底面の直径は、好ましくは1〜15mm程度、より好ましくは3〜8mm程度に設定される。このような大きさ(サイズ)の骨補填材10であっても、押圧力で容易に崩壊し、崩壊時には顆粒自体の形状を保持する程度の強度で結合している焼結体として機能する。なお、骨補填材10の形状は円柱状に限らず、直方体形状や立方体形状等であってもよい。
【0083】
セラミックス多孔質顆粒(以下、単に「顆粒」と言うこともある。)は、骨補填材の主材料として含まれ、骨補填材の崩壊時には、その形状を維持するものである。
【0084】
この顆粒の粒径は、顆粒状をなす骨補填材10の範疇に属する程度の大きさであればよく、通常、好ましくは100μm以上、より好ましくは100〜1400μm程度である。粒子の粒径をかかる範囲内に設定することにより、骨補填材10が崩壊した際に、この顆粒に、顆粒状をなす骨補填材10としての機能を確実に発揮させることができる。
【0085】
また、このような顆粒は、特に限定されないが、優れた生体親和性を備えているリン酸カルシウム系化合物で構成されるのが好ましい。
【0086】
リン酸カルシウム系化合物としては、例えば、ハイドロキシアパタイト(HAP)、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト等のアパタイト類、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのリン酸カルシウム系化合物のなかでもCa/P比が1.0〜2.0のものが好ましく、1.5〜2.0のものがより好ましく用いられる。
【0087】
また、顆粒は、多孔質体であれば、いかなる構成のものであってもよいが、リン酸カルシウム系化合物で構成される一次粒子の造粒体からなる球状二次粒子の集合体で構成されているのが好ましい。これにより、より均一な気孔を備える多孔質体とすることができる。
【0088】
このような顆粒は、骨補填材10の主材料として用いられるため、顆粒状(不定形状)をなすものが好ましく用いられるが、その他、立方体、直方体、球状、円柱およびスティック状等の形状であってもよい。
【0089】
セラミックス多孔質粒子(以下、単に「粒子」と言うこともある。)は、セラミックス多孔質顆粒よりも粒径が小さく、骨補填材10の崩壊前に、顆粒同士の間に介在してこれらを接合するためのものである。
【0090】
このような粒子を含む構成とすることで、粒子は顆粒と比較して容易に焼結するため、粒子が焼結する際に顆粒同士の接合に寄与することとなる。
【0091】
この粒子の粒径は、顆粒よりも小さければよく、例えば、好ましくは1〜40μm程度、より好ましくは10〜30μm程度に設定される。粒子の粒径をかかる範囲内に設定することにより、顆粒同士が結合するのを補助する補助効果、すなわち、バインダー効果を確実に発揮させることができる。
【0092】
また、このような粒子は、顆粒と同様に好ましくはリン酸カルシウム系化合物で構成され、リン酸カルシウム系化合物の具体例としては、例えば、顆粒で挙げたのと同様のものを用いることができる。
【0093】
さらに、粒子は、いかなる構成のものであってもよいが、リン酸カルシウム系化合物で構成される一次粒子の造粒体からなる球状二次粒子、またはこの球状二次粒子を粉砕した粉砕二次粒子で構成されているのが好ましい。これにより、骨補填材10において、より確実に粒子同士を連結することができる。
【0094】
また、粒子の形状は、特に限定されないが、顆粒と同様に、顆粒状(その表面に凹凸を備える不定形状)をなすものが好ましく用いられる。
【0095】
なお、骨補填材10において、顆粒と粒子との混合比は、重量比で1:0.1〜1:1程度であるのが好ましく、1:0.3〜1:0.7程度であるのがより好ましい。粒子の割合が前記下限より少なくなると、粒子を添加することにより得られるバインダー効果が十分に発揮されないおそれがあり、また、上記上限を超えると顆粒の焼結強度が強くなり、崩壊時に顆粒の形状を維持できなくなるおそれがある。
【0096】
なお、上述した「圧縮強度」は、具体的には、長さ15〜30mm、底面の直径2〜9mmの骨補填材(サンプル)を用意して平坦な台に置き、プッシュプルゲージ装置(今田製作所製、「508018」)を用いて、圧縮破壊することにより求めることができる。
【0097】
<<第2実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第2実施形態について説明する。
【0098】
図6は、本発明の保管容器の第2実施形態を示す斜視図(
図6(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図6(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0099】
以下、第2実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0100】
図6に示す保管容器1は、本体部20(半体22、23)に形成される爪部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0101】
すなわち、第2実施形態の保管容器1では、前記切断面の他方の長辺側で、第1半体22には1つの爪部31が、第2半体23には1つの爪部32が設けられている。
【0102】
そして、爪部31および爪部32は、互いに対向するように、それぞれ、第1半体22および第2半体23に設けられ、第1半体22および第2半体23の外周面から、本体部20の接線とほぼ直交する方向に突出している。
【0103】
このような爪部31、32を設ける構成として、爪部31と爪部32とが互いに離間するように開くことにより、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とが開かれ、その結果、中空部21から骨補填材10が離脱する。
【0104】
すなわち、爪部31、32を用いて、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とを容易に開くことができ、中空部21から骨補填材10を容易に離脱させることができる。
【0105】
このような第2実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0106】
<<第3実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第3実施形態について説明する。
【0107】
図7は、本発明の保管容器の第3実施形態を示す斜視図(
図7(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図7(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0108】
以下、第3実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0109】
図7に示す保管容器1は、本体部20(半体22、23)に形成される爪部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0110】
すなわち、第3実施形態の保管容器1では、前記切断面の一方の長辺側すなわちヒンジ部27が設けられているのと同一の長辺側で、第1半体22には1つの爪部33が、第2半体23には1つの爪部34が設けられている。
【0111】
そして、爪部33および爪部34は、互いに対向するように、それぞれ、第1半体22および第2半体23に設けられ、第1半体22および第2半体23の外周面から、本体部20の接線とほぼ直交する方向に突出している。
【0112】
このような爪部33、34を設ける構成として、爪部33と爪部34とが互いに接近する力を作用させることにより、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とが開かれ、その結果、中空部21から骨補填材10が離脱する。
【0113】
すなわち、爪部33、34を用いて、ヒンジ部27を介して第1半体22と第2半体23とを容易に開くことができ、中空部21から骨補填材10を容易に離脱させることができる。
【0114】
このような第3実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0115】
<<第4実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第4実施形態について説明する。
【0116】
図8は、本発明の保管容器の第4実施形態を示す斜視図(
図8(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図8(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0117】
以下、第4実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0118】
図8に示す保管容器1は、本体部(保管部)20の構成およびこの本体部20を保持・展開する保持部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0119】
すなわち、第4実施形態の保管容器1では、この本体部20は、その上下方向に沿って切断して形成された3つ(複数)の半体(分割体)、すなわち、第1半体41と第2半体42と第3半体43とで構成される。
【0120】
また、この本体部20では、各半体41、42、43に、それぞれ連結する連結枝44、45、46が設けられている。そして、これら連結枝44、45、46は、それぞれ、その一端が半体41、42、43の先端に連結しており、その他端が互いに連結している。
【0121】
かかる構成の連結枝44、45、46は、
図8(b)に示すように、各半体41、42、43が放射状に離間する(開く)ように、それぞれ、半体41、42、43に連結している。すなわち、連結枝44、45、46は、各半体41、42、43が放射状に開くように付勢する付勢部材として機能する。
【0122】
したがって、第1半体41と第2半体42と第3半体43を閉じて、中空部21を形成した際には、連結枝44、45、46により、これら半体41、42、43とが放射状に開く力が作用する。
【0123】
そのため、本実施形態では、保管容器1は、本体部20を挿通することができる貫通孔48を備える筒状をなす挿通部材47を有している。
【0124】
したがって、第1半体41と第2半体42と第3半体43を閉じた状態とした本体部20に、挿通部材47を挿通することで、この状態を保持することができ、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。すなわち、本実施形態では、挿通部材47により、半体41、42、43で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部が構成される。
【0125】
そして、本体部20から挿通部材47を取り除くことにより、連結枝44、45、46により、第1半体41と第2半体42と第3半体43とが開かれ、これにより、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0126】
このような第4実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0127】
<<第5実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第5実施形態について説明する。
【0128】
図9は、本発明の保管容器の第5実施形態を示す斜視図(
図9(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図9(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0129】
以下、第5実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0130】
図9に示す保管容器1は、本体部(保管部)20の構成およびこの本体部20を保持・展開する保持部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0131】
すなわち、第5実施形態の保管容器1では、この本体部20は、切断して形成された2つ(複数)の半体で構成されず、本体部20の側壁が、複数の短冊状をなす板材51で構成され、これら板材51が蛇腹状をなすように互いにその長辺で連結されている。
【0132】
本体部20を、このように蛇腹状をなすものとすることにより、本体部20が縮径するように本体部20を閉じた際には、本体部20には、拡径する(開く)力が作用する。
【0133】
そのため、本実施形態では、保管容器1は、本体部20を挿通することができる貫通孔48を備える筒状をなす挿通部材47を有している。
【0134】
したがって、縮径するように閉じた状態とした本体部20に、挿通部材47を挿通することで、この状態を保持することができ、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。すなわち、本実施形態では、挿通部材(縮径用部材)47により、縮径するように閉じた状態とした本体部20で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部が構成される。
【0135】
そして、本体部20から挿通部材47を取り除くことにより、本体部20が拡径し、これにより、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0136】
このような第5実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0137】
<<第6実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第6実施形態について説明する。
【0138】
図10は、本発明の保管容器の第6実施形態を示す斜視図(
図10(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図10(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0139】
以下、第6実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0140】
図10に示す保管容器1は、本体部(保管部)20の構成およびこの本体部20を保持・展開する保持部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0141】
すなわち、第6実施形態の保管容器1では、この本体部20は、切断して形成された2つ(複数)の半体で構成されず、本体部20の全体が、ポリウレタン等を主材料として含有する反発性発泡体で構成されている。
【0142】
本体部20が、このような反発性を有することで、本体部20が縮径するように本体部20を閉じた際には、本体部20には、拡径する(開く)力が作用する。
【0143】
そのため、本実施形態では、保管容器1は、本体部20を挿通することができる貫通孔48を備える筒状をなす挿通部材47を有している。
【0144】
したがって、縮径するように閉じた状態とした本体部20に、挿通部材47を挿通することで、この状態を保持することができ、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。すなわち、本実施形態では、挿通部材(縮径用部材)47により、縮径するように閉じた状態とした本体部20で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部が構成される。
【0145】
そして、本体部20から挿通部材47を取り除くことにより、本体部20が拡径し、これにより、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0146】
このような第6実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0147】
<<第7実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第7実施形態について説明する。
【0148】
図11は、本発明の保管容器の第7実施形態を示す斜視図(
図11(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図11(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0149】
以下、第7実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0150】
図11に示す保管容器1は、本体部(保管部)20の構成およびこの本体部20を保持・展開する保持部の構成が異なる以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0151】
すなわち、第7実施形態の保管容器1では、この本体部20は、切断して形成された2つ(複数)の半体で構成されず、本体部20の全体が、各種ゴム材料等を主材料として含有する弾性体で構成されている。
【0152】
本体部20が、このような弾性を有することで、本体部20が縮径するように本体部20を閉じた際には、本体部20には、拡径する(開く)力が作用する。
【0153】
そのため、本実施形態では、保管容器1は、本体部20を縮径することができるバンド52を有している。
【0154】
したがって、本体部20にバンド52を挿通して、
図11(a)に示すように、本体部20が縮径するようにバンド52を閉じた状態(閉状態)とすることで、本体部20が縮径した状態を保持することができるため、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。すなわち、本実施形態では、バンド(縮径用部材)52により、縮径するように閉じた状態とした本体部20で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部が構成される。
【0155】
そして、
図11(b)に示すように、バンド52を開いた状態(開状態)とすることで、本体部20が拡径し、これにより、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0156】
このような第7実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0157】
<<第8実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第8実施形態について説明する。
【0158】
図12は、本発明の保管容器の第8実施形態を示す斜視図(
図12(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図12(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0159】
以下、第8実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0160】
図12に示す保管容器1は、本体部20が保管部と保持部との双方の機能を併せ持つこと以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0161】
すなわち、第8実施形態の保管容器1では、この本体部20は、切断して形成された2つ(複数)の半体で構成されず、本体部20の全体が、各種粘度材料のような可塑変形可能な材料で構成されている。
【0162】
本体部20をかかる材料で構成することで、外部からの力を解除したとしても、元の形状に戻らない程度に可塑変形させることができる。
【0163】
したがって、
図12(a)に示すように、縮径するように本体部20を可塑変形させて、閉じた状態(閉状態)を保持させることで、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。
【0164】
そして、
図12(b)に示すように、拡径するように本体部20を可塑変形させて、開いた状態(開状態)を保持させることで、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0165】
すなわち、本実施形態では、本体部20により、骨補填材10を保管する保管部と、本体部20で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部との双方が構成される。
【0166】
このような第8実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0167】
<<第9実施形態>>
次に、本発明の保管容器の第9実施形態について説明する。
【0168】
図13は、本発明の保管容器の第9実施形態を示す斜視図(
図13(a)は、保管容器の保管部を展開していない状態を示す図、
図13(b)は、保管容器の保管部を展開した状態を示す図)である。
【0169】
以下、第9実施形態の保管容器1について、前記第1実施形態の保管容器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0170】
図13に示す保管容器1は、本体部20が保管部と保持部との双方の機能を併せ持つこと以外は、
図4、5に示す保管容器1と同様である。
【0171】
すなわち、第9実施形態の保管容器1では、この本体部20は、切断して形成された2つ(複数)の半体で構成されず、
図13に示すように、本体部20の全体が、編組体で構成されている。
【0172】
本体部20をかかる材料で構成することで、外部からの力を解除したとしても、元の形状に戻らない程度に変形させることができる。
【0173】
したがって、
図13(a)に示すように、縮径するように本体部(編組体)20の目開きを小さく変形させて、閉じた状態(閉状態)を保持させることで、中空部21内に骨補填材10を保管することができる。
【0174】
そして、
図13(b)に示すように、拡径するように本体部(編組体)20の目開きを大きく変形させて、開いた状態(開状態)を保持させることで、中空部21から骨補填材10を離脱させることができる。
【0175】
すなわち、本実施形態では、本体部20により、骨補填材10を保管する保管部と、本体部20で骨補填材10を保管する状態を保持する保持部との双方が構成される。
【0176】
このような第9実施形態の保管容器1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の保管容器1と同様である。
【0177】
以上、本発明の保管容器を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0178】
例えば、本発明の保管容器において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
【0179】
また、本発明では、前記第1〜第9実施形態で示した任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【0180】
さらに、前記実施形態では、折れた骨補填材の一部が保管容器に引っ掛かり、この引っ掛かった骨補填材を保管容器から離脱させる場合について説明したが、かかる場合に限定されず、本発明の保管容器の構成によれば、保管状態において保管部内で予め骨補填材が固定されるように保持しておき、この固定された骨補填材を保管部の展開により、骨補填材を保管部から離脱させる場合に適用し得ることは言うまでもない。
【0181】
また、前記実施形態では、人の指等での押圧力で容易に崩壊し得る程度の強度しか有しない骨補填材を保管容器で保管する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、本発明の保管容器による保管は、各種人工骨の保管に適用することができる。